ゲスト
(ka0000)
知追う者、芋料理を考える
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/10/10 09:00
- 完成日
- 2016/10/17 07:19
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●上司のたくらみ
エトファリカ連邦国天ノ都の陰陽寮の一室で大江 紅葉(kz0163)の上司であり、先輩であり師匠でもある男は予定表をにらみつけていた。
「まずい……これは日程が立たない」
家の息子たちの状況と畑の状況を考える。
息子たちはたまには郊外で羽目を外させておかないとならない。元気が有り余って家の物を壊し、近所の塀に穴をあけるしとやらかし、妻が疲弊しているのが明らかだ。
「……芋掘りをやらせるのはいいが、折られる」
掘らないで引っ張り土の中に芋残す、掘ったら掘ったで折るだろうと想像できる。あれは繊細な仕事だ。
「おはようございます」
ちょうどいいところに紅葉が入ってくる。誰かが積んでいった書類の山を無表情に眺めて、隅に寄せてから業務の支度に入っている。書類片づけ苦手な輩が紅葉に押し付けていくためだった。
「おはよう、紅葉。今日はまた一段と髪がきれいだね。紅葉、休みの時、暇か」
「おはようございます……暇じゃありません」
何かを察した紅葉が守りに入った。内心で舌打ちしながら上司は笑顔を作るが、その分紅葉が壁を築く。
「お前のところに西の機械があるだろう? あれも使えるんじゃないかって話で」
「……汚れるところにはいきませんよ」
「待て! 農具だよな! 何を言い始めるんだ!」
「だって、可愛いリースの運太郎と耕太郎をこれ以上汚すと……掃除が大変です」
「名前あるんだ」
「ありますよ」
「……」
「……」
上司は沈黙した。紅葉も黙っているが、じりじりと心が離れていく。
「芋掘りを頼もうと思ったんだが」
「え? お芋? からいも、サツマイモ? 長いも?」
「……長いも作るのが大変なんだが。掘った分、お前にやる。あとハンターも雇うというか、誘ってもいい。ああ、そうだ、松永殿も誘え」
「予定をお聞きしないとわかりません。え、掘った分もらえるなら……ハンターじゃなくて家臣総出でやります」
紅葉はキラキラ輝く目で告げる。
「……大江家総出はやめて、うちの畑から農作物なくなるんだが……」
頭を思わず抱える上司。
想定が違う。
紅葉やハンターが楽し気に、芋パーティーでもしつつ、全部掘り出し、1人1キロくらいずつ持ち帰りができて、そして、あとはうちに入るという話なのだが。
「あー、干しておけば当分のおやつにもなります」
「……お前の家の越冬用の物品に全部なるのか……」
「一部は『すいーとぽてと』なる食べ物になります」
「あとは焼き芋と大学芋か?」
「もちろんです。師匠にももちろんあげます」
「いやいや……芋も栗も……甘い食べ物に弱かったな」
「はい、今更ですよ」
紅葉の小さいころから見ているから知っている。基本、何でも食べるが特に甘い物は飛びついてくる。
ため息交じりで上司は正直なことを言うことにした、このままでは自分の家の畑の芋が根こそぎ持っていかれるから。
「ですよね、そんなにおいしい話はないですよね」
紅葉はキラキラを飛ばすのをやめ、笑顔で寂しそうに告げる。
「というわけで、まー、お前は余分に持って帰ってもいいから、そういうことだ。その場で食べてもいいが、それに関しては持ち帰り禁止」
「えー、せっかくおいしい焼き芋をトラたちにあげてはいけないのですか」
「せめて、家令にとか言ってくれ……焼き芋の残りくらいならいいから……」
上司は頭痛を覚えたのだった。
●依頼とともに
「松永殿、私がこの日、休みで、上司に芋掘りをして来いと言われたのです。あなたをぜひ誘えというので聞きに来ました。もちろん、無理なら無理でいいです」
紅葉は素直に松永 光頼のところに向かって尋ねる。
光頼は幕府側の人間で武人でもあり、縁がないところに去年偶然の出会いがあって、友人として付き合いは続いている。上司たちや同調した一部の同僚は「光頼と紅葉くっつけよう」と考えているようだが、思うように進捗しない。
紅葉には婿入りが必要であり、光頼は長子である。上司たちは悩むが、彼の弟は兄とは性格は違うがしっかりした人間であるため彼を跡取りにすればいいじゃん松永家という適当さ。その辺は他人だから言いたい放題。
「芋掘りですか? その日は……夜勤明けですが……行けます」
「無理しなくてもいいですよ?」
「いえ、せっかくですし。寝るなら夜でかまいませんから」
紅葉と光頼はほんわかと会話をする。
「最近、お会いすることがほとんどありませんでしたね」
政府に属するとはいえ、所属が違うため会わなくなるととことん会わない。
出会ったのも偶然、縁が続いたのも偶然。
「ハンターの方にお会いしてもなかなかお話する機会もありませんし、のんびりできていいですね」
「はい。で、時間ですけどこんな感じにしました」
昼前後に作業をして食事をして楽しむという内容。
「わかりました。食事……何かおかずとかいりますか」
「芋、あります」
「……そうですね」
芋を掘るのだからそれ以外を食べたい、その場で調理したいとかなければ荷物は不要だった。
その日のうちに紅葉はハンターズソサエティに足を踏み入れる。
「へぇ、吉備様の畑での収穫ですか」
職員は自分も行きたいなと一瞬考えた。なお、吉備とは紅葉のこれまで名もなき上司の苗字でありフルネームは吉備 灯世である。
「へぇえええ」
参加者が紅葉と光頼ということで、何かを察した。ハンターからもそれとなくあの二人いい雰囲気と聞いている。しかし進展がないのは明白なこと。
「ちなみに、その場でふかしても焼いてもいいとのことです。蔦もたくさん出ますから、燃やしちゃいます」
「はいはい」
紅葉はうきうきしている、大量にもらえないとはいえ、その場では食べ放題なのだ。
「まー、半分は残るでしょう。それは師匠のうちまで届けますが、リアカーで行けますでしょう」
「……農具使わないんですか」
「人力で十分です」
芋掘りと芋運びにハンターという人手も借りることとなった。
エトファリカ連邦国天ノ都の陰陽寮の一室で大江 紅葉(kz0163)の上司であり、先輩であり師匠でもある男は予定表をにらみつけていた。
「まずい……これは日程が立たない」
家の息子たちの状況と畑の状況を考える。
息子たちはたまには郊外で羽目を外させておかないとならない。元気が有り余って家の物を壊し、近所の塀に穴をあけるしとやらかし、妻が疲弊しているのが明らかだ。
「……芋掘りをやらせるのはいいが、折られる」
掘らないで引っ張り土の中に芋残す、掘ったら掘ったで折るだろうと想像できる。あれは繊細な仕事だ。
「おはようございます」
ちょうどいいところに紅葉が入ってくる。誰かが積んでいった書類の山を無表情に眺めて、隅に寄せてから業務の支度に入っている。書類片づけ苦手な輩が紅葉に押し付けていくためだった。
「おはよう、紅葉。今日はまた一段と髪がきれいだね。紅葉、休みの時、暇か」
「おはようございます……暇じゃありません」
何かを察した紅葉が守りに入った。内心で舌打ちしながら上司は笑顔を作るが、その分紅葉が壁を築く。
「お前のところに西の機械があるだろう? あれも使えるんじゃないかって話で」
「……汚れるところにはいきませんよ」
「待て! 農具だよな! 何を言い始めるんだ!」
「だって、可愛いリースの運太郎と耕太郎をこれ以上汚すと……掃除が大変です」
「名前あるんだ」
「ありますよ」
「……」
「……」
上司は沈黙した。紅葉も黙っているが、じりじりと心が離れていく。
「芋掘りを頼もうと思ったんだが」
「え? お芋? からいも、サツマイモ? 長いも?」
「……長いも作るのが大変なんだが。掘った分、お前にやる。あとハンターも雇うというか、誘ってもいい。ああ、そうだ、松永殿も誘え」
「予定をお聞きしないとわかりません。え、掘った分もらえるなら……ハンターじゃなくて家臣総出でやります」
紅葉はキラキラ輝く目で告げる。
「……大江家総出はやめて、うちの畑から農作物なくなるんだが……」
頭を思わず抱える上司。
想定が違う。
紅葉やハンターが楽し気に、芋パーティーでもしつつ、全部掘り出し、1人1キロくらいずつ持ち帰りができて、そして、あとはうちに入るという話なのだが。
「あー、干しておけば当分のおやつにもなります」
「……お前の家の越冬用の物品に全部なるのか……」
「一部は『すいーとぽてと』なる食べ物になります」
「あとは焼き芋と大学芋か?」
「もちろんです。師匠にももちろんあげます」
「いやいや……芋も栗も……甘い食べ物に弱かったな」
「はい、今更ですよ」
紅葉の小さいころから見ているから知っている。基本、何でも食べるが特に甘い物は飛びついてくる。
ため息交じりで上司は正直なことを言うことにした、このままでは自分の家の畑の芋が根こそぎ持っていかれるから。
「ですよね、そんなにおいしい話はないですよね」
紅葉はキラキラを飛ばすのをやめ、笑顔で寂しそうに告げる。
「というわけで、まー、お前は余分に持って帰ってもいいから、そういうことだ。その場で食べてもいいが、それに関しては持ち帰り禁止」
「えー、せっかくおいしい焼き芋をトラたちにあげてはいけないのですか」
「せめて、家令にとか言ってくれ……焼き芋の残りくらいならいいから……」
上司は頭痛を覚えたのだった。
●依頼とともに
「松永殿、私がこの日、休みで、上司に芋掘りをして来いと言われたのです。あなたをぜひ誘えというので聞きに来ました。もちろん、無理なら無理でいいです」
紅葉は素直に松永 光頼のところに向かって尋ねる。
光頼は幕府側の人間で武人でもあり、縁がないところに去年偶然の出会いがあって、友人として付き合いは続いている。上司たちや同調した一部の同僚は「光頼と紅葉くっつけよう」と考えているようだが、思うように進捗しない。
紅葉には婿入りが必要であり、光頼は長子である。上司たちは悩むが、彼の弟は兄とは性格は違うがしっかりした人間であるため彼を跡取りにすればいいじゃん松永家という適当さ。その辺は他人だから言いたい放題。
「芋掘りですか? その日は……夜勤明けですが……行けます」
「無理しなくてもいいですよ?」
「いえ、せっかくですし。寝るなら夜でかまいませんから」
紅葉と光頼はほんわかと会話をする。
「最近、お会いすることがほとんどありませんでしたね」
政府に属するとはいえ、所属が違うため会わなくなるととことん会わない。
出会ったのも偶然、縁が続いたのも偶然。
「ハンターの方にお会いしてもなかなかお話する機会もありませんし、のんびりできていいですね」
「はい。で、時間ですけどこんな感じにしました」
昼前後に作業をして食事をして楽しむという内容。
「わかりました。食事……何かおかずとかいりますか」
「芋、あります」
「……そうですね」
芋を掘るのだからそれ以外を食べたい、その場で調理したいとかなければ荷物は不要だった。
その日のうちに紅葉はハンターズソサエティに足を踏み入れる。
「へぇ、吉備様の畑での収穫ですか」
職員は自分も行きたいなと一瞬考えた。なお、吉備とは紅葉のこれまで名もなき上司の苗字でありフルネームは吉備 灯世である。
「へぇえええ」
参加者が紅葉と光頼ということで、何かを察した。ハンターからもそれとなくあの二人いい雰囲気と聞いている。しかし進展がないのは明白なこと。
「ちなみに、その場でふかしても焼いてもいいとのことです。蔦もたくさん出ますから、燃やしちゃいます」
「はいはい」
紅葉はうきうきしている、大量にもらえないとはいえ、その場では食べ放題なのだ。
「まー、半分は残るでしょう。それは師匠のうちまで届けますが、リアカーで行けますでしょう」
「……農具使わないんですか」
「人力で十分です」
芋掘りと芋運びにハンターという人手も借りることとなった。
リプレイ本文
●芋畑
大江 紅葉と松永 光頼がやってきたころにはハンターもやってくる。
「おはよう、紅葉殿、光頼殿……息災だったかと問わずとも元気なのがよくわかる」
雪継・白亜 (ka5403)は再会を喜び微笑む。差し込んでいる朝日に負けないほど、芋料理を考える紅葉は元気そうだ。
「おはようございます。お芋のおいしい季節ですね」
ミオレスカ (ka3496)は天気も良い空を見上げ、久しぶりに見る紅葉と光頼コンビを見る。何か変わったことがあるか、否、ない。
「おはようございます。今日は芋掘り日和ですね」
エルバッハ・リオン (ka2434)はぺこりとお辞儀をした。秋晴れの空、適度なひんやりした風が気持ち良い。
「よお! 嬢ちゃんがいうように秋晴れの下、食材をゲットしつつ、温かいモン食うっちゅーのは気分がいいもんや!」
冬樹 文太 (ka0124)はカラッと晴れた空のような笑顔でやってきた。首には手拭いをかけ、すぐにでも始められそうだ。
「おはようございますー。今日はしっかり、美味しい料理を作って食べまくりです。屋内ならコロッケやらスイートポテトも作りたかんですけど残念です」
星野 ハナ (ka5852)の荷物を見た瞬間、紅葉は目を丸くした。スコップやダッチオーブンなど調理器具に来る途中で仕入れたらしい食材などが戦馬に乗っているからだ。
「焼き芋、蒸かし芋に干し芋、作るの食べるの。そのためには頑張って掘るの! 私も羊羹とかアイスクリームとかも考えたけど、外で作れるものでも十分おいしいの最大限を楽しむの」
ディーナ・フェルミ (ka5843)はこぶしをぎゅと握る。掘る気、作る気、食べる気の三つが燃え上がる。
そこに紅葉がうなずいているが、助っ人である光頼が青ざめる。畑は十分広いが、このメンバーだけでも食いつくすのではないかと。そもそも「干し芋って持って帰るものじゃ」とツッコミはなかった。お持ち帰り可物品にいれればいいのだと光頼は一人納得する。
「ふぉっふぉっふぉっ、若いというのはいいことじゃのー。わしは土いじりが好きじゃが、芋料理と言えば煮る・焼く・あげる・蒸すしかせぬ。皆の作る料理が楽しみじゃ」
婆 (ka6451)は若いハンターを見る目も畑を見る目も、年を重ねた優しさとそれでも衰えぬ好奇心で輝いている。
「芋はそれでもおいしいですよ。味付けで様々に姿を変えるのは間違いないでしょう。本日はよろしくお願いします。初めての芋掘りですが、今日はお役に立てるよう頑張ります。それと料理も楽しみにしています」
グルナ・グレーリス (ka5914)は挨拶をする。初めての芋掘りに緊張しつつ、したことがないことに挑戦する楽しみも胸を躍る。
「はい、皆さま、よろしくお願いします。さて、今日の予定ですが、掘ります! 食べます! 一応師匠の家に運びます! 遅くとも日が落ちるまでにします」
紅葉が依頼内容を告げる。
「位置について、用意良いでしょうか?」
「……それを言うなら『位置について、よーいドン』や」
文太につっこまれて紅葉が手をたたいて、咳ばらいを1つしてから言い直す。
「芋掘りのスタートです! 位置について、よーいドン! ってなんで『よーいドン』なのですか?」
紅葉が合図を出しつつ、疑問を呈した。
●芋掘り
畑の隅から丁寧にグルナは掘り始める。初めての芋掘りで慣れているメンバーからアドバイスを受けつつ道具を借りた。次は掘り方、芋すぐ上を掘れば危険とはいえ、どの程度離れたところから掘るか?
他を見ると、すごいスピードで収穫をする者もゆっくりやっている者や様々だ。
「あの領域にはどうした行けますか……」
ぽつりつぶやく。
「嬢ちゃん、ゆっくりでいいじゃよ。あれはあれでよし。この芋一つ一つが命の糧になるんじゃよ? 丁寧にきちんととることはじめるんじゃ。速度は後からついてくるじゃろ」
婆が掘って引っこ抜き穏やかな表情で芋を眺める。
その様子をグルナは見てほっと息を吐いた。婆の手ものとを見ていたら、なんとなくわかる。芋を傷つけないように周りを掘り、そして蔦を引っ張る。そうすると、ごろっと芋がついてきた。残っている芋はないか一応確認する。
「ゆっくりでいいですね」
一つずつ動作をかみしめる。まだ先は長いが、きちんと採ることがことが重要なのだ。
「そうじゃ。あっちのお嬢ちゃんもゆっくりだから」
婆が見る先に、紅葉が必死に掘って、掘って、満足そうな顔をしているのが見えた。
「あれ、相当掘ってますよね? 落とし穴でしょうか」
「ほっほっほっ。獣も来るからのう。あれはただの趣味じゃろう」
グルナは再び掘る。そして、少しずつコツがわかってきて早くなる、そして黙々と作業をこなす。
芋掘り競走をしているわけではなかった、最初にあのような合図を紅葉は出したが。
ただ、ディーナとハナは己の欲望に忠実であり、芋やおいしいものが好きなのだ。手早いのは仲間のためであり、仕事のためにもなる。
「芋はなんでもおいしいの。早くたくさんとって、お芋パーティーなの」
焼き芋、蒸かし芋そして干し芋がディーナの脳内を駆け巡る。焼いたときの味、蒸かしたものは塩をつけるとまた格別。干し芋は凝縮された甘みがたまらない。
「ある程度掘れたら、オーブン作って料理の時間ですぅ。もう、胃袋を満たすおいしい料理」
ハナも丁寧に、手早く掘っていく。芋はゴロゴロ出てきた。
「じょ、嬢ちゃん、掘りすぎや」
文太が近くにいる紅葉を見て慌てた。
「え? 芋?」
「いやいや、ある程度離れたところを掘るのはいいんや。が、しかし、限度ちゅーもんあるやろ?」
「……芋、出てこないです」
紅葉はしょんぼりとしている。
「いやいや、そんな悲しそうな顔せんでっ……ちょ、なんか俺がなかした感じになっとんの?」
白亜とミオレスカからじんわりと視線を感じるのだ。エルバッハやグルナと婆からも視線をもらったような気がした。
「まず、埋め戻します」
「ちょ、何かフォローは?」
「はい? 何かありました?」
たぶん、紅葉は注意した内容を聞いていない。声を掛けられたから我に返っただけのようだ。
「いや、何でもない。離れすぎも芋でんよ?」
「そうですね。芋掘りは初めてじゃないんですけど、妹を見ている間に家臣が全員で掘っちゃってましたから」
しみじみと紅葉が言う。
「そうか。ならお初やな……。それにしてもたまにはこういうのもえぇなぁ」
文太は立ち上がって腰を伸ばし、天を仰ぐ。深く吸った空気は土と草と秋の匂いで肺を満たした。
ミオレスカは紅葉が落とし穴でも掘っているのではというのをハラハラして見ていた。それを止める係であるはずの光頼がそばにいない。光頼は紅葉を見つつもせっせと収穫をしている。
「これは?」
ミオレスカは一度、収穫した芋を運ぶついでに光頼のそばに行く。
「松永さん、紅葉さんを見ておかないと危ないですよ……落とし穴を掘っていました」
「え?」
「……」
手を止めて紅葉を見る光頼。
「でも、大江殿も子供ではないですし、冬樹殿が丁寧に説明をしていましたから大丈夫でしょう」
ミオレスカは光頼が微笑むのを見てそのまま戻った。
「どういうことでしょうか?」
恋愛感情が見えるようで見えていない。
「難しいです」
ひとまず芋掘りに専念をした。
白亜はふと目をあげると紅葉が芋掘りではなく罠作りにいそしんでいるように見えた。いや、埋まっているのが長いもなら間違いはない、あの深さ。抜き方に特徴があるはずだと知識を引っ張り出す。
紅葉を止めに走るか悩んでいた。
「どうかしたんですか?」
手が止まっている白亜にエルバッハが首をかしげる。
「いや、なんでもない。あ、うん、解決したようだ」
視線の先を見てエルバッハは納得する。
「紅葉さんですね。埋め戻しているように見えますが」
「穴を深く掘りすぎていたんだ、あの人」
「……そうなんですか。でも埋め戻しているということは後は問題なく行けそうですね」
「たぶん」
「意外と芋掘り初みたいですね」
紅葉が語った声が届いたためエルバッハがつぶやく。
「妹さんにつきっきり……紅葉殿、意外と世話役のが好きなのか」
「かもしれませんね。妹さんとは10ほど離れていたはずですから」
生きていれば、そうつぶやく。
「そうか……家臣も紅葉殿に厳しいようで甘そうだしな」
「抜きやすい芋しか用意していないとか……器用すぎますけどね」
二人は苦笑をしてから、作業に戻る。
●昼食間近
芋掘りの作業を早めに終えたのはハナ。早いとはいえ、引っこ抜いた芋は畑の一人で抜く平均値以上はやり切った。
「オーブンの設置を早速します」
それと合わせてまな板で作業をしやすい台も確保する。
「『たこいもなんきん』の準備よしです。揚げたてうまし、やけどは恐ろしのサツマイモスティックと焼き芋はその合間を縫います」
掘りたての芋をはじめ、持参のかぼちゃは一口大に切り、酒等の調味料とともに水とともに鍋に投入する。柔らかくなったところにタコを入れるのだが、あたりには醤油のいい匂いが漂う。
「うふふっ」
サツマイモスティックは油の温度が重要であるため、火の状況を見る。揚げるのはぎりぎりである。
隙間を縫って焼き芋作りも開始する、たき火は誰も利用しやすい位置に設置した。
紅葉の手が止まる。
「おなかがすきました」
「確かに胃袋を刺激する匂いや……」
日本の夕飯の時間のような匂いでもある。
紅葉は周囲を見た。まだ芋は埋まっているし、ディーナの素早さや光頼の体力に頼ってはいけないと思う。一番遅いのは紅葉である。
「おなかよりも頼まれたことはしないといけません。もう少し頑張りましょう」
「せやな、終わらさんと意味がない」
文太は残りも抜き始める。豚汁を作る予定だが、他の者が作った料理をつまみながらでも問題ないだろうと考える。
動けば汗はじんわりかく。文太は首にかけた手拭いで頬の汗をぬぐった。
「どうしたんですか、ミオさん」
掘っていくうちに場所が近くなったミオレスカに、エルバッハは尋ねる。表情が何かに納得いかないという感じだったのだ。
「分からなくなりました」
「何がです」
「紅葉さんと松永さんのお気持ちが」
エルバッハは2人を見る。2人ともそれぞれのペースで芋掘りを進めている、バラバラな場所で。
「仲はいいのではないのか? 心配したり、一緒にいることも多そうだし」
白亜が芋を掘りながら首をかしげる。
「心配でもいろいろです。友人としてとか妹分としてしか見られないとか」
エルバッハと白亜はうーんとうなる。紅葉と光頼の仲が良くてもそれで終わるか、恋愛が膨れ上がって先に進むかなどは分からないこと。仲が悪いより良いほうがいいに決まってはいる。
「本人に聞けるのが一番だがな」
さすがに無理だと白亜は思う。
「そうですよね、本人たち次第ですし」
「そうですよね……わかりました。ありがとうございます」
エルバッハと白亜の言葉に、ミオレスカはうなずき芋掘りに戻る。仲が悪いわけではないのだし、なるようにしかならない。ちょっとつついてみたい気もしなくはないけれども、難しいさじ加減なのだ。
オノマトペで示すなら「ちまちま」から「ザックザック」に掘り方が変わったグルナ。
中腰での作業に立って運んだり、結構激しい動きに体はくたくたになってくる。それでも太陽の下、黙々と作業することは楽しかった。
調理が始まったために匂いが漂う。
「おいしそうな匂いじゃのう」
近くにいる婆の表情が深いしわに刻まれる。
「本当です。東方の匂いという感じですよね」
「ほっぉほっぉほっぉ。確かに、西方にはないのう」
グルナと婆はせっせと芋を掘りだしていった。おぼろげだった芋料理の状況が分かってきて、やる気がより一層湧いた。
ディーナが手を止めたのは紅葉がやると決めた線の手前だった。あとはすぐに終わりそうで手伝うところもないため、芋パーティーの準備に移る。
「焼き芋、蒸かし芋、干し芋……順番を間違うと大変なの」
芋をリヤカーに載せてから使う芋を選ぶ。これはっ、というものを持って早速調理を開始する前に、炉を作る。すでに道具はあるため簡単だった。草や炭などにハナの火をもらってつけるだけだ。
「蒸かすのも焼くのも時間がかかるの。干し芋を作りながら待つ」
他の料理も魅惑ではあった。
問題は、干し芋の置き場だった。
●食とともに
紅葉が目を丸くして輝かせている間に、ハンターたちは料理を作る。
「楽しみですね」
「ほんにのう」
婆がうなずく。
「まずはこれを食べて待っているといいのです」
ハナがサツマイモスティックを作り上げる。細長く切ったサツマイモを油であげ、塩と砂糖にぶち込むもの。
「アツアツで、なんだか体に染みわたるような熱と味です」
グルナはハフハフ言いながら食べる。
「これはもう温まりましたよ。どうぞ」
エルバッハが温めた缶のスープをコップに入れてもらって食べる。
「食前のスープですね」
紅葉は胃の中かじんわりと温まる。サツマイモスティックを用心しながら口に入れるのも並行してやっている。
「芋が待っています、というより、すでに芋食べてますね……1ついただきます……あっ……」
エルバッハはふと思い出したことが有り、苦笑する。紅葉に促された思い出を話す。
「昔……両親と住んでいた集落の近くに芋が自生している場所がありました。私はハンターになりたかったし、両親が訓練として1人で行かせてくれたんです」
紅葉はうなずく。
「私は1人でやり切ったと思っていたのですが、あとで聞いたら、両親が護衛をつけており、見つからないようについてきていたそうなんです」
「まあ、なんというか……親心もわかります。心配ですもんね……よく爺にやられましたし、妹にやりました」
紅葉が頭を掻く。
「それだけではなく……その時着ていた服に関して両親に護衛だった人たちから苦言があったそうなんです」
「それほど危険ではないのにがちがちのフル装備だったとか?」
「いえ、あまりにも露出が多すぎると」
「……へ?」
羞恥心をなくすためという訓練だったとのことだ。
「……へ、へえええ」
なぜか紅葉は動揺し始めた。紅葉の服装は肌の露出をさせないものを好む。西方に行くからとドレスを着てみる努力をしたがあきらめた経緯があった。鎖骨が見えるだけでも恥ずかしい、足首が出るのもなんとなく不安で、体の線が出る(一般的な部類)でも恥ずかしい。
「……極端なことじゃの」
婆が状況を見てうなずいた。
そうしている間に、別の匂いが立ち上る。
「これは家庭の味って感じですね」
グルナがミオレスカのスープを覗き込んでいう。ソーセージとキャベツに芋、コンソメで味をつけたもの。
「ジャガイモじゃないですけど、味付けとしては合うはずです」
「味見をしてもいいなら確認します」
グルナが許可を得て食べてみると十分おいしかった。
「はい、紅葉さんと松永さんも」
ミオレスカは2人の持つ器によそう。
「ソーセージ! 干し肉以外のものは珍しいのです」
「こういう味付けはないですからね」
紅葉と光頼が食べる。芋の甘みとソーセージの出汁が程よい。
「これでお二人も同じ鍋をつついた仲ですね」
ミオレスカはニコニコと言う。真意が伝わるか否か、たぶん難しい。
「紅葉殿、アルミホイルで包んだ芋ができたぞ」
白亜が炭の中から発掘したのはアルミホイルであり、その中で蒸されたものだ。
「アルミホイル……松永殿、見てください、アルミホイルです!」
「え、そっちに反応が!」
リアルブルーの技術であるために、クリムゾンンウェストにそれど出回っていない。
「熱いです、でも、中は黒焦げになっていないです!」
「火に直接じゃないからうまい具合に蒸し焼きになる」
白亜の説明の横でディーナが塩を用意する。
「塩ちょっと振ると、甘さが倍増しておいしいの。蒸かし芋のお薦め」
ディーナは塩をつけて蒸かし芋をほおばる。
その間も紅葉はアルミホイルに夢中だ。
「ちなみに、奥歯でかむと大変なことが起こると聞きました」
「駄目だ」
白亜が止める間もなく紅葉は自ら実験し、震えていた。
「まあ、大江殿らしくていいというか」
光頼は苦笑した。
「豚汁、できたぞ。さて俺も、一服」
文太は自由によそげるようにお玉を置いたまま、缶ビールを開けた。
「仕事のあとのこの一杯のために生きている……そんな気分。労働後の飯はやっぱりうまいなぁ」
文太は出来上がっている芋や各種汁物類を食べる。青空の下、ひんやりした風も心地よい。
「ふっふっふっ、汁物ばかりなところにこんな一品も。女子には嬉しい栄養がたっぷり」
ハナが説明をしながらたこいもなんきんを皿に盛りつけた。さっそく箸やフォークが伸びてくる。
汁物は多い。それでも内容がばらけており、違う味が楽しめる。おいしいものが食べられる、それがすべて。
「長生きしてみるもんじゃのう。こっちのスープもこっちのおかずも美味じゃ」
婆が舌鼓を打つ。そして、持参の容器に気に入ったものがあれば入れようと少しずつ、全部ほおばる。どれもおいしい。
「これもおいしいの。ああ、駄目、お芋は罪な存在なの」
ディーナは干し芋作成から出来立ての焼き芋をほおばるほうに専念。そして、気になったスープを飲み物代わりに口に含む。胃の中からぬくもりであふれ、太陽の光の中、汗がにじむ。
「ラクレットチーズはどうしようか」
「サツマイモのグラタンもあることですし、試してみてもいいのかもしれませんよ」
白亜はグルナの実験の誘いを受けることにした、あるならあるでやってみたい。
「コーヒーを淹れるのは後だな」
「締めですね」
「茶ではない飲み物は珍しいのぉ」
グルナと婆にうなずき白亜は淹れる準備をして、趣味の絵をかくことにした。思い出の一枚として。
楽しいひとときなのだから。
●それは弱いという
「私は飲めませんが、どうぞ」
ミオレスカはお酒を勧める。青空の下の食事での一杯は気持ちいいだろう、大人もいるのだから。
「わ、久しぶりです。嬉しいです。私、結構強いんですよ!」
ニコニコと一気に飲み干す紅葉は空になった杯を見せる。
なぜか一抹の不安がよぎる。強いと本人が言っているのだからいいじゃないか、とも思う。2杯目を飲んで紅葉はご機嫌だ。顔色は変わっていない。
「紅葉さんが強いなんて知りませんでした。あ、でもそういう機会ありませんでしたね」
事件に巻き込まれた紅葉というのが基本だった。
「ビール飲んでみい?」
文太に勧められて少しもらう紅葉。
「同僚とかとも飲み会あるんですけど、爺たちはおちょこ2杯までっていうんですよ」
空気が凍り付く。
「紅葉さん……たぶん、何かあるんですよね?」
エルバッハが芋を食べていた手を止めて尋ねる。
「さあ? 家で宴会した後、きちんとお布団で目が覚めますよ? ちゃんと寝てます」
「寝る前の記憶は?」
「宴会でした!」
酒癖はともかく、記憶が消えているのではないだろうか。
そんな不安をよそに紅葉はニコニコと追加で飲んだ。
白亜は絵をかきながら違和感を覚え始めていた。
(紅葉殿、顔色は変わっていないが、目がなんとなく……)
「ふふっ、楽しいです」
紅葉は光頼の横に座り、しなだれかかる。
「ちょ、大江殿」
「光頼……すぴー……」
紅葉はとろんとした目で光頼を見上げた直後、寝息を立てた。
「おちょこ3杯以上飲むと、寝てしまう……ということは危険ですよね、いろいろ」
ぼそりとエルバッハが言った瞬間、光頼が冷や汗をかく。
「紅葉殿、幸せそうな顔して……違う!」
白亜は危険だと心底冷える。
「お持ち帰りされるですっ! しかし、好きな男性に運んでもらい、介抱されるという嬉恥ずかしのイベントもありですね……」
ハナは複雑な表情を浮かべた。
「……強いどころか弱い……実はこれは演技ですか?」
ハナは一応紅葉を確認するが、本当に寝ているようだった。
「爺やさんが止めていたというのは……家臣は知っているということですよね」
グルナの言葉を誰も否定しない。
「家臣と飲んでいる間に、これを何度もしている、と。もっと実情をわかるように説明して止めたほうがいいのではないのでしょうか……」
グルナの提案にハンターは無言だが、同意は多かった。
「さてと依頼人が酔いつぶれたが、まあ、それはそれで……リヤカーにそのまま載せて一緒に運ぶのはちぃーとばかりまずかろう。隠せればいいが」
町中を運ぶわけだから。背負っているのも不自然だが、リヤカーの上は妙に目立つはずだ。
「俺らが芋は運んで、兄さんが嬢ちゃんを運ぶ」
「……申し訳ない」
「いやいや、まー、大事なくて……」
紅葉は光頼の腕にしがみついてむにゃむにゃ言っている。
「そろそろ締めじゃの」
婆が余っている物を持参の器に入れつつ、告げる。
白亜は飲みたいという人にコーヒーを淹れる。紅葉が寝てしまったのは複雑な思いだが、楽しみにしてくれている人はいる。
「はっ、もう帰る時間なの? これは……紅葉さんのところに干してもらうのがいいの?」
ディーナは食べると作る欲求を満たし終えたところではあった。
「紅葉さんは酔いつぶれて寝ていますけど、家臣の方に頼めばやってくれますよ」
ミオレスカはディーナの提案を肯定する。
そして、きちんと義務を果たして解散した。後日になるが紅葉に依頼をした上司は安堵していた旨が伝わる。
一方、大江家に干されたディーナの干し芋は無事干し芋にはなった。一部は紅葉が味見をし、一部は大江家のペットが盗って行ったというが、誤差の範疇。
「お味は?」
「おいしかったです」
ディーナは笑顔で干し芋を連れて帰ったのだった。
大江 紅葉と松永 光頼がやってきたころにはハンターもやってくる。
「おはよう、紅葉殿、光頼殿……息災だったかと問わずとも元気なのがよくわかる」
雪継・白亜 (ka5403)は再会を喜び微笑む。差し込んでいる朝日に負けないほど、芋料理を考える紅葉は元気そうだ。
「おはようございます。お芋のおいしい季節ですね」
ミオレスカ (ka3496)は天気も良い空を見上げ、久しぶりに見る紅葉と光頼コンビを見る。何か変わったことがあるか、否、ない。
「おはようございます。今日は芋掘り日和ですね」
エルバッハ・リオン (ka2434)はぺこりとお辞儀をした。秋晴れの空、適度なひんやりした風が気持ち良い。
「よお! 嬢ちゃんがいうように秋晴れの下、食材をゲットしつつ、温かいモン食うっちゅーのは気分がいいもんや!」
冬樹 文太 (ka0124)はカラッと晴れた空のような笑顔でやってきた。首には手拭いをかけ、すぐにでも始められそうだ。
「おはようございますー。今日はしっかり、美味しい料理を作って食べまくりです。屋内ならコロッケやらスイートポテトも作りたかんですけど残念です」
星野 ハナ (ka5852)の荷物を見た瞬間、紅葉は目を丸くした。スコップやダッチオーブンなど調理器具に来る途中で仕入れたらしい食材などが戦馬に乗っているからだ。
「焼き芋、蒸かし芋に干し芋、作るの食べるの。そのためには頑張って掘るの! 私も羊羹とかアイスクリームとかも考えたけど、外で作れるものでも十分おいしいの最大限を楽しむの」
ディーナ・フェルミ (ka5843)はこぶしをぎゅと握る。掘る気、作る気、食べる気の三つが燃え上がる。
そこに紅葉がうなずいているが、助っ人である光頼が青ざめる。畑は十分広いが、このメンバーだけでも食いつくすのではないかと。そもそも「干し芋って持って帰るものじゃ」とツッコミはなかった。お持ち帰り可物品にいれればいいのだと光頼は一人納得する。
「ふぉっふぉっふぉっ、若いというのはいいことじゃのー。わしは土いじりが好きじゃが、芋料理と言えば煮る・焼く・あげる・蒸すしかせぬ。皆の作る料理が楽しみじゃ」
婆 (ka6451)は若いハンターを見る目も畑を見る目も、年を重ねた優しさとそれでも衰えぬ好奇心で輝いている。
「芋はそれでもおいしいですよ。味付けで様々に姿を変えるのは間違いないでしょう。本日はよろしくお願いします。初めての芋掘りですが、今日はお役に立てるよう頑張ります。それと料理も楽しみにしています」
グルナ・グレーリス (ka5914)は挨拶をする。初めての芋掘りに緊張しつつ、したことがないことに挑戦する楽しみも胸を躍る。
「はい、皆さま、よろしくお願いします。さて、今日の予定ですが、掘ります! 食べます! 一応師匠の家に運びます! 遅くとも日が落ちるまでにします」
紅葉が依頼内容を告げる。
「位置について、用意良いでしょうか?」
「……それを言うなら『位置について、よーいドン』や」
文太につっこまれて紅葉が手をたたいて、咳ばらいを1つしてから言い直す。
「芋掘りのスタートです! 位置について、よーいドン! ってなんで『よーいドン』なのですか?」
紅葉が合図を出しつつ、疑問を呈した。
●芋掘り
畑の隅から丁寧にグルナは掘り始める。初めての芋掘りで慣れているメンバーからアドバイスを受けつつ道具を借りた。次は掘り方、芋すぐ上を掘れば危険とはいえ、どの程度離れたところから掘るか?
他を見ると、すごいスピードで収穫をする者もゆっくりやっている者や様々だ。
「あの領域にはどうした行けますか……」
ぽつりつぶやく。
「嬢ちゃん、ゆっくりでいいじゃよ。あれはあれでよし。この芋一つ一つが命の糧になるんじゃよ? 丁寧にきちんととることはじめるんじゃ。速度は後からついてくるじゃろ」
婆が掘って引っこ抜き穏やかな表情で芋を眺める。
その様子をグルナは見てほっと息を吐いた。婆の手ものとを見ていたら、なんとなくわかる。芋を傷つけないように周りを掘り、そして蔦を引っ張る。そうすると、ごろっと芋がついてきた。残っている芋はないか一応確認する。
「ゆっくりでいいですね」
一つずつ動作をかみしめる。まだ先は長いが、きちんと採ることがことが重要なのだ。
「そうじゃ。あっちのお嬢ちゃんもゆっくりだから」
婆が見る先に、紅葉が必死に掘って、掘って、満足そうな顔をしているのが見えた。
「あれ、相当掘ってますよね? 落とし穴でしょうか」
「ほっほっほっ。獣も来るからのう。あれはただの趣味じゃろう」
グルナは再び掘る。そして、少しずつコツがわかってきて早くなる、そして黙々と作業をこなす。
芋掘り競走をしているわけではなかった、最初にあのような合図を紅葉は出したが。
ただ、ディーナとハナは己の欲望に忠実であり、芋やおいしいものが好きなのだ。手早いのは仲間のためであり、仕事のためにもなる。
「芋はなんでもおいしいの。早くたくさんとって、お芋パーティーなの」
焼き芋、蒸かし芋そして干し芋がディーナの脳内を駆け巡る。焼いたときの味、蒸かしたものは塩をつけるとまた格別。干し芋は凝縮された甘みがたまらない。
「ある程度掘れたら、オーブン作って料理の時間ですぅ。もう、胃袋を満たすおいしい料理」
ハナも丁寧に、手早く掘っていく。芋はゴロゴロ出てきた。
「じょ、嬢ちゃん、掘りすぎや」
文太が近くにいる紅葉を見て慌てた。
「え? 芋?」
「いやいや、ある程度離れたところを掘るのはいいんや。が、しかし、限度ちゅーもんあるやろ?」
「……芋、出てこないです」
紅葉はしょんぼりとしている。
「いやいや、そんな悲しそうな顔せんでっ……ちょ、なんか俺がなかした感じになっとんの?」
白亜とミオレスカからじんわりと視線を感じるのだ。エルバッハやグルナと婆からも視線をもらったような気がした。
「まず、埋め戻します」
「ちょ、何かフォローは?」
「はい? 何かありました?」
たぶん、紅葉は注意した内容を聞いていない。声を掛けられたから我に返っただけのようだ。
「いや、何でもない。離れすぎも芋でんよ?」
「そうですね。芋掘りは初めてじゃないんですけど、妹を見ている間に家臣が全員で掘っちゃってましたから」
しみじみと紅葉が言う。
「そうか。ならお初やな……。それにしてもたまにはこういうのもえぇなぁ」
文太は立ち上がって腰を伸ばし、天を仰ぐ。深く吸った空気は土と草と秋の匂いで肺を満たした。
ミオレスカは紅葉が落とし穴でも掘っているのではというのをハラハラして見ていた。それを止める係であるはずの光頼がそばにいない。光頼は紅葉を見つつもせっせと収穫をしている。
「これは?」
ミオレスカは一度、収穫した芋を運ぶついでに光頼のそばに行く。
「松永さん、紅葉さんを見ておかないと危ないですよ……落とし穴を掘っていました」
「え?」
「……」
手を止めて紅葉を見る光頼。
「でも、大江殿も子供ではないですし、冬樹殿が丁寧に説明をしていましたから大丈夫でしょう」
ミオレスカは光頼が微笑むのを見てそのまま戻った。
「どういうことでしょうか?」
恋愛感情が見えるようで見えていない。
「難しいです」
ひとまず芋掘りに専念をした。
白亜はふと目をあげると紅葉が芋掘りではなく罠作りにいそしんでいるように見えた。いや、埋まっているのが長いもなら間違いはない、あの深さ。抜き方に特徴があるはずだと知識を引っ張り出す。
紅葉を止めに走るか悩んでいた。
「どうかしたんですか?」
手が止まっている白亜にエルバッハが首をかしげる。
「いや、なんでもない。あ、うん、解決したようだ」
視線の先を見てエルバッハは納得する。
「紅葉さんですね。埋め戻しているように見えますが」
「穴を深く掘りすぎていたんだ、あの人」
「……そうなんですか。でも埋め戻しているということは後は問題なく行けそうですね」
「たぶん」
「意外と芋掘り初みたいですね」
紅葉が語った声が届いたためエルバッハがつぶやく。
「妹さんにつきっきり……紅葉殿、意外と世話役のが好きなのか」
「かもしれませんね。妹さんとは10ほど離れていたはずですから」
生きていれば、そうつぶやく。
「そうか……家臣も紅葉殿に厳しいようで甘そうだしな」
「抜きやすい芋しか用意していないとか……器用すぎますけどね」
二人は苦笑をしてから、作業に戻る。
●昼食間近
芋掘りの作業を早めに終えたのはハナ。早いとはいえ、引っこ抜いた芋は畑の一人で抜く平均値以上はやり切った。
「オーブンの設置を早速します」
それと合わせてまな板で作業をしやすい台も確保する。
「『たこいもなんきん』の準備よしです。揚げたてうまし、やけどは恐ろしのサツマイモスティックと焼き芋はその合間を縫います」
掘りたての芋をはじめ、持参のかぼちゃは一口大に切り、酒等の調味料とともに水とともに鍋に投入する。柔らかくなったところにタコを入れるのだが、あたりには醤油のいい匂いが漂う。
「うふふっ」
サツマイモスティックは油の温度が重要であるため、火の状況を見る。揚げるのはぎりぎりである。
隙間を縫って焼き芋作りも開始する、たき火は誰も利用しやすい位置に設置した。
紅葉の手が止まる。
「おなかがすきました」
「確かに胃袋を刺激する匂いや……」
日本の夕飯の時間のような匂いでもある。
紅葉は周囲を見た。まだ芋は埋まっているし、ディーナの素早さや光頼の体力に頼ってはいけないと思う。一番遅いのは紅葉である。
「おなかよりも頼まれたことはしないといけません。もう少し頑張りましょう」
「せやな、終わらさんと意味がない」
文太は残りも抜き始める。豚汁を作る予定だが、他の者が作った料理をつまみながらでも問題ないだろうと考える。
動けば汗はじんわりかく。文太は首にかけた手拭いで頬の汗をぬぐった。
「どうしたんですか、ミオさん」
掘っていくうちに場所が近くなったミオレスカに、エルバッハは尋ねる。表情が何かに納得いかないという感じだったのだ。
「分からなくなりました」
「何がです」
「紅葉さんと松永さんのお気持ちが」
エルバッハは2人を見る。2人ともそれぞれのペースで芋掘りを進めている、バラバラな場所で。
「仲はいいのではないのか? 心配したり、一緒にいることも多そうだし」
白亜が芋を掘りながら首をかしげる。
「心配でもいろいろです。友人としてとか妹分としてしか見られないとか」
エルバッハと白亜はうーんとうなる。紅葉と光頼の仲が良くてもそれで終わるか、恋愛が膨れ上がって先に進むかなどは分からないこと。仲が悪いより良いほうがいいに決まってはいる。
「本人に聞けるのが一番だがな」
さすがに無理だと白亜は思う。
「そうですよね、本人たち次第ですし」
「そうですよね……わかりました。ありがとうございます」
エルバッハと白亜の言葉に、ミオレスカはうなずき芋掘りに戻る。仲が悪いわけではないのだし、なるようにしかならない。ちょっとつついてみたい気もしなくはないけれども、難しいさじ加減なのだ。
オノマトペで示すなら「ちまちま」から「ザックザック」に掘り方が変わったグルナ。
中腰での作業に立って運んだり、結構激しい動きに体はくたくたになってくる。それでも太陽の下、黙々と作業することは楽しかった。
調理が始まったために匂いが漂う。
「おいしそうな匂いじゃのう」
近くにいる婆の表情が深いしわに刻まれる。
「本当です。東方の匂いという感じですよね」
「ほっぉほっぉほっぉ。確かに、西方にはないのう」
グルナと婆はせっせと芋を掘りだしていった。おぼろげだった芋料理の状況が分かってきて、やる気がより一層湧いた。
ディーナが手を止めたのは紅葉がやると決めた線の手前だった。あとはすぐに終わりそうで手伝うところもないため、芋パーティーの準備に移る。
「焼き芋、蒸かし芋、干し芋……順番を間違うと大変なの」
芋をリヤカーに載せてから使う芋を選ぶ。これはっ、というものを持って早速調理を開始する前に、炉を作る。すでに道具はあるため簡単だった。草や炭などにハナの火をもらってつけるだけだ。
「蒸かすのも焼くのも時間がかかるの。干し芋を作りながら待つ」
他の料理も魅惑ではあった。
問題は、干し芋の置き場だった。
●食とともに
紅葉が目を丸くして輝かせている間に、ハンターたちは料理を作る。
「楽しみですね」
「ほんにのう」
婆がうなずく。
「まずはこれを食べて待っているといいのです」
ハナがサツマイモスティックを作り上げる。細長く切ったサツマイモを油であげ、塩と砂糖にぶち込むもの。
「アツアツで、なんだか体に染みわたるような熱と味です」
グルナはハフハフ言いながら食べる。
「これはもう温まりましたよ。どうぞ」
エルバッハが温めた缶のスープをコップに入れてもらって食べる。
「食前のスープですね」
紅葉は胃の中かじんわりと温まる。サツマイモスティックを用心しながら口に入れるのも並行してやっている。
「芋が待っています、というより、すでに芋食べてますね……1ついただきます……あっ……」
エルバッハはふと思い出したことが有り、苦笑する。紅葉に促された思い出を話す。
「昔……両親と住んでいた集落の近くに芋が自生している場所がありました。私はハンターになりたかったし、両親が訓練として1人で行かせてくれたんです」
紅葉はうなずく。
「私は1人でやり切ったと思っていたのですが、あとで聞いたら、両親が護衛をつけており、見つからないようについてきていたそうなんです」
「まあ、なんというか……親心もわかります。心配ですもんね……よく爺にやられましたし、妹にやりました」
紅葉が頭を掻く。
「それだけではなく……その時着ていた服に関して両親に護衛だった人たちから苦言があったそうなんです」
「それほど危険ではないのにがちがちのフル装備だったとか?」
「いえ、あまりにも露出が多すぎると」
「……へ?」
羞恥心をなくすためという訓練だったとのことだ。
「……へ、へえええ」
なぜか紅葉は動揺し始めた。紅葉の服装は肌の露出をさせないものを好む。西方に行くからとドレスを着てみる努力をしたがあきらめた経緯があった。鎖骨が見えるだけでも恥ずかしい、足首が出るのもなんとなく不安で、体の線が出る(一般的な部類)でも恥ずかしい。
「……極端なことじゃの」
婆が状況を見てうなずいた。
そうしている間に、別の匂いが立ち上る。
「これは家庭の味って感じですね」
グルナがミオレスカのスープを覗き込んでいう。ソーセージとキャベツに芋、コンソメで味をつけたもの。
「ジャガイモじゃないですけど、味付けとしては合うはずです」
「味見をしてもいいなら確認します」
グルナが許可を得て食べてみると十分おいしかった。
「はい、紅葉さんと松永さんも」
ミオレスカは2人の持つ器によそう。
「ソーセージ! 干し肉以外のものは珍しいのです」
「こういう味付けはないですからね」
紅葉と光頼が食べる。芋の甘みとソーセージの出汁が程よい。
「これでお二人も同じ鍋をつついた仲ですね」
ミオレスカはニコニコと言う。真意が伝わるか否か、たぶん難しい。
「紅葉殿、アルミホイルで包んだ芋ができたぞ」
白亜が炭の中から発掘したのはアルミホイルであり、その中で蒸されたものだ。
「アルミホイル……松永殿、見てください、アルミホイルです!」
「え、そっちに反応が!」
リアルブルーの技術であるために、クリムゾンンウェストにそれど出回っていない。
「熱いです、でも、中は黒焦げになっていないです!」
「火に直接じゃないからうまい具合に蒸し焼きになる」
白亜の説明の横でディーナが塩を用意する。
「塩ちょっと振ると、甘さが倍増しておいしいの。蒸かし芋のお薦め」
ディーナは塩をつけて蒸かし芋をほおばる。
その間も紅葉はアルミホイルに夢中だ。
「ちなみに、奥歯でかむと大変なことが起こると聞きました」
「駄目だ」
白亜が止める間もなく紅葉は自ら実験し、震えていた。
「まあ、大江殿らしくていいというか」
光頼は苦笑した。
「豚汁、できたぞ。さて俺も、一服」
文太は自由によそげるようにお玉を置いたまま、缶ビールを開けた。
「仕事のあとのこの一杯のために生きている……そんな気分。労働後の飯はやっぱりうまいなぁ」
文太は出来上がっている芋や各種汁物類を食べる。青空の下、ひんやりした風も心地よい。
「ふっふっふっ、汁物ばかりなところにこんな一品も。女子には嬉しい栄養がたっぷり」
ハナが説明をしながらたこいもなんきんを皿に盛りつけた。さっそく箸やフォークが伸びてくる。
汁物は多い。それでも内容がばらけており、違う味が楽しめる。おいしいものが食べられる、それがすべて。
「長生きしてみるもんじゃのう。こっちのスープもこっちのおかずも美味じゃ」
婆が舌鼓を打つ。そして、持参の容器に気に入ったものがあれば入れようと少しずつ、全部ほおばる。どれもおいしい。
「これもおいしいの。ああ、駄目、お芋は罪な存在なの」
ディーナは干し芋作成から出来立ての焼き芋をほおばるほうに専念。そして、気になったスープを飲み物代わりに口に含む。胃の中からぬくもりであふれ、太陽の光の中、汗がにじむ。
「ラクレットチーズはどうしようか」
「サツマイモのグラタンもあることですし、試してみてもいいのかもしれませんよ」
白亜はグルナの実験の誘いを受けることにした、あるならあるでやってみたい。
「コーヒーを淹れるのは後だな」
「締めですね」
「茶ではない飲み物は珍しいのぉ」
グルナと婆にうなずき白亜は淹れる準備をして、趣味の絵をかくことにした。思い出の一枚として。
楽しいひとときなのだから。
●それは弱いという
「私は飲めませんが、どうぞ」
ミオレスカはお酒を勧める。青空の下の食事での一杯は気持ちいいだろう、大人もいるのだから。
「わ、久しぶりです。嬉しいです。私、結構強いんですよ!」
ニコニコと一気に飲み干す紅葉は空になった杯を見せる。
なぜか一抹の不安がよぎる。強いと本人が言っているのだからいいじゃないか、とも思う。2杯目を飲んで紅葉はご機嫌だ。顔色は変わっていない。
「紅葉さんが強いなんて知りませんでした。あ、でもそういう機会ありませんでしたね」
事件に巻き込まれた紅葉というのが基本だった。
「ビール飲んでみい?」
文太に勧められて少しもらう紅葉。
「同僚とかとも飲み会あるんですけど、爺たちはおちょこ2杯までっていうんですよ」
空気が凍り付く。
「紅葉さん……たぶん、何かあるんですよね?」
エルバッハが芋を食べていた手を止めて尋ねる。
「さあ? 家で宴会した後、きちんとお布団で目が覚めますよ? ちゃんと寝てます」
「寝る前の記憶は?」
「宴会でした!」
酒癖はともかく、記憶が消えているのではないだろうか。
そんな不安をよそに紅葉はニコニコと追加で飲んだ。
白亜は絵をかきながら違和感を覚え始めていた。
(紅葉殿、顔色は変わっていないが、目がなんとなく……)
「ふふっ、楽しいです」
紅葉は光頼の横に座り、しなだれかかる。
「ちょ、大江殿」
「光頼……すぴー……」
紅葉はとろんとした目で光頼を見上げた直後、寝息を立てた。
「おちょこ3杯以上飲むと、寝てしまう……ということは危険ですよね、いろいろ」
ぼそりとエルバッハが言った瞬間、光頼が冷や汗をかく。
「紅葉殿、幸せそうな顔して……違う!」
白亜は危険だと心底冷える。
「お持ち帰りされるですっ! しかし、好きな男性に運んでもらい、介抱されるという嬉恥ずかしのイベントもありですね……」
ハナは複雑な表情を浮かべた。
「……強いどころか弱い……実はこれは演技ですか?」
ハナは一応紅葉を確認するが、本当に寝ているようだった。
「爺やさんが止めていたというのは……家臣は知っているということですよね」
グルナの言葉を誰も否定しない。
「家臣と飲んでいる間に、これを何度もしている、と。もっと実情をわかるように説明して止めたほうがいいのではないのでしょうか……」
グルナの提案にハンターは無言だが、同意は多かった。
「さてと依頼人が酔いつぶれたが、まあ、それはそれで……リヤカーにそのまま載せて一緒に運ぶのはちぃーとばかりまずかろう。隠せればいいが」
町中を運ぶわけだから。背負っているのも不自然だが、リヤカーの上は妙に目立つはずだ。
「俺らが芋は運んで、兄さんが嬢ちゃんを運ぶ」
「……申し訳ない」
「いやいや、まー、大事なくて……」
紅葉は光頼の腕にしがみついてむにゃむにゃ言っている。
「そろそろ締めじゃの」
婆が余っている物を持参の器に入れつつ、告げる。
白亜は飲みたいという人にコーヒーを淹れる。紅葉が寝てしまったのは複雑な思いだが、楽しみにしてくれている人はいる。
「はっ、もう帰る時間なの? これは……紅葉さんのところに干してもらうのがいいの?」
ディーナは食べると作る欲求を満たし終えたところではあった。
「紅葉さんは酔いつぶれて寝ていますけど、家臣の方に頼めばやってくれますよ」
ミオレスカはディーナの提案を肯定する。
そして、きちんと義務を果たして解散した。後日になるが紅葉に依頼をした上司は安堵していた旨が伝わる。
一方、大江家に干されたディーナの干し芋は無事干し芋にはなった。一部は紅葉が味見をし、一部は大江家のペットが盗って行ったというが、誤差の範疇。
「お味は?」
「おいしかったです」
ディーナは笑顔で干し芋を連れて帰ったのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/10/09 11:59:30 |