ゲスト
(ka0000)
馬車道の脅威を取り除こう
マスター:笹村工事

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/09/29 09:00
- 完成日
- 2014/10/02 04:40
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
自由都市同盟の産業を支える拠点都市、蒸気工場都市フマーレ。
その郊外に建つ一つの屋敷。その応接間で、二人の男が話し合いをしていた。
「ジェオルジ内の馬車道周辺の安全確保、ですか」
ソファに座りながら、二十歳そこそこの青年であるトキは、向かい合って座っているアラゴに告げた。これにアラゴは、老年の域に差し掛かりながらも稚気の溢れる笑みを浮かべ返す。
「おう、ちょいと前に、企画が一つ上がってな。ジェオルジ内の村々を回る観光馬車企画、ってのがな」
「シルヴィアさんが上げた企画ですね。お孫さん、頑張られてるみたいですね」
「ああ、みたいだな。とはいえ、クルキャット商連合のトップとしちゃ、身内だからってひいき目で見る訳にはいかねぇけどよ」
ハンターでもある商人集団と呼ばれる事もある、クルキャット商連合のトップとしての線引をアラゴは口にする。それをトキは感じ取り、そこから推測を重ね返した。
「なるほど。つまりは、公平に見て将来性のある事業だと、そう判断された訳ですか」
「そういうこった。もちろん、企画が立ち上がったばかりだから問題は多いけどな。その辺は、事前のリサーチアンケートに協力してくれたハンター達のお蔭で、問題点の見直しを進めることが出来てるがな」
「その内の一つが、観光馬車のルートにおける安全確保ですか」
「おう。道中で楽しんで貰える場所や物の可能な限りの確保、てのも課題だが、こっちは時間をかけて行きゃどうにかなる。
問題は、安全の確保でな。護衛役は、道中のガイド役も合わせて馬車に乗せる予定だが、それだけに頼る訳にもいかねぇ」
「それで、事前に馬車ルート周辺の脅威を取り除こう、という訳ですか」
「そういうこった。それでだ、その際の進行に関して、お前さんに協力して欲しいって訳だよ、名探偵」
トキは、この言葉に肩を竦めると返す。
「私の場合は、かの『世界的頭脳』のような探偵ではなく、寝ずに働けがモットーの荒事専門の探偵のようなものですがね。それ以前に私、一応、市場調査商会の社員でしかないんですけどね」
これにアラゴは楽しそうに笑ったあと返す。
「一応、とか言ってる時点で自分で自分の事分かってんじゃねぇか。荒事専門の自覚があるんなら、今回の件は得意だろ?」
アラゴの言葉に、トキはしばし黙考し返した。
「脅威の排除ということなら、問題の地域周辺で考えられるのは雑魔やゴブリンでしょう。
ただ、気を付けないといけない点が一つ。我々が必要とする地域から脅威を排除できたとして、それが移動する形で他の地域に渡れば目も当てられません。自分達さえよければそれで良い、というのは、好みではないでしょう?」
「たりめぇだな。だから、どこをどういう順番で排除していくかで神経使わなきゃならねぇ。
得意だろ? そういうの」
これにトキは軽く息をつき返す。
「得意ですが、好き好んでしたいとも思いませんがね。ま、頼まれたのならやりますとも。
とはいえ、ウチだけでは人員が足りませんから、外部のハンターに頼る部分も出てきますが」
「その辺はこっちで手配するさ」
「お金もかかりそうですね」
「そっちの方は、会計部と話はついてる。大赤字になるが、それ以上に稼ぎゃ良いこった」
「太っ腹で。分かりました。可能な限り早く、必要とされるハンターの人数や配置を考えて、上げておきますよ。
あとは、よろしくお願いします」
「おう、任せとけ」
という話し合いがあって二日後、ハンターオフィスに依頼がなされました。内容は、
観光馬車ルートにおける脅威の排除協力。
範囲が広い為に、数人のグループ毎に配置について対処を願う。
という物でした。この依頼にアナタ達は――?
その郊外に建つ一つの屋敷。その応接間で、二人の男が話し合いをしていた。
「ジェオルジ内の馬車道周辺の安全確保、ですか」
ソファに座りながら、二十歳そこそこの青年であるトキは、向かい合って座っているアラゴに告げた。これにアラゴは、老年の域に差し掛かりながらも稚気の溢れる笑みを浮かべ返す。
「おう、ちょいと前に、企画が一つ上がってな。ジェオルジ内の村々を回る観光馬車企画、ってのがな」
「シルヴィアさんが上げた企画ですね。お孫さん、頑張られてるみたいですね」
「ああ、みたいだな。とはいえ、クルキャット商連合のトップとしちゃ、身内だからってひいき目で見る訳にはいかねぇけどよ」
ハンターでもある商人集団と呼ばれる事もある、クルキャット商連合のトップとしての線引をアラゴは口にする。それをトキは感じ取り、そこから推測を重ね返した。
「なるほど。つまりは、公平に見て将来性のある事業だと、そう判断された訳ですか」
「そういうこった。もちろん、企画が立ち上がったばかりだから問題は多いけどな。その辺は、事前のリサーチアンケートに協力してくれたハンター達のお蔭で、問題点の見直しを進めることが出来てるがな」
「その内の一つが、観光馬車のルートにおける安全確保ですか」
「おう。道中で楽しんで貰える場所や物の可能な限りの確保、てのも課題だが、こっちは時間をかけて行きゃどうにかなる。
問題は、安全の確保でな。護衛役は、道中のガイド役も合わせて馬車に乗せる予定だが、それだけに頼る訳にもいかねぇ」
「それで、事前に馬車ルート周辺の脅威を取り除こう、という訳ですか」
「そういうこった。それでだ、その際の進行に関して、お前さんに協力して欲しいって訳だよ、名探偵」
トキは、この言葉に肩を竦めると返す。
「私の場合は、かの『世界的頭脳』のような探偵ではなく、寝ずに働けがモットーの荒事専門の探偵のようなものですがね。それ以前に私、一応、市場調査商会の社員でしかないんですけどね」
これにアラゴは楽しそうに笑ったあと返す。
「一応、とか言ってる時点で自分で自分の事分かってんじゃねぇか。荒事専門の自覚があるんなら、今回の件は得意だろ?」
アラゴの言葉に、トキはしばし黙考し返した。
「脅威の排除ということなら、問題の地域周辺で考えられるのは雑魔やゴブリンでしょう。
ただ、気を付けないといけない点が一つ。我々が必要とする地域から脅威を排除できたとして、それが移動する形で他の地域に渡れば目も当てられません。自分達さえよければそれで良い、というのは、好みではないでしょう?」
「たりめぇだな。だから、どこをどういう順番で排除していくかで神経使わなきゃならねぇ。
得意だろ? そういうの」
これにトキは軽く息をつき返す。
「得意ですが、好き好んでしたいとも思いませんがね。ま、頼まれたのならやりますとも。
とはいえ、ウチだけでは人員が足りませんから、外部のハンターに頼る部分も出てきますが」
「その辺はこっちで手配するさ」
「お金もかかりそうですね」
「そっちの方は、会計部と話はついてる。大赤字になるが、それ以上に稼ぎゃ良いこった」
「太っ腹で。分かりました。可能な限り早く、必要とされるハンターの人数や配置を考えて、上げておきますよ。
あとは、よろしくお願いします」
「おう、任せとけ」
という話し合いがあって二日後、ハンターオフィスに依頼がなされました。内容は、
観光馬車ルートにおける脅威の排除協力。
範囲が広い為に、数人のグループ毎に配置について対処を願う。
という物でした。この依頼にアナタ達は――?
リプレイ本文
観光馬車道周辺の脅威の排除依頼。
それを引き受けたハンター達は、A班とB班の2班に分かれ、それぞれ配置についた。
「敵を待つのは構わないが、煙草を吸えないのが難点だな」
敵が出てくると見られる林の中、街道手前の樹上で待機していたライナス・ブラッドリー(ka0360)は小さく呟いた。
煙草の煙と匂いで敵に気付かれないための、彼なりの配慮である。
ハンター達がこの場に来て、あと少しで3時間が経とうとしていた。
ライナスは着てすぐに、敵の接敵を知らせるための鳴子を設置し準備を整えた。それもあり敵に不意を突かれる恐れは少なくなったが、万が一に備え、ライナスは今も樹上にて待機している。
ライナスのように敵出現場所の喉元で配置についている者も居るかと思えば、風花・メイフィールド(ka2848)のように不意を突かれることを可能な限り避けるため、荒地ギリギリの街道沿いで配置について居る者もいる。
それは彼女にとって今回の依頼が、ハンターとして初めての実戦である事が大きい。そのせいでガチガチに緊張しながら心の中で呟く。
(初依頼やさかい、迷惑だけは掛けんようにせんと。それに他の人ら、うちより強う人ばかりやし、サポート頑張らへんと)
そんな風花の緊張をほぐすように、同じA班であるアレックス・マクラウド(ka0580)と時音 ざくろ(ka1250)が近付き、声をかけた。
「だ、大丈夫だよ、緊張しなくても。ざくろさんが、仕掛けを、作ってくれたし。ライナスさんが、鳴子も設置して、くれてるもの。不意を、突かれることは、無いだろうし、敵が出てきたら、みんなで、対応できるから」
「みんなで協力できるから、大丈夫。ざくろが仕掛けを作れたのも、アレックスさんがその間見張ってくれていたからだもん。一人じゃ無理な事だって、みんなで協力すればきっと出来るよ」
この言葉に、風花の強張りはほぐれていく。けれど緩みすぎないように、既に実戦を幾度となく経験していたざくろはそう語る。
「でも、油断だけはしちゃダメだよ。ゴブリンて聞くと雑魚なイメージだけど、こっちの世界のゴブリンはそれなりに強いらしいから、油断しない様にしなくちゃ」
その言葉に風花は頷く。そうした会話が功を奏したのか、風花の緊張はほどよく解けながらも、警戒心を残したまま戦闘態勢を維持した。
「よっしゃ、敵さんの首とったるでー!」
気合を込めて声を上げる風花に、アレックスは笑みを浮かべながら返す。
「その意気で、が、頑張って。それと、サンドイッチ、ありがとう」
みんなのお昼ご飯にと、材料は依頼人であるクルキャット商連合の一員に用意して貰い、依頼場所であるこの場所に来る道中、移動用にと用意されていた観光用馬車の中でサンドイッチを作っていた風花に、アレックスは礼を言う。
これに風花は、少しだけ慌てた。
「気にせんでもええよ。ちょい多く作りすぎてしもうて、わーどないしょー、思ったから皆に食べて貰えたらええな思おただけやし」
「でも、お蔭で元気いっぱいだよ。ありがとう」
ざくろの言葉に、3人の間にはくすぐったそうな苦笑が広がる。そして再び3人はそれぞれ敵が出てくる林に意識を向けた。
そうしてA班が敵出現に対して警戒している頃、B班は何かあれば即座に対応できる用意をしながら休憩を取っていた。
「あと少しで、交代時間だな」
風花が用意したサンドイッチを手早く摂り休憩しつつも、油断なく周囲を警戒していたロニ・カルディス(ka0551)は、クルキャット商連合が用意していた置き時計を見て呟く。
クルキャット商連合が用意した物はそれだけに留まらず、ロニやアレックスが頼んでいた馬車も、どうせならば道中の感想も聞きたいという事で、観光馬車の物が用意されていた。
観光馬車の客車部分は、襲撃にあった際の事も想定して頑丈に作ってあるらしく、多少の攻撃にはビクともしない代物である。
それもあって、状況によっては客車部分を休憩場所として使う以外に、敵の攻撃を防ぐ壁として使用しても良いかをロニやアレックスが聞いていた。クルキャット商連合はこれを快諾し、データ収集にも役立つとの事で、破損などに関する補償は一切気にしなくても良いと確約をした。
その客車を引いていた4頭の馬は、今は戦闘が起こる可能性もあり客車から離されて他の場所に移動されている。依頼終了と共に戻り、ハンター達を運ぶ手筈になっていた。
そうしたハンター達の望む必要な物を用意していたクルキャット商連合ではあったが、全てが用意されたという訳ではなかった。
「魔導伝話が使えれば、先行部隊の人達とも連携が取れて良かったけれど、無いから余計に気を付けないとダメね」
今回の依頼では回復役を自分の役割を担おうと考えていたシェール・L・アヴァロン(ka1386)は、交代の時間が近づいて準備するロニの近くに寄り、今すぐ何があっても仲間と連携や援護が出来る位置取りを意識して周囲を警戒している。彼女は、森の中で遊撃部隊として先行しているクルキャット商連合員と連携を取るために魔導伝話が用意できないか頼んでいたが、今回は無理との事だった。
常に動き回る遊撃部隊にはその余裕が無い事と、今回のような戦闘が今後もあった際、いつも魔導伝話のような連絡手段が用意できるとは限らないため、そういった場合のデータ収集も今回は兼ねているとの事であった。
「戦闘条件がどうであれ、取るべき警戒は行う必要はあります」
丁寧な言葉と硬い口調でシェールに返したのは、シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)である。顔の全てを覆うヘルメットのような物をつけているために、その表情は窺い知れない。
だが周囲に気を配っているのは、この場についてからの短い時間ではあったが、仲間であるハンター達の動向も見ながら周囲を警戒していた事から感じ取れた。
そんな彼女に、シェールは苦笑するように返す。
「ええ、そうね。警戒はしておかないと」
「だな。報酬分は働かねぇと。それ以上は、知ったこっちゃねぇが」
シェールの言葉に続けるように言ったのは、ベレティウス・グレイバー(ka1723)である。ハンターであると同時に、抜け目のない商人でもある彼は、この場に来る道中の詳細を記憶しながら、同時にこの場に来た際も周囲になにか商売のタネになる物が無いか探している。
それと同時に、ハンターとして周囲への警戒も怠っていない。二重の意味で抜け目が無かった。そうした抜け目の無さを見せながら、彼は心の中で呟く。
(……安全の確保ってなあ、観光関係における基本だ。その辺の根本的な問題も解決出来てない企画……まぁ、その辺は知ったこっちゃねぇが。
俺は金さえ貰えればそれで良い。道中で観光の目玉になりそうな情報を売りつけてやりたかったが、他のハンター達からも既に聞いてるみたいだから無理だしな。せいぜい、ゴブリン退治で稼がせて貰うぜ)
そうして、それぞれのハンターがそれぞれの考えに基づき配置についている中、班の交代時間のギリギリで事態は動いた。
断続的な鳴子の音が響く。その音にハンター達が警戒する中、林の中からゴブリン達が出てくる。
林の左奥からゴブリンソルジャー1体が、その近くからゴブリンが更に1体。中央付近からゴブリンアーチャーが1体と、やや右寄りの林から2体のゴブリンが出てくる。鳴子の音はまだしていることから、更に出てくる可能性もあった。
ゴブリン達は林から出てくると、追い詰められ血走った眼差しでハンター達を見据え、仲間であるゴブリン達と合流するつもりなのか、一ヶ所に集まろうとしていた。
それを防ぐために、ハンター達は一斉に走り出した。
「来ました、皆さん戦闘態勢に入って下さい」
仲間であるハンター達に呼び掛けながら、シルヴィアはゴブリンアーチャーを仕留められる位置へと移動していく。それに続くように、B班のハンター達は右手に集まりつつあるゴブリン達へと向かって行った。
「さて、ようやく住処から出てきたな……」
ロニは軽く肩を廻した後、メイスを素振りして準備運動をすると、ゴブリンアーチャーの壁役の位置にいるゴブリン達に向かって行く。そうして動いたのは、B班の残り二人もだった。
「回復は任せて。いつでもヒールは使えるよう準備しておくから」
援護を意識した位置取りでシェールが動き、周囲の配置を見ながらベレティウスは前に出る。
「一匹潰した所で大金に届かねぇゴブリン如きが、図に乗るなよ」
そうしてB班が林右手にゴブリン達を分断する中、A班は林左手でゴブリン達を迎え撃つ。
「ざくろが前に出て敵を引き付け、壁役になって後に抜かせない様にするから。援護お願いするね」
初の実戦である風花の事も気付かいながら、ざくろは前衛として出る。覚醒しハキハキとした口調になったアレックスは言葉を返す。
「分かった。ボクは事前の打ち合わせ通り回復と防御を中心にする。援護は任せて。だから風花さんも安心して戦って」
「うん、ありがとうな。ほな、うちも頑張るさかいな」
仲間の励ましに風花は力強く応えながら、ゴブリン達へと間合いを詰めた。
そうして2つに分かれたゴブリン達にそれぞれの班が向かう頃、街道沿いの林の樹上にて配置についていたライナスは、1体のゴブリンの対処をどうするかの判断を迫られていた。
(さて、この場で倒すか。それともやり過ごして背後から狙い撃ちにするか)
配置についている樹の根元付近で、林の中から出るタイミングを見計らっているゴブリンに気付いたライナスは、即座に飛び降りロングソードによる一撃を与えるか、あるいはスキルも使って射撃を行うかの選択を迫られる。
それを見極めるため、ゴブリンへの最適な位置取りを行えるよう樹上を動いた時、突如としてゴブリンの動きが止まる。ざくろが仕掛けていた草を利用した罠に引っかかったのだ。
その隙を逃さず、ライナスは樹上から飛び降りロングソードの一撃を食らわせる。
「重いぞ、この一撃は」
落下の衝撃と共に与えられた一撃はゴブリンの肩口へ命中、ロングソードの半ばまで突き刺さるほどの傷を与え、それにより一撃で倒した。
こうしてライナスがゴブリンを倒した頃、A班の3人はゴブリン達と戦っていた。
「さぁこい、お前達の相手はざくろだ!」
大声を上げ注意を引き付けるざくろに、ゴブリンソルジャーが向かってくる。それをアレックスは援護する。
「プロテクションかけるよ」
スキルにより防御力が上がる中、ざくろは間合いを詰める。
「観光馬車、絶対成功させるんだもん!」
気合と共に放たれた機導剣の一撃は、ゴブリンソルジャーの肩をえぐる。だが鎧で武装していたせいでそれだけで倒すまでには至らない。敵の反撃がざくろに放たれる。それは盾で防御するも、痺れるような衝撃を与えていた。
そんなざくろに、横合いからゴブリンが追撃をかけるようとする。けれどそれを風花が防ぐように攻撃した。
「当たれ!」
気合と共にスキルも併用したロングボウを放つ。それは狙い過たず胸元に命中、当たった場所も功を奏し、一撃で倒した。
それにより、この場に残るのはゴブリンソルジャー1体となる。追い詰められたそれは防御を無視した一撃を放とうとする。
だが、それをざくろは止めた。
「これでもくらえ!」
放たれたエレクトリックショックにより動きが止まった敵に、連携したハンターの攻撃が放たれ止めが刺された。
そうしてA班が敵を倒しきった頃、ほぼ同時に接敵をしていたB班は戦闘を開始していた。
「稼がせて貰う!」
仲間から突出しすぎないよう意識して進みながら、ベレティウスはゴブリンアーチャーの壁になるような位置についているゴブリンへ先制攻撃を放つ。
踏込のスキルを使い一気に間合いを詰めると、肩口から袈裟がけにアックスの一撃を叩き込む。それは防具も付けていないゴブリンにとっては死の一撃となり絶命させた。
だが、攻撃の隙を突くようにしてもう一体のゴブリンがベレティウスに襲い掛かろうとする。それを防ぐようにして、ロニが迎え撃つ。
事前にシェールによりかけられたプロテクションにより防御力が上がった彼は敵に肉薄すると、ストライクブロウを使いホーリーメイスの一撃を放つ。
「釣りはいらない。遠慮せずに貰っておけ」
静かな声と共に放たれたその一撃はゴブリンの胸元へと叩き込まれる。その威力に耐えることなどできず、一撃でゴブリンは倒された。
しかし、攻撃直後の隙を狙う形でゴブリンアーチャーの一撃が放たれる。それをロニは盾で受ける。
それにより矢は盾で軌道を逸らされ、プロテクションの効果もあり肩を軽くえぐる程度の威力に抑えられる。ダメージとして大したことのない物だったが、それもシェールよりに即座に回復された。
「まだヒールは打てるから、安心して。プロテクションも合わせて援護するわよ」
シェールの援護の声を受けながら、ロニとベレティウスはゴブリンアーチャーへと間合いを詰める。
それにより敵は向かってくるハンター達に意識が向く。その隙を突き、後衛として狙撃の位置についていたシルヴィアは強弾のスキルを使い、必殺の一撃を放った。
「これ以上、皆さんに攻撃はさせません」
味方のハンター達が注意を引いていてくれたお蔭で、シルヴィアの一撃は防具のついていない頭部へと真っ直ぐに命中し、反撃など許すことすらなく撃ち抜き絶命させた。
これにより、敵の襲撃をハンター達は防ぎ、全てを倒し尽くした。
そして周囲への警戒を行い一先ずの安全を確保してから、再び2班に分かれ警戒を再開。
その後、林から敵が現れる事は無く時間は進み、彼らの依頼は終わりを告げた。
依頼終了後、送迎に用意された観光馬車に乗り、彼らは帰っていった。
中では観光馬車が実際に運用される際に出されるという料理も用意されていた。その内の幾つかを、依然受けた依頼で食べたこともあるざくろが説明する中、皆はそれぞれ食事を楽しみ、あるいは煙草や軽いお酒も楽しみながら、帰途についた。
道中、窓から見える夕日は綺麗だったという。
こうして終わった今回の依頼は、長丁場も考えながら班分けを行うなど事前準備も行い、それに基づきそれぞれのハンターが動き、その上で傷らしい傷も受けずに敵を全て倒し尽くしたことから、大成功であると言えた。
今回参加したハンター達は、次も同様に巧く依頼を成功へと導くのだろう。そう思える内容であった。
それを引き受けたハンター達は、A班とB班の2班に分かれ、それぞれ配置についた。
「敵を待つのは構わないが、煙草を吸えないのが難点だな」
敵が出てくると見られる林の中、街道手前の樹上で待機していたライナス・ブラッドリー(ka0360)は小さく呟いた。
煙草の煙と匂いで敵に気付かれないための、彼なりの配慮である。
ハンター達がこの場に来て、あと少しで3時間が経とうとしていた。
ライナスは着てすぐに、敵の接敵を知らせるための鳴子を設置し準備を整えた。それもあり敵に不意を突かれる恐れは少なくなったが、万が一に備え、ライナスは今も樹上にて待機している。
ライナスのように敵出現場所の喉元で配置についている者も居るかと思えば、風花・メイフィールド(ka2848)のように不意を突かれることを可能な限り避けるため、荒地ギリギリの街道沿いで配置について居る者もいる。
それは彼女にとって今回の依頼が、ハンターとして初めての実戦である事が大きい。そのせいでガチガチに緊張しながら心の中で呟く。
(初依頼やさかい、迷惑だけは掛けんようにせんと。それに他の人ら、うちより強う人ばかりやし、サポート頑張らへんと)
そんな風花の緊張をほぐすように、同じA班であるアレックス・マクラウド(ka0580)と時音 ざくろ(ka1250)が近付き、声をかけた。
「だ、大丈夫だよ、緊張しなくても。ざくろさんが、仕掛けを、作ってくれたし。ライナスさんが、鳴子も設置して、くれてるもの。不意を、突かれることは、無いだろうし、敵が出てきたら、みんなで、対応できるから」
「みんなで協力できるから、大丈夫。ざくろが仕掛けを作れたのも、アレックスさんがその間見張ってくれていたからだもん。一人じゃ無理な事だって、みんなで協力すればきっと出来るよ」
この言葉に、風花の強張りはほぐれていく。けれど緩みすぎないように、既に実戦を幾度となく経験していたざくろはそう語る。
「でも、油断だけはしちゃダメだよ。ゴブリンて聞くと雑魚なイメージだけど、こっちの世界のゴブリンはそれなりに強いらしいから、油断しない様にしなくちゃ」
その言葉に風花は頷く。そうした会話が功を奏したのか、風花の緊張はほどよく解けながらも、警戒心を残したまま戦闘態勢を維持した。
「よっしゃ、敵さんの首とったるでー!」
気合を込めて声を上げる風花に、アレックスは笑みを浮かべながら返す。
「その意気で、が、頑張って。それと、サンドイッチ、ありがとう」
みんなのお昼ご飯にと、材料は依頼人であるクルキャット商連合の一員に用意して貰い、依頼場所であるこの場所に来る道中、移動用にと用意されていた観光用馬車の中でサンドイッチを作っていた風花に、アレックスは礼を言う。
これに風花は、少しだけ慌てた。
「気にせんでもええよ。ちょい多く作りすぎてしもうて、わーどないしょー、思ったから皆に食べて貰えたらええな思おただけやし」
「でも、お蔭で元気いっぱいだよ。ありがとう」
ざくろの言葉に、3人の間にはくすぐったそうな苦笑が広がる。そして再び3人はそれぞれ敵が出てくる林に意識を向けた。
そうしてA班が敵出現に対して警戒している頃、B班は何かあれば即座に対応できる用意をしながら休憩を取っていた。
「あと少しで、交代時間だな」
風花が用意したサンドイッチを手早く摂り休憩しつつも、油断なく周囲を警戒していたロニ・カルディス(ka0551)は、クルキャット商連合が用意していた置き時計を見て呟く。
クルキャット商連合が用意した物はそれだけに留まらず、ロニやアレックスが頼んでいた馬車も、どうせならば道中の感想も聞きたいという事で、観光馬車の物が用意されていた。
観光馬車の客車部分は、襲撃にあった際の事も想定して頑丈に作ってあるらしく、多少の攻撃にはビクともしない代物である。
それもあって、状況によっては客車部分を休憩場所として使う以外に、敵の攻撃を防ぐ壁として使用しても良いかをロニやアレックスが聞いていた。クルキャット商連合はこれを快諾し、データ収集にも役立つとの事で、破損などに関する補償は一切気にしなくても良いと確約をした。
その客車を引いていた4頭の馬は、今は戦闘が起こる可能性もあり客車から離されて他の場所に移動されている。依頼終了と共に戻り、ハンター達を運ぶ手筈になっていた。
そうしたハンター達の望む必要な物を用意していたクルキャット商連合ではあったが、全てが用意されたという訳ではなかった。
「魔導伝話が使えれば、先行部隊の人達とも連携が取れて良かったけれど、無いから余計に気を付けないとダメね」
今回の依頼では回復役を自分の役割を担おうと考えていたシェール・L・アヴァロン(ka1386)は、交代の時間が近づいて準備するロニの近くに寄り、今すぐ何があっても仲間と連携や援護が出来る位置取りを意識して周囲を警戒している。彼女は、森の中で遊撃部隊として先行しているクルキャット商連合員と連携を取るために魔導伝話が用意できないか頼んでいたが、今回は無理との事だった。
常に動き回る遊撃部隊にはその余裕が無い事と、今回のような戦闘が今後もあった際、いつも魔導伝話のような連絡手段が用意できるとは限らないため、そういった場合のデータ収集も今回は兼ねているとの事であった。
「戦闘条件がどうであれ、取るべき警戒は行う必要はあります」
丁寧な言葉と硬い口調でシェールに返したのは、シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)である。顔の全てを覆うヘルメットのような物をつけているために、その表情は窺い知れない。
だが周囲に気を配っているのは、この場についてからの短い時間ではあったが、仲間であるハンター達の動向も見ながら周囲を警戒していた事から感じ取れた。
そんな彼女に、シェールは苦笑するように返す。
「ええ、そうね。警戒はしておかないと」
「だな。報酬分は働かねぇと。それ以上は、知ったこっちゃねぇが」
シェールの言葉に続けるように言ったのは、ベレティウス・グレイバー(ka1723)である。ハンターであると同時に、抜け目のない商人でもある彼は、この場に来る道中の詳細を記憶しながら、同時にこの場に来た際も周囲になにか商売のタネになる物が無いか探している。
それと同時に、ハンターとして周囲への警戒も怠っていない。二重の意味で抜け目が無かった。そうした抜け目の無さを見せながら、彼は心の中で呟く。
(……安全の確保ってなあ、観光関係における基本だ。その辺の根本的な問題も解決出来てない企画……まぁ、その辺は知ったこっちゃねぇが。
俺は金さえ貰えればそれで良い。道中で観光の目玉になりそうな情報を売りつけてやりたかったが、他のハンター達からも既に聞いてるみたいだから無理だしな。せいぜい、ゴブリン退治で稼がせて貰うぜ)
そうして、それぞれのハンターがそれぞれの考えに基づき配置についている中、班の交代時間のギリギリで事態は動いた。
断続的な鳴子の音が響く。その音にハンター達が警戒する中、林の中からゴブリン達が出てくる。
林の左奥からゴブリンソルジャー1体が、その近くからゴブリンが更に1体。中央付近からゴブリンアーチャーが1体と、やや右寄りの林から2体のゴブリンが出てくる。鳴子の音はまだしていることから、更に出てくる可能性もあった。
ゴブリン達は林から出てくると、追い詰められ血走った眼差しでハンター達を見据え、仲間であるゴブリン達と合流するつもりなのか、一ヶ所に集まろうとしていた。
それを防ぐために、ハンター達は一斉に走り出した。
「来ました、皆さん戦闘態勢に入って下さい」
仲間であるハンター達に呼び掛けながら、シルヴィアはゴブリンアーチャーを仕留められる位置へと移動していく。それに続くように、B班のハンター達は右手に集まりつつあるゴブリン達へと向かって行った。
「さて、ようやく住処から出てきたな……」
ロニは軽く肩を廻した後、メイスを素振りして準備運動をすると、ゴブリンアーチャーの壁役の位置にいるゴブリン達に向かって行く。そうして動いたのは、B班の残り二人もだった。
「回復は任せて。いつでもヒールは使えるよう準備しておくから」
援護を意識した位置取りでシェールが動き、周囲の配置を見ながらベレティウスは前に出る。
「一匹潰した所で大金に届かねぇゴブリン如きが、図に乗るなよ」
そうしてB班が林右手にゴブリン達を分断する中、A班は林左手でゴブリン達を迎え撃つ。
「ざくろが前に出て敵を引き付け、壁役になって後に抜かせない様にするから。援護お願いするね」
初の実戦である風花の事も気付かいながら、ざくろは前衛として出る。覚醒しハキハキとした口調になったアレックスは言葉を返す。
「分かった。ボクは事前の打ち合わせ通り回復と防御を中心にする。援護は任せて。だから風花さんも安心して戦って」
「うん、ありがとうな。ほな、うちも頑張るさかいな」
仲間の励ましに風花は力強く応えながら、ゴブリン達へと間合いを詰めた。
そうして2つに分かれたゴブリン達にそれぞれの班が向かう頃、街道沿いの林の樹上にて配置についていたライナスは、1体のゴブリンの対処をどうするかの判断を迫られていた。
(さて、この場で倒すか。それともやり過ごして背後から狙い撃ちにするか)
配置についている樹の根元付近で、林の中から出るタイミングを見計らっているゴブリンに気付いたライナスは、即座に飛び降りロングソードによる一撃を与えるか、あるいはスキルも使って射撃を行うかの選択を迫られる。
それを見極めるため、ゴブリンへの最適な位置取りを行えるよう樹上を動いた時、突如としてゴブリンの動きが止まる。ざくろが仕掛けていた草を利用した罠に引っかかったのだ。
その隙を逃さず、ライナスは樹上から飛び降りロングソードの一撃を食らわせる。
「重いぞ、この一撃は」
落下の衝撃と共に与えられた一撃はゴブリンの肩口へ命中、ロングソードの半ばまで突き刺さるほどの傷を与え、それにより一撃で倒した。
こうしてライナスがゴブリンを倒した頃、A班の3人はゴブリン達と戦っていた。
「さぁこい、お前達の相手はざくろだ!」
大声を上げ注意を引き付けるざくろに、ゴブリンソルジャーが向かってくる。それをアレックスは援護する。
「プロテクションかけるよ」
スキルにより防御力が上がる中、ざくろは間合いを詰める。
「観光馬車、絶対成功させるんだもん!」
気合と共に放たれた機導剣の一撃は、ゴブリンソルジャーの肩をえぐる。だが鎧で武装していたせいでそれだけで倒すまでには至らない。敵の反撃がざくろに放たれる。それは盾で防御するも、痺れるような衝撃を与えていた。
そんなざくろに、横合いからゴブリンが追撃をかけるようとする。けれどそれを風花が防ぐように攻撃した。
「当たれ!」
気合と共にスキルも併用したロングボウを放つ。それは狙い過たず胸元に命中、当たった場所も功を奏し、一撃で倒した。
それにより、この場に残るのはゴブリンソルジャー1体となる。追い詰められたそれは防御を無視した一撃を放とうとする。
だが、それをざくろは止めた。
「これでもくらえ!」
放たれたエレクトリックショックにより動きが止まった敵に、連携したハンターの攻撃が放たれ止めが刺された。
そうしてA班が敵を倒しきった頃、ほぼ同時に接敵をしていたB班は戦闘を開始していた。
「稼がせて貰う!」
仲間から突出しすぎないよう意識して進みながら、ベレティウスはゴブリンアーチャーの壁になるような位置についているゴブリンへ先制攻撃を放つ。
踏込のスキルを使い一気に間合いを詰めると、肩口から袈裟がけにアックスの一撃を叩き込む。それは防具も付けていないゴブリンにとっては死の一撃となり絶命させた。
だが、攻撃の隙を突くようにしてもう一体のゴブリンがベレティウスに襲い掛かろうとする。それを防ぐようにして、ロニが迎え撃つ。
事前にシェールによりかけられたプロテクションにより防御力が上がった彼は敵に肉薄すると、ストライクブロウを使いホーリーメイスの一撃を放つ。
「釣りはいらない。遠慮せずに貰っておけ」
静かな声と共に放たれたその一撃はゴブリンの胸元へと叩き込まれる。その威力に耐えることなどできず、一撃でゴブリンは倒された。
しかし、攻撃直後の隙を狙う形でゴブリンアーチャーの一撃が放たれる。それをロニは盾で受ける。
それにより矢は盾で軌道を逸らされ、プロテクションの効果もあり肩を軽くえぐる程度の威力に抑えられる。ダメージとして大したことのない物だったが、それもシェールよりに即座に回復された。
「まだヒールは打てるから、安心して。プロテクションも合わせて援護するわよ」
シェールの援護の声を受けながら、ロニとベレティウスはゴブリンアーチャーへと間合いを詰める。
それにより敵は向かってくるハンター達に意識が向く。その隙を突き、後衛として狙撃の位置についていたシルヴィアは強弾のスキルを使い、必殺の一撃を放った。
「これ以上、皆さんに攻撃はさせません」
味方のハンター達が注意を引いていてくれたお蔭で、シルヴィアの一撃は防具のついていない頭部へと真っ直ぐに命中し、反撃など許すことすらなく撃ち抜き絶命させた。
これにより、敵の襲撃をハンター達は防ぎ、全てを倒し尽くした。
そして周囲への警戒を行い一先ずの安全を確保してから、再び2班に分かれ警戒を再開。
その後、林から敵が現れる事は無く時間は進み、彼らの依頼は終わりを告げた。
依頼終了後、送迎に用意された観光馬車に乗り、彼らは帰っていった。
中では観光馬車が実際に運用される際に出されるという料理も用意されていた。その内の幾つかを、依然受けた依頼で食べたこともあるざくろが説明する中、皆はそれぞれ食事を楽しみ、あるいは煙草や軽いお酒も楽しみながら、帰途についた。
道中、窓から見える夕日は綺麗だったという。
こうして終わった今回の依頼は、長丁場も考えながら班分けを行うなど事前準備も行い、それに基づきそれぞれのハンターが動き、その上で傷らしい傷も受けずに敵を全て倒し尽くしたことから、大成功であると言えた。
今回参加したハンター達は、次も同様に巧く依頼を成功へと導くのだろう。そう思える内容であった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/28 11:25:53 |
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明るい観光計画 ロニ・カルディス(ka0551) ドワーフ|20才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/09/29 00:37:11 |