ゲスト
(ka0000)
【初心】風の巨人
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- LV1~LV20
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/28 19:00
- 完成日
- 2017/01/04 23:33
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「さあ、年末の片付け物もだけど新年の準備もしなくちゃね」
ここはクリムゾンウエストのとある田舎の村。
「最近、天気もいいし今年は早めに支度しとこうかね」
村人たちは口々にそんな会話を交わす。
「あら。あそこの奥さん、もう風を通してるわ」
「こうしちゃいられない。ウチも急がないと」
「なにせ、この村の風物詩ですものね」
道端で立ち話の興じていた主婦たちが、まるで突然の通り雨に洗濯物の取り込みを急ぐがごとくわらわらと自宅へ戻っていく。
一体何かというと。
――ばさ、ばさっ、ばさー。
村のあちこちの民家で一斉に大量のハンカチが物干し竿に掛けられたのだ。
ある家は赤。あちらの軒先には白。向こうの窓には緑で、あっちの二階には水色――。
あっという間に村中に色とりどりのハンカチがはためくのだった。
――ブロン……。
そこに一台の魔導バイクが到着。三輪の魔導トラックも一緒だ。
「お。ちょい早いと思ったが、ラッキーだねぇ。初華、これがこの村の季節の風物詩『ハンカチの海』だ」
魔導バイクに跨っていたのは、自称「戦場詩人」のダイン・グラマン。目の前に広かる、風に揺られ大海の波のように雄々しく揺らぐハンカチの光景に顎をしゃくった。
「ほへぇ……すっごい。なんでこんな事するの?」
魔導トラック「オート三輪」から顔を出した南那初華(kz0135)が珍しい光景に瞳を輝かしている。
「この村では新年に『ハンカチ祭り』をするんだよ。その準備で、一年倉庫に入れておいたハンカチを各家庭で干して風を通しておくのさ」
「え? ハンカチ祭り?」
「年始めの縁起担ぎというか、厄除けだな」
大量のハンカチの山の中から、数枚しかない黒いハンカチを探し出しナイフを立てる祭りだとか。
「黒いハンカチは災いの象徴と言うことらしい。多くのハンカチの中から探し出してナイフを立てた者は勇者としてその年は祝福されるそうだ」
相当な争奪戦になるらしい、とダイン。
「ああ、年末のバーゲンみたいなものね。でもどうして『勇者』なのかしら」
ふうん、と人差し指を唇に添える初華。
「さあ。祭りの起源に由来してるかもだが……っていうか、バーゲンは違うだろう」
「きっと似たようなものよぅ」
「そうかぁ? ま、いい。お茶でも飲んで小休止しよう」
ぶろろん……とその場を後にする二人だった。
後日、ハンターオフィスにて。
「というわけで、初華さんの次の仕事はこれです」
「いや、次の仕事って……」
オフィス係員に強引に仕事を押し付けられそうになり口を尖らす初華。
その目付きが、文面を読んで変わった。
内容は、「ハンカチの海」で観光地化している村からの歪虚退治依頼だった。
「『風の巨人』が出たようです。敵のデータは一切不明ですがたまたま遭遇戦闘したハンターからそこまで強くない、との情報を得ました」
「ほへ? それなら倒してしまえばいいのに」
素朴な疑問を呈する初華。
「『赤い機体はマッハの証。偵察任務は偵察まで。それ以上やると金にならん』とのことです」
「マッハ・リーさんね……」
初華、確かダインさんの知り合いだったはず、と呆れる。
「とにかく新人依頼にして対応力を見ます。初華さんはバックアップでお願いしますね」
村に近付く前に草原で撃破してください、と係員。
「この間立ち寄ったところだし……うん、頑張る!」
というわけで、色とりどりのハンカチを風で巻き上げ2・5mの人型を取り草原を徘徊している歪虚退治をしてくれる人、求ム。
ここはクリムゾンウエストのとある田舎の村。
「最近、天気もいいし今年は早めに支度しとこうかね」
村人たちは口々にそんな会話を交わす。
「あら。あそこの奥さん、もう風を通してるわ」
「こうしちゃいられない。ウチも急がないと」
「なにせ、この村の風物詩ですものね」
道端で立ち話の興じていた主婦たちが、まるで突然の通り雨に洗濯物の取り込みを急ぐがごとくわらわらと自宅へ戻っていく。
一体何かというと。
――ばさ、ばさっ、ばさー。
村のあちこちの民家で一斉に大量のハンカチが物干し竿に掛けられたのだ。
ある家は赤。あちらの軒先には白。向こうの窓には緑で、あっちの二階には水色――。
あっという間に村中に色とりどりのハンカチがはためくのだった。
――ブロン……。
そこに一台の魔導バイクが到着。三輪の魔導トラックも一緒だ。
「お。ちょい早いと思ったが、ラッキーだねぇ。初華、これがこの村の季節の風物詩『ハンカチの海』だ」
魔導バイクに跨っていたのは、自称「戦場詩人」のダイン・グラマン。目の前に広かる、風に揺られ大海の波のように雄々しく揺らぐハンカチの光景に顎をしゃくった。
「ほへぇ……すっごい。なんでこんな事するの?」
魔導トラック「オート三輪」から顔を出した南那初華(kz0135)が珍しい光景に瞳を輝かしている。
「この村では新年に『ハンカチ祭り』をするんだよ。その準備で、一年倉庫に入れておいたハンカチを各家庭で干して風を通しておくのさ」
「え? ハンカチ祭り?」
「年始めの縁起担ぎというか、厄除けだな」
大量のハンカチの山の中から、数枚しかない黒いハンカチを探し出しナイフを立てる祭りだとか。
「黒いハンカチは災いの象徴と言うことらしい。多くのハンカチの中から探し出してナイフを立てた者は勇者としてその年は祝福されるそうだ」
相当な争奪戦になるらしい、とダイン。
「ああ、年末のバーゲンみたいなものね。でもどうして『勇者』なのかしら」
ふうん、と人差し指を唇に添える初華。
「さあ。祭りの起源に由来してるかもだが……っていうか、バーゲンは違うだろう」
「きっと似たようなものよぅ」
「そうかぁ? ま、いい。お茶でも飲んで小休止しよう」
ぶろろん……とその場を後にする二人だった。
後日、ハンターオフィスにて。
「というわけで、初華さんの次の仕事はこれです」
「いや、次の仕事って……」
オフィス係員に強引に仕事を押し付けられそうになり口を尖らす初華。
その目付きが、文面を読んで変わった。
内容は、「ハンカチの海」で観光地化している村からの歪虚退治依頼だった。
「『風の巨人』が出たようです。敵のデータは一切不明ですがたまたま遭遇戦闘したハンターからそこまで強くない、との情報を得ました」
「ほへ? それなら倒してしまえばいいのに」
素朴な疑問を呈する初華。
「『赤い機体はマッハの証。偵察任務は偵察まで。それ以上やると金にならん』とのことです」
「マッハ・リーさんね……」
初華、確かダインさんの知り合いだったはず、と呆れる。
「とにかく新人依頼にして対応力を見ます。初華さんはバックアップでお願いしますね」
村に近付く前に草原で撃破してください、と係員。
「この間立ち寄ったところだし……うん、頑張る!」
というわけで、色とりどりのハンカチを風で巻き上げ2・5mの人型を取り草原を徘徊している歪虚退治をしてくれる人、求ム。
リプレイ本文
●
「草原の風か」
「つーかまぁ、トラックの風じゃねぇ?」
セルゲン(ka6612)と銀(ka6662)が魔導トラックの荷台に立って乗っていた。運転席の天板に手を掛けたり肘を置いたりしている。
ここで、助手席の窓から金髪ポニーテールの頭がひょっこり出て来た。
「ねえ。まだ見えない?」
アーシャ(ka6456)である。
「ああ」
「いかにも強そうな名前なんだから早く出てくればいいのにっ!」
手短にセルゲン。アーシャは残念そう。
その横に戦馬を駆るお転婆風娘、ナグモ(ka6677)がつけた。
「そーそー。『風の巨人』なんて強そうな名前だよねぇ」
「まさかハンカチを纏ってるんとは吃驚や……」
ひょろっとしたエルフ、レナード=クーク(ka6613)も馬に乗り、ナグモの隣を走っている。
そこへ、トリプルJ(ka6653)の駆る馬が後方から上がって来た。
「つまりハンカチ討伐だな」
口にするとマヌケな響きだ、と鋭い突っ込み。
「正体はハンカチお化けだものね」
ゴースロン種に乗った柄永 和沙(ka6481)も寄せて来て話に加わる。
「前はこの辺に出たとか聞いたんだけどー」
一方の運転席側。ドライバーの南那初華(kz0135)がきょろきょろ。
「今は別の形してるのかしら?」
「つまり、巨人の姿でなくてもいい……。変わった雑魔さんも居るようですね……」
魔導バイク「ルドルフ」に乗るエファ(ka6071)が運転席側に付けてぽそり。
「ポニテ騎士さんじゃないけど、ばーんと出てくればいいのにね」
初華が言った時だった。
「出たねぇ。ばーんと」
荷台の銀が遠くを眺めて言った。
そちらには確かに上体をもたげる巨人の姿があった。
魔導トラックとバイク、そして馬たちがそちらに向かう。
●
――ききっ。
歩く巨人にやや近付いた地点で初華がトラックを止める。
「わーおっきいー!」
助手席から出て改めて見上げるアーシャが感嘆の声を漏らす。
「よっ、と。遊ぶとすっかね?」
「ここが最低防衛ラインか」
荷台から飛び降りた銀。同じく下りたセルゲンは初華を振り返った。
「うんっ、半折れさん」
初華が頷いたところ、レナードが寄せて来た。馬から下りてレヴェリーワンドを持った。
「もしかしたらお馬さんが怖がってしまうかもしれへんから……ハツカさん、よろしゅうお願いします!」
「そんじゃあたしも」
和沙もひらりと馬から下りてこの場に残した。
「さぁーて、楽しませてもらっちゃおうかなぁ♪」
ナグモ、手にしていたどぶろくをすすって馬に乗ったまま、行った!
「ちょ、いきなり?」
「駆け抜けざまだと張り付かれないだろう?」
びっくりした初華の横をJがすり抜けナグモを追った。しかも葉巻に火をけて。
「黒帽子で完全にウエスタンねー」
「さすがに炎の嵐になっちまうのは勘弁だがな……さあ、今日も頼むぜ、相棒!」
「……」
Jの姿を見てセルゲンも続いたが……。
「お? どうしたぁ?」
走って横に付いた銀が聞いた。
「あれ咥えたままよく話せるな……」
セルゲンもハンカチが口に張り付く窒息対策に紙巻煙草をくわえていたのだ。
「しゃべる奴はどうやってもしゃべるだろぉ?」
セルゲン、銀を見返しつつ、この男もそっちだろうな、とか思っていたり。
一方、エファ。
「あんまり痛いの怖いのは好きではありませんが。頑張らせていただきます」
初華の場所にバイクを置いて走った。
「穏やかさん、それは?」
「え?! ええと、水で湿らせたらハンカチも飛びにくくなるでしょ、初華さん」
ミネラルウォーターや缶ビールを腰に下げている理由を話す。
「燃やすのがいいと思ったんだけど、逆の発想ね!」
確かに草原に延焼したら大変だし、と横に並び走るアーシャ。
これで全員行った。戦闘開始だ。
●
さて、先頭のナグモ。
「さぁ、ボクと遊んでねぇ……♪」
ぐんぐん迫る敵の巨体にわくわくしていた。
「ナグモ、左脚たのむぜ?」
横にJが並んで手はずを話す。
ここで巨人も急速接近する二人に気付いてこちらを向いた。
それを合図に左右に分かれる二人。
――ざくっ、ひゅん……。
左でナグモの三本爪クロー「ディリティリオ」で引っ掻き、右でJが魔導ワイヤー「フェッセルン」をぶち込み走り抜けた。
刹那!
「見事に崩れたじゃない」
ずずず、と人型から山形に広がる様子を見ながら和沙が横にかわす。色とりどりのハンカチの津波となって主にこちらに流れてきたのだ。
「こっちの方に攻撃する意思があるみたいね」
リヤンワイヤーを振り回してハンカチの山を狙う。が、引っ掛かったのは一枚のみで総じてかわされていた。
「石ころでもきっと大丈夫やろね?」
反対にいたレナードは細身を軽快に躍らせハンカチの奔流を回避。その動きのままワンドを振るいアースバレット。こちらは一枚に当たり、それがその場で落ちるだけ。
「手数が掛かりそうだな」
セルゲン、レナードと敵の間に入りつつ片手でハンドアックスぶぅん。しっかりした手ごたえがあるが、食い込んで消えたのは一枚のみ。
「……」
特にセルゲンの感想がないのは、先ほどまで片方の手で持っていた煙草を再び口に咥えたから。ぶぉう……とハンカチの大群が顔目掛けて襲ってくるが、咥えた煙草の突起とごろんと身軽に転がった側転で難を逃れる。
「ここであたしが、どーん!」
アーシャ、セルゲンを狙う敵の横合いから飛び込んで来た。刺突用シュマールエストックを思いっきり引いて着地と同時に突き出す!
が、突き刺さったのは一枚だけ。
「……もっと豪勢に一刀両断よ! こんなものー!」
騎士らしい構えからひゅんひゅん細剣を振り回しハンカチの接近を防ぎつつ霧祓いを狙う。が、やはりひらひらかわし切れるのは一枚だけ。
「まー基本そうするしかねーよな?」
隣で銀の声。ぶんぶんサームズブレードを振り回しているが……。
「ち、ちょっと何!」
アーシャ、振り返ってびっくりした。
隣にコボルドがいたのだ。
「何って、口に張り付いて窒息狙ってくるんだろう?」
何と銀、頭をすっぽり覆うコボルドマスク被っていたのだったり。
この隙に、ばさーっと新たなハンカチの波が来た。
「そりゃそうだけど……わっ!」
アーシャ、身をひねって口を手で覆い何とか難を逃れる。
一方、銀の方は……。
「おっ?! ……」
「銀さん、大丈夫ですか!」
ハンカチを顔面真正面で受け止めた銀が思わず跪く。慌てて後方からエファが後方から助けに入った。
(あ、あれ?)
エファ、銀をいやそうと思ってその動きが固まる。
(あれの用意に忙しくてスキルセット、忘れてきたかな?)
「……ぷわっ! これなら張り付いても仮面を取りゃいいだけだからなぁ」
ぶわっと広がる銀のアフロヘア。コボルドマスクを脱ぐことで簡単にピンチを脱していた。
「と、とにかくよかったです」
エファの方は白色の鞭を振り回しこれ以上銀に近寄らせない支援に変更。
ここで、前方から先に駆け抜けた二人が戻って来た。
「よーし、水濡れ作戦いくよーっ!」
ナグモがどぶろくの入った徳利を掲げ元気に叫んでいる。
「元々風と土だ、火じゃこちらの被害が大きくなるから確かに水で正解だろうな」
横ではJがふい~っ、と葉巻を楽しんでから真顔になっていた。
「そうです。濡らせば飛ばなくなりますね!」
作戦開始にエファが心を弾ませて事前に用意しておいたミネラルウォーターのボトルを取り出し栓を開けた!
「ほなら僕も!」
レナード、水色掛かった銀髪を揺らしワンドの構えを変える。
「びしょ濡れになってしもたら、少しは動きも鈍うなるはず…!」
各色大量に舞うハンカチを少しでも大人しくさせようと、ウォーターシュートの水しぶきが迸る!
「止まったら探せ! 敵の中心は村祭りの伝承にあった黒いハンカチだ!」
片膝立ちのセルゲンが叫ぶ。
「まだ確定とは限らないけどねぇ~」
とか何とか言いつつ銀も持参したミネラルウォーターをぶちまけた!
「んんー(そーれっと)♪」
ナグモも口に含んだどぶろくを思いっきり噴き出してハンカチに掛けた。
「……あれ?」
どうも口に含んだほとんどが喉を通ったのは内緒である。
ところで、ここで不幸なお知らせが。
「こんだけ振り回しても結構かわすなんて……って、あれ?!」
ワイヤーぶん回して敵を引っ掛けていた和沙、状況に気付いた。
味方の水濡れ作戦包囲網の中心に見事一人残っていたのだ。
というかまあ、ワイヤーぶん回してれば敵も距離を取って必然的にドーナツ状に密集してしまうのは仕方のないことで。
とにかく水濡れ作戦、一人以外理想的な状態で決行!
●
――ぱしゃっ、ぴしっ、ばしゃ~ん!
密集して舞う色とりどりのハンカチに、多くの水が掛けられた。
「まだまだっ!」
空になったボトルを捨てたエファ、反対の手でシェイクしていた缶ビールを手にしたぞ?
「リアルブルーでは勝利の暁には、こうしていると聞きました」
プルタブに指を掛け一気に開けると、ぷしゃーっと泡だらけのビールが勢い良く虹を描いた!
「……ハンカチの袋詰めとかセールでやってたの思い出したわ。母さん好きそう……」
和沙、位置的に戦闘は続行しなくてはならない。ハンカチの激しく飛び交う戦場はリアルブルーでもあったなぁと思うも……。
「ま、あの時は水掛けもビール掛けもなかったけどね」
へにょ、と肩を落としつつビールにまみれていたり。
で、セルゲン。
「濡れても動きは鈍らないか……互いにフォローしろ、黒いハンカチないし黒い物体がないか探せ!」
ぴんっ、と煙草を捨てて斧を振り回す。やはり手数勝負とばかりにものすごい勢いだ。
「俺ぁ愛煙家じゃねぇが、気分転換に吸ったりするからな。咥えてふかしたからってむせたりはしねぇよ」
一撃離脱していたJが戻って来た。相変わらず葉巻を口の端で咥えてしゃべっている。相変わらずワイヤーに引っかかって消えるハンカチは一枚だが……。
「本命はこっちだよ」
機械脚甲「モートル」で固めた脚を伸ばしワイヤーを逃れたハンカチを蹴っ飛ばす。馬を急かしながらワイヤーぶん回し足元に来たのを蹴っ飛ばしでなかなか忙しい。
「ひゃっほー!」
前言撤回。J本人は楽しそうに駆け抜けている。
「葉巻咥えつつしゃべれるんは、きっと呼吸を心得とるんやろな……なんや、えろう寄って来たな」
セルゲンにかばわれつつ石つぶてを飛ばしていたレナードの口元にもハンカチが忍び寄っていた。が、ウィンドガストで緑色の風を纏い回避。
「こっちだって同じや。風使えるんがそっちばかりと思うたら大間違いやで!」
毒をもって毒を制すや、とかレナードの口も乗って来た。
こちら、銀。
「ハーンケチ落としはどーぉやるのぉーっ、ひたすら殴って落して踏んずけてーっと♪」
鼻歌交じりに敵密集地……風の中心に向かっていた。ばしばし敵の巻き上げた小石が当たっても、ハンカチが腕に纏い付いて行動阻害しても剣を振るって突っ込んでいく。
「こっちの抵抗がつーよいぞ、ってな」
厳しくなる風に敵のコアが近いと見る。少々の傷はむしろ楽しそう。
そんなのがもう一人いたっ!
「さぁ、ボクと遊んでねぇ……♪」
ナグモだ。馬を降りて止めを狙っている。銀のいる方に向かうとびぉう、と強く石つぶてに当たった。
「きゃはは、イイね♪ ぞくぞくしちゃう♪」
むしろ楽しそう。クローでざくざくやりつつ風の強い方へ。
そして銀が黒いハンカチの舞う姿を発見した!
「みぃ~っけ!」
――ぶんっ、しゅっ!
「何?!」
黒いハンカチ、剣をかわし奥の手の火竜票もかわした。
場所は変わって、エファ。
「叩くだけなら、僕にだって!」
黒い龍……いや、そう見えるオーラを纏い白色の鞭を振るっている。
回復支援に専念。
水を掛ける作戦で敵を無効化。
いずれも争いを好まない彼の、彼らしい戦い方だった。
それらの道が、すべて断たれた。
一体、何のためにハンターになった?
むしろハンカチは猛威を振るっている。万事休すか?
「違う!」
心に渦巻く自問に、思わず口調が激しくなった。
「降りかかる火の粉は、払う!」
懸命に戦うその横で。
「そう。怯む訳にはいかないわ」
ポニーテールが舞い剣がひらめきハンカチを斬った。
「正義の騎士……アーシャの名前にかけて!」
アーシャ、激しく戦う。
その背後では。
「さて、本命の災いの象徴、黒いハンカチはどこだ…?」
ひゅん、とコウモリを投げ前の二人を援護しつつ、和沙が注意深く探っていた。
「他と違う感じの一枚になるはずなんだけど」
アーシャも分かっている。
そこに、Jが突っ込んできた。
「ハンカチ集団の先頭か真ん中だろ? 先頭はご覧の有様なんだ。あとは……」
J、馬首を巡らし敵の中心に突っ込んだ。
「あれ、中心が動いた?」
エファ、熱くなっていたが気付いた。Jを嫌って右にハンカチ集団が動いたのを。
そして気付く!
「あっ。ほかのハンカチの影になる位置にいる!」
黒の特性を生かした位置取りを看破した。自身が黒いオーラを纏っているので興味深く黒い輪郭を見ていたのも幸いした。
「先手必勝ー!」
アーシャ、思いっきり伸身して渾身の突き。
が、あれだけ鋭くてもかわされた。
そのまま黒いハンカチはすり抜け、後ろにいる和沙の口を塞いだ。
二か所でかわされた時、ダガーを持ったセルゲンが叫んだ!
「伝承だ! ナイフを使え!」
「何だって?」
「ええー?」
振り返る銀とアーシャ、そんな装備用意してきてない。
「ナイフでいいの?」
「く……っ、これならナイフ代わりになるだろ?」
ナグモ、小さなスイングで黒いハンカチをぐっさり。
一方、和沙は口から引っぺがし投具「コウモリ」をナイフのように持ち地面に黒ハンカチを叩きつけて突き刺した。
ひら、とすべてのハンカチが一瞬ひらめくと、すべて消えた。
●
「ハンカチも敵になるのね、こっちじゃ」
ハンカチのはためく村を眺めながら和沙が呟く。
「女子高生してたら分からないわよね~」
初華も元女子高生だ。
「あのハンカチ全部歪虚やったってこと?」
回収を考えていたレナードが問う。
「切ったりしたろぉ? 違ったとしても使えねぇなぁ」
くくく、と銀。軽薄な様子は後に初華から「遊び人さん」と呼ばれることとなるが。
「ハンカチ祭りを見物してから帰りたかったな」
角折れ角のセルゲン、残念そうに村を見る。
「まさか効果的な止めの仕方まで伝承されてるとはなぁ」
J、帽子のつばに手を掛けしみじみ。
「あー、楽しかった。お腹もすいたし、一緒に食べる?」
ナグモは食い気。チョコを皆に配る。後に初華から「チョコ鬼さん」呼ばわり決定。
「あ、干したハンカチ回収してる。折角だから手伝っていきましょうか」
アーシャ、ポニーテールを翻して立った。
「そうですね。ゆっくりできますし」
エファ、頷き立つ。
皆も腰を上げた。
「草原の風か」
「つーかまぁ、トラックの風じゃねぇ?」
セルゲン(ka6612)と銀(ka6662)が魔導トラックの荷台に立って乗っていた。運転席の天板に手を掛けたり肘を置いたりしている。
ここで、助手席の窓から金髪ポニーテールの頭がひょっこり出て来た。
「ねえ。まだ見えない?」
アーシャ(ka6456)である。
「ああ」
「いかにも強そうな名前なんだから早く出てくればいいのにっ!」
手短にセルゲン。アーシャは残念そう。
その横に戦馬を駆るお転婆風娘、ナグモ(ka6677)がつけた。
「そーそー。『風の巨人』なんて強そうな名前だよねぇ」
「まさかハンカチを纏ってるんとは吃驚や……」
ひょろっとしたエルフ、レナード=クーク(ka6613)も馬に乗り、ナグモの隣を走っている。
そこへ、トリプルJ(ka6653)の駆る馬が後方から上がって来た。
「つまりハンカチ討伐だな」
口にするとマヌケな響きだ、と鋭い突っ込み。
「正体はハンカチお化けだものね」
ゴースロン種に乗った柄永 和沙(ka6481)も寄せて来て話に加わる。
「前はこの辺に出たとか聞いたんだけどー」
一方の運転席側。ドライバーの南那初華(kz0135)がきょろきょろ。
「今は別の形してるのかしら?」
「つまり、巨人の姿でなくてもいい……。変わった雑魔さんも居るようですね……」
魔導バイク「ルドルフ」に乗るエファ(ka6071)が運転席側に付けてぽそり。
「ポニテ騎士さんじゃないけど、ばーんと出てくればいいのにね」
初華が言った時だった。
「出たねぇ。ばーんと」
荷台の銀が遠くを眺めて言った。
そちらには確かに上体をもたげる巨人の姿があった。
魔導トラックとバイク、そして馬たちがそちらに向かう。
●
――ききっ。
歩く巨人にやや近付いた地点で初華がトラックを止める。
「わーおっきいー!」
助手席から出て改めて見上げるアーシャが感嘆の声を漏らす。
「よっ、と。遊ぶとすっかね?」
「ここが最低防衛ラインか」
荷台から飛び降りた銀。同じく下りたセルゲンは初華を振り返った。
「うんっ、半折れさん」
初華が頷いたところ、レナードが寄せて来た。馬から下りてレヴェリーワンドを持った。
「もしかしたらお馬さんが怖がってしまうかもしれへんから……ハツカさん、よろしゅうお願いします!」
「そんじゃあたしも」
和沙もひらりと馬から下りてこの場に残した。
「さぁーて、楽しませてもらっちゃおうかなぁ♪」
ナグモ、手にしていたどぶろくをすすって馬に乗ったまま、行った!
「ちょ、いきなり?」
「駆け抜けざまだと張り付かれないだろう?」
びっくりした初華の横をJがすり抜けナグモを追った。しかも葉巻に火をけて。
「黒帽子で完全にウエスタンねー」
「さすがに炎の嵐になっちまうのは勘弁だがな……さあ、今日も頼むぜ、相棒!」
「……」
Jの姿を見てセルゲンも続いたが……。
「お? どうしたぁ?」
走って横に付いた銀が聞いた。
「あれ咥えたままよく話せるな……」
セルゲンもハンカチが口に張り付く窒息対策に紙巻煙草をくわえていたのだ。
「しゃべる奴はどうやってもしゃべるだろぉ?」
セルゲン、銀を見返しつつ、この男もそっちだろうな、とか思っていたり。
一方、エファ。
「あんまり痛いの怖いのは好きではありませんが。頑張らせていただきます」
初華の場所にバイクを置いて走った。
「穏やかさん、それは?」
「え?! ええと、水で湿らせたらハンカチも飛びにくくなるでしょ、初華さん」
ミネラルウォーターや缶ビールを腰に下げている理由を話す。
「燃やすのがいいと思ったんだけど、逆の発想ね!」
確かに草原に延焼したら大変だし、と横に並び走るアーシャ。
これで全員行った。戦闘開始だ。
●
さて、先頭のナグモ。
「さぁ、ボクと遊んでねぇ……♪」
ぐんぐん迫る敵の巨体にわくわくしていた。
「ナグモ、左脚たのむぜ?」
横にJが並んで手はずを話す。
ここで巨人も急速接近する二人に気付いてこちらを向いた。
それを合図に左右に分かれる二人。
――ざくっ、ひゅん……。
左でナグモの三本爪クロー「ディリティリオ」で引っ掻き、右でJが魔導ワイヤー「フェッセルン」をぶち込み走り抜けた。
刹那!
「見事に崩れたじゃない」
ずずず、と人型から山形に広がる様子を見ながら和沙が横にかわす。色とりどりのハンカチの津波となって主にこちらに流れてきたのだ。
「こっちの方に攻撃する意思があるみたいね」
リヤンワイヤーを振り回してハンカチの山を狙う。が、引っ掛かったのは一枚のみで総じてかわされていた。
「石ころでもきっと大丈夫やろね?」
反対にいたレナードは細身を軽快に躍らせハンカチの奔流を回避。その動きのままワンドを振るいアースバレット。こちらは一枚に当たり、それがその場で落ちるだけ。
「手数が掛かりそうだな」
セルゲン、レナードと敵の間に入りつつ片手でハンドアックスぶぅん。しっかりした手ごたえがあるが、食い込んで消えたのは一枚のみ。
「……」
特にセルゲンの感想がないのは、先ほどまで片方の手で持っていた煙草を再び口に咥えたから。ぶぉう……とハンカチの大群が顔目掛けて襲ってくるが、咥えた煙草の突起とごろんと身軽に転がった側転で難を逃れる。
「ここであたしが、どーん!」
アーシャ、セルゲンを狙う敵の横合いから飛び込んで来た。刺突用シュマールエストックを思いっきり引いて着地と同時に突き出す!
が、突き刺さったのは一枚だけ。
「……もっと豪勢に一刀両断よ! こんなものー!」
騎士らしい構えからひゅんひゅん細剣を振り回しハンカチの接近を防ぎつつ霧祓いを狙う。が、やはりひらひらかわし切れるのは一枚だけ。
「まー基本そうするしかねーよな?」
隣で銀の声。ぶんぶんサームズブレードを振り回しているが……。
「ち、ちょっと何!」
アーシャ、振り返ってびっくりした。
隣にコボルドがいたのだ。
「何って、口に張り付いて窒息狙ってくるんだろう?」
何と銀、頭をすっぽり覆うコボルドマスク被っていたのだったり。
この隙に、ばさーっと新たなハンカチの波が来た。
「そりゃそうだけど……わっ!」
アーシャ、身をひねって口を手で覆い何とか難を逃れる。
一方、銀の方は……。
「おっ?! ……」
「銀さん、大丈夫ですか!」
ハンカチを顔面真正面で受け止めた銀が思わず跪く。慌てて後方からエファが後方から助けに入った。
(あ、あれ?)
エファ、銀をいやそうと思ってその動きが固まる。
(あれの用意に忙しくてスキルセット、忘れてきたかな?)
「……ぷわっ! これなら張り付いても仮面を取りゃいいだけだからなぁ」
ぶわっと広がる銀のアフロヘア。コボルドマスクを脱ぐことで簡単にピンチを脱していた。
「と、とにかくよかったです」
エファの方は白色の鞭を振り回しこれ以上銀に近寄らせない支援に変更。
ここで、前方から先に駆け抜けた二人が戻って来た。
「よーし、水濡れ作戦いくよーっ!」
ナグモがどぶろくの入った徳利を掲げ元気に叫んでいる。
「元々風と土だ、火じゃこちらの被害が大きくなるから確かに水で正解だろうな」
横ではJがふい~っ、と葉巻を楽しんでから真顔になっていた。
「そうです。濡らせば飛ばなくなりますね!」
作戦開始にエファが心を弾ませて事前に用意しておいたミネラルウォーターのボトルを取り出し栓を開けた!
「ほなら僕も!」
レナード、水色掛かった銀髪を揺らしワンドの構えを変える。
「びしょ濡れになってしもたら、少しは動きも鈍うなるはず…!」
各色大量に舞うハンカチを少しでも大人しくさせようと、ウォーターシュートの水しぶきが迸る!
「止まったら探せ! 敵の中心は村祭りの伝承にあった黒いハンカチだ!」
片膝立ちのセルゲンが叫ぶ。
「まだ確定とは限らないけどねぇ~」
とか何とか言いつつ銀も持参したミネラルウォーターをぶちまけた!
「んんー(そーれっと)♪」
ナグモも口に含んだどぶろくを思いっきり噴き出してハンカチに掛けた。
「……あれ?」
どうも口に含んだほとんどが喉を通ったのは内緒である。
ところで、ここで不幸なお知らせが。
「こんだけ振り回しても結構かわすなんて……って、あれ?!」
ワイヤーぶん回して敵を引っ掛けていた和沙、状況に気付いた。
味方の水濡れ作戦包囲網の中心に見事一人残っていたのだ。
というかまあ、ワイヤーぶん回してれば敵も距離を取って必然的にドーナツ状に密集してしまうのは仕方のないことで。
とにかく水濡れ作戦、一人以外理想的な状態で決行!
●
――ぱしゃっ、ぴしっ、ばしゃ~ん!
密集して舞う色とりどりのハンカチに、多くの水が掛けられた。
「まだまだっ!」
空になったボトルを捨てたエファ、反対の手でシェイクしていた缶ビールを手にしたぞ?
「リアルブルーでは勝利の暁には、こうしていると聞きました」
プルタブに指を掛け一気に開けると、ぷしゃーっと泡だらけのビールが勢い良く虹を描いた!
「……ハンカチの袋詰めとかセールでやってたの思い出したわ。母さん好きそう……」
和沙、位置的に戦闘は続行しなくてはならない。ハンカチの激しく飛び交う戦場はリアルブルーでもあったなぁと思うも……。
「ま、あの時は水掛けもビール掛けもなかったけどね」
へにょ、と肩を落としつつビールにまみれていたり。
で、セルゲン。
「濡れても動きは鈍らないか……互いにフォローしろ、黒いハンカチないし黒い物体がないか探せ!」
ぴんっ、と煙草を捨てて斧を振り回す。やはり手数勝負とばかりにものすごい勢いだ。
「俺ぁ愛煙家じゃねぇが、気分転換に吸ったりするからな。咥えてふかしたからってむせたりはしねぇよ」
一撃離脱していたJが戻って来た。相変わらず葉巻を口の端で咥えてしゃべっている。相変わらずワイヤーに引っかかって消えるハンカチは一枚だが……。
「本命はこっちだよ」
機械脚甲「モートル」で固めた脚を伸ばしワイヤーを逃れたハンカチを蹴っ飛ばす。馬を急かしながらワイヤーぶん回し足元に来たのを蹴っ飛ばしでなかなか忙しい。
「ひゃっほー!」
前言撤回。J本人は楽しそうに駆け抜けている。
「葉巻咥えつつしゃべれるんは、きっと呼吸を心得とるんやろな……なんや、えろう寄って来たな」
セルゲンにかばわれつつ石つぶてを飛ばしていたレナードの口元にもハンカチが忍び寄っていた。が、ウィンドガストで緑色の風を纏い回避。
「こっちだって同じや。風使えるんがそっちばかりと思うたら大間違いやで!」
毒をもって毒を制すや、とかレナードの口も乗って来た。
こちら、銀。
「ハーンケチ落としはどーぉやるのぉーっ、ひたすら殴って落して踏んずけてーっと♪」
鼻歌交じりに敵密集地……風の中心に向かっていた。ばしばし敵の巻き上げた小石が当たっても、ハンカチが腕に纏い付いて行動阻害しても剣を振るって突っ込んでいく。
「こっちの抵抗がつーよいぞ、ってな」
厳しくなる風に敵のコアが近いと見る。少々の傷はむしろ楽しそう。
そんなのがもう一人いたっ!
「さぁ、ボクと遊んでねぇ……♪」
ナグモだ。馬を降りて止めを狙っている。銀のいる方に向かうとびぉう、と強く石つぶてに当たった。
「きゃはは、イイね♪ ぞくぞくしちゃう♪」
むしろ楽しそう。クローでざくざくやりつつ風の強い方へ。
そして銀が黒いハンカチの舞う姿を発見した!
「みぃ~っけ!」
――ぶんっ、しゅっ!
「何?!」
黒いハンカチ、剣をかわし奥の手の火竜票もかわした。
場所は変わって、エファ。
「叩くだけなら、僕にだって!」
黒い龍……いや、そう見えるオーラを纏い白色の鞭を振るっている。
回復支援に専念。
水を掛ける作戦で敵を無効化。
いずれも争いを好まない彼の、彼らしい戦い方だった。
それらの道が、すべて断たれた。
一体、何のためにハンターになった?
むしろハンカチは猛威を振るっている。万事休すか?
「違う!」
心に渦巻く自問に、思わず口調が激しくなった。
「降りかかる火の粉は、払う!」
懸命に戦うその横で。
「そう。怯む訳にはいかないわ」
ポニーテールが舞い剣がひらめきハンカチを斬った。
「正義の騎士……アーシャの名前にかけて!」
アーシャ、激しく戦う。
その背後では。
「さて、本命の災いの象徴、黒いハンカチはどこだ…?」
ひゅん、とコウモリを投げ前の二人を援護しつつ、和沙が注意深く探っていた。
「他と違う感じの一枚になるはずなんだけど」
アーシャも分かっている。
そこに、Jが突っ込んできた。
「ハンカチ集団の先頭か真ん中だろ? 先頭はご覧の有様なんだ。あとは……」
J、馬首を巡らし敵の中心に突っ込んだ。
「あれ、中心が動いた?」
エファ、熱くなっていたが気付いた。Jを嫌って右にハンカチ集団が動いたのを。
そして気付く!
「あっ。ほかのハンカチの影になる位置にいる!」
黒の特性を生かした位置取りを看破した。自身が黒いオーラを纏っているので興味深く黒い輪郭を見ていたのも幸いした。
「先手必勝ー!」
アーシャ、思いっきり伸身して渾身の突き。
が、あれだけ鋭くてもかわされた。
そのまま黒いハンカチはすり抜け、後ろにいる和沙の口を塞いだ。
二か所でかわされた時、ダガーを持ったセルゲンが叫んだ!
「伝承だ! ナイフを使え!」
「何だって?」
「ええー?」
振り返る銀とアーシャ、そんな装備用意してきてない。
「ナイフでいいの?」
「く……っ、これならナイフ代わりになるだろ?」
ナグモ、小さなスイングで黒いハンカチをぐっさり。
一方、和沙は口から引っぺがし投具「コウモリ」をナイフのように持ち地面に黒ハンカチを叩きつけて突き刺した。
ひら、とすべてのハンカチが一瞬ひらめくと、すべて消えた。
●
「ハンカチも敵になるのね、こっちじゃ」
ハンカチのはためく村を眺めながら和沙が呟く。
「女子高生してたら分からないわよね~」
初華も元女子高生だ。
「あのハンカチ全部歪虚やったってこと?」
回収を考えていたレナードが問う。
「切ったりしたろぉ? 違ったとしても使えねぇなぁ」
くくく、と銀。軽薄な様子は後に初華から「遊び人さん」と呼ばれることとなるが。
「ハンカチ祭りを見物してから帰りたかったな」
角折れ角のセルゲン、残念そうに村を見る。
「まさか効果的な止めの仕方まで伝承されてるとはなぁ」
J、帽子のつばに手を掛けしみじみ。
「あー、楽しかった。お腹もすいたし、一緒に食べる?」
ナグモは食い気。チョコを皆に配る。後に初華から「チョコ鬼さん」呼ばわり決定。
「あ、干したハンカチ回収してる。折角だから手伝っていきましょうか」
アーシャ、ポニーテールを翻して立った。
「そうですね。ゆっくりできますし」
エファ、頷き立つ。
皆も腰を上げた。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/12/28 08:23:27 |
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「風の巨人」相談卓 無雲(ka6677) 鬼|18才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/12/28 14:30:24 |