イベント協力依頼

マスター:笹村工事

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/09/23 09:00
完成日
2014/09/26 16:08

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 自由都市同盟の産業を支える拠点都市、蒸気工場都市フマーレ。
 その郊外に建つ一つの屋敷。その応接間で、老年の域に差しかかりながらも精強な男が、双子の少女のとある願いを聞いていた。

「復興を、商売にしたいんよ」
 双子の姉であるカタリーナは熱を込めた声で、目の前のソファに座ったアラゴに願いを告げる。それにアラゴは、双子の少女が提出していた企画書に再び目を通し、応えを返した。
「売り上げの一部を歪虚騒動で被害を受けた人や場所、その復興予算として計上した商売をする、か。
 考えとしては悪くない。だが、続けられると思うか?」
 商会のトップとして鋭い眼光を向けながらアラゴは続ける。
「その場限りの物なら幾らでも出来る。けどな、お前さんらの考えは違う。継続して、終わりを求めないもんだ。
 それがどういう事か、分かってるのか?」
 これに応えたのは、双子の妹であるビアンカだった。
「ウチらの儲けを減らすか、お客さんに余計にお金を出し続けて貰わんといけんようになる。やけど、お客さんに余計にお金出して貰い続ける訳にはいけんもん。やから、ウチらの儲けを削る事になると思う。やけど、やりたいんよ」
 ビアンカの応えを聞き終わると、アラゴは視線を向けたまま返す。
「自分達の過去と、重ね合わせてるのか?」
 これに双子は想いを込めて返した。
「違うんよ、アラゴじいちゃん。そんなんやないんよ。あんなぁ、ウチら独り立ちさせて貰うて、ウチらみたいな成り立てやないハンターの人らに仕事協力して貰ったんよ。その時、思ったんよ。みんな一杯考えて、一生懸命がんばっとるんやって」
「それ見てな、ウチらも、もっと自分らが出来ること、一生懸命したいて思ったんよ。そう思って考えついたんが、それなんよ」
 この応えにアラゴは更に問い掛ける。
「お前達だけで出来るつもりか?」
 返事は間を空けず返って来た。
「無理やわ、それは分かっとるんよ。やから、手助けして欲しいんよ、アラゴじいちゃん」
「アラゴじいちゃん、教えてくれたやん。誰かの助けを借りれることが、ハンターとしても、商売人としても大事なことやって」
 双子の応えにアラゴはすぐには返さず、無言のまま二人を見詰める。その重圧に双子が潰されそうになった瞬間、アラゴはすっと立ち上がり二人の頭を優しく撫でた。
「成長したな、二人とも。心配すんな、ちゃんと手伝うから」
 その言葉と優しい笑みに双子の強張りは抜けていく。少しばかり涙目で双子はアラゴに返した。
「じいちゃん、イジわるやわ」
「手伝うてくれるなら、ビビらせんといてぇよ」
 どこか甘えた響きを声に込め、すねる二人に、
「そういう訳にはいかねぇさ。お前らも独り立ちしたんだからな、その辺は手は抜けねぇ。
 それよりもだ、まずは何をするつもりなんだ?」
 アラゴは笑みを浮かべながら双子を撫でていた手を戻しソファに座ると、提出された企画書に再度目を通す。
「少し前にあった狂気の歪虚騒動。それのせいで先延ばしになった、村おこしも兼ねた砂浜でのイベントの開催。その売り上げの一部を先々の復興予算としてプールしていく、か。
 ダメとは言わねぇが、足らねぇな」
 アラゴは柔らかな声でダメ出しをすると、双子が何かを返す前に続けた。
「良いか? こういうのはな、儲けの出ない浪費と思っちゃいけねぇんだ。投資と思わなきゃいけねぇ。貯めて使ってそこで終わりじゃなく、貯めた物を元手に利益を上げて回し続けていく必要がある。損して得取れ、ってヤツだな。
 という訳でだ、ちぃとこっちの協力してくれるか?」
「協力って、なんなん?」
 カタリーナの問い掛けに、アラゴは遊ぶような笑みを浮かべながら応える。
「実を言うとな、俺の方でもお前さんらと同じように復興に関わる商売をしようと思っててな。というよりはだ、もう進めてる。こっちはゴブリンに荒らされた村で作った商品を使って、ウチも向こうも儲けようって話なんだがな。
 でだ、もう商品は出来てんだ。トマトを使ったソースと、ゼリーとグミだな。それを今度のイベントで使って売り出してくれ。儲けの一部は、お前さんらが出した企画のように、先々に何かがあった時の復興予算としてプールしてくれて良い。どうだ、引き受けてくれるか?」
 この要請に、双子は少し考えてから返した。
「ええよ。それやったら、売れれば売れるほどみんな助かるってことやん」
「イベント盛り上げるつもりやったから、望むところなんよ」
 意気込む双子に、アラゴは嬉しそうな笑みを深めると言葉を返した。
「頑張りな、応援してるから。
 そして応援ついでにだ。当日人手が居るだろうから、ハンターを雇うと良い。ハンターを雇う資金は俺が出そう」
「ええのん?」
 尋ねるビアンカに、アラゴは応える。
「気にすんな。これはウチとしても意味のある事だからな。
 さっきも言ったが、俺の方でも復興に関わる事業はこの先広げるつもりだからな。そうなると、必然的にハンターの手を借りる必要は出てくる。ウチに所属してるハンターはすでにそれぞれ必要な所についてるから、どうしても外部のハンターに今後は頼らざるを得なくなる。そのノウハウ集めと人脈作り、その一環だ。
 だから成功しても失敗しても、報告書はキッチリあげて貰うぞ。良いな?」
 この呼び掛けに、双子の姉妹は元気よく頷いた。

 そんなやり取りがあった次の日、とあるハンターオフィスにて依頼が一つ出されました。内容は、

 村おこしも兼ねた砂浜でのイベント開催の手伝い。
 トマトを使ったソースと、ゼリーとグミの販売協力。

 との事でした。この依頼を見たアナタ達は――?

リプレイ本文

●準備の話し合い
 漁村の村おこしも兼ねた砂浜でのイベント前の話し合い。そこでハンター達はそれぞれ意見を出した。
「イベントの時に、救護テントはあるのかな?」
 リアルブルーで看護の仕事に携わっていたシャル・ブルーメ(ka3017)は、その経験を生かした意見を口にする。
「大勢の人を集めるのなら、多かれ少なかれ、怪我をする人や気分の悪くなる人が出て来る筈だから。その人たちを放置するのは、イベント開催者として良くないと思う」
 これに依頼人である双子の少女達はこれに頷き、必要な物を聞く。それにシャルは返した。
「可能なら氷を用意してくれる? 熱中症の人とか出た時に役に立つと思うから」
 こうした用意して欲しい物は他のハンター達もあり、次々に口にする。
「当日はピザを作ろうと思うんだが、窯の用意は頼めるか?」
 今回のイベントで使う事になるトマトソースのレシピが出来る切っ掛けとなった依頼に参加していたヘル・モハド(ka2810)は、それに良く合う料理を提案していく。
「塩味の方はピザで、甘みの強い方は炭酸水に入れると合うと思う。炭酸水の方は、試食してからだが、甘みのあるトマトゼリーを星やハート形にして浮かべるのも良いだろうな。子供は喜ぶだろうからな。大人の方は、カクテルにするとイケるんだが――
 そうか、当日は無理か。なら、勧めるだけにするか。あとは――」
「いっぱい作るんやね。なら、うちは横で実演販売の売り子しようと思うんや」
 元気な声でヘルの言葉を引き継ぐように言ったのは、アカーシャ・ヘルメース(ka0473)である。商売人でもある彼女は、商人らしく商品をどう売り出すかも考えた。
「売り出す商品がどんだけええもんなんか、お客さんに教えたげなあかんやろ? やから特に説明に力を入れるつもりや」
 これにヘルは続ける。
「だったら、レシピが書かれた物があると更に良いな。会場後ろには防波堤があるようだから、そこへ大きく書いたレシピを貼ってみようと思う。作るのは好きだし得意だから任せてくれ」
「なら、それはオレも手伝うよ」
 以前、イベントが行われる砂浜を占拠した歪虚を退治したハンター達の一人でもあるレイオス・アクアウォーカー(ka1990)は、その時知った防波堤の大きさや状態を考えながら続ける。
「壁の部分は割と平面だったから展示の貼り付けには気を付けなくても良いと思う。でも広いからな、人手は多い方が良いよ。
 それと、当日はオレも料理を作らせてくれ。リアルブルーだと三大スープって言われてるブイヤベース風の物と、魚介類とトマトソースで作るペスカトーレっていうパスタ料理を作るつもりだ。ペスカトーレは漁師って意味だし、ここに合ってると思う。
 折角だから、この機会にリアルブルーの料理を広めたいしな。
 だから当日は実演販売の売り子、頼むな」
 レイオスの呼び掛けにアカーシャは元気良く応えた。
「まかしてぇな。みんなに知って貰えるよう、頑張るわ」
 こうして当日の準備に関わる話し合いは進んでいく。
 最後に議題に上がったのは、メインイベントである音楽イベントに関してだった。それに時音 ざくろ(ka1250)は元気良く手を上げる。
「ご当地トマトアイドルになって歌と踊りを披露して、村おこしイベントを盛り上げて、お客さんを集めちゃうよ☆」
 この提案に、ボルディア・コンフラムス(ka0796)は手助けを申し出る。
「ざくろが舞台をするなら、俺には舞台作りを任せろ」
 これに、ざくろは嬉しそうに返す。
「ありがとう! ざくろも当日頑張るからね」 
 これにボルディアは力強く返した。
「おう、力仕事なら任せとけって。
 でも料理の方は残念ながらあんまり心得ないから、そっちは任せるとするぜ。その代り、屋台の設置や当日の売り子は頑張るからな」
 こうしてそれぞれの役割が決まる。依頼人である双子はハンター達の要望に応え用意し、ハンター達は準備に奔走する。
 そして当日、村おこしも兼ねた音楽と食のイベントは開催された。

●コンサート
「みんなー、今日はざくろのコンサートに来てくれて、どうもありがとー! 歌と踊り、そしてトマトを使った料理やお菓子を、楽しんでいってね☆」
 空に機導砲の光を一条打ち上げながら登場したざくろは、どこから見てもかわいい女の子という衣装で、彼の為に用意された演奏者達を引き連れ、舞台の上からお客に呼び掛けた。
 整った顔立ちで女の子に間違われるざくろではあったが、勿論本来は男の子である。なのにどうして現在の姿かと言えば、イベントを盛り上げようとはりきって持って来ていた衣装が、誤って紅のゴシックドレスだったからである。
 それに気づき思わず涙目になるものの、イベントを盛り上げる為にトマトのヘタに見立てた緑の飾りも付けて舞台へ上がっていた。
 舞台に上がったざくろは、イベント盛り上げとお客さんの為に笑顔を浮かべ歌を披露していく。
「大地が育む紅い宝石♪ 今日の彼奴はどんな顔?」
 歌と共に機導剣を展開。それを使った剣舞と共に、歌声は皆の心を掴んでいく。それはプロとしての洗練さは無かったが、代わりに皆を楽しませようという一生懸命さが感じられ、それが伝わることで盛り上がっていく。ざくろの剣舞と歌のリズムに合わせ広がる演奏と共に、お客の間から手拍子が広がる。そして場が一体となる中、ざくろは歌い切った。
「紅く流れる魅惑の味や、甘酸っぱい夢の味を今キミに贈る、トマトのロマン恋の味♪」
 歌の終わりに礼を一つ。それを合図に一斉に拍手は広がり、それを受けたざくろは手を振り応えると、仲間のハンター達の催しの為に、お客に呼び掛けた。
「みんな、ありがとう☆ ざくろの歌の後は、美味しい料理を用意しているよ。トマトと海の幸を使った美味しい料理だから、みんな楽しんでいってね♪」
 その呼び掛けと共に、イベントのもう一つの目玉、トマトを使った料理イベントに、皆は向かって行った。

●料理も盛況 
「うし、腕の見せ所や!」
 気合一杯に、アカーシャは仲間のハンター達が作った料理を皆に広めていく。
「ささ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい♪」
 まずは大なべで作られたブイヤベース風スープを振る舞いながら話す。
「美味しいやろ? これな、ブイヤベースいうて、リアルブルーやと三大スープっていわれとるんや。それもリアルブルーから来たレイオスはんが作るホンマもん。食べな損や。
 これがな、このトマトソース使おたら簡単便利に出来るんや。お得やろ?」
 次々に料理の由来や美味しさ、そして使われているトマトソースの便利さをお客に示す。その甲斐もあって、次々にトマトソースの瓶は売れた。
 そんな彼女の援護をするように、レイオスやヘルは次々に料理を作っていく。
 ヘルは人の目を惹くように土台の生地をクルクル回しながら、新たなピザを作る。
(実際は回さなくても作れるんだが、パフォーマンスは必要だろうからな)
 内心でそう思いつつも繰り広げられる料理パフォーマンスにお客は沸き立ち、美味しそうな匂いにもつられ次々にピザは注文された。それをボルディアは売り子として捌いている。
「ハーフサイズ二つに、フルサイズ一つ。ちょっと待ってくれよ、新しいのできるからな」
 盛況な売れ行きの中、ボルディアは注文受けに料理運びにと忙しく動く。事前に舞台や屋台の設置に頑張っていた彼女は、当日も頑張っていた。
 そんな中、彼女はアカーシャにちらりと視線を向ける。商人として活発な彼女や依頼人の双子の事を思いながら心の中で呟く。
(復興を商売にしちまうんだから、したたかっつーかあざといっつーか。商売人ってのはハンターよりよっぽどタフなやつらだぜ。とはいえ負けてらんないからな、しっかり働くぜ)
 決意も胸に、更に彼女は働いていく。
 積極的に働いているのはレイオスもである。彼はアカーシャと連携して、彼女の呼び込みや説明に合わせてペスカトーレを作っていく。簡単手軽に美味しい料理が出来るという事で、それは更にトマトソースの売り上げを伸ばした。
 そうした手軽でおいしい料理をヘルも披露する。トマトソースをかけたオムレツを作っていく。彼が最高の組み合わせだと思うそれは皆も同感で、食べた皆の顔に笑顔が浮かぶ。
 そんな風に皆を笑顔にしたのはレイオスも同様だ。彼はブイヤベース風スープやペスカトーレ以外にも、甘いトマトソースから作ったゼリーをクラッカーに載せ試食として皆に配る。それに協力するのは、彼が連れている2体のパルム、ソルトとシュガーだ。
「後で美味いメシを食わせてやるから、手伝い頼む」
 その言葉に、嬉しそうにぴょんびょん飛び跳ねた2体のパルムは、依頼人である双子が用意していたパルム用の小さなエプロンを身に着け、ゼリーを乗せたクラッカーを次々に配る。
 そのかわいさに盛況の度合いは増す。そのお蔭もあって、用意されていたトマトソースはあっという間に全て売り切れた。
「もう売り切れちゃったの?!」
 コンサートでアンコールに握手会と、アイドル活動をしていたせいで駆けつけるのに遅れたざくろは驚いたような声を上げる。それにレイオスが返す。
「ああ、予想以上の売れ行きだったからな。とりあえず、俺達の仕事はこれで終わりらしいぜ。後は自由にしてくれて良いってさ」
 依頼人の双子の申し出をレイオスはざくろに伝えながら、更に続ける。
「とりあえず俺は、俺たち以外の屋台の食べ歩きをするつもりだ。ソルトとシュガーに色々食べさせてやりたいし、食べ歩きもしたいしさ。
 それが終わったら、打ち上げ用に料理を作るよ。実を言うと、トマトソースを先に購入してたから、それを使ってな。作るだけじゃなく食べて楽しみたいからな」
「なら、俺はレシピの説明を改めてしようと思う」
 ヘルは堤防に掛けられたレシピに集まっているお客に視線を向け続ける。
「レシピを見るだけじゃ分からない所もあるかもしれないし、トマトソースは服に付くと落ち辛いからな。その辺りも説明したい。それが終わったら俺も食べ歩きを楽しんで、その後打ち上げの料理作りに協力しよう」
「だったらざくろは、もう少し歌と踊りをするよ」
 ヘルの言葉の後に続けたのは、ざくろである。彼は更に続けて、
「もっと復興の役に立ちたいもん。頑張るよ♪」
 彼の人となりが伝わってくるような一生懸命さで言った。
 それに続ける形でボルディアが言う。
「頑張っていると言や、シャルは一人で救護テントで働いてるからな。トマトソースの販売が終わったって教えるついでに、差し入れも持って行くぜ」
「なら、後はそれぞれ自由に楽しんで、時間を見計らって打ち上げやな」
 アカーシャの言葉を合図に、皆はそれぞれ動き出した。

 その頃、救護テントにて一人で働いていたシャルは、忙しかった。

「あー、おなか痛いの? 美味しいからって、食べすぎですよぉ~。はいお薬飲んで、静かにしてましょうね」
「うん。ありがとう、お姉ちゃん」
 食べ過ぎで腹痛を覚えた子供に薬を出してやりながらシャルは笑顔で応えた。それに子供の両親らしい夫婦は礼を告げ、シャルは変わらぬ笑顔で応える。
 イベント開催から数時間経っても、テントを訪れる人は絶えない。
「はい、静かに横になっててくださいな~」
「熱中症なら、この氷で冷やして、お水を飲みましょうねぇ~」
 次から次に訪れる相手を手早く捌きながら、時に双子の姉妹が用意した氷も使い、対応していく。
(イベントの参加人数が増えていけば息つく暇も無いような気もしてたけど、当たっちゃったね)
 自分の予想的中に、内心で小さく苦笑しながら、シャルは看護師としてテキパキとやるべき事をこなしていく。
 相手を落ち着かせる笑みを浮かべながら真面目で勤勉な働きを見せる彼女は、テントに来た皆に安心感を与えていた。
 そんな彼女の元にボルディアが差し入れを持って来る。
「人多いな。お疲れ」
「ありがとう。そこに置いておいてくれる」
「ああ。あと、なんか手伝おうか?」
「ホントに? ありがとう。だったら、ナンパ目当ての相手が来たら追い払ってくれる?」
「ナンパって、来るのかそんなヤツ」
「うん。呼び込みでチラシ配ってた時にも声かけられたんだけど、偶に来るの、そういう人」
「分かった。任せとけ」
 てなやり取りの後、かわいい看護師さんをナンパしようと集まった若人が追い払われたりした。

 そんな頃、アカーシャは屋台の一つを切り盛りしていた依頼人である双子の元にやって来ていた。
「お疲れさんや。ウチの所は終わったから、手伝おうと思うんやけど、かまへん?」
 この言葉に双子は嬉しそうに同意し、そして3人はテキパキと屋台を切り盛りした。その間間で、年も近く扱う商売も縁のある3人はうちとけ親しげに話し合う。そんな中、ハンターとしても商売人としても先輩なアカーシャは、双子のことを想って思いを口にする。
「あのな、ちょっと提案があるんよ。二人は復興を商売に、ちゅう事やけど、今回のやり方だけが全てやないと思うんよ」
 それは彼女の経験に基づいた、商売の信念ともいえる言葉だった。
「例えば被災時、必要な物資を格安で提供するっちゅうやり方もある。特にこっちの場合、いざという時は自分らの事を考えて真摯に対応してくれるちゅう事で、平時でも信用が厚く、贔屓にしてくれる事が多いんよ。商売のちょっとしたコツやな。
 せやさかい、人情は利にもなる。平時でも色々心がけてみると良いで。それだけで儲けも大分違ってくるさかいな。
 まぁ、同業者からのちょっとしたアドバイスや、応援しとるで♪」
 そう言うと、双子の背中を軽く一叩きして景気を付けてやる。それに双子は嬉しそうに返した。
「ありがとう。あんな、アカーシャ、ウチらと年近いやん。それに同じ商売人やし。そんな相手が応援してくれるって、すっごい嬉しいんよ」
「そうなんよ。ウチら独り立ちしたばかりやけど、同じぐらいの年でがんばってるアカーシャ、すごい思うんよ。それ以上に、同じ様な相手が居ってくれるって、それだけで嬉しいんよ。やから、ウチらも応援したいんやわ」
 この言葉にアカーシャは、
「よっしゃ。それなら競争や。お互い、頑張ろうな」
 楽しそうな笑顔で二人に返した。

 こうして、ハンター達それぞれのイベント協力依頼は進み、そして終わりを告げる。 
 舞台や屋台が片付けられる中、レイオスやヘル達が作った打ち上げの料理はハンター達皆の好評を得た。その料理の美味しさもあり、依頼が終わった後の皆の表情は笑顔だった。

 こうして、依頼の目的を達成し同時に盛り上げ、その上で救護面での対応も用意するなど、万が一の対策も行った今回の依頼は大成功に終わった。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 9
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカーka1990

  • ヘル・モハドka2810

重体一覧

参加者一覧

  • 星の慧守
    アカーシャ・ヘルメース(ka0473
    人間(紅)|16才|女性|霊闘士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人

  • ヘル・モハド(ka2810
    ドワーフ|12才|男性|闘狩人
  • テキパキ看護師さん
    シャル・ブルーメ(ka3017
    人間(蒼)|22才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 村興しの砂浜イベント(相談卓)
アカーシャ・ヘルメース(ka0473
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2014/09/20 03:39:51
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/18 07:27:50