ゲスト
(ka0000)
【蒼乱】大渓谷物資集積所攻防戦
マスター:馬車猪

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/10/06 19:00
- 完成日
- 2016/10/14 03:57
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
大渓谷は長い間秘境として知られてきた。
最近は有志による探索が活発に行われており、謎のベールが取り払われるのも時間の問題と思われている。
なお、今回の舞台は対策最前線でもないし最激戦地でもない。
水と食料と弾薬が山積みされた物資集積所が、依頼の目的地にして防衛対象である。
●大渓谷のオアシス
「ふぅ」
蒸しタオルを顔に当てる。
汗や埃と一緒に疲れも抜けていく気がする。
「暖まりましたよー」
「まーたレーションかよ」
食事時らしい。
湯気と食べ物の香りがタオル越しに感じられた。
メーガン(kz0098)は顔を拭き終えた後に手も拭いて、指定された籠に黒っぽくなったタオルを投げ入れた。
普段の重装甲鎧は着ていない。
代わりに厚い生地の作業着を着込み、CAM用武器並のサイズの箱を背負っていた。
「痛っ。おいそこのあんた。上に戻るなら荷物下ろしてからにしろ」
「すまない」
メーガンは素直に頭を下げる。
下げた結果荷物が再度男を襲う。
「痛ぇっ。だからもうとっと下ろせよ、ああいい、俺が外してやるからじっとしてろ」
口は悪くても人は良いようだ。
メーガン本人がするより倍は速く紐を緩め、荷物を下ろした時点で男が動揺する。
「30ミリ弾かよ。怖ぇなおい」
箱の中は弾薬でみっしりだった。
万が一火が付いたら、男もメーガンも骨すら残さずこの世からおさらばだ。
メーガンが真面目な顔でそわそわし始めた。
配布中のレーション、その中にある甘そうな菓子に惹かれているらしい。
「何か食ってけ。重労働してんだ。誰も文句は言わ」
男の声が不自然に途切れる。男とメーガンが同時に得物に手を伸ばしていた。
「敵襲です! 警備中の方は迎撃に向かってくださいっ。あっ、トイレ中の方ではそのままでも……」
ここは大渓谷の底。
ここは断崖絶壁を下りきった底。
そして、今後の調査あるいは攻撃のための物資の集積所。
守り切ることが出来れば今後の戦いが有利になるだけでなく、歪虚門攻略が現実的な目標になるはずだった。
●蜘蛛とオートマン
『崖から来ます!』
ノイズ3割のトランシーバーから警告が届いた。
カタナを振り回してオート・ソルジャーの接近を防ぎ、斜め上を見上げて状況を確認。
ほぼ垂直の崖を蜘蛛型機械が高速移動中だ。
『……ってください!』
一歩下がってソルジャーの蹴りを躱す。
カタナとは逆の腕に装備したままのアサルトライフルを崖に向ける。
崩落が怖いけれど今は考えない。
高性能のセンサーが人間大の蜘蛛型機械を見つけてHMDに表示。ソルジャーが動く前にトリガーを引き予想進路上に弾をばらまく。
1発が外れて2発が命中。
蜘蛛足が砕けた岩ごと崖から離れ、地底の集積所に向け転落。
木箱が中身ごと砕けて宙に舞った。
『レーショーン!』
不幸中の幸いで、被害は不味い糧食の一部で済んだようだ。
とにかくすばしっこいオートマンの攻撃を避けあるいは防ぎ、CAMの巨体で目立って敵を引き寄せることで足止めを継続。
何度振ったかも忘れるほどカタナを振って、ようやく敵第一波の迎撃に成功した。
「こりゃぁまずいぜ」
戦闘の緊張以外が原因で冷や汗が出る。
ハンターの活躍で探索は進んでいる。
その過程で襲い来る奇妙な機械を破壊し、極めて強力な歪虚を撃退したという報告すらある。
つまりこの拠点の周囲は綺麗に掃除されてしまっている訳で、敵が狙うのはこの拠点しかない。
「増援が来ないと守り切れねぇぞ」
ちらりと断崖を見る。
拠点から上に伸びるロープを使い、メーガンが崖上への移動を始めていた。
●ハンターオフィス
新たな依頼票が現れる。
半分には報酬を含む諸条件が表示され、もう半分では現地で録画されたらしい動画が再生されている。
薄暗がりから続々現れる機械人形オートマン。
隙をついて崖を登り物資集積所へ迫る巨大蜘蛛。
そして、遠くに見える巨大オートマン。
パニック映画の予告編としては及第点、現地の情報としては恐怖を煽るだけの内容だ。
「あれっ?」
眺めていたハンターの一部が小首をかしげた。
巨大オートマンに近づいたオートマンの動きが変だ。
元々回避に優れているのに動きがさらによくなっている。
巨大な分速度は劣るようで、互いの距離が離れるとオートマンの動きがいつものものに戻る。それでも十分素早いが。
「その依頼、物資集積所まででしたらユニットの送り迎えはこちらでしますので、出来ればよろしくお願いしますっ」
オフィス職員が、必死な顔で呼びかけていた。
最近は有志による探索が活発に行われており、謎のベールが取り払われるのも時間の問題と思われている。
なお、今回の舞台は対策最前線でもないし最激戦地でもない。
水と食料と弾薬が山積みされた物資集積所が、依頼の目的地にして防衛対象である。
●大渓谷のオアシス
「ふぅ」
蒸しタオルを顔に当てる。
汗や埃と一緒に疲れも抜けていく気がする。
「暖まりましたよー」
「まーたレーションかよ」
食事時らしい。
湯気と食べ物の香りがタオル越しに感じられた。
メーガン(kz0098)は顔を拭き終えた後に手も拭いて、指定された籠に黒っぽくなったタオルを投げ入れた。
普段の重装甲鎧は着ていない。
代わりに厚い生地の作業着を着込み、CAM用武器並のサイズの箱を背負っていた。
「痛っ。おいそこのあんた。上に戻るなら荷物下ろしてからにしろ」
「すまない」
メーガンは素直に頭を下げる。
下げた結果荷物が再度男を襲う。
「痛ぇっ。だからもうとっと下ろせよ、ああいい、俺が外してやるからじっとしてろ」
口は悪くても人は良いようだ。
メーガン本人がするより倍は速く紐を緩め、荷物を下ろした時点で男が動揺する。
「30ミリ弾かよ。怖ぇなおい」
箱の中は弾薬でみっしりだった。
万が一火が付いたら、男もメーガンも骨すら残さずこの世からおさらばだ。
メーガンが真面目な顔でそわそわし始めた。
配布中のレーション、その中にある甘そうな菓子に惹かれているらしい。
「何か食ってけ。重労働してんだ。誰も文句は言わ」
男の声が不自然に途切れる。男とメーガンが同時に得物に手を伸ばしていた。
「敵襲です! 警備中の方は迎撃に向かってくださいっ。あっ、トイレ中の方ではそのままでも……」
ここは大渓谷の底。
ここは断崖絶壁を下りきった底。
そして、今後の調査あるいは攻撃のための物資の集積所。
守り切ることが出来れば今後の戦いが有利になるだけでなく、歪虚門攻略が現実的な目標になるはずだった。
●蜘蛛とオートマン
『崖から来ます!』
ノイズ3割のトランシーバーから警告が届いた。
カタナを振り回してオート・ソルジャーの接近を防ぎ、斜め上を見上げて状況を確認。
ほぼ垂直の崖を蜘蛛型機械が高速移動中だ。
『……ってください!』
一歩下がってソルジャーの蹴りを躱す。
カタナとは逆の腕に装備したままのアサルトライフルを崖に向ける。
崩落が怖いけれど今は考えない。
高性能のセンサーが人間大の蜘蛛型機械を見つけてHMDに表示。ソルジャーが動く前にトリガーを引き予想進路上に弾をばらまく。
1発が外れて2発が命中。
蜘蛛足が砕けた岩ごと崖から離れ、地底の集積所に向け転落。
木箱が中身ごと砕けて宙に舞った。
『レーショーン!』
不幸中の幸いで、被害は不味い糧食の一部で済んだようだ。
とにかくすばしっこいオートマンの攻撃を避けあるいは防ぎ、CAMの巨体で目立って敵を引き寄せることで足止めを継続。
何度振ったかも忘れるほどカタナを振って、ようやく敵第一波の迎撃に成功した。
「こりゃぁまずいぜ」
戦闘の緊張以外が原因で冷や汗が出る。
ハンターの活躍で探索は進んでいる。
その過程で襲い来る奇妙な機械を破壊し、極めて強力な歪虚を撃退したという報告すらある。
つまりこの拠点の周囲は綺麗に掃除されてしまっている訳で、敵が狙うのはこの拠点しかない。
「増援が来ないと守り切れねぇぞ」
ちらりと断崖を見る。
拠点から上に伸びるロープを使い、メーガンが崖上への移動を始めていた。
●ハンターオフィス
新たな依頼票が現れる。
半分には報酬を含む諸条件が表示され、もう半分では現地で録画されたらしい動画が再生されている。
薄暗がりから続々現れる機械人形オートマン。
隙をついて崖を登り物資集積所へ迫る巨大蜘蛛。
そして、遠くに見える巨大オートマン。
パニック映画の予告編としては及第点、現地の情報としては恐怖を煽るだけの内容だ。
「あれっ?」
眺めていたハンターの一部が小首をかしげた。
巨大オートマンに近づいたオートマンの動きが変だ。
元々回避に優れているのに動きがさらによくなっている。
巨大な分速度は劣るようで、互いの距離が離れるとオートマンの動きがいつものものに戻る。それでも十分素早いが。
「その依頼、物資集積所まででしたらユニットの送り迎えはこちらでしますので、出来ればよろしくお願いしますっ」
オフィス職員が、必死な顔で呼びかけていた。
リプレイ本文
●戦場に舞う巨人
空は遠く空間は巨大に過ぎ、近くを見ないと距離感が狂いそうだ。
「これで少しは、お互いのやりとりがしやすくなるはず、だ」
オウカ・レンヴォルト(ka0301)はマテリアルでトランシーバー4台を結びつけた。
皆、礼を言う時間を惜しんでそれぞれの持ち場へ駆す。
深紅のイェジドが南西へ疾走する。
魔導型デュミナスが立ち上がりスナイパーライフルを装備する。
Uisca Amhran(ka0754)がコンテナに飛び乗り守備隊相手に演説を始める。
「効力は25分間に、なる。気をつけて、くれ」
『了解!』
『こちらアーサー、送受信とも良好なし』
『騎士の皆さん、私たちがついています。みんなで協力して、この集積所を守りましょう。……こちら物資集積所、動揺は鎮めました。鎧無しの人が多いので配慮してあげてください。何か異常があれば、皆さんすぐに連絡を』
「分かった」
オウカの口元が微かに緩む。
ここは渓谷という概念が乱れるレベルの巨大渓谷、しかも異質な遺跡が多数存在する不可思議地帯だ。
どんな異常が起きてもおかしくなかった。
「とんだこいつの初運用になってしまった、な」
跳躍する。
かなり高い場所にある搭乗口から魔導型ドミニオンのコクピットに入り込んだ。
既に起動している。
HMD付きヘルメットを被ると、半円状に展開し接近中の機械群が分かり易く表示された。
「オウカ・レンヴォルト、出る」
黒い巨人が人間以上に滑らかに前へ進む。
既に走る必要はない。
オートマン・スカウトは銃の間合いに入る直前だ。
オウカは無言でトリガーを引く。
細く長い銃身から弾が高速で撃ち出され、軽く薄い装甲を撃ち抜き軽装二足歩行兵器をくず鉄に変える。
毒々しい色の警告メッセージがHMDで明滅する。
前方スカウト群が2つに別れてオウカの駆る夜天一式を左右から囲み、少し遅れてきた重装甲オートマンが前方を塞ぐ。
これでは近すぎて機銃は使えない。
オートマンのセンサーに、昆虫に似た無機質な殺意が浮かんだ。
「チッ、数が多い、な」
オウカの表情筋は髪1本分すら動かない。
ボタンで装備変更を、2本の操縦桿で細かな姿勢変更を指示。
夜天一式が斬魔刀を逆手に構え、オートマンを頭から腰まで刺し貫いて突破口を開く。
左と後ろから来る機械群は全長6メートルの盾で防御、押されるようにして突破口を抜けてから反転。
距離40メートル以内のオートマンは全て、物資集積拠点のことなど忘れオウカ機目がけて押し寄せる。
十数機のオートマンによる十数の打撃が前方180度からやって来る。
スラスター発動。
手足しか攻撃手段のないオートマンの攻撃圏から逃れ、一方的に斬魔刀で刺し敵残存数を1減らす。
「むしろ、やりやすい」
黒い機体が舞うたびに、異形の人型が数を減らしていった。
ヴァーミリオンと名付けられたイェジドが高速でまばたきする。
敵を食い止める巨人がとても強そうに見えてしまい、負けん気がむくむく湧いてくる。
全力で前へ。
所詮人間サイズでしかない2本足兵器の群れに体をねじ込むようにしてさらに前へ。
前へ進めば進むほど背中の気配が上機嫌になっていく。
「仲良くぶっ壊れちまいなあ!」
ボルディア・コンフラムス(ka0796)が歯を剥き出し体全体を使って得物を振り回す。
宣花大斧。
全長2.5メートルに達する巨大斧がマテリアルによる炎に包まれ旋回し、夜天一式にたかるオートマン2体を両断、次の3体を激しく変形させ、最後の2にめり込んでようやく止まる。
ボルディアが白い歯を見せる。
生き残りのオートマン10体が高速で計算する。
大型兵器は頑丈で倒しきれない。生身の人間を優先した倒した方がいいのではないか。
人間には不可能な速度で結論が出され、2機をCAMの足止めに残し残る8体でヴァーミリオンとボルディアに立ちふさがった。
「ようやくやる気になったのかい」
最初に仕掛けたときは2、3体しか向かって来ず不完全燃焼だった。
8つの拳が鎧を撃ち抜ける重さと速度でボルディアを目指し、ヴァーミリオンの切れのある動きで7つまでが空を切る。
残る1つも側面の盾で受け止め、かすり傷程度のダメージですます。
「大物が待ってるんだ。とっととくたばりなあ!」
再度の斧大旋回。
技の性質上命中率低下は避けられず4体が潰され4体が生き残る。
ようやく戦力差に気づいて逃走を目指すがオウカは許さず機体で逃げ道を塞ぐ。その間も攻撃の手は止まらず、斧と斬魔刀よりオートマン1集団がごく短時間で全滅した
●大蜘蛛
「さぁて、どれだけ当たるかね。実戦で狙撃やった記憶ねぇんだよな」
魔導型デュミナス、ドゥン・スタリオンが崖にスナイパーライフルを向けた。
アーサー・ホーガン(ka0471)の視界にはHMD経由で外の映像が拡大して送り込まれている。
ほぼ垂直の崖を人間の走行時並みの速度で進む大蜘蛛が、なんと10体。
舌打ちする。
0コンマ数秒遅れて先頭の蜘蛛の横1メートルに105ミリ弾が当たる。
岩が砕けて周囲数メートルを巻き込み崩落する。
しかし蜘蛛型兵器は速度を緩めず跳んで回避。粘着力のある糸を進行方向の崖に当てて引っ張り、危なげ無く着地した。
「1人でも全機倒しきれるが」
物資集積所と蜘蛛型兵器の距離は実に400メートル弱。
ドゥン・スタリオンの射撃能力なら高確率で物資集積所到達前に倒せる。だが敵は蜘蛛だけではない。
「やれやれ、対蜘蛛戦では俺たちは脇役だな」
地上から、数十のオートマンがアーサーだけを狙い向かって来ていた。
「これでよし」
星輝 Amhran(ka0724)が髪に紐を巻いて固定した。
そうしながら遠い空に向かって駆ける。
蜘蛛型兵器の進路が変わった。
CAMが侵入不可能な壁からCAMを攻撃する計画を破棄。
星輝の上方から仕掛けて有利に攻防を展開しようと同じく空に向かって崖を駆け上る。
1分が経過する。
空までは遠く、崖底からも遠くなる。
「上がる気ならつきあってやるぞ」
走っていても品を失わず、鈴の音に似た心地よい音で笑って見せる。
蜘蛛は無言だ。
さらに上に行こうとして、出っ張りともいえない出っ張りにつまずき先頭の一体が崖から弾かれた。
落ちていく。
咄嗟に糸を飛ばすが勢いが粘着力が足りない。
くるくると回りながら落下を続け、崖底に当たって文字通り四散した。
「鬼さんこちら」
子供にしか見えないエルフがあくまで上品に挑発する。
兵器の頭に諧謔を理解する機能はなく、ただ向きを変え、突進する4体と糸射撃で援護する5体に分かれ攻勢へ移る。
「こんなものか?」
どの攻撃も拙い。
回避すら必要でなかったのが糸2本。たった1歩下がって細い蜘蛛足を躱し、すり足で半歩上がって残る糸を避ける。
最前列の蜘蛛がずるりと落ちた。
8本足と糸で踏ん張るが10メートルは下がってしまう。
そこへ矢が飛来する。
星輝は崖に寄り添う形で足場を確保、身の丈ほどもある弓を巧みに使って一方的に打ち据える。
後衛の蜘蛛型兵器が突進する。狙うのは星輝の足場である、微かな割れ目に打ち込まれた刀の鞘だ。
「あくびがでるわ」
星輝が自ら鞘を抜く。
最も前のめりだった2体が互いにぶつかり大きく揺れて、崖を足で捉え損ない転がり落ちてる。
エルフの小柄な体は細いワイヤーより支えられ、5メートル斜め下の微かな出っ張りまで滑らかに移動した。
弦が音楽を奏でる。
1矢1矢が確実に蜘蛛を射貫く。
星輝ほどの凄腕にとってはたいした威力ではないけれど、壁走行という特殊能力の分弱い攻撃力と脆い防御力しか無い兵器にとっては十分以上に強力だ。当たれば全壊して次々に落ちていく。
状況は蜘蛛隊にとり圧倒的に不利。故に、予めプログラムされていた通りに、最大の脅威に対して最大の手札を切る。
「歪虚あるまいし、無駄なことをする」
残り5体の兵器が5体の爆弾として機能する。
連鎖する爆発が強固な壁に大穴を開ける。穴の範囲には星輝がいた場所も含まれていた。
地上で漆黒のイェジドが頭をあげた。
紅の瞳で主を必死に探す。
「こっちじゃ」
ムササビの如く滑空するエルフが1人、大きな布をパラグライダーの代わりにして破滅的な加速を回避している。
が、専用の装備ではないので飛行速度は落ちて落下速度が急上昇。
慌ててイェジドが落下予定地点に走り込み、己の体を器用にクッションとして使い主を受け止めた。
「に、NINJAパラシュートは改善の余地有りじゃな……」
じんじん痛む体に、うっすら涙目になる星輝であった。
●オートマン
「不用意に前線に出るな。無駄死には恥ずかしいぞ」
言葉の刃が現役騎士たちを切り裂いた。
衝撃で目が虚ろでなった者も視界の中だけで2、3人。
予想外の繊細さ半ば呆れたコーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)に対し、Uiscaがいたずらっぽく目配せした。
「任せた」
戦いに限らずそれぞれが得意分野を担当すれば良い。
コーネリアは馬を走らせ戦場に向かった。
深紅のイェジドが戦場中央で暴れている。
強靱な顎で小刀を咥え駆ける。
並の鎧よりも堅い装甲が凹み、オートマンがふらつきながら距離をとる。
イェジドが開いた空間に入り込んで反転。そしてついにヴァイス(ka0364)が攻撃を再開する。
「遅ぇ!」
長い柄に力を込める。
長身のヴァイスより頭1つ分以上大きな刀に効率よく力が伝達されて、水平の構えから横一線に振るわれる。
途中で何かに引っかかって攻撃が止まると予想するのは単なる素人だ。
覚醒という力の上に積み上げられた技は実戦でこそ輝く。
装甲の薄くない首を切り飛ばし、胸部装甲を抜いて重要機関を破壊し、腕1本を切り飛ばして、4体目の胴を貫いてようやく止まる。
敵もやられるばかりではない。
無事な数体が左右からヴァイスとイェジドを狙ようとした。
イェジドの回避性能は高く、深紅のグレンも評判以上の実力を見せつけオートマンを翻弄する。
しかし2度、3度と繰り返されると掠めたり単なる偶然で打撲を受けることもあり、ダメージ蓄積が避けられない。
「無理をさせて済まない、もうひと踏ん張り頼めるか?」
グレンは行動で答える。
自分自身による攻撃は止めて圧倒的な速度を獲得。
数を減らしたオートマン隊を大回りして1カ所にまとめる。
「他方面に援護は必要なしか」
トランシーバーからの情報提供を受けヴァイスがうなずいた。
移動と、結果的に防御もグレンに任せたヴァイスは、軽く手を振って合図を出す。
その上で暴風にも似た半円の斬撃。
盾として使われた機械腕ごとオートマンが両断され続け、辛うじて回避できた数体だけが生き残る。これで残りは9体。
そこにだめ押しのブリザード。
空間全体に影響する攻撃は極めて回避は極めて困難で、エルバッハ・リオン(ka2434)に気づけなかった全機が消し飛んだ。
「やりすぎたか」
お粗末な機械でも、凄腕中の凄腕が2人立ちふさがれば退却も考える。
生き残りの2体がそろりと後退を始める。
「さすがだ」
ライフル弾の弾幕が2体を襲う。ダメージはなくても動きは止まり、逃亡に使える貴重な時間が0になる。
コーネリアが追撃を加える前に、2体は呆気なくエルバッハ達に薙ぎ払われた。
「残りは私が片付ける。CAMサイズのオートマン迎撃に迎え」
彼女が愛想無くそう言うと、歴戦の2人は目だけで応えて北への移動を開始した。
「聞きしに勝る速さな」
不意を打とうと背後から近づく人型に拳銃で1発。
馬の足を活かして適正な距離をとりアサルトライフルに持ち替える。
馬はイェジドやリーリーとは異なる。自らは全力移動、主は攻撃に専念というような器用な真似は無理だ。
「私なら勝てると思ったか?」
コーネリアには飛び抜けた大火力も範囲攻撃手段もない。
高位ハンターに比べると回避や防御も弱い。
それでも戦い方次第で1方面の敵を押さえ込める。
「ここはガラクタ置き場になる。生物だろうと機械だろうと破滅の運命からは逃れられん。先に逝った同属にも伝えておけ」
本体からはぐれた、1体1体散らばっているオートマン・スカウトに銃口を向ける。
当たらない。スカウトはあざ笑うように飛び跳ね、残りもコーネリアの退路を断つ動きを見せる。
彼女は無表情だ。
青い瞳が静かに機械たちを見下ろしている。
淡々と射撃。今度は当てて、凍えるマテリアルを装甲から内部に浸透させ動きを鈍らせる。
後は簡単だ。馬の足を活かして敵の白兵の間合いに入らず射撃を継続。1体壊しきってから別の1体を鈍らせ以下繰り返しだ。
広く散らばり時間稼ぎが出来たかも知れない兵器群が、コーネリア1人の翻弄され次々に討ち果たされていく。
「急ぐか」
残骸のみが残る戦場で再装填を終え、巨大オートマン対ハンターの決戦場へ馬を走らせた。
●防衛から攻勢へ
王国騎士の相手は非常に面倒臭い。
千年の歴史を持つ国の武力集団なので、面倒臭い程度で済んでいるのが素晴らしいともいえるが。
「メーガンさんも、よろしくです」
「承知した。私は弓で援護を」
「駄目です」
Uiscaはにこっりと容赦なくメーガンの意見を切って捨てた。
どこに飛ぶか分からない弓など迷惑にしかならない。
どの程度酷いかというと、慣れない銃に苦労するUiscaのイェジドより大分酷い。いわゆる装備力を活かした大型鉄弓も宝の持ち腐れだ。
「敵は1隊と1体を除いて足止め成功ですね」
北西方向のオートマン隊1つと、さらに南西方向を低速移動中の特大オートマン1体がフリーだ。
「ここの守りはお願いしますね」
穏やかに言って、白狼型イェジドの背に乗り込む。
これまでの準備で時間がかかった。オートマンののっぺりした顔が判別できるほど近い。
クフィンが銃を諦めオートマン隊に突っ込む。
ユニットという枠の存在なので、自分でなんとかするか主に守ってもらうしかない。
だから敵全ての動きを正確に認識し、高速かつ機敏に駆けることでほぼ全ての攻撃を回避し万一当たりそうになっても爪で受けて軽傷ですます。
「たあっ」
終焉の銘を持つ杖が翡翠色の燐光をまとう。
Uiscaから流れ込む力が臨界を越え、巨大な力から光の龍に変わり遠い空に登る。
後ろの騎士たちにとっては格好良い術で済むがオートマンたちはそうはいかない。
龍が残した衝撃が彼等を襲い、装甲を熱せられたバターの如く溶かして内部の重要機関まで大きく傷つけた。
鉄の部品が固い地面に転がる音が連続する。
たった1度の術で、オートマン隊20体のうち半数以上が機能を喪失していた。
「クフィンが引き寄せてくれたお陰です」
白いイェジドは何も言わない。
ただ、尻尾が機嫌良く振られ鼻息の勢いが少し強くなっていた。
「行ってきます」
これだけ討ち果たせば後は騎士だけで大丈夫。
Uiscaとクフィンは北進して仲間と合流、行きがけの駄賃にアーサー機のまわりのオートマンを下して最後の巨大機の前に立ちふさがった。
●巨大オートマン
「悪いな」
アーサーは諸元を入力しながら愛機に謝罪した。
プラズマカッターで焼かれたオートマン3つに、各種スキルで微塵に砕かれたものが17。合計20が傷だらけの愛機体の足下に転がっている。
アーサー本人が戦えば20全てがエッケザックスで破壊されたいたはずだ。
「帰還前に一仕事してもらうぜ」
崖底の水平に近い箇所を選んで従い伏射の体勢へ。
105ミリ口径のライフルが凄まじい威圧感を発している。
HMDが脳波を読み取り人間に認識困難な細かさで機体を制御。現状の技術で最高の精度を実現する。
「敵に飛び道具がねぇなら、こういう手もありだよな」
脚を狙って牽制したいところだが、スキル無しの部位狙いは命中率低下が深刻だ。
だから敢えて狙いやすい胴に銃口を向け引き金を引く。
機体が振動する。
引き金を通して中る感触が指に届く。
その感触は錯覚ではなく、つるりとした胴と頭の隙間に105ミリの弾がめり込んだ。
「スナイパーライフルから走って逃げられるとは思えないだろう?」
仮に逃げたとしても問題ない。
無防備な背中に騎乗班が襲いかかって一方的に仕留めるだけだ。
生身で強いアーサーが発展途上のCAMを持ち込んだのは、この戦術が使えるからでもある。
巨大オートマンが前進迎撃を決断する。
オートマン同様のつるつる装甲はほぼ無傷。一方的に撃たれるより被害拡大を覚悟して魔導化CAMを潰すつもりだ。
「足を狙う? いえこれは」
全速の黒イェジドが巨大機の足下をぐるりと一周する。
巨大な拳を加速する。
黒イェジドが跳び堅い岩盤に拳が埋まる。
「炎で覆ってしまいましょう」
エルバッハが火の弾を投げ込む。
巨大機の足下に消え、一瞬遅れて膨れあがる。
内部は破壊の力に満ちている。
並の拳銃弾なら傷すらつかない装甲も、これでは全く焼け石に水だ。
エネルギーを伝える線が砕け、健在な予備の線に繋ぎ直されなんとか機能が維持される。
『動かず撃つ。当たるなよ』
アーサーの声がトランシーバーを介して届き、同時に105ミリ弾が巨大オートマンの胸に当たって変形する。
弾丸だったものがぽろりと落ちると、滑らかさを失った胸部装甲が姿を現した。
エルバッハを乗せてイェジドが南進。
丁度アーサーの弾が向かって来る方角だ。
一定の間隔で届く105ミリ弾を防ぐために腕が振り上げられて追撃に集中できず、元々6倍の速度差のあるイェジドに引き離された。
「隙だらけだぜ」
斬龍刀が鉄の右ふくらはぎを切り裂いた。
無論それだけでは止まらない。右の左脚の踵部分に達して先端数十センチを切って落とした。
ヴァイスが指示を出す前にイェジドが離脱。
巨大オートマンが振り返ったときにはヴァイス主従は安全圏への後退を成功させていた。
無駄に広い背中を新たなイェジドが足場にする。
無機物でも分かるほど熱い気配がイェジドと共にある。
「てめぇで最後だ!」
両足だけで体と巨大戦斧を支え、ボルディアが全身の力を用いて連続で振り下ろす。
1回1回はただ非常識に威力があるだけの攻撃だ。極短時間の2回攻撃は防御側の回避成功率を悲惨なほど引き下げ、結果として炎の如き一閃が2度背中に埋まる。
分厚い装甲に亀裂が入る。
崩壊まで秒読みとなった巨体が自滅覚悟で自ら仰向けに倒れた。
血が流れる。
イェジドは潰される前に抜け出はしたが被害は甚大だ。
主にまで怪我を負わせてしまうなど怒りで頭と腹が煮えそうだ。
「悪いなぁ。どうも俺に付き合わせるとお前には怪我ばっかさせちまう」
口内の血で声はくぐもり、けれど戦意はますます燃えさかる。
主の重みから厚い信頼が感じられた。
「だからよぉ、派手に燃えようぜヴァアン!」
主従が咆える。
熱い血潮がボルディアの傷を内側から閉じる。
巨大な拳と斧が激突し、巨大な火花が戦場全体を照らす。
散らばる大量の残骸から、黒い影が無数に伸びていた。
「しかし、この敵は後どれだけ湧いてくるのでしょうか?」
エルバッハが愚痴る。
これまでの調査や討伐の結果を見ると、崖底の敵対存在はまだ山ほどいると推測できる。
愚痴りながらも戦いに手は抜かない。
歴戦で磨かれたマテリアルを練られた技で一点に集め、小さな火の玉に変えて投げつける。
火花が薄れた戦場に巨大な爆発が現れ炎の色に塗りつぶす。
「今は敵の迎撃に専念するのみですね。行きますよ、ガルム」
黒のイェジドがこくりとうなずき、万一巨大オートマンが隠し武器を持ちだしても回避出来るよう適正な距離をとり続ける。
ヴァイスの覚醒に伴うオーラが業火のように揺れる。
腰の捻り、腕の振り、そしてなにより確かな足場により生じた力が斬龍刀に無駄なく伝えられ振り抜かれた。
「高性能な機体が泣くぞ」
滑らかな装甲に薄ら線が浮かんで、斜めにずれて下半分が切り落とされた。
『自爆の可能性が、ある』
オウカからの通信が皆の頭に浸透する。
改めて巨大オートマンを観察すると、装甲の亀裂や弾痕から不規則な火花と奇妙な臭気が漏れ出していた。
Uiscaが破壊の力を解き放つ。
当たり所によってはCAMすら一撃で沈みかねない攻撃が、これで3回目。
なのに鉄の巨人は手足を振り回してハンターに対抗している。
アーサーの105ミリ弾が何度も当たっても、各種刃で刻まれてもまだ動く。
火花と臭気はますます酷くなる。
『隙だらけ、だ!』
スラスターを吹かして夜天一式がオートマンの背後へ。
無防備な背中に刃を突き立て、同時に自機を敵からの盾とした。
「ファイアーボールはこれで最後」
エルバッハが一見無造作に火球を投擲。イェジドは全力でオウカの背後に向かい、エルバッハはスキル切れに備えて手裏剣の位置を確認した。
爆発する。
見た目はともかく実際は炎で無いため引火はしない。
装甲が歪んで割れて、尖った金属がふれ合い大きな火花が散った。
『待避を』
臭気を持つ機体の端が燃え始める。
発生元に近づくほどに火の勢いと大きさが増す。
「酷い兵器だ」
コーネリアは剥き出しの中枢に弾3発をプレゼントして、馬から下りて共にその場に伏せた。
崖底が真白に染まる。
一瞬遅れて音と共に衝撃と破片の雨がやってくる。コーネリアも戦馬の上数センチを、鋭利な装甲片が高速で飛んでいった。
1分後。
少しだけすすけたエルバッハがこほんと咳をした。
「綺麗になりました」
巨大オートマンがいた場所は大きく凹み、そこから数十メートルの距離に大量の残骸が転がっている。
対照的に夜天一式は健在だ。
被害は盾がほんの少し削れた程度。さすがのロケット用耐熱素材製である。
「酷い目にあったな……」
コーネリア以外も当然無事だ。
夜天一式に守られた幻獣とその主が、それぞれのやり方で感謝を述べていた。
空は遠く空間は巨大に過ぎ、近くを見ないと距離感が狂いそうだ。
「これで少しは、お互いのやりとりがしやすくなるはず、だ」
オウカ・レンヴォルト(ka0301)はマテリアルでトランシーバー4台を結びつけた。
皆、礼を言う時間を惜しんでそれぞれの持ち場へ駆す。
深紅のイェジドが南西へ疾走する。
魔導型デュミナスが立ち上がりスナイパーライフルを装備する。
Uisca Amhran(ka0754)がコンテナに飛び乗り守備隊相手に演説を始める。
「効力は25分間に、なる。気をつけて、くれ」
『了解!』
『こちらアーサー、送受信とも良好なし』
『騎士の皆さん、私たちがついています。みんなで協力して、この集積所を守りましょう。……こちら物資集積所、動揺は鎮めました。鎧無しの人が多いので配慮してあげてください。何か異常があれば、皆さんすぐに連絡を』
「分かった」
オウカの口元が微かに緩む。
ここは渓谷という概念が乱れるレベルの巨大渓谷、しかも異質な遺跡が多数存在する不可思議地帯だ。
どんな異常が起きてもおかしくなかった。
「とんだこいつの初運用になってしまった、な」
跳躍する。
かなり高い場所にある搭乗口から魔導型ドミニオンのコクピットに入り込んだ。
既に起動している。
HMD付きヘルメットを被ると、半円状に展開し接近中の機械群が分かり易く表示された。
「オウカ・レンヴォルト、出る」
黒い巨人が人間以上に滑らかに前へ進む。
既に走る必要はない。
オートマン・スカウトは銃の間合いに入る直前だ。
オウカは無言でトリガーを引く。
細く長い銃身から弾が高速で撃ち出され、軽く薄い装甲を撃ち抜き軽装二足歩行兵器をくず鉄に変える。
毒々しい色の警告メッセージがHMDで明滅する。
前方スカウト群が2つに別れてオウカの駆る夜天一式を左右から囲み、少し遅れてきた重装甲オートマンが前方を塞ぐ。
これでは近すぎて機銃は使えない。
オートマンのセンサーに、昆虫に似た無機質な殺意が浮かんだ。
「チッ、数が多い、な」
オウカの表情筋は髪1本分すら動かない。
ボタンで装備変更を、2本の操縦桿で細かな姿勢変更を指示。
夜天一式が斬魔刀を逆手に構え、オートマンを頭から腰まで刺し貫いて突破口を開く。
左と後ろから来る機械群は全長6メートルの盾で防御、押されるようにして突破口を抜けてから反転。
距離40メートル以内のオートマンは全て、物資集積拠点のことなど忘れオウカ機目がけて押し寄せる。
十数機のオートマンによる十数の打撃が前方180度からやって来る。
スラスター発動。
手足しか攻撃手段のないオートマンの攻撃圏から逃れ、一方的に斬魔刀で刺し敵残存数を1減らす。
「むしろ、やりやすい」
黒い機体が舞うたびに、異形の人型が数を減らしていった。
ヴァーミリオンと名付けられたイェジドが高速でまばたきする。
敵を食い止める巨人がとても強そうに見えてしまい、負けん気がむくむく湧いてくる。
全力で前へ。
所詮人間サイズでしかない2本足兵器の群れに体をねじ込むようにしてさらに前へ。
前へ進めば進むほど背中の気配が上機嫌になっていく。
「仲良くぶっ壊れちまいなあ!」
ボルディア・コンフラムス(ka0796)が歯を剥き出し体全体を使って得物を振り回す。
宣花大斧。
全長2.5メートルに達する巨大斧がマテリアルによる炎に包まれ旋回し、夜天一式にたかるオートマン2体を両断、次の3体を激しく変形させ、最後の2にめり込んでようやく止まる。
ボルディアが白い歯を見せる。
生き残りのオートマン10体が高速で計算する。
大型兵器は頑丈で倒しきれない。生身の人間を優先した倒した方がいいのではないか。
人間には不可能な速度で結論が出され、2機をCAMの足止めに残し残る8体でヴァーミリオンとボルディアに立ちふさがった。
「ようやくやる気になったのかい」
最初に仕掛けたときは2、3体しか向かって来ず不完全燃焼だった。
8つの拳が鎧を撃ち抜ける重さと速度でボルディアを目指し、ヴァーミリオンの切れのある動きで7つまでが空を切る。
残る1つも側面の盾で受け止め、かすり傷程度のダメージですます。
「大物が待ってるんだ。とっととくたばりなあ!」
再度の斧大旋回。
技の性質上命中率低下は避けられず4体が潰され4体が生き残る。
ようやく戦力差に気づいて逃走を目指すがオウカは許さず機体で逃げ道を塞ぐ。その間も攻撃の手は止まらず、斧と斬魔刀よりオートマン1集団がごく短時間で全滅した
●大蜘蛛
「さぁて、どれだけ当たるかね。実戦で狙撃やった記憶ねぇんだよな」
魔導型デュミナス、ドゥン・スタリオンが崖にスナイパーライフルを向けた。
アーサー・ホーガン(ka0471)の視界にはHMD経由で外の映像が拡大して送り込まれている。
ほぼ垂直の崖を人間の走行時並みの速度で進む大蜘蛛が、なんと10体。
舌打ちする。
0コンマ数秒遅れて先頭の蜘蛛の横1メートルに105ミリ弾が当たる。
岩が砕けて周囲数メートルを巻き込み崩落する。
しかし蜘蛛型兵器は速度を緩めず跳んで回避。粘着力のある糸を進行方向の崖に当てて引っ張り、危なげ無く着地した。
「1人でも全機倒しきれるが」
物資集積所と蜘蛛型兵器の距離は実に400メートル弱。
ドゥン・スタリオンの射撃能力なら高確率で物資集積所到達前に倒せる。だが敵は蜘蛛だけではない。
「やれやれ、対蜘蛛戦では俺たちは脇役だな」
地上から、数十のオートマンがアーサーだけを狙い向かって来ていた。
「これでよし」
星輝 Amhran(ka0724)が髪に紐を巻いて固定した。
そうしながら遠い空に向かって駆ける。
蜘蛛型兵器の進路が変わった。
CAMが侵入不可能な壁からCAMを攻撃する計画を破棄。
星輝の上方から仕掛けて有利に攻防を展開しようと同じく空に向かって崖を駆け上る。
1分が経過する。
空までは遠く、崖底からも遠くなる。
「上がる気ならつきあってやるぞ」
走っていても品を失わず、鈴の音に似た心地よい音で笑って見せる。
蜘蛛は無言だ。
さらに上に行こうとして、出っ張りともいえない出っ張りにつまずき先頭の一体が崖から弾かれた。
落ちていく。
咄嗟に糸を飛ばすが勢いが粘着力が足りない。
くるくると回りながら落下を続け、崖底に当たって文字通り四散した。
「鬼さんこちら」
子供にしか見えないエルフがあくまで上品に挑発する。
兵器の頭に諧謔を理解する機能はなく、ただ向きを変え、突進する4体と糸射撃で援護する5体に分かれ攻勢へ移る。
「こんなものか?」
どの攻撃も拙い。
回避すら必要でなかったのが糸2本。たった1歩下がって細い蜘蛛足を躱し、すり足で半歩上がって残る糸を避ける。
最前列の蜘蛛がずるりと落ちた。
8本足と糸で踏ん張るが10メートルは下がってしまう。
そこへ矢が飛来する。
星輝は崖に寄り添う形で足場を確保、身の丈ほどもある弓を巧みに使って一方的に打ち据える。
後衛の蜘蛛型兵器が突進する。狙うのは星輝の足場である、微かな割れ目に打ち込まれた刀の鞘だ。
「あくびがでるわ」
星輝が自ら鞘を抜く。
最も前のめりだった2体が互いにぶつかり大きく揺れて、崖を足で捉え損ない転がり落ちてる。
エルフの小柄な体は細いワイヤーより支えられ、5メートル斜め下の微かな出っ張りまで滑らかに移動した。
弦が音楽を奏でる。
1矢1矢が確実に蜘蛛を射貫く。
星輝ほどの凄腕にとってはたいした威力ではないけれど、壁走行という特殊能力の分弱い攻撃力と脆い防御力しか無い兵器にとっては十分以上に強力だ。当たれば全壊して次々に落ちていく。
状況は蜘蛛隊にとり圧倒的に不利。故に、予めプログラムされていた通りに、最大の脅威に対して最大の手札を切る。
「歪虚あるまいし、無駄なことをする」
残り5体の兵器が5体の爆弾として機能する。
連鎖する爆発が強固な壁に大穴を開ける。穴の範囲には星輝がいた場所も含まれていた。
地上で漆黒のイェジドが頭をあげた。
紅の瞳で主を必死に探す。
「こっちじゃ」
ムササビの如く滑空するエルフが1人、大きな布をパラグライダーの代わりにして破滅的な加速を回避している。
が、専用の装備ではないので飛行速度は落ちて落下速度が急上昇。
慌ててイェジドが落下予定地点に走り込み、己の体を器用にクッションとして使い主を受け止めた。
「に、NINJAパラシュートは改善の余地有りじゃな……」
じんじん痛む体に、うっすら涙目になる星輝であった。
●オートマン
「不用意に前線に出るな。無駄死には恥ずかしいぞ」
言葉の刃が現役騎士たちを切り裂いた。
衝撃で目が虚ろでなった者も視界の中だけで2、3人。
予想外の繊細さ半ば呆れたコーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)に対し、Uiscaがいたずらっぽく目配せした。
「任せた」
戦いに限らずそれぞれが得意分野を担当すれば良い。
コーネリアは馬を走らせ戦場に向かった。
深紅のイェジドが戦場中央で暴れている。
強靱な顎で小刀を咥え駆ける。
並の鎧よりも堅い装甲が凹み、オートマンがふらつきながら距離をとる。
イェジドが開いた空間に入り込んで反転。そしてついにヴァイス(ka0364)が攻撃を再開する。
「遅ぇ!」
長い柄に力を込める。
長身のヴァイスより頭1つ分以上大きな刀に効率よく力が伝達されて、水平の構えから横一線に振るわれる。
途中で何かに引っかかって攻撃が止まると予想するのは単なる素人だ。
覚醒という力の上に積み上げられた技は実戦でこそ輝く。
装甲の薄くない首を切り飛ばし、胸部装甲を抜いて重要機関を破壊し、腕1本を切り飛ばして、4体目の胴を貫いてようやく止まる。
敵もやられるばかりではない。
無事な数体が左右からヴァイスとイェジドを狙ようとした。
イェジドの回避性能は高く、深紅のグレンも評判以上の実力を見せつけオートマンを翻弄する。
しかし2度、3度と繰り返されると掠めたり単なる偶然で打撲を受けることもあり、ダメージ蓄積が避けられない。
「無理をさせて済まない、もうひと踏ん張り頼めるか?」
グレンは行動で答える。
自分自身による攻撃は止めて圧倒的な速度を獲得。
数を減らしたオートマン隊を大回りして1カ所にまとめる。
「他方面に援護は必要なしか」
トランシーバーからの情報提供を受けヴァイスがうなずいた。
移動と、結果的に防御もグレンに任せたヴァイスは、軽く手を振って合図を出す。
その上で暴風にも似た半円の斬撃。
盾として使われた機械腕ごとオートマンが両断され続け、辛うじて回避できた数体だけが生き残る。これで残りは9体。
そこにだめ押しのブリザード。
空間全体に影響する攻撃は極めて回避は極めて困難で、エルバッハ・リオン(ka2434)に気づけなかった全機が消し飛んだ。
「やりすぎたか」
お粗末な機械でも、凄腕中の凄腕が2人立ちふさがれば退却も考える。
生き残りの2体がそろりと後退を始める。
「さすがだ」
ライフル弾の弾幕が2体を襲う。ダメージはなくても動きは止まり、逃亡に使える貴重な時間が0になる。
コーネリアが追撃を加える前に、2体は呆気なくエルバッハ達に薙ぎ払われた。
「残りは私が片付ける。CAMサイズのオートマン迎撃に迎え」
彼女が愛想無くそう言うと、歴戦の2人は目だけで応えて北への移動を開始した。
「聞きしに勝る速さな」
不意を打とうと背後から近づく人型に拳銃で1発。
馬の足を活かして適正な距離をとりアサルトライフルに持ち替える。
馬はイェジドやリーリーとは異なる。自らは全力移動、主は攻撃に専念というような器用な真似は無理だ。
「私なら勝てると思ったか?」
コーネリアには飛び抜けた大火力も範囲攻撃手段もない。
高位ハンターに比べると回避や防御も弱い。
それでも戦い方次第で1方面の敵を押さえ込める。
「ここはガラクタ置き場になる。生物だろうと機械だろうと破滅の運命からは逃れられん。先に逝った同属にも伝えておけ」
本体からはぐれた、1体1体散らばっているオートマン・スカウトに銃口を向ける。
当たらない。スカウトはあざ笑うように飛び跳ね、残りもコーネリアの退路を断つ動きを見せる。
彼女は無表情だ。
青い瞳が静かに機械たちを見下ろしている。
淡々と射撃。今度は当てて、凍えるマテリアルを装甲から内部に浸透させ動きを鈍らせる。
後は簡単だ。馬の足を活かして敵の白兵の間合いに入らず射撃を継続。1体壊しきってから別の1体を鈍らせ以下繰り返しだ。
広く散らばり時間稼ぎが出来たかも知れない兵器群が、コーネリア1人の翻弄され次々に討ち果たされていく。
「急ぐか」
残骸のみが残る戦場で再装填を終え、巨大オートマン対ハンターの決戦場へ馬を走らせた。
●防衛から攻勢へ
王国騎士の相手は非常に面倒臭い。
千年の歴史を持つ国の武力集団なので、面倒臭い程度で済んでいるのが素晴らしいともいえるが。
「メーガンさんも、よろしくです」
「承知した。私は弓で援護を」
「駄目です」
Uiscaはにこっりと容赦なくメーガンの意見を切って捨てた。
どこに飛ぶか分からない弓など迷惑にしかならない。
どの程度酷いかというと、慣れない銃に苦労するUiscaのイェジドより大分酷い。いわゆる装備力を活かした大型鉄弓も宝の持ち腐れだ。
「敵は1隊と1体を除いて足止め成功ですね」
北西方向のオートマン隊1つと、さらに南西方向を低速移動中の特大オートマン1体がフリーだ。
「ここの守りはお願いしますね」
穏やかに言って、白狼型イェジドの背に乗り込む。
これまでの準備で時間がかかった。オートマンののっぺりした顔が判別できるほど近い。
クフィンが銃を諦めオートマン隊に突っ込む。
ユニットという枠の存在なので、自分でなんとかするか主に守ってもらうしかない。
だから敵全ての動きを正確に認識し、高速かつ機敏に駆けることでほぼ全ての攻撃を回避し万一当たりそうになっても爪で受けて軽傷ですます。
「たあっ」
終焉の銘を持つ杖が翡翠色の燐光をまとう。
Uiscaから流れ込む力が臨界を越え、巨大な力から光の龍に変わり遠い空に登る。
後ろの騎士たちにとっては格好良い術で済むがオートマンたちはそうはいかない。
龍が残した衝撃が彼等を襲い、装甲を熱せられたバターの如く溶かして内部の重要機関まで大きく傷つけた。
鉄の部品が固い地面に転がる音が連続する。
たった1度の術で、オートマン隊20体のうち半数以上が機能を喪失していた。
「クフィンが引き寄せてくれたお陰です」
白いイェジドは何も言わない。
ただ、尻尾が機嫌良く振られ鼻息の勢いが少し強くなっていた。
「行ってきます」
これだけ討ち果たせば後は騎士だけで大丈夫。
Uiscaとクフィンは北進して仲間と合流、行きがけの駄賃にアーサー機のまわりのオートマンを下して最後の巨大機の前に立ちふさがった。
●巨大オートマン
「悪いな」
アーサーは諸元を入力しながら愛機に謝罪した。
プラズマカッターで焼かれたオートマン3つに、各種スキルで微塵に砕かれたものが17。合計20が傷だらけの愛機体の足下に転がっている。
アーサー本人が戦えば20全てがエッケザックスで破壊されたいたはずだ。
「帰還前に一仕事してもらうぜ」
崖底の水平に近い箇所を選んで従い伏射の体勢へ。
105ミリ口径のライフルが凄まじい威圧感を発している。
HMDが脳波を読み取り人間に認識困難な細かさで機体を制御。現状の技術で最高の精度を実現する。
「敵に飛び道具がねぇなら、こういう手もありだよな」
脚を狙って牽制したいところだが、スキル無しの部位狙いは命中率低下が深刻だ。
だから敢えて狙いやすい胴に銃口を向け引き金を引く。
機体が振動する。
引き金を通して中る感触が指に届く。
その感触は錯覚ではなく、つるりとした胴と頭の隙間に105ミリの弾がめり込んだ。
「スナイパーライフルから走って逃げられるとは思えないだろう?」
仮に逃げたとしても問題ない。
無防備な背中に騎乗班が襲いかかって一方的に仕留めるだけだ。
生身で強いアーサーが発展途上のCAMを持ち込んだのは、この戦術が使えるからでもある。
巨大オートマンが前進迎撃を決断する。
オートマン同様のつるつる装甲はほぼ無傷。一方的に撃たれるより被害拡大を覚悟して魔導化CAMを潰すつもりだ。
「足を狙う? いえこれは」
全速の黒イェジドが巨大機の足下をぐるりと一周する。
巨大な拳を加速する。
黒イェジドが跳び堅い岩盤に拳が埋まる。
「炎で覆ってしまいましょう」
エルバッハが火の弾を投げ込む。
巨大機の足下に消え、一瞬遅れて膨れあがる。
内部は破壊の力に満ちている。
並の拳銃弾なら傷すらつかない装甲も、これでは全く焼け石に水だ。
エネルギーを伝える線が砕け、健在な予備の線に繋ぎ直されなんとか機能が維持される。
『動かず撃つ。当たるなよ』
アーサーの声がトランシーバーを介して届き、同時に105ミリ弾が巨大オートマンの胸に当たって変形する。
弾丸だったものがぽろりと落ちると、滑らかさを失った胸部装甲が姿を現した。
エルバッハを乗せてイェジドが南進。
丁度アーサーの弾が向かって来る方角だ。
一定の間隔で届く105ミリ弾を防ぐために腕が振り上げられて追撃に集中できず、元々6倍の速度差のあるイェジドに引き離された。
「隙だらけだぜ」
斬龍刀が鉄の右ふくらはぎを切り裂いた。
無論それだけでは止まらない。右の左脚の踵部分に達して先端数十センチを切って落とした。
ヴァイスが指示を出す前にイェジドが離脱。
巨大オートマンが振り返ったときにはヴァイス主従は安全圏への後退を成功させていた。
無駄に広い背中を新たなイェジドが足場にする。
無機物でも分かるほど熱い気配がイェジドと共にある。
「てめぇで最後だ!」
両足だけで体と巨大戦斧を支え、ボルディアが全身の力を用いて連続で振り下ろす。
1回1回はただ非常識に威力があるだけの攻撃だ。極短時間の2回攻撃は防御側の回避成功率を悲惨なほど引き下げ、結果として炎の如き一閃が2度背中に埋まる。
分厚い装甲に亀裂が入る。
崩壊まで秒読みとなった巨体が自滅覚悟で自ら仰向けに倒れた。
血が流れる。
イェジドは潰される前に抜け出はしたが被害は甚大だ。
主にまで怪我を負わせてしまうなど怒りで頭と腹が煮えそうだ。
「悪いなぁ。どうも俺に付き合わせるとお前には怪我ばっかさせちまう」
口内の血で声はくぐもり、けれど戦意はますます燃えさかる。
主の重みから厚い信頼が感じられた。
「だからよぉ、派手に燃えようぜヴァアン!」
主従が咆える。
熱い血潮がボルディアの傷を内側から閉じる。
巨大な拳と斧が激突し、巨大な火花が戦場全体を照らす。
散らばる大量の残骸から、黒い影が無数に伸びていた。
「しかし、この敵は後どれだけ湧いてくるのでしょうか?」
エルバッハが愚痴る。
これまでの調査や討伐の結果を見ると、崖底の敵対存在はまだ山ほどいると推測できる。
愚痴りながらも戦いに手は抜かない。
歴戦で磨かれたマテリアルを練られた技で一点に集め、小さな火の玉に変えて投げつける。
火花が薄れた戦場に巨大な爆発が現れ炎の色に塗りつぶす。
「今は敵の迎撃に専念するのみですね。行きますよ、ガルム」
黒のイェジドがこくりとうなずき、万一巨大オートマンが隠し武器を持ちだしても回避出来るよう適正な距離をとり続ける。
ヴァイスの覚醒に伴うオーラが業火のように揺れる。
腰の捻り、腕の振り、そしてなにより確かな足場により生じた力が斬龍刀に無駄なく伝えられ振り抜かれた。
「高性能な機体が泣くぞ」
滑らかな装甲に薄ら線が浮かんで、斜めにずれて下半分が切り落とされた。
『自爆の可能性が、ある』
オウカからの通信が皆の頭に浸透する。
改めて巨大オートマンを観察すると、装甲の亀裂や弾痕から不規則な火花と奇妙な臭気が漏れ出していた。
Uiscaが破壊の力を解き放つ。
当たり所によってはCAMすら一撃で沈みかねない攻撃が、これで3回目。
なのに鉄の巨人は手足を振り回してハンターに対抗している。
アーサーの105ミリ弾が何度も当たっても、各種刃で刻まれてもまだ動く。
火花と臭気はますます酷くなる。
『隙だらけ、だ!』
スラスターを吹かして夜天一式がオートマンの背後へ。
無防備な背中に刃を突き立て、同時に自機を敵からの盾とした。
「ファイアーボールはこれで最後」
エルバッハが一見無造作に火球を投擲。イェジドは全力でオウカの背後に向かい、エルバッハはスキル切れに備えて手裏剣の位置を確認した。
爆発する。
見た目はともかく実際は炎で無いため引火はしない。
装甲が歪んで割れて、尖った金属がふれ合い大きな火花が散った。
『待避を』
臭気を持つ機体の端が燃え始める。
発生元に近づくほどに火の勢いと大きさが増す。
「酷い兵器だ」
コーネリアは剥き出しの中枢に弾3発をプレゼントして、馬から下りて共にその場に伏せた。
崖底が真白に染まる。
一瞬遅れて音と共に衝撃と破片の雨がやってくる。コーネリアも戦馬の上数センチを、鋭利な装甲片が高速で飛んでいった。
1分後。
少しだけすすけたエルバッハがこほんと咳をした。
「綺麗になりました」
巨大オートマンがいた場所は大きく凹み、そこから数十メートルの距離に大量の残骸が転がっている。
対照的に夜天一式は健在だ。
被害は盾がほんの少し削れた程度。さすがのロケット用耐熱素材製である。
「酷い目にあったな……」
コーネリア以外も当然無事だ。
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MVP一覧
- 緑龍の巫女
Uisca=S=Amhran(ka0754)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 エルバッハ・リオン(ka2434) エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/10/06 14:18:03 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/10/02 21:59:52 |
|
![]() |
メーガンさんに質問! Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/10/06 08:30:41 |