ゲスト
(ka0000)
【CF】クリスマスモニュメントを守れ
マスター:君矢

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/14 19:00
- 完成日
- 2016/12/22 16:22
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
叶わぬ想い。
それは十分理解している。
それでも願わずには居られない。
あの人と――ほんの一時で良い、共に夜を過ごせれば……。
●
冒険都市リゼリオにも冬の足音が近づいている。
朝の冷え込みは徐々に厳しく、潮風に冷気が乗る頃には『あのイベント』の空気が街を支配し始める。
教会の鐘――このリゼリオ郊外には恋人達に有名な教会が存在する。
モノトーン教会にある鐘は聖輝節の夜に鳴らされる決まりがあるのだが、その鐘を二人きりで聞いた恋人は永遠の愛を約束される言い伝えがあるのだ。
その昔、結婚を前にした男女がふとしたミスから指輪を海へ落としてしまった。
女性が母親から譲り受けた指輪を落とした男性は女性にお詫びをするが、女性は『海の神様の前で結婚を誓ったと思って諦める』と男性を慰めた。
二人は指輪だけでは海の神様も困るだろうと祝い酒やブーケも海に流す。すると、重いはずの鐘が海から浮かび上がってきた。鐘を調べると中には落としたはずの指輪。二人は指輪を取り戻すと同時にお互いの愛を確かめ合う事ができたという。
この伝説が本当か嘘か。
それは恋人達にも分からない。
ただ、大切なのはその鐘が鳴り響く時、傍らに愛する者がいるかどうかだ。
愛を確かめ合う日――聖輝節の到来は、もう間もなくだ。
●
「さて、このまま真っ直ぐ帰るのはつまらないわね。せっかくリゼリオまで来たのだから色々巡ってみるのもいいかもしれないわね」
ピースホライズンにアトリエを構える女流芸術家ルイーズ・ミュンターは冒険都市リゼリオに滞在していた。
リゼリオのある商店街から、商店街の前にある広場に聖輝節のモニュメントを設置し聖輝節の期間の客寄せの目玉にしたいからとモニュメント制作を依頼されて、同地に滞在し作品の制作を行っていたのだった。
つい先ほど作品を完成させ、作り上げた高揚感を感じながら宿泊中のホテルのカフェでお茶を飲みつつこれからの予定を考えている。
「た、大変です!」
静かなカフェに男性が騒々しく走り込んできた。お茶を楽しむひと時を邪魔されたことにムッとしながらも、呼ばれたからには返事をする。
男性は、ルイーズをこの地に呼んだ商店街の聖輝節準備係の男性だった。
「どうしたのですか? そんなに慌てて」
「じ、自由の鐘が!」
「自由の鐘? 何ですかそれは」
「最近、リゼリオの街を騒がせている連中です! そいつらが、モニュメントを破壊しようと!」
「なんですって!!」
話を聞いたルイーズは、ホテルから走り出す。
モニュメントは海沿いの道のテラス広場に設置されていた。
テラスは、半円状でクリスマスツリーを中心にリゼリオの街の伝説「モノトーンの潮鐘」をモチーフにしたモニュメントが多数設置されていた。
カップルや家族連れが散策できるようにと作品と作品の間は、空間を確保して遊歩道のようになっている。
ルイーズがテラス広場に到着してみると、自由の鐘のメンバーらしき男たちがハンマーを片手にモニュメントを破壊しようとしていた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ! 私の力作がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ルイーズの絶叫がリゼリオの街にこだました。
ルイーズは破壊をやめさせようと広場に飛び出すと、彼女めがけてケーキが飛んできた。ケーキは見事に顔面に命中し、ポロリと落ちる。ルイーズの顔は生クリーム塗れだ。
そして、ケーキを投げている団員の他に大量のペンキ缶の蓋を開けモニュメントや周辺の建物にペンキをぶちまけている。
「ふはははは! 我々、自由の鐘はカップルが幸せになることなど許さないのだ! カップルがいちゃつくためのモニュメントなど破壊してくれるわ! わはははははは!」
自由の鐘の一員らしい男が、モニュメントを破壊している団員たちを背後に高笑いをしている。
「私の作品に何晒してくれるんじゃぁぁぁぁぁぁ!」
怒りに満ちたルイーズは生クリームを顔にくっつけたままダッシュで男に駆け寄ると右アッパーを繰り出し、男を地に沈めたのだった。
「恋人たちの憩いの場なんか! 滅茶苦茶にしてやるぅぅ!」
「ケーキなんか、ケーキなんか、一人で食っても旨くねぇんだよぉ!」
「クリスマスカラーなんか滅んじまえ! ほーら、もっと素敵な色になりましたよー、だ!」
自由の鐘メンバーたちは口々に聖輝節やリア充たちへの呪詛を吐き出しながらペンキをぶちまけ、ケーキで通行人を襲い、モニュメントを破壊していく。
「作品が壊されるぅ」
団員達はモニュメントの破壊をなおも続けている。
「早くあいつら退治しなきゃ!」
と言って、錯乱しているルイーズが自由の鐘に突撃しようとするのを騒ぎを聞きつけて集まった人々に止められている。その間も、団員たちはモニュメントを殴りつけ、ケーキを投げ、ペンキを撒き散らし広場はひどいありさまだった。
「危ないですよ! ルイーズ先生!」
「このままじゃ、作品が破壊されちゃうじゃない! 私の大事な作品がぁぁぁ」
「ハンターに頼みましょう。そうしましょう、ね。先生。落ち着いてください!」
それは十分理解している。
それでも願わずには居られない。
あの人と――ほんの一時で良い、共に夜を過ごせれば……。
●
冒険都市リゼリオにも冬の足音が近づいている。
朝の冷え込みは徐々に厳しく、潮風に冷気が乗る頃には『あのイベント』の空気が街を支配し始める。
教会の鐘――このリゼリオ郊外には恋人達に有名な教会が存在する。
モノトーン教会にある鐘は聖輝節の夜に鳴らされる決まりがあるのだが、その鐘を二人きりで聞いた恋人は永遠の愛を約束される言い伝えがあるのだ。
その昔、結婚を前にした男女がふとしたミスから指輪を海へ落としてしまった。
女性が母親から譲り受けた指輪を落とした男性は女性にお詫びをするが、女性は『海の神様の前で結婚を誓ったと思って諦める』と男性を慰めた。
二人は指輪だけでは海の神様も困るだろうと祝い酒やブーケも海に流す。すると、重いはずの鐘が海から浮かび上がってきた。鐘を調べると中には落としたはずの指輪。二人は指輪を取り戻すと同時にお互いの愛を確かめ合う事ができたという。
この伝説が本当か嘘か。
それは恋人達にも分からない。
ただ、大切なのはその鐘が鳴り響く時、傍らに愛する者がいるかどうかだ。
愛を確かめ合う日――聖輝節の到来は、もう間もなくだ。
●
「さて、このまま真っ直ぐ帰るのはつまらないわね。せっかくリゼリオまで来たのだから色々巡ってみるのもいいかもしれないわね」
ピースホライズンにアトリエを構える女流芸術家ルイーズ・ミュンターは冒険都市リゼリオに滞在していた。
リゼリオのある商店街から、商店街の前にある広場に聖輝節のモニュメントを設置し聖輝節の期間の客寄せの目玉にしたいからとモニュメント制作を依頼されて、同地に滞在し作品の制作を行っていたのだった。
つい先ほど作品を完成させ、作り上げた高揚感を感じながら宿泊中のホテルのカフェでお茶を飲みつつこれからの予定を考えている。
「た、大変です!」
静かなカフェに男性が騒々しく走り込んできた。お茶を楽しむひと時を邪魔されたことにムッとしながらも、呼ばれたからには返事をする。
男性は、ルイーズをこの地に呼んだ商店街の聖輝節準備係の男性だった。
「どうしたのですか? そんなに慌てて」
「じ、自由の鐘が!」
「自由の鐘? 何ですかそれは」
「最近、リゼリオの街を騒がせている連中です! そいつらが、モニュメントを破壊しようと!」
「なんですって!!」
話を聞いたルイーズは、ホテルから走り出す。
モニュメントは海沿いの道のテラス広場に設置されていた。
テラスは、半円状でクリスマスツリーを中心にリゼリオの街の伝説「モノトーンの潮鐘」をモチーフにしたモニュメントが多数設置されていた。
カップルや家族連れが散策できるようにと作品と作品の間は、空間を確保して遊歩道のようになっている。
ルイーズがテラス広場に到着してみると、自由の鐘のメンバーらしき男たちがハンマーを片手にモニュメントを破壊しようとしていた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ! 私の力作がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ルイーズの絶叫がリゼリオの街にこだました。
ルイーズは破壊をやめさせようと広場に飛び出すと、彼女めがけてケーキが飛んできた。ケーキは見事に顔面に命中し、ポロリと落ちる。ルイーズの顔は生クリーム塗れだ。
そして、ケーキを投げている団員の他に大量のペンキ缶の蓋を開けモニュメントや周辺の建物にペンキをぶちまけている。
「ふはははは! 我々、自由の鐘はカップルが幸せになることなど許さないのだ! カップルがいちゃつくためのモニュメントなど破壊してくれるわ! わはははははは!」
自由の鐘の一員らしい男が、モニュメントを破壊している団員たちを背後に高笑いをしている。
「私の作品に何晒してくれるんじゃぁぁぁぁぁぁ!」
怒りに満ちたルイーズは生クリームを顔にくっつけたままダッシュで男に駆け寄ると右アッパーを繰り出し、男を地に沈めたのだった。
「恋人たちの憩いの場なんか! 滅茶苦茶にしてやるぅぅ!」
「ケーキなんか、ケーキなんか、一人で食っても旨くねぇんだよぉ!」
「クリスマスカラーなんか滅んじまえ! ほーら、もっと素敵な色になりましたよー、だ!」
自由の鐘メンバーたちは口々に聖輝節やリア充たちへの呪詛を吐き出しながらペンキをぶちまけ、ケーキで通行人を襲い、モニュメントを破壊していく。
「作品が壊されるぅ」
団員達はモニュメントの破壊をなおも続けている。
「早くあいつら退治しなきゃ!」
と言って、錯乱しているルイーズが自由の鐘に突撃しようとするのを騒ぎを聞きつけて集まった人々に止められている。その間も、団員たちはモニュメントを殴りつけ、ケーキを投げ、ペンキを撒き散らし広場はひどいありさまだった。
「危ないですよ! ルイーズ先生!」
「このままじゃ、作品が破壊されちゃうじゃない! 私の大事な作品がぁぁぁ」
「ハンターに頼みましょう。そうしましょう、ね。先生。落ち着いてください!」
リプレイ本文
自由の鐘メンバーがテラス広場で暴れているという依頼を受けて六人のハンターたちがリゼリオの街を走っていた。
「とにかく広場から離れるように逃げるんだ!」
ロニ・カルディス(ka0551)はペンキやケーキで汚れ泣きながら逃げてくるカップルや家族連れに呼びかけ走る。
「自由の鐘の破壊活動の種類に合わせて分担して鎮圧しよう」
ロニたちは移動しながら今一度作戦を確認しあっていた。
「商店から強奪された物は、可能な限り回収して店に返すようにしよう」
ロニが基本方針を確認する。
「ケーキはあたし達だね。……自由の鐘……一度は手を貸したけど、中立の立場である商店に手を出すようじゃあ駄目だね。これじゃただの犯罪組織さ。ちょっとお仕置きしなくちゃね。……まあ、元からろくでもない組織だったけど」
「おう、まかせろ。嫉妬するのも解からなくはないが、迷惑掛けるなよと。あと食い物のを粗末にしている奴は後悔させてやる」
セレス・フュラー(ka6276)と残波源弥(ka2825)。
「モニュメントは私達ですね」
「皆が楽しく過ごしている中独り身なのは寂しい……まあ、百歩譲ってここまでは分かるよ……でだ。こいつらは何の権限があって人様が丹精込めて作ったモノに危害加えてんだ……?」
エルバッハ・リオン(ka2434)と久延毘 羽々姫(ka6474)。
「ペンキはあたしとロニさんだね。ここは確かに『カップル向け』だけど、独り身がダメではないのよ」
「妬ましく思うのは個人の自由だが、それを理由に暴れるのはいただけないな」
リリア・ノヴィドール(ka3056)とロニがそれぞれ分担する。
そうやって走るうちに現場となっているテラス広場が見えてきた。テラス広場ではハンマーを持った男たちがモニュメントをガンガンと打ち壊す音が響き、ケーキやペンキを抱えた男たちが通りかかったカップルめがけて投げつけるという阿鼻叫喚な光景を生み出していた。
ケーキを通行人に投げつけている男たちに対応するセレスと源弥。
「基本方針はずばり……色仕掛け! 唸れあたしの口先三寸と演技とナンパスキル! あたしも独身だけどね!」
とセレス。
「なら源弥は暴力担当だな。食べ物を粗末にしている奴らに容赦はいらねぇ。暴力で鎮圧してやるぜ」
拳をパンッと鳴らしながら源弥が言った。一応、相手は一般人なので手加減をするつもりだが半殺しは確定だった。
セレスはごく普通に歩きながら男たちに近づいて言葉での説得を試みた。
「ねぇ、みんなこんなことはやめ……」
「うるせー! 男と歩く女は敵だ!」
鼻息荒くケーキを持った男がセレスめがけてワンホールのショートケーキを投げつけた。避けられる攻撃をセレスはわざと避けなかった。
ケーキはセレスに命中し、セレスの服を白く汚す。わざと避けなかったケーキ。これも仕込みである。
避けもせず取り乱しもせずに平然と歩くセレスにケーキを投げつけた男はあっけにとられたのか投げたポーズのまま固まっている。男に近づいたセレスはしなだれかかって体を密着させた。男にも生クリームがくっつくが、男はそれどころではない。近づいてきたセレスに視線は釘付け、ハァハァと鼻息が荒くなる。
「いい男じゃない。こんな馬鹿馬鹿しいことしてるにゃ勿体無い、あたしと遊ぼうよ」
「は、はぃ」
顔を真っ赤にした男は相手が自分たちを鎮圧しに来たハンターだということを忘れてのぼせている。
「あら、やだ」
セレスはここで初めて生クリームに気が付いたというように胸の谷間にある白い生クリームを指で掬い取ると男の口に近づけた。
「汚れちゃったからさ、君が綺麗にしてよ。なんなら舐め取ってくれてもいいんだよ……?」
セレスは心の中で「マジで舐めてくる。我慢我慢」と平常心を保つのだ。と念仏を唱えるようにして現状を我慢しているがそれは表情に出さない。表情はあくまでも優しく蠱惑的に男を誘惑している。
当の男は美女が自分にしなだれかかり胸には生クリーム。口元には白く汚れた指! という現実に頭が追い付かなかったのか「幸せ……」とつぶやいて気絶してしまった。
「あらやだ。やりすぎちゃったかな」
ガクッと気絶した男にセレスは呆気にっとられてしまった。
「あいつだけうらやまし、いや、助けなければ!」
本音を隠しきれていないケーキを持った男たちはセレスを標的にケーキを構える。
「盗んできたケーキで、こういうことするなよ。やるなら自分で作って持参しろ」
と言いながら、男たちを源弥は試作型特殊合金製ロッドで正面から殴り倒していく。
突然、視界に現れた源弥に男たちはケーキを投げて抵抗を試みようとするが所詮は一般人。源弥に反撃も避けることもできずにボコボコにされたしまった。
ボロボロになった男たちを容赦せずに、源弥はロープで縛って拘束すると、顔をつかんで無残にも地面に落ちてしまっているケーキに近づけた。
「粗末にしたケーキ、全部食べろよ。あとケーキ屋に謝りに行け」
「落っこちたケーキなんて食べりゃれない……」
口元を赤く腫らしながらモゴモゴと言い訳を訴える男たちに、今度は源弥は海側の柵に引っ張っていく。
「この時期の海水は結構冷たいよな」
と言って男たちを柵の外に吊るした。
「ひえぇぇぇ」
打ち寄せる波しぶきが男たちに襲い掛かる。
「海水とケーキ、どちらにする」
と静かな口調で決断を迫る源弥は食べ物を粗末にした男たちに対する怒りに満ち溢れていた。
「ケーキ食べます。食べさせてください。許してください!」
と男たちは口々に叫んだ。源弥は腕を組んだまま男たちを見ている。
「ケーキ屋に謝りにいくな」
「行きます! きちんと謝ります!」
男たちが叫びながら誓ったことで、源弥はようやく男たちを柵から解放したのだった。
モニュメントを破壊しようとしている自由の鐘メンバーを鎮圧するためエルバッハと羽々姫はテラス広場に入っていた。
「ルイーズさんに沈められたというメンバーを使うとしましょうか」
エルバッハはルイーズに殴られて地面に沈んでいるメンバーに近づいた。気絶している男をロープで拘束してから揺さぶって起こすことにする。
エルバッハは自由の鐘のメンバーを鎮圧するだけだと同じことを繰り返しそうなので、彼らが今後、団結できないように信頼関係を破壊しようと考えていた。
エルバッハは今日、改造した露出の高いドレス「カプリチョーザ」を身に纏っていた。
「暴れてるとは言え相手はあたし達ハンターとは違う一般人だ。怪我人が出ないに越した事は無い」
羽々姫もハンマーを振り回している男たちを止めるために男たちに近づいた。男たちは口々にモテないひがみを叫びながら、モニュメントを痛めつけていた。
「はい、起きてくださいね」
「う、うぇ」
エルバッハに起こされた男は、自分の置かれている状況がよく分からなかった。頭は痛いし身動きは取れないし何よりも目の前には露出の高い美少女が自分をまたいで立っている。何もかもが、今までの自分の状況と違いすぎてよく分からない。
「私のお願いを聞いてもらえませんか。聞いてくれるなら、いいことをしてあげますよ」
と目の前の美少女エルバッハは露出の高いドレスの胸の大事なところが見える限界まで引っ張りながら色っぽい声で男を誘惑しにかかった。
それ以上引っ張ると見えてしまいます。困ります。と男は思いながらも目は見えるか見えないかギリギリのラインを凝視している。
「ねぇ、どうしますか。協力してくれますか?」
「は、はい。協力します……」
「それではお願いしますね」
羽々姫はハンマーを持って破壊活動をしている男たちに向かいながら考えた。
自由の鐘とやらのメンバーは全員……言っちゃなんだがモテない男で、あたしは曲がりなりにも女だ……。
ここは色仕掛けしかないと羽々姫は思った。正直自信無いしやった事も無いけど色仕掛けでもしてみようかね。他の女性陣もやるみたいだしさ。
ちらりと視線をすでに男を誘惑しにかかっているエルバッハやセレスを見た。あそこまでやれる自信はないが……。
「え、えと……。こうすんのかな」
羽々姫はモニュメントをぶったたいている男たちに「ねぇ、あんたたち」と声をかける。しなを作り、着物をはだけさせる。
「ねえあんた達……。そんな滅多な事してないで、ちょっとあたしと遊びなよ、ほらああ……」
「おお……!」
羽々姫の渾身の色仕掛けに男たちからどよめきが上がる。「色っぽいなぁ」などと口々に言いながら破壊する手を止めて、喝采を送っている。
「うう、このあとどうしよう……」
しなを作り色っぽさを演出したのはいいものの、羽々姫はこのあとの行動に迷っていた。もういっそ、物理的な鎮圧をしてしまおうか。慣れないことをするよりもその方がずっと早そうだ。
その時、色気で篭絡したメンバーの手を引いてエルバッハが羽々姫の隣に並ぶとそのメンバーに抱き着いた。
「暴れるのはやめてくれませんか。やめてくれれば、いいことをしてあげますよ」
とエルバッハは抱き着いた男に寝返りを誘う文句を言う。その声は色っぽいながらも大きく他のメンバーにも十分聞き取ることが出来た。
エルバッハは男を抱きしめながら蠱惑的な視線を他の男たちに送り残った四人のメンバーの嫉妬心をあおる。
「いいなぁ」
「ずるいぞ!」
「オ、オレも……」
とメンバーたちがエルバッハの流し目に釘付けの中、一人だけ理性を保っている男がいた。
「あれは罠だ。俺たちがモテるもんか! 裏切者に制裁しなければ!」
と言う男につられて誘惑されかかっている男たちにも理性が戻りかけた。
「それじゃ、しかたないね」
エルバッハの誘惑が解けてしまったとみた羽々姫は男たちとの距離を詰めハンマーを叩き落して破壊手段を無効化する。
続けて突然の戦闘状態の羽々姫に呆然としている男たちに当身を食らわせて次々と気絶させていった。
それをみたエルバッハは、抱き着いていた男をスリープクラウドで眠らせると再び拘束した。
「うう……やっぱ慣れない事はするもんじゃなかった……!」
全ての男を気絶させた羽々姫は言った。
ペンキ缶を持った男たちが、通りを逃げるカップルたちに向かってペンキをぶちまける。空になった缶を投げ捨て、次の中身の詰まった缶を持ち上げようとしたときだ。
リリアが絶火槍「クルヴェナル」を缶の取っ手めがけて投擲し、取っ手を地面に縫い付けた。突如、飛来した巨大な槍に男はビビッて後ろによろける。狼狽えた男は何か武器になるものはないかと別のペンキ缶を持ち上げようとする。
リリアはランアウトで移動速度を上昇させると男との距離を一気に詰めて新しいペンキ缶を持つのを阻止するように立ちはだかる。ペンキ缶は盗品だ、なるべく新品のまま返したいとリリアは思っていた。
ここからが本番ね。と、リリアは呼吸を整える。い、色仕掛けで懐柔なのよ! と自分を鼓舞して勢いをつけると男に近づいた。
「ねぇ、お願いがあるの」
男の腕を取り、豊かな胸に押し付けるように全身で絡めとる。自然と男の顔も近くなり顔色が真っ赤に染まっていく様子がつぶさに観察できた。
リリアは上目づかいで交渉を始める。こうした種類の実戦経験はないものの、一応嗜んではいのだ。
リリアはペンキ缶を持った男たち全員を落とすつもりで、気合を入れて今実戦に臨んでいる。
多少のおさわりはこの際目をつむろうと自分に言い聞かせるリリアだった。
「こんなペンキをまき散らすなんてことはやめにして別の事しようなの」
「は、ははい。別の事でしゅか……」
リリアの上目づかいに甘い声で男は頭に血が上ってしまったのか呂律が回っていなかった。
ロニは、リリアの色仕掛けに注目している男たちに気が付かれないように死角を選んで移動し背後に回り込んでいく。
「おい、お前だけズルいぞ!」
「俺と変わってくれ!」
「お前、裏切るのか」
リリアの胸に腕を取られて鼻の下を伸ばし切っている男に仲間だったはずの男たちはブーイングの嵐。
「妬ましく思うのは個人の自由だが、それを理由に暴れるのはいただけないな」
そんな男たちの死角に入り込むとロニは素朴な雰囲気の杖スタッフ「ケレース」を振るって男たちの足を払い転倒させる。
「うぎゃぁ」
と男たちが悲鳴を上げる。
ロニは男たちを見下ろしながら続けて拳を顎に打ち込んで昏倒させる。
「逃がしはしないぞ」
運よく足払いから逃げられた男に向かってロニはジャッジメントを放つ。光の杭を打ち込まれた男は縫い付けられたように動けなくなってしまった。
さすがにハンター相手に立ち向かう勇気のある男はいなかったらしい。四人を無力化することが出来たロニは男たちを動けないように拘束した。
抵抗されたときのために、シールドバッシュを用意していたロニだったが、出番はなかったようだ。
リリアはエルバッハや羽々姫、セレスの行動を視界の端で色仕掛けの参考にしようとしていた。もっとくっ付いてみるべきなのかな?
しかし、男は鼻息が荒くなるだけだった。これ以上色仕掛けをしても進展がなさそうだと思ったリリアは隠し持っていた鉄パイプを取り出すと男の頭を殴って気絶させ、ペンキをぶちまけていた男たちを全員拘束したのだった。
「あんた達さあ……」
「だからと言って、商品を強奪していい理由にはならないのよ」
「これは立派な犯罪行為だ。何の罪のない人々が被害にあっている。どう謝罪をするつもりだ」
羽々姫とリリア、ロニが拘束されたメンバーを全員座らせて説教をしている。
「お前たちの身の上が淋しいことはわかる。次の聖輝節には幸せな日を迎えられるようにまずはしっかりと反省することだ。そのためには迷惑をかけた人々や商店街に謝罪をすることだ。俺も一緒に同行するから」
ロニはメンバーたちの淋しい身の上に理解を示しつつも優しく厳しく反省を促している。
「もう良い歳なんだろ? こんな事して恥ずかしくないか? そんなだから独り身なんだろうに……」
呆れたように羽々姫が言った。
「これからも、協力してくださいね?」
エルバッハは色仕掛けに引っかかったメンバーをさらに念入りに篭絡して今後も協力するように仕立てている。
三人が説教をしている後ろで源弥が商店街の人たちやルイーズとともに汚れたテラス広場の清掃をしていた。
「来るのはカップル以外も多いはずだ。奇麗にしないとな」
汚れたモニュメントを拭きながら源弥が言う。
「汚して荒らして回るよりこういったのを作ったり。整えたり出来る方が、モテそうな気がするんだがな」
ちらりと説教をされている自由の鐘メンバーを見ながら源弥入った。
「とにかく広場から離れるように逃げるんだ!」
ロニ・カルディス(ka0551)はペンキやケーキで汚れ泣きながら逃げてくるカップルや家族連れに呼びかけ走る。
「自由の鐘の破壊活動の種類に合わせて分担して鎮圧しよう」
ロニたちは移動しながら今一度作戦を確認しあっていた。
「商店から強奪された物は、可能な限り回収して店に返すようにしよう」
ロニが基本方針を確認する。
「ケーキはあたし達だね。……自由の鐘……一度は手を貸したけど、中立の立場である商店に手を出すようじゃあ駄目だね。これじゃただの犯罪組織さ。ちょっとお仕置きしなくちゃね。……まあ、元からろくでもない組織だったけど」
「おう、まかせろ。嫉妬するのも解からなくはないが、迷惑掛けるなよと。あと食い物のを粗末にしている奴は後悔させてやる」
セレス・フュラー(ka6276)と残波源弥(ka2825)。
「モニュメントは私達ですね」
「皆が楽しく過ごしている中独り身なのは寂しい……まあ、百歩譲ってここまでは分かるよ……でだ。こいつらは何の権限があって人様が丹精込めて作ったモノに危害加えてんだ……?」
エルバッハ・リオン(ka2434)と久延毘 羽々姫(ka6474)。
「ペンキはあたしとロニさんだね。ここは確かに『カップル向け』だけど、独り身がダメではないのよ」
「妬ましく思うのは個人の自由だが、それを理由に暴れるのはいただけないな」
リリア・ノヴィドール(ka3056)とロニがそれぞれ分担する。
そうやって走るうちに現場となっているテラス広場が見えてきた。テラス広場ではハンマーを持った男たちがモニュメントをガンガンと打ち壊す音が響き、ケーキやペンキを抱えた男たちが通りかかったカップルめがけて投げつけるという阿鼻叫喚な光景を生み出していた。
ケーキを通行人に投げつけている男たちに対応するセレスと源弥。
「基本方針はずばり……色仕掛け! 唸れあたしの口先三寸と演技とナンパスキル! あたしも独身だけどね!」
とセレス。
「なら源弥は暴力担当だな。食べ物を粗末にしている奴らに容赦はいらねぇ。暴力で鎮圧してやるぜ」
拳をパンッと鳴らしながら源弥が言った。一応、相手は一般人なので手加減をするつもりだが半殺しは確定だった。
セレスはごく普通に歩きながら男たちに近づいて言葉での説得を試みた。
「ねぇ、みんなこんなことはやめ……」
「うるせー! 男と歩く女は敵だ!」
鼻息荒くケーキを持った男がセレスめがけてワンホールのショートケーキを投げつけた。避けられる攻撃をセレスはわざと避けなかった。
ケーキはセレスに命中し、セレスの服を白く汚す。わざと避けなかったケーキ。これも仕込みである。
避けもせず取り乱しもせずに平然と歩くセレスにケーキを投げつけた男はあっけにとられたのか投げたポーズのまま固まっている。男に近づいたセレスはしなだれかかって体を密着させた。男にも生クリームがくっつくが、男はそれどころではない。近づいてきたセレスに視線は釘付け、ハァハァと鼻息が荒くなる。
「いい男じゃない。こんな馬鹿馬鹿しいことしてるにゃ勿体無い、あたしと遊ぼうよ」
「は、はぃ」
顔を真っ赤にした男は相手が自分たちを鎮圧しに来たハンターだということを忘れてのぼせている。
「あら、やだ」
セレスはここで初めて生クリームに気が付いたというように胸の谷間にある白い生クリームを指で掬い取ると男の口に近づけた。
「汚れちゃったからさ、君が綺麗にしてよ。なんなら舐め取ってくれてもいいんだよ……?」
セレスは心の中で「マジで舐めてくる。我慢我慢」と平常心を保つのだ。と念仏を唱えるようにして現状を我慢しているがそれは表情に出さない。表情はあくまでも優しく蠱惑的に男を誘惑している。
当の男は美女が自分にしなだれかかり胸には生クリーム。口元には白く汚れた指! という現実に頭が追い付かなかったのか「幸せ……」とつぶやいて気絶してしまった。
「あらやだ。やりすぎちゃったかな」
ガクッと気絶した男にセレスは呆気にっとられてしまった。
「あいつだけうらやまし、いや、助けなければ!」
本音を隠しきれていないケーキを持った男たちはセレスを標的にケーキを構える。
「盗んできたケーキで、こういうことするなよ。やるなら自分で作って持参しろ」
と言いながら、男たちを源弥は試作型特殊合金製ロッドで正面から殴り倒していく。
突然、視界に現れた源弥に男たちはケーキを投げて抵抗を試みようとするが所詮は一般人。源弥に反撃も避けることもできずにボコボコにされたしまった。
ボロボロになった男たちを容赦せずに、源弥はロープで縛って拘束すると、顔をつかんで無残にも地面に落ちてしまっているケーキに近づけた。
「粗末にしたケーキ、全部食べろよ。あとケーキ屋に謝りに行け」
「落っこちたケーキなんて食べりゃれない……」
口元を赤く腫らしながらモゴモゴと言い訳を訴える男たちに、今度は源弥は海側の柵に引っ張っていく。
「この時期の海水は結構冷たいよな」
と言って男たちを柵の外に吊るした。
「ひえぇぇぇ」
打ち寄せる波しぶきが男たちに襲い掛かる。
「海水とケーキ、どちらにする」
と静かな口調で決断を迫る源弥は食べ物を粗末にした男たちに対する怒りに満ち溢れていた。
「ケーキ食べます。食べさせてください。許してください!」
と男たちは口々に叫んだ。源弥は腕を組んだまま男たちを見ている。
「ケーキ屋に謝りにいくな」
「行きます! きちんと謝ります!」
男たちが叫びながら誓ったことで、源弥はようやく男たちを柵から解放したのだった。
モニュメントを破壊しようとしている自由の鐘メンバーを鎮圧するためエルバッハと羽々姫はテラス広場に入っていた。
「ルイーズさんに沈められたというメンバーを使うとしましょうか」
エルバッハはルイーズに殴られて地面に沈んでいるメンバーに近づいた。気絶している男をロープで拘束してから揺さぶって起こすことにする。
エルバッハは自由の鐘のメンバーを鎮圧するだけだと同じことを繰り返しそうなので、彼らが今後、団結できないように信頼関係を破壊しようと考えていた。
エルバッハは今日、改造した露出の高いドレス「カプリチョーザ」を身に纏っていた。
「暴れてるとは言え相手はあたし達ハンターとは違う一般人だ。怪我人が出ないに越した事は無い」
羽々姫もハンマーを振り回している男たちを止めるために男たちに近づいた。男たちは口々にモテないひがみを叫びながら、モニュメントを痛めつけていた。
「はい、起きてくださいね」
「う、うぇ」
エルバッハに起こされた男は、自分の置かれている状況がよく分からなかった。頭は痛いし身動きは取れないし何よりも目の前には露出の高い美少女が自分をまたいで立っている。何もかもが、今までの自分の状況と違いすぎてよく分からない。
「私のお願いを聞いてもらえませんか。聞いてくれるなら、いいことをしてあげますよ」
と目の前の美少女エルバッハは露出の高いドレスの胸の大事なところが見える限界まで引っ張りながら色っぽい声で男を誘惑しにかかった。
それ以上引っ張ると見えてしまいます。困ります。と男は思いながらも目は見えるか見えないかギリギリのラインを凝視している。
「ねぇ、どうしますか。協力してくれますか?」
「は、はい。協力します……」
「それではお願いしますね」
羽々姫はハンマーを持って破壊活動をしている男たちに向かいながら考えた。
自由の鐘とやらのメンバーは全員……言っちゃなんだがモテない男で、あたしは曲がりなりにも女だ……。
ここは色仕掛けしかないと羽々姫は思った。正直自信無いしやった事も無いけど色仕掛けでもしてみようかね。他の女性陣もやるみたいだしさ。
ちらりと視線をすでに男を誘惑しにかかっているエルバッハやセレスを見た。あそこまでやれる自信はないが……。
「え、えと……。こうすんのかな」
羽々姫はモニュメントをぶったたいている男たちに「ねぇ、あんたたち」と声をかける。しなを作り、着物をはだけさせる。
「ねえあんた達……。そんな滅多な事してないで、ちょっとあたしと遊びなよ、ほらああ……」
「おお……!」
羽々姫の渾身の色仕掛けに男たちからどよめきが上がる。「色っぽいなぁ」などと口々に言いながら破壊する手を止めて、喝采を送っている。
「うう、このあとどうしよう……」
しなを作り色っぽさを演出したのはいいものの、羽々姫はこのあとの行動に迷っていた。もういっそ、物理的な鎮圧をしてしまおうか。慣れないことをするよりもその方がずっと早そうだ。
その時、色気で篭絡したメンバーの手を引いてエルバッハが羽々姫の隣に並ぶとそのメンバーに抱き着いた。
「暴れるのはやめてくれませんか。やめてくれれば、いいことをしてあげますよ」
とエルバッハは抱き着いた男に寝返りを誘う文句を言う。その声は色っぽいながらも大きく他のメンバーにも十分聞き取ることが出来た。
エルバッハは男を抱きしめながら蠱惑的な視線を他の男たちに送り残った四人のメンバーの嫉妬心をあおる。
「いいなぁ」
「ずるいぞ!」
「オ、オレも……」
とメンバーたちがエルバッハの流し目に釘付けの中、一人だけ理性を保っている男がいた。
「あれは罠だ。俺たちがモテるもんか! 裏切者に制裁しなければ!」
と言う男につられて誘惑されかかっている男たちにも理性が戻りかけた。
「それじゃ、しかたないね」
エルバッハの誘惑が解けてしまったとみた羽々姫は男たちとの距離を詰めハンマーを叩き落して破壊手段を無効化する。
続けて突然の戦闘状態の羽々姫に呆然としている男たちに当身を食らわせて次々と気絶させていった。
それをみたエルバッハは、抱き着いていた男をスリープクラウドで眠らせると再び拘束した。
「うう……やっぱ慣れない事はするもんじゃなかった……!」
全ての男を気絶させた羽々姫は言った。
ペンキ缶を持った男たちが、通りを逃げるカップルたちに向かってペンキをぶちまける。空になった缶を投げ捨て、次の中身の詰まった缶を持ち上げようとしたときだ。
リリアが絶火槍「クルヴェナル」を缶の取っ手めがけて投擲し、取っ手を地面に縫い付けた。突如、飛来した巨大な槍に男はビビッて後ろによろける。狼狽えた男は何か武器になるものはないかと別のペンキ缶を持ち上げようとする。
リリアはランアウトで移動速度を上昇させると男との距離を一気に詰めて新しいペンキ缶を持つのを阻止するように立ちはだかる。ペンキ缶は盗品だ、なるべく新品のまま返したいとリリアは思っていた。
ここからが本番ね。と、リリアは呼吸を整える。い、色仕掛けで懐柔なのよ! と自分を鼓舞して勢いをつけると男に近づいた。
「ねぇ、お願いがあるの」
男の腕を取り、豊かな胸に押し付けるように全身で絡めとる。自然と男の顔も近くなり顔色が真っ赤に染まっていく様子がつぶさに観察できた。
リリアは上目づかいで交渉を始める。こうした種類の実戦経験はないものの、一応嗜んではいのだ。
リリアはペンキ缶を持った男たち全員を落とすつもりで、気合を入れて今実戦に臨んでいる。
多少のおさわりはこの際目をつむろうと自分に言い聞かせるリリアだった。
「こんなペンキをまき散らすなんてことはやめにして別の事しようなの」
「は、ははい。別の事でしゅか……」
リリアの上目づかいに甘い声で男は頭に血が上ってしまったのか呂律が回っていなかった。
ロニは、リリアの色仕掛けに注目している男たちに気が付かれないように死角を選んで移動し背後に回り込んでいく。
「おい、お前だけズルいぞ!」
「俺と変わってくれ!」
「お前、裏切るのか」
リリアの胸に腕を取られて鼻の下を伸ばし切っている男に仲間だったはずの男たちはブーイングの嵐。
「妬ましく思うのは個人の自由だが、それを理由に暴れるのはいただけないな」
そんな男たちの死角に入り込むとロニは素朴な雰囲気の杖スタッフ「ケレース」を振るって男たちの足を払い転倒させる。
「うぎゃぁ」
と男たちが悲鳴を上げる。
ロニは男たちを見下ろしながら続けて拳を顎に打ち込んで昏倒させる。
「逃がしはしないぞ」
運よく足払いから逃げられた男に向かってロニはジャッジメントを放つ。光の杭を打ち込まれた男は縫い付けられたように動けなくなってしまった。
さすがにハンター相手に立ち向かう勇気のある男はいなかったらしい。四人を無力化することが出来たロニは男たちを動けないように拘束した。
抵抗されたときのために、シールドバッシュを用意していたロニだったが、出番はなかったようだ。
リリアはエルバッハや羽々姫、セレスの行動を視界の端で色仕掛けの参考にしようとしていた。もっとくっ付いてみるべきなのかな?
しかし、男は鼻息が荒くなるだけだった。これ以上色仕掛けをしても進展がなさそうだと思ったリリアは隠し持っていた鉄パイプを取り出すと男の頭を殴って気絶させ、ペンキをぶちまけていた男たちを全員拘束したのだった。
「あんた達さあ……」
「だからと言って、商品を強奪していい理由にはならないのよ」
「これは立派な犯罪行為だ。何の罪のない人々が被害にあっている。どう謝罪をするつもりだ」
羽々姫とリリア、ロニが拘束されたメンバーを全員座らせて説教をしている。
「お前たちの身の上が淋しいことはわかる。次の聖輝節には幸せな日を迎えられるようにまずはしっかりと反省することだ。そのためには迷惑をかけた人々や商店街に謝罪をすることだ。俺も一緒に同行するから」
ロニはメンバーたちの淋しい身の上に理解を示しつつも優しく厳しく反省を促している。
「もう良い歳なんだろ? こんな事して恥ずかしくないか? そんなだから独り身なんだろうに……」
呆れたように羽々姫が言った。
「これからも、協力してくださいね?」
エルバッハは色仕掛けに引っかかったメンバーをさらに念入りに篭絡して今後も協力するように仕立てている。
三人が説教をしている後ろで源弥が商店街の人たちやルイーズとともに汚れたテラス広場の清掃をしていた。
「来るのはカップル以外も多いはずだ。奇麗にしないとな」
汚れたモニュメントを拭きながら源弥が言う。
「汚して荒らして回るよりこういったのを作ったり。整えたり出来る方が、モテそうな気がするんだがな」
ちらりと説教をされている自由の鐘メンバーを見ながら源弥入った。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/12/11 23:35:06 |
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相談卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/12/14 02:46:51 |