坊ちゃん剣士、怖がる鬼に手を尽くす

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/10/18 19:00
完成日
2016/10/24 03:23

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●何か出た?
 グラズヘイム王国の中央に近く北東に近い中途半端な地域にある小さな町。街道の分かれ道等が近くにあったり住むに便利、人通りは多いが素通りされる町である。
 小さな町を領主の息子のリシャール・べリンガーは愛馬のゴースロンのポチで見回りをしていた。彼の住まいは隣町との間だが、現在この町の守備隊の形の上トップとして置かれている。
 領主が用心をした理由は羊歪虚の話題もあるが、町の外にある薬草園にユグディラも住んでいるためだ。なお、城壁を閉じたら外になる薬草園にいられても困るため、ユグディラたちは現在町の中に居を構えて暮らしている。
 リシャールは張り切っている。張り切ってもやることは、町の見回りくらいで、あとは特にない。町の状況を知ることができていいことはたくさんある。
 エクラ教会の前にやってきた。父親である領主のかつてのハンター仲間である司祭がいるため、時々寄る。馬から下りて、挨拶に向かった。
「こんにちは」
 礼拝堂から入るが誰もいない。
「あれ?」
 入りながらリシャールは困惑する、物音がしないため全員不在なのだろうかと。
 突然、奥から大きな音がする。やってきた影をみてリシャールはほっと胸をなでおろした。
「あ、ヒウチさん、こん……」
「うわあああ、リシャール」
 ドドドと走って鬼の少年ヒウチはリシャールを抱き締めた。
「君がいてくれると心強いよ」
「……ぐ、ぐるじいで……す」
「あっ」
 リシャールが腕の中でぐったりしているため大慌てするヒウチ。
「ひとまず放してください」
「実は……」
 「はなす」違いだとリシャールは気づく。
「私を椅子に座らせてください」
「……あ、うん」
 ようやく人心地ついたリシャールは青ざめているヒウチを見て何があったんだろうと不安になる。
「マーク司祭は?」
「今、隣町まで行っていないんだ。明日にならないと帰ってこないんだよ」
「助祭さんは?」
「助祭さんは今、裏の菜園で収穫中だよ。それに夜、時間が来ないと起きないんだ!」
「はい?」
「おいらの話を聞いて!」
 リシャールはよくわからないためヒウチが怯える理由を聞くこととした。
「夜、おいらはトイレに起きたんだ。そうしたら、変な影があって!」
「……変な影?」
「でも、朝見ても何もないんだ」
 リシャールはいくつかの状況を考える。ヒウチが怖がりかもというのは、雷に怯えていた前例からするとありうる。
 ヒウチの見間違いで木の陰ではないか? ならば、原因を突き止め怖くないと諭さないといけない。
 本当に何か不審なものがいた場合もありうる。不審なものもいくつかある、人間の強盗から歪虚まで。
 城壁があるために侵入があるとは思いたくないが、開けっ放しの日中や扉を閉めることのなかった夏を思うと何がいてもおかしくはないのだ。
 それとユグディラたち。リシャールとしてチャという若い個体がいたずらで幻覚を見せたという可能性を考える。他のユグディラはクロとシロッポイは大人の貫録というのを醸し出しているため、子供ぽいことはしないに違いないと勝手に納得する。
 まず、ハンターに依頼するにしても状況を見て、検証をしないといけない。
「ではどこで見たんですか? 案内してください」
「いいの? リシャールは偉い人だからダメかなって」
「ハンターにお願いするにしても、何も知らないで頼めません」
「リシャール!」
 感激したとヒウチは抱きしめようとしたが、リシャールは寸前でさりげなく身を引いた。
「さ、行きましょう。遅くなるとことなので」
 リシャールはヒウチが不審者を見たところに向かった。
 特に変なものは見えない。木々の隙間から隣の家が見える。
「あれは」
「魔術師の人の家だよ。ほら、ルゥルが住んでるとこ」
「……ルゥルさんですか」
 共通の友人であり、ルゥルはエルフであることを隠す女の子で魔術師の弟子だ。その魔術師はリシャールの家庭教師をしていた時期もある上、現役のハンターとして家を空けていることが多いと聞く。
「よ、ようやく、巨大キノコ風船を入手したのですぅうううう」
「きゅうううう」
 ルゥルとパルムと思われる声が、隣の家の方向から届く。まだ窓を開けっぱなしだからとは言え、そこまではっきり聞こえるとは驚きだ。
 リシャールは隣をよく見る。
 窓辺にはジャック・オー・ランタンの切り絵が見えたのだった。
 このとき、原因はルゥルと明かりとヒウチの恐怖心ではないかと思った。いや、まだ確定してはいけないと自分に言い聞かせる。
「まだ、確定してはいけないですし……変な生き物がいなかったかやユグディラたちにも事情聴取をしてこないと……」
 リシャールは戻ってくる約束をして、教会を後にしようとした。
「待って! 一緒に行くよ」
「え?」
 西日が差しており、薄暗いところが増えている。
「ごはん、あげるから! リシャール、一人にしないで」
「……え、ええええっ!? 待って、助祭さんが食事作り始めているんじゃないですか?」
 いつまでも食材集めはしていないだろう。
 リシャールは途方に暮れた。調査ついでに一旦守備隊のところに居場所を報告しておかないといけないのだ。そうしないと、坊ちゃん行方不明で大騒ぎになるのは明らかだ。
 街道につながる道を歩くハンターを見つける。
「す、すみません」
 リシャールはぶつかるように声を掛け止める。
 おびえる鬼の少年の説明をし、手助けしてほしいという。
 食事と宿の提供はできるからとリシャールは説得する。

リプレイ本文

●現場検証
 リシャール・べリンガーとヒウチはホッと息を吐いた。
「あっ、リシャールさんにヒウチさん、こんにちはー」
 小宮・千秋(ka6272)はスカートのすそを軽くつまみ、お辞儀をする。男の子であるが、少女の可愛らしい挨拶。足元の黒猫とマルチーズも挨拶をしたようだ。
「リシャール、久しぶり。こちらは?」
 ザレム・アズール(ka0878)は通りすがりで驚いたが、友人と思う少年の姿に表情をやわらげつつも、雇われたハンターとしての距離感も保ちつつ話す。
「あ、はい、お久しぶりです、皆さん。はじめてな方も、よろしくお願いします。私はここの領主の息子のリシャール・べリンガーと申します。こちらがこの教会で居候しているヒウチさんです」
「は、初めまして」
 リシャールに言われてヒウチは頭を下げる。
「初めまして、エルバッハ・リオン(ka2434)です。よろしければエルと呼んでください。リシャールさん、お久しぶりです」
 エルバッハは丁寧にあいさつをし、初対面のハンターも続いて挨拶をした。
「改めて依頼内容をうかがってよろしいですか? 必要なら夜の番もしましょうか?」
 ミオレスカ(ka3496)はリシャールに確認を取る。
「ひとまず、中に入ってください」
 リシャールは礼拝堂に案内をした。ハンターには椅子を勧め、依頼の内容を説明した。
 一通り聞いた後、ヒウチの見間違いから本当に何かいるのかもしれないという推測が浮かぶ。確信はないので調べないとならない。
「おばけ……か。ハロウィンっていうのも間近だな……誰かが先走っているかもしれない……万が一ということもある」
 No.0(ka4640)は考える。先走る者に犯罪者がいれば、町に危険が訪れることとなる。
「そうだね。何かタネはあると思うの。だから、種明かしをしてみよう」
 札抜 シロ(ka6328)はトランプを取り出し、手から手に飛ばすように移させる。鮮やかな動作。
「まずは……おばけを見た場所を教えてもらおう……か?」
 No.0の言葉にハンターは同意し、リシャールとヒウチが案内をしたのだった。

●お隣さん
 現場を見た瞬間、植え込みも隣の家の飾りも怪しく見えるが、不審者の有無も確信はない。日があるうちに下調べをして、同じ状況を見るのが重要そうだ。ハンターは手分けをして行動する。
 ザレムとエルバッハは隣の家に行ってみることにした。
「隣は、お二人も知っているルゥルさんが住んでます。ルゥルさんの師匠の家です」
 リシャールが説明してくれた。隣との区切りはところどころに植えてある木で、庭でつながっていると言って過言ではない。ルゥルはよく庭から教会の裏手の居住区に入ってくるという。
 ザレムとエルバッハは地理を見る意味も含め、教会の裏口から隣に向かった。庭から入るのはさすがに問題と言うことで正面に向かう。
「窓開けっぱなしなんだな。それだけ何もないってことか」
 家じゅうのカーテンがはためいている。
 扉の横の呼び鈴を引っ張る。
「はいですー」
「ルゥルさん、お久しぶりです。少しお尋ねしたいことがあるのです」
 エルバッハが名乗って告げる。
 かちゃりと扉が開き、幅広いヘアバンドをしたルゥルが顔をのぞかせた。
「お久しぶりです、こんにちは! お仕事ですか?」
 ルゥルは2人を見て首を傾げた。
「実は、隣で不審な影が夜に見えたというんだ」
 ザレムはヒウチのことを隠しつつ、それとなく尋ねる。
「えええっ!? 強盗ですか? た、大変です。巨大キノコ風船が盗られてしまいます」
「いや、その、そういった情報も含めて変な影と言うのはないのかって」
 ザレムが説明を追加すると、ルゥルは思案顔になる。
「うーん、何も聞いていません」
「では、不審者情報というのはないんですね?」
「ないです」
 エルバッハに念を押され、ルゥルはうなずく。
「その時間に起きてトイレに行ったりはないですね?」
「ないですよ? 朝までぐっすりです」
「それはいいことです」
「ポルムとフレオはどうかわかりませんが。聞き込みしますか?」
 ルゥルはペットを呼ぶ。ポルムはパルムで、フレオはフェレットだ。
「夜更かししましたか?」
 ルゥルが問うと、ポルムが挙動不審になり、フレオは首を横に傾げた。
「……ポルム何かしたですか」
「キュ?」
「ポルム……悪いことしましたか」
「キュキュキュ」
 高速で首を横に振るポルム。
「……エルさん、ザレムさん、ポルムはきつく叱っておきますです」
「いい分も聞いてあげてくださいね」
「そうだな、悪いことはしていないと言っているみたいだし」
 擁護してくれたエルバッハとザレムにポルムは信頼のまなざしを送った。
「ところで、ルゥルの家はハロウィンのパーティーでもするのかい? 窓に紙を貼っているだろう、ジャック・オー・ランタンの」
 ザレムの質問にルゥルは首を横に振る。
「残念ながら。ルゥルはキノコ狩りの予定で忙しいのです。あ、不審者または不審物情報があった場合どうすればいいですか?」
「隣に泊まっていますので、一言いただければ助かります」
「はいです」
 ザレムとエルバッハはルゥルと別れ、周囲を聞き込みを行った。特に事件になりそうな話は聞くことはなかった。

●タネはあるはず
「では、皆さん、ヒウチさんをお願いします。私は一度詰所行って、外泊する旨を伝えてきます」
「あ、ありがとう、リシャール」
 リシャールにヒウチはおずおずと礼を言う。話をきちんと聞いてくれたのもあり、ヒウチは落ち着いていた。
「うん、あたしたちがいるから安心してね」
 シロがリシャールに笑いかける。
「リシャールも……何もないとは思うが……気を付けるんだぞ」
 No.0に言われ、リシャールがうなずき、腰にはいているいる刀に手を当てる。そして、教会を後にした。
 ヒウチの回りに残ったのはシロとNO.0だ。
「それにしても……臆し方が激しいというか……」
「そうだね。そこはあたしたちの腕の見せ所だよ」
 克服したいと願うなら道はあるだろうとNO.0とシロはうなずく。
「隣への聞き込みは他の人がやってくれているし、おばけ見た後、教会の回りの確認はしたのかな?」
「え? あ、うー」
 ヒウチが怖がって何もしていないというのがよくわかる反応。
「一緒に見てみよう? 何も変わったことがないかは重要なことだよ?」
「見た物が……危険な物であれば……それを放置してもっと危険が来るかもしれない」
 No.0の言葉にシロがうなずく。
「……物事にはタネがあるんだよ。例えばこの手品だって」
 シロはトランプを見せ手品を始める。手つきは鮮やかでタネなんてないように見える。
「それは俺も種は知っている……できるかどうかは別問題だが」
「やっぱり知っているよね? ヒウチは初めてって顔しているから種明かしするとこう」
 ヒウチは目を丸くする。簡単であるが、知ってから見てもやはり難しそうだ。
「おばけだって同じだよ。理由があってある、何かのはずみで見える」
「周りを見れば……原因がわかるかもしれない。手分けをして……答えを見つける」
「怖いことはないかもしれないよ?」
「本物だったら……ハンターだ……倒せばいい」
「そうそう」
 シロとNo.0の説得により、怖がっているがヒウチは行動に移った。
 3人で教会周囲を見たが、変わったものはなかった。

●料理をしましょう
 ヒウチのそばにいる人、隣近所に聞き込みに行く人と別れたため、ミオレスカと千秋は料理の手伝いに回った。
 助祭は2人の登場に驚いたが、話を聞いて溜息を洩らした。
「私だと頼りないんですね」
「落ち込まないでください……」
「そうですよー」
 ミオレスカと千秋は助祭を慰める羽目になった。
「お忙しいあなたを思って声を掛けていないのでしょうし」
「夜眠くても起きないというのは普段のお勤めをきちんとしている証拠ですよー」
 助祭は情けない顔をしつつも立ち上がる。
「私はできることをしましょう。さて、料理ですね……2人分しかありません。ある分の材料は適度に使っていただいて構いません」
 助祭は調理器具や材料の場所を教える。
「ありがとうございます」
「腕によりをかけて作りますよー」
「夜食用に少し作りたいのですが」
「いいですよー」
「マッシュポテトとかぼちゃのサンドイッチ」
「ハロウィンも近いことですし、夕食もかぼちゃを使った料理にしましょー」
 ミオレスカと千秋はメニューを決めて、とりかかった。
「司祭様や私だと安定感があるというか、いつも同じような内容になるんです。かといって、隣の魔術師の弟子が手伝ってくれると、ハラハラしっぱなしになります。なんだかお二人を見ていると、料理の楽しさを思い出させてくれるというか……」
 助祭はどこか疲れた様子だ。
「大変ですねー」
「お料理は何ですか?」
 千秋とミオレスカは鍋を覗き込む。スープのようなので、このまま野菜を追加し助祭の分も作る提案をする。食べ物に禁忌がなければせっかくなら一緒に食べるほうが楽しい。
「さて、パン、焼くところからですか」
「……あ、そうなりますね。でも、うまくすればできますよ」
「手順重要です」
 ミオレスカと千秋はてきぱきと行動をしたのだった。

 夕食のころにはそれぞれの調査結果が出る。
「ルゥルのペットが何かしでかしている可能性はある」
「近所でも噂はありませんでした」
 ザレムとエルバッハは視線が一瞬、隣家に移る。
「教会の回りも中も一応見たけど特に何もなかったよ」
「実際……夜に見てみることだな」
 シロとNo.0の報告。
「お夜食にマッシュポテトとかぼちゃのサンドイッチを作りました」
「夕食はかぼちゃの煮つけと焼き魚と野菜たっぷりのスープとパンです」
 ミオレスカと千秋が夕食を告げた。
 ちょうどリシャールが果物の差し入れを持って入ってくる。
「ああ、いい匂いがします。遅くなりました。ユグディラたちにも確認に行ってきました。いたずらはしていないということです」

●夜の見張り
 寝る前に千秋はヒウチに十字架とライトを渡した。
「これできっとおばけも逃げますよー。お化けは十字架が嫌いで明るいのも嫌いらしいです。黒猫さんやマルチーズさんも果敢なので優秀なボディーガードですー」
 ヒウチは小さいなそれを受け取る。
「それにー掃除道具でもおばけは退治できるとか聞いたことありますが、真実か不明です」
「へええ……」
 ヒウチは自分より小さい千秋を感心して見つめる。
 もしもを考えNo.0は戦闘の際にかぶる大きな三角の兜をかぶった。それを見たヒウチがビクッとなったのを見た。
「恐ろしいか?」
「顔が見えないとちょっと」
「でも……俺とは普通に……話していた」
「そうだね」
「正体がわかればそれほど怖くないだろう?」
 ヒウチはうなずく。
「さあ、何もないかもしれないから寝ちゃう? ちゃんとトイレ行けば、夜起きないかもしれないけど、一応、もう一回見てみるなら今のうちだよ?」
「そうですね怖いかもしれませんが、今を逃したら解決はできなくなってしまいますね」
 シロとエルバッハがヒウチをそれとなく促す。
「それに、ミオは夜見張るからと先に寝てる。俺もこれから見張るよ。話からすると解決後、寝られそうだし」
 ザレムに言われ、ヒウチはうなずいた。

 入れ違いにミオレスカは起き、外に出る。
 外のひやりと少しする空気に身を震わせたが、動きやすく死角になるような場所に座り、月を見て微笑む。
「ユグディラがいるらしいですし、ツナ缶も準備万端です」
 小さなかぼちゃの置物を飾り、季節を楽しむ。
「にゃー」
「あら?」
 チャトラの猫だが、一瞬二足で立った気がした。
「お散歩ですか? 町にはユグディラもお住まいとお伺いしますが、御存じですか?」
「にゃ?」
 チャトラはじっとサンドイッチを見ている。
「駄目です、猫にはあげられません」
『ユグディラなら!』
「……!」
 隙あったとばかりにユグディラはサンドイッチを入手したのだ。
 ミオレスカはしばらくユグディラと見張りをしていた。
 深夜、魔術師の家から光がこぼれた。
「あれは?」
『にゃんか、こわいにゃー』
 チャはおびえて、ミオレスカに抱き着いた。

 ザレムはおばけが見えたあたりで外を見ていた。窓も薄く開け、外の音も聞こえるようにしてある。
 猫の鳴き声を聞き、以前会った若いユグディラを思い出す。
「チャが住んでいるんだっけ……覚えていてくれるかな。帰りにでもちょっと行ってみようかな」
 ワクワクし始めるが、隣の家から光が漏れたと同時に、猫の悲鳴も聞こえたのだった。
「出た!」
 近くの部屋で様子をうかがっていたシロとNO.0がザレムの小声付の合図に気づいた。
 No.0は先にザレムの方に行き、シロは仮眠中のヒウチたちを起こす。
 すぐにエルバッハと千秋が起き、何とか起こしたヒウチを連れて現場に向かう。
「あ、あれだよ」
 ヒウチは震える。
 隣から漏れる光。
 寝ぼけた頭だと確かに得たいがしれないかもしれない。
 LEDライトと思われる光が切り絵の隙間を縫って漏れる。ライトを振っているのか光が動く。
「キノコですね……」
 千秋は切り絵とは違う陰から判断する。
「ルゥルさんのペットが犯人ですね」
「いたずらはしてないというか」
 聞き込みをしたエルバッハとザレムは溜息を洩らした。
「あの長い生き物は何でしょう?」
「フェレットです」
 千秋に答えるエルバッハ。
 しばらく見ているとルゥルらしい影が浮かび、追いかけっこしているように見えた。そして明かりが消えた。
「……種明かしはできたみたいだね。パルムが犯人」
「今日は……2人に言われて……飼い主が見張り……しかりつけた、か?」
 シロとNo.0はヒウチを見る。
「……そうかもしれない」
 ヒウチはルゥルらしい影を見たためなんとなく納得する。
「明日、ルゥルさんに確認しましょう?」
 後ろにいるリシャールはほっと胸をなでおろしていた。
「皆さん、無事解決ですね」
 ミオレスカがユグディラを抱きしめ入ってくる。
「おっ、チャだよな。覚えているかな」
 ザレムは嬉しそうに声を掛ける。
「にゃーにぇみゅ」
「なんかそれっぽい発音だったぞ」
 ミオレスカからチャを受け取って抱きあげた。
「チャさん、お元気でしたか」
 千秋はチャの頭をなでる。
「知り合いだったんですね」
 ミオレスカの言葉にザレムと千秋がうなずいた。
「さて、朝まで寝ましょうか?」
 エルバッハは解決したため少しずつ眠くなってくる。
「そうだね。ヒウチ、安心だね」
「ヒウチ……無謀はいけないが……怯えすぎてもよくない……頑張れ……」
 シロとNo.0に言われ、ヒウチは神妙にうなずいた。

 朝食の時間に隣からルゥルが来た。途方に暮れる顔をしているのは、パルムはライトで遊んだだけと言い張っているため迷惑な理由を説明をしてほしいとのことだった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 兜の奥の、青い光
    No.0(ka4640
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 一肌脱ぐわんこ
    小宮・千秋(ka6272
    ドワーフ|6才|男性|格闘士
  • イッツァショータイム!
    札抜 シロ(ka6328
    人間(蒼)|16才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓のような
ザレム・アズール(ka0878
人間(クリムゾンウェスト)|19才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/10/18 00:26:41
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/18 02:04:54