ゲスト
(ka0000)
【万節】着ぐるみ。屋台。音楽家。
マスター:馬車猪
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/10/10 22:00
- 完成日
- 2014/10/18 04:28
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
崖上都市ピースホライズン。
ここは商売の街であり、歓楽の街でもあり、同時に芸能の街でもあった。
「とりっくおあとりぃぃぃっとぉうっ!」
パンプキンヘッドな着ぐるみが激しく震えている。
場所はハロウィンのプレイベント会場の1つ。毎年華やかな歌と踊りに満たされているここで、着ぐるみによる新機軸ダンスが披露されていた。
「とりぃぃぃっ」
ぜぇはぁという息切れの音が叫びの中に混じっていた。
「い、と」
着ぐるみの中身が力尽きる。
パンプキンヘッドが強烈な勢いで頭から倒れ、勢いよく前転して隣の通りまで転がっていく。
「体張ってるな」
「まだまだ未熟」
「でも光るものがある」
大御所っぽくコメントするのはご近所に住むご老人方だ。
「がんばれー」
「次も期待してるぞ―」
「パンプキーン!」
これが、今のピースホライズンの日常だった。
●ピースホライズン住宅地の教会
「けれどパンプキンヘッドは二度と現れなかったのです」
沈痛な面持ちでコメントするのはピースホライズンが本拠のエクラ教司教。
パンプキーン! と叫んでいた人物である。
「はい」
イコニアは、このひと何いってるのという内心を隠してうなずいている。
司教と司祭の差は大きい。ツッコミを入れたくても我慢するしかなかった。
「つまりそういう訳なのです」
分かるよね? と地位と実績に相応しい圧力が押し寄せる。
出張してきただけの人間に分かるかばかぁっ。と言い返したいけれど言い返せない。
「ハンターを呼びましょう。各国とリアルブルーに詳しい彼等なら良い刺激になってくれるはずです」
ハンターズソサエティ支部への丸投げを神妙な態度で提案する。
司教は我が意を得たりとうなずいて、依頼のための手続きをイコニアに任せた。
「今日は徹夜かな」
イコニアは虚ろな目をして与えられた部屋へ戻る。
執務机の上では、いつの間にか入り込んだパルムが筆記用具で遊んでいた。
「駄目ですよ」
椅子に座って感情のない目で見下ろす。パルムは怯えて逃げようとするが、イコニアがそっと両手で押さえる方が早かった。
「伝言お願いしますね」
キノコは羽ペンを抱えたまま何度も首を上下に振っていた。
●出演依頼
ここはリゼリオにあるハンターオフィス本部。
その隅っこに投影された3Dディスプレイから、非常にテンション低めな声が聞こえていた。
『常設ステージ周辺を盛り上げてください』
お前いったい何言ってんだという視線が集まる。
『歌、演奏、演劇、着ぐるみを着込んでの演劇でもいいですし、屋台でも……』
食べ物を売るもよし、射的や金魚すくいをするもよし。ピースホライズンに喧嘩を売らない範囲なら何をしてもよいらしい。
『あれをしては駄目だとかこれはすべきでないとかいうつもりはありません。報酬の出所は教会ではなく司教様個人ですし』
「公私混同じゃねーのか」
『地元教会の地元への奉仕です。ですので公私混同ではない、です、たぶん』
うふふと妙に威圧感がある笑い声。
『教会のコネで楽器や衣装を借りることができます。屋台の機材レンタルや場所代もこちらが負担します。地元のクルセイダーが着ていたカボチャ着ぐるみもありますよ』
中の人は激しい運動に耐えきれずダウン中だった。
『拘束期間は5日。準備期間は3日。演技や出店可能なのが2日です。午前の客層は旅行者と地元高齢者と子供、午後の客層は青年男女の、その』
感情が回復して声に羞恥の色が混じる。
『お客さんがそういう雰囲気になっても邪魔はしないであげてください。もしそんなことをしそうだったら穏便に宿に誘導をする感じで。よろしくお願いします!』
勢いよく下げた頭とキノコの頭の激突音が響き、唐突に録音が途切れたのだった。
ここは商売の街であり、歓楽の街でもあり、同時に芸能の街でもあった。
「とりっくおあとりぃぃぃっとぉうっ!」
パンプキンヘッドな着ぐるみが激しく震えている。
場所はハロウィンのプレイベント会場の1つ。毎年華やかな歌と踊りに満たされているここで、着ぐるみによる新機軸ダンスが披露されていた。
「とりぃぃぃっ」
ぜぇはぁという息切れの音が叫びの中に混じっていた。
「い、と」
着ぐるみの中身が力尽きる。
パンプキンヘッドが強烈な勢いで頭から倒れ、勢いよく前転して隣の通りまで転がっていく。
「体張ってるな」
「まだまだ未熟」
「でも光るものがある」
大御所っぽくコメントするのはご近所に住むご老人方だ。
「がんばれー」
「次も期待してるぞ―」
「パンプキーン!」
これが、今のピースホライズンの日常だった。
●ピースホライズン住宅地の教会
「けれどパンプキンヘッドは二度と現れなかったのです」
沈痛な面持ちでコメントするのはピースホライズンが本拠のエクラ教司教。
パンプキーン! と叫んでいた人物である。
「はい」
イコニアは、このひと何いってるのという内心を隠してうなずいている。
司教と司祭の差は大きい。ツッコミを入れたくても我慢するしかなかった。
「つまりそういう訳なのです」
分かるよね? と地位と実績に相応しい圧力が押し寄せる。
出張してきただけの人間に分かるかばかぁっ。と言い返したいけれど言い返せない。
「ハンターを呼びましょう。各国とリアルブルーに詳しい彼等なら良い刺激になってくれるはずです」
ハンターズソサエティ支部への丸投げを神妙な態度で提案する。
司教は我が意を得たりとうなずいて、依頼のための手続きをイコニアに任せた。
「今日は徹夜かな」
イコニアは虚ろな目をして与えられた部屋へ戻る。
執務机の上では、いつの間にか入り込んだパルムが筆記用具で遊んでいた。
「駄目ですよ」
椅子に座って感情のない目で見下ろす。パルムは怯えて逃げようとするが、イコニアがそっと両手で押さえる方が早かった。
「伝言お願いしますね」
キノコは羽ペンを抱えたまま何度も首を上下に振っていた。
●出演依頼
ここはリゼリオにあるハンターオフィス本部。
その隅っこに投影された3Dディスプレイから、非常にテンション低めな声が聞こえていた。
『常設ステージ周辺を盛り上げてください』
お前いったい何言ってんだという視線が集まる。
『歌、演奏、演劇、着ぐるみを着込んでの演劇でもいいですし、屋台でも……』
食べ物を売るもよし、射的や金魚すくいをするもよし。ピースホライズンに喧嘩を売らない範囲なら何をしてもよいらしい。
『あれをしては駄目だとかこれはすべきでないとかいうつもりはありません。報酬の出所は教会ではなく司教様個人ですし』
「公私混同じゃねーのか」
『地元教会の地元への奉仕です。ですので公私混同ではない、です、たぶん』
うふふと妙に威圧感がある笑い声。
『教会のコネで楽器や衣装を借りることができます。屋台の機材レンタルや場所代もこちらが負担します。地元のクルセイダーが着ていたカボチャ着ぐるみもありますよ』
中の人は激しい運動に耐えきれずダウン中だった。
『拘束期間は5日。準備期間は3日。演技や出店可能なのが2日です。午前の客層は旅行者と地元高齢者と子供、午後の客層は青年男女の、その』
感情が回復して声に羞恥の色が混じる。
『お客さんがそういう雰囲気になっても邪魔はしないであげてください。もしそんなことをしそうだったら穏便に宿に誘導をする感じで。よろしくお願いします!』
勢いよく下げた頭とキノコの頭の激突音が響き、唐突に録音が途切れたのだった。
リプレイ本文
●一人二役
聖堂教会の屋根が見える野外ステージとその客席。
平日でも賑やかなはずのそこが、緊張感を孕んで静まりかえっていた。
「いつも食べられてばっかりじゃん。不公平だ」
子供が中に入れる大きさのカボチャに、滑稽さの中に狂気を感じさせる顔が彫り込まれている。
「オレも人間食べたい!」
無垢と残酷と食欲の入り混じった女の子の声が、観客の心をひやりと冷やす。
「なんて恐ろしい……」
カボチャの前でよろめくマリル&メリル(ka3294)。
「お前はカボチャじゃない。鬼みたいなヤツ!」
恐怖に耐え避難する声は可憐で耳に優しい。
観客の半数ほどが、南瓜の声の少女の声が同一であることに気づいている。
気づいているから強烈に舞台へ引き込まれている。
「いいなそれ! 俺は今からオニカボチャだ! そらっ」
少女が喉をかきむしる。観客席から子供の泣き声がわき上がる。
マリルが舞台の上にへたり込み、十数秒後壊れた操り人形のようにふらつきながら起き上がる。
「とりーっく、あんど、とりーと」
大きなカボチャから小玉カボチャを取り出しお手玉する。可憐な唇から流れ出すのはマリルの声であってマリルの言葉ではない。
「なんという演技だ」
「この歳で己と別人をここまで演じ別けるとは」
観客席で、隣にある聖堂教会のナンバー1とナンバー2が冷や汗を流してマリルを凝視していた。
なお、暫定ナンバー3のイコニア・カーナボン(kz0040)は教会長代行を押しつけられて休み無しで働いている。
「パンプキーンの呪いをうけーよー」
小玉パンプキンが勢いよく飛ぶ。気付いた司教が余裕綽々受け止めようとして、紐付き小玉が急停止しタイミングをずらされる。
そこへ襲いかかるオニカボチャ。
「司教様がやられたっ」
「にげろー」
この日、マリルとメリルの名が司教以下全員の心に刻み込まれた。
●混沌の準備から
「こんにちは! 今回もお世話になりますね」
教会長執務室。代理のタスキをかけたイコニアの前で、コック服姿のアリソン・メープルウッド(ka2772)が上品に一礼した。
「よろしくニャ」
見事な招き猫スタイルで挨拶を繰り出すメルディ(ka2687)。
予想外の精神攻撃に、イコニアの口が間抜けに開いた。
「そんなことより質問ニャ。自前の猫着ぐるみ使っていいニャ?」
軽い猫パンチの連打。
イコニアの顔からふにゅ、ふにゅと平和な音が発せられる。
「よければお米をこれだけいただけませんか」
目の前の惨状を平然と受け入れ、アリソンが膨大な食材リストを差し出していた。
そして翌日。教会近くのステージ及びその周辺施設がハンターの管理下に入る。
「みなさ~ん! ハロウィン楽しんでるー!?」
広場の入り口で華やかな呼びかけが始まる。
「リアルブルーからやって来た、ハロウィンのアイドル、ジャック・ゼロでーす!」
何故か教会の倉庫にあった紙製メガホンを使っているので声が大きく聞きやすい。
同じく何故か教会の倉庫にあったジャックオーランタン着ぐるみを着こなし、テンシ・アガート(ka0589)がくるりとターンを決めた。
「クリムゾンウェストの猫妖精ニャ~」
にゃんにゃんくるんとテンシとあわせて踊るメルディ。
中身と仕草が少女な分、集まる視線はメルティの方が少しだけ多かった。
「近くに来てくれた皆にはー!」
テンシが明るく言って期待を煽る。
メルディがニャんだか良い匂いと言いたげな動きでテンシの周りをくるくるまわる。
「ちょっとしたお菓子のプレゼント! トリックオアトリートー!!」
目をハートマークにして仰け反るにゃんこ。
見事なフォームで皿を水平のまま投げるジャックオーもとへゼロ。
複数の紙皿が観光客覚醒者に受け止められ、喜びに満ちた口笛で出迎えられる。
「いー焼き色じゃないか」
「おいしいっ。これどこで売ってるの?」
主に女性陣が肉食獣の目でテンシを凝視する。
カボチャ妖精と猫妖精が目を向けあってくすりと笑う。
「聖堂教会前ステージです!」
「美味しいものも一杯あるニャ!」
そして、普段の数倍の人の流れがうまれた。
「おかあさんあれ買ってー」
幼児が母の裾を引っ張り。
「ああんお腹周りまずいのに」
妙齢の女性が陶然とした目でライスプティングの列をみつめている。数分前までは大型屋台の端から端まで並んでいたのに今は隅っこに1ダースあるだけだ。
「甘くて美味しいスイートパンプキンはいかがですか!」
清潔なトレイに載せて次々並べていく。愛想の良い笑顔を振りまくアリソンの脳内には複数の計算が同時進行中だ。
来客数を予想より5割増やす。必要な料理の数も5割、いやおそらく人数が増える分盛り上がるので7割増し。
スイートパンプキンの下拵えが済んだ分はすぐに盛りつけを開始するとしてもちょっと数が……。
「すみません職場に持ち帰るのでプティングあるだけ」
「パンプキン3つください!」
客が次々やって来る。脳内計算と笑顔と可愛らしい紙に包んだスイートパンプキンの販売と、アリソンは目まぐるしく動き、客が途切れた一瞬の隙にダッチオーブンに向かう。
良質の炭の熱で良い感じで焼き上がったスイートパンプキンを取り出す。香りがあふれ出し、途切れる前以上の客が近づいてくる。
職人芸としか表現しようのない速度で包んで並べてオーブンの隣のコンロ前へ移動。プティングを取り出し表面にきめ細かな砂糖を振りかけ完成、即客の前の持っていく。
「もうすぐステージが始まります。しっかり食べてしっかり応援してくださいね!」
地響きのような歓声が響き、アリソンの店から濁流のごとき人の流れがステージへ向かうのだった。
●ライブ!
高級感溢れる黒レースで飾られたワンピース。纏っているのは猫耳ふんわりエルフという、うっかりしなくても魅了された観客に連れ去られそうな女の子だ。
ただし、口元のハーモニカから非常に辛気くさい曲が流れていた。
クリムゾンウェストの常識内で洒落たサングラスをかけ、細身の体をリアルブルーのバンドマン風黒装束に包み、風格のある使い込まれ方をしたギターを運んできたリンランディア(ka0488)が演奏者控え室(天幕)に顔を出す。
「こんな所にいたのかい」
歌だけ無く楽器演奏もしたいんだなとは思うがハーモニカ単体でいける腕はなさそうだ。ギルドの仲間で妹のような存在だからこそ、甘い慰めをかける訳にはいかなった。
「その、なんだ。楽器の練習なら、付き合うからさ」
コーネリア・デュラン(ka0504)はハーモニカを下ろし口を開こうとした。
が、慌ただしい足音が音から近づき大声がかけられる方が早かった。
「すみません! 人が集まりすぎて騒ぎがっ。できればすぐにステージに向かってください!」
下っ端スタッフとして活動中の、お隣の教会のクルセイダーであった。
「はいっ」
コーネリアが立ち上がる。
先程までの暗さは消えている。プロとして最低限必要な、しかし非常に難しい心の切り替えを完璧に行っていた。
二人はステージ映えする走りでステージへ駆け寄る。
最初にリンランディアが跳躍、鮮やかな音と共にステージに着地しポーズを決める。
次にコーネリアがふわりと跳んで、宙で開きかけたスカートを抑えたところでリンランディアにお姫様だっこで受け止められる。
きゃぁ、と黄色い悲鳴が主に女性客から上がった。
リンランディアは恭しい態度でコーネリアを下ろし、コーネリアは白い顔を淡い桜色に染めて背を伸ばす。
ギターがかき鳴らされリアルブルーの影響を受けた曲が流れる。
コーネリアの喉から透き通る声が会場に広がっていく。
声の可憐さの割に声に載った言葉は強くて固い。ヴォイドとの戦いをハンターの視点で描いた歌なのだ。子供が聞いても心に傷を負わないよう、作詞担当のリンランディアは準備期間のほとんどを作詞に費やさざるを得なかった。
女声の独唱にリンランディアの声が加わる。近づいては離れる2つの声によって曲と歌に奥行きがうまれ、会場全体を深く高い場所へ誘うのだった。
アンコールと休憩が何度か繰り返される。
同じ曲でも常に変化があって、リンランディアの語り弾きのときには女性の甲高い歓声があふれ、コーネリアの歌いながらのタンバリンダンスでは子供から老人まで主に男が喜んでいた。
やがて日が陰る。過酷な全身運動による疲れを癒すためコーネリアが退場し、会場では若い男女の比率が高まり、リンランディアはムーディーな曲を弾いて盛り上げようとした。
実際盛り上がってきたのだが、お捻りの額と数がコーネリアに対するものよりちょっと、いやかなり少ない。
「デスヨネー」
小声でつぶやき、心の中だけでと少し落ち込むリンランディア。少なさの原因が司教のおひねりであることに、この時点では気づいていなかった。
●商売!
地元民以外は全員忘れているような有様だが、ここは聖堂教会のすぐ側にある常設ステージおよび憩いの広場だ。
教会が良い意味で圧力になって清潔で健全な場が保たれている。はずなのに一カ所だけいかがわしい空間がうまれていた。
「むっ! 見えました」
リアルブルー知識を悪用もとへ有効活用して造り上げた占い師の館(天幕)。
人口ウン十億の世界で錬磨されたそれが、最上 風(ka0891)の愛想の無さを超絶の力故の落ち着きに、天然が入った傍若無人を高い神秘性に見せかける。
「あなた達のラッキーアイテムは」
絶妙のタイミングで言葉を中断し、最も人をじらす間を開けて再開する。
「木彫りのネコです!」
品の良い男性が礼を言う前に、パワフルで裕福な女性が立ち上がり恋人の襟首を掴んで疾走する。
「ニャにするニャ!?」
天幕の外から、木彫り猫販売中の称号メルディの悲鳴が聞こえた。
「1人1個限定ニャ! いくらお金を積まれても……」
お金がが積み上がる音が延々続く。
「毎度ニャ~♪」
実に素早い手の平反しであった。
風が営業しなくてもすぐに次の客が来る。
彼女を妖しく照らす水晶玉、相談用テーブルを彩る数珠に、神棚っぽい場所に飾られた木魚。すべて教会の備品を借用したもので自称リアルブルー式の恋愛占い師の権威を劇的に高めている。
「あの……」
初々しいカップルが風に圧倒されながらもなんとか事情を、本人達にとっては深刻でも第三者から見れば時間や慣れが解決してくれることがらを赤裸々に相談する。
風は悠然たる態度で眉一つ動かさない。天幕内でも被りっぱなしの帽子の目玉が照れたように瞬きした気がしたのは、多分きっと気のせいだ。
「水? 海が見えます……何かお心当たりはありませんか?」
恋人達が真剣に悩んで互いに相談する。
「来ました!」
風が髪1本分目を見開く。
「お二人の相性を更に上げるには、今すぐ舞台に向かい、注目して下さい!」
超常能力がなくても迷いが晴れるよう誘導することは可能だ。相談者の生活に支障がない範囲で儲けることなど風にとっては児戯に等しい。
「ありがとうございますっ!」
若い二人にも負担にならないほど相談料は安い。ただし、風が勧める品は全てハンターが売っている商品であり、儲けの数割が風にキックバックされることになっていた。
カップルが天幕から出ると、高い音、低い音、透き通る音に心地よい重さのある音が出迎えた。
音が聞こえる方向を向く。うっとりする女性と女性の注意を惹こうとする多分恋人な男が実に20と数組。約50名が志乃原・勇雅(ka1411)のステージを凝視していた。
勇雅はステージにしいたマットの上で、綺麗な正座の体勢で7つのグラスに触れている。
細い指がグラスに触れるたびに、限りなく正しい高さのドレミファソラシドが響く。
「はい、このジュース、そこの屋台で売ってる奴です、おいしいですよ」
助手役のメロディに持たせて観客を回らせる。ニャニャっとごまかしつまみ食いするのがおいしさの説得力を増すことになり、ハンターの息のかかった店に大勢の客が向かうことになる。
勇雅は新しい客のため、司教所有のグラスを新しく敷物の上に並べる。
「ボクも飲みたいですが、ここはぐっと我慢してですね」
葡萄ジュース、少し発酵したリンゴジュース、原色の砂糖水など、祭りに相応しい飲み物を軽快に注ぐ。実際には適切な量を正確に計量したのを覚え、覚えたとおりに何度も繰り返し練習した成果だ。
笑顔で7つのグラスを示し、遠くの客席からでも見えるスプーンとフォークを取り出し、すぐに喜劇風の仕草で後ろに投げ捨てる。
勇雅が手を伸ばす。
綺麗に爪を整えた指以外にはなにもない。種も仕掛けもないことをこれ以上なく明確に示してからそっとグラスを撫でる。
共鳴も利用した音色がこぼれる。
初見のカップルが驚くのとは対照的に、勇雅は優しげな表情のままピースホライズンに伝わる曲を数曲奏でた。
「お後がよろしいようで」
演奏を終え、噺家風にステージから去る。
多くの男女が熱い気を吐き、潤んだ瞳で見つめ合っていた。
●日が暮れて
「準備は?」
パイの香りまとってテンシ・アガート(ka0589)がたずねる。
「私の所含む、この地区で風呂のある宿全てで沸かしました」
「洗濯代は有志が出す。風呂代も半分は負担しよう」
大規模宿泊施設経営者とエクラ教司教が親指を上げる。
夕日を浴び、真っ赤に染まったテンシが高らかに宣言した
「こんにちは! トリック!!」
パイが食い物が出しちゃいけない音をたてて水平に飛ぶ。
「きゃっ」
「こらぁ何しやがげふぁっ」
カップルがパイの直撃を受けて白く染まる。
「食用可能ですから持って帰っていただけると」
アリソンの呼びかけは投げ返されるパイによってかき消される。
「何するニャ~!」
猫着ぐるみに流れ弾を受けたメルディが参戦。パイの応酬がますます激しくなる。
「何事ですっ」
イコニアが騒ぎに気付いて教会から出た直後にパイ塗れになり倒れ込む。パイに土埃がつかないようしているようだが意識があるかどうかは分からない。
「皆さん!」
コーネリアの凛とした声が騒ぎを一時中断させる。
ウサギ着ぐるみから顔を出したコーネリアが、真面目な顔で一言。
「クリーニング代とお風呂代は司教様持ちだそうです。遊び終わったらすぐ宿に向かってくださいね」
響く司教の悲鳴。
盛り上がる若い男女。何食わぬ顔でパイの供給を続けるテンシに、パイを巧みに組み合わせて猫っぽいオブジェを完成させ希望者に渡すメルディ。
「犬型が欲しい? そんなものは無いニャ、ボクが作るのはネコだけニャ」
お気楽な声がパイ合戦の騒ぎの中に消えていく。
この日、多くの男女がパイの香りにつつまれて暑い夜を過ごしたらしい。
聖堂教会の屋根が見える野外ステージとその客席。
平日でも賑やかなはずのそこが、緊張感を孕んで静まりかえっていた。
「いつも食べられてばっかりじゃん。不公平だ」
子供が中に入れる大きさのカボチャに、滑稽さの中に狂気を感じさせる顔が彫り込まれている。
「オレも人間食べたい!」
無垢と残酷と食欲の入り混じった女の子の声が、観客の心をひやりと冷やす。
「なんて恐ろしい……」
カボチャの前でよろめくマリル&メリル(ka3294)。
「お前はカボチャじゃない。鬼みたいなヤツ!」
恐怖に耐え避難する声は可憐で耳に優しい。
観客の半数ほどが、南瓜の声の少女の声が同一であることに気づいている。
気づいているから強烈に舞台へ引き込まれている。
「いいなそれ! 俺は今からオニカボチャだ! そらっ」
少女が喉をかきむしる。観客席から子供の泣き声がわき上がる。
マリルが舞台の上にへたり込み、十数秒後壊れた操り人形のようにふらつきながら起き上がる。
「とりーっく、あんど、とりーと」
大きなカボチャから小玉カボチャを取り出しお手玉する。可憐な唇から流れ出すのはマリルの声であってマリルの言葉ではない。
「なんという演技だ」
「この歳で己と別人をここまで演じ別けるとは」
観客席で、隣にある聖堂教会のナンバー1とナンバー2が冷や汗を流してマリルを凝視していた。
なお、暫定ナンバー3のイコニア・カーナボン(kz0040)は教会長代行を押しつけられて休み無しで働いている。
「パンプキーンの呪いをうけーよー」
小玉パンプキンが勢いよく飛ぶ。気付いた司教が余裕綽々受け止めようとして、紐付き小玉が急停止しタイミングをずらされる。
そこへ襲いかかるオニカボチャ。
「司教様がやられたっ」
「にげろー」
この日、マリルとメリルの名が司教以下全員の心に刻み込まれた。
●混沌の準備から
「こんにちは! 今回もお世話になりますね」
教会長執務室。代理のタスキをかけたイコニアの前で、コック服姿のアリソン・メープルウッド(ka2772)が上品に一礼した。
「よろしくニャ」
見事な招き猫スタイルで挨拶を繰り出すメルディ(ka2687)。
予想外の精神攻撃に、イコニアの口が間抜けに開いた。
「そんなことより質問ニャ。自前の猫着ぐるみ使っていいニャ?」
軽い猫パンチの連打。
イコニアの顔からふにゅ、ふにゅと平和な音が発せられる。
「よければお米をこれだけいただけませんか」
目の前の惨状を平然と受け入れ、アリソンが膨大な食材リストを差し出していた。
そして翌日。教会近くのステージ及びその周辺施設がハンターの管理下に入る。
「みなさ~ん! ハロウィン楽しんでるー!?」
広場の入り口で華やかな呼びかけが始まる。
「リアルブルーからやって来た、ハロウィンのアイドル、ジャック・ゼロでーす!」
何故か教会の倉庫にあった紙製メガホンを使っているので声が大きく聞きやすい。
同じく何故か教会の倉庫にあったジャックオーランタン着ぐるみを着こなし、テンシ・アガート(ka0589)がくるりとターンを決めた。
「クリムゾンウェストの猫妖精ニャ~」
にゃんにゃんくるんとテンシとあわせて踊るメルディ。
中身と仕草が少女な分、集まる視線はメルティの方が少しだけ多かった。
「近くに来てくれた皆にはー!」
テンシが明るく言って期待を煽る。
メルディがニャんだか良い匂いと言いたげな動きでテンシの周りをくるくるまわる。
「ちょっとしたお菓子のプレゼント! トリックオアトリートー!!」
目をハートマークにして仰け反るにゃんこ。
見事なフォームで皿を水平のまま投げるジャックオーもとへゼロ。
複数の紙皿が観光客覚醒者に受け止められ、喜びに満ちた口笛で出迎えられる。
「いー焼き色じゃないか」
「おいしいっ。これどこで売ってるの?」
主に女性陣が肉食獣の目でテンシを凝視する。
カボチャ妖精と猫妖精が目を向けあってくすりと笑う。
「聖堂教会前ステージです!」
「美味しいものも一杯あるニャ!」
そして、普段の数倍の人の流れがうまれた。
「おかあさんあれ買ってー」
幼児が母の裾を引っ張り。
「ああんお腹周りまずいのに」
妙齢の女性が陶然とした目でライスプティングの列をみつめている。数分前までは大型屋台の端から端まで並んでいたのに今は隅っこに1ダースあるだけだ。
「甘くて美味しいスイートパンプキンはいかがですか!」
清潔なトレイに載せて次々並べていく。愛想の良い笑顔を振りまくアリソンの脳内には複数の計算が同時進行中だ。
来客数を予想より5割増やす。必要な料理の数も5割、いやおそらく人数が増える分盛り上がるので7割増し。
スイートパンプキンの下拵えが済んだ分はすぐに盛りつけを開始するとしてもちょっと数が……。
「すみません職場に持ち帰るのでプティングあるだけ」
「パンプキン3つください!」
客が次々やって来る。脳内計算と笑顔と可愛らしい紙に包んだスイートパンプキンの販売と、アリソンは目まぐるしく動き、客が途切れた一瞬の隙にダッチオーブンに向かう。
良質の炭の熱で良い感じで焼き上がったスイートパンプキンを取り出す。香りがあふれ出し、途切れる前以上の客が近づいてくる。
職人芸としか表現しようのない速度で包んで並べてオーブンの隣のコンロ前へ移動。プティングを取り出し表面にきめ細かな砂糖を振りかけ完成、即客の前の持っていく。
「もうすぐステージが始まります。しっかり食べてしっかり応援してくださいね!」
地響きのような歓声が響き、アリソンの店から濁流のごとき人の流れがステージへ向かうのだった。
●ライブ!
高級感溢れる黒レースで飾られたワンピース。纏っているのは猫耳ふんわりエルフという、うっかりしなくても魅了された観客に連れ去られそうな女の子だ。
ただし、口元のハーモニカから非常に辛気くさい曲が流れていた。
クリムゾンウェストの常識内で洒落たサングラスをかけ、細身の体をリアルブルーのバンドマン風黒装束に包み、風格のある使い込まれ方をしたギターを運んできたリンランディア(ka0488)が演奏者控え室(天幕)に顔を出す。
「こんな所にいたのかい」
歌だけ無く楽器演奏もしたいんだなとは思うがハーモニカ単体でいける腕はなさそうだ。ギルドの仲間で妹のような存在だからこそ、甘い慰めをかける訳にはいかなった。
「その、なんだ。楽器の練習なら、付き合うからさ」
コーネリア・デュラン(ka0504)はハーモニカを下ろし口を開こうとした。
が、慌ただしい足音が音から近づき大声がかけられる方が早かった。
「すみません! 人が集まりすぎて騒ぎがっ。できればすぐにステージに向かってください!」
下っ端スタッフとして活動中の、お隣の教会のクルセイダーであった。
「はいっ」
コーネリアが立ち上がる。
先程までの暗さは消えている。プロとして最低限必要な、しかし非常に難しい心の切り替えを完璧に行っていた。
二人はステージ映えする走りでステージへ駆け寄る。
最初にリンランディアが跳躍、鮮やかな音と共にステージに着地しポーズを決める。
次にコーネリアがふわりと跳んで、宙で開きかけたスカートを抑えたところでリンランディアにお姫様だっこで受け止められる。
きゃぁ、と黄色い悲鳴が主に女性客から上がった。
リンランディアは恭しい態度でコーネリアを下ろし、コーネリアは白い顔を淡い桜色に染めて背を伸ばす。
ギターがかき鳴らされリアルブルーの影響を受けた曲が流れる。
コーネリアの喉から透き通る声が会場に広がっていく。
声の可憐さの割に声に載った言葉は強くて固い。ヴォイドとの戦いをハンターの視点で描いた歌なのだ。子供が聞いても心に傷を負わないよう、作詞担当のリンランディアは準備期間のほとんどを作詞に費やさざるを得なかった。
女声の独唱にリンランディアの声が加わる。近づいては離れる2つの声によって曲と歌に奥行きがうまれ、会場全体を深く高い場所へ誘うのだった。
アンコールと休憩が何度か繰り返される。
同じ曲でも常に変化があって、リンランディアの語り弾きのときには女性の甲高い歓声があふれ、コーネリアの歌いながらのタンバリンダンスでは子供から老人まで主に男が喜んでいた。
やがて日が陰る。過酷な全身運動による疲れを癒すためコーネリアが退場し、会場では若い男女の比率が高まり、リンランディアはムーディーな曲を弾いて盛り上げようとした。
実際盛り上がってきたのだが、お捻りの額と数がコーネリアに対するものよりちょっと、いやかなり少ない。
「デスヨネー」
小声でつぶやき、心の中だけでと少し落ち込むリンランディア。少なさの原因が司教のおひねりであることに、この時点では気づいていなかった。
●商売!
地元民以外は全員忘れているような有様だが、ここは聖堂教会のすぐ側にある常設ステージおよび憩いの広場だ。
教会が良い意味で圧力になって清潔で健全な場が保たれている。はずなのに一カ所だけいかがわしい空間がうまれていた。
「むっ! 見えました」
リアルブルー知識を悪用もとへ有効活用して造り上げた占い師の館(天幕)。
人口ウン十億の世界で錬磨されたそれが、最上 風(ka0891)の愛想の無さを超絶の力故の落ち着きに、天然が入った傍若無人を高い神秘性に見せかける。
「あなた達のラッキーアイテムは」
絶妙のタイミングで言葉を中断し、最も人をじらす間を開けて再開する。
「木彫りのネコです!」
品の良い男性が礼を言う前に、パワフルで裕福な女性が立ち上がり恋人の襟首を掴んで疾走する。
「ニャにするニャ!?」
天幕の外から、木彫り猫販売中の称号メルディの悲鳴が聞こえた。
「1人1個限定ニャ! いくらお金を積まれても……」
お金がが積み上がる音が延々続く。
「毎度ニャ~♪」
実に素早い手の平反しであった。
風が営業しなくてもすぐに次の客が来る。
彼女を妖しく照らす水晶玉、相談用テーブルを彩る数珠に、神棚っぽい場所に飾られた木魚。すべて教会の備品を借用したもので自称リアルブルー式の恋愛占い師の権威を劇的に高めている。
「あの……」
初々しいカップルが風に圧倒されながらもなんとか事情を、本人達にとっては深刻でも第三者から見れば時間や慣れが解決してくれることがらを赤裸々に相談する。
風は悠然たる態度で眉一つ動かさない。天幕内でも被りっぱなしの帽子の目玉が照れたように瞬きした気がしたのは、多分きっと気のせいだ。
「水? 海が見えます……何かお心当たりはありませんか?」
恋人達が真剣に悩んで互いに相談する。
「来ました!」
風が髪1本分目を見開く。
「お二人の相性を更に上げるには、今すぐ舞台に向かい、注目して下さい!」
超常能力がなくても迷いが晴れるよう誘導することは可能だ。相談者の生活に支障がない範囲で儲けることなど風にとっては児戯に等しい。
「ありがとうございますっ!」
若い二人にも負担にならないほど相談料は安い。ただし、風が勧める品は全てハンターが売っている商品であり、儲けの数割が風にキックバックされることになっていた。
カップルが天幕から出ると、高い音、低い音、透き通る音に心地よい重さのある音が出迎えた。
音が聞こえる方向を向く。うっとりする女性と女性の注意を惹こうとする多分恋人な男が実に20と数組。約50名が志乃原・勇雅(ka1411)のステージを凝視していた。
勇雅はステージにしいたマットの上で、綺麗な正座の体勢で7つのグラスに触れている。
細い指がグラスに触れるたびに、限りなく正しい高さのドレミファソラシドが響く。
「はい、このジュース、そこの屋台で売ってる奴です、おいしいですよ」
助手役のメロディに持たせて観客を回らせる。ニャニャっとごまかしつまみ食いするのがおいしさの説得力を増すことになり、ハンターの息のかかった店に大勢の客が向かうことになる。
勇雅は新しい客のため、司教所有のグラスを新しく敷物の上に並べる。
「ボクも飲みたいですが、ここはぐっと我慢してですね」
葡萄ジュース、少し発酵したリンゴジュース、原色の砂糖水など、祭りに相応しい飲み物を軽快に注ぐ。実際には適切な量を正確に計量したのを覚え、覚えたとおりに何度も繰り返し練習した成果だ。
笑顔で7つのグラスを示し、遠くの客席からでも見えるスプーンとフォークを取り出し、すぐに喜劇風の仕草で後ろに投げ捨てる。
勇雅が手を伸ばす。
綺麗に爪を整えた指以外にはなにもない。種も仕掛けもないことをこれ以上なく明確に示してからそっとグラスを撫でる。
共鳴も利用した音色がこぼれる。
初見のカップルが驚くのとは対照的に、勇雅は優しげな表情のままピースホライズンに伝わる曲を数曲奏でた。
「お後がよろしいようで」
演奏を終え、噺家風にステージから去る。
多くの男女が熱い気を吐き、潤んだ瞳で見つめ合っていた。
●日が暮れて
「準備は?」
パイの香りまとってテンシ・アガート(ka0589)がたずねる。
「私の所含む、この地区で風呂のある宿全てで沸かしました」
「洗濯代は有志が出す。風呂代も半分は負担しよう」
大規模宿泊施設経営者とエクラ教司教が親指を上げる。
夕日を浴び、真っ赤に染まったテンシが高らかに宣言した
「こんにちは! トリック!!」
パイが食い物が出しちゃいけない音をたてて水平に飛ぶ。
「きゃっ」
「こらぁ何しやがげふぁっ」
カップルがパイの直撃を受けて白く染まる。
「食用可能ですから持って帰っていただけると」
アリソンの呼びかけは投げ返されるパイによってかき消される。
「何するニャ~!」
猫着ぐるみに流れ弾を受けたメルディが参戦。パイの応酬がますます激しくなる。
「何事ですっ」
イコニアが騒ぎに気付いて教会から出た直後にパイ塗れになり倒れ込む。パイに土埃がつかないようしているようだが意識があるかどうかは分からない。
「皆さん!」
コーネリアの凛とした声が騒ぎを一時中断させる。
ウサギ着ぐるみから顔を出したコーネリアが、真面目な顔で一言。
「クリーニング代とお風呂代は司教様持ちだそうです。遊び終わったらすぐ宿に向かってくださいね」
響く司教の悲鳴。
盛り上がる若い男女。何食わぬ顔でパイの供給を続けるテンシに、パイを巧みに組み合わせて猫っぽいオブジェを完成させ希望者に渡すメルディ。
「犬型が欲しい? そんなものは無いニャ、ボクが作るのはネコだけニャ」
お気楽な声がパイ合戦の騒ぎの中に消えていく。
この日、多くの男女がパイの香りにつつまれて暑い夜を過ごしたらしい。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/05 20:11:25 |
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相談卓 最上 風(ka0891) 人間(リアルブルー)|10才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/10/09 00:33:12 |