鍾乳洞の向こう側 ~ミヤサ~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/10/26 12:00
完成日
2016/11/05 12:48

みんなの思い出

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オープニング

 十七歳のミヤサ・カミーはリアルブルー出身者。登山家を目指していた彼女だがクリムゾンウェストで選んだ職業は探検家である。
 数年前に転移で飛ばされた場所はグラズヘイム王国南部の沖だった。
 山登りしていたはずなのに突然海中へと叩き落とされたミヤサはパニックを起こす。彼女の命が助かったのは一緒に転移した五歳違いの兄サマトのおかげだ。
 波間を漂っていたところ近くを航行していた帆船に拾われて、伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールへと辿り着く。
 ミヤサとは違い、サマトはマール郊外の村にある鍛冶屋に弟子入りしていた。
 月日が流れてミヤサは久しぶりに兄が住む村を訪ねる。ところが兄の姿はなかった。数日前、村から程近い場所に大穴が空く。その調査をしたところ雑魔の騒ぎが起きて失踪してしまったのである。
 急いでハンターズソサエティー支部に連絡。ハンターの力を借りて無事に兄を救いだす。そして神事としての崖上りにも挑戦。ハンターと一緒に前人未踏の記録を打ち立てる。
 そしてマールに住む商家の夫人からの依頼を受けた。ハンターの協力を得て廃墟と化した別荘から祖母の形見を見つけだす。その実力は噂となり、ついにマール城まで届くこととなる。

 あるときミヤサは伯爵地領主の妹、ミリアにマール城へと招かれた。盗まれた黄金の鎧の部位を探して欲しいとミリアに願われる。
 承諾したミヤサはハンター一行と共にすでに存在場所が割れている黄金の冑の元へ。地割れの岩壁途中に突起があり、そこへ骸骨が引っかかっていた。黄金の冑はその骸骨が抱えていたのである。
 ミヤサとハンター一行はクライミングで挑戦。酸をまき散らす魔法蝶は仲間が誘導してくれた。おかげで無事に冑を回収。任務をやり遂げる。
 孤島で秘密裏に行われたオークションにもミヤサとハンター一行は参加した。白髪の紳士との競売争いや警備の隙をつくなどの困難はあったものの、胴の上半身を確保。奪った帆船で無事に逃げおおせる。
 それからしばらくして、ミリアにとって予期せぬ事態となった。孤島オークションで競い合った白髭の紳士『ボリウ・ウスタ』が自ら登城したのである。
 彼とミリアは因縁浅からぬ仲。ボリウは紛失していた黄金の左足を手土産にして、昔の一件は誤解だとミリアの説得を試みた。ボリウを信じたわけではないが、ミリアは兄の助言を受けて交渉を受諾する。
 だがボリウ一行の不審な動きをミヤサとハンター一行は見逃さなかった。対処していく間に目映い黄金に満たされた隠し部屋へと辿り着く。
 高価な品々の一つとして黄金の壁掛けがある。そこには地図と暗号がレリーフとして刻まれていた。
 ボリウは当初、指し示す位置が巨大ルビーの隠し場所だと断言。実際古城跡の瓦礫の下に巨大ルビーは眠っていたがこちらも単なる鍵に過ぎなかった。
 問い詰められたボリウは本来の目的を白状する。
 巨大ルビーを使って辿り着いた隠し部屋には小箱が。その中には一枚の羊皮紙が置かれていた。
 羊皮紙に書かれていた内容を黄金の壁掛けで得た暗号で解く。するとボリウが喋った通り、鉱物マテリアルの鉱床を指し示す記述が浮かび上がってきた。


 マール城に長期滞在したミヤサは羊皮紙に綴られた内容を精査した。
「この地図は違いますね」
 城の司書達に協力してもらい、暗号で解かれた位置が何処なのか照らし合わせる。古い地名で記されていたために困難を極めたが、ようやく特定することができた。
「テュリア鍾乳洞……」
 それは人里離れた丘陵地にある自然洞窟で、発見者テュリアの名がつけられている。嵐の日に丘陵の一部が崩れて発見された。
 当然のことながら探検は行われている。百メートルほど下り坂が続いたところで行き止まりになっていると文献の調査報告書には書かれてあった。
 ミヤサはそれらの情報をまとめてミリアに報告する。
「なるほどですの。ミヤサ様、こちらの鍾乳洞の調査をお願いしたいですの」
「そういって頂けるのではないかと期待しておりました。是非に」
 ミリアの言葉にミヤサは瞳を輝かせて調査を請け負う。すぐさまハンターズソサエティーの支部で手続きを行った。頼もしいハンターに協力してもらうために。
 探検にかかる縄や照明道具等の必要な道具や食料はすべて城が用意してくれるという。
「記述からいっても、行き止まりではあり得ない。さらに地下にきっと何か……」
 本格的な冒険にミヤサは心躍らせるのだった。

リプレイ本文


 夜が明けたばかりの丘陵地を走る一両の馬車。小高い丘の近くで停まると、御者が「着きました」と車内に声をかけた。
 下車したミヤサとハンター一行は積んであった探検用の道具や食料を降ろす。そしてこれから潜るテュリア鍾乳洞の出入り口を覗き込んだ。
「ここがボリフの目的だった鉱床があるらしき鍾乳洞ですか」
 洞内に差しだされた夜桜 奏音(ka5754)の掌で天井の石筍から滴り落ちた水滴が弾ける。
「探検の準備は万全です、隊長!」
 敬礼するアシェ-ル(ka2983)。彼女と視線が合ったザレム・アズール(ka0878)は、辺りを見回してから「俺?」と自分を指さした。「隊長なら」と呟きながらミヤサの肩をポンと叩いた。
「隊長はこそばゆいですがお願いしますね」
 ミヤサはアシェ-ルとあらためての握手を交わす。
 馬車に残っての留守番はここまで御者を務めてくれた二名の兵に任せる。荷物を担いだ一行は冒険の一歩を踏みだした。
「鉱物マテリアルの鉱床を求めての冒険ですか。心躍るものがありますね」
 最初に入ったのはエルバッハ・リオン(ka2434)だ。「しかし、油断は禁物ですね」と気を引き締めながら、なだらかな坂道を下っていく。
「立派な鍾乳洞ですね。果たしてこの地下に鉱床はあるのでしょうか?」
 ノワ(ka3572)はLEDライトを頭上に向けて天井部分を照らす。氷柱のような無数とも思える真っ白な石筍に心躍らせた。
「へぇ、なかなか立派な鍾乳洞じゃないか。けどなんだ、この微妙な……」
 エヴァンス・カルヴィ(ka0639)は通りすがりに石筍を軽く叩いてみる。想像していたよりも軽い音が鳴った。それはつまり密度が薄い証左といえた。
「うぅぅ、せっかくの暗闇なのに抱き着いてぶりっ子アピールできる相手が居ませんよぅ…せっかくの暗闇なのにぃ~~」
 悔しそうな星野 ハナ(ka5852)の声が鍾乳洞内で木霊となる。そのとき雫が首筋から背中へ落ちて驚く。近くのミヤサへと抱きついて星野ハナは照れ笑いを浮かべたのだった。
 鍾乳洞の下った先の突き当たりまで、わずかな時間で辿り着いた。
「まるで石筍のカーテンみたいです。何十、いえ何百あるのかわかりませんが」
 ノワの言うとおり、そこは成長して柱状になった無数の石筍が重なり合っている。まるで石の壁のようになっていた。
「伸びるのに、どれだけの時間が掛かるのでしょうか」
 アシェ-ルは石筍をマジマジと観察し、叩いたりさすったりしてみる。
「ここ行き止まりらしいですが、城のときのように隠し通路みたいなのがあるんでしょうね」
 夜桜奏音も石筍に触って確かめた。
「向こう側に何かあるんじゃねぇのか?」
 エヴァンスが近づいて石筍同士の隙間に目をこらす。
 夜桜奏音は式神を飛ばして周囲に危険がないかを探った。やがて小柄な体型なら通れそうな隙間が二個所見つかる。
「ここなら通り抜けられそうですね」
 試しにエルバッハが少しだけ入ってみた。
「この先を進むのですね。大丈夫です! 私、細いですから!」
 アシェ-ルは控えめな胸に手を当てながら立候補する。
 二人は荷物を仲間達に預けてそれぞれに石筍の隙間へと消えていく。抜けられたとの声が殆ど同時に聞こえた後、しばらくして戻ってきた。
「この石筍を壊せばいいんだな」
「赤いところを狙ってもらえますか?」
 ザレムがノワが印をつけた石筍の下方と上方に亀裂を入れる。倒れようとした太い石筍を全員で支えて、広いところへ運んでから地面へ転がす。こうして二本の石筍を退かしたことで誰でも通れる状態となった。
「わかりやすいようにチョークで描いておきましょうか」
「私もやりますよぉ。ハートマーク付きの矢印を描いちゃいましょう」
 エルバッハと星野ハナが数々の石筍に順路を示す印を残しておく。
「これから何度も通ることを考えると、より正確な地図を作っておくほうがよさそうですね」
 夜桜奏音が石筍壁の通り抜け方法を描きかけの地図に足した。それらが済んだところで冒険を再開する。
 石筍壁の越えると急激に気温が下がり、吐いた息が白くなる。ミヤサは肌寒さを感じて背中を振るわせたのだった。


「ガスはでていなさそうだな」
 エヴァンスが灯した松明を掲げながら先頭を歩んだ。かすかに風の流れがあることから他に通じている穴があると想像する。
「鉄鉱石の鉱脈……それとも水晶……。ミヤサ、もし見つかったらサンプルを持ち帰って調べたいのだが」
「小石ほどの大きさのものなら大丈夫でしょう」
 ザレムがマーカー用の色石を地面へ置きながらミヤサと話す。ミヤサは転がる石を拾って見つめながら歩く。
「回収して持ち帰る必要はありますね」
「きっと素敵な石がたくさん見つかると思います」
 夜桜奏音とノワはすでに石筍の欠片をサンプルとして収集していた。
「海涙石はなさそうだけどカオスメタルと龍鉱石のどっちが出るか本気で楽しみですぅ。え? 綺麗な石を探しだしたのなら一欠片ぐらいもらえないですぅ?!」
「値がつくのを持ちだすのは依頼者への不義理に繋がってしまうんです。ごめんなさい。ですがそうでないのならザレムさんに話したように大丈夫です。確約はできませんが、将来的に綺麗な石が発見されたのであればミリア様と交渉してみましょう」
 涙目で迫る星野ハナにミヤサは頬を指先で掻いた。
「これは……? 少し待って下さい」
 立ち止まったエルバッハが洞窟の壁を凝視しながら一同の行進を止める。背負い袋から取りだしたハンマーで石筍を叩くと、表面部分が崩れて中から樹木の幹が現れた。
「……枝は払ってあるし、第一、接ぎ木の部分がある。落盤防止用の支えで間違いないな」
「石筍の年輪が若いようですし、わたくしもそうだと思います」
 観察したザレムとアシェ-ルが結論づける。ここは自然な鍾乳洞ではなく、長い年月が経つ間に石筍で覆われてしまった坑道なのだろうと。
 行き先が二つに分かれた手前で休憩する。
 占術を使った星野ハナが石の上にタロットカードを並べていく。
「ここは右に進みましょう。左は後でも構わないとでましたぁ。本当の行き止まりみたいですぅ」
 他の占いの結果も合わせて提案する。異論はなく、星野ハナが決めた右側の行き先が選ばれた。
 地下へと続くなだらかな坂道が続く。やがて縦坑のような大穴が見つかった。
「この穴も石筍だらけですが、あきらかに人の手で掘られていますね」
 ミヤサがLEDライトで縦坑らしき内部を照らす。つぶさに眺めれば梯子が設置されているのがわかるものの、大半が石筍で覆われていて役に立ちそうもない。
 小石を落として秒数を計り、穴底までの距離は約二十メートルと推測。余裕をみて三十メートルの綱二本を垂らし、ミヤサとザレムが先行して降りる。期待は裏切られ、そこは先程までと変わらない鍾乳洞的な坑道が続いていた。
 全員が降りたところで探検を再開。奥へ奥へと進む。昼食は保存食で済ませたが、晩食は暖をとる意味も含めて炭を熾して温かい料理を味わう。
「最悪なのはもう採掘されまくって、出がらししか残っていねぇ状態じゃなきゃいいがな」
「それは夢がないのですぅ。キラキラと綺麗なのがあればいいのですよぉ」
 エヴァンスにスープ皿を手渡しする星野ハナが首を横に振った。
「よし頃合いだ。オールスパイスも使って焼いたこの肉は美味いぞ」
 ザレムが程よく焼けた肉塊をまずはアシェ-ルの皿に置く。
「ありがとうございます。美味しいです」
 さっそく口にしたアシェ-ルは笑みを浮かべた。
「人の手で作られたのがはっきりした以上、罠の危険性も考慮に入れなければなりませんね」
「長年、鉱物マテリアルが放置されているとすれば、魔法生物が発生しているかも……です。どんなのなのかとても興味があります!」
 エルバッハとノワが危険性について話題にしていると、夜桜奏音が事前に決めた仕草で全員に静粛を求めた。
 早めに食事を食べ終えていた夜桜奏音は偵察として式神を飛ばしていた。そして野営地の灯火と闇の狭間で何かを目撃する。
 食事を取りやめた一同は戦闘態勢をとった。
「暗くてはっきりしませんがぶよぶよの塊、スライムのように見えましたが」
 夜桜奏音が小声で目撃した物体の姿形を説明。まもなく粘つくような不快な音が近づいてきて、その姿を露わにする。
 軟体は一瞬のうちにハリネズミのようなトゲトゲの形状となる。そのうちの何本の棘が撃ちだされて野営地周辺の地面や壁へと突き刺さった。
 エルバッハがリトルファイアで灯りを強化。
 エヴァンスが魔導拳銃剣で撃った銃弾は命中したものの、貫通して抜けてしまう。エルバッハが放った風刃が軟体の一部を切り取る。しかし二十秒後には融合して元通りになってしまった。
 夜桜奏音と星野ハナが五色光符陣を打って軟体が動きを鈍らせた。その間にアシェ-ルとエルバッハが風刃で軟体を刻んだ。
 エヴァンス、ザレム、ノワ、ミヤサが千切れた軟体との間合いを詰める。それぞれの武器で細かく切断するとやがて動かなくなった。
「この一体だけとは限りませんね……」
 ミヤサとハンター達は気を引き締め直す。睡眠時には二人以上の見張り交代制を敷いたのだった。


 鍾乳洞に潜って二日目。一行は歪な直径二十メートルほどの地下空間へと辿り着く。ここは殆どの壁が石筍の柱に囲まれていた。
「行き止まりに見えた石筍壁のように、坑道の出入り口が隠れているんじゃねぇのか」
「そうですね。かといってこれを全部壊すには……」
 エヴァンスとミヤサが思案していると後方から凄まじい音が鳴り響いた。ふり向くと腕まくりをしてクラッシャードリルを可動させていたザレムがにやりと笑う。
「ドリルの出番だろ、ここは。任せろ、下がっていてくれ」
 ザレムが突き立てた高速回転のドリルが瞬く間に石筍を砕いていく。土壁が見えたところで横へと移動。短時間で一周を果たす。
「この部分の先はどこかに通じていますよぉ。真っ暗ですけど」
「こちらもそうです。坑道らしき暗闇が見えます」
 星野ハナと夜桜奏音が発見した坑道を報告。他にもあって計六本の坑道が見つかる。通れるように全員で手分けして穴を広げた。
「これはどこからか運ばれてきたんですかね……」
 一つの坑道に入ったノワがLEDライトで奥を照らす。六本のうちに五本の坑道は大岩が鎮座していた。
「簡単には取り除けそうもありませんね」
「前に掘っていた人達が塞いだんですかね。でもどうして?」
 エルバッハとアシェ-ルが大岩の一つを確かめる。土砂で埋められていて隙間はまったくなく、掘削しなければどうしようもない状況だ。
 ミヤサが六本の坑道にAからFまでの記号を割り当てる。
「Aだけは塞がれていませんから、これを先に調べてみましょうか」
「だな」
 松明を掲げたミヤサとエヴァンスを先頭にして奥へと進む。やがて地下水が溜まった一帯に差し掛かると、アシェ-ルが一歩前にでた。
「濡れると体力消費しますから、わたくしが縄を渡してきますね」
 縄を腰に巻いたアシェ-ルがウォーターウォークで水面を歩く。向こう岸に着くと両端で太い石筍に結んで縄を張った。その縄に一人ずつぶら下がって伝い、地下水の一帯を越える。水上歩行を温存したのは先でも似たような状況に遭遇するかも知れないからだ。
 やがて非常に広い地下空間へと差し掛かった。
「あれって……?!」
 星野ハナが持っていたLEDライトが先日の軟体と同じ形状の魔法生物を闇から浮かび上がらせる。グニャグニャと形を変えながら迫ってところをエヴァンスが銃剣で串刺しに。仲間全員で切り刻んで事なきを得た。
「最初に倒したやつ。きっとこの辺りから這いだしたんだろうな」
「わたしもそう思いますね。まだいるはずですので探ってみなければ」
 ザレムとミヤサのやり取りを聞いていた夜桜奏音が妙案を思いつく。仲間達に話された作戦は即座に実行される。
「準備OKですぅ」
 岩陰に隠れた星野ハナが借りた無線に小声で囁く。無線を聴いていたアシェ-ルがLEDライトで遠くを照らす。その灯りを頼りにした星野ハナが五色光符陣を打つ。そのとき、地下空間が輝いた。
 夜桜奏音は明るくなる直前に式神を遠くへ飛ばしていた。周囲の状況を脳裏に焼き付けて仲間へと報告する。屯する軟体の数は物影に隠れていなければ十二体だと。
 それから数体ずつ招き寄せての殲滅を繰り返す。集まり過ぎたときにはアシェ-ルのアースウォールで調節をかけつつ。隠れていた個体も含め、丸一日をかけて計十八体を倒しきる。
 疲れ切った一同は早めに就寝。広い地下空間から離れた場所で野営したのだった。


 三日目になり、軟体が蔓延っていた空間を詳しく調べ直す。
「エルさん、ここ見てください! たくさんありますぅ」
「赤茶けた色、鉄鉱石みたいですね」
 喜んだアシェ-ルに抱きつかれてエルバッハは何度か瞬きを繰り返す。
「この場所でも採掘できるな」
「こっちでも大丈夫そうだが。しかしどういうことだぁ?」
 ザレムとエヴァンスが腕を組んで唸り声をあげた。鉄鉱石のような物体が鉱石マテリアルだとして、鉱山が枯れているようには思えなかったである。
「不思議です。何故、放棄する必要があったのでしょう? これだけでも相当な価値があるはずなのに」
 ミヤサも加わって考えたものの、答えは浮かばない。
「写真撮らせてもらいます。ここ、凄いです!」
 張り切ったノワは坑内の様子を魔導カメラで次々と写していく。
「みなさん、こんなに採れましたよぉ。お、重い……」
 星野ハナは籠いっぱいの鉄鉱石擬を運んできた。
「城への報告と確認を兼ねて少し持って帰りましょうか」
 籠の中を覗き込んだ夜桜奏音が一つの鉄鉱石擬を手に取る。それはかなり青みがかっていて光の当て方によっては輝いた。
「あ、ずるいです。わ、私もっ」
 星野ハナ懸命に籠の中を探ったものの、他に青い鉄鉱石擬はない。籠三つ分集めたところで、ようやく二個目が見つかる。
「青いのは十二個だけ。鉄鉱石っぽいこれが鉱物マテリアルなのか。それと青っぽい鉄鉱石だけなのか、調べる必要がありますね」
 ミヤサはいくらかのサンプルを収集する。どれも小さめだったので自由に持ち帰って構わないと仲間達に伝えた。
「価値があるかどうかは専門家に聞いてみないとわかりませんが」
 ミヤサは青い鉄鉱石擬を布に包んで大事に仕舞う。
 他の坑道も調査したかったものの、岩を退かすためには人員が足りなかった。持ち込んだ食料の量からいっても冒険は一旦終了。地上にでて帰路に就く。
 リゼリオへ戻る前にマール城でミリアと謁見。提出用に集めた鉱石のサンプルを手渡したのだった。

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参加者一覧

  • 赤髪の勇士
    エヴァンス・カルヴィ(ka0639
    人間(紅)|29才|男性|闘狩人
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • ドキドキ実験わんこ
    ノワ(ka3572
    人間(紅)|16才|女性|霊闘士
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【相談卓】
アシェ-ル(ka2983
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/10/26 10:55:41
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/26 10:49:47