【HW】千石原の乱・流

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • duplication
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2016/11/03 12:00
完成日
2016/11/16 06:27

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 夢――睡眠中に感じるイメージ。
 人間の脳が見せる不可思議な映像は、起床時に貯えた情報を整理する為に見せているのか。
 未だ謎が多く研究対象となる現象だ。
 だからこそ、解明されていない事象も発生する。
 集団で同一の夢を見る、一種の奇跡。

 その奇跡が今宵見せるのは、東方のある小国。
 ――詩天。
 その国は、そう呼ばれていた。


 ――それもまた天命であったのだろう、と彼は思う。

 先代詩天、三条氏時が死去してから数ヶ月。次期詩天を巡って三条家内は、大きく揺れ動いていた。
 先代詩天の嫡男にして符術師として大きな才能を見せる三条真美。
 先代詩天に長く仕え、氏時に付き従ってきた甥の三条秋寿。
 三条家では嫡男でなくとも『三条家内で符術師として有能であれば詩天となる資格を有する』と定められている事が混乱を更に激化させた。
 どちらが詩天として相応しいか。
 双方に味方する武将達の溝は決定的に大きくなり、それはうねりとなって……詩天の地に戦乱を齎した。

 戦は勝つものがいれば、負けるものもいる。
 その差は一体何かと言えば……時の運も勿論あるだろう。
 部下が反旗を翻したということは、己の力が及ばなかったから……。
 
 ――争いを起こしたかった訳ではなかった。
 氏時が豊かにした国を守りたかった。
 良くしてくれた臣下達の為に、自分にできることを……そう思っていた。
 同時に、己に、王たる資質がないのも分かっていた。

 ――だからこそこれは。誰が悪いということもない。
 ただ単に、天命であったのだろう。


 後に『千石原の乱』と呼ばれる戦。
 総大将とも言える三条秋寿の本陣は、混乱の最中にあった。
 秋寿側についていた武将、水野武徳が反旗を翻し――その結果、戦の均衡は大きく崩れ、自軍は立て直せない程の甚大な被害を出していた。
 本陣に、怪我を負った武将……本庄友埜が駆け込み、主の前で膝をついた。
「恐れながら申し上げます。水野武徳により本田喜兵衛が討ち取られ、本隊は総崩れ……! 秋寿様。ここもいずれ敵がやってきます。拙者が殿を務めますゆえ、どうぞお逃げ下され」
「逃げて何になりましょう。我が軍は敗北を喫した。それが事実です。逃げ延びたところで被害を広げるだけです」
「何を仰いますか! 捕まれば、国家転覆を謀ったものとして打ち首。武士として腹を切る事も許されません! ……生きてさえいれば、必ず雪辱を果たす日が参りましょう。どうぞ逃げて、生きて下され……!」
「武徳とて鬼ではありません。私さえ投降すれば、皆が殺されるようなことはないでしょう。……そなた達は良く働いてくれました。詩天の宝です。ここで散らして良い命ではありません」
「…………っ!」
 必死に言い募る友埜に、首を振り、動こうとしない秋寿。
 潔く、そして優しき主。
 先代が健在だった頃から、ずっと成長を見守って来た。
 この人こそ、この国の王たる器。ここで死んでいい人ではないのだ……!
「秋寿様、失礼仕る……!」
 立ち上がり、秋寿の鳩尾に拳を見舞う友埜。崩れ落ちた秋寿を支えて、兵達を呼び寄せる。
「良いか、お前達。秋寿様を連れて月下城へ向かうのだ。城を拠点に陣を敷けば抵抗も出来よう。……行けぃ!」

 そして、秋寿と、一握りの兵達による逃避行が始まった。
 先のために裏切る者。
 先のために逃す者。
 先のために、己が命を捨てようとするもの――。

 秋寿派武将、本庄友埜は秋寿を生かすために、逃すようにと部下に言いつけた。
 秋寿が『詩天』になれば、この国は繁栄する。
 そう信じて――それに全てを賭ける。

 凡ては、詩天が為。

リプレイ本文

 ――歴史はいつだって勝者が記す。
 詩天を二分した千石原の乱。
 起きてからまだ日が浅いというのもあるかもしれないけれど。
 それでも、聞こえて来るのは三条 秋寿という人の優しさや誠実さ――。
「……本来の彼はどんな人物だったのかな」
 戦いの合間の野営地。毛布に包まって焚火を見ながらアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)がぽつりと漏らす。
 幼い頃に見た秋寿を思い出し、遠い目をする七葵(ka4740)。その横で、ラジェンドラ(ka6353)がため息をつく。
「……詩天の座の継承のルールさ。該当者が複数いた時争いになるに決まってる。何でこんな決まりにしたんだろうな」
「力のあるものを王に、と考えるのは国としてよくあることなんじゃないのかな」
「戦いに勝ったものこそが『強者』ですか。淘汰の流れというにはあまりにも残酷ですね……」
 クィーロ・ヴェリル(ka4122)と鳳城 錬介(ka6053)の言葉に、アルトは親友を見る。
「リューリちゃんはどう思う?」
「……秋寿さん、なんで……」
 アルトの問いかけにむにゃむにゃと呟くリューリ・ハルマ(ka0502)。
 真っ先に眠りに落ちた彼女に毛布をかけながら……彼女は思う。
 ――避けられぬ戦いの中。彼はどんな思いで散って行ったのだろうか?
 そして、七葵は今でも思う。
 ――何故、こんな結末を迎えることになったのか。
「もし、あの時、あの場所に戻れるなら……俺は」
 パチリと爆ぜる焚火の音。ハンター達は微睡の中に沈んでいく。


 秋寿側が圧倒的有利だと思われていた今回の戦は、水野 武徳の裏切りによって大きく運命を変えた。
 本庄友埜に秋寿を逃がすように命じられた者達は、向かい来る敵を切り伏せ、なぎ倒し……秋寿を乗せた馬を引き、ただひたすら、月下城へと向かっていた。
「あいつとうとうやりやがったな……」
「……裏切りとは大したお武家様だな。秋寿殿が気に食わぬなら最初から真美殿の所にいけばいいものを」
「どーなんだかな。少なくとも秋寿の旦那も、真美も戦をするつもりはなかった訳だろ。それを大事にしているのは周囲の武将達じゃねえか」
「政は誰の為かってな。……まぁ、構いやしないさ。やる事は変わらない」
 吐き捨てるように言うラジェンドラに、肩を竦める錬介。
 二人の話を聞きながら、七葵は強く拳を握りしめる。
 ――誰が詩天を継ぐか。
 それは八代目詩天である氏時様が決めることであって、真美様でも秋寿様でも、何の問題もない。
 氏時様がお育てになった心優しきお二人。あの方達であれば助け合い、争いもなく話が進むだろう。
 そんな甘い夢を思い描いていたのに――。
 ……気がつけば、大きな黒いうねりが詩天を飲み込み、今や片方の命を摘まねばならぬ顛末になってしまった。
 何故。何故こんなことに……!
 そんな折、鳩尾を打たれて気を失っていた秋寿がゆっくりと目を開けた。
「秋寿様、お目覚めになられましたか? 少々不自由ではございますが、どうぞこのまま……」
 馬上の主に努めて穏やかに声をかける七葵。
 秋寿は周囲を見渡すと、ハッとして馬首を反転させようと手綱を引く。
「……友埜! 本陣に戻ります!」
「あああ、ダメダメ! 秋寿さんダメだよ!」
「落ち着けよ、今戻って何になるっていうんだ」
「家臣を見捨てて何が主ですか! 離して下さい!」
 慌ててそれを取り押さえるリューリとラジェンドラ。
 アルトも両手を広げて立ち塞がる。
「悪いけど、今戻って死なれる訳にいかない。本庄さんに頼まれてるんだ。一緒に来てもらうよ」
「秋寿様、どうぞ堪えて下さい。殿を務めている本庄殿と錬介殿のお父上、クィーロ殿の思いを無駄にしてはなりません……!」
「どうしてそんな……! もう勝負はついています。あなた方がこれ以上命を懸ける必要などないのに……!」
「そう言ってくれるな。親父も世話になった秋寿殿の役に立てて本望だろうさ」
 七葵の必死な声に、顔を覆う秋寿。錬介が宥めるようにその肩を叩く。
 こうしている間もそこかしこで続いている戦い。もう敵も味方も入り混じった乱戦状態。
 嘆いている時間などない。じっとしていては戦いに巻き込まれて犬死するだけ……。
「ここにいたら危険だ。先に進むぞ」
 周囲を注意深く伺っている錬介に頷く仲間達。嘆く秋寿を連れて、東へと走る。


「クィーロ殿。貴殿はこの国の者ではあるまい。本当に良かったのか……?」
「ああ。元々秋寿に拾われなかったら尽きていた命。それをあいつに返すだけの話だ。何の問題もない」
 共に殿を務める本庄友埜に問われ、迷いなく頷くクィーロ。
 ――記憶を失い、路頭に迷っていた自分を拾ってくれたのが秋寿だった。
 出自も分からぬ自分を受け入れ、住む場所と仕事を与えてくれた。
 それ以来、彼の私兵として友として、傍にいた。
 詩天の事情など知らない。知りたいとも思わない。
 秋寿に助けられた。だから仕える。それで十分――。
 こうなった以上は仕方ないが、ただ無事逃げ切って欲しい。
 ……その願いを実現させる為にここに残ったのだ。
「その心意気やよし。秋寿様の御為にその命預けてくれるか」
「おう。だが、ただで死ぬ気は無いぞ。一人でも多く地獄へ道連れにしてやる……!」
 太刀を構えてニヤリと笑うクィーロ。
 緋色の目に映るは、秋寿を追う軍勢。
 銀色の髪を靡かせて、狂犬のように。並み居る兵達に食らいつく――!


 秋寿を連れて走る一団。
 切っても切っても減らぬ追手。それでもなお、諦めることなく進み続けて――。
 ラジェンドラが光線で歩兵を薙ぎ払い、舌打ちする。
「くそっ。本当にキリがねえな……!」
「私を引き渡して下さい。投降すれば、皆様の身の安全は保障されるでしょう」
「今更自分の身の安全を望んでるやつはいない。……死んじまったら何にもならないよ。詩天になれなくても、生きてさえいればこの国の為に出来る事がきっとあるさ」
 相変わらずな秋寿に苦笑を返す錬介。彼に傷を癒してもらいながら、リューリがため息をつく。
「引き渡す気はないって言ってるでしょ! ああ、でも走りっぱなしだし、ちょっとだけ休憩しよ!」
「……そうだな。そこの林に隠れよう」
「隠れるのは10分が限界だろうな。休憩を終えたら最後まで走り抜けるぞ」
 アルトと七葵の声に頷く仲間達。走り続けた為か汗だくの彼らに、秋寿は地面に手をついて深々と頭を下げる。
「……秋寿様!? 何をされているのです! 面を上げて下さい!」
「貴方方を巻き込む結果になってしまって申し訳ありません。武徳を許してやってください」
 主の突然の行動に慌てる七葵。リューリは汗を拭きながら目を瞬かせる。
「許すって……武徳さんのこと怒ってないの?」
「何故怒る必要が……? 詩天の……氏時様の臣下に悪い者などおりません。皆それぞれに、詩天のことを考えていました。それを纏めるほどの能力が私にはなかった……それだけです。これは天命だったのでしょう」
「……随分潔いというか、君……」
 お人好しなんだね、という言葉を飲み込むアルト。
 こんな状況になっても恨み言も言わずに、家臣を思い、庇う。
 その優しさは本物なのであろうが……それ故に、足元を掬われたのだろう。
 何故武徳が立ち上がったのか彼女には分かる。
 ――秋寿は人の上に立つには優しすぎたのだ。
「……真美も被害者なのですよ。あの子はずっと詩天の外に出されていました。誰が敵で、誰が味方なのかも分からないうちに頭首として祭り上げられてしまった。……戦にも出されず、城で泣いているでしょう。大人の勝手な事情に巻き込み、可哀想なことをしてしまいました」
「秋寿様……」
 秋寿の無念を感じて、拳を強く握り締める七葵。
 ――誰が悪い訳ではもいのに。何故……!
 繰り返す答えの出ぬ問い。理不尽な運命と己の非力さに憤りが止まらず、唇を噛む。
「……さて、ちょっと早いが休憩はおしまいだ。皆立て」
 囁くような錬介の声。聞こえる足音に仲間達に緊張が走る。
 迫る追手。このままでは囲まれる――。
 錬介は剣を抜いてため息をつく。
「さて、足止めが必要なようだ。皆、後は頼む」
 声をあげようとした秋寿の口をラジェンドラが手で塞ぐ。
「……逃げるんだ、秋寿の旦那。あんたはこんなとこで死んでいい奴じゃない。大丈夫だって。俺達も適当に暴れて逃げるさ」
「悪いが俺は絶望的な状況だろうと一度主を定めたらそいつが死ぬまで全力で仕えるのが信条でね」
「おいおい。そんなこと言ったら秋寿の旦那が梃子でも動かなくなっちまうって。ここはやせ我慢でも生き残るって言っとけよ」
「それもそうか。まったくアンタは武家らしくないな。でもそんな優しい秋寿殿が俺は結構好きだよ。……生き延びてくれ」
「行け! 走れ!! 振り返るな!!」
 ラジェンドラの叫び。そして錬介の決意を背負って、仲間達は疾走する。
 七葵達が離脱してすぐに、2人は押し寄せる兵の波に飲み込まれ……。


「本庄さんよ。生きてるかー?」
 振り返らずに声をかけるクィーロ。
 返事の代わりに聞こえるのは風の音と、兵の怒号、悲鳴……。
 ――あーあ。先に地獄に行っちまったか。しゃーねえなあ……。
 頭から流れ落ちる赤。視界を塞がれるのは厄介だと、首を振る。
 クィーロ自身も、全身に矢を受け、刀で切られボロボロで……立っているのが不思議なくらいだった。
 ギラギラと獲物を探すケモノのような瞳。傷を負う毎に凶暴性が増していくようで……その異様な迫力に、兵達が怯む。
「……どうしたァ! もうおしまいか!? オラオラかかって来いよ!」
「ひっ……!」
「ここを抜けるには俺を倒さねぇと通れねえぞ……? 死にてぇ奴からかかってこい!」
 怯みつつも踏み込んで来た一団。それを両断して、クィーロは高らかに笑う。
「んなもんかぁ!? もっと俺を楽しませろよ! 死ぬ気で来いよ!」
 飛んできた矢。それを薙ぎ払うが……数本すり抜けたのか感じる衝撃。
 痛みは感じない。大丈夫だ。俺はまだ行ける。
 敵には背を向けない。ここで戦い尽くす――!!
 ――秋寿。ちゃんと逃げる事が出来たかなぁ……。
 あぁ。いい風が吹いてやがるな……。
 彼はそのまま戦って、戦って。戦い抜いて――。
 ――殿を務めたクィーロは、決して膝をつくことなく、最後まで秋寿の盾として……立ったまま絶命した。
 その顔はとても穏やかで、笑っているようにも見えた。


 もう間もなく月下城が見えて来る頃。
 秋寿達は自分達が絶望的な状況であることに気づいた。
 城に続く街道とその一帯が既に真美派の軍勢によって封鎖されていたのだ。
 秋寿は深くため息をつくと、付き添っていた者達に向き直る。
「……最早これまでです。皆さん良く尽くしてくれました。もうこれ以上の抵抗は無意味です。投降しましょう」
「嫌です! 俺は最後まで戦います!」
「何を言うのですか、七葵……! 貴方はまだ若い。貴方が死ぬのを見たくありません」
「絶対に嫌です……!!」
 頑なに首を振る七葵。
 秋寿は手を伸ばして、空五倍子色の髪を撫でる。
「七葵。……本当に立派になりましたね。ついこの間までよちよち歩いていたと思ったのに。……どうか生きて、次代に繋いで下さい」
 秋寿の優しい声。大きな手。
 幼い頃から、ずっと憧れていた。
 自分の命を差し出してでも家臣を守るという秋寿。
 その心に逆らい、望むのは――。
「……それでも俺は、詩天を守りたい。誰が導くかなんて関係ない。『貴方がいる詩天』が良いんです」
 血の滲む手で秋寿の頬に触れる七葵。
 それが叶わぬ願いだったとしても。友を裏切る結果になったとしても。
 我が君、どうか。刹那でも永く、貴方のお傍に……。
「聞き分けのない家臣で申し訳御座いません。秋寿様にお仕え出来て、俺は幸せです」
 迷いのない笑みを浮かべる七葵。もう体力は限界に近い。技もとうに使い切った。
 刀を握るのがやっとな死に損ないでも、あのお方の道となれるなら……!
 さらしで刀を手に巻きつけ、軋む体に鞭打って駆け出す。
「本多家が一子、七葵! 参る!!」
「七葵……!」
 その背を追おうとする秋寿を、アルトの腕が引き止める。
「……皆、本当に君が好きなんだろうね。こんな状況でも命を懸けてる。傭兵として出来る限りのことはしたつもりだけど……ごめんね、君を守りきれないかもしれない」
「もう十分です。ここまでありがとうございました」
「ねえ、秋寿さん。もし平和だったら何かやりたい事ってある?」
「そうですね。蛍狩りでしょうか……。真美と一緒に行く約束をしていたのです」
 小首を傾げるリューリに、結局果たせそうにありませんが……と続ける秋寿。彼女は努めて、明るく続ける。
「そっか……。私もね、これが終わったらアルトちゃんとピクニック行きたいな。ねえねえ、秋寿さんと真美くんも一緒に行こうよ。お弁当持ってさ!」
「……そうですね。もしまた会う事が出来たら、その時は……」
「うん! 約束だからね!」
「……一応聞いておくよ。誰かに伝えたいことはある?」
「真美に会うことがあったら伝えてください。……私の分まで生きろとは言いません。ただ、幸せを願っていると。あの子はきっと良き王になる。見られないのが残念だ」
 淡々としたアルトの声に目を伏せた秋寿。思い出したように懐から小刀を出して彼女に渡す。
「傭兵さんにお願いするのですから、報酬が必要ですね。換金すれば多少の金子になりましょう」
「……分かった。この仕事受けるよ。必ず伝える。……リューリちゃん、行こう」
「どうかご無事で」
「秋寿さん! 約束だからねーー!!」
 遠ざかる秋寿の背中。リューリはそれを、ずっと見つめ続けて……。
「三条 秋寿はここにいる。これ以上戦うつもりはない。武器を収められよ!」
 ――そして、三条 秋寿は山倉智久と川上昇龍の軍に捕縛され……千石原の乱は終焉を迎えた。


 目を覚ますとリューリが泣いていて、アルトは慌てて親友に駆け寄った。
「リューリちゃんどしたの!?」
「変な夢見てたの。あのね……アルトちゃん、それ何?」
「ん? あれ? こんな小刀持ってたっけ……?」
 小首を傾げるアルト。その近くで目覚めたラジェンドラは深くため息をつく。
 多分あいつは『自分の器』を用意する為に、詩天にあんなルールを敷いたのだ。
 依代をより強いものにする為に……それならば今までのことに全て説明がつく。
 全ての切欠を作った元凶。……三条 仙秋。決して許す訳にはいかない。
「皆さん出発しますよ」
「忘れ物しないようにね」
「おう、今行く」
 錬介とクィーロに頷く彼。七葵は己の掌をじっと見つめる。
「秋寿様……」
 器となっている貴方を、必ず救いに行きます。ですから、どうか――。
 言葉にはしない誓い。
 不思議な夢は悲しい余韻を残して、ハンター達を次の冒険へと誘う。

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    リューリ・ハルマ(ka0502
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 差し出されし手を掴む風翼
    クィーロ・ヴェリル(ka4122
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • 千寿の領主
    本多 七葵(ka4740
    人間(紅)|20才|男性|舞刀士
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介(ka6053
    鬼|19才|男性|聖導士
  • “我らに勝利を”
    ラジェンドラ(ka6353
    人間(蒼)|26才|男性|機導師

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/30 23:07:29
アイコン 夢と現の狭間(相談卓
本多 七葵(ka4740
人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/10/30 18:22:06