ゲスト
(ka0000)
【蒼乱】バチャーレ村の聖輝節
マスター:樹シロカ

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 7日
- 締切
- 2017/01/03 15:00
- 完成日
- 2017/01/25 00:23
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●バチャーレ村の一大事
同盟のジェオルジ内に、バチャーレという村がある。
廃村にサルヴァトーレ・ロッソの移民団が移住し、どうにか形を整えつつあるところだ。
だがある日もたらされた一報によって、コミュニティは分断の危機に際していた。
それは移民団リーダー(便宜上、村長と呼ばれることもある)のサイモン・小川(kz0211)が、領主の館に呼び出されたことから始まる。
「リアルブルーに帰れる、ですって?」
自分はバチャーレ村に骨を埋めると覚悟していたはずのサイモンですら、動揺の色を隠しきれない。
領主であり、同盟評議会会員でもあるセスト・ジェオルジ(kz0034)は、感情を悟らせない無表情で頷く。
「非覚醒者に限定ではあるのですが」
精霊と契約を済ませた覚醒者は、クリムゾンウェストと強いつながりができてしまうため、一定時間を経過するとひきもどされてしまう。
だが普通の人間は、サルヴァトーレ・ロッソでリアルブルーへ戻ることができる。
「僕にはリアルブルーのことはあまりよくわかりません。オガワ代表には僕の口から説明するより、こちらをご覧いただく方が早いでしょう」
「拝見します」
セストから評議会で配られた資料を受け取ったサイモンは、素早く目を走らせる。
移民にはLH044の難民が多いが、彼らの故郷は既に失われた。
また、宇宙からVOIDが消えたわけではなく、地球へ移住できるわけでもない。
彼らを受け入れてくれるのは、月面都市崑崙のみ。
――それでも、そこは間違いなくリアルブルーなのだ。
サイモンが複雑な表情のまま資料から顔をあげるのを待って、セストは口を開く。
「折角バチャーレ村が整いつつある状況ですし、騒動を持ち込むのはあまり好ましくないとも思うのですが」
いつも通りの淡々とした口調、少し冷たくも見える表情だが、目には憐憫とも同情ともみえる揺らぎがあった。
「黙っていてもいずれどこかから情報は伝わるでしょう。敢えて隠していたとなると、必ず大きな不満に繋がります。ですので、オガワ代表にご相談すべきだと思いました」
「……おっしゃる通りです。ご配慮有難うございます」
機械的に答え、サイモンは黙って考え込む。セストも返答を急ぐことはせず、静かに口をつぐんだ。
移民団の人数は、今どうにか村を維持できる程度というところである。
機械化が進めばもう少し労力は少なくても何とかなるだろうが、今はまだ技術面でも資材面でも難しく、人手は必要だ。
一方で、既に覚醒した者もいる。彼らはどんなに望んでも戻れない。
家族や友人、恋人、彼らの間に意見の相違ができた場合は?
あるいは、移民の大部分が戻ることを選んだら?
普段は柔和な笑顔をたやさないサイモンだが、さすがに笑っていられる状況ではない。
「行ったが最後もう戻れないし、互いの通信も難しいのですね」
「現状ではそのようです。今後どうなるかはわかりませんが」
かつては『戻れる可能性』すらほぼないと思われていたのだ。それが実現したのだから、あながちセストの慰めというわけでもない。
「それから手紙はロッソが往復する際に託せるそうです。……いつ受け取れるかはわからないでしょうけれど」
サイモンはひとつ、大きな息を吐いた。
それから顔をあげてセストを見る。その表情はもう、いつもの柔和さを取り戻していた。……少なくとも表面的には。
「ところで、領主様にはまだ何か、僕にお話がありそうですね」
それほど長い付き合いではないが、サイモンは少しずつこの若い領主のことが分かってきた。
少なくとも、座り心地の悪い椅子に座っているという点では、互いに分かりあえるような気がしている。もちろん、椅子の高さには随分な差があることも承知しているが。
「そうですね。まずは、移民を希望される場合は、リゼリオまでの護衛をハンターにお願いします。これは魔術師協会から正式に了承を得ています。またハンターの皆様には、聖輝節の名目で、移民希望者と馴染んでいただく機会を設けます」
「……聖輝節?」
「ええ。リアルブルーにはこの時期、そういうお祭りがあると聞きました。郷祭が終わったばかりですが、こういう場合ですし賑やかな方がいいでしょう」
それから、と領主が切り出した件に、サイモンはまたも動揺することになる。
「申し訳ありませんが、その件は……少し持ち帰って考えさせていただいてもよろしいですか?」
「ええ、僕としては特に急ぎませんので。ご検討ください」
会談はそこで終わる。
●帰還前夜
その後、バチャーレ村ではひと騒動があった。
さまざまな意見が噴出し、家族や友人や恋人達の悲喜こもごもがあり、一度決めたことをまたひっくり返すものも少なくなかった。
結局、帰還希望者は20人余りでまとまった。バチャーレ村の現在の人口の3割ほどである。
それはサイモンにとって予想の範疇だったが、ひとつだけ想定外だったことがあった。
帰還希望者の中に、助手を務めてくれていたアルジュナ・シンがいたことである。
「君は残ってくれると思ってたよ」
「すみません。主任とは長い付き合いですし、まだまだこの村を何とかしたいとも思うのですが……主任やマリナと違って、私の本来の仕事が、ここにはない」
浅黒い肌の青年は、惑星調査の専門家だ。
「リアルブルーの宇宙で仕事を続けたいのです」
「そう言われると引きとめられないな。……今度は君が崑崙への移住団の代表になるというわけか」
サイモンは笑いながらアルジュナの肩を叩く。
「ま、最後は賑やかにやろう。いずれまた行き来できる日も来るだろうさ」
そうして聖輝節の日。
少しのほろ苦さを含んだバチャーレ村のお祭りが開催される。
同盟のジェオルジ内に、バチャーレという村がある。
廃村にサルヴァトーレ・ロッソの移民団が移住し、どうにか形を整えつつあるところだ。
だがある日もたらされた一報によって、コミュニティは分断の危機に際していた。
それは移民団リーダー(便宜上、村長と呼ばれることもある)のサイモン・小川(kz0211)が、領主の館に呼び出されたことから始まる。
「リアルブルーに帰れる、ですって?」
自分はバチャーレ村に骨を埋めると覚悟していたはずのサイモンですら、動揺の色を隠しきれない。
領主であり、同盟評議会会員でもあるセスト・ジェオルジ(kz0034)は、感情を悟らせない無表情で頷く。
「非覚醒者に限定ではあるのですが」
精霊と契約を済ませた覚醒者は、クリムゾンウェストと強いつながりができてしまうため、一定時間を経過するとひきもどされてしまう。
だが普通の人間は、サルヴァトーレ・ロッソでリアルブルーへ戻ることができる。
「僕にはリアルブルーのことはあまりよくわかりません。オガワ代表には僕の口から説明するより、こちらをご覧いただく方が早いでしょう」
「拝見します」
セストから評議会で配られた資料を受け取ったサイモンは、素早く目を走らせる。
移民にはLH044の難民が多いが、彼らの故郷は既に失われた。
また、宇宙からVOIDが消えたわけではなく、地球へ移住できるわけでもない。
彼らを受け入れてくれるのは、月面都市崑崙のみ。
――それでも、そこは間違いなくリアルブルーなのだ。
サイモンが複雑な表情のまま資料から顔をあげるのを待って、セストは口を開く。
「折角バチャーレ村が整いつつある状況ですし、騒動を持ち込むのはあまり好ましくないとも思うのですが」
いつも通りの淡々とした口調、少し冷たくも見える表情だが、目には憐憫とも同情ともみえる揺らぎがあった。
「黙っていてもいずれどこかから情報は伝わるでしょう。敢えて隠していたとなると、必ず大きな不満に繋がります。ですので、オガワ代表にご相談すべきだと思いました」
「……おっしゃる通りです。ご配慮有難うございます」
機械的に答え、サイモンは黙って考え込む。セストも返答を急ぐことはせず、静かに口をつぐんだ。
移民団の人数は、今どうにか村を維持できる程度というところである。
機械化が進めばもう少し労力は少なくても何とかなるだろうが、今はまだ技術面でも資材面でも難しく、人手は必要だ。
一方で、既に覚醒した者もいる。彼らはどんなに望んでも戻れない。
家族や友人、恋人、彼らの間に意見の相違ができた場合は?
あるいは、移民の大部分が戻ることを選んだら?
普段は柔和な笑顔をたやさないサイモンだが、さすがに笑っていられる状況ではない。
「行ったが最後もう戻れないし、互いの通信も難しいのですね」
「現状ではそのようです。今後どうなるかはわかりませんが」
かつては『戻れる可能性』すらほぼないと思われていたのだ。それが実現したのだから、あながちセストの慰めというわけでもない。
「それから手紙はロッソが往復する際に託せるそうです。……いつ受け取れるかはわからないでしょうけれど」
サイモンはひとつ、大きな息を吐いた。
それから顔をあげてセストを見る。その表情はもう、いつもの柔和さを取り戻していた。……少なくとも表面的には。
「ところで、領主様にはまだ何か、僕にお話がありそうですね」
それほど長い付き合いではないが、サイモンは少しずつこの若い領主のことが分かってきた。
少なくとも、座り心地の悪い椅子に座っているという点では、互いに分かりあえるような気がしている。もちろん、椅子の高さには随分な差があることも承知しているが。
「そうですね。まずは、移民を希望される場合は、リゼリオまでの護衛をハンターにお願いします。これは魔術師協会から正式に了承を得ています。またハンターの皆様には、聖輝節の名目で、移民希望者と馴染んでいただく機会を設けます」
「……聖輝節?」
「ええ。リアルブルーにはこの時期、そういうお祭りがあると聞きました。郷祭が終わったばかりですが、こういう場合ですし賑やかな方がいいでしょう」
それから、と領主が切り出した件に、サイモンはまたも動揺することになる。
「申し訳ありませんが、その件は……少し持ち帰って考えさせていただいてもよろしいですか?」
「ええ、僕としては特に急ぎませんので。ご検討ください」
会談はそこで終わる。
●帰還前夜
その後、バチャーレ村ではひと騒動があった。
さまざまな意見が噴出し、家族や友人や恋人達の悲喜こもごもがあり、一度決めたことをまたひっくり返すものも少なくなかった。
結局、帰還希望者は20人余りでまとまった。バチャーレ村の現在の人口の3割ほどである。
それはサイモンにとって予想の範疇だったが、ひとつだけ想定外だったことがあった。
帰還希望者の中に、助手を務めてくれていたアルジュナ・シンがいたことである。
「君は残ってくれると思ってたよ」
「すみません。主任とは長い付き合いですし、まだまだこの村を何とかしたいとも思うのですが……主任やマリナと違って、私の本来の仕事が、ここにはない」
浅黒い肌の青年は、惑星調査の専門家だ。
「リアルブルーの宇宙で仕事を続けたいのです」
「そう言われると引きとめられないな。……今度は君が崑崙への移住団の代表になるというわけか」
サイモンは笑いながらアルジュナの肩を叩く。
「ま、最後は賑やかにやろう。いずれまた行き来できる日も来るだろうさ」
そうして聖輝節の日。
少しのほろ苦さを含んだバチャーレ村のお祭りが開催される。
リプレイ本文
●それぞれの準備
聖輝節という名目で集まったハンター達だが、その思いは様々だ。
リアルブルーへの帰還。
それは桜憐りるか(ka3748)のような転移してきた者にとっては、心がざわつく事件である。
黒の夢(ka0187)はりるかのかすかな動揺に気づき、そっと肩を抱き寄せた。
「気になるのなー?」
「気にならないわけはないの……」
暖かく労わられ、りるかはふっと表情を緩ませた。
とはいえ覚醒している身、帰還することはできない。
「ううん、こちらの生活は楽しいの。黒の夢さんのように、新しいお友達もできましたし」
それでも懐かしさが胸にあふれるのはどうしようもない。
だから自分の想いだけでも、一緒に連れて帰ってもらおうと決めたのだ。
ふたりは聖輝節を音楽と踊りで彩るつもりだ。支度を整え、バチャーレ村へと向かう。
一方、数日前にバチャーレ村に到着した一団もいる。
セラ・グレンフェル(ka1049)は村を見下ろせる、小高い丘の上に立つ。
「ここからなら川まで見えるのね」
セラはキラキラ輝く流れをしばらく目を細めて眺めていたが、やがて魔導カメラを構えてシャッターを切った。
「お、いい眺めだな」
後を追ってきたディッシュ・ハーツ(ka1048)も、セラと並んで手をかざす。
セラが村の思い出をアルバムにして贈りたいと言い出した時、真っ先に賛成してくれたのがディッシュだ。
「写真は同じものを残る人、旅立つ人、それぞれに渡そうと思うの。村と崑崙、両方にあったら嬉しいかなって。裏にメッセージを書いてもらえたらいいんだけど」
「共に過ごしてきた思い出に『形』を与えるのもいいもんだよな」
「うん、そうよね。村の人たちの写真も撮りたいわ。現像もしなきゃいけないし、頑張らなくちゃ!」
ふたりはすぐ近くの畑に居る人をみつけ、急いで駆けて行った。
会場となるコンテナの中では、ルーキフェル・ハーツ(ka1064)が真剣な顔で絵筆を握っている。
「ふう。げーじつがうなりますお!」
村の風景だろうか。それとも旅立つ人の心情だろうか。
……と迷うような、不可思議かつ前衛的な絵が看板に描かれている。
ルーキフェルの双子の兄弟、ウェスペル・ハーツ(ka1065)は眼をまんまるにしてその絵に見入っている。
「なんだかげーじつ的なの。すおいの」
何がすごいのかはとにかく言葉に言い表せなかったが、ルーキフェルはその言葉に満足そうに頷く。
「看板はとっても大事ですお。うーはげーじつのりかいしゃですお。」
まあそういうことにしておこうか。
アルヴィース・シマヅ(ka2830)はふたりの様子を耳にしつつ、楽しそうに手を動かしていた。
細身の木製の額縁のようなものに、鳥や植物の文様を彫刻しているのだ。
「しまーはすおいですなの! 鳥さんが羽ばたきそうですなの!」
ウェスペルはこちらは本当の(?)意味ですごいと手放しに誉める。
「ほっほっほ。セラ様の写真を収めるアルバムになるのですからな、爺も気合が入りますぞ」
「しまーがんばるですなの。うーたちも大事なおしごと、がんばりますなの」
ウェスペルは自分の割り当てになった、会場を飾りつける色紙の鎖を作る作業に戻る。
央崎 遥華(ka5644)とパトリシア=K=ポラリス(ka5996)はキアーラ川にいた。
「これがキアーラ石。村を出るみんなの分、キラキラを集めるんダヨ♪」
パトリシアが一つ小さな石を拾い上げ、遥華の手のひらに載せた。
「村のこと、みんなと一緒に過ごした時間のコト。忘れないように、思い出、お土産、ネ♪」
パトリシアがふふっと笑う。
遙華は小さな石を日にすかしてみた。乳白色の柔らかな光が心地よい。
「パティはここのことをよく知ってるのね」
もらった人が幸せになれるという石は、高価ではないが、どこか温かく思えた。
あまり採り過ぎてはいけないが、旅立つ人たちへの贈り物ならと許可をもらったのだ。
パトリシアは次の石を探してしゃがみ込む。
「バチャーレに、クリムゾンウェストに来てカラ……いっぱい、いろいろあったものネ」
楽しいことも、大変だったこともあった。
きっとこの村にやってきた人々にも、たくさんの出来事があったのだろう。
「パーティーの時は、みんなのお話、聞けたらいーな」
「そうね。リアルブルーの人達なら、きっといろいろなお話ができると思うわ」
遙華も川原にしゃがみ込み、幸運の石を探し始めた。
料理組も前日までには村に集まってきた。
キッチンに入ったトルステン=L=ユピテル(ka3946)は、材料を前にメニューを考える。
「缶詰瓶詰でピンチョスやカナッペがイイかね。話をしながらでもつまめるだろうし」
以前に作って好評だったものだ。材料があることも確認できている。
そこに天王寺茜(ka4080)の明るい声が飛び込んできた。
「お芋がこんなに集まりましたよ!」
既に顔見知りになった村人たちと相談して、素材を集めてきたらしい。
「でもやっぱり、主菜がちょっと物足りないかな」
以前に作った保存食は、缶詰の魚など。肉類はサイモン達がまだ狩猟に慣れておらず、鳥肉ぐらいしかない。
それでも茜は何かお腹にたまる料理をと、フリッターを作ろうと思い立った。
「オリーブオイル、小麦粉、卵白、それからお酒……あとはお塩。うん、大丈夫だよね」
並んで材料を吟味していたトルステンが、不意に小さく呟いた。
「……ま、リアルブルーに帰れるならそれが一番に決まってるよな」
パトリシアや茜、トルステンは、LH044出身だ。
料理ひとつとっても、この世界で調達できるものには限りがある。
それに見上げる夜空に馴染んだ星座がないことは、どれほど心寂しいことか。
戻りたいと思う気持ちはよく理解できた。
だが、戻れない人々の気持ちはもっとよくわかる。
「村民が減るのはちっと複雑、かもな」
茜もその言葉に頷いた。
「そうね。サイモンさんもなんとなく元気がないみたいだったし」
トルステンが軽く肩をすくめる。
「後でちょっと声をかけてみるか。こっちの支度にめどがついてからになるケドな」
この村が今の姿になるまでには、ハンター達をはじめ、色々な人の助けが必要だった。
いずれ独り立ちしなければならないし、サイモンたちもそのつもりだが、まだまだ道のりは遠い。
そんな中での帰還話である。
戻ると決めた人々にしても、手放しで喜べるものではないだろう。
「だが帰れる時に帰る。それが今できるってのは幸せなことだぜ」
キリエ(ka5695)は連れてきた愛馬を撫でながら、そう言った。
東方出身の鬼は、そのいかつい外見に反し、思慮深く優しい目をしていた。
異邦人として生きること、帰るべき場所が遠くにあること。
それはクリムゾンウェストという世界にいても、キリエにとっては自分のこととして感じられる。
キリエの言葉にセツナ・ウリヤノヴァ(ka5645)も頷く。
「そうですね。皆様が少しでも心穏やかに帰還できるよう、努めさせていただきましょう」
セツナもまた、異郷の地で生きることを知る者だ。
だからこそ別れは辛くとも、堂々と胸を張って帰っていいのだと、そう伝えたい。
「ここにいたのね」
マリィア・バルデス(ka5848)が馬屋を覗き込む。
「護衛として、対象と顔合わせをしておくのもいいかと思って」
サイモンに時間を取ってもらえるよう言いに行くのだという。
「そうですね。私もご一緒します」
「だな。あちらとしてもその方が安心できるだろうしな」
セツナとキリエもマリィアに賛同した。
●代表の迷い
トルステンが尋ねると、サイモンは温室に居るらしい。
茜と共に向かいながら、辺りを見回す。
「温室っていうより、植物プラントをそのまま持ち込んだ感じだな」
「なんだか懐かしいみたい」
茜がそう言って中を覗き込むと、難しい顔をして何事かを考え込んでいるサイモンが居た。
「サイモンさん」
茜の呼びかけに、ようやくいつもの柔和な笑顔が戻る。
「よくここが分かりましたね」
「皆さんが教えてくださったんです。これ、味見してもらおうと思って」
茜は敢えて明るく言って、できたてのフリッターを差し出す。
「へえ、これは美味しそうだ。では遠慮なく」
トルステンはその様子を伺いながら、切り出した。
「この忙しい時にこんなところでサボりか。……どーかしたんか?」
サイモンが苦笑いで頬を指先で掻いた。
「すみません、ご心配をおかけしまして」
「心配とかじゃねーけどさ。珍しいし」
サイモンは温室の天井を見上げる。
「おふたりなら、僕がどうしてこの温室を使い続けているのかわかるでしょうか」
サルヴァトーレ・ロッソの乗員たちの食料を作り続けていたプラントには、リアルブルー産の植物が詰まっている。
「隔離……ですか」
茜がそっと囁いた。
リアルブルー産の植物を不用意にクリムゾンウェストに植えると、動植物のバランスを破壊しかねない。
逆にクリムゾンウェストの環境で、リアルブルー産の植物は全滅してしまうかもしれない。
「僕たちはここの植物と似ています。……領主様は、帰還によって村民が減ることを心配されて、移住を認めてはどうかと言われました」
「ああ、そっか。あんま背景の違う奴が入って分裂したりとか、ヤだよな」
トルステンにも合点がいった。帰還で揉めた村に、移住で更なる騒動が持ち上がりかねないのだ。
「でもイイんじゃねーの?」
「そうですね……」
茜にも、サイモンの懸念は理解できるのだが。
「この土地で生きていくって、隔離されたままではちょっと違うかなって気がします」
茜は、衣食住を維持できる人数を上限として、と条件をつけ、驚くべきことを言いだした。
「ひとつの基準、というのも変ですけど、お見合いとか、どうでしょう」
「えっ!?」
サイモンが眼鏡の奥の目をまん丸にする。
「住人の男女比や年齢層が偏っていた場合には、いずれ人口の維持が問題になります。お嫁さん、お婿さんを迎えることは、周りの村との縁を繋ぐにもいいと思うんですが」
トルステンの考えも茜のものに近い。
「巧く言えねーけど。何かしらの意味で『旅人』ならクリムゾンウェスト人でも良さそうだな」
「それはそうですが……ううむ……少し考えさせて下さい」
サイモンはロッソの乗員の中では、かなり進歩的なタイプだと自負している。
それでもこの土地に混じり、逞しく生き抜いているトルステンや茜達よりは、まだまだ『リアルブルー人』であることを自覚せざるを得ないのだった。
●宴のはじまり
そして聖輝節の当日。
村は朝早くから宴の準備でごった返していた。
明日には帰還組の出立も控えている。
時折手を止めて村の光景を眺める人々は、なんとも複雑な表情をしていた。
セツナはその様子に、彼らの心中を思う。
(旅立つ方たちも、やはり名残惜しいのでしょうね)
帰還メンバーが決まるまでにも、紆余曲折があったと聞く。
だが今日の宴で、そんなわだかまりも消してあげたい。セツナは抱えていた箱の中から、色紙の鎖を取り出した。
「これはどう飾りますか?」
作成者であるルーキフェルとウェスペルに確認するのである。
「壁に飾りますなの! 金や銀の色紙も使ったから、キラキラしますなの!」
花瓶を抱えたウェスペルの鼻のてっぺんは、真っ赤になっている。冬にも咲く花を探して、駆けまわってきたらしい。
「まあ、お花。咲いていたんですか、素敵ですね」
「お花のそばに、飲み物を置くですお。少し低いとこどもはたすかりますお」
ルーキフェルはうんうん唸りながら、低いテーブルを運んでいる。
彼らは小さいながらもハンターだから、仕事は仕事として頑張るのである。
セツナは手を出すのはかえって失礼と思い、頑張る二人を微笑みながら見守る。
「それでは私は、この鎖を壁にとめて行きましょう。」
「わあ、きれい! わたしにもみせて!」
村の女の子が近付いてきて、セツナが取り出した鎖をそっとつまみあげる。
「壁に飾るととっても綺麗になりますよ。お手伝いしてもらってもいいですか?」
「うん!」
何人かの子供たちが嬉しそうにセツナの周りに集まってきた。
ディッシュはアルヴィースと一緒に、壁際に大きなテーブルを運んできた。
「ここでいいかな……っと」
「上々ですぞ。ちょうど良い高さのテーブルでしたな」
アルヴィースはそう言うと、いそいそと調理場へ戻っていく。
以前にこの村で作ったクワスが気に入ったらしく、今回も張り切って作ったのだ。
「俺も後でちょっとだけいただこうかな」
ディッシュは笑いながら、テーブルにウェスペルの花瓶を置いて、傍に手作りのアルバムを広げる。
アルヴィースが彫刻した木枠にセラが綺麗な布を張り、村の風景を詰め込んだアルバムだ。
セラがページをめくった。最後の部分には余白がある。
「現像が間に合えば、今日のパーティーの写真も追加するわね」
きっと旅立つ人々は、不安を抱えてもいるのだろう。そして残る人々もまた、遠い故郷を想うだろう。
セラは、一緒に過ごした思い出が彼らを繋ぐと信じている。
だから想いに寄り添いながら、少しずつ光景を切り取っていこうと思うのだ。
そうしているうちに、料理の暖かな匂いが部屋いっぱいに広がっていく。
綺麗に飾りつけられた会場には、蝋燭の明かりが揺れていた。
前に押しやられたサイモンが開会を告げる。
「幸せになるために、それぞれが道を選んだわけです。暗い顔はよしましょう。我々全員の前途に、乾杯!」
それを合図に、賑やかな宴が始まった。
柔らかなハープの音色が、人々の間を縫って行く。
東方風の衣装に身を包んだ黒の夢が、妖艶な笑みを振りまきながら歌っているのだ。
黒の夢が奏でる音楽は、ときに夏空の太陽のように明るく、ときに冬空の月のように切なく響く。
ハープにあわせて歌うのは、恋歌に想いを重ねた望郷の歌。
――忘れない。きっと、ずっと。
蒼界を故郷と呼ぶ人たちにとって、この村は第二の故郷。
そこを去る人たちも、残る人たちも、ふたつの故郷を胸に抱いて生きて行く。
でもそれは決して不幸なことではないはず。
楽の音に誘い出されたように、りるかが進み出る。
衣装は黒の夢とおそろいの東方風の着物で、薄い単衣のかつぎを被ってしずしずと歩みを進める。
(やっぱり黒の夢さんの奏でる音や歌は素敵なの……)
りるかは音の一部になったような心持で、扇を広げ、かつぎを翻し、踊る。
気がつけば、音が消えていた。
りるかは夢見心地のまま、静かにお辞儀する。
「楽しんで頂けたのなら、嬉しいの……」
わっとわきあがる歓声と拍手に、ついさっきまで堂々としていた舞い手は、顔を赤らめて逃げ出した。
「やっぱり素敵な踊りなのねー」
黒の夢は可愛い妹分を、ぎゅっと抱きしめる。
「はわわ……! 黒の夢さんの歌と演奏が、とっても素敵だったのです……!」
「ふふっ。そんな風にいわれたら、もっと張り切るよ」
黒の夢はりるかを休ませるように、今度は明るくテンポの速い曲を奏でる。
一区切りつくのを待って、トルステンが声をかけた。
「少しはパーティーを楽しんだらどうだ。演奏は交替でいいだろ」
「はにゃ?」
黒の夢が小首をかしげる。トルステンはバイオリンを抱えていた。
「転移して以来あんま弾いてねーし、鈍ってっかもだけど。場つなぎにぐらいはなるだろーし、俺は接客は苦手だからな」
黒の夢はクスッと笑い、交替を承諾した。
トルステンは、リアルブルーの古いポピュラーソングを選んだ。
帰る者と残る者とを繋ぐ記憶になれば……その想いを音に乗せる。
●往く者、残る者
移住組、残留組、会場の中でそれぞれが集まっていた。
移住組は声をひそめて囁きあいながら、それでもどこか明るく見える。
その中に、キリエの姿があった。
「これか?」
煙管片手に、自分の角を指差す。子供たちだけでなく、大人も興味津津という表情で見つめている。
「ま、珍しいかもしれんがね。それ以外はヒトと変わらねェだろ?」
気を悪くする様子も見せず、からからと明るく笑う。
キリエは簡単に、自分の故郷、東のエトファリカについて語った。
「帰りたくはないのかね?」
村人が尋ねる。
「いずれは帰るさ。でもまだ里帰りにゃ早い。鬼とヒトが手を組んだって言っても、完全に蟠りが消えたわけじゃねェからな」
だが、とキリエは煙管の灰を落とす。
「帰る場所があるってのは良い事さ。お前さんたちは、責任もって道中無事に送り届けるぜ。大船に乗った気でいてくれや」
どこかほっとした空気が流れる。
このまま放りだされてしまうのではないかと、やはり不安があったのだろう。
そこにルーキフェルとウェスペルが、お盆にのせた飲み物を運んできた。
「るーたちのこと覚えてますかお? 村、最初に来た時より、ずーっと過ごしやすくなってびっくりしましたお」
移住してきて、大変なことはたくさんあっただろう。
その頑張りは村の発展となって表れている。それだけに、去る方にも心残りはあるだろう。
「るーはこっちで、うーといっしょにみんなの村を守りますお」
「守るなの! だから安心してほしいなの。それで、みんなもまた元の世界でがんばってほしいなの」
小さな手を差し出し、一人ずつと握手して回る。
言葉では伝えきれない頑張れを、ぎゅっと握った手から伝えるために。
遥華も料理を運んできてその集団に混じる。
「ちょっと前までは私も、あっちに帰りたいとか寂しいとか思っていました」
誰だって、見知らぬ場所にいきなり放り出されたらそうなるだろう。
「でも今では弟もこっちにいるし、大好きな友達もいっぱいできたんです。それに、自分が役に立てることがあるってこともわかりました」
遥華はにっこりと笑って見せる。笑っていれば、不安はどこかへ消えていく。
「きっといつか、自由に行き来できる日が来るでしょう。そしたらまた、遊びに来てくださいね」
マリィアが会場の巨大なコンテナを懐かしそうに見上げる。
「私は、転移前にはLH044に駐屯する宇宙軍所属の中尉でした。とはいえ、この世界に転移してから、退役しましたが」
重い過去。
所属部隊からは多くの未帰還者を出した。
(もし彼らが生きていれば、この人たちと一緒に崑崙へ帰れたかもしれないわね)
だから戦友たちの代わりに、この村の人々を無事に帰してあげたい。
それがせめてもの手向けになる、そう信じたい。
マリィアは表情を改める。
「皆様がリアルブルーに帰られること、その決断をされたこと、心よりお喜び申し上げます。軍属ではなくハンターとしてとして参加しますが、警護はどうぞお任せ下さい」
帰ることを、後ろめたく思うことなどない。
残る人を、憐れむこともない。
互いにしっかりと生きていくために選んだ道なのだから。
別の一角では、サイモンを気遣う人々がいた。
りるかはかつぎの陰から、そっと声をかける。
「今日は、おつかれさま……でした。サイモンさん、助手の方がいなくなるとたいへんではないの……でしょうか?」
ディッシュは綺麗に盛りつけられたカナッペをじっと見つめる。
「この料理は村の材料で作られているのだったね。……自給自足分だけでも大変だろうし、販売するには人手が足りないだろう」
「それはそうなのですがね」
サイモンが手短に、自分の考えを説明する。
今回の件で、同じロッソからの移民でも意見が割れた。ここに今すぐ新しい人々を迎えることは難しいのではないか、と。
「ま、それもそうかもしれないな」
ディッシュも考え込む。
アルヴィースはサイモンにクワスを勧めた。
「そうですなあ……少なくとも、同じ物を食べ美味いと笑いあえるかどうか、は大事ですな。逆にいえば、種族の違いの問題は、そこではないかと思いますぞ」
ディッシュがその言葉に頷く。
「俺は今年の夏も、この旨いクワスが飲みたいと思うよ」
そのためには村が村として成り立たねばならないのだ。
「実験的に移住を受け入れるっていう方法もあると思うんだが、どうだろう」
「移住ですか……」
サイモンの険しい表情を、パトリシアが覗き込んだ。
「あのね。パティね、クリムゾンウェストに来てカラしばらく迷子だったカラ。ダカラ、バチャーレがあっテ嬉しーんダヨ」
異邦人でありながら、居場所を作りだした人々。
彼らはタンポポの綿毛が根をおろすように、このクリムゾンウェストにしっかりと降り立ったのだ。
「パティは此処には住めないケドネ、デモ、ステンやハンターのお友達も出来た。ほかのひとりぼっちさんにもお友達トカ、居場所トカ、あるといいなって思うんダヨ」
――それがこのバチャーレなら、きっと素敵。
――あなたたちなら、きっとできる。
ハンター達の視線が集まり、サイモンは小さく笑う。
「……そうですね。他のみんなとも相談してみることにします」
●新たな旅立ち
翌日。
帰還組は、大型の魔導トラックに荷物を積み込む。
「折角だから乗ってみますか?」
セツナは友達と別れるのがさびしくてぐずっている子供を、自分の馬に乗せた。
セラは子供の顔を優しく撫で、アルバムを見せる。
「さびしくないわ。ほら、みんな笑ってる。あなたが大きくなる頃には、きっとまた会えるはずよ」
その場限りの言い逃れだとは思わない。
この子がクリムゾンウェストの空を忘れなければ、願いはきっとかなえられるだろう。
浅黒い肌の青年が、サイモンと握手を交わす。
「では主任、色々とありがとうございました。……お元気で」
「そっちも元気で。……これを持って行ってくれるか」
サイモンは小さな瓶を手渡す。
「こっちの世界の小麦だ。訳のわからない異世界ではなかったと、そうみんなに伝えてほしいんだ」
「……はい。必ず」
青年は袖で目元をぬぐい、それから笑って見せた。手にはしっかりと小瓶を握りしめて――。
こうしてハンター達に付き添われ、サルヴァトーレ・ロッソに戻っていく人々。
彼らにとっては文字通り、新たな旅立ちの日だ。
同時に、バチャーレ村に残った人々にとっても旅立ちの日である。
――真のクリムゾンウェストの民になるとはどういうことか。
答えを探す新たな旅は、いま始まったばかりである。
<了>
聖輝節という名目で集まったハンター達だが、その思いは様々だ。
リアルブルーへの帰還。
それは桜憐りるか(ka3748)のような転移してきた者にとっては、心がざわつく事件である。
黒の夢(ka0187)はりるかのかすかな動揺に気づき、そっと肩を抱き寄せた。
「気になるのなー?」
「気にならないわけはないの……」
暖かく労わられ、りるかはふっと表情を緩ませた。
とはいえ覚醒している身、帰還することはできない。
「ううん、こちらの生活は楽しいの。黒の夢さんのように、新しいお友達もできましたし」
それでも懐かしさが胸にあふれるのはどうしようもない。
だから自分の想いだけでも、一緒に連れて帰ってもらおうと決めたのだ。
ふたりは聖輝節を音楽と踊りで彩るつもりだ。支度を整え、バチャーレ村へと向かう。
一方、数日前にバチャーレ村に到着した一団もいる。
セラ・グレンフェル(ka1049)は村を見下ろせる、小高い丘の上に立つ。
「ここからなら川まで見えるのね」
セラはキラキラ輝く流れをしばらく目を細めて眺めていたが、やがて魔導カメラを構えてシャッターを切った。
「お、いい眺めだな」
後を追ってきたディッシュ・ハーツ(ka1048)も、セラと並んで手をかざす。
セラが村の思い出をアルバムにして贈りたいと言い出した時、真っ先に賛成してくれたのがディッシュだ。
「写真は同じものを残る人、旅立つ人、それぞれに渡そうと思うの。村と崑崙、両方にあったら嬉しいかなって。裏にメッセージを書いてもらえたらいいんだけど」
「共に過ごしてきた思い出に『形』を与えるのもいいもんだよな」
「うん、そうよね。村の人たちの写真も撮りたいわ。現像もしなきゃいけないし、頑張らなくちゃ!」
ふたりはすぐ近くの畑に居る人をみつけ、急いで駆けて行った。
会場となるコンテナの中では、ルーキフェル・ハーツ(ka1064)が真剣な顔で絵筆を握っている。
「ふう。げーじつがうなりますお!」
村の風景だろうか。それとも旅立つ人の心情だろうか。
……と迷うような、不可思議かつ前衛的な絵が看板に描かれている。
ルーキフェルの双子の兄弟、ウェスペル・ハーツ(ka1065)は眼をまんまるにしてその絵に見入っている。
「なんだかげーじつ的なの。すおいの」
何がすごいのかはとにかく言葉に言い表せなかったが、ルーキフェルはその言葉に満足そうに頷く。
「看板はとっても大事ですお。うーはげーじつのりかいしゃですお。」
まあそういうことにしておこうか。
アルヴィース・シマヅ(ka2830)はふたりの様子を耳にしつつ、楽しそうに手を動かしていた。
細身の木製の額縁のようなものに、鳥や植物の文様を彫刻しているのだ。
「しまーはすおいですなの! 鳥さんが羽ばたきそうですなの!」
ウェスペルはこちらは本当の(?)意味ですごいと手放しに誉める。
「ほっほっほ。セラ様の写真を収めるアルバムになるのですからな、爺も気合が入りますぞ」
「しまーがんばるですなの。うーたちも大事なおしごと、がんばりますなの」
ウェスペルは自分の割り当てになった、会場を飾りつける色紙の鎖を作る作業に戻る。
央崎 遥華(ka5644)とパトリシア=K=ポラリス(ka5996)はキアーラ川にいた。
「これがキアーラ石。村を出るみんなの分、キラキラを集めるんダヨ♪」
パトリシアが一つ小さな石を拾い上げ、遥華の手のひらに載せた。
「村のこと、みんなと一緒に過ごした時間のコト。忘れないように、思い出、お土産、ネ♪」
パトリシアがふふっと笑う。
遙華は小さな石を日にすかしてみた。乳白色の柔らかな光が心地よい。
「パティはここのことをよく知ってるのね」
もらった人が幸せになれるという石は、高価ではないが、どこか温かく思えた。
あまり採り過ぎてはいけないが、旅立つ人たちへの贈り物ならと許可をもらったのだ。
パトリシアは次の石を探してしゃがみ込む。
「バチャーレに、クリムゾンウェストに来てカラ……いっぱい、いろいろあったものネ」
楽しいことも、大変だったこともあった。
きっとこの村にやってきた人々にも、たくさんの出来事があったのだろう。
「パーティーの時は、みんなのお話、聞けたらいーな」
「そうね。リアルブルーの人達なら、きっといろいろなお話ができると思うわ」
遙華も川原にしゃがみ込み、幸運の石を探し始めた。
料理組も前日までには村に集まってきた。
キッチンに入ったトルステン=L=ユピテル(ka3946)は、材料を前にメニューを考える。
「缶詰瓶詰でピンチョスやカナッペがイイかね。話をしながらでもつまめるだろうし」
以前に作って好評だったものだ。材料があることも確認できている。
そこに天王寺茜(ka4080)の明るい声が飛び込んできた。
「お芋がこんなに集まりましたよ!」
既に顔見知りになった村人たちと相談して、素材を集めてきたらしい。
「でもやっぱり、主菜がちょっと物足りないかな」
以前に作った保存食は、缶詰の魚など。肉類はサイモン達がまだ狩猟に慣れておらず、鳥肉ぐらいしかない。
それでも茜は何かお腹にたまる料理をと、フリッターを作ろうと思い立った。
「オリーブオイル、小麦粉、卵白、それからお酒……あとはお塩。うん、大丈夫だよね」
並んで材料を吟味していたトルステンが、不意に小さく呟いた。
「……ま、リアルブルーに帰れるならそれが一番に決まってるよな」
パトリシアや茜、トルステンは、LH044出身だ。
料理ひとつとっても、この世界で調達できるものには限りがある。
それに見上げる夜空に馴染んだ星座がないことは、どれほど心寂しいことか。
戻りたいと思う気持ちはよく理解できた。
だが、戻れない人々の気持ちはもっとよくわかる。
「村民が減るのはちっと複雑、かもな」
茜もその言葉に頷いた。
「そうね。サイモンさんもなんとなく元気がないみたいだったし」
トルステンが軽く肩をすくめる。
「後でちょっと声をかけてみるか。こっちの支度にめどがついてからになるケドな」
この村が今の姿になるまでには、ハンター達をはじめ、色々な人の助けが必要だった。
いずれ独り立ちしなければならないし、サイモンたちもそのつもりだが、まだまだ道のりは遠い。
そんな中での帰還話である。
戻ると決めた人々にしても、手放しで喜べるものではないだろう。
「だが帰れる時に帰る。それが今できるってのは幸せなことだぜ」
キリエ(ka5695)は連れてきた愛馬を撫でながら、そう言った。
東方出身の鬼は、そのいかつい外見に反し、思慮深く優しい目をしていた。
異邦人として生きること、帰るべき場所が遠くにあること。
それはクリムゾンウェストという世界にいても、キリエにとっては自分のこととして感じられる。
キリエの言葉にセツナ・ウリヤノヴァ(ka5645)も頷く。
「そうですね。皆様が少しでも心穏やかに帰還できるよう、努めさせていただきましょう」
セツナもまた、異郷の地で生きることを知る者だ。
だからこそ別れは辛くとも、堂々と胸を張って帰っていいのだと、そう伝えたい。
「ここにいたのね」
マリィア・バルデス(ka5848)が馬屋を覗き込む。
「護衛として、対象と顔合わせをしておくのもいいかと思って」
サイモンに時間を取ってもらえるよう言いに行くのだという。
「そうですね。私もご一緒します」
「だな。あちらとしてもその方が安心できるだろうしな」
セツナとキリエもマリィアに賛同した。
●代表の迷い
トルステンが尋ねると、サイモンは温室に居るらしい。
茜と共に向かいながら、辺りを見回す。
「温室っていうより、植物プラントをそのまま持ち込んだ感じだな」
「なんだか懐かしいみたい」
茜がそう言って中を覗き込むと、難しい顔をして何事かを考え込んでいるサイモンが居た。
「サイモンさん」
茜の呼びかけに、ようやくいつもの柔和な笑顔が戻る。
「よくここが分かりましたね」
「皆さんが教えてくださったんです。これ、味見してもらおうと思って」
茜は敢えて明るく言って、できたてのフリッターを差し出す。
「へえ、これは美味しそうだ。では遠慮なく」
トルステンはその様子を伺いながら、切り出した。
「この忙しい時にこんなところでサボりか。……どーかしたんか?」
サイモンが苦笑いで頬を指先で掻いた。
「すみません、ご心配をおかけしまして」
「心配とかじゃねーけどさ。珍しいし」
サイモンは温室の天井を見上げる。
「おふたりなら、僕がどうしてこの温室を使い続けているのかわかるでしょうか」
サルヴァトーレ・ロッソの乗員たちの食料を作り続けていたプラントには、リアルブルー産の植物が詰まっている。
「隔離……ですか」
茜がそっと囁いた。
リアルブルー産の植物を不用意にクリムゾンウェストに植えると、動植物のバランスを破壊しかねない。
逆にクリムゾンウェストの環境で、リアルブルー産の植物は全滅してしまうかもしれない。
「僕たちはここの植物と似ています。……領主様は、帰還によって村民が減ることを心配されて、移住を認めてはどうかと言われました」
「ああ、そっか。あんま背景の違う奴が入って分裂したりとか、ヤだよな」
トルステンにも合点がいった。帰還で揉めた村に、移住で更なる騒動が持ち上がりかねないのだ。
「でもイイんじゃねーの?」
「そうですね……」
茜にも、サイモンの懸念は理解できるのだが。
「この土地で生きていくって、隔離されたままではちょっと違うかなって気がします」
茜は、衣食住を維持できる人数を上限として、と条件をつけ、驚くべきことを言いだした。
「ひとつの基準、というのも変ですけど、お見合いとか、どうでしょう」
「えっ!?」
サイモンが眼鏡の奥の目をまん丸にする。
「住人の男女比や年齢層が偏っていた場合には、いずれ人口の維持が問題になります。お嫁さん、お婿さんを迎えることは、周りの村との縁を繋ぐにもいいと思うんですが」
トルステンの考えも茜のものに近い。
「巧く言えねーけど。何かしらの意味で『旅人』ならクリムゾンウェスト人でも良さそうだな」
「それはそうですが……ううむ……少し考えさせて下さい」
サイモンはロッソの乗員の中では、かなり進歩的なタイプだと自負している。
それでもこの土地に混じり、逞しく生き抜いているトルステンや茜達よりは、まだまだ『リアルブルー人』であることを自覚せざるを得ないのだった。
●宴のはじまり
そして聖輝節の当日。
村は朝早くから宴の準備でごった返していた。
明日には帰還組の出立も控えている。
時折手を止めて村の光景を眺める人々は、なんとも複雑な表情をしていた。
セツナはその様子に、彼らの心中を思う。
(旅立つ方たちも、やはり名残惜しいのでしょうね)
帰還メンバーが決まるまでにも、紆余曲折があったと聞く。
だが今日の宴で、そんなわだかまりも消してあげたい。セツナは抱えていた箱の中から、色紙の鎖を取り出した。
「これはどう飾りますか?」
作成者であるルーキフェルとウェスペルに確認するのである。
「壁に飾りますなの! 金や銀の色紙も使ったから、キラキラしますなの!」
花瓶を抱えたウェスペルの鼻のてっぺんは、真っ赤になっている。冬にも咲く花を探して、駆けまわってきたらしい。
「まあ、お花。咲いていたんですか、素敵ですね」
「お花のそばに、飲み物を置くですお。少し低いとこどもはたすかりますお」
ルーキフェルはうんうん唸りながら、低いテーブルを運んでいる。
彼らは小さいながらもハンターだから、仕事は仕事として頑張るのである。
セツナは手を出すのはかえって失礼と思い、頑張る二人を微笑みながら見守る。
「それでは私は、この鎖を壁にとめて行きましょう。」
「わあ、きれい! わたしにもみせて!」
村の女の子が近付いてきて、セツナが取り出した鎖をそっとつまみあげる。
「壁に飾るととっても綺麗になりますよ。お手伝いしてもらってもいいですか?」
「うん!」
何人かの子供たちが嬉しそうにセツナの周りに集まってきた。
ディッシュはアルヴィースと一緒に、壁際に大きなテーブルを運んできた。
「ここでいいかな……っと」
「上々ですぞ。ちょうど良い高さのテーブルでしたな」
アルヴィースはそう言うと、いそいそと調理場へ戻っていく。
以前にこの村で作ったクワスが気に入ったらしく、今回も張り切って作ったのだ。
「俺も後でちょっとだけいただこうかな」
ディッシュは笑いながら、テーブルにウェスペルの花瓶を置いて、傍に手作りのアルバムを広げる。
アルヴィースが彫刻した木枠にセラが綺麗な布を張り、村の風景を詰め込んだアルバムだ。
セラがページをめくった。最後の部分には余白がある。
「現像が間に合えば、今日のパーティーの写真も追加するわね」
きっと旅立つ人々は、不安を抱えてもいるのだろう。そして残る人々もまた、遠い故郷を想うだろう。
セラは、一緒に過ごした思い出が彼らを繋ぐと信じている。
だから想いに寄り添いながら、少しずつ光景を切り取っていこうと思うのだ。
そうしているうちに、料理の暖かな匂いが部屋いっぱいに広がっていく。
綺麗に飾りつけられた会場には、蝋燭の明かりが揺れていた。
前に押しやられたサイモンが開会を告げる。
「幸せになるために、それぞれが道を選んだわけです。暗い顔はよしましょう。我々全員の前途に、乾杯!」
それを合図に、賑やかな宴が始まった。
柔らかなハープの音色が、人々の間を縫って行く。
東方風の衣装に身を包んだ黒の夢が、妖艶な笑みを振りまきながら歌っているのだ。
黒の夢が奏でる音楽は、ときに夏空の太陽のように明るく、ときに冬空の月のように切なく響く。
ハープにあわせて歌うのは、恋歌に想いを重ねた望郷の歌。
――忘れない。きっと、ずっと。
蒼界を故郷と呼ぶ人たちにとって、この村は第二の故郷。
そこを去る人たちも、残る人たちも、ふたつの故郷を胸に抱いて生きて行く。
でもそれは決して不幸なことではないはず。
楽の音に誘い出されたように、りるかが進み出る。
衣装は黒の夢とおそろいの東方風の着物で、薄い単衣のかつぎを被ってしずしずと歩みを進める。
(やっぱり黒の夢さんの奏でる音や歌は素敵なの……)
りるかは音の一部になったような心持で、扇を広げ、かつぎを翻し、踊る。
気がつけば、音が消えていた。
りるかは夢見心地のまま、静かにお辞儀する。
「楽しんで頂けたのなら、嬉しいの……」
わっとわきあがる歓声と拍手に、ついさっきまで堂々としていた舞い手は、顔を赤らめて逃げ出した。
「やっぱり素敵な踊りなのねー」
黒の夢は可愛い妹分を、ぎゅっと抱きしめる。
「はわわ……! 黒の夢さんの歌と演奏が、とっても素敵だったのです……!」
「ふふっ。そんな風にいわれたら、もっと張り切るよ」
黒の夢はりるかを休ませるように、今度は明るくテンポの速い曲を奏でる。
一区切りつくのを待って、トルステンが声をかけた。
「少しはパーティーを楽しんだらどうだ。演奏は交替でいいだろ」
「はにゃ?」
黒の夢が小首をかしげる。トルステンはバイオリンを抱えていた。
「転移して以来あんま弾いてねーし、鈍ってっかもだけど。場つなぎにぐらいはなるだろーし、俺は接客は苦手だからな」
黒の夢はクスッと笑い、交替を承諾した。
トルステンは、リアルブルーの古いポピュラーソングを選んだ。
帰る者と残る者とを繋ぐ記憶になれば……その想いを音に乗せる。
●往く者、残る者
移住組、残留組、会場の中でそれぞれが集まっていた。
移住組は声をひそめて囁きあいながら、それでもどこか明るく見える。
その中に、キリエの姿があった。
「これか?」
煙管片手に、自分の角を指差す。子供たちだけでなく、大人も興味津津という表情で見つめている。
「ま、珍しいかもしれんがね。それ以外はヒトと変わらねェだろ?」
気を悪くする様子も見せず、からからと明るく笑う。
キリエは簡単に、自分の故郷、東のエトファリカについて語った。
「帰りたくはないのかね?」
村人が尋ねる。
「いずれは帰るさ。でもまだ里帰りにゃ早い。鬼とヒトが手を組んだって言っても、完全に蟠りが消えたわけじゃねェからな」
だが、とキリエは煙管の灰を落とす。
「帰る場所があるってのは良い事さ。お前さんたちは、責任もって道中無事に送り届けるぜ。大船に乗った気でいてくれや」
どこかほっとした空気が流れる。
このまま放りだされてしまうのではないかと、やはり不安があったのだろう。
そこにルーキフェルとウェスペルが、お盆にのせた飲み物を運んできた。
「るーたちのこと覚えてますかお? 村、最初に来た時より、ずーっと過ごしやすくなってびっくりしましたお」
移住してきて、大変なことはたくさんあっただろう。
その頑張りは村の発展となって表れている。それだけに、去る方にも心残りはあるだろう。
「るーはこっちで、うーといっしょにみんなの村を守りますお」
「守るなの! だから安心してほしいなの。それで、みんなもまた元の世界でがんばってほしいなの」
小さな手を差し出し、一人ずつと握手して回る。
言葉では伝えきれない頑張れを、ぎゅっと握った手から伝えるために。
遥華も料理を運んできてその集団に混じる。
「ちょっと前までは私も、あっちに帰りたいとか寂しいとか思っていました」
誰だって、見知らぬ場所にいきなり放り出されたらそうなるだろう。
「でも今では弟もこっちにいるし、大好きな友達もいっぱいできたんです。それに、自分が役に立てることがあるってこともわかりました」
遥華はにっこりと笑って見せる。笑っていれば、不安はどこかへ消えていく。
「きっといつか、自由に行き来できる日が来るでしょう。そしたらまた、遊びに来てくださいね」
マリィアが会場の巨大なコンテナを懐かしそうに見上げる。
「私は、転移前にはLH044に駐屯する宇宙軍所属の中尉でした。とはいえ、この世界に転移してから、退役しましたが」
重い過去。
所属部隊からは多くの未帰還者を出した。
(もし彼らが生きていれば、この人たちと一緒に崑崙へ帰れたかもしれないわね)
だから戦友たちの代わりに、この村の人々を無事に帰してあげたい。
それがせめてもの手向けになる、そう信じたい。
マリィアは表情を改める。
「皆様がリアルブルーに帰られること、その決断をされたこと、心よりお喜び申し上げます。軍属ではなくハンターとしてとして参加しますが、警護はどうぞお任せ下さい」
帰ることを、後ろめたく思うことなどない。
残る人を、憐れむこともない。
互いにしっかりと生きていくために選んだ道なのだから。
別の一角では、サイモンを気遣う人々がいた。
りるかはかつぎの陰から、そっと声をかける。
「今日は、おつかれさま……でした。サイモンさん、助手の方がいなくなるとたいへんではないの……でしょうか?」
ディッシュは綺麗に盛りつけられたカナッペをじっと見つめる。
「この料理は村の材料で作られているのだったね。……自給自足分だけでも大変だろうし、販売するには人手が足りないだろう」
「それはそうなのですがね」
サイモンが手短に、自分の考えを説明する。
今回の件で、同じロッソからの移民でも意見が割れた。ここに今すぐ新しい人々を迎えることは難しいのではないか、と。
「ま、それもそうかもしれないな」
ディッシュも考え込む。
アルヴィースはサイモンにクワスを勧めた。
「そうですなあ……少なくとも、同じ物を食べ美味いと笑いあえるかどうか、は大事ですな。逆にいえば、種族の違いの問題は、そこではないかと思いますぞ」
ディッシュがその言葉に頷く。
「俺は今年の夏も、この旨いクワスが飲みたいと思うよ」
そのためには村が村として成り立たねばならないのだ。
「実験的に移住を受け入れるっていう方法もあると思うんだが、どうだろう」
「移住ですか……」
サイモンの険しい表情を、パトリシアが覗き込んだ。
「あのね。パティね、クリムゾンウェストに来てカラしばらく迷子だったカラ。ダカラ、バチャーレがあっテ嬉しーんダヨ」
異邦人でありながら、居場所を作りだした人々。
彼らはタンポポの綿毛が根をおろすように、このクリムゾンウェストにしっかりと降り立ったのだ。
「パティは此処には住めないケドネ、デモ、ステンやハンターのお友達も出来た。ほかのひとりぼっちさんにもお友達トカ、居場所トカ、あるといいなって思うんダヨ」
――それがこのバチャーレなら、きっと素敵。
――あなたたちなら、きっとできる。
ハンター達の視線が集まり、サイモンは小さく笑う。
「……そうですね。他のみんなとも相談してみることにします」
●新たな旅立ち
翌日。
帰還組は、大型の魔導トラックに荷物を積み込む。
「折角だから乗ってみますか?」
セツナは友達と別れるのがさびしくてぐずっている子供を、自分の馬に乗せた。
セラは子供の顔を優しく撫で、アルバムを見せる。
「さびしくないわ。ほら、みんな笑ってる。あなたが大きくなる頃には、きっとまた会えるはずよ」
その場限りの言い逃れだとは思わない。
この子がクリムゾンウェストの空を忘れなければ、願いはきっとかなえられるだろう。
浅黒い肌の青年が、サイモンと握手を交わす。
「では主任、色々とありがとうございました。……お元気で」
「そっちも元気で。……これを持って行ってくれるか」
サイモンは小さな瓶を手渡す。
「こっちの世界の小麦だ。訳のわからない異世界ではなかったと、そうみんなに伝えてほしいんだ」
「……はい。必ず」
青年は袖で目元をぬぐい、それから笑って見せた。手にはしっかりと小瓶を握りしめて――。
こうしてハンター達に付き添われ、サルヴァトーレ・ロッソに戻っていく人々。
彼らにとっては文字通り、新たな旅立ちの日だ。
同時に、バチャーレ村に残った人々にとっても旅立ちの日である。
――真のクリムゾンウェストの民になるとはどういうことか。
答えを探す新たな旅は、いま始まったばかりである。
<了>
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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聖輝節相談卓 アルヴィース・シマヅ(ka2830) ドワーフ|50才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/01/03 07:10:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/03 07:11:42 |