ゲスト
(ka0000)
水場にたむろする狼の駆除を……!
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/10/12 07:30
- 完成日
- 2016/10/17 13:42
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●集落の水瓶を奪われて……
そこは、王都イルダーナと自由都市同盟を東西に結ぶ街道上にある集落。
最近、巡礼者を襲う狼雑魔がいるという話は集落民も重々承知しており、王都に向かう巡礼者へと注意を促していた。自分達もまた襲われる可能性がないわけでもない。実際、狼に狙われる集落民もおり、個人での遠出は控え、可能な限り固まっての移動を推奨していた。
というのは、この雑魔は不必要な数で群れないという、狼としては妙な習性を持っている。狼雑魔を率いるリーダーが大きな集団を監視し、数を調整したりしているという分析、調査もされているようだ。
とはいえ、集落民にはそれ自体はあまり関係ない。聖堂戦士団やハンターがその殲滅してくれることを期待しつつ、日々を暮らすのみだ。
――しかし、ある日、その脅威は直接集落の人々を苛むこととなる。
「狼どもが近場の水場へと移動してきた……だと?」
報告を聞いた村長が苦い顔をする。どうやら、聖堂戦士団が行う狼雑魔殲滅作戦の流れで、一部の雑魔が住処を変えてきているようだ。街道も近いこの村で、巡礼者を狙う機会を狙っているのかもしれない。
大きな群れではないようだが、そいつらは村の裏手にある泉の付近に鎮座し、動く様子がない。自分達も利用する水瓶を奪われた状況。このままでは、集落はすぐに危機に瀕してしまう。狼が徐々に数を減らしているのはいいことだが、こうして自分達の身に直接危険が及ぶとなれば……。
幸いにも、今、ハンターズソサエティで依頼を受けているハンターがいただろうか。事情を説明して聖堂戦士団を呼ぶよりは、圧倒的に早いだろう。
「背に腹は変えられぬ。そのハンター達に討伐を依頼するのだ」
村長はそうして、村の若者にハンターズソサエティで依頼をしてくるよう指示を飛ばす。自身は改めて状況を確認すべく、別の若者にできるだけ大人数で狼の様子を窺うよう話すのだった。
そこは、王都イルダーナと自由都市同盟を東西に結ぶ街道上にある集落。
最近、巡礼者を襲う狼雑魔がいるという話は集落民も重々承知しており、王都に向かう巡礼者へと注意を促していた。自分達もまた襲われる可能性がないわけでもない。実際、狼に狙われる集落民もおり、個人での遠出は控え、可能な限り固まっての移動を推奨していた。
というのは、この雑魔は不必要な数で群れないという、狼としては妙な習性を持っている。狼雑魔を率いるリーダーが大きな集団を監視し、数を調整したりしているという分析、調査もされているようだ。
とはいえ、集落民にはそれ自体はあまり関係ない。聖堂戦士団やハンターがその殲滅してくれることを期待しつつ、日々を暮らすのみだ。
――しかし、ある日、その脅威は直接集落の人々を苛むこととなる。
「狼どもが近場の水場へと移動してきた……だと?」
報告を聞いた村長が苦い顔をする。どうやら、聖堂戦士団が行う狼雑魔殲滅作戦の流れで、一部の雑魔が住処を変えてきているようだ。街道も近いこの村で、巡礼者を狙う機会を狙っているのかもしれない。
大きな群れではないようだが、そいつらは村の裏手にある泉の付近に鎮座し、動く様子がない。自分達も利用する水瓶を奪われた状況。このままでは、集落はすぐに危機に瀕してしまう。狼が徐々に数を減らしているのはいいことだが、こうして自分達の身に直接危険が及ぶとなれば……。
幸いにも、今、ハンターズソサエティで依頼を受けているハンターがいただろうか。事情を説明して聖堂戦士団を呼ぶよりは、圧倒的に早いだろう。
「背に腹は変えられぬ。そのハンター達に討伐を依頼するのだ」
村長はそうして、村の若者にハンターズソサエティで依頼をしてくるよう指示を飛ばす。自身は改めて状況を確認すべく、別の若者にできるだけ大人数で狼の様子を窺うよう話すのだった。
リプレイ本文
●集落の近場に現れた狼雑魔
リンダールの森を臨む、街道沿いの集落。
そこに集まっていたハンター達は、顔を合わせて挨拶を交わしながらも、状況の確認を行う。
「どうも、最近は色気を出してしまっている気がして」
リアルブルー出身のアメリア・フォーサイス(ka4111)。彼女は最近、個人的な戦闘基礎が疎かになっていると実感した為、参加したのだそうだ。
「もっと謙虚に。私が出来る事を完璧に遂行出来るように。初心忘れるべからずですね」
それも主要な目的ではあるが、アメリアは仕事後の癒しも求めて参加している。
「狼の雑魔が水場を占拠……ねえ」
「犬は好きなんですけど、流石に懐きませんかね? 雑魔にさえなってなければ……」
セレス・フュラー(ka6276)は話を聞き、ううんと唸っている。和泉 澪(ka4070)はというと、狼が雑魔となっていることを残念がっていたようだ。
「またアイツらか。ホントしつこいな、狼ってやつらは!」
村人を守らねばならぬが、自身をウサギと自称している玉兎 小夜(ka6009)は誰かを守ることは出来ないと考えている。
「だから、敵を細切れにすることで守るよ!」
小夜はきらりと目を光らせた。
「はぐれとはいえ、まさかこんなところにまで狼がいるとは……」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は最近、祖父へと聖堂戦士団からの狼討伐依頼を託していたのだが、狼の活動に危機感を抱く。
(この調子でだと、騎士団にも話をして王国全体で取り上げたほうがいいんじゃないか?)
対処が容易なうちに、早めに対処すべきではないか。彼女はそんなことも考えていた。
「行きましょうか。早く集落の方々にも安心して頂きたいですし」
微笑を浮かべる、ユキヤ・S・ディールス(ka0382)。ともあれ、狼を討伐せねばと、彼は仲間と共に動き始めるのだった。
ハンター達はさらに、雑魔討伐の為の準備を進める。
「……今の所、敵数はどれだけでしょうか……?」
ユキヤは詳しい状況を村長から聞いていた。水場の場所、そして、狼の動き、布陣など、ある程度状況を把握した彼は村長へと丁重に礼を告げて立ち上がる。
「では、僕は殲滅に動きます。村人さんの事は任せますね……!」
仲間と合流したユキヤはそれを仲間達へと伝えた上で、仲間との連絡用にと、魔導短伝話とトランシーバーの両方の状況を確認していた。
(集落の人達が安心できるよう、そして、危なくないように。ボクが傍について、皆を守らないとね)
右目の眼帯が目を引くオシェル・ツェーント(ka5906)は率先して討伐するよりも、集落の人々の守りを考えている。
仲間は狼が集落を考え、配慮しつつ全滅を目指すという。ならば、集落のことを考え、討伐にいかずに集落の人々のそばにいようと考えたのだ。
「大丈夫、落ち着いて」
狼に怯える人もいるだろうし、好奇心応戦な人が狼とハンターの交戦を見に行こうとするかもしれない。そういう人をなだめようとオシェルは接する。
その他のメンバー達は、狼が集まるという水場へと移動していた。
欠伸すらしている狼達へ、斬魔刀を水平に構えた小夜が真っ先に突撃していく。覚醒したことで、側頭部に白いロップイヤー、そして、同様の白い尻尾を腰下部に垂らした彼女は大型の狼を貫き切った。
「こんにちは、ヴォーパルバニーです!」
襲撃してきたハンター達に、狼達はやや戸惑いながらも戦闘態勢をとろうとするが、メンバー達はその隙を逃さない。
刹那、瞳を金色に輝かせた鞍馬 真(ka5819)もまた、大型を狙って正面から切り込む。
「まあ、きみ達にも生き残りたい、という思いがあるのだろうが……。悪く思うな」
強く踏み込んだ彼は魔導拳銃剣「エルス」を握り締め、渾身の一撃を大型へと叩き込んだ。
自身の周囲に風を吹かせるセレス。髪を腰の辺りにまで伸ばした髪を靡かせながら、彼女は狼へと呼びかける。
「御寛ぎの所、失礼しますね」
ユキヤもまた、敵が本格的に動く前にと一気に突っ込む。
話によれば、この狼の群れにはリーダーすらいないという。微笑を浮かべる彼は発する光の波動によって、狼達に衝撃を与えた。
「悪いけど、さっさと水場からどいてね」
狼が生きているならばともかく、水場は生者優先だと、セレスは狼達へと呼びかけた。
(……そういやこれ、最近お姉様がよく相手してるやつらと同系統の連中かな?)
とはいえ、今はそんな事は関係ない。今はこの狼の討伐、村の防衛が先だと、セレスもまた小型に仕掛けるのである。
●水場を、集落民を守れ!
一方、集落では、残っていたオシェルが集落の人々へと、一つの家に集まってもらうよう声がけしていた。
これは、もし、狼が集落へとやってきた場合、それぞれの家にいるよりも守りやすい上、気にも掛けやすいとのオシェルの判断からだ。
「できるだけ、身を隠しておいてほしいな」
身を屈め、子供達は押入れなど、姿が直接見えない場所へと優先的に避難させる。
オシェルは実際に戦うメンバーと魔導短伝話で連絡を取り合いつつ、外の様子を自身でも窺う。
「ふふ、そうなんだ」
怯える人々の気を紛らわせる為に、人々の日常的な話などを聞いていた。話のネタがなくなったタイミングでは、オシェルは泉でのエピソードなどを聞いていたようだ。
水場では、激しい戦いが始まっていた。
食らい付いてくる狼の牙には麻痺成分が含まれている。前足の爪から注入される毒もかなり厄介だ。
だからこそ、比較的開けた、それでいて足場がしっかりとした場所をアルトは選んでいた。覚醒したアルトは、瞬時、鳥の形となった炎のオーラを自身と武器に纏うと、彼女の瞳と腰まで伸びた髪も赤く染まる。
水場付近の足場はややぬかるんでいる。その為、アルトはやや引いた位置で狼と交戦を始め、出来る限り群れから離れようとしている狼を狙い、超重刀「ラティスムス」で連続して斬り付ける。
真は別の大型を狙っていた。やはり、牙や爪に注意しながら交戦を行う。
大型が繰り出す体当たりも、まともに喰らえば大ダメージは必至。身を投げ出す狼の勢いを利用し、真はさらりと受け流す。その反撃に、彼は試作振動刀「オートMURAMASA」で狼の足を切り裂く。
双眸を金色に変化させたアメリアは仲間を援護すべく、敵全てを視界に収められる後方、かつ集落を背にする位置に立ってライフル「ルインズタワー」を構え、フリーとなる敵や集落へと向かう敵を狙い撃つ。
「兎は大型大型ァっ」
小夜も大型を狙い、その攻撃を見定めながら戦う。
足場もややぬかるんでおり、その全てを避けるというわけには行かなかったが、小夜は急所だけは避けながら、斬魔刀を握り締めて呼吸を整える。
「我が相棒の怖さをしれぇっ」
小夜は正面にいる大型狼目掛け、剣撃を繰り出す。狙うは脚の付け根。刃がその体へと食い込んだ瞬間、小夜は刀を捻って攻撃を繋げ、再度刃で斬り付ける。
「四つん這いの貴様らの足を潰してやる!」
小夜は更なる斬撃で、そいつを攻め立てていく。
「お座り! お手! 伏せ! ……むぅ、やっぱりダメですかね」
狼を手なづけられないかと叫んでいた澪。だが、人に仇なす雑魔を従えることは出来ない。
鮮やかな蒼色に瞳を発光させ、同色の炎のようなオーラを噴き出す澪は戦場の外側にいるよう意識して戦う。そして、敵が密集している場所へと素早く迫る。
「一ヶ所に固まりましたねっ。鳴隼一刀流・隼風迅!」
狼達目掛けて澪は試作振動刀「オートMURAMASA」で切り込み、一気に敵を殲滅しようとした。
セレスがさらに、そこにいた小型1体を狙う。すばしっこい相手ではあるが、思った通りに狙いを定めることはできていた彼女は、フェイントをかけた後にダガー「ヒュドール」を突き入れる。喉を貫かれたそいつは息絶え、蒸発するように姿を消していく。
それでも、小型の狼1体がハンターの包囲をかいくぐり、村へと駆け出す。光の波動を放っていたユキヤは攻撃の手を止め、集落に詰めているアティルへと伝えるのだった。
●仲間を信じて
残念ながら、ハンター達の布陣には穴があったらしい。敵が多い状況にあっては、小回りが効き、機動力の高い小型の狼が包囲網から抜け出てしまう。
ネビロスの操糸で小型を締め付け、動きを封じていたセレス。そのまま攻撃を仕掛けてトドメと考えていた彼女は、脇から小型が逃げ出すのを目にする。
「連絡を……!」
セレスは魔導短伝話を手に取り、オシェルに連絡を入れる。
その間、数人のメンバーが狼を追いかけた。アメリアも体を張って侵攻を阻止しようとするが、大型狼が邪魔をし、小型狼がするりと抜け出てしまう。
「……っ」
もう1人いれば、あるいは、うまく連携ができたなら、防ぐことが出来たかもしれないが……、そいつは悠然と駆け抜けて集落に向かっていった。
「僕が行きましょう……!」
ユキヤは集落に向かい、誰か集落民が様子を見に来ていないかと水場を離れていった。
それを視界に入れつつも、セレスは先程捕らえた小型に向けてダガーを振るい、喉元を切り裂いてトドメを刺した。
「目の前の狼達を片付けないと、かな」
セレスは思う。自分達はこの場の狼を倒すのみだ。
アルトは仲間と共に大型へと攻撃し続ける。確実に仕留めるべく、彼女もまた鞭を打ち鳴らすことで敵の体勢を崩し、得意とする疾さの剣で狼を無へと帰した。
確かに狼の牙や爪は面倒だが、それに遅れを取るほどハンター達は柔ではない。
そばでは、澪がもう1体残る小型狼を相手にしていた。
「これ以上、逃がしませんっ!」
うまく狼が固まるタイミングを見計らった澪が一所に固まる狼達を切り裂くと、小型狼は苦しむ間もなく霧散していった。
狼の数が減れば、敵1体当たりのハンターの攻撃の手数は増えていく。
大型がこちらの間合いに迫って爪を薙ぎ払ってきたのに対し、真はナイフを抜いて応戦し、敵の目や喉を狙って鋭く突く。時に、拳銃を撃って攻撃していた真だが、至近距離ではナイフが効果的だと踏んだのだろう。
「……悪いな」
敵の爪を押さえた彼は敵の喉をかき切り、雑魔としての活動を止めた。
アメリアは定期的に弾幕を張り、敵の動きを封じる。
「やはり、基本は大事ですね」
2体を逃がす結果となってしまったが、アメリアの位置取りは他の狼を牽制するのに一役買っている。彼女がいなければ、もっと多くの狼が向かっていたかもしれない。
危機を察した大型狼は空に向けて吠えようとするが、小夜がすかさず、戦籠手で狼のアゴを砕く。
「この距離で吠えるとか、兎の耳壊す気か!」
ふわふわさと引っ張られることに定評がある兎のアピールポイントと、彼女は主張する。
その上で、彼女は精神を統一し、再度連続した斬撃、2つの月にも似た切り上げによって、狼の首を狙う。
「ヴォーパルバニーが、その首を落としてやる!」
見事に頭と胴体を切り裂いた小夜。狼は次の瞬間、この世から姿を消してしまった。
この場に残る狼達は、脚や喉を切られてしまっている。逃げられず、援護も呼べぬ状態。水場の敵を全て倒すのは、もはや時間の問題だった。
集落にも狼がやってきていたが、それに備えていたオシェルが応戦する。
オシェルは眼帯を外し、小型と交戦していた。どうやら、仲間が傷を与えていたこともあり、オシェル1人でも問題なく対処できそう……だったのだが。
「新手、ねぇ……」
だが、そこへ水場から別の小型狼が駆けてくる。
数が増えれば、オシェルの負担も大きくなる。1体ならばともかく、2体は……。
彼は光の壁の結界を張り、さらに狼が食らい付いてくるのに合わせて符を投げつけ、蝶の姿へと変えて攻撃を受け止める。
ちらりと後を見るユキヤ。後には戦う力を持たぬ集落民がいる。この場を突破させるわけには行かない。
そこに駆けつけたユキヤ。彼は光の弾を発してオシェルが相手にしていた小型の狼に衝撃を与え、そいつを塵へと貸してしまう。
「無茶は駄目、ですよ」
援軍を得て、オシェルも少し気を楽にしたようだ。
最後の小型狼も手負い。オシェルが身を挺してそいつの行く手を遮り、符から呼び出した蝶に似た光弾を飛ばすことによって、狼の体を粉砕してしまった。
丁度その時、水場のハンター達も最後の大型狼1体を相手にしていた。
背を向け、なんとかこの場から離脱を図ろうとする狼の背に、小夜が斬魔刀を突き出す。
「兎を前に背を向けるとは愚策……。死で贖うがいい」
ドヤ顔をする彼女の前で、最後の狼は破裂してしまったのだった。
●赤く色づく木々を目にして
無事、狼雑魔を討伐し終えたハンター達は合流する。
ユキヤが水場で戦っていたメンバーの傷をヒールで癒す。
アルトはというと、集落にいた2人とも確認し、各自が倒した雑魔の数をカウントする。それによって、逃がした個体がいないことを確認していた。
「これならば、聖堂戦士団への報告は不要か……」
水場に歪虚が居座ったことによる穢れもアルトは懸念しており、その調査を後ほど行おうと考えていた。
というのも、秋も徐々に深まってきており、森の木々は黄色く、あるいは赤く色づき始めていた。メンバーは紅葉狩りを行うことにしていたのだ。
「オオカミは残念でしたけど、紅葉は綺麗に色づいてますねー」
澪は狼と触れ合うことができずに残念がっていたのだが、それを鮮やかに染まる木々で気を紛らわせ、一息つく。
「……綺麗、ですね」
「この季節の木々は本当に色とりどりで、美しいものだなあ」
ユキヤは微笑を浮かべ、木々の赤い葉から覗き出る空の青さの何とも言えぬ調和に感嘆する。真も紅葉にまつわる歌を口ずさみ、生い茂る葉であっても微妙に色づきの異なる様を眺めていた。
「故郷の集落の周りの森も、今頃は綺麗に色づいてる頃かねえ……」
「ゆっくり見るのは、リアルブルーの以来って感じ」
セレスは紅葉を眺めながら、おやつのナッツをぽりぽりと食べていた。
アメリアもまた、持ち寄ったお菓子や炭酸飲料を口にしていた。男性陣とは違い、花より団子という印象すら抱かせる。アメリアは他の仲間達や、集落の人々にもそれらを振舞う。
「秋になってちょっと肌寒くなってきたけど、日向ぼっこしながらお昼寝したーい!」
アメリアは大きく腕を伸ばし、落ち葉の布団の上で寝息を立て始める。
騒がしいのが苦手とあって、アルトだけはやや離れた場所でゆったりと木の根元に腰掛け、目に飛び込んでくる鮮やかな色の織り成す紅葉の美しさを目に焼き付ける。
アルトは徐に舞い落ちてきた赤い木の葉を手に取る。ついでにお土産として数枚持ち帰ろうと、彼女は落ち葉を見回すのだった。
リンダールの森を臨む、街道沿いの集落。
そこに集まっていたハンター達は、顔を合わせて挨拶を交わしながらも、状況の確認を行う。
「どうも、最近は色気を出してしまっている気がして」
リアルブルー出身のアメリア・フォーサイス(ka4111)。彼女は最近、個人的な戦闘基礎が疎かになっていると実感した為、参加したのだそうだ。
「もっと謙虚に。私が出来る事を完璧に遂行出来るように。初心忘れるべからずですね」
それも主要な目的ではあるが、アメリアは仕事後の癒しも求めて参加している。
「狼の雑魔が水場を占拠……ねえ」
「犬は好きなんですけど、流石に懐きませんかね? 雑魔にさえなってなければ……」
セレス・フュラー(ka6276)は話を聞き、ううんと唸っている。和泉 澪(ka4070)はというと、狼が雑魔となっていることを残念がっていたようだ。
「またアイツらか。ホントしつこいな、狼ってやつらは!」
村人を守らねばならぬが、自身をウサギと自称している玉兎 小夜(ka6009)は誰かを守ることは出来ないと考えている。
「だから、敵を細切れにすることで守るよ!」
小夜はきらりと目を光らせた。
「はぐれとはいえ、まさかこんなところにまで狼がいるとは……」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は最近、祖父へと聖堂戦士団からの狼討伐依頼を託していたのだが、狼の活動に危機感を抱く。
(この調子でだと、騎士団にも話をして王国全体で取り上げたほうがいいんじゃないか?)
対処が容易なうちに、早めに対処すべきではないか。彼女はそんなことも考えていた。
「行きましょうか。早く集落の方々にも安心して頂きたいですし」
微笑を浮かべる、ユキヤ・S・ディールス(ka0382)。ともあれ、狼を討伐せねばと、彼は仲間と共に動き始めるのだった。
ハンター達はさらに、雑魔討伐の為の準備を進める。
「……今の所、敵数はどれだけでしょうか……?」
ユキヤは詳しい状況を村長から聞いていた。水場の場所、そして、狼の動き、布陣など、ある程度状況を把握した彼は村長へと丁重に礼を告げて立ち上がる。
「では、僕は殲滅に動きます。村人さんの事は任せますね……!」
仲間と合流したユキヤはそれを仲間達へと伝えた上で、仲間との連絡用にと、魔導短伝話とトランシーバーの両方の状況を確認していた。
(集落の人達が安心できるよう、そして、危なくないように。ボクが傍について、皆を守らないとね)
右目の眼帯が目を引くオシェル・ツェーント(ka5906)は率先して討伐するよりも、集落の人々の守りを考えている。
仲間は狼が集落を考え、配慮しつつ全滅を目指すという。ならば、集落のことを考え、討伐にいかずに集落の人々のそばにいようと考えたのだ。
「大丈夫、落ち着いて」
狼に怯える人もいるだろうし、好奇心応戦な人が狼とハンターの交戦を見に行こうとするかもしれない。そういう人をなだめようとオシェルは接する。
その他のメンバー達は、狼が集まるという水場へと移動していた。
欠伸すらしている狼達へ、斬魔刀を水平に構えた小夜が真っ先に突撃していく。覚醒したことで、側頭部に白いロップイヤー、そして、同様の白い尻尾を腰下部に垂らした彼女は大型の狼を貫き切った。
「こんにちは、ヴォーパルバニーです!」
襲撃してきたハンター達に、狼達はやや戸惑いながらも戦闘態勢をとろうとするが、メンバー達はその隙を逃さない。
刹那、瞳を金色に輝かせた鞍馬 真(ka5819)もまた、大型を狙って正面から切り込む。
「まあ、きみ達にも生き残りたい、という思いがあるのだろうが……。悪く思うな」
強く踏み込んだ彼は魔導拳銃剣「エルス」を握り締め、渾身の一撃を大型へと叩き込んだ。
自身の周囲に風を吹かせるセレス。髪を腰の辺りにまで伸ばした髪を靡かせながら、彼女は狼へと呼びかける。
「御寛ぎの所、失礼しますね」
ユキヤもまた、敵が本格的に動く前にと一気に突っ込む。
話によれば、この狼の群れにはリーダーすらいないという。微笑を浮かべる彼は発する光の波動によって、狼達に衝撃を与えた。
「悪いけど、さっさと水場からどいてね」
狼が生きているならばともかく、水場は生者優先だと、セレスは狼達へと呼びかけた。
(……そういやこれ、最近お姉様がよく相手してるやつらと同系統の連中かな?)
とはいえ、今はそんな事は関係ない。今はこの狼の討伐、村の防衛が先だと、セレスもまた小型に仕掛けるのである。
●水場を、集落民を守れ!
一方、集落では、残っていたオシェルが集落の人々へと、一つの家に集まってもらうよう声がけしていた。
これは、もし、狼が集落へとやってきた場合、それぞれの家にいるよりも守りやすい上、気にも掛けやすいとのオシェルの判断からだ。
「できるだけ、身を隠しておいてほしいな」
身を屈め、子供達は押入れなど、姿が直接見えない場所へと優先的に避難させる。
オシェルは実際に戦うメンバーと魔導短伝話で連絡を取り合いつつ、外の様子を自身でも窺う。
「ふふ、そうなんだ」
怯える人々の気を紛らわせる為に、人々の日常的な話などを聞いていた。話のネタがなくなったタイミングでは、オシェルは泉でのエピソードなどを聞いていたようだ。
水場では、激しい戦いが始まっていた。
食らい付いてくる狼の牙には麻痺成分が含まれている。前足の爪から注入される毒もかなり厄介だ。
だからこそ、比較的開けた、それでいて足場がしっかりとした場所をアルトは選んでいた。覚醒したアルトは、瞬時、鳥の形となった炎のオーラを自身と武器に纏うと、彼女の瞳と腰まで伸びた髪も赤く染まる。
水場付近の足場はややぬかるんでいる。その為、アルトはやや引いた位置で狼と交戦を始め、出来る限り群れから離れようとしている狼を狙い、超重刀「ラティスムス」で連続して斬り付ける。
真は別の大型を狙っていた。やはり、牙や爪に注意しながら交戦を行う。
大型が繰り出す体当たりも、まともに喰らえば大ダメージは必至。身を投げ出す狼の勢いを利用し、真はさらりと受け流す。その反撃に、彼は試作振動刀「オートMURAMASA」で狼の足を切り裂く。
双眸を金色に変化させたアメリアは仲間を援護すべく、敵全てを視界に収められる後方、かつ集落を背にする位置に立ってライフル「ルインズタワー」を構え、フリーとなる敵や集落へと向かう敵を狙い撃つ。
「兎は大型大型ァっ」
小夜も大型を狙い、その攻撃を見定めながら戦う。
足場もややぬかるんでおり、その全てを避けるというわけには行かなかったが、小夜は急所だけは避けながら、斬魔刀を握り締めて呼吸を整える。
「我が相棒の怖さをしれぇっ」
小夜は正面にいる大型狼目掛け、剣撃を繰り出す。狙うは脚の付け根。刃がその体へと食い込んだ瞬間、小夜は刀を捻って攻撃を繋げ、再度刃で斬り付ける。
「四つん這いの貴様らの足を潰してやる!」
小夜は更なる斬撃で、そいつを攻め立てていく。
「お座り! お手! 伏せ! ……むぅ、やっぱりダメですかね」
狼を手なづけられないかと叫んでいた澪。だが、人に仇なす雑魔を従えることは出来ない。
鮮やかな蒼色に瞳を発光させ、同色の炎のようなオーラを噴き出す澪は戦場の外側にいるよう意識して戦う。そして、敵が密集している場所へと素早く迫る。
「一ヶ所に固まりましたねっ。鳴隼一刀流・隼風迅!」
狼達目掛けて澪は試作振動刀「オートMURAMASA」で切り込み、一気に敵を殲滅しようとした。
セレスがさらに、そこにいた小型1体を狙う。すばしっこい相手ではあるが、思った通りに狙いを定めることはできていた彼女は、フェイントをかけた後にダガー「ヒュドール」を突き入れる。喉を貫かれたそいつは息絶え、蒸発するように姿を消していく。
それでも、小型の狼1体がハンターの包囲をかいくぐり、村へと駆け出す。光の波動を放っていたユキヤは攻撃の手を止め、集落に詰めているアティルへと伝えるのだった。
●仲間を信じて
残念ながら、ハンター達の布陣には穴があったらしい。敵が多い状況にあっては、小回りが効き、機動力の高い小型の狼が包囲網から抜け出てしまう。
ネビロスの操糸で小型を締め付け、動きを封じていたセレス。そのまま攻撃を仕掛けてトドメと考えていた彼女は、脇から小型が逃げ出すのを目にする。
「連絡を……!」
セレスは魔導短伝話を手に取り、オシェルに連絡を入れる。
その間、数人のメンバーが狼を追いかけた。アメリアも体を張って侵攻を阻止しようとするが、大型狼が邪魔をし、小型狼がするりと抜け出てしまう。
「……っ」
もう1人いれば、あるいは、うまく連携ができたなら、防ぐことが出来たかもしれないが……、そいつは悠然と駆け抜けて集落に向かっていった。
「僕が行きましょう……!」
ユキヤは集落に向かい、誰か集落民が様子を見に来ていないかと水場を離れていった。
それを視界に入れつつも、セレスは先程捕らえた小型に向けてダガーを振るい、喉元を切り裂いてトドメを刺した。
「目の前の狼達を片付けないと、かな」
セレスは思う。自分達はこの場の狼を倒すのみだ。
アルトは仲間と共に大型へと攻撃し続ける。確実に仕留めるべく、彼女もまた鞭を打ち鳴らすことで敵の体勢を崩し、得意とする疾さの剣で狼を無へと帰した。
確かに狼の牙や爪は面倒だが、それに遅れを取るほどハンター達は柔ではない。
そばでは、澪がもう1体残る小型狼を相手にしていた。
「これ以上、逃がしませんっ!」
うまく狼が固まるタイミングを見計らった澪が一所に固まる狼達を切り裂くと、小型狼は苦しむ間もなく霧散していった。
狼の数が減れば、敵1体当たりのハンターの攻撃の手数は増えていく。
大型がこちらの間合いに迫って爪を薙ぎ払ってきたのに対し、真はナイフを抜いて応戦し、敵の目や喉を狙って鋭く突く。時に、拳銃を撃って攻撃していた真だが、至近距離ではナイフが効果的だと踏んだのだろう。
「……悪いな」
敵の爪を押さえた彼は敵の喉をかき切り、雑魔としての活動を止めた。
アメリアは定期的に弾幕を張り、敵の動きを封じる。
「やはり、基本は大事ですね」
2体を逃がす結果となってしまったが、アメリアの位置取りは他の狼を牽制するのに一役買っている。彼女がいなければ、もっと多くの狼が向かっていたかもしれない。
危機を察した大型狼は空に向けて吠えようとするが、小夜がすかさず、戦籠手で狼のアゴを砕く。
「この距離で吠えるとか、兎の耳壊す気か!」
ふわふわさと引っ張られることに定評がある兎のアピールポイントと、彼女は主張する。
その上で、彼女は精神を統一し、再度連続した斬撃、2つの月にも似た切り上げによって、狼の首を狙う。
「ヴォーパルバニーが、その首を落としてやる!」
見事に頭と胴体を切り裂いた小夜。狼は次の瞬間、この世から姿を消してしまった。
この場に残る狼達は、脚や喉を切られてしまっている。逃げられず、援護も呼べぬ状態。水場の敵を全て倒すのは、もはや時間の問題だった。
集落にも狼がやってきていたが、それに備えていたオシェルが応戦する。
オシェルは眼帯を外し、小型と交戦していた。どうやら、仲間が傷を与えていたこともあり、オシェル1人でも問題なく対処できそう……だったのだが。
「新手、ねぇ……」
だが、そこへ水場から別の小型狼が駆けてくる。
数が増えれば、オシェルの負担も大きくなる。1体ならばともかく、2体は……。
彼は光の壁の結界を張り、さらに狼が食らい付いてくるのに合わせて符を投げつけ、蝶の姿へと変えて攻撃を受け止める。
ちらりと後を見るユキヤ。後には戦う力を持たぬ集落民がいる。この場を突破させるわけには行かない。
そこに駆けつけたユキヤ。彼は光の弾を発してオシェルが相手にしていた小型の狼に衝撃を与え、そいつを塵へと貸してしまう。
「無茶は駄目、ですよ」
援軍を得て、オシェルも少し気を楽にしたようだ。
最後の小型狼も手負い。オシェルが身を挺してそいつの行く手を遮り、符から呼び出した蝶に似た光弾を飛ばすことによって、狼の体を粉砕してしまった。
丁度その時、水場のハンター達も最後の大型狼1体を相手にしていた。
背を向け、なんとかこの場から離脱を図ろうとする狼の背に、小夜が斬魔刀を突き出す。
「兎を前に背を向けるとは愚策……。死で贖うがいい」
ドヤ顔をする彼女の前で、最後の狼は破裂してしまったのだった。
●赤く色づく木々を目にして
無事、狼雑魔を討伐し終えたハンター達は合流する。
ユキヤが水場で戦っていたメンバーの傷をヒールで癒す。
アルトはというと、集落にいた2人とも確認し、各自が倒した雑魔の数をカウントする。それによって、逃がした個体がいないことを確認していた。
「これならば、聖堂戦士団への報告は不要か……」
水場に歪虚が居座ったことによる穢れもアルトは懸念しており、その調査を後ほど行おうと考えていた。
というのも、秋も徐々に深まってきており、森の木々は黄色く、あるいは赤く色づき始めていた。メンバーは紅葉狩りを行うことにしていたのだ。
「オオカミは残念でしたけど、紅葉は綺麗に色づいてますねー」
澪は狼と触れ合うことができずに残念がっていたのだが、それを鮮やかに染まる木々で気を紛らわせ、一息つく。
「……綺麗、ですね」
「この季節の木々は本当に色とりどりで、美しいものだなあ」
ユキヤは微笑を浮かべ、木々の赤い葉から覗き出る空の青さの何とも言えぬ調和に感嘆する。真も紅葉にまつわる歌を口ずさみ、生い茂る葉であっても微妙に色づきの異なる様を眺めていた。
「故郷の集落の周りの森も、今頃は綺麗に色づいてる頃かねえ……」
「ゆっくり見るのは、リアルブルーの以来って感じ」
セレスは紅葉を眺めながら、おやつのナッツをぽりぽりと食べていた。
アメリアもまた、持ち寄ったお菓子や炭酸飲料を口にしていた。男性陣とは違い、花より団子という印象すら抱かせる。アメリアは他の仲間達や、集落の人々にもそれらを振舞う。
「秋になってちょっと肌寒くなってきたけど、日向ぼっこしながらお昼寝したーい!」
アメリアは大きく腕を伸ばし、落ち葉の布団の上で寝息を立て始める。
騒がしいのが苦手とあって、アルトだけはやや離れた場所でゆったりと木の根元に腰掛け、目に飛び込んでくる鮮やかな色の織り成す紅葉の美しさを目に焼き付ける。
アルトは徐に舞い落ちてきた赤い木の葉を手に取る。ついでにお土産として数枚持ち帰ろうと、彼女は落ち葉を見回すのだった。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/10/08 22:11:20 |
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相談卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/10/11 21:25:13 |