ゲスト
(ka0000)
知追う者、芋料理を考える
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在9人 / 1~25人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/10/10 09:00
- リプレイ完成予定
- 2016/10/19 09:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●上司のたくらみ
エトファリカ連邦国天ノ都の陰陽寮の一室で大江 紅葉(kz0163)の上司であり、先輩であり師匠でもある男は予定表をにらみつけていた。
「まずい……これは日程が立たない」
家の息子たちの状況と畑の状況を考える。
息子たちはたまには郊外で羽目を外させておかないとならない。元気が有り余って家の物を壊し、近所の塀に穴をあけるしとやらかし、妻が疲弊しているのが明らかだ。
「……芋掘りをやらせるのはいいが、折られる」
掘らないで引っ張り土の中に芋残す、掘ったら掘ったで折るだろうと想像できる。あれは繊細な仕事だ。
「おはようございます」
ちょうどいいところに紅葉が入ってくる。誰かが積んでいった書類の山を無表情に眺めて、隅に寄せてから業務の支度に入っている。書類片づけ苦手な輩が紅葉に押し付けていくためだった。
「おはよう、紅葉。今日はまた一段と髪がきれいだね。紅葉、休みの時、暇か」
「おはようございます……暇じゃありません」
何かを察した紅葉が守りに入った。内心で舌打ちしながら上司は笑顔を作るが、その分紅葉が壁を築く。
「お前のところに西の機械があるだろう? あれも使えるんじゃないかって話で」
「……汚れるところにはいきませんよ」
「待て! 農具だよな! 何を言い始めるんだ!」
「だって、可愛いリースの運太郎と耕太郎をこれ以上汚すと……掃除が大変です」
「名前あるんだ」
「ありますよ」
「……」
「……」
上司は沈黙した。紅葉も黙っているが、じりじりと心が離れていく。
「芋掘りを頼もうと思ったんだが」
「え? お芋? からいも、サツマイモ? 長いも?」
「……長いも作るのが大変なんだが。掘った分、お前にやる。あとハンターも雇うというか、誘ってもいい。ああ、そうだ、松永殿も誘え」
「予定をお聞きしないとわかりません。え、掘った分もらえるなら……ハンターじゃなくて家臣総出でやります」
紅葉はキラキラ輝く目で告げる。
「……大江家総出はやめて、うちの畑から農作物なくなるんだが……」
頭を思わず抱える上司。
想定が違う。
紅葉やハンターが楽し気に、芋パーティーでもしつつ、全部掘り出し、1人1キロくらいずつ持ち帰りができて、そして、あとはうちに入るという話なのだが。
「あー、干しておけば当分のおやつにもなります」
「……お前の家の越冬用の物品に全部なるのか……」
「一部は『すいーとぽてと』なる食べ物になります」
「あとは焼き芋と大学芋か?」
「もちろんです。師匠にももちろんあげます」
「いやいや……芋も栗も……甘い食べ物に弱かったな」
「はい、今更ですよ」
紅葉の小さいころから見ているから知っている。基本、何でも食べるが特に甘い物は飛びついてくる。
ため息交じりで上司は正直なことを言うことにした、このままでは自分の家の畑の芋が根こそぎ持っていかれるから。
「ですよね、そんなにおいしい話はないですよね」
紅葉はキラキラを飛ばすのをやめ、笑顔で寂しそうに告げる。
「というわけで、まー、お前は余分に持って帰ってもいいから、そういうことだ。その場で食べてもいいが、それに関しては持ち帰り禁止」
「えー、せっかくおいしい焼き芋をトラたちにあげてはいけないのですか」
「せめて、家令にとか言ってくれ……焼き芋の残りくらいならいいから……」
上司は頭痛を覚えたのだった。
●依頼とともに
「松永殿、私がこの日、休みで、上司に芋掘りをして来いと言われたのです。あなたをぜひ誘えというので聞きに来ました。もちろん、無理なら無理でいいです」
紅葉は素直に松永 光頼のところに向かって尋ねる。
光頼は幕府側の人間で武人でもあり、縁がないところに去年偶然の出会いがあって、友人として付き合いは続いている。上司たちや同調した一部の同僚は「光頼と紅葉くっつけよう」と考えているようだが、思うように進捗しない。
紅葉には婿入りが必要であり、光頼は長子である。上司たちは悩むが、彼の弟は兄とは性格は違うがしっかりした人間であるため彼を跡取りにすればいいじゃん松永家という適当さ。その辺は他人だから言いたい放題。
「芋掘りですか? その日は……夜勤明けですが……行けます」
「無理しなくてもいいですよ?」
「いえ、せっかくですし。寝るなら夜でかまいませんから」
紅葉と光頼はほんわかと会話をする。
「最近、お会いすることがほとんどありませんでしたね」
政府に属するとはいえ、所属が違うため会わなくなるととことん会わない。
出会ったのも偶然、縁が続いたのも偶然。
「ハンターの方にお会いしてもなかなかお話する機会もありませんし、のんびりできていいですね」
「はい。で、時間ですけどこんな感じにしました」
昼前後に作業をして食事をして楽しむという内容。
「わかりました。食事……何かおかずとかいりますか」
「芋、あります」
「……そうですね」
芋を掘るのだからそれ以外を食べたい、その場で調理したいとかなければ荷物は不要だった。
その日のうちに紅葉はハンターズソサエティに足を踏み入れる。
「へぇ、吉備様の畑での収穫ですか」
職員は自分も行きたいなと一瞬考えた。なお、吉備とは紅葉のこれまで名もなき上司の苗字でありフルネームは吉備 灯世である。
「へぇえええ」
参加者が紅葉と光頼ということで、何かを察した。ハンターからもそれとなくあの二人いい雰囲気と聞いている。しかし進展がないのは明白なこと。
「ちなみに、その場でふかしても焼いてもいいとのことです。蔦もたくさん出ますから、燃やしちゃいます」
「はいはい」
紅葉はうきうきしている、大量にもらえないとはいえ、その場では食べ放題なのだ。
「まー、半分は残るでしょう。それは師匠のうちまで届けますが、リアカーで行けますでしょう」
「……農具使わないんですか」
「人力で十分です」
芋掘りと芋運びにハンターという人手も借りることとなった。
●上司のたくらみ
エトファリカ連邦国天ノ都の陰陽寮の一室で大江 紅葉(kz0163)の上司であり、先輩であり師匠でもある男は予定表をにらみつけていた。
「まずい……これは日程が立たない」
家の息子たちの状況と畑の状況を考える。
息子たちはたまには郊外で羽目を外させておかないとならない。元気が有り余って家の物を壊し、近所の塀に穴をあけるしとやらかし、妻が疲弊しているのが明らかだ。
「……芋掘りをやらせるのはいいが、折られる」
掘らないで引っ張り土の中に芋残す、掘ったら掘ったで折るだろうと想像できる。あれは繊細な仕事だ。
「おはようございます」
ちょうどいいところに紅葉が入ってくる。誰かが積んでいった書類の山を無表情に眺めて、隅に寄せてから業務の支度に入っている。書類片づけ苦手な輩が紅葉に押し付けていくためだった。
「おはよう、紅葉。今日はまた一段と髪がきれいだね。紅葉、休みの時、暇か」
「おはようございます……暇じゃありません」
何かを察した紅葉が守りに入った。内心で舌打ちしながら上司は笑顔を作るが、その分紅葉が壁を築く。
「お前のところに西の機械があるだろう? あれも使えるんじゃないかって話で」
「……汚れるところにはいきませんよ」
「待て! 農具だよな! 何を言い始めるんだ!」
「だって、可愛いリースの運太郎と耕太郎をこれ以上汚すと……掃除が大変です」
「名前あるんだ」
「ありますよ」
「……」
「……」
上司は沈黙した。紅葉も黙っているが、じりじりと心が離れていく。
「芋掘りを頼もうと思ったんだが」
「え? お芋? からいも、サツマイモ? 長いも?」
「……長いも作るのが大変なんだが。掘った分、お前にやる。あとハンターも雇うというか、誘ってもいい。ああ、そうだ、松永殿も誘え」
「予定をお聞きしないとわかりません。え、掘った分もらえるなら……ハンターじゃなくて家臣総出でやります」
紅葉はキラキラ輝く目で告げる。
「……大江家総出はやめて、うちの畑から農作物なくなるんだが……」
頭を思わず抱える上司。
想定が違う。
紅葉やハンターが楽し気に、芋パーティーでもしつつ、全部掘り出し、1人1キロくらいずつ持ち帰りができて、そして、あとはうちに入るという話なのだが。
「あー、干しておけば当分のおやつにもなります」
「……お前の家の越冬用の物品に全部なるのか……」
「一部は『すいーとぽてと』なる食べ物になります」
「あとは焼き芋と大学芋か?」
「もちろんです。師匠にももちろんあげます」
「いやいや……芋も栗も……甘い食べ物に弱かったな」
「はい、今更ですよ」
紅葉の小さいころから見ているから知っている。基本、何でも食べるが特に甘い物は飛びついてくる。
ため息交じりで上司は正直なことを言うことにした、このままでは自分の家の畑の芋が根こそぎ持っていかれるから。
「ですよね、そんなにおいしい話はないですよね」
紅葉はキラキラを飛ばすのをやめ、笑顔で寂しそうに告げる。
「というわけで、まー、お前は余分に持って帰ってもいいから、そういうことだ。その場で食べてもいいが、それに関しては持ち帰り禁止」
「えー、せっかくおいしい焼き芋をトラたちにあげてはいけないのですか」
「せめて、家令にとか言ってくれ……焼き芋の残りくらいならいいから……」
上司は頭痛を覚えたのだった。
●依頼とともに
「松永殿、私がこの日、休みで、上司に芋掘りをして来いと言われたのです。あなたをぜひ誘えというので聞きに来ました。もちろん、無理なら無理でいいです」
紅葉は素直に松永 光頼のところに向かって尋ねる。
光頼は幕府側の人間で武人でもあり、縁がないところに去年偶然の出会いがあって、友人として付き合いは続いている。上司たちや同調した一部の同僚は「光頼と紅葉くっつけよう」と考えているようだが、思うように進捗しない。
紅葉には婿入りが必要であり、光頼は長子である。上司たちは悩むが、彼の弟は兄とは性格は違うがしっかりした人間であるため彼を跡取りにすればいいじゃん松永家という適当さ。その辺は他人だから言いたい放題。
「芋掘りですか? その日は……夜勤明けですが……行けます」
「無理しなくてもいいですよ?」
「いえ、せっかくですし。寝るなら夜でかまいませんから」
紅葉と光頼はほんわかと会話をする。
「最近、お会いすることがほとんどありませんでしたね」
政府に属するとはいえ、所属が違うため会わなくなるととことん会わない。
出会ったのも偶然、縁が続いたのも偶然。
「ハンターの方にお会いしてもなかなかお話する機会もありませんし、のんびりできていいですね」
「はい。で、時間ですけどこんな感じにしました」
昼前後に作業をして食事をして楽しむという内容。
「わかりました。食事……何かおかずとかいりますか」
「芋、あります」
「……そうですね」
芋を掘るのだからそれ以外を食べたい、その場で調理したいとかなければ荷物は不要だった。
その日のうちに紅葉はハンターズソサエティに足を踏み入れる。
「へぇ、吉備様の畑での収穫ですか」
職員は自分も行きたいなと一瞬考えた。なお、吉備とは紅葉のこれまで名もなき上司の苗字でありフルネームは吉備 灯世である。
「へぇえええ」
参加者が紅葉と光頼ということで、何かを察した。ハンターからもそれとなくあの二人いい雰囲気と聞いている。しかし進展がないのは明白なこと。
「ちなみに、その場でふかしても焼いてもいいとのことです。蔦もたくさん出ますから、燃やしちゃいます」
「はいはい」
紅葉はうきうきしている、大量にもらえないとはいえ、その場では食べ放題なのだ。
「まー、半分は残るでしょう。それは師匠のうちまで届けますが、リアカーで行けますでしょう」
「……農具使わないんですか」
「人力で十分です」
芋掘りと芋運びにハンターという人手も借りることとなった。
解説
吉備家の芋畑で収穫を楽しむ
●当日
集合場所、天ノ都郊外の吉備家の芋畑。
集合時間、午前10時。解散午後2時。
昼ご飯は各自の判断、芋はその場で焼いたり煮たり食べることは可能。
大きさ便宜上60×60メートル。周囲は広めのあぜ道がある。
リアカーは紅葉と光頼が引っ張って持ってくる、鋤や鍬、鎌など必要そうな道具は用意してあります。
●参加NPC
・大江 紅葉 陰陽寮の役人。知るということには貪欲で、見知らぬ本を見ると飛びついて読み終わるまで動かない大江家の主。
・松永 光頼 武人であり、【東征】のとき紅葉の監視役を務めたのが縁で付き合いがある。紅葉のことは気になっている様子ではあるが実際は不明。中肉中背、顔だち平均的、質実剛健、誠実でまじめなタイプ。なおシナリオでは「少年、知追う者に依頼する」以降登場していません。
●別に……
二人の関係を進めようとしなくてもいいです、なるようにしかなりません。
PCさんは野外芋パーティーを楽しんでいただければよいです。
なお、お連れ様と参加の場合、ID、呼び方、簡単な関係があれば、プレイングに記載いただければ幸いです。
●当日
集合場所、天ノ都郊外の吉備家の芋畑。
集合時間、午前10時。解散午後2時。
昼ご飯は各自の判断、芋はその場で焼いたり煮たり食べることは可能。
大きさ便宜上60×60メートル。周囲は広めのあぜ道がある。
リアカーは紅葉と光頼が引っ張って持ってくる、鋤や鍬、鎌など必要そうな道具は用意してあります。
●参加NPC
・大江 紅葉 陰陽寮の役人。知るということには貪欲で、見知らぬ本を見ると飛びついて読み終わるまで動かない大江家の主。
・松永 光頼 武人であり、【東征】のとき紅葉の監視役を務めたのが縁で付き合いがある。紅葉のことは気になっている様子ではあるが実際は不明。中肉中背、顔だち平均的、質実剛健、誠実でまじめなタイプ。なおシナリオでは「少年、知追う者に依頼する」以降登場していません。
●別に……
二人の関係を進めようとしなくてもいいです、なるようにしかなりません。
PCさんは野外芋パーティーを楽しんでいただければよいです。
なお、お連れ様と参加の場合、ID、呼び方、簡単な関係があれば、プレイングに記載いただければ幸いです。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
芋掘りしてみることにしました。芋掘る、そして食べる……が今回のシナリオです。イラストは稲ですが、心の中で芋畑にしていただければ幸いです。
なお、報酬を寸志としたのは配布できる芋商品がなかったので、その代わりです。リプレイでは「芋を渡した」というような表現にはなると思います。
現在の二人の関係は友人として良好、紅葉からは「頼りになる素敵な人」、光頼は「目の離せない危ない人」です。
よろしくお願いします。
芋掘りしてみることにしました。芋掘る、そして食べる……が今回のシナリオです。イラストは稲ですが、心の中で芋畑にしていただければ幸いです。
なお、報酬を寸志としたのは配布できる芋商品がなかったので、その代わりです。リプレイでは「芋を渡した」というような表現にはなると思います。
現在の二人の関係は友人として良好、紅葉からは「頼りになる素敵な人」、光頼は「目の離せない危ない人」です。
よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/10/17 07:19