ゲスト
(ka0000)
【血盟】ある島から見える景色
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/02/21 09:00
- 完成日
- 2017/02/26 20:25
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●どこ?
ハンターは道の上にいた。
晴れ渡る空、澄んだ空気。どこか春の気配も感じさせなくはないが、まだ、冬と言っていい色。
ここがどこか分からない。人に話を聞かないとならないが、見渡す中にいるのは羊だけだった。牧羊犬もいるようだが、ハンターと会話ができるわけではない。
どこだろうか?
潮が香る。
海が見え、船も見える。
陸地も見える。視力の関係でそれ以上は分からない。町が見えても小さい。
今いる島で人を探すのが早いようだ。羊と犬が一緒ということは人間もいるだろうから。
偵察しつつ進み、何とか村にたどり着いた。どことなくグラズヘイム王国で見かけるような村に見える。
村に足を踏み入れたハンターはその空気の重さに気づく。ハンターの中に「雑魔討伐で村に訪れたことがある」人がいれば、それに似ているかもしれないと思うだろう。
「ここはどこですか?」
ハンターは恐る恐る声をかける。状況が不明なのだから、一つずつ聞かねばならない。
「お、おおう! 君たちは雑魔討伐にきてくれたハンターかね」
少し年を取った男性が嬉しそうに顔を輝かせた。
「――村だよ」
ハンターに聞き覚えはない。
「まさか……依頼されてきたわけではない? 通りすがり? 確かに依頼を出しに行ったのは今日……早すぎるな」
落胆する村人たちにハンターはどうこたえるだろうか?
急ぐ予定があると言えばあるが、状況は不明だから話を聞き手助けがてら情報を得たほうが一石何鳥にもなるのではないだろうか。純粋に人助けをしたいと思うハンターもいるだろう。それぞれの心情はある。
ハンターはこれも縁だと依頼した内容を尋ねる。一分一秒でも争う内容ならば受けないで去りがたい。
話を聞いてくれる通りすがりのハンターに安堵し、話してくれた。
数日前からこの村の先にある村と連絡が取れていない。毎日出入りがあるとは限らないが、さすがに日数が重なるとおかしいと思う。
それに加えて、森の中に雑魔やゴブリンをはじめとした亜人の姿が多くなっているという。
ゴブリンたちの住まいがあったという噂もないため、運悪く流れてきたものがいるかもしれない。森に隠れられるところはという問いに、人ひとりが隠れるなら木の陰もたくさんあるという程度。
「ライル坊ちゃまが様子を見に行くと昨日でかけています。坊ちゃまが戻ってこないのも不安要素なのです」
ライルの特徴を告げる。14、5歳の少年であり、ひょろりと背が高いという。髪の色は金、目は青。この近辺に居を構える商人のサヴィス家の養子だという。
「無茶をなさっていなければいいのだけど」
「よろしくお願いします」
村人たちに背中を押された。
●森の中の隣村
少年ライル・サヴィスは一人、村に向かったのは昨日のことだった。
連絡が取れないといっても道が崩れたとかではないかと楽観していた。だが、事態は重かった。
簡単に到着したのだが、村に人の姿が見えない。教会のほうに隠れている人がライルを見つけ手を左右に振って必死に何か告げようとしていた。
何かあったとは理解し、様子を見ていた。
ゴブリンと雑魔に襲撃されたと知った。彼自身が襲われたため理解した。
何とか逃げ、羊飼いの家にたどり着いた。物音がしたため見に行くと、ゴブリンに殺された両親と殺されかかっている子供がいた。
必死に助け逃げる。
子供は羊のぬいぐるみを抱きしめ、助けてくれたライルにしがみつく。泣くこともなくただ無表情に。
ライルは隠れた民家で子供を抱きしめる。ぬくもりが互いに生きていることを示している。
(ぬいぐるみは羊の毛でできているんだな)
毛並みがしっかりしている理由はよくわかった。親が作ってあげたのかもしれない。その親たちは骸となっていた。
(何とかして他の人と合流するか、俺たちだけでも逃げて、助けを呼ぶか)
一瞬、逃げるにしてもこの子供は足手まといであるからおいていきたいと考える。
(……いや、リーヤにも顔向けできなくなる)
うまく隠れていないと見つかって殺されるのは時間の問題だ。リーヤとは彼の弟、養父母の間に生まれた待望の男の子だ。
何とかしないといけない、と。
民家を壊している音が聞こえる。
声はあげないが子供がしがみつくこぶしが震えている。
(エクラの神よ、俺はともかく、この小さい子は何も悪いことしてねぇよな? 守ってくれるよな?)
祈るというより、確認をとるように胸の中でつぶやいた。
ハンターは道の上にいた。
晴れ渡る空、澄んだ空気。どこか春の気配も感じさせなくはないが、まだ、冬と言っていい色。
ここがどこか分からない。人に話を聞かないとならないが、見渡す中にいるのは羊だけだった。牧羊犬もいるようだが、ハンターと会話ができるわけではない。
どこだろうか?
潮が香る。
海が見え、船も見える。
陸地も見える。視力の関係でそれ以上は分からない。町が見えても小さい。
今いる島で人を探すのが早いようだ。羊と犬が一緒ということは人間もいるだろうから。
偵察しつつ進み、何とか村にたどり着いた。どことなくグラズヘイム王国で見かけるような村に見える。
村に足を踏み入れたハンターはその空気の重さに気づく。ハンターの中に「雑魔討伐で村に訪れたことがある」人がいれば、それに似ているかもしれないと思うだろう。
「ここはどこですか?」
ハンターは恐る恐る声をかける。状況が不明なのだから、一つずつ聞かねばならない。
「お、おおう! 君たちは雑魔討伐にきてくれたハンターかね」
少し年を取った男性が嬉しそうに顔を輝かせた。
「――村だよ」
ハンターに聞き覚えはない。
「まさか……依頼されてきたわけではない? 通りすがり? 確かに依頼を出しに行ったのは今日……早すぎるな」
落胆する村人たちにハンターはどうこたえるだろうか?
急ぐ予定があると言えばあるが、状況は不明だから話を聞き手助けがてら情報を得たほうが一石何鳥にもなるのではないだろうか。純粋に人助けをしたいと思うハンターもいるだろう。それぞれの心情はある。
ハンターはこれも縁だと依頼した内容を尋ねる。一分一秒でも争う内容ならば受けないで去りがたい。
話を聞いてくれる通りすがりのハンターに安堵し、話してくれた。
数日前からこの村の先にある村と連絡が取れていない。毎日出入りがあるとは限らないが、さすがに日数が重なるとおかしいと思う。
それに加えて、森の中に雑魔やゴブリンをはじめとした亜人の姿が多くなっているという。
ゴブリンたちの住まいがあったという噂もないため、運悪く流れてきたものがいるかもしれない。森に隠れられるところはという問いに、人ひとりが隠れるなら木の陰もたくさんあるという程度。
「ライル坊ちゃまが様子を見に行くと昨日でかけています。坊ちゃまが戻ってこないのも不安要素なのです」
ライルの特徴を告げる。14、5歳の少年であり、ひょろりと背が高いという。髪の色は金、目は青。この近辺に居を構える商人のサヴィス家の養子だという。
「無茶をなさっていなければいいのだけど」
「よろしくお願いします」
村人たちに背中を押された。
●森の中の隣村
少年ライル・サヴィスは一人、村に向かったのは昨日のことだった。
連絡が取れないといっても道が崩れたとかではないかと楽観していた。だが、事態は重かった。
簡単に到着したのだが、村に人の姿が見えない。教会のほうに隠れている人がライルを見つけ手を左右に振って必死に何か告げようとしていた。
何かあったとは理解し、様子を見ていた。
ゴブリンと雑魔に襲撃されたと知った。彼自身が襲われたため理解した。
何とか逃げ、羊飼いの家にたどり着いた。物音がしたため見に行くと、ゴブリンに殺された両親と殺されかかっている子供がいた。
必死に助け逃げる。
子供は羊のぬいぐるみを抱きしめ、助けてくれたライルにしがみつく。泣くこともなくただ無表情に。
ライルは隠れた民家で子供を抱きしめる。ぬくもりが互いに生きていることを示している。
(ぬいぐるみは羊の毛でできているんだな)
毛並みがしっかりしている理由はよくわかった。親が作ってあげたのかもしれない。その親たちは骸となっていた。
(何とかして他の人と合流するか、俺たちだけでも逃げて、助けを呼ぶか)
一瞬、逃げるにしてもこの子供は足手まといであるからおいていきたいと考える。
(……いや、リーヤにも顔向けできなくなる)
うまく隠れていないと見つかって殺されるのは時間の問題だ。リーヤとは彼の弟、養父母の間に生まれた待望の男の子だ。
何とかしないといけない、と。
民家を壊している音が聞こえる。
声はあげないが子供がしがみつくこぶしが震えている。
(エクラの神よ、俺はともかく、この小さい子は何も悪いことしてねぇよな? 守ってくれるよな?)
祈るというより、確認をとるように胸の中でつぶやいた。
リプレイ本文
●敵に注意を
ハンターはその村まで妨害に合わずたどり着いた。村人が言っていたライル・サヴィスという少年いうも会わず。
村が見えた時点でハンターたちは用心に用心を重ねる。
音はするが生活音ではない。戦いの音でもない。奇妙であり、警戒してしすぎることはない。
近づくと感じるのは生き物の死。村ならば――人間と家畜だろうか。
隠れて様子を見るとゴブリンたちが相当数いると分かる。
エヴァンス・カルヴィ(ka0639)は「三班に分かれよう」という告げる。
「ここから見える教会に、村人が避難している可能性も高い。教会を足掛かりに村を奪還できりゃいいか。そこまでは襲われている人間がいないか確認しつつ向かおう」
ハンターに異論は出ない。
「トランシーバーのチャンネルはオープンにしておこう。情報の共有ができるようにな」
榊 兵庫(ka0010)はすぐにトランシーバーを取り出し、使えるようにセットする。
トランシーバーを持参しているハンターも同様に作業しておく。
「教会まではこっそり。村人の安全が確保できたら、殲滅戦だね。隣の村とかにゴブリンたちが行っちゃうと大変だもの」
夢路 まよい(ka1328)は隣にいるエヴァンスの袖を引っ張った。エヴァンスが「もちろんだ」とうなずく。
「え……数が多そうだから撤退かと思ったんですけど……」
クオン・サガラ(ka0018)はまよいが言っている意味も理解はできる為、状況を考えていくつかの道を考える。ひとまずは教会を起点に防御して戦うことで何とかなるだろうと。
「教会を取り戻せましたら、屋根の上から援護をします……登れそうにないならまた考えます。まだ状況が呑み込めていませんが、助けを待つ人がいるのです」
シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)は鎧の下より淡々と声を上げる。手に持つスナイパーライフルが頼もしい。
エクラ教を強く信じるケイン・ロウェル(ka6708)は状況を、ライブラリの追体験あろうと考え内心興奮していた。
(ハンターとして未熟です、私は。研究者として神の恩寵と試練には真摯に向き合おう。人を多く助けられるように努力はする……しかし、助かる人は変わらないのだろうけれど……過去の追体験ならば)
●教会へ
エヴァンスとまよいは教会に遠回りで近づく。途中にある家に人もゴブリンもいないようだった。
民家の扉が開きっぱなしであれば用心して見るが、誰もいないかすでにこと切れた人がいるだけだった。隠れている人がいる様子もない。
「誰もいない?」
「いないならそれでいい」
二人は急いだ。村の入口から見えた部分だと教会がある方向、村の中心に多くのゴブリンたちがいるようだから。
兵庫とクオンはゴブリンたちに見つからず進めていた。教会に行く途中の家を確認するが生存者はいない。
見つからずに進めているのは運がいいとしか言いようがない。
「動ける人は避難してくれているということですね」
「教会の先にいる可能性はあるから確認しないとな」
クオンは兵庫の言にうなずいた。
不意にうなり声が耳に届く。武器を手に左右を見ると少し離れたところにコボルドがいた。
「見つかりましたか」
「あと少しで教会だ、行くぞ」
「そのつもりです」
そのコボルドを退治しつつ、教会の方向へ行く。他にもいる可能性はあるが、一つずつ超えていくしかない。
シルヴィアとケインは壊れている扉に注意しつつ、中を見ようとした。
物音はしないようだ。ゴブリンが荒らすだけ荒らした後なのかもしれない。
ケインが開ける。シルヴィアは周囲を警戒する。
皿や鍋が飛んできた。
「ぐっ」
「下がってください」
シルヴィアはライフルが使える位置まで下がりたいが、ケインを放置はできない。
教会に逃げるにしても制圧完了していない場合、多勢に無勢になりかねない。
小道に二人は入る。
追ってきたゴブリンにシルヴィアが銃口を向ける。とっさに撃つのに向かないが、威嚇も含め引き金を絞った。手練れな行動に銃弾はゴブリンを貫いた。
ケインはゴブリンの攻撃を食らうが、盾を構え【ストーンアーマー】を使用する。魔法を使って応戦することも考えるが、まずは態勢を整えたかった。
「無理はしないでください」
「魔法で防御しましたのでひとまずはもちます」
シルヴィアは背後にも注意をしつつ、見える範囲のゴブリンを狙った。
一体、二体とゴブリンは倒れる。
戦闘状態になったことにより、音を聞きつけて二人の方に敵が来る可能性は高い。
『シルヴィア、教会側に来てかまわない』
兵庫の声がトランシーバーから届く。
『おう、こっちも到着したぞ』
エヴァンスの声も届いた。
「分かりました」
ケインは教会方面に移動を始める。ケインが前、距離を見つつシルヴィアが続く。
●教会にて
ゴブリンナイトやメイジ、しっかりした武器を持つソルジャーなど複数が教会の前にいる。
正面突破というより、弱いところを探している感じだ。攻めあぐねている状態というのは中の人たちが無事だということである。
「手早く倒するに限る」
「同感だ!」
兵庫とエヴァンスがまとまっているゴブリンたちに武器を抜き距離を詰める。そして、マテリアルを込め薙ぎ払った。逃れられたものだけが生き延びた。
「……意外と全部倒せたりするんですかね……」
「もっと多かったら、ここまで来る間にみんな戦っていたよ」
「それも一理ありますね。村の広さにもよりますが」
クオンとまよいは離れていたり、攻撃をよけた者を攻撃する。態勢を整えた兵庫とエヴァンスが確実にゴブリンたちを倒していく。
「向こうから来たね」
まよいは教会に向かってくるゴブリンとコボルドの集団に向かって魔法を放つべくマテリアルを紡ぐ。
「銃で威嚇はしておきます」
クオンが射撃をする。弾も当たったが、音でそれらは一瞬足を止めた。
「……果てなき夢に迷え……【ドリームメイズ】」
まよいがその周囲に放った魔法により、やってきていたゴブリンやコボルドは眠りに落ちる。一部は抵抗したらしく仲間を突き飛ばしてやってくる。
「まあ、早いが陽動と行くか!」
喜々としてエヴァンスが向かっていく。教会の前には動く敵はいない。
「殲滅でもいいよね? 援護は任せて」
「確かにな! 行くぜ」
「おうー」
まよいがその背中についていった。
兵庫とクオンは扉をたたく。
「おい、我々はハンターだ! 中に人がいて無事なら、返事をくれ」
「できれば、わたしを入れてくれますか? 防御のために」
兵庫とクオンの声に二階の窓が開く。顔をのぞかせたエクラ教の司祭らしい男の表情に安堵が生じた。
「い、今、下で対応します。一つお聞きしたいのですが、皆さまが来るまでにライル坊ちゃんを見ませんでしたか?」
「確認できる家は見てきたが……誰見ていないはず」
手前の村でもライルのことは言われている。途中で見たら声をかけるようにと。
「兵庫さん」
シルヴィアとケインが走ってきた。
その後方には数体のコボルドとゴブリンがいる。
教会の扉が開きそうだったため、クオンが「少し待ってください」と告げ、扉を背に銃を構え機導術を使う用意をする。
「勝手はさせないぞ」
ケインに接敵したゴブリンに対し、兵庫は槍を突き出す。
距離を置いたところで、ケインは魔法を紡ぎ敵に放つ。
「研究ばかりだとなかなかきついですね」
ケインは肩で息をしつつぽつりつぶや。深くはないがいくつも体に刻まれた傷に眉をしかめる。
「兵庫さん、私は教会から『目』として援護します」
「頼む」
ケインとクオンが村人たちと教会にこもることとなる。
兵庫はシルヴィアが位置についたのを確認後、奥の家を確認に走った。
●羊飼い
「さあ反撃の時間です」
シルヴィアは教会の鐘がある部分のやぐらに上がった。視界は開け、敵の動きも見える。
「敵は多いとはいえ、散開状態です」
陽動兼殲滅の先鋒となっているエヴァンスとまよいのあたりが一番賑やかだ。あと一か所集まっている物がいる民家がある。
「今は教会に近づくものと兵庫さんの後ろですね」
そちらにはオオカミやヒツジのように見える存在あった。それらは普通の生き物には見えない、雑魔だろうか。
「それでも敵なら撃つのみです」
照準を合わせ、引き金を引いた。
「さぁ、弱い者いじめしかできねぇ臆病者のゴブリン諸君! 俺と戦う勇気がある奴ぁいるか!」
エヴァンスが声を張り上げる。
「【ライトニングボルト】」
まよいから電撃が放たれる。
ゴブリンたちは数で有利と考え突撃してきた。外見から弱そうに見えるまよいに向かって。
「ひどいっていうか、頭いいよね」
避けきれなかった攻撃の分、傷ができた。
「ってっーか! こっちに来ないのかよ」
エヴァンスが技を乗せゴブリンたちを切り伏せる。
「ずる賢いとも言うよね……【ドリームメイズ】」
味方を巻き込まずに魔法を放つ位置をきちんと見極める。
「だから困るんだ。ぜってー、ソルジャーとメイジとナイトは逃がせられねー。結局、ここにいる敵は殲滅だ」
「そのつもりだし、行くよ【ライトニングボルト】」
「仕事だし、報酬にうまい飯と酒もあればよし」
「終わったら打ち上げだね」
エヴァンスの攻撃が当たればゴブリンたちはほぼ消し飛ぶ。敗戦を感じて逃げられるのが面倒だったが、まよいが魔法で攻撃するおかげで足止めはされていた。
兵庫はシルヴィアからの援護を確信し急いだ。
「ライルいるか? 俺たちはハンターだ」
声は上がらない。
破壊する音が耳に届くが、兵庫の声がしたときに止まったようだった。向こうも侵入者を意識しているだろうから、急ぐか逃げるかするだろうか。
槍をいつでも使えるように持ち、走った。
家に入り込もうとしているゴブリンと羊の群れが見えた。
群れに銃弾が叩き込まれる。
「羊というと肉でも毛皮でもとれればいいがな……お、群れか」
犬が吠える。すると羊たちは兵庫に向かって突進し始める。
これらはすでに死を通り、雑魔となっている容姿をしている。
「変な奴らが手を結んだわけか……一気に片づけないとな、榊流【狼牙一式】」
兵庫は距離を詰め技を放つ。
羊は固くはないが柔らかく刃が通りにくいと感じた。
「う、うぐっ」
「お兄ちゃん!?」
家の中から少年と子供の声がする。
兵庫は走った。シルヴィアの攻撃で羊が無に還ったようだった。背後は気にせず、最低限の注意だけで前方の家に集中した。
「こっちにこい」
家の入口から声を掛け、追ってくる雑魔を止める。
血まみれであるが、子供を抱くように走ってくる少年があった。
ゴブリンはそれを殺そうとしている。
「させるか」
ゴブリンたちは獲物だけでなく敵がいるとようやく認識したときには死の抱擁を受けていた。
「隙を見つけたら教会に行け。この通りなら、後ろを気にせずに行け」
「……ああ」
少年は苦しそうだがうなずいた。子供を守るために意志を総動員しているようだ。
教会の中には老若男女が二十人くらいいた。
「助けが来たということはあの人は逃げられたんですね」
「良かった」
そんな声も聞こえるが、隣村の住民は自主的に探索をしてくれと依頼をしていたのだ。クオンもケインも状況が分からないため何も言えない。途中に見つけた死体がその人かもしれないのだから。
「裏手は薄いです。もし、すり抜けてきたときのために、こちらにバリケードを作っておきましょう」
ケインは告げる。
クオンは二階から降りると頑丈な扉のそばに立った。もしも逃げるときを開けられることを考えていないといけない場所だ。
「君のけがは? 必要なら応急手当もしますよ」
「このくらいなら問題ないです」
クオンの申し出にケインは礼を言う。
「わたしがここを見張っています」
クオンは銃を手に、扉のそばにいる。扉は非常に頑丈であるため、村人たちは耐えられたのだろう。ゴブリンたちが壊す手段を持っていなかったのもよかったのだ。
「動かせそうなものは」
ケインは祭壇や椅子などを村人と動かしていく。
トランシーバーを通じて戦いが続いているのはわかる。トランシーバーを通じて雑魔の存在もはっきりしたとき、青くなったのは言うまでもない。
大した時間ではなかっただろうが、待っていたクオンには長かった。バリケードを作る行動をしているほうがどれだけ気が紛れていたか。
『こっちは完了した。周囲を見回ってからそっちに行く』
エヴァンスからの応答にケインはほっと息を吐く。
村人たちから歓声まではいかないが声が上がる。
「まさか……全部倒したのですか」
クオンは苦笑に近いものを洩らしたが安堵の表情だった。
●元のところへ
兵庫に抱えられるようにライルと泣くのを我慢している様子の男の子が教会にやってくる。
「かなりひどい傷ですね。応急手当をしておきます」
クオンが見ると長椅子に寝かされたライルの傷は打ち身が多いが、かみつかれたような跡もある。
「……シー坊」
「……司祭様」
羊のぬいぐるみを抱きしめた男の子が司祭の顔を見た瞬間、気が緩み泣き始めた。
「父さんと母さんは……ぼくはお兄ちゃんが来てくれたけど」
「ああ、ライル坊ちゃんのおかげで助かったんだね」
「うん、父さんと母さんも見ないと」
「……そうだね」
シー坊と呼ばれた子に司祭は必死に言葉を探していた。
その間にエヴァンスと迷いが戻ってくる。
「ひとまず、俺らが見る中にゴブリンどもはいなかった」
「なんとか勝てたね、チームワークだよね」
多少の怪我はあるが、問題ない程度。
「上から見ても、動くものはいませんでした。兵庫さんもご無事で何よりです」
シルヴィアは報告する。
「君の援護は的確で助かった」
兵庫が礼を言う。
村人たちは安全とわかり、外に出る。そこで惨劇を目の当たりにし、死んだ肉親や近所の者を見つけて慟哭する。
(これが過去の記録なら……どういう意味があるのでしょうか?)
ケインは教会の外に出る。
(ゴブリンや雑魔に襲撃された村、ということ。そして村人たち無事助けられた?)
ここで見ているだけでは分からないことだらけだ。
(痛みは本物?)
村人たちがお礼を言い、隣村への連絡を頼む声が聞こえるのだった。
「飲み食いするなら、隣村だよな」
「できれば、我々を連れて行ってくれませんか? ここにとどまるには少し……やるべきことはありますが、人手も必要です」
司祭が提案する。墓を掘るにも家を片付けるにも一旦隣村に行きたかった。
「かまわないよね」
まよいが仲間に確認をとる。それに、うなずいたのだった。
ふと、ハンターは目を覚ました。ライブラリを見ていた場所にいる。
今まで活動していたはずなのだが、怪我も攻撃を受けて鎧についた傷も何もなかった。
ハンターはその村まで妨害に合わずたどり着いた。村人が言っていたライル・サヴィスという少年いうも会わず。
村が見えた時点でハンターたちは用心に用心を重ねる。
音はするが生活音ではない。戦いの音でもない。奇妙であり、警戒してしすぎることはない。
近づくと感じるのは生き物の死。村ならば――人間と家畜だろうか。
隠れて様子を見るとゴブリンたちが相当数いると分かる。
エヴァンス・カルヴィ(ka0639)は「三班に分かれよう」という告げる。
「ここから見える教会に、村人が避難している可能性も高い。教会を足掛かりに村を奪還できりゃいいか。そこまでは襲われている人間がいないか確認しつつ向かおう」
ハンターに異論は出ない。
「トランシーバーのチャンネルはオープンにしておこう。情報の共有ができるようにな」
榊 兵庫(ka0010)はすぐにトランシーバーを取り出し、使えるようにセットする。
トランシーバーを持参しているハンターも同様に作業しておく。
「教会まではこっそり。村人の安全が確保できたら、殲滅戦だね。隣の村とかにゴブリンたちが行っちゃうと大変だもの」
夢路 まよい(ka1328)は隣にいるエヴァンスの袖を引っ張った。エヴァンスが「もちろんだ」とうなずく。
「え……数が多そうだから撤退かと思ったんですけど……」
クオン・サガラ(ka0018)はまよいが言っている意味も理解はできる為、状況を考えていくつかの道を考える。ひとまずは教会を起点に防御して戦うことで何とかなるだろうと。
「教会を取り戻せましたら、屋根の上から援護をします……登れそうにないならまた考えます。まだ状況が呑み込めていませんが、助けを待つ人がいるのです」
シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)は鎧の下より淡々と声を上げる。手に持つスナイパーライフルが頼もしい。
エクラ教を強く信じるケイン・ロウェル(ka6708)は状況を、ライブラリの追体験あろうと考え内心興奮していた。
(ハンターとして未熟です、私は。研究者として神の恩寵と試練には真摯に向き合おう。人を多く助けられるように努力はする……しかし、助かる人は変わらないのだろうけれど……過去の追体験ならば)
●教会へ
エヴァンスとまよいは教会に遠回りで近づく。途中にある家に人もゴブリンもいないようだった。
民家の扉が開きっぱなしであれば用心して見るが、誰もいないかすでにこと切れた人がいるだけだった。隠れている人がいる様子もない。
「誰もいない?」
「いないならそれでいい」
二人は急いだ。村の入口から見えた部分だと教会がある方向、村の中心に多くのゴブリンたちがいるようだから。
兵庫とクオンはゴブリンたちに見つからず進めていた。教会に行く途中の家を確認するが生存者はいない。
見つからずに進めているのは運がいいとしか言いようがない。
「動ける人は避難してくれているということですね」
「教会の先にいる可能性はあるから確認しないとな」
クオンは兵庫の言にうなずいた。
不意にうなり声が耳に届く。武器を手に左右を見ると少し離れたところにコボルドがいた。
「見つかりましたか」
「あと少しで教会だ、行くぞ」
「そのつもりです」
そのコボルドを退治しつつ、教会の方向へ行く。他にもいる可能性はあるが、一つずつ超えていくしかない。
シルヴィアとケインは壊れている扉に注意しつつ、中を見ようとした。
物音はしないようだ。ゴブリンが荒らすだけ荒らした後なのかもしれない。
ケインが開ける。シルヴィアは周囲を警戒する。
皿や鍋が飛んできた。
「ぐっ」
「下がってください」
シルヴィアはライフルが使える位置まで下がりたいが、ケインを放置はできない。
教会に逃げるにしても制圧完了していない場合、多勢に無勢になりかねない。
小道に二人は入る。
追ってきたゴブリンにシルヴィアが銃口を向ける。とっさに撃つのに向かないが、威嚇も含め引き金を絞った。手練れな行動に銃弾はゴブリンを貫いた。
ケインはゴブリンの攻撃を食らうが、盾を構え【ストーンアーマー】を使用する。魔法を使って応戦することも考えるが、まずは態勢を整えたかった。
「無理はしないでください」
「魔法で防御しましたのでひとまずはもちます」
シルヴィアは背後にも注意をしつつ、見える範囲のゴブリンを狙った。
一体、二体とゴブリンは倒れる。
戦闘状態になったことにより、音を聞きつけて二人の方に敵が来る可能性は高い。
『シルヴィア、教会側に来てかまわない』
兵庫の声がトランシーバーから届く。
『おう、こっちも到着したぞ』
エヴァンスの声も届いた。
「分かりました」
ケインは教会方面に移動を始める。ケインが前、距離を見つつシルヴィアが続く。
●教会にて
ゴブリンナイトやメイジ、しっかりした武器を持つソルジャーなど複数が教会の前にいる。
正面突破というより、弱いところを探している感じだ。攻めあぐねている状態というのは中の人たちが無事だということである。
「手早く倒するに限る」
「同感だ!」
兵庫とエヴァンスがまとまっているゴブリンたちに武器を抜き距離を詰める。そして、マテリアルを込め薙ぎ払った。逃れられたものだけが生き延びた。
「……意外と全部倒せたりするんですかね……」
「もっと多かったら、ここまで来る間にみんな戦っていたよ」
「それも一理ありますね。村の広さにもよりますが」
クオンとまよいは離れていたり、攻撃をよけた者を攻撃する。態勢を整えた兵庫とエヴァンスが確実にゴブリンたちを倒していく。
「向こうから来たね」
まよいは教会に向かってくるゴブリンとコボルドの集団に向かって魔法を放つべくマテリアルを紡ぐ。
「銃で威嚇はしておきます」
クオンが射撃をする。弾も当たったが、音でそれらは一瞬足を止めた。
「……果てなき夢に迷え……【ドリームメイズ】」
まよいがその周囲に放った魔法により、やってきていたゴブリンやコボルドは眠りに落ちる。一部は抵抗したらしく仲間を突き飛ばしてやってくる。
「まあ、早いが陽動と行くか!」
喜々としてエヴァンスが向かっていく。教会の前には動く敵はいない。
「殲滅でもいいよね? 援護は任せて」
「確かにな! 行くぜ」
「おうー」
まよいがその背中についていった。
兵庫とクオンは扉をたたく。
「おい、我々はハンターだ! 中に人がいて無事なら、返事をくれ」
「できれば、わたしを入れてくれますか? 防御のために」
兵庫とクオンの声に二階の窓が開く。顔をのぞかせたエクラ教の司祭らしい男の表情に安堵が生じた。
「い、今、下で対応します。一つお聞きしたいのですが、皆さまが来るまでにライル坊ちゃんを見ませんでしたか?」
「確認できる家は見てきたが……誰見ていないはず」
手前の村でもライルのことは言われている。途中で見たら声をかけるようにと。
「兵庫さん」
シルヴィアとケインが走ってきた。
その後方には数体のコボルドとゴブリンがいる。
教会の扉が開きそうだったため、クオンが「少し待ってください」と告げ、扉を背に銃を構え機導術を使う用意をする。
「勝手はさせないぞ」
ケインに接敵したゴブリンに対し、兵庫は槍を突き出す。
距離を置いたところで、ケインは魔法を紡ぎ敵に放つ。
「研究ばかりだとなかなかきついですね」
ケインは肩で息をしつつぽつりつぶや。深くはないがいくつも体に刻まれた傷に眉をしかめる。
「兵庫さん、私は教会から『目』として援護します」
「頼む」
ケインとクオンが村人たちと教会にこもることとなる。
兵庫はシルヴィアが位置についたのを確認後、奥の家を確認に走った。
●羊飼い
「さあ反撃の時間です」
シルヴィアは教会の鐘がある部分のやぐらに上がった。視界は開け、敵の動きも見える。
「敵は多いとはいえ、散開状態です」
陽動兼殲滅の先鋒となっているエヴァンスとまよいのあたりが一番賑やかだ。あと一か所集まっている物がいる民家がある。
「今は教会に近づくものと兵庫さんの後ろですね」
そちらにはオオカミやヒツジのように見える存在あった。それらは普通の生き物には見えない、雑魔だろうか。
「それでも敵なら撃つのみです」
照準を合わせ、引き金を引いた。
「さぁ、弱い者いじめしかできねぇ臆病者のゴブリン諸君! 俺と戦う勇気がある奴ぁいるか!」
エヴァンスが声を張り上げる。
「【ライトニングボルト】」
まよいから電撃が放たれる。
ゴブリンたちは数で有利と考え突撃してきた。外見から弱そうに見えるまよいに向かって。
「ひどいっていうか、頭いいよね」
避けきれなかった攻撃の分、傷ができた。
「ってっーか! こっちに来ないのかよ」
エヴァンスが技を乗せゴブリンたちを切り伏せる。
「ずる賢いとも言うよね……【ドリームメイズ】」
味方を巻き込まずに魔法を放つ位置をきちんと見極める。
「だから困るんだ。ぜってー、ソルジャーとメイジとナイトは逃がせられねー。結局、ここにいる敵は殲滅だ」
「そのつもりだし、行くよ【ライトニングボルト】」
「仕事だし、報酬にうまい飯と酒もあればよし」
「終わったら打ち上げだね」
エヴァンスの攻撃が当たればゴブリンたちはほぼ消し飛ぶ。敗戦を感じて逃げられるのが面倒だったが、まよいが魔法で攻撃するおかげで足止めはされていた。
兵庫はシルヴィアからの援護を確信し急いだ。
「ライルいるか? 俺たちはハンターだ」
声は上がらない。
破壊する音が耳に届くが、兵庫の声がしたときに止まったようだった。向こうも侵入者を意識しているだろうから、急ぐか逃げるかするだろうか。
槍をいつでも使えるように持ち、走った。
家に入り込もうとしているゴブリンと羊の群れが見えた。
群れに銃弾が叩き込まれる。
「羊というと肉でも毛皮でもとれればいいがな……お、群れか」
犬が吠える。すると羊たちは兵庫に向かって突進し始める。
これらはすでに死を通り、雑魔となっている容姿をしている。
「変な奴らが手を結んだわけか……一気に片づけないとな、榊流【狼牙一式】」
兵庫は距離を詰め技を放つ。
羊は固くはないが柔らかく刃が通りにくいと感じた。
「う、うぐっ」
「お兄ちゃん!?」
家の中から少年と子供の声がする。
兵庫は走った。シルヴィアの攻撃で羊が無に還ったようだった。背後は気にせず、最低限の注意だけで前方の家に集中した。
「こっちにこい」
家の入口から声を掛け、追ってくる雑魔を止める。
血まみれであるが、子供を抱くように走ってくる少年があった。
ゴブリンはそれを殺そうとしている。
「させるか」
ゴブリンたちは獲物だけでなく敵がいるとようやく認識したときには死の抱擁を受けていた。
「隙を見つけたら教会に行け。この通りなら、後ろを気にせずに行け」
「……ああ」
少年は苦しそうだがうなずいた。子供を守るために意志を総動員しているようだ。
教会の中には老若男女が二十人くらいいた。
「助けが来たということはあの人は逃げられたんですね」
「良かった」
そんな声も聞こえるが、隣村の住民は自主的に探索をしてくれと依頼をしていたのだ。クオンもケインも状況が分からないため何も言えない。途中に見つけた死体がその人かもしれないのだから。
「裏手は薄いです。もし、すり抜けてきたときのために、こちらにバリケードを作っておきましょう」
ケインは告げる。
クオンは二階から降りると頑丈な扉のそばに立った。もしも逃げるときを開けられることを考えていないといけない場所だ。
「君のけがは? 必要なら応急手当もしますよ」
「このくらいなら問題ないです」
クオンの申し出にケインは礼を言う。
「わたしがここを見張っています」
クオンは銃を手に、扉のそばにいる。扉は非常に頑丈であるため、村人たちは耐えられたのだろう。ゴブリンたちが壊す手段を持っていなかったのもよかったのだ。
「動かせそうなものは」
ケインは祭壇や椅子などを村人と動かしていく。
トランシーバーを通じて戦いが続いているのはわかる。トランシーバーを通じて雑魔の存在もはっきりしたとき、青くなったのは言うまでもない。
大した時間ではなかっただろうが、待っていたクオンには長かった。バリケードを作る行動をしているほうがどれだけ気が紛れていたか。
『こっちは完了した。周囲を見回ってからそっちに行く』
エヴァンスからの応答にケインはほっと息を吐く。
村人たちから歓声まではいかないが声が上がる。
「まさか……全部倒したのですか」
クオンは苦笑に近いものを洩らしたが安堵の表情だった。
●元のところへ
兵庫に抱えられるようにライルと泣くのを我慢している様子の男の子が教会にやってくる。
「かなりひどい傷ですね。応急手当をしておきます」
クオンが見ると長椅子に寝かされたライルの傷は打ち身が多いが、かみつかれたような跡もある。
「……シー坊」
「……司祭様」
羊のぬいぐるみを抱きしめた男の子が司祭の顔を見た瞬間、気が緩み泣き始めた。
「父さんと母さんは……ぼくはお兄ちゃんが来てくれたけど」
「ああ、ライル坊ちゃんのおかげで助かったんだね」
「うん、父さんと母さんも見ないと」
「……そうだね」
シー坊と呼ばれた子に司祭は必死に言葉を探していた。
その間にエヴァンスと迷いが戻ってくる。
「ひとまず、俺らが見る中にゴブリンどもはいなかった」
「なんとか勝てたね、チームワークだよね」
多少の怪我はあるが、問題ない程度。
「上から見ても、動くものはいませんでした。兵庫さんもご無事で何よりです」
シルヴィアは報告する。
「君の援護は的確で助かった」
兵庫が礼を言う。
村人たちは安全とわかり、外に出る。そこで惨劇を目の当たりにし、死んだ肉親や近所の者を見つけて慟哭する。
(これが過去の記録なら……どういう意味があるのでしょうか?)
ケインは教会の外に出る。
(ゴブリンや雑魔に襲撃された村、ということ。そして村人たち無事助けられた?)
ここで見ているだけでは分からないことだらけだ。
(痛みは本物?)
村人たちがお礼を言い、隣村への連絡を頼む声が聞こえるのだった。
「飲み食いするなら、隣村だよな」
「できれば、我々を連れて行ってくれませんか? ここにとどまるには少し……やるべきことはありますが、人手も必要です」
司祭が提案する。墓を掘るにも家を片付けるにも一旦隣村に行きたかった。
「かまわないよね」
まよいが仲間に確認をとる。それに、うなずいたのだった。
ふと、ハンターは目を覚ました。ライブラリを見ていた場所にいる。
今まで活動していたはずなのだが、怪我も攻撃を受けて鎧についた傷も何もなかった。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/02/21 00:10:07 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/19 03:08:25 |