ゲスト
(ka0000)
或るチェリストの遭遇
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/01 12:00
- 完成日
- 2016/12/08 01:53
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
エリーヌ・エルマン。チェリスト。界隈では若く、華やかな容貌に恵まれた女性。
ジェオルジで行われた郷祭のあるステージに呼ばれ、その後も町や村を巡っていたが、近付くクリスマスにヴァリオスへの帰郷の日が迫る。
エリーヌがクリスマスを祝うのは、リアルブルー出身の母が毎年ツリーを飾りケーキを焼いていたことに依るところが大きいが、今年からは父と2人。
少し寂しい祝日になりそうだ。
リボンで形見の指輪を括り付けたチェロケースとステージ衣装のドレスを詰め込んだスーツケースを荷馬車に乗せて、ヴァリオスへと繋がる街道を目指す。
街道近くに宿を取って数日、ゴブリンの出没と倒木の除去で妨げられていたが、やがて開通の報せが届けられた。
馭者を雇い護衛代わりにハンターに守られた乗り合いの馬車に続くことにして、後ろを走ることをハンターに伝えた。
面倒な仕事でも無いから、近くを走っているときは纏めて守ってくれるらしい。
乗り合いの馬車を守る殿のハンターと喋りながらの道中だったが、数頭で引く馬車に次第に離されて、遠くその影を臨むようになる。
少し急いだ方が良いかも知れないと馭者と話しながら、けれど一頭立ての小さな馬車ではたかが知れている。
●
乗り合いの馬車の近く、少し陰った細い道。
ハンターがその茂みの向こうに黒い影を見た。
振り返ると続いていたはずの馬車が随分と離れてしまっている。
いやな予感がする。無事だと良いけれど。
しかし、彼等の守る馬車を遅らせる訳にもいかない。
警戒を強めて馬車を進める。
温い風がエリーヌの頬を撫でた。
何かが横を通り過ぎていったようだ。
振り向くがその姿は無い。
街道の両脇がぼんやりと暗い。
がさりと茂みが音を立てた。
「何かいるのかしら……」
「――いれば、先に通った馬車が気付いているでしょう。あちらにはハンターも付いてますし……しかし、暗くなってきましたね、雨でも降れば厄介です。急ぎましょう」
馭者は手綱を揺すって馬を急かす。
ジェオルジからヴァリオスへの街道口。
今日も何台かの馬車を見送った警備兵が道を眺めた。
ゴブリンの報告は絶えないが、すぐに駆除されている。
今回は木がなぎ倒されて道が塞がっていたとのことだが、それ以外はいつも通りだ。
真逆、ゴブリンに木を倒す程の力が有ったなんて。
しかし、数匹掛かりならばと轍に固められた街道を見て考える。
それから、暫く。
ふと思い至ることがあった。
「なあ、確か…………」
あの馬車の護衛は殆ど新人のハンターでは無かったか。
警備兵が同僚に尋ねたとき、その返事を聞く前に、眼前に黒い影が現れた。
枯れ葉と土埃、樹皮を削いだような木屑を纏ったそれは、鋭く重たげな蹄鉄を持つ四つ脚、太い首のどっしりと据わった馬の形を成していた。
●
オフィスに急ぎの依頼が掲示される。
馬型の雑魔の出没、委細不明。
ハンター達が呼ばれたのは街道口。倒れている警備兵が1人、一頭の雑魔に数人で相手取る警備兵達がハンターに気付いて安堵した。
雑魔が倒された後、警備兵から事情を聞く。
その雑魔は街道から現れた。1匹だけでは無いはずだ。
森を抜けてきたらしいが、先日の倒されていた樹も此奴の仕業かも知れない。
街道には新人のハンターが護衛する大型の乗り合いの馬車と、その馬車に続いている一頭立ての荷馬車が出ている。
この雑魔は一頭でも新人のハンターが相手をするのは厳しいかも知れない。
「馬が必要ならこちらで出そう、すぐに街道に向かってくれ」
突進を食らったと腹を押さえる警備兵が蹄の跡を指して呻くように言った。
エリーヌ・エルマン。チェリスト。界隈では若く、華やかな容貌に恵まれた女性。
ジェオルジで行われた郷祭のあるステージに呼ばれ、その後も町や村を巡っていたが、近付くクリスマスにヴァリオスへの帰郷の日が迫る。
エリーヌがクリスマスを祝うのは、リアルブルー出身の母が毎年ツリーを飾りケーキを焼いていたことに依るところが大きいが、今年からは父と2人。
少し寂しい祝日になりそうだ。
リボンで形見の指輪を括り付けたチェロケースとステージ衣装のドレスを詰め込んだスーツケースを荷馬車に乗せて、ヴァリオスへと繋がる街道を目指す。
街道近くに宿を取って数日、ゴブリンの出没と倒木の除去で妨げられていたが、やがて開通の報せが届けられた。
馭者を雇い護衛代わりにハンターに守られた乗り合いの馬車に続くことにして、後ろを走ることをハンターに伝えた。
面倒な仕事でも無いから、近くを走っているときは纏めて守ってくれるらしい。
乗り合いの馬車を守る殿のハンターと喋りながらの道中だったが、数頭で引く馬車に次第に離されて、遠くその影を臨むようになる。
少し急いだ方が良いかも知れないと馭者と話しながら、けれど一頭立ての小さな馬車ではたかが知れている。
●
乗り合いの馬車の近く、少し陰った細い道。
ハンターがその茂みの向こうに黒い影を見た。
振り返ると続いていたはずの馬車が随分と離れてしまっている。
いやな予感がする。無事だと良いけれど。
しかし、彼等の守る馬車を遅らせる訳にもいかない。
警戒を強めて馬車を進める。
温い風がエリーヌの頬を撫でた。
何かが横を通り過ぎていったようだ。
振り向くがその姿は無い。
街道の両脇がぼんやりと暗い。
がさりと茂みが音を立てた。
「何かいるのかしら……」
「――いれば、先に通った馬車が気付いているでしょう。あちらにはハンターも付いてますし……しかし、暗くなってきましたね、雨でも降れば厄介です。急ぎましょう」
馭者は手綱を揺すって馬を急かす。
ジェオルジからヴァリオスへの街道口。
今日も何台かの馬車を見送った警備兵が道を眺めた。
ゴブリンの報告は絶えないが、すぐに駆除されている。
今回は木がなぎ倒されて道が塞がっていたとのことだが、それ以外はいつも通りだ。
真逆、ゴブリンに木を倒す程の力が有ったなんて。
しかし、数匹掛かりならばと轍に固められた街道を見て考える。
それから、暫く。
ふと思い至ることがあった。
「なあ、確か…………」
あの馬車の護衛は殆ど新人のハンターでは無かったか。
警備兵が同僚に尋ねたとき、その返事を聞く前に、眼前に黒い影が現れた。
枯れ葉と土埃、樹皮を削いだような木屑を纏ったそれは、鋭く重たげな蹄鉄を持つ四つ脚、太い首のどっしりと据わった馬の形を成していた。
●
オフィスに急ぎの依頼が掲示される。
馬型の雑魔の出没、委細不明。
ハンター達が呼ばれたのは街道口。倒れている警備兵が1人、一頭の雑魔に数人で相手取る警備兵達がハンターに気付いて安堵した。
雑魔が倒された後、警備兵から事情を聞く。
その雑魔は街道から現れた。1匹だけでは無いはずだ。
森を抜けてきたらしいが、先日の倒されていた樹も此奴の仕業かも知れない。
街道には新人のハンターが護衛する大型の乗り合いの馬車と、その馬車に続いている一頭立ての荷馬車が出ている。
この雑魔は一頭でも新人のハンターが相手をするのは厳しいかも知れない。
「馬が必要ならこちらで出そう、すぐに街道に向かってくれ」
突進を食らったと腹を押さえる警備兵が蹄の跡を指して呻くように言った。
リプレイ本文
●
集まったハンター達が街道へ出る、彼等に状況を伝えた警備兵は、負傷者を抱えて詰め所へ戻った。
傍の厩に飼われる馬が飼い葉を銜えて黒い目をハンターに向けた。
「ここの馬を借りていけるかな? この馬より荒事に慣れていると思うんだよね」
アーク・フォーサイス(ka6568)の連れる馬を一瞥した警備兵は首を横に揺らす。
懐かせたものがいるならそちらの方が良い働きをするだろうと言う。
それに、と。地面に残った足跡を見る。雑魔との戦いには馴らしていないと歯噛みした。
「あたしは、連れていないのよね」
フィリテ・ノート(ka0810)の方を向いた警備兵が一頭引いてくると、既に支度を調えた仲間に合流する。
「やれやれ、厄介な状態……」
馬を駆けさせて先頭を進むシェイス(ka5065)が呟くように吐露する。
雑魔の出没を知らずに街道を行く二台の馬車。一台は乗り合いで護衛が要ると言っても新人、もう一台は小さな荷馬車だが護衛もいないという。
しかし、依頼を受けたからにはと、緑の双眸で先を見据え、葉を散らした木々の合間に常緑の葉が覗く物寂しい道を鮮やかな色を纏う装いで駆け抜けていく。
「だが、やりようはいくらでもってね」
先の彼等に協力を要請すると、仲間を振り返り伝えた。
バイクのアクセルを握り込み、ケイジ・フィーリ(ka1199)が隣に並んだ。
「分かった、荷馬車は僕が守る。進んで貰って合流を目指せば良いよね?」
「俺も協力しよう……後は」
アークがケイジに声を掛けた。
後は、どこに潜んでいるか知れない雑魔の対応だと、穏やかな金の眼を伏せ気味に思考を巡らせる。
大柄なゴースロンを操る星野 ハナ(ka5852)とリン・フュラー(ka5869)が手綱を執って寄せる。
「私も近くで雑魔をブッコロしますぅ!」
「ええ、新人ハンターが相手取るには、厳しいとのことなので」
向かう、とリンも視線を木々の隙へ走らせる。
は、と星野が手綱を弾ませて声を上げた。
「ゴンちゃんちょっぱやで、お願いしますぅ」
ハンター達は駆ける先に荷馬車の姿を捉え、同時に少なくない雑魔の気配を知る。
先にと促されたシェイスが走り、リンと星野、フィリテがその後に続く。
シェイスが荷馬車の横を駆け抜けて行き、リンは森へと馬を操る。
「今回はよろしくお願いするわね!」
フィリテが2人に挨拶の声を掛ける。囲むような雑魔の気配と木々の隙から時折覗く影に怯えていた表情が、その笑顔に和らいだ。
「エリーヌさん達は止まらないで進んで下さいぃ!」
声を掛けながら星野も森へと馬首を向け、リンに続くように駆けていく。
止まり掛けていた荷馬車が再び緩やかに走り出す。
●
銃声が高く響く。
土埃を立てて荷馬車の傍に走り込んだケイジが片手をハンドルに、銃口を森に向けながら肩越しに馬車を振り返る。
「あいつらはなんとかするから、このまま進んでくれ!」
マテリアルを昂ぶらせ、障壁を張って守れる間合いを量りながら言い放つ。
進行方向を左手。近くに見える雑魔は1匹だけだが、森の中のそれを道から目視できるほどに、馬車との距離が近く、前足を擡げて駆けるように向かってきていた。
「大丈夫だ」
荷馬車の2人はアークの静かな声を聞く。大丈夫だから先に進めと、馭者は我に返った様に頷き、常歩に落としていた荷馬車はその歩みを早めた。
「ケイジ、おまえも。……援護してくれるのは、助かるね」
口角を上げて獲物たる雑魔を見据える金の瞳は好戦的な光りを宿し、獣の如き瞳孔がその高揚に開いている。
水面の色に染めた鞘に収められた刀身を振り抜いて馬上に構える。
欄と燦めいた双眸が、濁った音で唸るように嘶いて地面を揺らして飛び掛かるように駆る雑魔を見据える。
騎乗しての戦いだ。常以上に敵の挙動を意識して、乗っているのは戦場のための馬では無いが、アークに逆らう程愚かでも無い。
アークが手綱を引くとやや大振りながら雑魔の巨体を躱した。
剣の間合いに飛び込んできたそれを見て、ケイジも自身の得物を剣に切り替えて斬りつける。
少年らしい細い腕に支えられた大型の魔導拳銃の側面から突き出した刃は、雑魔の首を捉え鬣を散らすがそれを貫くにはやや浅い。雑魔は刃ごとケイジを振り払うように首を振るう。
立ち上がる格好に前足を擡げた姿勢から飛び掛かるようにその前足を、思い蹄鉄を振り下ろす。
「……っ、――アークさん!」
刀身に受け留めて尚、ずしりと重く腕が痺れて、軋む。
踏み締めたブーツが土に沈み、刃と蹄がかたかたと鳴る中でケイジは仲間を呼んだ。
「ははっ、ああ、任せなよ」
マテリアルの高揚に任せた笑い声、獲物を睨んだ獣の双眸を細める。
浮かべた笑みの奥、思考の芯は冷えていた。
効率と、好機。狙うなら機動力を断てそうな脚だろう。幸い今はケイジが抑えている。
腑の底に溜めたマテリアルを全身へ、上段に構えた刀に落ちる陽差しが鍔を透かしアークの手に鬼の影を過ぎらせる。
ケイジが剣を引く。それに合わせるように刃を振り下ろす。
前足に入った傷から滴る黒い雫は、土に触れる前に霧散する。
片足を断たれても構わず、腹を凪ぐように向かってくるもう片方の蹄を刀身と鎧で受け留めるが、次の手に構え直す一瞬、先に体勢を戻した蹄が軽装の腕を裂いた。
鮮血が弾けるように散る。これくらい大したことは無いと笑って、柄を握り直す。
ハンドルを握り締めて振り返る。荷馬車とその周囲の気配を探る様に視線を走らせた。
無事に進んでいる様子に浅く頷くと、得物の剣を収めて引鉄に指を掛ける。
雑魔の動きを見定め、アークの攻撃の手に合わせるように。
ケイジは魔導拳銃を介して三条の光りを放つ。
光りを躱して姿勢を崩す雑魔の腹を薙いだ白刃を収め、アークは仲間を振り返った。
シェイスは土埃を上げながら只管に馬を走らせ荷馬車の横を通り抜ける。
仲間の戦う音に耳を塞ぐように前だけを見詰めて。手綱を操る自身の息すら上がって来た頃、大きな乗り合いの馬車と、それを囲む若いハンター達を見付けた。
「君たち、ハンターだろ。話を聞いてくれるよな?」
若いハンター達が馬車の速度を緩め、彼等もその場に留まると、シェイスは馬を下りながら自身の請け負っている依頼と、街道の状況を説明した。
道中に雑魔の影を目撃していたハンター達は顔を見合わせ、シェイスの表情を覗いながら小声で相談している。
ボウガンを携えたハンターが1人近付いてきて、荷馬車の様子を尋ねた。
「追い抜いてきたぜ、こっちに向かってるだろうな」
シェイスが応えると僅かな安堵を見せたが、雑魔の横を通過することには変わりなく、不安に身を竦めている。
来るか、とシェイスが尋ねた。
仕留める手伝いをして貰おうか。そう、所在なく握られたボウガンを見下ろして。
もう1人名乗りを上げたハンターには馬を頼み、残りのハンター達と荷馬車には十分な警戒を指示し、新人のハンター1人を連れ、街道を森に沿って暫く戻る。
数分と経たず、目を灼く程の閃光が見えた。
●
「急がなくてはいけませんね……」
鮮やかな血を思わせる赤に染まったリンの双眸が木々の隙から覗く黒い影を数えて呟く。
3匹、4匹、しかし、あの荷馬車に一番近いものは。
迷う時間など与えないというように、蹄の気配が迫ってくる。
木を避けながらゴースロンの横腹を蹴って森へ駆り、荷馬車の行く街道を背に雷を刀身に走らせる装置を仕込んだ柄を握り抜き放つ。
赤い瞳が1匹に狙いを定めると、間合いを量り上段に掲げるように構えた白刃で円弧の軌跡を描き、脚を刈るように斬り上げる。
地面を掠める切っ先が熱を纏い、木漏れ日に燦めいた刃を避けようと跳ねた足の合間から胴へと入る。
裂けた腹から零す土塊にも似た黒い滴りは、しかし土には帰らず、落ち葉を巻き上げた旋風に巻き上げられて散っていった。
脚を避けられても尚、十分深く感じる手応えを確かめて頷く様に顎を引く。
濁る音で嘶く音は細く、傷を庇う様に身を捩る。それでも雑魔に退く気配は無く、地面を震わせながら飛び込んでくる。
防御を捨てた構えから立て直す間も無く、咄嗟に刀身でいなしながらも巨躯の擦った腕が痛む。
落とすまいと柄を握り締め、脚で馬を操りながら構えを立て直し、継いで振り下ろされた蹄鉄は刀身に捉え、鎧の上から押されながらも、帯に至り身に触れる前に弾いた。
「ここは、通しません」
鋭い声で言い放つと再び刃を上段へ、前脚を正確に断つ攻撃に雑魔は横倒しに斃れて藻掻いた。
リンが対峙するものが1匹、もう1匹にフィリテが向かっていった。
残る2匹は街道まで幾らかの距離がある。
星野は札を構えると雑魔の歩みを見詰め、その進路が射程に入ったところで結界を作るマテリアルを込めて投じる。
札に綴られた呪文が赤く輝く。
木々の隙を縫い風のように飛んでいく符を見詰める双眸は蒼く、茶色の柔らかな髪が微風に遊ばれるように揺れた。
「雑魔ホイホイですぅ、きちんとひっ掛かってくださいよぅ?」
地面に落ちた符はその周囲の土を泥濘みに変える。次、とその横へも、雑魔が接近するまでに符を張り巡らせる。
手許で減った符を引き直して両手に翳す。
ふわりと、マテリアルを帯びた髪を揺らし、微笑むように口角を上げる。
泥濘みに足を取られた雑魔が藻掻きながら、首を揺すって嘶きを響かせて抜け出そうと抗い続ける。
ゴンちゃん、と馬を進ませて、数歩近付く。一度に狙うには2匹の距離は僅かに遠い。木々を避けて進みながら、5枚の符にマテリアルを込める。
「行動阻害あり引火性なし複数対象、これ以上最適解な術ってないと思いますぅ」
泥濘みに嵌まっている1匹へ、続けて、抜け出し、地面を掻くように走ってくるもう1匹へ。
囲むように符を放った。
眩い閃光が向かってくるシェイスともう1人のハンターの目にも届く。
地面を駆って迫る雑魔の脇を狙うようにヤドリギの杖を振り下ろす。
放たれた石礫が掠めると雑魔はそれを向けたフィリテに胡乱な目を向けた。
「こっちじゃなくて、向こうに行って欲しいのよね」
荷馬車の走る街道では無く、仲間の待ち構えている方に。
マテリアルを込め射程を量る。首を振って跳ねる様に飛び込んでくる雑魔に杖を向けると氷の矢を放ち足を止めた。
「流石、馬だけあって素早いわ。……でも、これでっ!」
動けない。前進を止めた雑魔を見て、氷が脚を射抜いている間に街道側へ壁を形成する。
動き出せば、再び石礫で追い立てる。
馬の走って行く方に、ボウガンを構える若いハンターと、その傍らで短剣を抜いたシェイスが木々の間を縫って向かってきていた。
「――正面に捉えたら撃ってくれ」
シェイスはハンターに声を掛けて茂みを裂く風のように駆っていく。逆手で眼前に構えた短剣の刃がマテリアルに呼応するように艶やかな黒に染められていく。
石礫に追われた雑魔に向かって矢の尽きるまで放たれたが当たろうとも短く毛足を駆る程度で、殆どが弾かれている。
緑の瞳を動かして雑魔の動きを探り、矢に執着した隙を突くように斬り掛かって腱を断つ。
追い回され深い傷を得た雑魔が暴れるようにその巨躯をシェイスにぶつけた。
その衝撃にふらつきながらも得物は離さず、構えも解かずに刈り取る様に首を裂く。
迫ってきていた雑魔が、黒い飛沫を上げて斃れると、若いハンターはその場に座り込んだ。
●
地面に倒れ藻掻いた馬に石礫が落とされて土塊に、それは灰のように舞い上がって風に流されて消えていった。
閃光がもう1つ、剣撃の音も止み、符を下ろした星野と、刀を収めたリンが合流した。
「間に合って良かったですぅ」
木々の合間から馬車の荷台が見えた。無事に通り抜けたようだ。
星野が安堵してそう言うと、座り込んでいるハンターに代わって、シェイスが先でハンターと馬車を待たせ合流を図っていることを告げた。
「後出しじゃんけんになっちゃいますけどぉ、次は依頼を受けてる時は他のハンターを勧めて下さいねぇ?」
このボウガンのハンターは、荷馬車を気にしていたのだろう。
間に合わなければ、生涯悔やみ続けたと思う。けれど、殺されてしまえば当人は悔やむことも出来ないから。
青ざめていた顔が無事を知って仄かな色を取り戻していく。やがて、小さな声ではいと星野に答えた。
ケイジとアークが周囲を見回った後に合流する。
「怪我は無いか?」
自身を含め、浅からぬ傷も見られるが動かすことに支障は無い。
街道の先の2台の馬車も無事だろうかと探す様に目を細めた。
「きみの守っていた馬車の人達は無事?」
アークが尋ねると、若いハンターは埃を払って立ち上がる。シェイスと合流したときには周囲に雑魔の気配はなかったと答えた。
シェイスの馬の回収と無事の確認、或いは残党を探しに、ハンター達は馬車の元へ向かう。
新人達に合流すると馬を預かっていたハンターが梃摺ながら引いてきた。
主人以外に囲まれて憔悴しているらしく、シェイスの側に戻っても落ち付かずに首や尾を揺らしている。
新人のハンター達の、戻ってきた仲間を迎えて安堵している様子に全員の無事を知るとアークもほっと胸を撫で下ろす。
間に合ったとリンも表情を和らげ、仲間にハンター達を紹介しているらしい声に目を細めた。
フィリテとケイジ、星野は荷馬車の方へと向かう。
フィリテとケイジは再出発の準備を手伝うとエリーヌに声を掛けた。
「走らせたからな、結構揺れてたみたいだけど、荷物は大丈夫か?」
ケイジの言葉にエリーヌは荷台を示して頷く。
毛布で包みきつく括り付けた荷物に傷は無さそうだ。
「次は自前で雇い上げした方が安全度が高いと思いますぅ」
進んできた道を示すように振り返ると、最近のこの道は危険だと、星野は溜息交じりに言う。
往路を守られたハンターの言葉にエリーヌは消沈しながらも頷いた。
「……これからもあなたのチェロ、聴かせて下さいねぇ」
慰める言葉に、ありがとうとぎこちなく微笑んだ。
集まったハンター達が街道へ出る、彼等に状況を伝えた警備兵は、負傷者を抱えて詰め所へ戻った。
傍の厩に飼われる馬が飼い葉を銜えて黒い目をハンターに向けた。
「ここの馬を借りていけるかな? この馬より荒事に慣れていると思うんだよね」
アーク・フォーサイス(ka6568)の連れる馬を一瞥した警備兵は首を横に揺らす。
懐かせたものがいるならそちらの方が良い働きをするだろうと言う。
それに、と。地面に残った足跡を見る。雑魔との戦いには馴らしていないと歯噛みした。
「あたしは、連れていないのよね」
フィリテ・ノート(ka0810)の方を向いた警備兵が一頭引いてくると、既に支度を調えた仲間に合流する。
「やれやれ、厄介な状態……」
馬を駆けさせて先頭を進むシェイス(ka5065)が呟くように吐露する。
雑魔の出没を知らずに街道を行く二台の馬車。一台は乗り合いで護衛が要ると言っても新人、もう一台は小さな荷馬車だが護衛もいないという。
しかし、依頼を受けたからにはと、緑の双眸で先を見据え、葉を散らした木々の合間に常緑の葉が覗く物寂しい道を鮮やかな色を纏う装いで駆け抜けていく。
「だが、やりようはいくらでもってね」
先の彼等に協力を要請すると、仲間を振り返り伝えた。
バイクのアクセルを握り込み、ケイジ・フィーリ(ka1199)が隣に並んだ。
「分かった、荷馬車は僕が守る。進んで貰って合流を目指せば良いよね?」
「俺も協力しよう……後は」
アークがケイジに声を掛けた。
後は、どこに潜んでいるか知れない雑魔の対応だと、穏やかな金の眼を伏せ気味に思考を巡らせる。
大柄なゴースロンを操る星野 ハナ(ka5852)とリン・フュラー(ka5869)が手綱を執って寄せる。
「私も近くで雑魔をブッコロしますぅ!」
「ええ、新人ハンターが相手取るには、厳しいとのことなので」
向かう、とリンも視線を木々の隙へ走らせる。
は、と星野が手綱を弾ませて声を上げた。
「ゴンちゃんちょっぱやで、お願いしますぅ」
ハンター達は駆ける先に荷馬車の姿を捉え、同時に少なくない雑魔の気配を知る。
先にと促されたシェイスが走り、リンと星野、フィリテがその後に続く。
シェイスが荷馬車の横を駆け抜けて行き、リンは森へと馬を操る。
「今回はよろしくお願いするわね!」
フィリテが2人に挨拶の声を掛ける。囲むような雑魔の気配と木々の隙から時折覗く影に怯えていた表情が、その笑顔に和らいだ。
「エリーヌさん達は止まらないで進んで下さいぃ!」
声を掛けながら星野も森へと馬首を向け、リンに続くように駆けていく。
止まり掛けていた荷馬車が再び緩やかに走り出す。
●
銃声が高く響く。
土埃を立てて荷馬車の傍に走り込んだケイジが片手をハンドルに、銃口を森に向けながら肩越しに馬車を振り返る。
「あいつらはなんとかするから、このまま進んでくれ!」
マテリアルを昂ぶらせ、障壁を張って守れる間合いを量りながら言い放つ。
進行方向を左手。近くに見える雑魔は1匹だけだが、森の中のそれを道から目視できるほどに、馬車との距離が近く、前足を擡げて駆けるように向かってきていた。
「大丈夫だ」
荷馬車の2人はアークの静かな声を聞く。大丈夫だから先に進めと、馭者は我に返った様に頷き、常歩に落としていた荷馬車はその歩みを早めた。
「ケイジ、おまえも。……援護してくれるのは、助かるね」
口角を上げて獲物たる雑魔を見据える金の瞳は好戦的な光りを宿し、獣の如き瞳孔がその高揚に開いている。
水面の色に染めた鞘に収められた刀身を振り抜いて馬上に構える。
欄と燦めいた双眸が、濁った音で唸るように嘶いて地面を揺らして飛び掛かるように駆る雑魔を見据える。
騎乗しての戦いだ。常以上に敵の挙動を意識して、乗っているのは戦場のための馬では無いが、アークに逆らう程愚かでも無い。
アークが手綱を引くとやや大振りながら雑魔の巨体を躱した。
剣の間合いに飛び込んできたそれを見て、ケイジも自身の得物を剣に切り替えて斬りつける。
少年らしい細い腕に支えられた大型の魔導拳銃の側面から突き出した刃は、雑魔の首を捉え鬣を散らすがそれを貫くにはやや浅い。雑魔は刃ごとケイジを振り払うように首を振るう。
立ち上がる格好に前足を擡げた姿勢から飛び掛かるようにその前足を、思い蹄鉄を振り下ろす。
「……っ、――アークさん!」
刀身に受け留めて尚、ずしりと重く腕が痺れて、軋む。
踏み締めたブーツが土に沈み、刃と蹄がかたかたと鳴る中でケイジは仲間を呼んだ。
「ははっ、ああ、任せなよ」
マテリアルの高揚に任せた笑い声、獲物を睨んだ獣の双眸を細める。
浮かべた笑みの奥、思考の芯は冷えていた。
効率と、好機。狙うなら機動力を断てそうな脚だろう。幸い今はケイジが抑えている。
腑の底に溜めたマテリアルを全身へ、上段に構えた刀に落ちる陽差しが鍔を透かしアークの手に鬼の影を過ぎらせる。
ケイジが剣を引く。それに合わせるように刃を振り下ろす。
前足に入った傷から滴る黒い雫は、土に触れる前に霧散する。
片足を断たれても構わず、腹を凪ぐように向かってくるもう片方の蹄を刀身と鎧で受け留めるが、次の手に構え直す一瞬、先に体勢を戻した蹄が軽装の腕を裂いた。
鮮血が弾けるように散る。これくらい大したことは無いと笑って、柄を握り直す。
ハンドルを握り締めて振り返る。荷馬車とその周囲の気配を探る様に視線を走らせた。
無事に進んでいる様子に浅く頷くと、得物の剣を収めて引鉄に指を掛ける。
雑魔の動きを見定め、アークの攻撃の手に合わせるように。
ケイジは魔導拳銃を介して三条の光りを放つ。
光りを躱して姿勢を崩す雑魔の腹を薙いだ白刃を収め、アークは仲間を振り返った。
シェイスは土埃を上げながら只管に馬を走らせ荷馬車の横を通り抜ける。
仲間の戦う音に耳を塞ぐように前だけを見詰めて。手綱を操る自身の息すら上がって来た頃、大きな乗り合いの馬車と、それを囲む若いハンター達を見付けた。
「君たち、ハンターだろ。話を聞いてくれるよな?」
若いハンター達が馬車の速度を緩め、彼等もその場に留まると、シェイスは馬を下りながら自身の請け負っている依頼と、街道の状況を説明した。
道中に雑魔の影を目撃していたハンター達は顔を見合わせ、シェイスの表情を覗いながら小声で相談している。
ボウガンを携えたハンターが1人近付いてきて、荷馬車の様子を尋ねた。
「追い抜いてきたぜ、こっちに向かってるだろうな」
シェイスが応えると僅かな安堵を見せたが、雑魔の横を通過することには変わりなく、不安に身を竦めている。
来るか、とシェイスが尋ねた。
仕留める手伝いをして貰おうか。そう、所在なく握られたボウガンを見下ろして。
もう1人名乗りを上げたハンターには馬を頼み、残りのハンター達と荷馬車には十分な警戒を指示し、新人のハンター1人を連れ、街道を森に沿って暫く戻る。
数分と経たず、目を灼く程の閃光が見えた。
●
「急がなくてはいけませんね……」
鮮やかな血を思わせる赤に染まったリンの双眸が木々の隙から覗く黒い影を数えて呟く。
3匹、4匹、しかし、あの荷馬車に一番近いものは。
迷う時間など与えないというように、蹄の気配が迫ってくる。
木を避けながらゴースロンの横腹を蹴って森へ駆り、荷馬車の行く街道を背に雷を刀身に走らせる装置を仕込んだ柄を握り抜き放つ。
赤い瞳が1匹に狙いを定めると、間合いを量り上段に掲げるように構えた白刃で円弧の軌跡を描き、脚を刈るように斬り上げる。
地面を掠める切っ先が熱を纏い、木漏れ日に燦めいた刃を避けようと跳ねた足の合間から胴へと入る。
裂けた腹から零す土塊にも似た黒い滴りは、しかし土には帰らず、落ち葉を巻き上げた旋風に巻き上げられて散っていった。
脚を避けられても尚、十分深く感じる手応えを確かめて頷く様に顎を引く。
濁る音で嘶く音は細く、傷を庇う様に身を捩る。それでも雑魔に退く気配は無く、地面を震わせながら飛び込んでくる。
防御を捨てた構えから立て直す間も無く、咄嗟に刀身でいなしながらも巨躯の擦った腕が痛む。
落とすまいと柄を握り締め、脚で馬を操りながら構えを立て直し、継いで振り下ろされた蹄鉄は刀身に捉え、鎧の上から押されながらも、帯に至り身に触れる前に弾いた。
「ここは、通しません」
鋭い声で言い放つと再び刃を上段へ、前脚を正確に断つ攻撃に雑魔は横倒しに斃れて藻掻いた。
リンが対峙するものが1匹、もう1匹にフィリテが向かっていった。
残る2匹は街道まで幾らかの距離がある。
星野は札を構えると雑魔の歩みを見詰め、その進路が射程に入ったところで結界を作るマテリアルを込めて投じる。
札に綴られた呪文が赤く輝く。
木々の隙を縫い風のように飛んでいく符を見詰める双眸は蒼く、茶色の柔らかな髪が微風に遊ばれるように揺れた。
「雑魔ホイホイですぅ、きちんとひっ掛かってくださいよぅ?」
地面に落ちた符はその周囲の土を泥濘みに変える。次、とその横へも、雑魔が接近するまでに符を張り巡らせる。
手許で減った符を引き直して両手に翳す。
ふわりと、マテリアルを帯びた髪を揺らし、微笑むように口角を上げる。
泥濘みに足を取られた雑魔が藻掻きながら、首を揺すって嘶きを響かせて抜け出そうと抗い続ける。
ゴンちゃん、と馬を進ませて、数歩近付く。一度に狙うには2匹の距離は僅かに遠い。木々を避けて進みながら、5枚の符にマテリアルを込める。
「行動阻害あり引火性なし複数対象、これ以上最適解な術ってないと思いますぅ」
泥濘みに嵌まっている1匹へ、続けて、抜け出し、地面を掻くように走ってくるもう1匹へ。
囲むように符を放った。
眩い閃光が向かってくるシェイスともう1人のハンターの目にも届く。
地面を駆って迫る雑魔の脇を狙うようにヤドリギの杖を振り下ろす。
放たれた石礫が掠めると雑魔はそれを向けたフィリテに胡乱な目を向けた。
「こっちじゃなくて、向こうに行って欲しいのよね」
荷馬車の走る街道では無く、仲間の待ち構えている方に。
マテリアルを込め射程を量る。首を振って跳ねる様に飛び込んでくる雑魔に杖を向けると氷の矢を放ち足を止めた。
「流石、馬だけあって素早いわ。……でも、これでっ!」
動けない。前進を止めた雑魔を見て、氷が脚を射抜いている間に街道側へ壁を形成する。
動き出せば、再び石礫で追い立てる。
馬の走って行く方に、ボウガンを構える若いハンターと、その傍らで短剣を抜いたシェイスが木々の間を縫って向かってきていた。
「――正面に捉えたら撃ってくれ」
シェイスはハンターに声を掛けて茂みを裂く風のように駆っていく。逆手で眼前に構えた短剣の刃がマテリアルに呼応するように艶やかな黒に染められていく。
石礫に追われた雑魔に向かって矢の尽きるまで放たれたが当たろうとも短く毛足を駆る程度で、殆どが弾かれている。
緑の瞳を動かして雑魔の動きを探り、矢に執着した隙を突くように斬り掛かって腱を断つ。
追い回され深い傷を得た雑魔が暴れるようにその巨躯をシェイスにぶつけた。
その衝撃にふらつきながらも得物は離さず、構えも解かずに刈り取る様に首を裂く。
迫ってきていた雑魔が、黒い飛沫を上げて斃れると、若いハンターはその場に座り込んだ。
●
地面に倒れ藻掻いた馬に石礫が落とされて土塊に、それは灰のように舞い上がって風に流されて消えていった。
閃光がもう1つ、剣撃の音も止み、符を下ろした星野と、刀を収めたリンが合流した。
「間に合って良かったですぅ」
木々の合間から馬車の荷台が見えた。無事に通り抜けたようだ。
星野が安堵してそう言うと、座り込んでいるハンターに代わって、シェイスが先でハンターと馬車を待たせ合流を図っていることを告げた。
「後出しじゃんけんになっちゃいますけどぉ、次は依頼を受けてる時は他のハンターを勧めて下さいねぇ?」
このボウガンのハンターは、荷馬車を気にしていたのだろう。
間に合わなければ、生涯悔やみ続けたと思う。けれど、殺されてしまえば当人は悔やむことも出来ないから。
青ざめていた顔が無事を知って仄かな色を取り戻していく。やがて、小さな声ではいと星野に答えた。
ケイジとアークが周囲を見回った後に合流する。
「怪我は無いか?」
自身を含め、浅からぬ傷も見られるが動かすことに支障は無い。
街道の先の2台の馬車も無事だろうかと探す様に目を細めた。
「きみの守っていた馬車の人達は無事?」
アークが尋ねると、若いハンターは埃を払って立ち上がる。シェイスと合流したときには周囲に雑魔の気配はなかったと答えた。
シェイスの馬の回収と無事の確認、或いは残党を探しに、ハンター達は馬車の元へ向かう。
新人達に合流すると馬を預かっていたハンターが梃摺ながら引いてきた。
主人以外に囲まれて憔悴しているらしく、シェイスの側に戻っても落ち付かずに首や尾を揺らしている。
新人のハンター達の、戻ってきた仲間を迎えて安堵している様子に全員の無事を知るとアークもほっと胸を撫で下ろす。
間に合ったとリンも表情を和らげ、仲間にハンター達を紹介しているらしい声に目を細めた。
フィリテとケイジ、星野は荷馬車の方へと向かう。
フィリテとケイジは再出発の準備を手伝うとエリーヌに声を掛けた。
「走らせたからな、結構揺れてたみたいだけど、荷物は大丈夫か?」
ケイジの言葉にエリーヌは荷台を示して頷く。
毛布で包みきつく括り付けた荷物に傷は無さそうだ。
「次は自前で雇い上げした方が安全度が高いと思いますぅ」
進んできた道を示すように振り返ると、最近のこの道は危険だと、星野は溜息交じりに言う。
往路を守られたハンターの言葉にエリーヌは消沈しながらも頷いた。
「……これからもあなたのチェロ、聴かせて下さいねぇ」
慰める言葉に、ありがとうとぎこちなく微笑んだ。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/11/28 22:15:07 |
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相談卓 リン・フュラー(ka5869) エルフ|14才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2016/11/30 12:26:34 |