ゲスト
(ka0000)
ペットがやってきた
マスター:篠崎砂美

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~15人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/09/24 19:00
- 完成日
- 2014/09/28 17:00
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「わんわんわん!」
「みにゃー、にゃあー」
「かあ、かあ?」
何やら、ポルトワールの一画が、ペットたちで騒がしくなっています。どうやらペットコンテストが行われているようです。
最近、クリムゾンウェストでもペットブームのようで、ペットを連れて歩いているハンターたちもよく見かけられます。
当然、同盟の商人達が黙ってはいません。今が稼ぎ時です。
どんなペットが流行っているか把握すれば、これからのペット市場を牛耳れるかもしれません。
まあ、そんな商人達の思惑は放っておいて、お祭りですから盛りあがった方が勝ちです。
「うちの子が一番です! かわいんだから、かわいんだから! かわいんだからあ!!」
「いいか。ここでお前の賢さをアピールするんだぞ」
「お手。お座り。うん、さすがだ。次の時には、おかわりもできるようになろうな」
「ふはははは、我がペットに勝る者なし。全てのペットを支配するのは、我がペットにおいて他にはない。なあ、ミーよ」
「ミー?」
「はーい、ペットを持っていない人はこちらですよー。格安で、にゃんこかわんこをレンタルしていまーす。どうぞ、お気軽に御利用くださーい」
ここが稼ぎ時とばかりに、陰でこっそりとミチーノ・インフォルがペットの貸し出し商売を始めています。
まだペットは持っていないけれど、じきに飼おうと思っている人たちが、予行演習代わりに借りていくようです。
「ふふふふふ、私の手にかかれば、どんなペットでも、とびきりの美人にしてあげる。さあ、うさぎちゃん、変身よ! えっ、うさぎ参加してないの!?」
「にゃんこ分の補給に来ました。ついでにわんこ分も補給していきます」
さてさて、いったいどんなペットたちが現れるのでしょうか。
「みにゃー、にゃあー」
「かあ、かあ?」
何やら、ポルトワールの一画が、ペットたちで騒がしくなっています。どうやらペットコンテストが行われているようです。
最近、クリムゾンウェストでもペットブームのようで、ペットを連れて歩いているハンターたちもよく見かけられます。
当然、同盟の商人達が黙ってはいません。今が稼ぎ時です。
どんなペットが流行っているか把握すれば、これからのペット市場を牛耳れるかもしれません。
まあ、そんな商人達の思惑は放っておいて、お祭りですから盛りあがった方が勝ちです。
「うちの子が一番です! かわいんだから、かわいんだから! かわいんだからあ!!」
「いいか。ここでお前の賢さをアピールするんだぞ」
「お手。お座り。うん、さすがだ。次の時には、おかわりもできるようになろうな」
「ふはははは、我がペットに勝る者なし。全てのペットを支配するのは、我がペットにおいて他にはない。なあ、ミーよ」
「ミー?」
「はーい、ペットを持っていない人はこちらですよー。格安で、にゃんこかわんこをレンタルしていまーす。どうぞ、お気軽に御利用くださーい」
ここが稼ぎ時とばかりに、陰でこっそりとミチーノ・インフォルがペットの貸し出し商売を始めています。
まだペットは持っていないけれど、じきに飼おうと思っている人たちが、予行演習代わりに借りていくようです。
「ふふふふふ、私の手にかかれば、どんなペットでも、とびきりの美人にしてあげる。さあ、うさぎちゃん、変身よ! えっ、うさぎ参加してないの!?」
「にゃんこ分の補給に来ました。ついでにわんこ分も補給していきます」
さてさて、いったいどんなペットたちが現れるのでしょうか。
リプレイ本文
「さあ、着いたんよー」
ミィナ・アレグトーリア(ka0317)が、バスケットの蓋を開けました。とたんに、ひょこっと顔を出した猫が勢いよくミィナの身体をよじ登って肩に行きました。落ちないようにと、思いっきり爪を立てます。
「いたたた、どしたんニーア?」
どうやら、たくさん集まっている動物たちに興奮してしまったようです。首輪とハーネスをつけていますが、生後半年のアメショには、お外はまだ早かったようです。家では猫じゃらしと力一杯戯れたりするのですが。まったく、内弁慶です。
「これじゃ、コンテストは無理っぽいなー」
参加は諦めて、ミィナは観客席へとむかうことにしました。
「わあ、アメショです」
楽屋へむかうファルテ(ka2634)が、ミィナのニーナちゃんを見て言いました。肩にちょこんと乗っているのが可愛らしいです。
楽屋には、コンテストの参加者たちがすでに集まっていました。
「呼ばれたらステージに出てペットの紹介をしてください」
今日の司会を頼まれたセンサーレ・クリティコが、集まった参加者たちに告げました。
「皆様、お待たせしました。お楽しみのペットコンテストの開幕です」
ステージに移動した司会者が、観客にむかって高らかに告げました。
「それでは、最初のペットに登場願いましょう。ファルテさんのカクさんとスゥさんです」
なんだか御隠居のお供みたいに紹介されて、ファルテがステージに出ていきました。二匹の虎猫が、その後に続きます。
「ええっと……、一緒に遊びます」
ファルテが猫じゃらしを振りました。けれども、カクさんの方は、ステージ中央で香箱を作ってまったりとし始めました。でっぷりとしているので、見た目がまん丸です。対照的に、小柄なスゥさんが、どどどどっと走ってきて、カクさんを踏み台にして猫じゃらしに飛びつきました。元気です。ワイルドです。
猫じゃらしにスゥさんが飛びつく度に、カクさんが踏み台にされます。けれども、足蹴にされてもカクさんは平気です。あくまでもその場を動きません。
「おおーっ」
カクさんのふてぶてしい態度に、客席のミィナたちから拍手が湧き起こりました。
「カクさん、強かったですね。それでは、次はドミノ・ウィル(ka0208)さんの虎猫ゴンザレス君です!」
司会者が、次の参加者を呼びました。
「ゴンザレス君には、何か芸のような物はあるんですか?」
「よくぞ聞いてくれた。こいつは一つ特技があるんだ。見てろよ」
そう言うと、ドミノがゴンザレス君の前に立ちました。
「ただいまー!」
ドミノがそう大声で言うと、ゴンザレス君がひょいと後ろ足で立ち上がりました。そのまま、前足を可愛らしく身体の前で揃えます。
「ちんちんですか?」
「違う! ある時、家に帰ってきたら、窓からこいつが顔出してたんだ。なんと、椅子に乗って、さっきみたいに立ち上がる感じで窓から顔出してたんだよ。それからさ、家に帰る時に、ただいまーって言うと、窓から顔出すようになったんだ。凄いだろ」
自慢げにドミノが言います。
まあ、そんなに騒ぐことではないような気もしますが、飼い主としては、お出迎えしてくれるペットはとても可愛いものです。
「まるで新妻ですね。今後も仲良くしてあげてください」
「さあ、次は、ケイ・R・シュトルツェ(ka0242)さんと猫のシュネーちゃんです。白の長毛種ですか?」
さっきまでの短毛種とは見るからに違う猫に、司会者がケイに訊ねました。
「あたしの家族のシュネーは、本当に綺麗な毛並みをしているでしょ。どこかでターキッシュアンゴラの血が混じっているのだと思うのだけれど」
「凄いなあ、どうやってお手入れするのか聞いてみたいんのよー」
ふわもこのシュネーちゃんの毛並みを見て、客席のミィナがつぶやきました。
「このグリーンの目も見て。まるでエメラルドのようでしょ。この目で甘えられると、もうたまらないわ。まるで魔法にかけられたかのよう」
うっとりしてケイが言いました。
「高い所が好きで、よく猫タワーの上でおすまししているわ」
「それで、芸とかはなさるんですか?」
「そうね、綱渡りかな。別に教えたわけではないけれど、細いロープの上なんかを、なんでもないように渡るのよ。ちょっとしたサーカスね。それから、人の膝の上も大好きで、一緒に散歩もするし、こちらの考えも読めるって言うか……」
「ありがとうございました。シュネーちゃんでしたー」
なんだかきりがないので、司会者が途中で切り上げました。
「大好きよ、シュネー……」
まだ語り足りないという顔をしつつも、ケイがシュネーちゃんに頬ずりしながら、ニコニコと退場していきました。
「続いては、ヤナギ・エリューナク(ka0265)さんの黒猫セオドア君です」
黒猫のセオドア君を肩に乗せて、ヤナギが現れました。
「うちの奴は、雨の日に拾ってきた黒猫だ。この艶々の毛並みと金色の瞳を見てくれよ、拾ってきたとは思えないほど綺麗なんだぜ。芸と言っちゃなんだが、お座りとお手とおかわりをするんだぜ」
そう言うと、ヤナギがセオドア君を肩から下ろしました。
「ほんと、艶々だあ」
客席で、ミィナがその毛並みに感心します。
「よし、お座り」
ツーン。
「お手!」
ああ、そっぽ向いて歩きだしてしまいました。
「なっ、このツンツンしたところが可愛いんだよ」
そう言うと、ヤナギがササミのおやつをポケットから取り出しました。とたんに、駆け戻ってきたセオドア君がスリスリします。デレです。
「セオドア」
ヤナギが名前を呼ぶと、再びセオドア君が肩に乗りました。
「こいつの名前は、『神の贈り物』って意味なんだ。俺にとっちゃ、それくらい大事だってことさ」
「続いては、ロジー・ビィ(ka0296)さんのラグーンさんです」
「おお、今度は犬か。見た感じから中々に賢そうだ」
楽屋裏から観覧していたドミノが、初登場の犬に目を輝かせました。
「あたしの大切な家族は、ラグーンさんと言いますの」
大型のハスキー犬の頭をなでながらビィが言いました。金茶色のふっさふっさな毛並みです。その中で、アイスブルーの瞳が特徴的です。
「うちのラグーンさんは、ハスキーでもすこぶる賢いことですのよ。ハイ!」
そう言ってビィが手を出すと、ラグーンさんが後ろ足で立ち上がって前足を振りあげ、みごとにハイタッチを決めました。
おおっと、観客席のミィナたちから歓声があがりました。
「それから、どんなわんちゃんとも仲良くできますの。ほら」
ビィが、舞台袖で出番を待っている十文字 勇人(ka2839)の柴犬コロの方を指さしました。そこをすかさず、ラグーンさんがビィの手にハイタッチします。
「ええっと、まるでこちらが望んでいるのが分かったかのように、ハイタッチしてきますの。ほほほほほ……」
笑ってごまかそうとしたビィが軽く手を振ると、しゅたたたたっとラグーンさんが連続ハイタッチをしてきました。完璧です。
「そ、それでは、お友達と遊んで参りますわ」
まだハイタッチの機会を狙っているラグーンさんをよいしょっとだきかかえて、ビィがステージから去っていきました。
「次は、日高・明(ka0476)さんの虎猫ミイ君です」
「やー、別に特別、猫好きなわけじゃないんだけどさー。でもこいつさ、けっこー毛並みとかいけてると思うんだよね! よく見ると可愛いし」
ミイ君をだきかかえたまま現れた明が言いました。そのだき方がちょっと気に入らないのか、ミイ君が腕を突っ張って明の顎を押しのけようとします。
「ううっ、ちゃんとブラシもかけてあげたんだから、大人しくしろって、いてててて……」
軽く引っ掻かれて、思わず明が腕の力を弱めました。すかさず、ミイ君が逃げだします。
「あらあらあら」
思わず、舞台袖で見ていたファルテが、猫じゃらしを振っておいでおいでしてしまいます。
「何をしているのよ」
ひょいとミイ君を拾いあげた金刀比良 十六那(ka1841)が、ステージに出てきました。本来の出番は次ですが、ミイ君が逃げだしてきたので仕方ありません。前倒し競演です。
「ああ、イザヤも来ていたんだ。ありがとよ」
イザヤからミイ君を返してもらうと、今度はきつくない程度にしっかりと明がだきしめました。
「よその子も可愛いけれど、うちの子も負けてはいないわよ」
藍色の浴衣の胸元から愛猫のリィ君を取り出すと、イザヤが床に下ろしました。どこに入れているのでしょうか。
「ほーら、おやつだよー」
手に持ったカリカリを左右に振ると、後ろ足で立ち上がったリィ君が両手を開いたり閉じたりしてキャッチしようとします。
「この必死さが可愛いんだよね。ほら、もう、目の色が違うと言うか……」
なぜだかうっとりしたように、イザヤが言いました。
「単に食い意地が張っているだけじゃ……」
ボソリとつぶやいた明が、肘鉄一発で黙らせられます。
「もっと凄い子もいるんだから」
そう言うと、イザヤが真っ赤なリンゴを高々と掲げました。
大きな嘶きが聞こえ、ステージに馬のメアさんが駆け込んできます。そのまま、メアさんが明の襟首を噛んでポーンと上に放りあげました。幸運にも明は一回転してストンとメアさんの背中に乗りました。
「それじゃ、メアさんの凄いところも見せるわよ。二人乗りなんかへっちゃらなんだから」
イザヤが浴衣の裾を翻して、ひらりとメアさんに騎乗て走りだします。
「おお、ゆれる。いろいろとヤバい……」
ぴったりとイザヤに後ろからかかえられて、明が叫びました。そのまま、メアさんはステージを飛び出していってしまいました。
「気を取り直しまして、オウガ(ka2124)さんの柴犬タロー君の登場です」
「俺はオウガ! こっちは犬のタローだ。よろしくなー」
そう自己紹介すると、オウガがタロー君と取っ組み合いながら、ステージの上でじゃれ合い始めました。
「あのー、ちょっと、オウガさん、もっとペットとのエピソードとか、芸の紹介かなんかを……」
転がられても困りますと、司会が困った顔で声をかけました。
「はははは、こいつぅ」
ダメです、タロー君と一緒に遊ぶのに夢中で、聞く耳持ちません。
「はいはいはい、もうそろそろどくのじゃ。にゃ~♪」
突然ステージに猫娘が乱入してきて、華麗なネコパンチでオウガとタロー君をステージの外へと転がしていきました。
「さあ、ここからは、ハテニャン&ミー君のステージじゃ。祭りじゃ! わっしょい!」
半被に褌姿のカナタ・ハテナ(ka2130)が元気よく飛びあがって叫びました。頭には虎縞の猫耳があり、お尻の方からは二又の尻尾がゆらゆらしています。
「かもーん、ミー君!」
カナタが紐を引っぱると、熱湯を満たしたカヌー型のバナナボートと、それに乗ったミー君が現れました。
「さあ、ミー君よ、君の熱さに強いところを見せ……」
そう言ってボート越しに身を乗り出して手を伸ばしたカナタの頭を、ミー君がバシッとネコパンチで叩きました。
つんのめったカナタが、熱湯に頭から突っ込んで激しいお湯しぶきを上げます。
「あちちちちっ!!」
お湯を吸い込んだ半被を、カナタが慌てて脱ぎ捨てました。おかげで、お湯に濡れて半透けのサラシと褌姿になってしまいます。エロいです。
すかさず、動物黒ベタとなるべくしてミー君がジャンプしました。
届きません。
カナタの手前にすたっと着地すると、ミー君がとりあえず毛繕いを始めます。
「はははは、さ、サービスじゃあ!」
お湯のせいなのか、恥ずかしさからなのか、顔を真っ赤にしたカナタがミー君をだきあげました。それで、遅ればせに胸や前の所を隠すと、急いで退場していきました。
「えー、ただいま、濡れたステージの清掃を行っております。しばらくお待ちください」
司会者がそう言った時、ステージにトコトコと白猫と黒猫が進み出てきました。
「ああ、お待ちください、お足許が汚れてしまいます」
すかさず飛び出してきたのは、頭にカモメのトランペッター様を乗せたレイ・T・ベッドフォード(ka2398)でした。身を挺して、黒猫の高貴なるエルヴィン様、白猫の破壊者グラム様のお猫様コンビをだきあげます。
なし崩し的にステージに登場したレイの後から、パルム様と、ゴールデンレトリバーの平穏の護り手オルドレイク様、ポメラニアンの疾走者ボルト様がゆっくりと現れます。
それを見て、レイが慌てて道をあけてへこへこしました。どうやら、レイ家のヒエラルキーでは、レイが最下層のようです。
「ええと、レイ・T・ベッドフォードさんと愉快な仲間たちです、どうぞ」
司会者が、慌てて紹介をします。
「それで、このたくさんのペットたちは、どんな芸ができるんですか?」
「芸!? はっ、ええっと、芸、芸、芸……」
突然訊ねられて、レイが焦りました。芸をさせられることはあっても、芸をさせたことはありません。いや、そういえば、階層構造のトップに君臨する姉上の命令で、ペット様たちが一列に並んだのを見たことがあります。あれです。
シャランと神楽鈴を鳴らし、一列に並べた座布団の上にレイがペット様たちを手招きました。ペットたちが一匹ずつ座布団の上に座ります。
「えー、今日の大喜利は……」
「山田君、全員持ってっちゃいなさい!」
頭をかかえて、司会者が言いました。
次の瞬間、呼ばれた気がしたヤナギ君に、レイとペット様たちが座布団ごと持っていかれました。
「続いては、アイ・シャ(ka2762)さんのフクロウさんです」
「お、鳥をペットにしてるんかあ。なかなかにカッコイイな」
ドミノが、珍しいペットに目をキラキラさせました。
「里では他に隼も飼っているのですけれど、今日はこの子を連れて参りました。兄は鷹を飼っていまして、みんな仲良しです」
止まり木の上のフクロウを見せてアイが言いました。
「このつやつやすべすべした羽に頬ずりする時が一番幸せです。もちろん、狩りの時には凛々しい姿も見せてくれますよ。鼠なんかイチコロです。一瞬で取り押さえて、こうボリボリと……」
「ああ、ええっと、フクロウちゃんでしたあ」
なんだか話が生々しいものになっていったので、司会者が慌ててアイの背中を押して退場させていきました。会場もかなりドン引いています。
「さて、十文字勇人さんの柴犬コロ君の登場です」
なんだか心配そうに仔犬をだいた勇人が現れました。さっきのフクロウ、まさか犬は食わないだろうなという感じです。
まあ、大丈夫そうなのでステージに下ろすと、舞台袖にお友達になったばかりのラクーンさんを見つけたコロ君がワンと可愛く吠えました。それだけで、勇人がめろめろになってしまいます。
「うちの子はまだ仔犬だから、芸とかはできないな。この程度かな」
そう言うと、勇人がコロ君にお手をさせました。なんだか必死に、手を挙げると言うよりは一歩前に出ます。その場で待てをさせて呼ぼうとしますが、やはり待てずに勇人の後をついてきてしまいます。まあ、まだ仔犬ですから仕方ありません。次に勇人は、コロ君を転がしていきました。まだまん丸の仔犬ですから、面白いように転がっていきます。コロ君本人も楽しそうです。
「はははは、こいつぅ」
そのまま転がしすぎて、勇人とコロ君はステージから出ていってしまいました。
「わふん」
危ないよと、舞台袖でラクーンさんがペチッと手でコロ君を止めてくれました。
「続いては、ファリス(ka2853)さんの柴犬ヨハンナちゃんです」
「ファリスのお友達のヨハンナなの。ヨハンナ、みんなに挨拶するの」
成犬になる前のまだフワフワもこもこのヨハンナちゃんがトコトコと駆けてきます。お座りをさせようとしたファリスでしたが、構って状態のヨハンナちゃんは足許をクルクル回ってじゃれつくばかりです。
「じゃ、これを取っておいでなの」
ファリスがボールを転がして取ってこさせようとしました。けれども、ちらっと一瞥しただけでまたファリスの足許に身体をこすってじゃれついてきます。
「ううっ、はいはいなの」
ついに根負けして、ファリスがヨハンナちゃんをだきあげてなでなでしました。
「ああ、フワフワもこもこで、相変わらず可愛いなの!」
「最後は、Capella(ka2390)さんの、鼠のリゲルちゃんです」
「リゲル、出ておいで」
カペラが声をかけると、フードの中からパンダ柄の鼠が顔を出しました。なんだか、いろんなペットがいるので、周囲を警戒しています。
カペラが手に取ると、女の子らしく尻尾にはリボンをつけておしゃれをしていました。
「彼女は赤ちゃんの時に親とはぐれてしまったんだ。僕が彼女を見つけたその日から、親代わりとなって育てているんだよ」
シルクのような手触りを楽しみながら、カペラが紹介します。
「得意技は綱渡りだよ」
鉄パイプの柱の間にロープを渡した物を用意すると、カペラが反対側でナッツを持って待ちました。すぐに、リゲルちゃんが器用にロープを伝ってカペラの手にやってきます。
「リゲルは可愛いでちゅねー!」
両手で持ったナッツを囓るリゲルちゃんを、カペラが親馬鹿全開で褒めながらおでこにキスしました。
「さあ、これですべてのペットが出そろいました。みなさん、ペットと御一緒にステージへどうぞ!」
カペラとリゲルちゃんをステージに残したまま、司会者が他の参加者を呼び集めました。
その時です!
キラーン!!
アイのフクロウの目が、猛禽類の本能の輝きを見せました。
(獲物だ!!)
大きく翼を広げて舞いあがると、リゲルちゃんにターゲットを絞ります。
慌てたリゲルちゃんがカペラのフードに逃げ込もうとして失敗して床に落ちました。パニックに陥って、逃げ場を探して出場者の足許を走って逃げ回ります。それを、フクロウが追いかけ回しました。
(おいしそう!)
身体を伸ばしてリゲルちゃんを見つけたゴンザレス君も走りだします。
それに釣られて、ファルテの腕から、スゥさんが飛び出していきます。カクさんの方は、相変わらず我関せずです。
(タンパク質!)
セオドア君も、野生を取り戻して飛び出しました。
(お下品な)
いったんは興味を示しかけたシュネーちゃんが、ケイの腕の中でゆらゆらとふさふさの尻尾をゆらしました。
明のミイ君は、まだ小さいのできょとんとしています。勇人のコロ君とファリスのヨハンナちゃんも状況が分からず飼い主にどうしたのと目で訊ねていました。
「いやいや、まてまて」
猫娘の本能?から思わず自分も加わりかけて、ミー君をだいたままカナタが自重しました。
「ねずみちゃんぴーんちなの!」
猫のニーナをしっかりと押さえて、観客席でミィナが叫びました。
「ああ、リィ君まで!」
飛び出すリィ君を見てイザヤが叫びました。その時、その後ろで動く影がありました。
(ここは僕が守る!)
ラグーンさんが、立ち上がってにゃんこたちの行く手を阻みました。オウガのタロー君もそれに加わってリゲルちゃんを守ろうとします。
そこへ、馬のメアさんがさっそうと駆け込んできました
(さあ、乗りたまえ)
メアさんがキラーンっと極上の笑みを浮かべてリゲルちゃんに言いました。そのまま、リゲルちゃんを乗せて走り去っていきます。
(まてえー)
その後をペットたちが、一団となって追っていきました。
「ああ、皆様、どこへ行かれるのです!」
なんだかついていってしまったペット様たちを、レイも慌てて追いかけます。他のみんなも、一斉に後を追いました。
ステージの上には、誰もいなくなってしまいました。いえ、誰かいます。
「ええっと……。コンテスト、これで、終了します……」
ペットたちに撥ね飛ばされてステージに倒れていた司会者が、やっとのことでそれだけ言いました。
ミィナ・アレグトーリア(ka0317)が、バスケットの蓋を開けました。とたんに、ひょこっと顔を出した猫が勢いよくミィナの身体をよじ登って肩に行きました。落ちないようにと、思いっきり爪を立てます。
「いたたた、どしたんニーア?」
どうやら、たくさん集まっている動物たちに興奮してしまったようです。首輪とハーネスをつけていますが、生後半年のアメショには、お外はまだ早かったようです。家では猫じゃらしと力一杯戯れたりするのですが。まったく、内弁慶です。
「これじゃ、コンテストは無理っぽいなー」
参加は諦めて、ミィナは観客席へとむかうことにしました。
「わあ、アメショです」
楽屋へむかうファルテ(ka2634)が、ミィナのニーナちゃんを見て言いました。肩にちょこんと乗っているのが可愛らしいです。
楽屋には、コンテストの参加者たちがすでに集まっていました。
「呼ばれたらステージに出てペットの紹介をしてください」
今日の司会を頼まれたセンサーレ・クリティコが、集まった参加者たちに告げました。
「皆様、お待たせしました。お楽しみのペットコンテストの開幕です」
ステージに移動した司会者が、観客にむかって高らかに告げました。
「それでは、最初のペットに登場願いましょう。ファルテさんのカクさんとスゥさんです」
なんだか御隠居のお供みたいに紹介されて、ファルテがステージに出ていきました。二匹の虎猫が、その後に続きます。
「ええっと……、一緒に遊びます」
ファルテが猫じゃらしを振りました。けれども、カクさんの方は、ステージ中央で香箱を作ってまったりとし始めました。でっぷりとしているので、見た目がまん丸です。対照的に、小柄なスゥさんが、どどどどっと走ってきて、カクさんを踏み台にして猫じゃらしに飛びつきました。元気です。ワイルドです。
猫じゃらしにスゥさんが飛びつく度に、カクさんが踏み台にされます。けれども、足蹴にされてもカクさんは平気です。あくまでもその場を動きません。
「おおーっ」
カクさんのふてぶてしい態度に、客席のミィナたちから拍手が湧き起こりました。
「カクさん、強かったですね。それでは、次はドミノ・ウィル(ka0208)さんの虎猫ゴンザレス君です!」
司会者が、次の参加者を呼びました。
「ゴンザレス君には、何か芸のような物はあるんですか?」
「よくぞ聞いてくれた。こいつは一つ特技があるんだ。見てろよ」
そう言うと、ドミノがゴンザレス君の前に立ちました。
「ただいまー!」
ドミノがそう大声で言うと、ゴンザレス君がひょいと後ろ足で立ち上がりました。そのまま、前足を可愛らしく身体の前で揃えます。
「ちんちんですか?」
「違う! ある時、家に帰ってきたら、窓からこいつが顔出してたんだ。なんと、椅子に乗って、さっきみたいに立ち上がる感じで窓から顔出してたんだよ。それからさ、家に帰る時に、ただいまーって言うと、窓から顔出すようになったんだ。凄いだろ」
自慢げにドミノが言います。
まあ、そんなに騒ぐことではないような気もしますが、飼い主としては、お出迎えしてくれるペットはとても可愛いものです。
「まるで新妻ですね。今後も仲良くしてあげてください」
「さあ、次は、ケイ・R・シュトルツェ(ka0242)さんと猫のシュネーちゃんです。白の長毛種ですか?」
さっきまでの短毛種とは見るからに違う猫に、司会者がケイに訊ねました。
「あたしの家族のシュネーは、本当に綺麗な毛並みをしているでしょ。どこかでターキッシュアンゴラの血が混じっているのだと思うのだけれど」
「凄いなあ、どうやってお手入れするのか聞いてみたいんのよー」
ふわもこのシュネーちゃんの毛並みを見て、客席のミィナがつぶやきました。
「このグリーンの目も見て。まるでエメラルドのようでしょ。この目で甘えられると、もうたまらないわ。まるで魔法にかけられたかのよう」
うっとりしてケイが言いました。
「高い所が好きで、よく猫タワーの上でおすまししているわ」
「それで、芸とかはなさるんですか?」
「そうね、綱渡りかな。別に教えたわけではないけれど、細いロープの上なんかを、なんでもないように渡るのよ。ちょっとしたサーカスね。それから、人の膝の上も大好きで、一緒に散歩もするし、こちらの考えも読めるって言うか……」
「ありがとうございました。シュネーちゃんでしたー」
なんだかきりがないので、司会者が途中で切り上げました。
「大好きよ、シュネー……」
まだ語り足りないという顔をしつつも、ケイがシュネーちゃんに頬ずりしながら、ニコニコと退場していきました。
「続いては、ヤナギ・エリューナク(ka0265)さんの黒猫セオドア君です」
黒猫のセオドア君を肩に乗せて、ヤナギが現れました。
「うちの奴は、雨の日に拾ってきた黒猫だ。この艶々の毛並みと金色の瞳を見てくれよ、拾ってきたとは思えないほど綺麗なんだぜ。芸と言っちゃなんだが、お座りとお手とおかわりをするんだぜ」
そう言うと、ヤナギがセオドア君を肩から下ろしました。
「ほんと、艶々だあ」
客席で、ミィナがその毛並みに感心します。
「よし、お座り」
ツーン。
「お手!」
ああ、そっぽ向いて歩きだしてしまいました。
「なっ、このツンツンしたところが可愛いんだよ」
そう言うと、ヤナギがササミのおやつをポケットから取り出しました。とたんに、駆け戻ってきたセオドア君がスリスリします。デレです。
「セオドア」
ヤナギが名前を呼ぶと、再びセオドア君が肩に乗りました。
「こいつの名前は、『神の贈り物』って意味なんだ。俺にとっちゃ、それくらい大事だってことさ」
「続いては、ロジー・ビィ(ka0296)さんのラグーンさんです」
「おお、今度は犬か。見た感じから中々に賢そうだ」
楽屋裏から観覧していたドミノが、初登場の犬に目を輝かせました。
「あたしの大切な家族は、ラグーンさんと言いますの」
大型のハスキー犬の頭をなでながらビィが言いました。金茶色のふっさふっさな毛並みです。その中で、アイスブルーの瞳が特徴的です。
「うちのラグーンさんは、ハスキーでもすこぶる賢いことですのよ。ハイ!」
そう言ってビィが手を出すと、ラグーンさんが後ろ足で立ち上がって前足を振りあげ、みごとにハイタッチを決めました。
おおっと、観客席のミィナたちから歓声があがりました。
「それから、どんなわんちゃんとも仲良くできますの。ほら」
ビィが、舞台袖で出番を待っている十文字 勇人(ka2839)の柴犬コロの方を指さしました。そこをすかさず、ラグーンさんがビィの手にハイタッチします。
「ええっと、まるでこちらが望んでいるのが分かったかのように、ハイタッチしてきますの。ほほほほほ……」
笑ってごまかそうとしたビィが軽く手を振ると、しゅたたたたっとラグーンさんが連続ハイタッチをしてきました。完璧です。
「そ、それでは、お友達と遊んで参りますわ」
まだハイタッチの機会を狙っているラグーンさんをよいしょっとだきかかえて、ビィがステージから去っていきました。
「次は、日高・明(ka0476)さんの虎猫ミイ君です」
「やー、別に特別、猫好きなわけじゃないんだけどさー。でもこいつさ、けっこー毛並みとかいけてると思うんだよね! よく見ると可愛いし」
ミイ君をだきかかえたまま現れた明が言いました。そのだき方がちょっと気に入らないのか、ミイ君が腕を突っ張って明の顎を押しのけようとします。
「ううっ、ちゃんとブラシもかけてあげたんだから、大人しくしろって、いてててて……」
軽く引っ掻かれて、思わず明が腕の力を弱めました。すかさず、ミイ君が逃げだします。
「あらあらあら」
思わず、舞台袖で見ていたファルテが、猫じゃらしを振っておいでおいでしてしまいます。
「何をしているのよ」
ひょいとミイ君を拾いあげた金刀比良 十六那(ka1841)が、ステージに出てきました。本来の出番は次ですが、ミイ君が逃げだしてきたので仕方ありません。前倒し競演です。
「ああ、イザヤも来ていたんだ。ありがとよ」
イザヤからミイ君を返してもらうと、今度はきつくない程度にしっかりと明がだきしめました。
「よその子も可愛いけれど、うちの子も負けてはいないわよ」
藍色の浴衣の胸元から愛猫のリィ君を取り出すと、イザヤが床に下ろしました。どこに入れているのでしょうか。
「ほーら、おやつだよー」
手に持ったカリカリを左右に振ると、後ろ足で立ち上がったリィ君が両手を開いたり閉じたりしてキャッチしようとします。
「この必死さが可愛いんだよね。ほら、もう、目の色が違うと言うか……」
なぜだかうっとりしたように、イザヤが言いました。
「単に食い意地が張っているだけじゃ……」
ボソリとつぶやいた明が、肘鉄一発で黙らせられます。
「もっと凄い子もいるんだから」
そう言うと、イザヤが真っ赤なリンゴを高々と掲げました。
大きな嘶きが聞こえ、ステージに馬のメアさんが駆け込んできます。そのまま、メアさんが明の襟首を噛んでポーンと上に放りあげました。幸運にも明は一回転してストンとメアさんの背中に乗りました。
「それじゃ、メアさんの凄いところも見せるわよ。二人乗りなんかへっちゃらなんだから」
イザヤが浴衣の裾を翻して、ひらりとメアさんに騎乗て走りだします。
「おお、ゆれる。いろいろとヤバい……」
ぴったりとイザヤに後ろからかかえられて、明が叫びました。そのまま、メアさんはステージを飛び出していってしまいました。
「気を取り直しまして、オウガ(ka2124)さんの柴犬タロー君の登場です」
「俺はオウガ! こっちは犬のタローだ。よろしくなー」
そう自己紹介すると、オウガがタロー君と取っ組み合いながら、ステージの上でじゃれ合い始めました。
「あのー、ちょっと、オウガさん、もっとペットとのエピソードとか、芸の紹介かなんかを……」
転がられても困りますと、司会が困った顔で声をかけました。
「はははは、こいつぅ」
ダメです、タロー君と一緒に遊ぶのに夢中で、聞く耳持ちません。
「はいはいはい、もうそろそろどくのじゃ。にゃ~♪」
突然ステージに猫娘が乱入してきて、華麗なネコパンチでオウガとタロー君をステージの外へと転がしていきました。
「さあ、ここからは、ハテニャン&ミー君のステージじゃ。祭りじゃ! わっしょい!」
半被に褌姿のカナタ・ハテナ(ka2130)が元気よく飛びあがって叫びました。頭には虎縞の猫耳があり、お尻の方からは二又の尻尾がゆらゆらしています。
「かもーん、ミー君!」
カナタが紐を引っぱると、熱湯を満たしたカヌー型のバナナボートと、それに乗ったミー君が現れました。
「さあ、ミー君よ、君の熱さに強いところを見せ……」
そう言ってボート越しに身を乗り出して手を伸ばしたカナタの頭を、ミー君がバシッとネコパンチで叩きました。
つんのめったカナタが、熱湯に頭から突っ込んで激しいお湯しぶきを上げます。
「あちちちちっ!!」
お湯を吸い込んだ半被を、カナタが慌てて脱ぎ捨てました。おかげで、お湯に濡れて半透けのサラシと褌姿になってしまいます。エロいです。
すかさず、動物黒ベタとなるべくしてミー君がジャンプしました。
届きません。
カナタの手前にすたっと着地すると、ミー君がとりあえず毛繕いを始めます。
「はははは、さ、サービスじゃあ!」
お湯のせいなのか、恥ずかしさからなのか、顔を真っ赤にしたカナタがミー君をだきあげました。それで、遅ればせに胸や前の所を隠すと、急いで退場していきました。
「えー、ただいま、濡れたステージの清掃を行っております。しばらくお待ちください」
司会者がそう言った時、ステージにトコトコと白猫と黒猫が進み出てきました。
「ああ、お待ちください、お足許が汚れてしまいます」
すかさず飛び出してきたのは、頭にカモメのトランペッター様を乗せたレイ・T・ベッドフォード(ka2398)でした。身を挺して、黒猫の高貴なるエルヴィン様、白猫の破壊者グラム様のお猫様コンビをだきあげます。
なし崩し的にステージに登場したレイの後から、パルム様と、ゴールデンレトリバーの平穏の護り手オルドレイク様、ポメラニアンの疾走者ボルト様がゆっくりと現れます。
それを見て、レイが慌てて道をあけてへこへこしました。どうやら、レイ家のヒエラルキーでは、レイが最下層のようです。
「ええと、レイ・T・ベッドフォードさんと愉快な仲間たちです、どうぞ」
司会者が、慌てて紹介をします。
「それで、このたくさんのペットたちは、どんな芸ができるんですか?」
「芸!? はっ、ええっと、芸、芸、芸……」
突然訊ねられて、レイが焦りました。芸をさせられることはあっても、芸をさせたことはありません。いや、そういえば、階層構造のトップに君臨する姉上の命令で、ペット様たちが一列に並んだのを見たことがあります。あれです。
シャランと神楽鈴を鳴らし、一列に並べた座布団の上にレイがペット様たちを手招きました。ペットたちが一匹ずつ座布団の上に座ります。
「えー、今日の大喜利は……」
「山田君、全員持ってっちゃいなさい!」
頭をかかえて、司会者が言いました。
次の瞬間、呼ばれた気がしたヤナギ君に、レイとペット様たちが座布団ごと持っていかれました。
「続いては、アイ・シャ(ka2762)さんのフクロウさんです」
「お、鳥をペットにしてるんかあ。なかなかにカッコイイな」
ドミノが、珍しいペットに目をキラキラさせました。
「里では他に隼も飼っているのですけれど、今日はこの子を連れて参りました。兄は鷹を飼っていまして、みんな仲良しです」
止まり木の上のフクロウを見せてアイが言いました。
「このつやつやすべすべした羽に頬ずりする時が一番幸せです。もちろん、狩りの時には凛々しい姿も見せてくれますよ。鼠なんかイチコロです。一瞬で取り押さえて、こうボリボリと……」
「ああ、ええっと、フクロウちゃんでしたあ」
なんだか話が生々しいものになっていったので、司会者が慌ててアイの背中を押して退場させていきました。会場もかなりドン引いています。
「さて、十文字勇人さんの柴犬コロ君の登場です」
なんだか心配そうに仔犬をだいた勇人が現れました。さっきのフクロウ、まさか犬は食わないだろうなという感じです。
まあ、大丈夫そうなのでステージに下ろすと、舞台袖にお友達になったばかりのラクーンさんを見つけたコロ君がワンと可愛く吠えました。それだけで、勇人がめろめろになってしまいます。
「うちの子はまだ仔犬だから、芸とかはできないな。この程度かな」
そう言うと、勇人がコロ君にお手をさせました。なんだか必死に、手を挙げると言うよりは一歩前に出ます。その場で待てをさせて呼ぼうとしますが、やはり待てずに勇人の後をついてきてしまいます。まあ、まだ仔犬ですから仕方ありません。次に勇人は、コロ君を転がしていきました。まだまん丸の仔犬ですから、面白いように転がっていきます。コロ君本人も楽しそうです。
「はははは、こいつぅ」
そのまま転がしすぎて、勇人とコロ君はステージから出ていってしまいました。
「わふん」
危ないよと、舞台袖でラクーンさんがペチッと手でコロ君を止めてくれました。
「続いては、ファリス(ka2853)さんの柴犬ヨハンナちゃんです」
「ファリスのお友達のヨハンナなの。ヨハンナ、みんなに挨拶するの」
成犬になる前のまだフワフワもこもこのヨハンナちゃんがトコトコと駆けてきます。お座りをさせようとしたファリスでしたが、構って状態のヨハンナちゃんは足許をクルクル回ってじゃれつくばかりです。
「じゃ、これを取っておいでなの」
ファリスがボールを転がして取ってこさせようとしました。けれども、ちらっと一瞥しただけでまたファリスの足許に身体をこすってじゃれついてきます。
「ううっ、はいはいなの」
ついに根負けして、ファリスがヨハンナちゃんをだきあげてなでなでしました。
「ああ、フワフワもこもこで、相変わらず可愛いなの!」
「最後は、Capella(ka2390)さんの、鼠のリゲルちゃんです」
「リゲル、出ておいで」
カペラが声をかけると、フードの中からパンダ柄の鼠が顔を出しました。なんだか、いろんなペットがいるので、周囲を警戒しています。
カペラが手に取ると、女の子らしく尻尾にはリボンをつけておしゃれをしていました。
「彼女は赤ちゃんの時に親とはぐれてしまったんだ。僕が彼女を見つけたその日から、親代わりとなって育てているんだよ」
シルクのような手触りを楽しみながら、カペラが紹介します。
「得意技は綱渡りだよ」
鉄パイプの柱の間にロープを渡した物を用意すると、カペラが反対側でナッツを持って待ちました。すぐに、リゲルちゃんが器用にロープを伝ってカペラの手にやってきます。
「リゲルは可愛いでちゅねー!」
両手で持ったナッツを囓るリゲルちゃんを、カペラが親馬鹿全開で褒めながらおでこにキスしました。
「さあ、これですべてのペットが出そろいました。みなさん、ペットと御一緒にステージへどうぞ!」
カペラとリゲルちゃんをステージに残したまま、司会者が他の参加者を呼び集めました。
その時です!
キラーン!!
アイのフクロウの目が、猛禽類の本能の輝きを見せました。
(獲物だ!!)
大きく翼を広げて舞いあがると、リゲルちゃんにターゲットを絞ります。
慌てたリゲルちゃんがカペラのフードに逃げ込もうとして失敗して床に落ちました。パニックに陥って、逃げ場を探して出場者の足許を走って逃げ回ります。それを、フクロウが追いかけ回しました。
(おいしそう!)
身体を伸ばしてリゲルちゃんを見つけたゴンザレス君も走りだします。
それに釣られて、ファルテの腕から、スゥさんが飛び出していきます。カクさんの方は、相変わらず我関せずです。
(タンパク質!)
セオドア君も、野生を取り戻して飛び出しました。
(お下品な)
いったんは興味を示しかけたシュネーちゃんが、ケイの腕の中でゆらゆらとふさふさの尻尾をゆらしました。
明のミイ君は、まだ小さいのできょとんとしています。勇人のコロ君とファリスのヨハンナちゃんも状況が分からず飼い主にどうしたのと目で訊ねていました。
「いやいや、まてまて」
猫娘の本能?から思わず自分も加わりかけて、ミー君をだいたままカナタが自重しました。
「ねずみちゃんぴーんちなの!」
猫のニーナをしっかりと押さえて、観客席でミィナが叫びました。
「ああ、リィ君まで!」
飛び出すリィ君を見てイザヤが叫びました。その時、その後ろで動く影がありました。
(ここは僕が守る!)
ラグーンさんが、立ち上がってにゃんこたちの行く手を阻みました。オウガのタロー君もそれに加わってリゲルちゃんを守ろうとします。
そこへ、馬のメアさんがさっそうと駆け込んできました
(さあ、乗りたまえ)
メアさんがキラーンっと極上の笑みを浮かべてリゲルちゃんに言いました。そのまま、リゲルちゃんを乗せて走り去っていきます。
(まてえー)
その後をペットたちが、一団となって追っていきました。
「ああ、皆様、どこへ行かれるのです!」
なんだかついていってしまったペット様たちを、レイも慌てて追いかけます。他のみんなも、一斉に後を追いました。
ステージの上には、誰もいなくなってしまいました。いえ、誰かいます。
「ええっと……。コンテスト、これで、終了します……」
ペットたちに撥ね飛ばされてステージに倒れていた司会者が、やっとのことでそれだけ言いました。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/22 08:43:45 |