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【CF】自由の鐘の咆哮

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/12/04 22:00
完成日
2016/12/19 13:53

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 叶わぬ想い。
 それは十分理解している。
 それでも願わずには居られない。
 
 あの人と――ほんの一時で良い、共に夜を過ごせれば……。

●鐘の伝説
 冒険都市リゼリオにも冬の足音が近づいている。
 朝の冷え込みは徐々に厳しく、潮風に冷気が乗る頃には『あのイベント』の空気が街を支配し始める。

 教会の鐘――このリゼリオ郊外には恋人達に有名な教会が存在する。
 モノトーン教会にある鐘は聖輝節の夜に鳴らされる決まりがあるのだが、その鐘を二人きりで聞いた恋人は永遠の愛を約束される言い伝えがあるのだ。
 その昔、結婚を前にした男女がふとしたミスから指輪を海へ落としてしまった。
女性が母親から譲り受けた指輪を落とした男性は女性にお詫びをするが、女性は『海の神様の前で結婚を誓ったと思って諦める』と男性を慰めた。
 二人は指輪だけでは海の神様も困るだろうと祝い酒やブーケも海に流す。すると、重いはずの鐘が海から浮かび上がってきた。鐘を調べると中には落としたはずの指輪。二人は指輪を取り戻すと同時にお互いの愛を確かめ合う事ができたという。

 その伝承に、期待に胸を膨らませるカップルたち。
 愛を確かめ合う日――聖輝節の到来は、もう間もなくだ。

●不穏な気配
 そんな幸せいっぱいの聖輝節だが、万人に期待されているとは限らない。
「俺、今年も一人だよ」
「あー、またこの季節かよ」
「俺、寂しすぎて動物クッキーを恋人に見立てて一人パーティやったよ」
 聖輝節が近付くにつれ、リゼリオの大衆酒場に独身の者達が現れる。
 一般人だろうと、ハンターだろうと関係ない。
 自棄酒なのか、傷の舐め合いなのか。
 彼らは酒やケーキを口にしながら、不遇な境遇を言い合っている。
 独身。
 望む事なく恋人もできず、聖輝節を独り身で過ごすことになった者達。
 一体何が悪かった?
 生まれか?
 運命か?
 それとも父祖がかけられたら呪いなのか?
 この時期になる度に孤独を味あわなければならないのは何故なのか。
「俺達がモテないのはおかしい! きっと何かの陰謀だ!」
「ほう、随分威勢がいいねぇ」
 興奮する男達の隣で、着流しの男がぐい飲み片手に呟いた。
「お前は誰だ?」
「おいらは、和田鈴一。しがねぇ恋愛革命家だ」
 和田と名乗った着流しの男。
 革命家とは穏やかじゃないが――。
「なんだい? 恋愛革命家というのは?」
「おいら達のような独り者にぁ、このキツくないかい? 孤独が身にしみて、熱燗飲んでも温まりゃしねぇ。おめぇさん方、何でか分かるかい?」
「そりゃ、恋人がいないから……」
「そいつぁ違ぇ。恋人達が愛を独占してやがるんだ。奴らが俺達に来るはずの愛まで奪ってやがる。おいらぁ、革命を起こして『愛の再分配』をしてぇのよ」
 鈴一の発言を聞く限り、ヤバい内容にしか見えない。
 普通であれば、全力スルーで腫れ物として鈴一を触れもしないはずだ。
 だが、周囲の者は既に酒を大量に飲んでいる。正常な判断などできるはずもない。この為、独り者には大好評。鈴一に続けとばかりに吠えまくる。
「カップルばかり優遇されてうらやま……いや、許さない! 革命だ! 独り者にも恋人を!」
「立てよ、独身!」
 次々と決起する独身――否、恋愛闘士達。
 鈴一は満足そうにその光景を見つめる。
「いいねぇ。そーいやぁ、この街には『モノトーンの潮鐘』なんてぇもんがあるんだったな。そんな愛独占の象徴をおいら達が放置する訳にゃいかねぇなぁ」
 リゼリオの一画で決起した反撃の狼煙。

 これが反カップル同盟『自由の鐘(ベルリバティ)』結成の瞬間でもあった。

●自由の鐘の咆哮
 今日もハンター達で賑わっているハンターズソサエティ。
 依頼に日々忙しい彼らにも、平等に聖輝節はやって来る。
「もうすぐ聖輝節だなー。……お前、その頃何か予定あるの?」
「私? 予定なんてあるわけないじゃない。実家に『飯くらいなら食わせてやるからたまには戻ってこい』って言われるくらいよ」
「あー。そうなんだ。……あのさ、だったらその日俺と……」
「すみませんーーーーー!! 至急の案件ですーーーー!!」
 いい雰囲気をぶち壊す大きな声。振り返ると、ハンターオフィスの職員のイソラが肩で息をしていた。
 その声に、ハンター達が集まってくる。
「何だ何だ。どうした?」
「何か事件でもあった?」
「襲撃事件ですー。愛を取り戻す集団がーー」
「……は?」
「……イソラさん、ちょっと落ち着いて話してみましょうか?」
「あ、はい! すみません! リゼリオ一帯に『自由の鐘(ベルリバティ)』を名乗る一団が現れ、カップル達を襲っています!」
「………はぁ?」
「何なの? そのベルなんとかって」
「『自由の鐘(ベルリバティ)』です。何でも独り身の集団らしく、『自分たちに愛が回って来ないのはカップル達が独占しているせい』『愛を取り戻す為に戦う』『リア充ばくはつしろ』と主張しているそうです」
「………はぁあ?!」
「何だかさもしい集団ね……。カップル達を襲っているから取り押さえろということね?」
「はい。その通りなんですが……。その。襲うっていうのが普通の方法じゃなくてですね……」
 口ごもるイソラ。ハンター達に目線で続きを促され、彼女はこくりと頷いて口を開く。
「ええと。その……。装備品を奪っているそうです」
「…………」
「念のため聞くけど、何だって装備奪ってるんだ……?」
「幸せそうなカップルの装備を奪って纏えば、『自由の鐘(ベルリバティ)』の加護で運気がこちらにきて愛を取り戻せるとか……」
 ――誰だそんなことを言い出したの。
 げんなりするハンター達。そこにイソラが申し訳なさそうに付け加える。
「もう1つ問題がありまして……。その『自由の鐘(ベルリバティ)』に、ハンターさんが加わってるらしいんです……」
 死んだ魚のような目をするハンター達。
 独り身の寂しさというのはここまで人を狂わせるのか……!
「カップルのフリをして歩いていれば現れるそうですので、申し訳ないですが対処をお願いします」
 ぺこりと頭を下げるイソラ。
 依頼が始まる前から嫌な予感しかしない。
 しかし誰かがやらねば……!
 ハンター達は疲れた顔をして頷いた。


「うおおおおお! リア充ばくはつしろおおおおお!!」
「うおおおおお! 愛を取り戻せええええええ!!」
「きゃああああ!?」
 ――聞こえる咆哮。
 その頃、『自由の鐘(ベルリバティ)』の団員達はカップルの装備を剥いて剥いて剥きまくっていた――。

リプレイ本文

 近づく冬。聖輝節の飾りに彩られ、華やかで楽しげな街の一角は、今や混乱の渦に巻き込まれつつあった。
「我らに愛を! 愛の再分配を!」
「リア充ばくはつしろ!!」
「……まあ、なんじゃな。世のカップルに爆発しろとは思わんが……面白くないというのは分からんでもないな」
 盛り上がる自由の鐘の団員達を遠目で見ながらため息をつく火々弥(ka3260)。その後ろに隠れるようにしつつ、ノノトト(ka0553)が首を傾げる。
「……なんで自由の鐘って名前なんですかね?」
「リア充に協力するモノトーン教会の鐘。その呪縛から自由になる為の新たな象徴となるもの……って意味らしいよ」
 胸を張って答える墨城 緋景(ka5753)。その返答にノノトトはうーんと考え込む。
 ――理屈は通ってるような。通ってないような……。
 消極的な火々弥とノリノリの緋景と差はあるが、2人は自ら望んで自由の鐘に与した。
 が、ノノトトは気づいたらここに紛れ込んでいた次第で。
 哀しきかな、巻き込まれ体質。
 こうなった以上、やるしかない……!
「ところで何で皆さんこちらに協力を……?」
「目的より手段が気に入った!」
「面白そうでしたからね」
「ああ、別に恋人が欲しい訳じゃないが、こう盛り上がってるとね。悪戯好きの血が騒ぐのさ」
 うふふと笑う藤堂 小夏(ka5489)。それってとにかく剥きたいって意味ですよね。
 悪びれる様子もなくしれっと続いたエルバッハ・リオン(ka2434)とセレス・フュラー(ka6276)に、ノノトトは死んだ魚のような目になる。
 そして、レジャーシートを敷いて占術を行っていた緋景は、ノノトトと手元のカードを交互に見て一瞬やべっという顔した後……やたら爽やかな笑顔を浮かべた。
「うん! 大丈夫! 頑張って!!」
「えっ。今明らかにヤバいって顔したよね!? ねえ!?」
「おや。出発するようじゃな。ほら、行くぞ」
「一人でも多くのリア充に制裁を与えるわよ!!」
 緋景をガクガクと揺するノノトト。2人は火々弥と小夏に引きずって行かれ――。


「バターちゃん、これ一緒に巻くのであるー」
「……動き辛いんだが……」
「うななー。バターちゃんあったかーい」
 真っ赤なマフラーをバタルトゥの首に巻く黒の夢(ka0187)。
 とても長いそれを自分の首にも巻くと、むぎゅっと彼の腕にしがみつく。
「……だから、そんなにくっつくなと……」
「えええ。離れちゃいやなのなー」
「……何故泣く!?」
 慣れぬ事に身を固くして距離を取ろうとするバタルトゥ。ぶわっと涙を浮かべる黒の夢に、仏頂面ながらも微かに動揺を見せる。


「はーい。皆ついてきてますかー?」
「皆いるよ。巴、ありがとね」
「いえいえ。颯ちゃん、はぐれたら大変だから手繋ぎましょ」
「巴お姉様、はやては子供じゃないですのよ」
 時音 ざくろ(ka1250)に笑顔を返す舞桜守 巴(ka0036)。八劒 颯(ka1804)はそんな事を言いつつも素直に彼女の手を取る。
 その少し後ろを、サクラ・エルフリード(ka2598)がキョロキョロしながら歩いていた。
「……普通のお祭りだったんですね。良かったです」
「サクラが一体何を想像していたのか分からんが、普通とも言い切れんな」
「そうね。流石に、今回は不安だもの……」
 『聖輝節』を『聖褌節』と読み間違えたとは言えず笑って誤魔化すサクラ。
 眉根を寄せるソティス=アストライア(ka6538)に、アルラウネ(ka4841)もため息をつく。
 リゼリオを歩く恋人たちを襲う一団。しかも、縁起物とか言って装備を奪うとか聞いた。
 今回はしかもらきすけ製造機のざくろが一緒ときている。嫌な予感しかしない。
「大丈夫だよ! 皆はざくろが守るから……ってあれ? 金糸雀じゃない。どうしたの? 一人?」
「あ。ざくろさん……」
 ベンチでぼーっと空を見上げていた金糸雀(ka6409)。ざくろに声をかけられ、おずおずと笑顔を返す。
「ざくろのお友達ですか? 良かったら一緒に回りません?」
 巴の声に振り返る彼女。きわどい服から除く谷間。ふくよかな双丘。
 金糸雀はふらふらと立ち上がると、誘われるように巴の胸に顔を埋める。
「あらあらー? 甘えん坊さんです? うふふ。いいですよ。一緒に……って。そ、そんなにぐりぐりしたらくすぐったいです……!」
「ちょ、ちょっとこんなところで何してるんですか……!」
「ん? サクラったら嫉妬?」
「違いますっ!!」
 アルラウネに冷やかされて慌てるサクラ。仲が良すぎる女子達に、ざくろはドギマギしながら目を反らして――。


「律、寒くはないか? こちらへおいで」
「きょ、きょーや……? どうした? 何か変なもの食べたか?」
「いや。俺は通常だが。何かあったか?」
「いやあの……。いつもと違うっていうかその……」
 甘い笑みを浮かべている皆守 恭也(ka5378)に、目が泳いでいる綿狸 律(ka5377)。
 2人きりの時はともかく常に厳しく、己を律している事が多い従者が、人前だというのに手は繋ぐ、肩を抱き寄せて外套で包んで来ると普段とは全く違う甘さに律が混乱してしまうのも無理はないのだが……。
「折角の機会なんだ。恋人らしい事はなんでもしてみたい。……駄目か?」
「……え。あの」
 ずるい! ずるいぞきょーや……! こんなのダメって言える訳ない!!
 わたわたしつつ、何かせねばと屋台で買った肉を頬張る律。ふと恭也の目線に気づいて首を傾げる。
「あ。きょーやも食うか? はい、あーん」
「ありがとう。これはなかなか美味いな。ほら、律もあーん」
 『恋人らしい事』をやってみたら思いの他喜ばれた上に、あっさりやり返されて律はとうとう耳まで赤くなる。
 ぷるぷるしている彼が可愛くて、愛おしくて……恭也は恋人を腕の中に引き入れる。
 そこで完全に脳がオーバーヒートした律だったが、恭也の腕の暖かさには勝てなかった。


 ――独り身の寂しさねえ。俺にも恋人はいねえけど、ああはなりたくねーなあ。
 ま、恋人よりルースがいればそれでいい。しかし遅いなあいつ……。
 そんな事を考えていたソレル・ユークレース(ka1693)。現れた目の覚めるような美女に目を瞬かせた。
「ソル、お待たせ」
「……ルース?」
「うん? そうだけど」
「こりゃ驚いた。見違えたな」
「そりゃどうも。一応見られるようにはしたつもりだよ」
 艶やかな長い黒髪。風に靡く瞳と同じ色のシルバーのドレス。白い肌を際立たせる淡い化粧。
 この麗しきレディ、リュンルース・アウイン(ka1694)は……実は『彼』。そう、男性である。
 カップルのフリをする作戦の流れでこうなったのだが……。どうせならソルの女性の好みを聞いておけば良かった、なんて考えて。
 この反応を見るに、そんなに悪くなかったという事だろうか……。
「上手く化けたもんだ。真面目にエスコートしないとな」
「馬鹿言ってないでほら、手貸して。ヒールで足痛いんだから!」
「おう、そうか。歩きにくいなら抱え上げてやるが。どうする姫様?」
「……あのねえ。悪乗りにも程があるよ?」
「そう言うなって。仲良くしてなきゃあいつら現れねえんだろ」
「それはそうだけど……顔近いってば!」
 ソレルに引き寄せられて慌てるリュンルース。
 それは強引な彼氏に恥ずかしがる彼女にしか見えず……。


「さあ! 我輩を膝枕しつつ高級毛皮をもふもふするがいいのです!」
「うん! 喜んで!!」
 膝の上ででろーんと腹を出している巨大なハムスターに目を細めるヨルムガンド・D・アルバ(ka5168)。
 そのしっとりとした毛並みを堪能して、ほう……とため息をつく。
 変な奴らが出ていると言うし、大切な彼女は家に残してきた。
 かといって、一人は寂しい。そんな時にばったり出会ったのが幻獣王だった。
「チューダ。ナッツ食べるかな?」
「食べるであります!」
「あーっ! ハムスター王チュー!!」
「違うのです! 我輩は幻獣王チューダなのですよ!」
「そっかー。相変わらず可愛いなー、お前」
 目を輝かせて突撃してきた大伴 鈴太郎(ka6016)。チューダに夢中でヨルムガンドに気づかなかったらしい。
 彼を見て、申し訳なさそうに頬をぽりぽりと掻く。
「あっ。悪ィ。先客がいたか」
「いやいや。いいよ。チューダ可愛いから仕方ない。一緒にもふもふするかい?」
「いいのか!? やったあ!!」
 満面の笑みで頷く鈴太郎。ヨルムガンドは飴を噛み砕きながら、チューダの毛並みを見つめたまま口を開く。
「何か変なの出てるっていうけど、君は大丈夫なのかい?」
「ん? ああ。適当に街ぶらついてりゃ報酬貰えるって聞いたからさ」
 それ、囮って言うんだけど……と彼は思ったが、鈴太郎がいいならいいかと黙っておく事にした。
「チューダは本当にいい毛並みしてるよね」
「ああ! ふわふわすべすべだし、温かいし最高だよなー!」
 褒められ、胸を張るチューダ。
 2人はきゃっきゃうふふと幻獣王の毛並みを堪能して――。
 これぞまさにリア獣である。


 と言う訳で。
 諸君、待たせたね! ここからが本番だーー!!


 ――どうしてこうなったのだろう。
 ざくろの中に浮かぶ疑問符。
 ――そう。彼の恋人は一人ではない。複数いる。
 女性を侍らせる男性一人。否応なしにも目立つ。
 何と羨まし……いやいや、けしからん!
 ……とまあ、平たく言えば愛の再分配を掲げる自由の鐘のヘイトを一気に稼いでしまった訳で。
「くっそおおおお! 許すまじ……!」
「お前みたいのがいるから俺達が独りなんだよ!」
「いやああああ!!!」
 響き渡るざくろの悲鳴。恋人達を庇おうとした為に、あっと言う間に取り囲まれて剥かれる。
「あーあ。これは助けないとダメかもねえ」
「デートに水を差すか、無粋な……」
「少し、頭、冷やしてもらおう、か?」
「そうですね。ここはちょっと痛い目に遭って戴きましょう……!」
「はいっ! はやてにお任せなのです!」
 ある意味予想通りの展開にため息をつくアルラウネ。向かい来る一団に剣呑な目を向けるソティス。
 金糸雀とサクラ、颯も武器を構えるが、相手は一般人も紛れている。
 手加減しないと……と思っていた矢先に、サクラの手にした武器が何かを引っかけた。
「い、いやぁっ! う、うそっ……!」
「えっ。巴さん!?」
「やだやだ! 助けてぇ!」
「えっ。ちょっ。ま……」
「きゃあっ!?」
 はらりと宙を舞う薄布。巴の背中の紐を解いてしまったらしい。露わになる双丘を隠す為に咄嗟に掴んだのはアルラウネのコート。
 バランスを崩したアルラウネが掴んだのはサクラのマントで……。
「お姉様、大丈……きゃあっ!!?」
「あ、あああ!?」
「こ、こら待て何を掴んでおるのか……!」
 必死に抵抗したサクラが掴んだのは楓の鎧のベルト。楓が咄嗟に掴んだのは金糸雀のワンピース。金糸雀が掴んだのはソティスのブラウス……と同時多発のらきすけ発生で女性陣も大参事です!!
「んもう! これもざくろのらきすけ体質のせいだからね!」
「えええっ!? ざくろ関係な……ああああ! いやあああ!!」
 叫ぶアルラウネ。ざくろの悲鳴が更に大きくなる。
 とにかく彼を助けなければと、取り囲んでいる自由の鐘の一団をちぎっては投げちぎっては投げを繰り返す女性陣。
 そうこうしているうちに、服は1枚、また1枚と無くなっていき……。
「ざくろ、無事か!?」
「うん、何とか……」
「もうやだあああ!」
「ざくろさん……!」
 ソティスの声に頷くざくろ。飛び込んできた巴と金糸雀を受け止めて……そのままぶおっと鼻血を噴き出す。
 そりゃあ、服を取られた状態の身体に暖かくてたわわなモノを前後から押し付けられたら、ねえ。
「まって、確かに縁起のいい物だけど、水着だけは本当にダメぇ!」
「いいから寄越せえええ!!」
 そして、最後の砦である水着をすぽーんと剥かれたアルラウネ。彼女からブチィ! といういい音が聞こえて――。

 アルラウネは 魔神ドウニデモナーレに 変化した!

 聞こえる怒号。次々と現れる自由の鐘。2人まとめて避けたソレルがふぅ、と短くため息をつく。
「ちっ。多勢に無勢か。こいつらなかなかしつこいな……!」
「全く。君たちは少し頭を冷やしたほうがいいんじゃないかい?」
「うるさい! 黙れリア充共がぁ!」
 リュンルースの声に激高する団員。彼に迫る手……そこに割り込んで、ソレルがニヤリと笑う。
「おっと。こいつに手出すのはやめて貰おうか」
「ソルったら何カッコつけてんの……」
「心配すんな。お前だけは絶対に守る」
 真面目に返されて言葉に詰まるリュンルース。
 ――ああ、不覚にも嬉しいと思ってしまったじゃないか。ソルの馬鹿……!
 そんな彼らに無情にも迫る団員達。
 そこにずしゃあ! と土煙を上げて飛び込んで来たのは赤毛の騎士――!
「ちょーっと待ったぁ! てめえら! このボルディア姐さんの前で悪事が働けると思うな……あれ?」
「はいはい。ちょっとごめんねー。装備貰うねー」
「ちょっ。こら! 待て! やめろおおおお!!」
 大見得を切ったボルディア・コンフラムス(ka0796)に迫る一陣の風。
 隠の徒を使って潜んでいたセレスが一気に間合いを詰めて、あれよあれよという間に彼女の装備を剥いていく。
「あたしの磨き上げた隠密技能に勝とうだなんて100年早いわ」
 ボルディアの最後の砦を投げ捨てながらフフンと笑うセレス。
 ――今回は完全武装の全身鎧。中もちゃんと着て来た。更に威嚇で斧を振り回せば脱がされるなんてあるワケないと思っていたのに……。
 何で……何でこんな……!!
 筋肉質で余計な肉が一切ついていない身体を晒して、プルプルしているボルディア。
 そこからにじみ出る黒いオーラ。異様な雰囲気を察して、セレスは即座に離脱を図る。
 次の瞬間。
「わおおおおおおん!!」

 ボルディアは わんこボルディアに 変化した!

「逃げる奴はリア充よ! 逃げない奴はよく訓練されたリア充よ! 剥け剥け!」
「イエス! マムだよー!」
 小夏の号令でリア充共に襲いかかる緋景。
 恭也の助けもあり何とか逃げ続けていた律だったが、さすがにハンター相手では逃げ切れるものでもない。
 緋景が投擲してきたケーキの直撃を食らい、動けなくなったところを小夏がすぽーんと衣服を剥ぎ取る。
「うわああん! もうやだきょーやぁ!!」
 男子にしては小柄だが、しなやかな筋肉がついた身体が露わになり、恥ずかしさで泣き出した律。
 その様子を見て、小夏と緋景はハイタッチをする。
「上手く行ったわ! よし次行くわ……よ?」
 ゴゴゴゴゴ。
 不意に後ろから感じた威圧感。
 2人が振り返ると、般若のような顔をした恭也が太刀を構えていて……。
 ……あ、これアカンやつだ。ガチギレしてるわこの人。
「……コロス」
「えっとその……すみませんでしたあああ!!」
 条件反射でその場に両膝をつき、腕を直角に曲げ惚れ惚れするほどキレイな土下座を見せる緋景。
 何だろう。この土下座の手慣れた感……。
「あ、えっと緋景、後よろしくね」
「逃がさん!」
 仲間に丸投げして逃げ出そうとした小夏だったが、氷のように鋭い怒気を放った恭也にあっさり回り込まれ――。
 一転して絶対絶命の大ピンチ☆ あ、これ素直に受け入れるしかないやつかも!
「お兄さん、やるね……いいよ。私もハンターだ。好きなように剥き、好きなように剥かれる……悔いはないよ」
「……コロス」
 潔い笑みを浮かべる小夏に、冷たい笑みを返す恭也。
 ――初めて見る従者の変貌っぷりに、律は恥ずかしさも忘れてガクガクと震えて……。

 恭也は 怒りの氷狐に 変化した!

 ドウニデモナーレとわんこボルディア、怒りの氷狐の出現に、場は一気に混乱し自由の鐘の面々の勢いも削がれつつあった。
「わおーーーん!」
 その中でも特にわんこボルディアは凄かった。
 奥義を発動して巨大化し、道行く人を老若男女問わず脱がしては投げ脱がしては投げ……。
「鎮まれー! 鎮まり給えー! さぞかし名のあるハンターと見受けたがなぜそのように荒ぶるのか!?」
「わおーん!!」
「あああ。どうしよう。言葉通じてない! 見境なく襲ってるし止めなきゃ……!」
「ノノトト落ち着け。あれを止めるというのはちと難しいやもしれぬの。ひとまず剥かれた者達に何か身に着けるものを渡すとしようかの」
「そうだね。被害拡大してるし……! ねえ火々弥さん。このバスタオル、『蔵倫』とか『良心』とか書かれてるけどこれ何」
「ああ、そういうツッコミはなしの方向でひとつ」
「分かったよ! あの、これ良かったら使ってください!」
 火々弥の言葉にさらりと頷き、ノノトトは白馬の上の人物に大きなバスタオルを手渡す。
「お? 何だタオル? そうか! 寒そうなサオリたんへのサービスか! 気が利くじゃねえか」
 白い歯を輝かせて笑うジャック・J・グリーヴ(ka1305)。
 彼がどう見ても生まれたままの姿に見えるのでタオルを渡したが……いや、違う。一つだけ装備品がある。
 ええと……これは抱き枕……?
 美少女が描かれた抱き枕に丁寧にタオルで包むと、ジャックは爽やかな笑みを浮かべる。
「サオリたん、寒かったか? 俺様とした事が気が利かなくて悪かったな」
「…………」
「恥ずかしがってるのか。ハハハハ。可愛い奴め」
「…………」
 熱っぽく語りかける彼。しかし答える者はいない。
 そりゃそうだ。抱き枕だもの。
「サオリたんの上に選択肢が出ない……? おかしい。フラグはきちんと立てたはずだぞ……!」
「ジャックさん……あの……」
「わおーーーん!!」
「ジャックさんじゃねえ! ジャック様って呼べ!! おいわんこ! うるせぇぞ! デートが台無しだろうが!」
「ヒイッ!? すみませんっ!」
 ジャックの勢いにビクッとなるノノトト。恐る恐る声をかける。
「ええと……。すみません。何してらっしゃるんです?」
「何ってそりゃあ、見て分かるだろ? サオリたんとのデートだぜ!」
「……サオリたんっていうのは、その抱き枕の事かえ?」
「当ったり前だろぉ? 平民共に魅せ付けてやろうかと思ってよ。俺様とサオリたんのラブカーニバルをよォ……」
 当然、とばかりに胸を張るジャック。ノノトトと火々弥の目が虚ろになっていく。
 これアレだ。自由の鐘以上に拗らせてて厄介なやつだ……!!
「して、何故おぬしは服を着ておらぬのかえ?」
「分かってねぇなぁ! 俺様の筋肉が最高級の一張羅だぜ?」
 確かにジャックの筋肉は張りがあって逞しくて美しい。美しいけどこれは……。
 止める気力も失って死んだ魚の目になる火々弥とノノトト。
 そこにすたすたと歩いてやってきたのは巨大なユグディラ……いや、ユグディラの着ぐるみを着たチョココ(ka2449)。
 ジャックを見上げると、目を丸くする。
「全裸で抱き枕持ってるですの! わたくし知ってるですの! 変態っていうですの!」
「あー。それを言ってやるなチョココよ」
「何でですの? 真実は常に一つですの!」
「うるせえ! 変態扱いすんじゃねぇっ!!」
「痛いっ。ぼく胸が痛いよジャック様ああああ!!」

 チョコディラの無邪気な一撃!
 ノノトトとジャックは 心に200のダメージを受けた!

「いいから君はチューダを連れて逃げて!」
「で、でも……!」
「女の子がこんな目に遭って良い訳ないだろ!? ここは俺が食い止めるから!」
「わ、分かった!」
「ヨルル! 無事でいるのですよ!」
「俺はヨルムガンドだよ!」
 チューダを抱えて走り去る鈴太郎を見送ったヨルムガンド。
 ――良かった。きちんと女の子と幻獣王を守れたし、これで彼女も褒めてくれるに違いない……。
「女の子を守る騎士様ってか! イケメンがムカつくなー!」
「あ、あ……ごめんなさい。許して……」
「うるせえ! お前ら剥いちまえ!」
 涙目で震えながら許しを請う彼。その姿が被虐心をそそったのか、団員達は容赦なく遅いかかり……。
 次々と剥かれていく服。
 ヨルムガンドは着やせをするタイプであるらしい。腰は細いが筋肉がしっかりとつき、厚みのある胸板も露わになって……。
「ひっ!? や、やだ、足だけは駄目……! み、見ないで……! お願いします……何でもするから!」
「そういわれると見たくなるんだよなぁーー!」
 ブーツに手をかけられ、響き渡るヨルムガンドの悲鳴。
 そこを走り抜ける魔導トライク。彼を襲う団員達を蹴散らしながら突っ込んできて――。
「何……へぶぅっ!?」
「はいっ! 自由の鐘の皆さん! 狼藉はそこまでですよっ!」
「何だ貴様は!」
「私はミニスカサンタ仮面! モノトーン教会の鐘に代わっておしおきします!」
 ミニスカのサンタドレスに仮面をつけてビシィ! っとポーズを決める美少女。
 説明しよう! アシェ-ル(ka2983)はモノトーン教会の鐘の加護を受け、ミニスカサンタ仮面に変身するのだ!!
「ヨルムガンド! 無事か!?」
「うわあああん! 怖かったよおおおお!!」
「自由の鐘なんざどうでもいいが、これはスルーできねえ! もう大丈夫だからな……!!」
 泣くヨルムガンドにバスタオルをかける鈴太郎。そうしている間も、ミニスカサンタ仮面と自由の鐘のにらみ合いが続く。
「モノトーン教会の鐘の使者だと……!? と言う事は我らの敵だな!? 構わん! やってしまえ!」
「私に勝てると思っているのですか? 甘いですね……! ラヴィーネ先生! お願いします!」
「やれやれ。やっと出番か。長かったな」
 バイクの後ろから降り立ち、キョロキョロと周囲を見渡すラヴィーネ・セルシウス(ka3040)。
 自由の鐘の団員達一人一人をまじまじと見て、あっ! と声をあげて駆け寄る。
「ここにいたのか。探しても見当たらないから先に戻っているのかと思ったぞ」
「へっ? ええ……?」
「ほら、子供達も待ってるし、お土産を持って早く帰ろう」
 団員の腕に己の腕を絡めるラヴィーネ。
 ポカーンとする団員を他所に、周囲が一気に殺気立つ。
「貴様、妻子持ちだったのか!?」
「……!? 違う! 誤解っすよ!!」
「ではその女は何だ!」
「俺もこの女子、今日初めてあったっすよ……! いや付き合えるならぜひお願いしたいっすけど!!」
「おのれ! 裏切り者め!」
 つるっと本音が漏れた団員。自由の鐘の団員達が怒りに身を任せて襲いかかる。
 自由の鐘は聖輝節の孤独を恐れ、その恐怖を嫉妬の炎に換えて活動している。
 つまり、自由の鐘の団員達もぶっちゃけ恋人が欲しいのだ。
 独り身だと思っていた仲間が実は妻子持ち……リア充だと分かったら、嫉妬の炎の燃え上がりっぷりは最たるものとなる。
 ――まあ、この場合はラヴィーネの罠だったのだけれど。
「面白いくらいに罠にハマってくれましたね……」
「これならチューダとのデート再開しても良さそうだな……」
「まあ、こういう行動原理を持つ者達の制御はしやすいからな」
 笑うミニスカサンタ仮面に素晴らしいスルー力を発揮する鈴太郎。さっさと離脱したラヴィーネが頷き返す。
 そこに数人の男を連れたエルバッハがやって来た。
「ミニスカサンタ仮面。自由の鐘の団員の殆どの制圧は終わっていますよ」
「わぁ! ありがとうございます! でもどうやって……?」
「簡単な事ですよ。ちょっと色仕掛けを……」
「俺は、姫に愛を捧げて生きると誓ったのです!」
「姫の役に立てば、愛を与えて下さると……!」
「俺、姫とデートしたいです……!」
 エルバッハを見つめる団員達の目が完全にハートマークである。
 わあ。こいつら何ていうか。チョロい。
 ミニスカサンタ仮面は心配になって、エルバッハに耳打ちする。
「……何かデートするとか言ってますけど、そんな約束しちゃって大丈夫なんですか?」
「デート? そんな約束していませんよ」
「えっ。それじゃ……」
「誤解を訂正していない。ええ、それだけですよ」
 にっこりと笑うエルバッハ。わぁ! この子悪女の素質ありますよ!
「貴方達。残りの団員の捕縛に努めて下さいな」
「「「はいっ! 姫様の為に!!」」」
 エルバッハの号令に、彼女を姫と崇める団員達がいそいそと行動を開始する。


「もう良い。おぬしたちは十分に努力した。もう止めるのじゃ」
「火々弥さん! 何で止めるんですか!?」
「そもそもよく考えてみるがよい。ただでさえ恋人なり夫婦なりで気分が盛り上がっとる男女から身包み剥いだら、余計盛り上がるじゃろうが」
 火々弥の指摘に目が虚ろになる団員達。
 目の前では、ざくろ達による酒池肉林が繰り広げられていた。
 ……というか、魔神ドウニデモナーレが一方的に仲間達を襲っていた訳ですが。
「巴、相変わらず胸大きいわねぇ」
「ちょっ……どこ触ってるんですか……っ!」
「やだー! 金糸雀さんったらこんな大きな胸隠し持ってるんじゃない! 何で隠してるの? 勿体ないわー!」
「あっ。あっ。ダメです……!」
「サクラは相変わらずお肌すべすべねえ」
「ちょっ。アルラウネさん! ここはお仕置きを……ふぁ!?」
「ソティスさんも脱いだらすごいタイプか! いいなあ形の良い胸!!」
「こらこら。何をしておるか。まあ受けて立つがな!」
「颯ちゃんは……いやーん。小柄なのに胸大きいとかギャップがいいわあ! 戦装束の日焼け跡がセクシーじゃない!」
「お姉様! そんな事してる場合じゃないですの! ざくろさんが死にかけてますの!」
 ふと見ると、ざくろが不自然に前屈みになり、滂沱の鼻血を流しながらピクピクしている。
 目の前の光景に超反応しているだけなのだが、颯は敵襲の為だと思ったらしい。
 彼女は嫉妬に狂った不届きな集団に、制裁を加えるべく立ち上がる――!
「びりびり電撃どりる!!」
 彼女の一撃で吹っ飛ぶ団員達。やけに鼻血を流しているものが多いのは……仕方ないですね。
 

「黒の夢。大事ないか……?」
「うん。平気なのな。……バターちゃん。もうちょっと手加減してあげても……」
「……追いはぎかと思ったんだが。……違うのか?」
 襲ってきた一団を瞬く間に制圧したバタルトゥに苦笑を返す黒の夢。
 剥かれた姿を激写しようと思っていたのに……。
 まあ、ところどころ剥けてるし、これはこれでいいかもしれない。
 でも、彼がこういう行動を取ったのも、同行している自分を守る為だったのだろう。
 そう考えると、自然と頬が緩む。
「バターちゃんに喧嘩売るなんて無謀にも程があるのな」
「しかし、我々はリア充を殲滅せねば……!」
「それがこの結果なのなー? きちんと相手を見て喧嘩売るのな」
 人差し指を立ててめっ! と叱る彼女。
 返す言葉もなく、地面に正座させられている一団を見て小さくため息をつく。
「……愛に飢えた可哀想な子達。こっちへ来るのな」
 団員を引き寄せ、抱きしめる黒の夢。
 彼女のもちもちでふわふわな肌。柔らかな胸が寂しい男を包み込む。
「黒の夢……。あまり甘やかすな……」
「ちょっと愛をあげるだけなのな。……あ、バターちゃんヤキモチ妬いてるのな? 大丈夫なのな。バターちゃんには後でイイコトしてあげるのな」
「……謹んで遠慮する」
「もー。バターちゃんったら恥ずかしがりさんなのな」
 ツレないバタルトゥにうふふと笑う黒の夢。
 その間も、団員は彼女の柔らかな胸に顔を埋めて至福の表情を浮かべていて……。
「姐さん、俺達にもお願いします……!」
「はーい。順番なのなー」
「女神様だ! これぞ幸せの再分配だ……!」
 感涙に咽ぶ団員達。
 ――そして黒の夢の前には、行列が出来始めていた。


「剥いて欲しいですわー……この甘栗。一人じゃ大変ですの。皆さん剥くのがお好きなんでしょう?」
 捕縛された団員達とノノトトは剥かれた上に正座させられ、チョコディラが山のように担いで来た甘栗の皮むきをさせられていた。
 ちなみにこれは、彼女のペットであるキューソと共に食べるつもりらしい。
 ある意味リア充からの『愛の再分配』であるのかもしれない。すげえ切ないけど。
「ううう。何でこんな事に……!」
「……独り身ってそんなに寂しいですの? わたくし、よく分からないけど、頭を撫でてあげますのー」
「うわああああん!! 寂しいよおおおお!」
 着ぐるみに頭を撫でられて泣き叫ぶ団員達。素直な優しさが心に沁みる。
「何でぼくがこんな目に遭ってるの……!? 何もしてないよね!」
「人の服を剥くのは変態ですの。変態に協力するのは罪ですのよ」
 ノノトトの訴えをチョコディラがズバッと切り捨てた。

 ノノトトは 心に1000のダメージを受けた!
 ノノトトは 倒れた!

「あーあ。派手に剥かれたね、ソル……」
「まあしゃーねえな。って、ルース、下着も女物なのか?」
「へっ? これは本格的にやろうと思ったからで……って、まじまじ見るな馬鹿っ!」
「律。お前を傷つけるものは全て成敗した。安心しろ」
「う、うん。……きょーや、大丈夫?」
 カップル達がこんなやり取りをしている間も、吹きすさぶ風。
 ――コネを最大限利用して、サオリたんの為に最高級レストランを予約していたジャックだったが『ドレスコードが当店に見合わない』という事で門前払いを受けていた。
 そりゃ、バスタオルと抱き枕のみで最高級レストランはね。ないわー……。
「サオリたん……。今日の俺様はお前だけのモノだ、ZE☆」
 レストランの前で呟くジャック。やっぱりサオリたんは何も答えず――。

 ジャックは 心に1000のダメージを受けた!
 ジャックは 倒れた!

 こうして、リゼリオを襲った自由の鐘はほぼ自滅に近い形で撃退された。
 だが、これが最後の自由の鐘ではない。
 聖輝節が終わる時まで、ハンター達の戦いは続く!

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MVP一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオンka2434
  • 銀と碧の聖導士
    ラヴィーネ・セルシウスka3040

重体一覧


  • ノノトトka0553
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴka1305

参加者一覧

  • 母親の懐
    時音 巴(ka0036
    人間(蒼)|19才|女性|疾影士
  • 黒竜との冥契
    黒の夢(ka0187
    エルフ|26才|女性|魔術師

  • ノノトト(ka0553
    ドワーフ|10才|男性|霊闘士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • White Wolf
    ソレル・ユークレース(ka1693
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 道行きに、幸あれ
    リュンルース・アウイン(ka1694
    エルフ|21才|男性|魔術師
  • びりびり電撃どりる!
    八劒 颯(ka1804
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 光森の太陽
    チョココ(ka2449
    エルフ|10才|女性|魔術師
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 銀と碧の聖導士
    ラヴィーネ・セルシウス(ka3040
    人間(紅)|20才|女性|聖導士

  • 火々弥(ka3260
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 甘えん坊な奥さん
    アルラウネ(ka4841
    エルフ|24才|女性|舞刀士

  • ヨルムガンド(ka5168
    人間(紅)|22才|男性|猟撃士
  • 仁恭の志
    綿狸 律(ka5377
    人間(紅)|23才|男性|猟撃士
  • 律する心
    皆守 恭也(ka5378
    人間(紅)|27才|男性|舞刀士
  • スライムの御遣い
    藤堂 小夏(ka5489
    人間(蒼)|23才|女性|闘狩人
  • 凶悪カエル討伐隊
    墨城 緋景(ka5753
    鬼|20才|男性|符術師
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎(ka6016
    人間(蒼)|22才|女性|格闘士
  • 風と踊る娘
    通りすがりのSさん(ka6276
    エルフ|18才|女性|疾影士
  • 弾ける砲弾
    金糸雀(ka6409
    エルフ|16才|女性|霊闘士
  • 白狼は焔と戯る
    ソティス=アストライア(ka6538
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
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2016/12/01 23:53:55