ゲスト
(ka0000)
魔術師の弟子のキノコ狩り
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/11/22 09:00
- 完成日
- 2016/11/27 21:13
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●キノコ探し
グラズヘイム王国の中央より北東寄りの小さな町。
近くに羊歪虚が出たとか、ユグディラが誘拐されたとかいろいろ話は聞くが、とりあえず平和である。
魔術師の弟子であるけど、日々は子供らしく遊んでいる姿しか見受けられない感じがある女の子ルゥルは籠と弁当を用意していた。
ペットのパルムのポルムとフェレットのフレオも出かける準備に巻き込まれる。ポルムはキノコのきぐるみを着せられ、フレオはキノコの柄のハーネスをつけられる。ルゥルは幅の広いヘアバンドにキノコのブローチを付け、ローブにもキノコのぬいぐるみのブローチをつける。
「キノコーはおいしいーの、生のまま食べるとぉ、毒ですぅぅ」
作詞作曲歌ルゥル。
「行くですよ」
ペットたちを所定の位置に載せ、ルゥルが籠を持って出かける。
出かけるのは町の外にある林。町の北の方は林が多く、道によって林が区切られている状況である。薬草園の横を通りつつその先にある林に向かった。
「ここには猫さんが2匹か3匹いるそうです。ユグジラだっていう噂があるですが、そんなはずないです」
ペットに話しかけて通り過ぎる。ルゥルは時々発音が悪いことがある。ユグジラとは発音が悪いユグディラである。
林に入る。ずんずん入る。以前、ゴブリンが巣くったこともあるが、ハンターのおかげで被害がなくなった林だ。
時々立ち止まって、土の状況を見る。
パルムのポルムはルゥルから下りて、一緒に見て回っている。木の実を見つけてルゥルにアピールしている。
「木の実も拾うですか? キノコを採取してからゆっくりしましょう」
「きゅ」
ポルムは了解したと手をあげる。ルゥルはポルムが拾ったものに関しては籠に入れる。
ルゥルたちはとことこ進む。土の状況から「この辺りですね」とつぶやくと枯れ葉など積み重なっている物をめくる。
「ありました! なかなかの豊作です」
ルゥルは鼻歌交じりにキノコを採取していく。
「これは毒キノコです」
触らずそのままにする。
「あ、ありましたっ! これは、素敵なキノコです」
ルゥルは採取する。ポルムは喜びの踊りをして、その先にあるルゥルが取ったのと同じキノコを見つける。
ルゥルの肩の上に乗っているフレオはスンカスンカと何か空気を嗅いでいる。
「しゃーーーー」
突然フレオが威嚇をする。耳元なためにルゥルは驚く。
「何ですか、何ですか!」
採取をやめ、ルゥルは周囲を見る。杖の代わりに採りたてキノコを構える。
「……キ、キノコが動いているですぅうううう」
「きゅうーーーー」
たぶん、ポルムの言葉は「ぼくはなんなのぉ!」かもしれないが、そんなことをルゥルは考えている余裕はなかった。
目の前にいる動くキノコはパルムみたいに愛らしさはこれっぽちもなく、もそもそと動き近寄ってくる。
傘の部分を縮めたのを見た瞬間、ルゥルは息を止め、籠にフレオを突っ込んだ。
ポルムをつかもうとしたとき、別のキノコポイなにかが突進してきたのだった。
「っぐぐぐぐぐぐ」
「ククククク」
呼吸を止めているルゥルは籠の中でのたうち回るフレオを抑えつつ、転がるように逃げるしかできなかった。
「きゅーきゅきゅきゅきゅきゅきゅ」
背後でポルムの笑い声と悲鳴が遠くなるのを聞きながら涙をこぼしていた。
「みぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ」
存分に離れたところで、息をする。
助けに行きたいが、行くには危険だ。
手で押さえているフレオはルゥルの手をかじって何かを我慢しているようだ。
「みぎゃああ、フレオ……みぎゃあああああああああああああああああ」
ルゥルは泣きながら町に戻る。
ハンターズソサエティの支部に依頼を出しに行くのが筋だが、隣町までは馬がないと時間がかかる。
「リシャーリュしゃんですうう」
城壁のところに領主の息子リシャール・べリンガーがいるはずだと思い出して走り出したのだった。
建物につくと、泣顔ルゥルに詰めている兵士が異変を察する。すぐにリシャールを呼んでくれる。
「どうしたんで……」
「リシャールしゃん! ポルムを助けてくださいですう! ルゥル、助けられなかったんです、みぎゃーーーーー」
リシャールはルゥルから話を聞き、兵にも指示を出す。
十中八九雑魔であり、倒そうと思えば倒せる可能性は高い。ただ、フレオの状況を聞くと、ハンターに頼まないと負傷者が倍増および、倒せる確実性が薄れる。
「ルゥルさん、ハンターを呼んできます。だから、しっかり待っていてくださいね」
「みぎゃああ、リシャールさん、ありがとう」
リシャールは悩んだ末、ルゥルに弟妹にするように肩を抱いて優しく頭と背中を撫でた。最初は身を固くしていたが、安心したのかふにゃとルゥルがなる。
「行ってきますね」
ルゥルは涙を拭いてうなずいた。
●坊ちゃん依頼を出す
そんなこんなで愛馬のゴースロンのポチにまたがり、リシャールは隣町に走った。ハンターズソサエティの支部に入ると依頼を出す。
「近くの林に雑魔が出たと思います」
「……すごく伝聞だね」
顔見知りの職員ロビン・ドルトスがメガネの中心を押し上げた。
リシャールはルゥルの状況を語る。ポルムがその場に置き去りになってしまっている。
「つまり、ルゥルちゃんのキノコ狩りポイントに雑魔出て、ポルムちゃんを置いて逃げるしかなかった」
「そうです。ルゥルさんだったら抵抗できる可能性あっても、それは可能性でしかありません。ポルムさんをすぐに救出できればいいと思いますが」
「夜になっちゃいますし、早く……」
現場まで馬車を使うと2時間以上かかる。リシャールはゴースロンで走ってきて今である。
「直行しても日が落ちる危険性はあります」
「……灯用意、と」
ロビンは依頼書に記入する。
「なければランタンやたいまつならどうにかなります」
「……わかりました、それも書いておきます」
小さな町の外れにある林に出た雑魔退治およびパルム捜索依頼が出たのだった。
グラズヘイム王国の中央より北東寄りの小さな町。
近くに羊歪虚が出たとか、ユグディラが誘拐されたとかいろいろ話は聞くが、とりあえず平和である。
魔術師の弟子であるけど、日々は子供らしく遊んでいる姿しか見受けられない感じがある女の子ルゥルは籠と弁当を用意していた。
ペットのパルムのポルムとフェレットのフレオも出かける準備に巻き込まれる。ポルムはキノコのきぐるみを着せられ、フレオはキノコの柄のハーネスをつけられる。ルゥルは幅の広いヘアバンドにキノコのブローチを付け、ローブにもキノコのぬいぐるみのブローチをつける。
「キノコーはおいしいーの、生のまま食べるとぉ、毒ですぅぅ」
作詞作曲歌ルゥル。
「行くですよ」
ペットたちを所定の位置に載せ、ルゥルが籠を持って出かける。
出かけるのは町の外にある林。町の北の方は林が多く、道によって林が区切られている状況である。薬草園の横を通りつつその先にある林に向かった。
「ここには猫さんが2匹か3匹いるそうです。ユグジラだっていう噂があるですが、そんなはずないです」
ペットに話しかけて通り過ぎる。ルゥルは時々発音が悪いことがある。ユグジラとは発音が悪いユグディラである。
林に入る。ずんずん入る。以前、ゴブリンが巣くったこともあるが、ハンターのおかげで被害がなくなった林だ。
時々立ち止まって、土の状況を見る。
パルムのポルムはルゥルから下りて、一緒に見て回っている。木の実を見つけてルゥルにアピールしている。
「木の実も拾うですか? キノコを採取してからゆっくりしましょう」
「きゅ」
ポルムは了解したと手をあげる。ルゥルはポルムが拾ったものに関しては籠に入れる。
ルゥルたちはとことこ進む。土の状況から「この辺りですね」とつぶやくと枯れ葉など積み重なっている物をめくる。
「ありました! なかなかの豊作です」
ルゥルは鼻歌交じりにキノコを採取していく。
「これは毒キノコです」
触らずそのままにする。
「あ、ありましたっ! これは、素敵なキノコです」
ルゥルは採取する。ポルムは喜びの踊りをして、その先にあるルゥルが取ったのと同じキノコを見つける。
ルゥルの肩の上に乗っているフレオはスンカスンカと何か空気を嗅いでいる。
「しゃーーーー」
突然フレオが威嚇をする。耳元なためにルゥルは驚く。
「何ですか、何ですか!」
採取をやめ、ルゥルは周囲を見る。杖の代わりに採りたてキノコを構える。
「……キ、キノコが動いているですぅうううう」
「きゅうーーーー」
たぶん、ポルムの言葉は「ぼくはなんなのぉ!」かもしれないが、そんなことをルゥルは考えている余裕はなかった。
目の前にいる動くキノコはパルムみたいに愛らしさはこれっぽちもなく、もそもそと動き近寄ってくる。
傘の部分を縮めたのを見た瞬間、ルゥルは息を止め、籠にフレオを突っ込んだ。
ポルムをつかもうとしたとき、別のキノコポイなにかが突進してきたのだった。
「っぐぐぐぐぐぐ」
「ククククク」
呼吸を止めているルゥルは籠の中でのたうち回るフレオを抑えつつ、転がるように逃げるしかできなかった。
「きゅーきゅきゅきゅきゅきゅきゅ」
背後でポルムの笑い声と悲鳴が遠くなるのを聞きながら涙をこぼしていた。
「みぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ」
存分に離れたところで、息をする。
助けに行きたいが、行くには危険だ。
手で押さえているフレオはルゥルの手をかじって何かを我慢しているようだ。
「みぎゃああ、フレオ……みぎゃあああああああああああああああああ」
ルゥルは泣きながら町に戻る。
ハンターズソサエティの支部に依頼を出しに行くのが筋だが、隣町までは馬がないと時間がかかる。
「リシャーリュしゃんですうう」
城壁のところに領主の息子リシャール・べリンガーがいるはずだと思い出して走り出したのだった。
建物につくと、泣顔ルゥルに詰めている兵士が異変を察する。すぐにリシャールを呼んでくれる。
「どうしたんで……」
「リシャールしゃん! ポルムを助けてくださいですう! ルゥル、助けられなかったんです、みぎゃーーーーー」
リシャールはルゥルから話を聞き、兵にも指示を出す。
十中八九雑魔であり、倒そうと思えば倒せる可能性は高い。ただ、フレオの状況を聞くと、ハンターに頼まないと負傷者が倍増および、倒せる確実性が薄れる。
「ルゥルさん、ハンターを呼んできます。だから、しっかり待っていてくださいね」
「みぎゃああ、リシャールさん、ありがとう」
リシャールは悩んだ末、ルゥルに弟妹にするように肩を抱いて優しく頭と背中を撫でた。最初は身を固くしていたが、安心したのかふにゃとルゥルがなる。
「行ってきますね」
ルゥルは涙を拭いてうなずいた。
●坊ちゃん依頼を出す
そんなこんなで愛馬のゴースロンのポチにまたがり、リシャールは隣町に走った。ハンターズソサエティの支部に入ると依頼を出す。
「近くの林に雑魔が出たと思います」
「……すごく伝聞だね」
顔見知りの職員ロビン・ドルトスがメガネの中心を押し上げた。
リシャールはルゥルの状況を語る。ポルムがその場に置き去りになってしまっている。
「つまり、ルゥルちゃんのキノコ狩りポイントに雑魔出て、ポルムちゃんを置いて逃げるしかなかった」
「そうです。ルゥルさんだったら抵抗できる可能性あっても、それは可能性でしかありません。ポルムさんをすぐに救出できればいいと思いますが」
「夜になっちゃいますし、早く……」
現場まで馬車を使うと2時間以上かかる。リシャールはゴースロンで走ってきて今である。
「直行しても日が落ちる危険性はあります」
「……灯用意、と」
ロビンは依頼書に記入する。
「なければランタンやたいまつならどうにかなります」
「……わかりました、それも書いておきます」
小さな町の外れにある林に出た雑魔退治およびパルム捜索依頼が出たのだった。
リプレイ本文
●探す方法
ハンターは現場に直行する。ルゥルへの励ましの言葉はリシャールが受けた。
馬で急げばまだ日があるだろうが、林の中は薄暗いことは確実。明かり対策は万全にとる。
「ルゥルさんを悲しませたくはないですから、絶対にポルムを保護しないといけないですね」
エルバッハ・リオン(ka2434)は呟く。ルゥルとポルムは常に一緒にいたのを知っているため、不安な思いを考えると力が入る。
「パルタ、パルパル、同族を見つけたり、声が聞こえたら教えておくれ」
ザレム・アズール(ka0878)は連れてきたペットのパルムたちに声を掛ける。自分もペットとして付き合いがあるため、気合が違った。パルムたちは「きゅ」と返事をする。
「こっちもそうじゃの。おぬしらもポルムというパルムが雑魔に襲われていたら助けるのに協力するんじゃぞ?」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)も連れのパルムたちに声を掛ける。こちらも返事をする。
「パルムさんとやらを探すのが先じゃの? 小さいから呼んだほうがよいかの?」
婆(ka6451)はライトを持ちながら尋ねる。以前見ているが、ルゥルの肩や頭に乗るサイズであるため大きくないのは確かだ。
「ああー松茸食いてぇ」
神薙玲那(ka6173)はキノコであればそれが食べたい、今頃、リアルブルーの日本ではそういうのが話題になる時期ではないかとも考える。一方で、依頼をこなす気は十分あり、装備の点検も怠りない。可愛い女の子からの依頼と言うことであり、燃えていた。
まあ、面と向かってあったのは、少年のリシャールであるのでお預け状態である。
「困ったの……美味しい依頼どうしようなの……」
ディーナ・フェルミ(ka5843)はぽつりつぶやく。仲間から「何?」と言うような視線を感じ、慌てる。
「違うの違うの! きっとポルムちゃんはすぐにきちんと見つけるの! 雑魔を退治しつつ、キノコ狩りをして、ルゥルちゃんたちとキノコ鍋なんて……小指の先ほども考えていないの!」
ディーナは頭の中で並行している思考を洩らした。
仲間から適度に力が抜ける。気負いすぎもよくはない。
「そうだな……ポルムをさっさと探して、温かいキノコ鍋は安心するだろうな」
ザレムは微笑んだあと、表情を引き締める。
「そうじゃの。温かい鍋は身も心もほかほかにしてくれるからの」
婆が顔のしわを深くした。
「そうですね……では、どう探しますか? 手分けしたほうが早いでしょうか」
エルバッハは暗くなってくる林を見る。
「そうじゃの、手分けするのもいいと思う。敵を倒すのが先かもしれぬし……その前に、まだキノコ群生地にいるかもしれない」
レーヴェの言葉にうなずく。
「そうなの! キノコ狩りをすると雑魔が出てくるの」
「え? あー、仲間を狩るものを狙ってくるとか?」
「キノコ狩りは雑魔に対する罠なの」
「どちらにせよ、ルゥルがポルムを置いて逃げないと行けなかった現場だな」
玲那は納得したと告げるとディーナは力強くうなずいた。
●一匹発見!
薄暗くなる林。
まだ足元はわかるがだんだんと見なくなるのはわかる。火災を気にしたため、火はなるべく使わない。そのためにライトの稼働時間を意識し、極力使わない。
なお、魔法も使う準備もあるため、問題はないだろう。
「ポルムさんやーい」
婆が声を掛ける。
「きゅー」
「きゅきゅうきゅ」
パルムたちがなぜか声を掛ける。
雑魔が音を聞いているのかもわからない。音がする方に来るならば、ポルムは安全になるのかもしれない。
「そろそろかのう」
レーヴェは木の陰を見ると、キノコらしい影が見える。近寄ってみるが、普通のキノコであり、食べられるかは明るいところで見ないと分からない。
ディーナはキノコを発見し【シャイン】使い明かりをともす。キノコを眺め「たぶん行ける」と荷物にいれる。自身が雑魔をおびき出す手段だと主張する、キノコ狩りを実践していた。
「待て、何かいるぞ」
ザレムが歩くのを止める。
「……!? なら、みんなでキノコ狩りをするの! そうすればもっと早く来るかもなの」
「そうだ……かな?」
「私の緻密な作戦勝ちなのぉぉぉ」
「そ、そうなのかぁ?」
感極まる上ずった声でディーナは訴える。
玲那は半信半疑で敵と仲間とディーナと何かがいるほうを見る。何かは雑魔かポルムか、はてまて通りすがりの獣か。
「明かりつけますよ」
エルバッハはライトをつけ前を照らす。
照らされたのは赤い傘のキノコのような物だ。
ハンターが戦闘態勢を整える間に、突っ込んでくる。まるで、弾丸のように跳んできたのだ。
後方に下がろうとしていたレーヴェの腹に向かって突っ込んだが、よけた。
「っつー、なかなかやるのう」
「炎よ【ファイアーアロー】」
エルバッハは下がりつつ、マテリアルを魔法として放つ。それは命中した。
続いて魔導拳銃を使ったザレムの攻撃は避けられる。雑魔の動きが妙に速い。
「ベニテングダケぽい……食べられないの! 【セイクリッドフラッシュ】」
「……避けたぞ、あいつ」
「信じられないの!」
ディーナはザレムが告げることが事実と知る。雑魔が攻撃範囲外に横っ飛びをしていたようだったから。
「飛んで火にいる夏の虫じゃ」
婆は近くに来た雑魔を全力でぶったたく。それは迫力負けをしたのか、よけた先だったためかよけきれず倒れてて無に還って行った。
「おー、あたしの出番はなし」
玲那は残念そうに言いつつ周囲を見る。キノコが群れていればたくさん雑魔がいるかもしれないため、油断はできない。
「先には何かいそうじゃの」
レーヴェは光に照らされた林を眺める。
「ではそこを目標にローラー作戦と行きましょう」
「そうじゃの」
エルバッハの言葉の後、別れて適度な距離を置き目標地に向かって歩き出した。
ザレムと婆は道が近い草むらを歩き始める。
「ポルムさんやーい」
「ポルムいるかい? ルゥルが心配しているぞ」
「きゅきゅきゅー」
「きゅーー」
ザレムのパルムも声を掛ける。パルムたちの行動になごみそうになるが、雑魔がいる現実を考えるとそうはいっていられない。
パルムたちが口をつぐんだ。
ふと何かいる気配がある。
「ポルムさんかい?」
「いや、これは……」
ザレムは距離があるため、まずは仲間に危険を知らすため、決めておいた笛の合図を送った。
レーヴェとエルバッハはまっすぐそのまま進む。
「きゅきゅきゅ」
「きゅーーうう」
レーヴェの上でパルムが何か言っている。足元をたたいて、レーヴェにより一層のアピールをしている。
「ん? あれはパルムかの?」
レーヴェが言われているところに明かりを向けると何か影がある。
「ポルム……ですね? ルゥルさんに言われてあなたを保護しに来ました、もう大丈夫ですよ」
エルバッハは敵意がないことを示しつつ、優しく包もうとするような雰囲気を出すことを頑張る。
「きゅー」
倒れているポルムを抱き上げる。疲れて倒れている感じだろうか、外傷はない。
安全なところに連れて行くなら林の入り口か。行けば兵士がいるはずだ。
仲間に声を掛けてから一旦二人は戻ろうとした。
ディーナと玲那はキノコ狩りをしつつ進む。ポルムが隠れている可能性だってあるし、雑魔が小さいこともあり得る。
「それにしても、キノコが豊作だったんだな」
「食べられるものが多いといいの」
「松茸ってなるのかな」
「……松があればありうるの。ちょっと暗くてそこまでは分からないの」
二人はまじめに探す、キノコと雑魔とパルムを。
ポルムを見つけたという連絡とザレムが吹く笛の音がちょうど伝わったとき、二人は前にうねうねとする雑魔を発見したのだった。
●意外と問題なかった
ザレムは離れているうちにと【デルタレイ】を放つ。それはあたり、キノコの雑魔はふらついている。
「近づくなら注意が必要だ」
「ほぉほぉ。風があればそれも注意じゃ」
ザレムの忠告を受けつつ、婆は近づき攻撃をする。キノコはぶっ飛び倒れる。
キノコは立ち上がりつつ傘を揺らす。
「下がれ」
「ほほほ……」
「まさか笑いダケ?」
「否、何ともないの? ただ、ちょっといい香りじゃった」
ザレムはホッと息を吐いた。
戦闘状態になったことでポルムを逃がすタイミングを逃した。
「ひとまず、私の頭の上に載せて良いの。パルムたち、落ちるなよ?」
「三匹目……乗りますかね……ポルムをよろしくお願いしますね」
エルバッハは恐る恐るレーヴェの頭に載せる。パルム二匹が一生懸命抑える。
たぶん、激しく動くと落ちるとエルバッハは思った。幸い二人は接敵していないため、この位置から敵を狙うことも可能だ。
二人は仲間と敵の位置を確認し、少し移動する。
「気持ちが悪いのおおおお。エノキダケはおいしいの。大きくなって動くと、可愛くないの」
「おう。さっさと退場願おう。キノコカレーにしてやる」
「その通りなの……あ、え? キノコカレーなの? うーん、エノキはどうなのかな。調味料を変えれば……」
「調理方法は後だ」
「もちろんなの」
ディーナと玲那は魔法を使うにちょうどいい距離をつかむと叩き込む。
うねうねがそぎ落とされたようで消えていく。
用心したハンターの手にかかれば雑魔はすぐに倒される。
雑魔たちの破片は残らなかったのは残念なのか否かは個人によって異なる。
ザレムは【機導浄化術・白虹】を使う。キノコ狩りの人が来るなら、少しでも危険は減らすべきだと考えた。
そのあと、キノコを採りつつ、報告するために小さな町の詰所に向かっていた。
●キノコ鍋
詰所に行くとリシャールが出てくる。エルバッハの手の中にいるポルムを見て表情をやわらげた。
奥を見ると、ルゥルがフェレットのフレオを抱きしめてしおれている。
「嬢ちゃんの可愛いポルムちゃんは、退魔士のお姉さんたちが助けたぞ」
すすっと玲那が近寄りしゃがみ、ルゥルの顔を覗き込むように声を掛ける。
ルゥルは驚き、扉の方を見た。
「ぽ、ポルムぅ」
ルゥルは立ち上がるが動かない。
「どうしたんだい?」
ザレムが驚いて声を掛ける。
「……ルゥルはポルムを置いて逃げてしまいました。きっと、友達じゃないのです」
ぶわっと涙があふれる。玲那は「よしよし」と抱きしめて背中をポンポンとする。
「きゅー」
エルバッハの手の中でポルムは首を横に振る。
「きゅきゅきゅ、きゅーきゅ、きゅぎゅきゅーーー」
ポルムは何か言っている。連れのペットたちはうなずきながら、涙をふくようなしぐさをしたり、返答している。
「……誰か、パルム語が分かる人はおらんかのう」
婆のつぶやきは全員の意見だ。
エルバッハの手のひらのポルムはルゥルのほうに顔を向け、手を伸ばしている。
「ルゥルさん、ポルムは賢いですから、状況もわかっていると思いますよ」
エルバッハがポルムに確認を入れるようにゆっくり告げると、ポルムはうなずく。
「そ、それは……ルゥルわかりません」
「ありうるぞ? 賢いのだろう、友達は」
玲那はルゥルに優しく告げる。
ルゥルは玲那越しにエルバッハを見る。
「ポルム」
「きゅ」
「ポルムー」
「きゅきゅきゅー」
ルゥルはポルムを受け取り頬ずりをした。
ポルムはルゥルの頬に両手をつけて抱き着いているようだ。
「良かったな」
ザレムは微笑む。
「お前たちもいろいろありがとうな」
ペットのパルムたちに礼を言う。
「私のペットたちもそうだ。よくぞ、あの状況でポルムを支えておった」
レーヴェはペットたちに言う。
エルバッハはくすっと笑った。あの時のパルムたちを思い出したのだ。大変だっただろうが、見た目は可愛かった。
「こっちは食べられないの。危険な目に遭う必要はないの」
灯の下、キノコ再仕分けをしていたディーナは笑顔で籠を見せる。
「キノコ鍋はどうするの? せっかくこれだけあるの。ルゥルちゃんも楽しみのキノコの凱旋なの」
ルゥルはディーナの籠を見ると自分の籠を見せる。
「寒い時にはいいのう」
「そうなの。寝る前の食事は重くなると駄目なの。でも、キノコ鍋なら体にも、心にもいいの」
「熱燗などもあるとよりいいのかのう」
ディーナと婆の笑みが「温かい食事」につながる。
ぐうう。
ルゥルのおなかが鳴った。
「え、へへへ……安心したらおなかがすきました。皆さん、ポルム見つけてくれてありがとうございました」
ルゥルがペコリと頭を下げた。
「ルゥルさん、キノコ調理しますか?」
リシャールがルゥルに提案をする。
「では、早速なの。ルゥルちゃんのキノコはこれ?」
「はいです」
ディーナが率先して台所に移動し、ルゥルがついていき、玲那がなんとなくつられて行った。
ポルムはつかれたのか、フレオに寄りかかってうつらうつらしている。
「よく助かった。良かったよ」
「小さいですから、敵から隠れるのにちょうどよかったんですね」
「そうじゃのう、すぐに見つかったのは幸いじゃ。探しに行った私たちが踏んだら、それこそ申し訳ない」
ザレムとエルバッハ、レーヴェはホッとする。まだ外は寒さが身に染みるほどはなかったが、やはり冬に向かっていると分かる。
椅子に座ってゆっくりするなり、しゃべるなりしている間に、台所からいい匂いが漂ってくる。兵士たちから「うらやましい」とポツリ聞こえるくらいだ。
しばらくすると、鍋が現れる。
本当にキノコの鍋だ。
むくりとポルムが起きた。
「出しはもう出まくりなの」
ディーナは食べ始める。
ポルムも要求する。
「……ポルムちゃんが食べたら、共食い?」
ディーナの一言に全員が凍り付いた。
ポルムは首をかしげつつ、器用にフォークでキノコを突き刺して食べた。
「キノコと言ってもパルムは精霊だから違うと言えば違う」
「見た目がキノコみたいというだけですよね」
ザレムとエルバッハの言葉に、一同はうなずく。
「そうじゃの、キノコ! と呼ぶからつい忘れるが、キノコの姿に似た精霊だ」
「そうだったかの? 耄碌してしまってわすれてしもうた」
「耄碌と関係ないのではないか? 東方にだってパルムはおろう」
「身近すぎて深く考えんかもしれんのう」
レーヴェと婆が話がすすむ。
「嬢ちゃん、ほら、こっちのキノコは?」
「ありがとうです、お姉さん」
「いやいいんだよ。そういえば、この辺で松茸ってとれるのか?」
「うーん、なくはないですけど、松の木が三本くらいなので、生えるか生えないかは本当不明です」
「そうか」
「好きなんですか」
「実はな、リアルブルーの日本で……」
「お姉さん、リアルブルーの人ですか!」
玲那は意外なところでルゥルの食いつきを見た。年相応の小さな手で玲那の腕をたたきながら話を促す。
「……これに米を入れると雑炊なの」
翌朝に持ち越せそうだとディーナは考えつつ鍋をつついていたのだった。
ハンターは現場に直行する。ルゥルへの励ましの言葉はリシャールが受けた。
馬で急げばまだ日があるだろうが、林の中は薄暗いことは確実。明かり対策は万全にとる。
「ルゥルさんを悲しませたくはないですから、絶対にポルムを保護しないといけないですね」
エルバッハ・リオン(ka2434)は呟く。ルゥルとポルムは常に一緒にいたのを知っているため、不安な思いを考えると力が入る。
「パルタ、パルパル、同族を見つけたり、声が聞こえたら教えておくれ」
ザレム・アズール(ka0878)は連れてきたペットのパルムたちに声を掛ける。自分もペットとして付き合いがあるため、気合が違った。パルムたちは「きゅ」と返事をする。
「こっちもそうじゃの。おぬしらもポルムというパルムが雑魔に襲われていたら助けるのに協力するんじゃぞ?」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)も連れのパルムたちに声を掛ける。こちらも返事をする。
「パルムさんとやらを探すのが先じゃの? 小さいから呼んだほうがよいかの?」
婆(ka6451)はライトを持ちながら尋ねる。以前見ているが、ルゥルの肩や頭に乗るサイズであるため大きくないのは確かだ。
「ああー松茸食いてぇ」
神薙玲那(ka6173)はキノコであればそれが食べたい、今頃、リアルブルーの日本ではそういうのが話題になる時期ではないかとも考える。一方で、依頼をこなす気は十分あり、装備の点検も怠りない。可愛い女の子からの依頼と言うことであり、燃えていた。
まあ、面と向かってあったのは、少年のリシャールであるのでお預け状態である。
「困ったの……美味しい依頼どうしようなの……」
ディーナ・フェルミ(ka5843)はぽつりつぶやく。仲間から「何?」と言うような視線を感じ、慌てる。
「違うの違うの! きっとポルムちゃんはすぐにきちんと見つけるの! 雑魔を退治しつつ、キノコ狩りをして、ルゥルちゃんたちとキノコ鍋なんて……小指の先ほども考えていないの!」
ディーナは頭の中で並行している思考を洩らした。
仲間から適度に力が抜ける。気負いすぎもよくはない。
「そうだな……ポルムをさっさと探して、温かいキノコ鍋は安心するだろうな」
ザレムは微笑んだあと、表情を引き締める。
「そうじゃの。温かい鍋は身も心もほかほかにしてくれるからの」
婆が顔のしわを深くした。
「そうですね……では、どう探しますか? 手分けしたほうが早いでしょうか」
エルバッハは暗くなってくる林を見る。
「そうじゃの、手分けするのもいいと思う。敵を倒すのが先かもしれぬし……その前に、まだキノコ群生地にいるかもしれない」
レーヴェの言葉にうなずく。
「そうなの! キノコ狩りをすると雑魔が出てくるの」
「え? あー、仲間を狩るものを狙ってくるとか?」
「キノコ狩りは雑魔に対する罠なの」
「どちらにせよ、ルゥルがポルムを置いて逃げないと行けなかった現場だな」
玲那は納得したと告げるとディーナは力強くうなずいた。
●一匹発見!
薄暗くなる林。
まだ足元はわかるがだんだんと見なくなるのはわかる。火災を気にしたため、火はなるべく使わない。そのためにライトの稼働時間を意識し、極力使わない。
なお、魔法も使う準備もあるため、問題はないだろう。
「ポルムさんやーい」
婆が声を掛ける。
「きゅー」
「きゅきゅうきゅ」
パルムたちがなぜか声を掛ける。
雑魔が音を聞いているのかもわからない。音がする方に来るならば、ポルムは安全になるのかもしれない。
「そろそろかのう」
レーヴェは木の陰を見ると、キノコらしい影が見える。近寄ってみるが、普通のキノコであり、食べられるかは明るいところで見ないと分からない。
ディーナはキノコを発見し【シャイン】使い明かりをともす。キノコを眺め「たぶん行ける」と荷物にいれる。自身が雑魔をおびき出す手段だと主張する、キノコ狩りを実践していた。
「待て、何かいるぞ」
ザレムが歩くのを止める。
「……!? なら、みんなでキノコ狩りをするの! そうすればもっと早く来るかもなの」
「そうだ……かな?」
「私の緻密な作戦勝ちなのぉぉぉ」
「そ、そうなのかぁ?」
感極まる上ずった声でディーナは訴える。
玲那は半信半疑で敵と仲間とディーナと何かがいるほうを見る。何かは雑魔かポルムか、はてまて通りすがりの獣か。
「明かりつけますよ」
エルバッハはライトをつけ前を照らす。
照らされたのは赤い傘のキノコのような物だ。
ハンターが戦闘態勢を整える間に、突っ込んでくる。まるで、弾丸のように跳んできたのだ。
後方に下がろうとしていたレーヴェの腹に向かって突っ込んだが、よけた。
「っつー、なかなかやるのう」
「炎よ【ファイアーアロー】」
エルバッハは下がりつつ、マテリアルを魔法として放つ。それは命中した。
続いて魔導拳銃を使ったザレムの攻撃は避けられる。雑魔の動きが妙に速い。
「ベニテングダケぽい……食べられないの! 【セイクリッドフラッシュ】」
「……避けたぞ、あいつ」
「信じられないの!」
ディーナはザレムが告げることが事実と知る。雑魔が攻撃範囲外に横っ飛びをしていたようだったから。
「飛んで火にいる夏の虫じゃ」
婆は近くに来た雑魔を全力でぶったたく。それは迫力負けをしたのか、よけた先だったためかよけきれず倒れてて無に還って行った。
「おー、あたしの出番はなし」
玲那は残念そうに言いつつ周囲を見る。キノコが群れていればたくさん雑魔がいるかもしれないため、油断はできない。
「先には何かいそうじゃの」
レーヴェは光に照らされた林を眺める。
「ではそこを目標にローラー作戦と行きましょう」
「そうじゃの」
エルバッハの言葉の後、別れて適度な距離を置き目標地に向かって歩き出した。
ザレムと婆は道が近い草むらを歩き始める。
「ポルムさんやーい」
「ポルムいるかい? ルゥルが心配しているぞ」
「きゅきゅきゅー」
「きゅーー」
ザレムのパルムも声を掛ける。パルムたちの行動になごみそうになるが、雑魔がいる現実を考えるとそうはいっていられない。
パルムたちが口をつぐんだ。
ふと何かいる気配がある。
「ポルムさんかい?」
「いや、これは……」
ザレムは距離があるため、まずは仲間に危険を知らすため、決めておいた笛の合図を送った。
レーヴェとエルバッハはまっすぐそのまま進む。
「きゅきゅきゅ」
「きゅーーうう」
レーヴェの上でパルムが何か言っている。足元をたたいて、レーヴェにより一層のアピールをしている。
「ん? あれはパルムかの?」
レーヴェが言われているところに明かりを向けると何か影がある。
「ポルム……ですね? ルゥルさんに言われてあなたを保護しに来ました、もう大丈夫ですよ」
エルバッハは敵意がないことを示しつつ、優しく包もうとするような雰囲気を出すことを頑張る。
「きゅー」
倒れているポルムを抱き上げる。疲れて倒れている感じだろうか、外傷はない。
安全なところに連れて行くなら林の入り口か。行けば兵士がいるはずだ。
仲間に声を掛けてから一旦二人は戻ろうとした。
ディーナと玲那はキノコ狩りをしつつ進む。ポルムが隠れている可能性だってあるし、雑魔が小さいこともあり得る。
「それにしても、キノコが豊作だったんだな」
「食べられるものが多いといいの」
「松茸ってなるのかな」
「……松があればありうるの。ちょっと暗くてそこまでは分からないの」
二人はまじめに探す、キノコと雑魔とパルムを。
ポルムを見つけたという連絡とザレムが吹く笛の音がちょうど伝わったとき、二人は前にうねうねとする雑魔を発見したのだった。
●意外と問題なかった
ザレムは離れているうちにと【デルタレイ】を放つ。それはあたり、キノコの雑魔はふらついている。
「近づくなら注意が必要だ」
「ほぉほぉ。風があればそれも注意じゃ」
ザレムの忠告を受けつつ、婆は近づき攻撃をする。キノコはぶっ飛び倒れる。
キノコは立ち上がりつつ傘を揺らす。
「下がれ」
「ほほほ……」
「まさか笑いダケ?」
「否、何ともないの? ただ、ちょっといい香りじゃった」
ザレムはホッと息を吐いた。
戦闘状態になったことでポルムを逃がすタイミングを逃した。
「ひとまず、私の頭の上に載せて良いの。パルムたち、落ちるなよ?」
「三匹目……乗りますかね……ポルムをよろしくお願いしますね」
エルバッハは恐る恐るレーヴェの頭に載せる。パルム二匹が一生懸命抑える。
たぶん、激しく動くと落ちるとエルバッハは思った。幸い二人は接敵していないため、この位置から敵を狙うことも可能だ。
二人は仲間と敵の位置を確認し、少し移動する。
「気持ちが悪いのおおおお。エノキダケはおいしいの。大きくなって動くと、可愛くないの」
「おう。さっさと退場願おう。キノコカレーにしてやる」
「その通りなの……あ、え? キノコカレーなの? うーん、エノキはどうなのかな。調味料を変えれば……」
「調理方法は後だ」
「もちろんなの」
ディーナと玲那は魔法を使うにちょうどいい距離をつかむと叩き込む。
うねうねがそぎ落とされたようで消えていく。
用心したハンターの手にかかれば雑魔はすぐに倒される。
雑魔たちの破片は残らなかったのは残念なのか否かは個人によって異なる。
ザレムは【機導浄化術・白虹】を使う。キノコ狩りの人が来るなら、少しでも危険は減らすべきだと考えた。
そのあと、キノコを採りつつ、報告するために小さな町の詰所に向かっていた。
●キノコ鍋
詰所に行くとリシャールが出てくる。エルバッハの手の中にいるポルムを見て表情をやわらげた。
奥を見ると、ルゥルがフェレットのフレオを抱きしめてしおれている。
「嬢ちゃんの可愛いポルムちゃんは、退魔士のお姉さんたちが助けたぞ」
すすっと玲那が近寄りしゃがみ、ルゥルの顔を覗き込むように声を掛ける。
ルゥルは驚き、扉の方を見た。
「ぽ、ポルムぅ」
ルゥルは立ち上がるが動かない。
「どうしたんだい?」
ザレムが驚いて声を掛ける。
「……ルゥルはポルムを置いて逃げてしまいました。きっと、友達じゃないのです」
ぶわっと涙があふれる。玲那は「よしよし」と抱きしめて背中をポンポンとする。
「きゅー」
エルバッハの手の中でポルムは首を横に振る。
「きゅきゅきゅ、きゅーきゅ、きゅぎゅきゅーーー」
ポルムは何か言っている。連れのペットたちはうなずきながら、涙をふくようなしぐさをしたり、返答している。
「……誰か、パルム語が分かる人はおらんかのう」
婆のつぶやきは全員の意見だ。
エルバッハの手のひらのポルムはルゥルのほうに顔を向け、手を伸ばしている。
「ルゥルさん、ポルムは賢いですから、状況もわかっていると思いますよ」
エルバッハがポルムに確認を入れるようにゆっくり告げると、ポルムはうなずく。
「そ、それは……ルゥルわかりません」
「ありうるぞ? 賢いのだろう、友達は」
玲那はルゥルに優しく告げる。
ルゥルは玲那越しにエルバッハを見る。
「ポルム」
「きゅ」
「ポルムー」
「きゅきゅきゅー」
ルゥルはポルムを受け取り頬ずりをした。
ポルムはルゥルの頬に両手をつけて抱き着いているようだ。
「良かったな」
ザレムは微笑む。
「お前たちもいろいろありがとうな」
ペットのパルムたちに礼を言う。
「私のペットたちもそうだ。よくぞ、あの状況でポルムを支えておった」
レーヴェはペットたちに言う。
エルバッハはくすっと笑った。あの時のパルムたちを思い出したのだ。大変だっただろうが、見た目は可愛かった。
「こっちは食べられないの。危険な目に遭う必要はないの」
灯の下、キノコ再仕分けをしていたディーナは笑顔で籠を見せる。
「キノコ鍋はどうするの? せっかくこれだけあるの。ルゥルちゃんも楽しみのキノコの凱旋なの」
ルゥルはディーナの籠を見ると自分の籠を見せる。
「寒い時にはいいのう」
「そうなの。寝る前の食事は重くなると駄目なの。でも、キノコ鍋なら体にも、心にもいいの」
「熱燗などもあるとよりいいのかのう」
ディーナと婆の笑みが「温かい食事」につながる。
ぐうう。
ルゥルのおなかが鳴った。
「え、へへへ……安心したらおなかがすきました。皆さん、ポルム見つけてくれてありがとうございました」
ルゥルがペコリと頭を下げた。
「ルゥルさん、キノコ調理しますか?」
リシャールがルゥルに提案をする。
「では、早速なの。ルゥルちゃんのキノコはこれ?」
「はいです」
ディーナが率先して台所に移動し、ルゥルがついていき、玲那がなんとなくつられて行った。
ポルムはつかれたのか、フレオに寄りかかってうつらうつらしている。
「よく助かった。良かったよ」
「小さいですから、敵から隠れるのにちょうどよかったんですね」
「そうじゃのう、すぐに見つかったのは幸いじゃ。探しに行った私たちが踏んだら、それこそ申し訳ない」
ザレムとエルバッハ、レーヴェはホッとする。まだ外は寒さが身に染みるほどはなかったが、やはり冬に向かっていると分かる。
椅子に座ってゆっくりするなり、しゃべるなりしている間に、台所からいい匂いが漂ってくる。兵士たちから「うらやましい」とポツリ聞こえるくらいだ。
しばらくすると、鍋が現れる。
本当にキノコの鍋だ。
むくりとポルムが起きた。
「出しはもう出まくりなの」
ディーナは食べ始める。
ポルムも要求する。
「……ポルムちゃんが食べたら、共食い?」
ディーナの一言に全員が凍り付いた。
ポルムは首をかしげつつ、器用にフォークでキノコを突き刺して食べた。
「キノコと言ってもパルムは精霊だから違うと言えば違う」
「見た目がキノコみたいというだけですよね」
ザレムとエルバッハの言葉に、一同はうなずく。
「そうじゃの、キノコ! と呼ぶからつい忘れるが、キノコの姿に似た精霊だ」
「そうだったかの? 耄碌してしまってわすれてしもうた」
「耄碌と関係ないのではないか? 東方にだってパルムはおろう」
「身近すぎて深く考えんかもしれんのう」
レーヴェと婆が話がすすむ。
「嬢ちゃん、ほら、こっちのキノコは?」
「ありがとうです、お姉さん」
「いやいいんだよ。そういえば、この辺で松茸ってとれるのか?」
「うーん、なくはないですけど、松の木が三本くらいなので、生えるか生えないかは本当不明です」
「そうか」
「好きなんですか」
「実はな、リアルブルーの日本で……」
「お姉さん、リアルブルーの人ですか!」
玲那は意外なところでルゥルの食いつきを見た。年相応の小さな手で玲那の腕をたたきながら話を促す。
「……これに米を入れると雑炊なの」
翌朝に持ち越せそうだとディーナは考えつつ鍋をつついていたのだった。
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最終発言 2016/11/20 18:43:48 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/11/20 10:07:12 |