ゲスト
(ka0000)
坑道に出没する金属ヘビをたおせ!
マスター:貴島春介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/09/23 22:00
- 完成日
- 2016/10/01 21:42
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●山岳地帯の鉱山
山岳地帯の険しい地形には、有益な鉱脈を有した山々がある。
鉄鉱石や、金銀などの貴金属、銅や鉛、錫といった人々の生活には欠かせない金属が産出される。
ハンターたちが装備する武器や防具にも、これらの金属は使われている。
鉱山は、日常生活に欠かすことのできない資源の宝庫だ。
今日も、鉱山作業員たちが山に入って作業にいそしむ。
しかし、その資源を、人々を狙い、雑魔はいかなる場所でも突然に発生する。
坑道での掘削作業のさなか、岩をこするような音が聞こえることがある。
それがどんどん近づいてくるようなことがあれば、作業員は鉱石をいくらか残して逃げ帰れ、と言われる。
掘り出した鉱石を狙って、金属ヘビが出没する前兆だからだ。
人間よりも巨大なヘビに巻き付かれれば簡単に逃れる術はなく、その牙は鉄剣のように鋭い。
囮のエサ代わりの鉱石だけ残して時間を稼ぎながら逃げる、は戦う術のない作業員たちにとって、必死の自衛手段なのだ。
●依頼の内容
ハンターズオフィスに、雑魔退治の依頼が入りました。
場所は山岳地帯にある、鉄鉱石が産出される鉱山です。
雑魔の種類は金属ヘビ、メタルパイソンとも呼ばれる大型のヘビの雑魔です。
鉱山内での目撃例が増えており、掘削作業に従事する作業員に被害が出たことで、正式にハンターに依頼が行われることになりました。
目撃例から、今回の個体数は全部で6匹と予想されます。
鉱山の安全のために、金属ヘビを退治してください。
山岳地帯の険しい地形には、有益な鉱脈を有した山々がある。
鉄鉱石や、金銀などの貴金属、銅や鉛、錫といった人々の生活には欠かせない金属が産出される。
ハンターたちが装備する武器や防具にも、これらの金属は使われている。
鉱山は、日常生活に欠かすことのできない資源の宝庫だ。
今日も、鉱山作業員たちが山に入って作業にいそしむ。
しかし、その資源を、人々を狙い、雑魔はいかなる場所でも突然に発生する。
坑道での掘削作業のさなか、岩をこするような音が聞こえることがある。
それがどんどん近づいてくるようなことがあれば、作業員は鉱石をいくらか残して逃げ帰れ、と言われる。
掘り出した鉱石を狙って、金属ヘビが出没する前兆だからだ。
人間よりも巨大なヘビに巻き付かれれば簡単に逃れる術はなく、その牙は鉄剣のように鋭い。
囮のエサ代わりの鉱石だけ残して時間を稼ぎながら逃げる、は戦う術のない作業員たちにとって、必死の自衛手段なのだ。
●依頼の内容
ハンターズオフィスに、雑魔退治の依頼が入りました。
場所は山岳地帯にある、鉄鉱石が産出される鉱山です。
雑魔の種類は金属ヘビ、メタルパイソンとも呼ばれる大型のヘビの雑魔です。
鉱山内での目撃例が増えており、掘削作業に従事する作業員に被害が出たことで、正式にハンターに依頼が行われることになりました。
目撃例から、今回の個体数は全部で6匹と予想されます。
鉱山の安全のために、金属ヘビを退治してください。
リプレイ本文
●坑道に突入
依頼の説明で坑道内が暗いと聞かされたハンターたちは、全員がぬかりなくハンディLEDライトを携帯していた。
鳳凰院 流宇(ka1922)も、もちろん持っている。しかし、お兄様、鳳凰院ひりょ(ka3744)に持って行くよう言われて持ってきたものの、使い方がわからず。ライトをひっくり返してみたり、のぞき込んでみたり、戸惑ってしまった。最終的に、申し訳ない気持ちになりながらひりょに使い方を教わる。
「なんだか、探検みたいですね」
戦闘という慣れない状況の中ではあるものの、『お兄様』の存在は心強く、流宇は安心する。
(それに他の皆様は私と同じくらいの年齢の方ばかりのように見受けられます)
なんだか、それも嬉しくて。よくないことかも知れないけれど、少しだけ、笑みがこぼれてしまう。くすっと笑って肩の力が抜けるが、真剣さを取り戻す。
(でも、戦闘の際には心を切り替えなくては、ですね)
5人分のハンディLEDライトで照らされた坑道は先が見渡せる程度に明るくなった。真昼のように、とはいかないが、探索や戦闘に支障はない。
「最近働きずめな気がする……。……これが終わったら少しお休みしよ……」
ぶつぶつ言いながら仕事スイッチオン。多々良 莢(ka6065)は得物の刀を確かめる。
依頼で説明されたとおり、天井が低い。刀を振る時は天井に引っかからないよう注意しよう、と心する。
「自分で採ろうとせずに人が採掘してるところにやってきて、人が採掘した鉱石を食べるなんてせこいことするんじゃないわよ」
トゥーナ・リアーヌ(ka6426)も似たような調子でぶつぶつ言う。
「え? しないんじゃなくてできない? そんな細かいことは気にしたら負けよ。まあ……私自身、親のスネ齧りまくって生きてきたから、ホントはあまり偉そうな事言えないんだけど……そこはそれ。細かいことは以下略」
ぶつぶつ、がトーンダウンして自虐になりかかったところで慌てて止める。
「という訳で、せこいヘビをやっつけるために頑張りまーす。駆け出しハンターだから足引っ張っちゃうかもだけど」
緊張しているのか、空元気のような、どこかおどおどしたトゥーナの言葉を聞き、ひりょは心中で自分に喝を入れる。
(俺もまだまだ熟練ハンターには遠いが……、他メンバーよりは多少経験も積んで来ている状況のようだな)
葛葉 莢(ka5713)は隊列の先頭に立ち、油断のない視線を通路に向ける。ハンディLEDライトで前方を照らしながら、視覚に頼らず蛇の鱗の擦れる音に注意しながら移動する。聞こえるのは自分たちの足音と、遠くからかすかに、何かをこするような音。
一方で、ひりょは、依頼内容を説明された際、金属ヘビと遭遇した際の作業員の対処法を聞き、有効活用を試みる。いざという時の為、金属ヘビの注意を引きつけられるかもしれない。餌となる鉱石の欠片を仲間と共に回収しておくことにした。
流宇、トゥーナ、多々良の手にも大小様々な鉱石の欠片とくず鉄が集められている。
「鉱物を食べるんだー。……これをばら撒いておけば増援を遅らせたりできるかな?」
鍛冶屋の目で鉱石の純度を確かめながら、多々良が提案する。
金属ヘビの増援を遅らせることができるかも知れない。金属ヘビが仲間を呼ぶ前に鉱物を各所に設置しながら進んできた。
なるほど、搦め手で相手をするわけか。葛葉にも得心がいった。悪党にはもってこいのやり方だ。
曲がり角にさしかかる。岩をこする音が少しずつだが、近くなっている。
予備として持ち込んだもう1本のハンディLEDライトと鉱石を一緒に曲がり角に投げ込む。警戒は緩めず、様子を見る。
ズザザザ、ズザザザという音が重なって響き、近づいてくる。これは「あたり」だ。
流宇が敵の接近する音に思わずビクッとし萎縮してしまう。でも、「自分もハンターの一人として頑張る」と心に決めこの依頼へ参加したのを思い出し勇気を振り絞る。
ガン、カコン、と軽いものを蹴散らす音がした。投げ込んだLEDライトを動かした奴が曲がり角の向こうにいる。
「さあて、と。蛇狩りの時間ね」
葛葉が不敵な笑みを浮かべた。
●戦闘!
ジャーッ、と鎖で岩をこするような叫びを上げて飛び出してきた金属ヘビは3匹。LEDライトの光を金属質の鱗に反射させ、ナイフのような牙をむき出す。
ひりょが、まだ敵と距離が離れているうちに仕掛ける。リカーブボウを引き絞り、1匹に狙いを定める。攻撃が一点に集中する矢の一撃が、金属ヘビの鱗を貫く。
矢が刺さった蛇は痛みに身をよじらせ、さらに音高く鳴きわめいた。その間に、残りの2匹はハンターたちに噛みつかんとさらに距離を詰めてくる。標的となったのは葛葉とトゥーナ。葛葉は華麗な足裁きで咬撃をいなし、ダメージを最小限にとどめる。一方でトゥーナは肩口に噛みつかれ、
「私、一般人ですよー! 優しくしてください!」
と泣きが入った。大慌てで、盾を持っているひりょに防性強化をかける。
即座に金属ヘビをいなした葛葉が動く。
「あんたらの天下は今日で終わり。ここは明日から人の領域。そして今は悪党の領域よ!」
悪党の美学その1『登場は派手にいけ』に従って啖呵を切る。
「良い機会だし“銃弾”の試し打ちをさせてもらうわ……銀弾討ち!」
必殺の気功を一撃に集中。銀の銃弾が怪物に致命的なダメージを与えるように、速度の乗った蹴りが金属ヘビの防御をものともせずに打ち抜く。相当なダメージを負ったようで、金属ヘビは必死に鎌首をもたげる。そこにたたみ込まれる太刀の一閃。
「先手必勝、だよ」
多々良の斬撃。金属ヘビが1匹、動かなくなる。
「……っ! ……やっぱり金属だから硬いね……私の力で押し切れるかな……」
葛葉が強力な一撃をお見舞いしていたから何とかなったけれど。金属ヘビの硬さを確認し呟き距離を取る。一拍置いて納刀の構え。刀を一旦収め、まだ動いている金属ヘビに視線を据える。
「リアーヌ様、お怪我を見せてください」
流宇はトゥーナに回復魔法を唱える。まずは皆が戦闘に専念出来るよう、傷はしっかり癒す事を第一としなければ。
「回復はお任せください。皆様が戦闘に集中出来るようフォローさせていただきますね」
手負いと無傷の金属ヘビが、ガチャガチャと牙を鳴らし始めた。その音に唱和するように、坑道に響く金属の鱗が岩をこする音。このままでは増援がやってくる。しかし、岩をこする音はまだ遠い。歩きながら設置した鉱石があるから、少しは時間を稼げそうだ。
さらに駄目押し、とばかりにトゥーナは増援が来そうな方向へ思いっきりくず鉄を投げる。こんなんでも少しぐらい増援のヘビの気を引いて、参戦を遅らせられないかな? という狙い。
(駄目だったら駄目で仕方ないけど、やらないよりはマシでしょ多分)
加えて、ひりょが持参した鉄パイプを放る。がらんがらん! と派手な音を立てて転がっていくパイプ。こちらは純粋な金属。ヘビたちには格好の撒き餌になる。
しかし油断は禁物だ。自分が守りと囮をこなす事で他の味方が攻撃に専念出来るよう立ち回ることにする。
「トゥーナ、支援はありがたく受ける。守りは任せろ!」
ひりょの体から炎のようなオーラが吹き上がる。
(その分は仲間を守る事で返す!)
盾を構えたひりょに背中を任せ、トゥーナはヘビに近づいて試作振動刀「オートMURAMASA」を振りかぶる。
「せこい真似ばっかりしてるんじゃないわよーっ!」
マテリアルを込めた一撃が金属ヘビの鱗を削り、ダメージを肉に刻み込んだ。そこに螺旋の軌跡を描く葛葉の蹴りが追い打ちをかける。重い攻撃の連打にひるむ金属ヘビ。
その虚をつき動きを阻害し、多々良の斬撃が閃く。鱗を捲り取り、下から切り上げる様に居合抜きの一撃。これが、多々良の零閃。
「逃がさないよ……大人しくお休みしてね」
返す刃でもう一撃。2匹目の金属ヘビは寸断される。
ひりょの弓矢の一撃で傷を負った金属ヘビには、流宇が魔法の光の杭を打ち込むことで移動を妨害。攻撃を封じ込めることに成功した。
そこでようやく、増援の金属ヘビが口に鉱石をくわえたままの状態で、1匹、2匹と分断されてのろのろと顔を出す。うち1匹は鉄パイプを呑み込んで現れ、不自由な動きで威嚇を始めた。
「……はぁ、わらわらと沢山出てきたね……」
増援に現れた金属ヘビを見てうんざりした様に呟く多々良。
挟み撃ちの増援を警戒していた葛葉がすぐさま移動し、増援のヘビを引きつけた。囮となり防御に専念したひりょも加わる。ヘビが1匹ずつ、牙をむきだし噛みついたが、マテリアルで強化された2人の体は容易に攻撃を通さない。
強化されたトゥーナの振動刀が適確に金属ヘビの防御を削り、囲まれない様位置取りに注意しながら攻撃しては距離を取るを繰り返す堅実な多々良の攻撃が功を奏した。大きくはないが、確実なダメージを金属ヘビに与えていく。
さらには、流宇が魔法での攻撃に回る。影が固まったかのような塊が金属ヘビを打ちのめす。金属質の鱗も、魔法の前には歯が立たない。
そして葛葉が攻撃優先、即撃破と必殺の『銀弾打ち』を惜しみなく増援に見舞うことで、金属ヘビの高い防御力を突破する。
矢傷を受け移動が困難となった個体、鉄パイプで動きを制限された個体は、もはや5人の敵ではなかった。
増援の金属ヘビたちは、ハンターたちの入念な前準備に阻まれ、頭数での攻勢をかけることができずに終わった。ハンターたちは致命的な反撃を受けることなく金属ヘビを6匹倒すことに成功したのだ!
●戦闘後……
多々良はマテリアルヒーリングを使用し、怪我人の負傷を回復する。これでようやく休みが取れそうだ。
流宇は全員の無事を見て思わずホッとし、気が抜けてしまう。
「よ、良かったです。皆様が無事で……。少しはお役に立てたでしょうか?」
もちろん、と無事に立っている仲間の表情が語ってくれている。
(私も私のペースで、ですが頑張っていきますね)
流宇は決意を新たにする。
無事皆を守る事が出来た。達成感にひりょも笑顔を見せる。
「皆が無事なら良かった。俺にとってはそれこそが何よりの報酬だからな」
葛葉は坑道に投げ込んだハンディLEDライトの動作を確認する。破損はしていない。
坑道の入り口に戻った葛葉は、『討伐成功』『ハンターたちは無事』の報告を緊張して待っていた鉱山作業員たちに向かって言った。やはり不敵に笑って。
「これで悪党の仕事はおしまい。明日からはあんたらが頑張んなさいよ」
依頼の説明で坑道内が暗いと聞かされたハンターたちは、全員がぬかりなくハンディLEDライトを携帯していた。
鳳凰院 流宇(ka1922)も、もちろん持っている。しかし、お兄様、鳳凰院ひりょ(ka3744)に持って行くよう言われて持ってきたものの、使い方がわからず。ライトをひっくり返してみたり、のぞき込んでみたり、戸惑ってしまった。最終的に、申し訳ない気持ちになりながらひりょに使い方を教わる。
「なんだか、探検みたいですね」
戦闘という慣れない状況の中ではあるものの、『お兄様』の存在は心強く、流宇は安心する。
(それに他の皆様は私と同じくらいの年齢の方ばかりのように見受けられます)
なんだか、それも嬉しくて。よくないことかも知れないけれど、少しだけ、笑みがこぼれてしまう。くすっと笑って肩の力が抜けるが、真剣さを取り戻す。
(でも、戦闘の際には心を切り替えなくては、ですね)
5人分のハンディLEDライトで照らされた坑道は先が見渡せる程度に明るくなった。真昼のように、とはいかないが、探索や戦闘に支障はない。
「最近働きずめな気がする……。……これが終わったら少しお休みしよ……」
ぶつぶつ言いながら仕事スイッチオン。多々良 莢(ka6065)は得物の刀を確かめる。
依頼で説明されたとおり、天井が低い。刀を振る時は天井に引っかからないよう注意しよう、と心する。
「自分で採ろうとせずに人が採掘してるところにやってきて、人が採掘した鉱石を食べるなんてせこいことするんじゃないわよ」
トゥーナ・リアーヌ(ka6426)も似たような調子でぶつぶつ言う。
「え? しないんじゃなくてできない? そんな細かいことは気にしたら負けよ。まあ……私自身、親のスネ齧りまくって生きてきたから、ホントはあまり偉そうな事言えないんだけど……そこはそれ。細かいことは以下略」
ぶつぶつ、がトーンダウンして自虐になりかかったところで慌てて止める。
「という訳で、せこいヘビをやっつけるために頑張りまーす。駆け出しハンターだから足引っ張っちゃうかもだけど」
緊張しているのか、空元気のような、どこかおどおどしたトゥーナの言葉を聞き、ひりょは心中で自分に喝を入れる。
(俺もまだまだ熟練ハンターには遠いが……、他メンバーよりは多少経験も積んで来ている状況のようだな)
葛葉 莢(ka5713)は隊列の先頭に立ち、油断のない視線を通路に向ける。ハンディLEDライトで前方を照らしながら、視覚に頼らず蛇の鱗の擦れる音に注意しながら移動する。聞こえるのは自分たちの足音と、遠くからかすかに、何かをこするような音。
一方で、ひりょは、依頼内容を説明された際、金属ヘビと遭遇した際の作業員の対処法を聞き、有効活用を試みる。いざという時の為、金属ヘビの注意を引きつけられるかもしれない。餌となる鉱石の欠片を仲間と共に回収しておくことにした。
流宇、トゥーナ、多々良の手にも大小様々な鉱石の欠片とくず鉄が集められている。
「鉱物を食べるんだー。……これをばら撒いておけば増援を遅らせたりできるかな?」
鍛冶屋の目で鉱石の純度を確かめながら、多々良が提案する。
金属ヘビの増援を遅らせることができるかも知れない。金属ヘビが仲間を呼ぶ前に鉱物を各所に設置しながら進んできた。
なるほど、搦め手で相手をするわけか。葛葉にも得心がいった。悪党にはもってこいのやり方だ。
曲がり角にさしかかる。岩をこする音が少しずつだが、近くなっている。
予備として持ち込んだもう1本のハンディLEDライトと鉱石を一緒に曲がり角に投げ込む。警戒は緩めず、様子を見る。
ズザザザ、ズザザザという音が重なって響き、近づいてくる。これは「あたり」だ。
流宇が敵の接近する音に思わずビクッとし萎縮してしまう。でも、「自分もハンターの一人として頑張る」と心に決めこの依頼へ参加したのを思い出し勇気を振り絞る。
ガン、カコン、と軽いものを蹴散らす音がした。投げ込んだLEDライトを動かした奴が曲がり角の向こうにいる。
「さあて、と。蛇狩りの時間ね」
葛葉が不敵な笑みを浮かべた。
●戦闘!
ジャーッ、と鎖で岩をこするような叫びを上げて飛び出してきた金属ヘビは3匹。LEDライトの光を金属質の鱗に反射させ、ナイフのような牙をむき出す。
ひりょが、まだ敵と距離が離れているうちに仕掛ける。リカーブボウを引き絞り、1匹に狙いを定める。攻撃が一点に集中する矢の一撃が、金属ヘビの鱗を貫く。
矢が刺さった蛇は痛みに身をよじらせ、さらに音高く鳴きわめいた。その間に、残りの2匹はハンターたちに噛みつかんとさらに距離を詰めてくる。標的となったのは葛葉とトゥーナ。葛葉は華麗な足裁きで咬撃をいなし、ダメージを最小限にとどめる。一方でトゥーナは肩口に噛みつかれ、
「私、一般人ですよー! 優しくしてください!」
と泣きが入った。大慌てで、盾を持っているひりょに防性強化をかける。
即座に金属ヘビをいなした葛葉が動く。
「あんたらの天下は今日で終わり。ここは明日から人の領域。そして今は悪党の領域よ!」
悪党の美学その1『登場は派手にいけ』に従って啖呵を切る。
「良い機会だし“銃弾”の試し打ちをさせてもらうわ……銀弾討ち!」
必殺の気功を一撃に集中。銀の銃弾が怪物に致命的なダメージを与えるように、速度の乗った蹴りが金属ヘビの防御をものともせずに打ち抜く。相当なダメージを負ったようで、金属ヘビは必死に鎌首をもたげる。そこにたたみ込まれる太刀の一閃。
「先手必勝、だよ」
多々良の斬撃。金属ヘビが1匹、動かなくなる。
「……っ! ……やっぱり金属だから硬いね……私の力で押し切れるかな……」
葛葉が強力な一撃をお見舞いしていたから何とかなったけれど。金属ヘビの硬さを確認し呟き距離を取る。一拍置いて納刀の構え。刀を一旦収め、まだ動いている金属ヘビに視線を据える。
「リアーヌ様、お怪我を見せてください」
流宇はトゥーナに回復魔法を唱える。まずは皆が戦闘に専念出来るよう、傷はしっかり癒す事を第一としなければ。
「回復はお任せください。皆様が戦闘に集中出来るようフォローさせていただきますね」
手負いと無傷の金属ヘビが、ガチャガチャと牙を鳴らし始めた。その音に唱和するように、坑道に響く金属の鱗が岩をこする音。このままでは増援がやってくる。しかし、岩をこする音はまだ遠い。歩きながら設置した鉱石があるから、少しは時間を稼げそうだ。
さらに駄目押し、とばかりにトゥーナは増援が来そうな方向へ思いっきりくず鉄を投げる。こんなんでも少しぐらい増援のヘビの気を引いて、参戦を遅らせられないかな? という狙い。
(駄目だったら駄目で仕方ないけど、やらないよりはマシでしょ多分)
加えて、ひりょが持参した鉄パイプを放る。がらんがらん! と派手な音を立てて転がっていくパイプ。こちらは純粋な金属。ヘビたちには格好の撒き餌になる。
しかし油断は禁物だ。自分が守りと囮をこなす事で他の味方が攻撃に専念出来るよう立ち回ることにする。
「トゥーナ、支援はありがたく受ける。守りは任せろ!」
ひりょの体から炎のようなオーラが吹き上がる。
(その分は仲間を守る事で返す!)
盾を構えたひりょに背中を任せ、トゥーナはヘビに近づいて試作振動刀「オートMURAMASA」を振りかぶる。
「せこい真似ばっかりしてるんじゃないわよーっ!」
マテリアルを込めた一撃が金属ヘビの鱗を削り、ダメージを肉に刻み込んだ。そこに螺旋の軌跡を描く葛葉の蹴りが追い打ちをかける。重い攻撃の連打にひるむ金属ヘビ。
その虚をつき動きを阻害し、多々良の斬撃が閃く。鱗を捲り取り、下から切り上げる様に居合抜きの一撃。これが、多々良の零閃。
「逃がさないよ……大人しくお休みしてね」
返す刃でもう一撃。2匹目の金属ヘビは寸断される。
ひりょの弓矢の一撃で傷を負った金属ヘビには、流宇が魔法の光の杭を打ち込むことで移動を妨害。攻撃を封じ込めることに成功した。
そこでようやく、増援の金属ヘビが口に鉱石をくわえたままの状態で、1匹、2匹と分断されてのろのろと顔を出す。うち1匹は鉄パイプを呑み込んで現れ、不自由な動きで威嚇を始めた。
「……はぁ、わらわらと沢山出てきたね……」
増援に現れた金属ヘビを見てうんざりした様に呟く多々良。
挟み撃ちの増援を警戒していた葛葉がすぐさま移動し、増援のヘビを引きつけた。囮となり防御に専念したひりょも加わる。ヘビが1匹ずつ、牙をむきだし噛みついたが、マテリアルで強化された2人の体は容易に攻撃を通さない。
強化されたトゥーナの振動刀が適確に金属ヘビの防御を削り、囲まれない様位置取りに注意しながら攻撃しては距離を取るを繰り返す堅実な多々良の攻撃が功を奏した。大きくはないが、確実なダメージを金属ヘビに与えていく。
さらには、流宇が魔法での攻撃に回る。影が固まったかのような塊が金属ヘビを打ちのめす。金属質の鱗も、魔法の前には歯が立たない。
そして葛葉が攻撃優先、即撃破と必殺の『銀弾打ち』を惜しみなく増援に見舞うことで、金属ヘビの高い防御力を突破する。
矢傷を受け移動が困難となった個体、鉄パイプで動きを制限された個体は、もはや5人の敵ではなかった。
増援の金属ヘビたちは、ハンターたちの入念な前準備に阻まれ、頭数での攻勢をかけることができずに終わった。ハンターたちは致命的な反撃を受けることなく金属ヘビを6匹倒すことに成功したのだ!
●戦闘後……
多々良はマテリアルヒーリングを使用し、怪我人の負傷を回復する。これでようやく休みが取れそうだ。
流宇は全員の無事を見て思わずホッとし、気が抜けてしまう。
「よ、良かったです。皆様が無事で……。少しはお役に立てたでしょうか?」
もちろん、と無事に立っている仲間の表情が語ってくれている。
(私も私のペースで、ですが頑張っていきますね)
流宇は決意を新たにする。
無事皆を守る事が出来た。達成感にひりょも笑顔を見せる。
「皆が無事なら良かった。俺にとってはそれこそが何よりの報酬だからな」
葛葉は坑道に投げ込んだハンディLEDライトの動作を確認する。破損はしていない。
坑道の入り口に戻った葛葉は、『討伐成功』『ハンターたちは無事』の報告を緊張して待っていた鉱山作業員たちに向かって言った。やはり不敵に笑って。
「これで悪党の仕事はおしまい。明日からはあんたらが頑張んなさいよ」
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 2人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
坑道の脅威を排除せよ! ひりょ・ムーンリーフ(ka3744) 人間(リアルブルー)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/09/23 20:46:06 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/23 20:41:19 |