• 初心

【初心】南瓜雑魔を追いかけて

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
LV1~LV20
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/10/13 09:00
完成日
2016/10/21 06:57

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 秋と言えば収穫祭。
 ある村では、今年、ハロウィンの時期とも重ねて祭りを盛大に行う事にしていた。
「……毎年、なんで雑魔に襲われるのじゃろうか」
 長老が集まった村人らを前にそんな言葉を発した。
 村人らは疲れきった顔で頷く。
「お前が憑かれてるからじゃねぇ?」
「いや、偶然……だぜ」
 一人の若い村人の男が震える。
 この男、二年前は倉庫や小屋で、昨年は養殖場で、雑魔に遭遇していた。もはや、村人からのは、なにか憑いているのではないかと言われていた。
「このままだと祭りは中止になるかもしれん」
 村の周囲に『散乱』した雑魔のせいで危険と判断されれば、当然の事だろう。
 今は人的な被害は無いが……。
「まさか、祭りで使うカボチャが雑魔になるなんて」
 男は祭りの準備の為に、魔導冷蔵庫を備えた馬車で大量のカボチャを買いに行ったのだ。
 悲劇は村に帰る途中の事であった。どういう訳か、カボチャが雑魔化したのだ。
 なにも無い所から、雑魔は出現しない。マテリアル汚染による異常により発生するケースもあるのだ。恐らく、魔導冷蔵庫からなにかよろしくないものが漏れていた可能性もある。
「……馬車もダメになったし」
 魔導冷蔵庫の馬車は、雑魔によって壊されている。
 そして、街道や村の周囲に雑魔が『散乱』してしまったのだ。
「おヌシよ、責任持って、最寄りのハンターオフィスまで行ってこい」
「やっぱり、そうなりますよね……」
 男が諦め気味に言った。


 ハンターオフィスで、一組のハンターが依頼書を確認していた。
「雑魔討伐依頼か。ハンターっぽい仕事だな」
 いかにも駆け出しですという雰囲気の青年が言う。
 張り出されていた依頼の数々の中、興味を引いた依頼は――カボチャ雑魔の討伐――だった。
「まぁ、この程度であれば、太郎でも問題ないでしょう。私も同行しますね」
 そう宣言したのは、青年の横に並んでいた少女だった。
 ユグディラをモチーフにした杖を持っているが、どう見ても、胴体の長い猫を抱えているようにしか見えない。
「太郎じゃねぇって言ってるだろ!」
 名前を呼ばれた青年は、大声で否定して返した。
 そして、親指を自身の顔に向けて名乗る。
「俺の名は、キロウ・タズスだって言ってるだろ」
「……自称ですよね。ハンター登録は鈴木太郎じゃないですか」
「その名前で呼ぶ、な」
 何かに耐えるようにグッと堪る青年。
「なんでですか?」
「それは……そう、真の名を発すると、俺に封印されている巨大なる悪の力が、徐々に表出するからだ」
「……はいはい」
 呆れながら少女は依頼書を手に取る。
 この青年の話に付き合っていたら、話が進まないからだ。
「では、依頼を受けますよ」
「お、おう。まぁ、俺に任せておけ!」
 自信満々に言う青年に向かって少女は言った。
「……そんな台詞は全開のチャックを閉じてから言うべきだと思います」
「早く言えよー!」


「集まっていただいたハンターの皆様、よろしくお願いします」
 村人がハンター達に丁寧に頭を下げた。
 変わってハンターオフィスのスタッフが資料を配る。
「では、詳しい話は、私から。皆様には村の周囲に『散乱』した雑魔の討伐が目的となります」
 正面のモニターには村と周辺のイメージが表示された。
 その映像の中に雑魔の姿が確認できる。
「……なんだ、ありゃ」
 そんな事がハンター達の中から聞こえた。
 そう思うのも無理もない。
 雑魔の姿は、カボチャに人の手や足が生えたような姿をしていたのだ。
 二足歩行で草原を走り回っている姿は滑稽というか、気持ち悪い。
「戦闘能力はさほど高くないみたいですが、見ての通り素早い動きで草原に潜伏しています」
 スタッフが解説を始める。
 手元の資料にも同様の事が書いてあった。
「村の周囲は草原や林などが広がっています。この周囲を探索し、雑魔を見つけ出して討伐します」
 単純に戦うだけではなく、効率よく雑魔を見つけ出して倒す必要があるのだろう。
「また、今回の報酬には特別報酬が設定されています」
 雑魔を10体以上討伐している時点で、11体目から1体当たりの追加報酬が決まっているという。
 当然の事ながら、倒せればの話だが……。装備やスキルの回数なども考慮する必要があるだろう。
「それでは、皆様のご武運をお祈りします」

リプレイ本文

●探索開始
 村に到着したハンターらは、聞き取りや準備も終え、いよいよ雑魔退治へと乗り出す。
「……南瓜が雑魔になるなんてね……まあ、何とかなるか……」
 五百枝春樹(ka6324)が弓と拳銃の具合を確認しながら呟いた。
 秋になると収穫される南瓜。
 煮てもよし、焼いてもよし、揚げてもよし、更にはスイーツにしてもよしなのだが、さしずめ、南瓜の逆襲といった所か。
「カボチャのう、もうそんな季節なんじゃのう……煮物もようさんこさえんとなあ」
 しみじみと言ったのは婆(ka6451)だった。
 荷物の中に甘いものや昼食の弁当が入っている事を、ゆっくりとした動作で一つ一つ確認している。
 その隣では、マシュマロ・ホイップ(ka6506)が出発もしていないうちからお菓子を幸せそうな表情で口にしていた。
「マシュ、頑張ります!」
 食いしん坊キャラ――ではなく、単なる甘い物好きのようだ。
 頑張る内容が雑魔退治なのかどうかは、本人しか分からない所だが……。
「原因究明はさておき、目の前の問題を片付けない事には、後の事も考えられませんよね」
 冷静にそんな言葉を告げるルシエラ・リウエルム(ka5165)。
 今回は村の周囲という事もあり、探索は複数の班分けで臨む事になっている。可能な限り、まずは雑魔を討伐する必要があるだろう。
「リウエルムさんが一緒に来てくれるみたいだから……同じ疾影士みたいだし、動きのお勉強もしたいな」
 スフィル・シラムクルム(ka6453)がチラっとルシエラの方に視線を向けながら呟く。
 雑魔と遭遇すれば戦闘は必然。同職の動きを見るのは有意義な事だろう。
 やる気溢れるハンター達の中で、フォル(ka6216)がただ1人、おどおどとしていた。
「……う。やっぱり他種族の人って、何となく怖い……」
 参加しているハンターの半数は鬼なのだが、やはり、怖いものは怖い様子だ。
「でも、これからもお仕事させてもらうなら慣れなきゃ」
 ぐっと拳を握り、そんな決意を宣言したのだった。

●川原―探索
「見た目は、確か……南瓜に、そのまま手足が生えただけ……でしたか……」
 奇妙な形だと思いながらルシエラは川原での探索を続けていた。
 注意深く視界内を見ながら、水辺や岩の隙間を確認していく。迷彩的な感じで緑のありそうな所や水の中までじっくりと。
「川を流れてくる……なんてことはないわよね?」
 同様に川原を探索中のスフィルが、川の上流に向かって視線を向けた。
 桃でもあるまいし、南瓜が流れてくるのは絵にはならなそうである。おまけに手足の生えている南瓜だ。泳いで川下りしていたら可愛くもない。
「鞠やボールみたいに、飛び跳ねたりする様でしたら、多少は可愛げもあったかも知れませんのに……」
 ルシエラの言う通りである。
 手足があるという事は想像できない場所に入り込んでいる可能性も否定できない。スフィルは連れてきた愛犬――アニエラ――を撫でていた。
「確か、プードルって、もともとは水辺での猟犬だったって話聞いたことあるわ」
 その為の独特なカットなのだ。水に飛び込む事だって出来る。
 試しに南瓜の匂いを覚えて――。
「……上手く行かなかったら行かなかっただし」
 川の中に飛び込んで楽しそうな顔を向けてくる愛犬を眺めるスフィルだった。

●草原―探索
 風が吹き、草原がなびいた。
 その動きをフォルは見つめている。
「きっと、風に吹かれてる動きとは違う動きをしてるはずだもん」
 南瓜雑魔が動けば草が動くはず。それは風による動きとは明らかに違うだろうから。
 万が一、見つからなかったら、もう占いでもしようかなと思う。
「いかに見通しがよくても……油断は禁物だからね」
 春樹もだだっ広い草原を見渡していた。
 覚醒者としてのスキルも使って違和感や気配がないか探る。
「敵は、何があっても見つけて狩る……っ!」
 相手が南瓜だろうか大根だろうか、雑魔と化しているのだ。
 村人らの為にも倒さなければならない。
 その時、連れてきた犬が吠えた。見つけだしたのか偶然かは分からないが、雑魔を見つけたのだろう。
「お昼は後になるかな……」
「そうだな、先に倒してしまおう」
 そろそろ昼食かなと思ったフォルが荷物を置き武器を構える。春樹も弓を素早く構えた。

●林―探索
「タルト~」
 マシュマロがペットの名を呼んだ。が、何かに夢中なのか、戻ってくる気配がない。
 仕方なく、ふりふりとした尻尾が見える所まで歩く。
「簡単には見つからんようじゃ」
 婆がそんな言葉を呟きながら、幹の裏側や木の上などを探る。
 見るだけではなく、小さな音や生き物が動くような音がないか耳も立てた。
「……短伝話あたりも、役に立っておるんかおらんのか」
 切り株の上い置いた魔導短伝話は電源をつけているが反応はない。
 雑魔や歪虚が居ればノイズが入る事もあるからだ……けっして、置き忘れではない。
「なんだろう、なにかの足跡かな?」
 足元に残った奇妙な足跡のようなものにマシュマロが首を傾げた。
 すぐ婆が下草を跳ね除けながらやって来た。
「雑魔の足跡かもしれんのじゃ」
「それじゃ、これを辿れば」
 見つける事が出来るかもしれない。真っ直ぐと伸びる奇妙な跡を視線で追った先――南瓜が“立って”居たのだった。

●川原―戦闘
 無数の砂利が音を立てて跳ねた。
 突進してきた南瓜雑魔の攻撃を素早い動きで避けつつ、ルシエラは別の南瓜雑魔の裏に回った。
「スフィルさん、任せました」
「はい、リウエルムさん」
 短く返事をすると、先ほどルシエラを狙ってきた雑魔に対して強力な蹴りをお見舞いする。
 吹き飛んだ雑魔は大岩に直撃するとぐしゃりと潰れるように消えていった。
「これなら」
 雑魔に対し立て続けに攻撃すると、反撃を岩を巧みに蹴って逃れる。
 叩きつけようとして伸ばした雑魔の手が空を切った。
「甘いですわよ」
 舞うようにクルクルとスフィルが身体を捻らせながら回し蹴りを伸びてった手に直撃させる。
 怯んだ所をルシエラが止めの一撃を叩き込んだ。
 そして見惚れする動きでダガーを構え直す。視線の先にはまだ南瓜雑魔が居るからだ。
「まだまだ、居るみたいですね」
「次も邪魔にならないように気を付けながら援護するわ」
 二人の疾影士が同時に駆ける――。

●草原―戦闘
 豪快な音と共に転がる南瓜の雑魔。
 フォルが殴り飛ばした所だった。
「当たった!」
 跳ねるように避ける雑魔に拳が直撃したのだ。
 ゴロリゴロリと転がって離れた所で、背後から別の雑魔が襲って来る。
「しつこいですよ」
 攻撃に耐えながらフォルは符を取り出した。
 そこへ、転がっていった雑魔が逆襲してくる。
「……全てを打ち抜く……っ!」
 マテリアルが込められた矢が、寸での所で雑魔を貫いた。
 春樹が放ったものだった。
「数が多いけど、無理せずに」
「分かりました」
 一体一であれば苦戦しないのだ。
 確実に敵の数を減らす為、フォルは符を掲げた。
 光弾を飛ばす符術だ。本当はここで使う予定ではなかったが、この状況では仕方がない。
「接近すれば勝てると思いましたか」
 咄嗟に春樹は弓から拳銃に武器を持ち替えた。敵の動きを制する為、足に狙いを定める。
 二人の戦いはまだこれからが本番だ。

●林―戦闘
 魔導機械のドリルが唸った。
 雑魔がぐしゃっと削れる。
「破片も残らないなんて!」
 雑魔と化した南瓜が食べられるのかどうかと思っていたが、これは食べられそうにない。
 削った破片は粉々に消え去ってしまうのだから。
「おばーちゃん!」
 削ったはずの雑魔がぴょんと跳ねて婆に向かうので、思わず声に出すマシュマロ。
「おう、おう、大丈夫じゃ」
 婆はゆっくりとした動作であるが、身体をスライドさせて攻撃を避けると、慣れた手つきで拳を繰り出す。
「はよう倒して割って煮物かのう。いやいや、焼こうかのう。いずれも美味そうじゃなあ」
 やはり雑魔は食べられる……という訳ではなく、雑魔化していない南瓜の話かもしれない。
 拳で叩き込み、幹にあたって跳ね返った雑魔。
「マシュも頑張るから!」
 どんと踏み込み、ドリルの先端で突く。
 とまらず転げた所を婆が引っつかんだ。
「硬い南瓜は硬い者同士でぶつけるのじゃ」
 そして、渾身の力を込めて別の南瓜雑魔へと叩きつけたのであった。

●川原―終了
 探し出しては、岩場の間を走って逃げ、時には隙間に入り込んだ雑魔を引っ張りだして、戦闘は続いた。
「小出しになると思ったより骨が折れるのですね」
 時には川の中にまで入って探していたせいか、水に濡れながらルシエラは言う。
 いっぺんに出現してくれればいいのだが、こればっかりは偶然というか運だ。
「これだけ探しましたし……これで最後だと……」
 自信なさげにスフィルが口にしながら、最後に現れた雑魔に対して構える。
 スキルはだいぶと使ったが、まだ使い切っていない。マテリアルが枯渇する前に一気に勝負をつけたい所だ。
「見慣れたら可愛いかなって思いましたけど、やっぱり、そんな事はないみたいですね」
「同感です」
 脛毛がもじゃもじゃした南瓜雑魔が二人目掛けて走り向かって来る。
 もはや、気持ち悪い分類に入るかもしれない。
 掛け声と共にスフィルが雑魔を蹴り上げ、無防備になった所をルシエラがダガーで切り刻む。手足を震えさせながら、雑魔は消え去っていった。
 それを見届けてルシエラは周囲を見渡した。
「これで終わりかしらね」
「一度、村に戻ります?」
 ルシエラの台詞にスフィルが疑問で返す。
 川原一帯での探索は十分に行われたはずだ。ルシエラはダガーを鞘に納めながら頷いたのだった。

●草原―終了
 戦いは草原でも続けられていた。
 だが、川原と違う点は、雑魔の数が極端だった事だ。居ない時は居ない。だが、居る時は都度多く出るのだ。
「……痛いです」
 涙目でフォルが言った。
 言った所で痛みが和らぐ訳ではないのだが、言わずにはいられない。単体では大した事はないが、やはり、複数集まるとなかなかに脅威である。
 体内のマテリアルを活性化させて、生命力を回復出来なかったら、討伐を切り上げていた所だ。
「これ以上無理はできない、ですね。僕も前に出ます」
 拳銃を構えて、フォルと背合わせになるように立ち位置を変えた。
 これで、お互いで背中を守りながら、雑魔へ対処できる。草原で見通しも良い分、いろんな方向から敵も襲って来るからだ。
「他の所がどうなっているか気になりますね」
 フォルが符を構えながら言った。
 川原と林の方に向かった仲間と連絡は取れていない。
 音信不通という訳ではなく、単に距離が離れすぎているからだ。心配する必要はないかもしれないが、どちらかと言うと、倒した数の方が心配になる。最低でもハンターオフィスから提示されている数は倒さなければならない。
「一段落したら、連絡ですね」
 拳銃を放ちながら春樹が淡々と言う。
 必要であれば手伝う場合もあるだろうし、逆に、こちらを手伝って貰う事にもなるかもしれない。
 どの道、今は目の前に現れた新手の雑魔を倒さなければならない事は確実だった。

●林―終了
「カボチャは好きだけど、容赦しません!」
 グリグリグリと南瓜雑魔にドリルの先端を捻り込むマシュマロ。
 それでも手足をばたつかせて暴れ――逃げるように転がる雑魔。
「逃がさんのじゃ」
 婆が拳を煌めかせた。
 マテリアルが拳の先から放出された。
 それは雑魔に直撃すると、呆気ないほど南瓜が四散して消え去った。
「おばーちゃん、凄い!」
「なんか出たのじゃ」
 何が出たと言われるとマテリアルが出たのだが……婆は拳を握り直すと、再びマテリアルを集中する。
「わしが料理するでのう。ホイップちゃんは集めてくるのじゃ」
「うん、分かった!」
 木々の間を抜けるように駆けてマシュマロが雑魔に迫ると引き寄せる。
 なるべく手足を狙って動きを鈍らせならが、婆の前に誘導すると、婆の渾身の一撃が叩きつけられる寸法だ。
「そうじゃの……揚げても美味そうじゃのう」
 そんな事を言いながら婆の拳が唸る。
 頭の中は今日の夕飯の献立も考えながらなのだろうか、婆恐るべしだ。
「最後の一匹みたいだよ」
「倒したら昼にするかのう」
 陽は高い位置にある。
 既に昼は過ぎてしまっただろうが、討伐戦が終わってからゆっくりと昼ご飯にするのも悪くはないだろう。

●終結とランチ
 南瓜の雑魔を討伐してハンター達はそれぞれの探索場所から戻って来た。
 その討伐数は合わせてればハンターオフィスから求められていた数の倍以上になるだろう。追加報酬も期待出来そうである。
「村の中も、村周辺にも、もう雑魔は居ないって占い結果が出てるみたいだよ」
 フォルが符を整理しつつ仲間に告げる。
 符術師が用いる占術だ。必ずしも完全ではないが、この討伐数の結果も合わせれば十分なはず。今から改めて村の中や村の周囲を探索に出る必要はない。
 なので、フォルは荷物の中に符を入れて代わりに昼食に持ってきた物を取り出す。
「お昼は、チーズサンドを食べるよー。他の乳製品も持って来れたし、村からも貰ったし」
 一方、春樹は、探索を手伝ってくれた2頭の柴犬の頭を小さく撫でていた。
「……お疲れ」
 2頭とも嬉しそうに尻尾をぶんぶんと振っていた。
 正式な訓練を受けた犬と比べたら、どの程度活躍したか分からないが、連れてきた意味はあるだろう。
「しばらくは、南瓜を見たくないですね」
 ルシエラがそんな事を言いながら、村人が用意してくれた南瓜料理に手を伸ばす。
 煮物にスープに焼き物に、ケーキと南瓜だらけだ。
 今シーズン分の南瓜は十分に味わったつもりだ。
「この南瓜のケーキ、美味しいわ」
 南瓜特有の甘みと香りを楽しみながらスフィルがパンプキンケーキを口に運ぶ。
 村人らはハンター達の討伐結果に満足しているようだった。これで、収穫祭は予定通り行われるだろう。
 そういう訳で休憩を兼ねて遅い昼食を摂るハンター達への差し入れだった――南瓜料理ばっかりという所がなんとも言えないが。
「ほうれ、食べんしゃい。体力もたんぞい?」
「おばーちゃん、マシュのマシュマロもあげますっ」
 婆とマシュマロの二人が持ってきた甘い物を交換していた。
 一仕事終えた後の甘い物は格別でもあった。幸せそうに食べるマシュマロ。
「マシュ達が働くことで、助かる人がいっぱいいるんですねっ」
「その通りじゃ」
 何度も頷きながら応える婆にマシュマロは満面の笑みを浮かべた。
「それってなんだか、とっても素敵なことだと思うのっ」
 困った時に頼りになる存在――それが、ハンターなのだ。マシュマロの言葉に婆は再び頷いた。


 ハンター達の活躍により、村の周囲に出没した雑魔はあらかた全滅させた。
 村は収穫祭を予定通り行う事ができ、ハンター達は意気揚々とハンターオフィスに帰還するのであった。


 おしまい。

依頼結果

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MVP一覧

  • 水も滴る
    ルシエラ・リウエルムka5165
  • 婆の拳
    ka6451

重体一覧

参加者一覧

  • 水も滴る
    ルシエラ・リウエルム(ka5165
    エルフ|21才|女性|疾影士

  • フォル(ka6216
    鬼|10才|男性|符術師
  • 静寂の猟撃士
    五百枝春樹(ka6324
    人間(蒼)|18才|男性|猟撃士
  • 婆の拳
    婆(ka6451
    鬼|73才|女性|格闘士

  • スフィル・シラムクルム(ka6453
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
  • ましゅまろ!
    マシュマロ・ホイップ(ka6506
    鬼|12才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/09 00:54:53
アイコン 南瓜雑魔退治に向けて
ルシエラ・リウエルム(ka5165
エルフ|21才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/10/12 23:15:24