ゲスト
(ka0000)
愛盛甘店バレンタイン商戦!【目抜き通り】
マスター:鮎川 渓

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/02/20 07:30
- 完成日
- 2017/02/28 02:14
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●最近噂のあのお店
「ねぇ、知ってる? あのお店」
リボンをあしらった可愛い包みに、鮮やかな包装紙が目を惹く小箱、甘い香りを振りまくスイーツ――見ているだけで気分を高揚させるような華やかな品々が、商店街の店々を彩っている。
客引きの声も賑々しく、通りを行く恋人達や女性客は皆楽し気だ。
そう――世はまさに大バレンタイン商戦時代。
バレンタインを目前に控え、いかにリア充……もとい、幸せそうな恋人達や恋する乙女達から小銭を巻き上げようかと、商人達は知恵と腕とを競っていた。
華やかな裏では熾烈な客取り合戦が絶賛勃発中というわけだ。
しかしそんなオトナの事情など、幸せいっぱい夢いっぱいのお客達には全く関係ないことで。
この二人連れの少女達も意中の彼へのプレゼントを求め、通り歩きを楽しんでいた。
そんな中、ある店を指して一人が言う。
「ねぇ、知ってる? あのお店」
連れが指さす先を見やれば、そこにはこじんまりとした店が。
はてあんな所にこんな店あったかな、と首を傾げたくなるほどの地味さだが、やたらと人が入っている。
看板には『愛盛甘店』の文字――『愛盛』の部分には『あもぅる』とのフリガナが。
どうやらリアルブルーの一部地域で愛を指す言葉の当て字のようだが……
大分無理くりである。
相当無理くりである。
というか無理くりである。
更に『甘店』の部分には『スイーツショップ』とのフリガナ。
やはり無理くり。何故あえて漢字にしてしまったのか。
ある種の切なささえ抱かせるその無理くりさに、連れの少女は微妙な顔になった。
けれど、言い出した当人は満面の笑みで耳打ちする。
「あそこのお菓子をカップルや仲良しの友達同士で食べると、すっごく盛り上がるんだって」
「盛り上がる? 何が?」
「友情とか恋心とかぁ……愛とかっ」
「えぇ?」
何言ってんのと言いたげな彼女に耳打ちは続く。
「ほらほらぁ、つい最近モブリーナとモブリオが付き合い出したじゃん?」
「びっくりしたよね。モブリーナ、絶対望み薄だと思ったのに」
「でしょお? それがね……あそこで買ったお菓子を、二人で一緒に食べた直後に付き合いだしたんだって!」
「たまたまでしょ?」
「他にもそういう話いっぱいあるんだって! すっごい噂だよ、『愛盛のお菓子は恋に効く』って!」
「えぇ……それ何かおかしな薬とか入ってるんじゃ……」
訝しむ彼女の目の前で、その噂を知ってか知らずか、多くの人々が愛盛甘店に吸い込まれていく。
二人で近寄り窓から店内をのぞき込んだ。
棚に並んだバスケットには様々なお菓子が並んでいる。
ショーケースの向こうでは、エプロンドレスを着込んだ雇われらしい売り子が、怒涛の勢いで注文をさばいていた。
けれどその奥の厨房との仕切り窓には分厚いカーテンがかけられていて、作っている所はうかがえない。
「アタシね、ここで買おうと思ってんだぁ」
「えぇ? やめなよ、ちょっとアヤしくない?」
「大丈夫だって、皆買って食べてるし。一人で買って食べると何ともないんだってさ」
「でも……」
「ならアンタは止めといたら? じゃ、ちょっと買ってくるね」
そう言って友人は勇み店へ飛び込んでいく。それでも彼女はまだ迷っていた。
ところが。
友人と入れ違いに店から出てきたのは、彼女にとっての恋敵。愛盛の包みを手にした恋敵は、彼女を見るとフフンと勝ち誇ったように笑い、軽やかに去っていく。
――もしもあの噂が本当だったら。
間を置かず決心を固めると、彼女も友人を追い扉を潜って行った。
●仲良しハンター寄っといで
「……って噂のある菓子店があるんですよ」
商店街からほど近いハンターズソサエティ支部。
依頼内容を記した紙を掲示板に貼っつけつつ、少年事務員が居合わせたハンターへ気だるげに言う。
「まぁ、ただのしょーもない噂だと思うんですけどね? 年頃のお嬢さんを持つ親御さんはやっぱり心配みたいだし、ヘンな薬が混ぜられててもコトだっていうんで、ハンターさん達に調査をお願いすることになりまして」
爆ぜろリア充、と少年はぼそり呟いたが、さておいて。
「と言ってもカンタン。恋人や夫婦、もしくは仲の良い友達同士で一緒に依頼を受けて、何くわーぬ顔でお菓子を買って食べるだけ。……あ、全部食べちゃダメですよ? ひとつは残して、ここへ届けてもらいます。こっちで一応お菓子の成分とか調べるんで。ちょろいでしょ?」
にんまり笑う少年事務員に、ハンターが納得いかない顔でツッコむ。
「わざわざ食べる必要があるのかって? 人体実験みたいじゃないか、と。大丈夫ですよー、ハンターなんだから身体丈夫でしょう? こっちだって効果がないモンわざわざ全部調べるほど暇じゃあないんです。食べてもらって、何かしらの効果アリって物だけ調べに回したいんです。分かってくれます?」
まだ眉を寄せているハンターの脇をすり抜けて、少年は依頼を物色しに来ていたハンター達に告げる。
「さぁさぁ新しい依頼ですよー、何とお菓子を買って食べるだけ! 但しリア充げんて……コホン。恋人やお友達お誘い合わせの上、奮ってご参加くださいねー!」
リプレイ本文
●華燭の夢
昼過ぎ。
菓子の調査依頼を受けた三組の内、最初に目抜き通りに現れたのは玉兎 小夜(ka6009)と玉兎・恵(ka3940)だった。商店街は今日も女性客やカップルで賑わっている。
「恵」
人混みにまかれ店の方向を見失いきょろきょろする恵へ、小夜が腕を伸べた。恵は今にもとろけそうな笑みを浮かべ、
「はい、うさぎさん♪」
はぐれぬよう腕に腕を絡め、身を預けるようぴとんとくっつく。
最早説明不要だろうか。二人は相思相愛の夫婦。
小夜にリードされて歩けば、恵のエプロンドレスの裾が可憐に翻る。恵の頬は幸せいっぱいに緩みきり、それを見た小夜も表情こそ動かさないものの、
「夫婦になってもデートは大事。コジキにもそう書かれてる」
照れ隠しにそんな冗談を飛ばしてしまうくらいには照れていた。
「甘い香り、お菓子が沢山♪」
件の菓子店へ入ると、仔兎のように小さな鼻でくんくんする恵に対し、小夜は冷静に棚の菓子を見分。
「恵、どれにしたい?」
恵は小首を傾げ、
「そうですねぇ……ショコラかな?」
そんな仕草さえ愛くるしいものだから、小夜は今ばかりは己の硬い表情筋に感謝した。お陰で人前でだらしなく口許を緩めずに済む。そうと悟られないよう少々悪戯っぽく言う。
「いいね、まだチョコから一番遠い。チョコは恵からのバレンタインで舌が肥えておりますので」
「うさぎさんったら」
応えた恵もまんざらでもないようで。
二人はひと口フォンダンショコラを購入すると、近くの公園へ足を向けた。
公園の隅に東屋を見つけた二人は、そこで包みを開けた。二人が選んだこのショコラ、食べれば『二人の幸せな未来が夢に見られる』と噂の物だ。
「あーん」
だしぬけに小夜が恵に向け口を開く。子供っぽいおねだりに、
「仕方がないなあ」
笑って応じようとした恵だったが、そこでふと思い立つ。ショコラをつまんで自らの口に咥え、目を瞑って小夜に差し出した。
小夜、思わず目をぱちくり。そう来たか。
「んむにゅ……あーん」
多少の食べ辛さはご愛嬌。小夜、可愛らしく差し出されたショコラに齧りついた。
ほろり崩れたショコラの中からとろりとチョコが溢れ出し、濃厚な甘い滴が恵の口許に伝う。
「おっと……あむ」
小夜は思わず恵を抱き寄せぺろりと舐めとった。我に返ると、少々照れたようにうっすらと頬を綻ばす。つられて恵も幸せ一杯に微笑んだ。
(駄目だなあ、私)
小夜と居るだけでとろけそうになってしまう自分を、そんな風に思いながら。
食べ終えた後も寄り添って座っていると、そよ風が二人の頬を撫でた。この時期にしては日差しが暖かい。常緑樹の梢がさらさらと鳴り何とも眠気を誘う。恵が小さく欠伸を零した。
「何だか眠くなってきちゃいました」
一旦眠気を自覚してしまうともうだめだった。小夜の意識も急速に霞み始める。
「こんな所で寝込むわけには……」
言いつつもどんどん瞼が重くなり――二人は肩を凭れ合い、眠りに落ちていった。
――ここは?
恵は鐘の音で我に返った。
目の前には重そうな扉があり、その上には豪奢なステンドグラスが。
「……教会?」
「恵」
愛しい声に振り向くと、スーツで凛々しくきめた小夜が立っていた。赤い瞳に、一見して上等な物と分かる漆黒のスーツが映える。
「うさぎ、さん?」
思わず見惚れていると、小夜が腕を伸べて来た。
「綺麗だよ」
言われて恵が改めて自分の姿を見れば、身を包むのはエプロンドレスではなく、絹とレースを贅沢に使った純白のウエディングドレス。
「えっ?」
「ほら、行くよ」
混乱していたって、小夜が行くと言えばどこへでも。恵は迷わず腕をとる。
それを待っていたかのように扉が開かれた。同時に外から歓声があがる。見れば、そこには親しい友人達の姿が。二人が外へ出ていくと、皆は祝福の言葉と共に花弁のシャワーを投げかけてくる。戸惑いながらも隣を見れば、同じようにこちらを見て目を細める小夜の顔。喜びに胸を詰まらせながらも笑顔で応え歩いていく。
降り注ぐ花と言祝ぐ声に彩られた道を、歩調を合わせどこまでも、どこまでも――
そこで二人は同時に飛び起きた。
「今、うさぎさんと結婚式をする夢を、」
「今、恵がウエディングドレスで、」
これまた同時に発してしまった言葉に顔を見合わす。
「え?」
思わずショコラの包みに目をやった。
「まさか」
同時に同じ夢を見るなど偶然にしては出来過ぎだ。すぐにオフィスに報告しないとと立ち上がりかけた小夜を、恵の手が引き留めた。
「もうちょっとだけ……夢の余韻に浸ってたいです」
言われて小夜も気を取り直す。再び並んで腰かけ、二人は幸せな夢を反芻した。
小夜は密かに拳を握る。
(同性夫婦だからね、多少困難はあるだろうけど……戦いが終わってからも、こんな光景を作るために……)
「兎はがんばらなきゃなー!」
突然大きな声を出した小夜を、恵が不思議そうに見つめる。
「ん、何でもないよ」
そんな恵の柔らかな頬に、小夜は自分の頬を優しく摺り寄せた。
●『次』
その頃。
「クランさんこっち! 座れそうやでー!」
菓子店傍の噴水前で、ぶんぶん手を振る銀髪エルフの少年が。
レナード=クーク(ka6613)だ。大声で呼ばわれ注目を集めてしまったクラン・クィールス(ka6605)は、同じく銀色の髪を揺らしそそくさと駆け寄る。
ちょっと恨めし気に見やるも、菓子の包みを手にうきうきのレナードは気付かない。クランはひっそり息をつき、噴水の縁に腰かけた。いそいそと包みを開けたレナードは、
「見た目は普通のクッキーやんねぇ?」
『二人の仲を深める』効果があると噂のそれをしげしげ眺めている。その楽しそうな横顔を、クランは不思議な思いで盗み見た。
(本当に物好きな奴だ……)
ある出来事以降己の腕のみを頼りに独りで生きてきたクランは、明るいとは言い難い己の性格を自認している。
そんな彼にとって、レナードは親し気に声をかけてくれる知人。自分にない明るさや柔和な態度を眩しく感じることもあれど、それでもどこか信用しきれない自分がいた。今回の依頼も、かねてからレナードと共に出かける約束をしていなければ、怪しい菓子のこともありどうしていたか。
それでも無邪気に笑うレナードを見れば、どれだけ今日を楽しみにしていたかが分かる。余計な事は言うまいと口を引き結んだ。
そうとは知らないレナード。
クランと約束のおでかけができたこと、そして甘いお菓子を前にして、糸のような目を更に細める。クッキーをクランにも渡し、幸せそうにクッキーを頬張った。クランは訝しみつつも顔には出さず齧りつく。
「ん。普通に美味しいんやけど」
「……別段おかしくないな」
頷いたきり無言で食べ進めていくクランに、レナードは首を傾げ、
「クランさんも美味しかったん?」
「甘くて美味しい」
短い応えにぱぁっと顔を輝かせた。
「甘い物好きなんやね?」
クランのことがひとつ知れて嬉しくなる。と、そんなレナードの目に人だかりが映った。菓子売りの出店があるらしい。
「体調変化も特に無い……結局唯の噂だったか。後は、戻って報告だけ済ませれば終わり……ん?」
手を叩いてカスを払ったクランも、レナードの視線を追って出店に気付く。
「何かイベントでもやってるのか。時期が時期だしおかしくはないが……」
「あっ、甘い物好きさんとしては気になっちゃうんやね? チョコレートの他にも色々ありそうや。今日は運がええ日やんね!」
言うなりレナード、ぱっと立ち上がる。
「レナード? 今菓子食べたのに行く気満々、」
「売り切れてしもたら大変やし、早く行かへんと……!」
折角クランも甘い物好きと知れたのだ。善は急げと出店へ向け猛ダッシュ!
「おい、ちょっと待っ……!」
クラン慌てて追いかけるも、細身のレナードは客の間を身軽にすり抜けて行った。
「……もう見えなくなった」
不意に、足を止めたクランへ静寂が忍び寄る。実際は雑踏の只中にあって、無音とは程遠いはずなのだが。傍らで始終何かと喋りかけてくれていたレナードの声を失って、やけに静かに感じられた。
独りで生きてきたクランだが、孤独を好んでいたわけではない。
「仕方ない、探すか……」
呟き、人混みへ分け入って行った。
無事買い込んだ菓子を抱え、レナードにっこりご満悦。
「えへへー……クランさんの分のお菓子も、しっかり買えたー……ってあれ?」
ところが気付くとクランがいない。
「ど、何処に行ってしもたんやろ……急いで探さんと!」
クランが何処かに行ったのではなく、レナードの方が置いてきてしまったのだが。見回せど、目に入るのは次々に出店に寄ってくる客達ばかり。
隣に親しい人あらば楽し気な人混みも、そうでなかったと知った途端無関心の群衆になり果てる。取り残された心地がしてレナードは顔を伏せた。
(……あ。俺、また迷子になったのか)
思わず唇を噛みしめた、その時。
「レナード!」
声にわずかな焦りを滲ませ、クランが駆けてくるのが見えた。
「クランさん!」
目の前までやって来たクランに、レナードは知らずほっと息を吐く。
けれどその一瞬手前、クランも密かに安堵の息をついていたことを、レナードは知らなかった。
そうして残りのクッキーをオフィスへ届けた時には、すでに陽が傾いていた。
レナードはぺこりと頭を下げる。
「今日はおおきにやんね……! でも、迷子になって迷惑かけてしもて」
これじゃあ次のおでかけに誘っても断られるかもしれない。レナードはぼんやりそんな事を思った。
「こちらこそ誘いありがとうな。まぁ、楽しかった」
頭上から淡々とクランの声が降る。
(やっぱり)
落胆しかけたところへ、
「……次があるかは分からないが。次は迷子を出さない為にも、極力目を離さない様にしないとな?」
クラン、ぼそりとそう言った。『次』の言葉に、レナードに笑顔が戻る。
「またこうして、一緒にお出かけ出来たらええねぇ」
並び立つ二人を、橙色の陽が照らしていた。
●Sey,yes!
「こんな店で噂になるものが起きるお菓子あるの?」
時は少し遡り。
浪風 白露(ka1025)は今出て来たばかりの愛盛甘店の外観と、恋人の鬼塚 雷蔵(ka3963)に買ってもらった洋酒入りチョコの箱とを見比べる。銀糸めく髪が揺れ、雷蔵の頬をくすぐった。
「ど、どうだろうな」
髪から漂う女性的な香りに、雷蔵思わずどきまき。広場まで格好良くエスコートしたいと思うものの照れるやら気恥ずかしいやら、白露の背に回した手は腰の辺りを行ったり来たり。
「ん?」
そんな雷蔵を白露は不思議そうに見上げた。
「い、いやっ」
身長差も手伝って、白露が彼を見る時は必然上目遣いになる。彼女の何の気ない視線にさえ、雷蔵の身体はぎくしゃくと強張ってしまうのだった。
そんなこんなで広場のベンチに座り、一緒にチョコを食べてみる。かりっと噛めば、中から芳醇な洋酒ゼリーが溢れた。思いのほか強い酒精度に喉がツンとしたものの、他に違和感などはない。
二人が選んだこのチョコ、噂では『せくすぃなハプニングが起きる』と言われる品のはずだった。
「美味しいけど噂なんて嘘じゃないのか?」
白露は唇についたチョコを舐めとると、この後どうしようかななんて思い巡らせ始める。調査とは言え連れは彼氏。当然デートも兼ねている。
ところがその彼氏と言えば、白露がちらりと覗かせた濡れた舌の赤さに、またもどきまきさせられていた。心拍数が跳ね上がり、一気に酔いが回りだす。
「白露、」
酔いの勢いを借り、彼女の柳腰に腕を回した時だった。
「ん……ぁちぃ」
気付けば白露の頬はしっとり上気し、黒い瞳が潤んでいる。白露も酔いが回ったらしい。彼女はおもむろに上着を脱ぐと、彼の逞しい肩へくったりと凭れ掛かった。
腕に押し付けられた柔らかな感触にちらりと目をやった雷蔵、服から露出した白露の胸元と可愛いおへそ周りを見、硬直。おまけに赤い目許で見上げられ、
「らいぞぅ」
なんて舌っ足らずに呼ばれたものだから堪らない。
普段の彼ならばここで理性を削られ尽したかもしれないが、今は違った。お菓子の魔法か酒の力か。素早く周囲に視線を走らせ人気がない事を確認すると、白露を力強く引き寄せた。片手を頬に添え、瞳を覗き込む。
「らいぞぅ?」
いつもと違う雷蔵の雰囲気を察し、白露は小首を傾げる。それでも雷蔵、怯まず告げた。
「……好きだ、白露」
そしてそのまま、驚きに目を瞠る白露の唇を強引に奪った。腕の中で白露が小さく身じろぐ。そんな反応さえ可愛くて、愛しくて……夢中で唇を味わっていた雷蔵、だがここでふと正気に返った。返ってしまった!
(~~ッ!!?)
動転して唇を離した雷蔵を、白露は訝しむように見つめる。
「こっ、このチョコは相当に危ないっ! 急いでオフィスに提出しないと……!」
雷蔵は真っ赤な顔を隠すよう、白露の手を引き足早に歩き出した。
先にオフィスから出てきたのは白露だった。雷蔵は現在、『これは本当に危険だぞ!』とエラい剣幕で事務員に詰め寄り中だ。
暮れなずむ通りを眺めながら、唇にそっと触れてみる。さっきの雷蔵は明らかにいつもと違った。
「チョコの勢いでなんて、ね」
改まっての告白は確かに嬉しかった。けれど酔いかチョコの所為かは分からないが、その勢いに任せたものだとしたら少し寂しく感じてしまう。ぽつりひとりごちた所へ、雷蔵が追いついてきた。
「行こう」
躊躇せず腰に腕を回してくる。やはり彼らしくない。
一抹の寂しさを感じながら促されるまま歩いて行くと、いつしか人通りのない通りにやって来た。
雷蔵は足を止め白露に向き直る。そして、先程と同じ言葉を口にした。
「好きだ、白露」
けれど言葉は同じでも、雷蔵の双眸は真剣そのもの。急に照れ臭くなり、白露はふいと横を向く。
「まだ酔ってんの?」
けれど大きな両手で頬を包まれ向き直させられると、雷蔵の顔が迫ってきて……
重ねたばかりの唇から、彼の熱っぽい声が告げる。
「いつか、必ずおまえをお嫁さんにするから。ずっと一緒にいてくれ」
真摯な求婚に、白露の身体が小さく震えた。それから、ゆっくりと口を開き――これ以上は野暮というもの。白露の返事は雷蔵のみぞ知る、である。
●
数日後。検査担当から上がってきた菓子の報告書を読み終え、少年事務員は溜息をつく。
「やっぱり混入物はナシ、か。人は噂に流されやすいからねぇ。でも……」
こまっしゃくれた口調で言い、悪戯っぽく笑う。
「皆さんが全員『効果アリ』って報告してきたのは、ちょっと面白かったかも」
そうして報告書をぽんっとデスクの上に放った。
昼過ぎ。
菓子の調査依頼を受けた三組の内、最初に目抜き通りに現れたのは玉兎 小夜(ka6009)と玉兎・恵(ka3940)だった。商店街は今日も女性客やカップルで賑わっている。
「恵」
人混みにまかれ店の方向を見失いきょろきょろする恵へ、小夜が腕を伸べた。恵は今にもとろけそうな笑みを浮かべ、
「はい、うさぎさん♪」
はぐれぬよう腕に腕を絡め、身を預けるようぴとんとくっつく。
最早説明不要だろうか。二人は相思相愛の夫婦。
小夜にリードされて歩けば、恵のエプロンドレスの裾が可憐に翻る。恵の頬は幸せいっぱいに緩みきり、それを見た小夜も表情こそ動かさないものの、
「夫婦になってもデートは大事。コジキにもそう書かれてる」
照れ隠しにそんな冗談を飛ばしてしまうくらいには照れていた。
「甘い香り、お菓子が沢山♪」
件の菓子店へ入ると、仔兎のように小さな鼻でくんくんする恵に対し、小夜は冷静に棚の菓子を見分。
「恵、どれにしたい?」
恵は小首を傾げ、
「そうですねぇ……ショコラかな?」
そんな仕草さえ愛くるしいものだから、小夜は今ばかりは己の硬い表情筋に感謝した。お陰で人前でだらしなく口許を緩めずに済む。そうと悟られないよう少々悪戯っぽく言う。
「いいね、まだチョコから一番遠い。チョコは恵からのバレンタインで舌が肥えておりますので」
「うさぎさんったら」
応えた恵もまんざらでもないようで。
二人はひと口フォンダンショコラを購入すると、近くの公園へ足を向けた。
公園の隅に東屋を見つけた二人は、そこで包みを開けた。二人が選んだこのショコラ、食べれば『二人の幸せな未来が夢に見られる』と噂の物だ。
「あーん」
だしぬけに小夜が恵に向け口を開く。子供っぽいおねだりに、
「仕方がないなあ」
笑って応じようとした恵だったが、そこでふと思い立つ。ショコラをつまんで自らの口に咥え、目を瞑って小夜に差し出した。
小夜、思わず目をぱちくり。そう来たか。
「んむにゅ……あーん」
多少の食べ辛さはご愛嬌。小夜、可愛らしく差し出されたショコラに齧りついた。
ほろり崩れたショコラの中からとろりとチョコが溢れ出し、濃厚な甘い滴が恵の口許に伝う。
「おっと……あむ」
小夜は思わず恵を抱き寄せぺろりと舐めとった。我に返ると、少々照れたようにうっすらと頬を綻ばす。つられて恵も幸せ一杯に微笑んだ。
(駄目だなあ、私)
小夜と居るだけでとろけそうになってしまう自分を、そんな風に思いながら。
食べ終えた後も寄り添って座っていると、そよ風が二人の頬を撫でた。この時期にしては日差しが暖かい。常緑樹の梢がさらさらと鳴り何とも眠気を誘う。恵が小さく欠伸を零した。
「何だか眠くなってきちゃいました」
一旦眠気を自覚してしまうともうだめだった。小夜の意識も急速に霞み始める。
「こんな所で寝込むわけには……」
言いつつもどんどん瞼が重くなり――二人は肩を凭れ合い、眠りに落ちていった。
――ここは?
恵は鐘の音で我に返った。
目の前には重そうな扉があり、その上には豪奢なステンドグラスが。
「……教会?」
「恵」
愛しい声に振り向くと、スーツで凛々しくきめた小夜が立っていた。赤い瞳に、一見して上等な物と分かる漆黒のスーツが映える。
「うさぎ、さん?」
思わず見惚れていると、小夜が腕を伸べて来た。
「綺麗だよ」
言われて恵が改めて自分の姿を見れば、身を包むのはエプロンドレスではなく、絹とレースを贅沢に使った純白のウエディングドレス。
「えっ?」
「ほら、行くよ」
混乱していたって、小夜が行くと言えばどこへでも。恵は迷わず腕をとる。
それを待っていたかのように扉が開かれた。同時に外から歓声があがる。見れば、そこには親しい友人達の姿が。二人が外へ出ていくと、皆は祝福の言葉と共に花弁のシャワーを投げかけてくる。戸惑いながらも隣を見れば、同じようにこちらを見て目を細める小夜の顔。喜びに胸を詰まらせながらも笑顔で応え歩いていく。
降り注ぐ花と言祝ぐ声に彩られた道を、歩調を合わせどこまでも、どこまでも――
そこで二人は同時に飛び起きた。
「今、うさぎさんと結婚式をする夢を、」
「今、恵がウエディングドレスで、」
これまた同時に発してしまった言葉に顔を見合わす。
「え?」
思わずショコラの包みに目をやった。
「まさか」
同時に同じ夢を見るなど偶然にしては出来過ぎだ。すぐにオフィスに報告しないとと立ち上がりかけた小夜を、恵の手が引き留めた。
「もうちょっとだけ……夢の余韻に浸ってたいです」
言われて小夜も気を取り直す。再び並んで腰かけ、二人は幸せな夢を反芻した。
小夜は密かに拳を握る。
(同性夫婦だからね、多少困難はあるだろうけど……戦いが終わってからも、こんな光景を作るために……)
「兎はがんばらなきゃなー!」
突然大きな声を出した小夜を、恵が不思議そうに見つめる。
「ん、何でもないよ」
そんな恵の柔らかな頬に、小夜は自分の頬を優しく摺り寄せた。
●『次』
その頃。
「クランさんこっち! 座れそうやでー!」
菓子店傍の噴水前で、ぶんぶん手を振る銀髪エルフの少年が。
レナード=クーク(ka6613)だ。大声で呼ばわれ注目を集めてしまったクラン・クィールス(ka6605)は、同じく銀色の髪を揺らしそそくさと駆け寄る。
ちょっと恨めし気に見やるも、菓子の包みを手にうきうきのレナードは気付かない。クランはひっそり息をつき、噴水の縁に腰かけた。いそいそと包みを開けたレナードは、
「見た目は普通のクッキーやんねぇ?」
『二人の仲を深める』効果があると噂のそれをしげしげ眺めている。その楽しそうな横顔を、クランは不思議な思いで盗み見た。
(本当に物好きな奴だ……)
ある出来事以降己の腕のみを頼りに独りで生きてきたクランは、明るいとは言い難い己の性格を自認している。
そんな彼にとって、レナードは親し気に声をかけてくれる知人。自分にない明るさや柔和な態度を眩しく感じることもあれど、それでもどこか信用しきれない自分がいた。今回の依頼も、かねてからレナードと共に出かける約束をしていなければ、怪しい菓子のこともありどうしていたか。
それでも無邪気に笑うレナードを見れば、どれだけ今日を楽しみにしていたかが分かる。余計な事は言うまいと口を引き結んだ。
そうとは知らないレナード。
クランと約束のおでかけができたこと、そして甘いお菓子を前にして、糸のような目を更に細める。クッキーをクランにも渡し、幸せそうにクッキーを頬張った。クランは訝しみつつも顔には出さず齧りつく。
「ん。普通に美味しいんやけど」
「……別段おかしくないな」
頷いたきり無言で食べ進めていくクランに、レナードは首を傾げ、
「クランさんも美味しかったん?」
「甘くて美味しい」
短い応えにぱぁっと顔を輝かせた。
「甘い物好きなんやね?」
クランのことがひとつ知れて嬉しくなる。と、そんなレナードの目に人だかりが映った。菓子売りの出店があるらしい。
「体調変化も特に無い……結局唯の噂だったか。後は、戻って報告だけ済ませれば終わり……ん?」
手を叩いてカスを払ったクランも、レナードの視線を追って出店に気付く。
「何かイベントでもやってるのか。時期が時期だしおかしくはないが……」
「あっ、甘い物好きさんとしては気になっちゃうんやね? チョコレートの他にも色々ありそうや。今日は運がええ日やんね!」
言うなりレナード、ぱっと立ち上がる。
「レナード? 今菓子食べたのに行く気満々、」
「売り切れてしもたら大変やし、早く行かへんと……!」
折角クランも甘い物好きと知れたのだ。善は急げと出店へ向け猛ダッシュ!
「おい、ちょっと待っ……!」
クラン慌てて追いかけるも、細身のレナードは客の間を身軽にすり抜けて行った。
「……もう見えなくなった」
不意に、足を止めたクランへ静寂が忍び寄る。実際は雑踏の只中にあって、無音とは程遠いはずなのだが。傍らで始終何かと喋りかけてくれていたレナードの声を失って、やけに静かに感じられた。
独りで生きてきたクランだが、孤独を好んでいたわけではない。
「仕方ない、探すか……」
呟き、人混みへ分け入って行った。
無事買い込んだ菓子を抱え、レナードにっこりご満悦。
「えへへー……クランさんの分のお菓子も、しっかり買えたー……ってあれ?」
ところが気付くとクランがいない。
「ど、何処に行ってしもたんやろ……急いで探さんと!」
クランが何処かに行ったのではなく、レナードの方が置いてきてしまったのだが。見回せど、目に入るのは次々に出店に寄ってくる客達ばかり。
隣に親しい人あらば楽し気な人混みも、そうでなかったと知った途端無関心の群衆になり果てる。取り残された心地がしてレナードは顔を伏せた。
(……あ。俺、また迷子になったのか)
思わず唇を噛みしめた、その時。
「レナード!」
声にわずかな焦りを滲ませ、クランが駆けてくるのが見えた。
「クランさん!」
目の前までやって来たクランに、レナードは知らずほっと息を吐く。
けれどその一瞬手前、クランも密かに安堵の息をついていたことを、レナードは知らなかった。
そうして残りのクッキーをオフィスへ届けた時には、すでに陽が傾いていた。
レナードはぺこりと頭を下げる。
「今日はおおきにやんね……! でも、迷子になって迷惑かけてしもて」
これじゃあ次のおでかけに誘っても断られるかもしれない。レナードはぼんやりそんな事を思った。
「こちらこそ誘いありがとうな。まぁ、楽しかった」
頭上から淡々とクランの声が降る。
(やっぱり)
落胆しかけたところへ、
「……次があるかは分からないが。次は迷子を出さない為にも、極力目を離さない様にしないとな?」
クラン、ぼそりとそう言った。『次』の言葉に、レナードに笑顔が戻る。
「またこうして、一緒にお出かけ出来たらええねぇ」
並び立つ二人を、橙色の陽が照らしていた。
●Sey,yes!
「こんな店で噂になるものが起きるお菓子あるの?」
時は少し遡り。
浪風 白露(ka1025)は今出て来たばかりの愛盛甘店の外観と、恋人の鬼塚 雷蔵(ka3963)に買ってもらった洋酒入りチョコの箱とを見比べる。銀糸めく髪が揺れ、雷蔵の頬をくすぐった。
「ど、どうだろうな」
髪から漂う女性的な香りに、雷蔵思わずどきまき。広場まで格好良くエスコートしたいと思うものの照れるやら気恥ずかしいやら、白露の背に回した手は腰の辺りを行ったり来たり。
「ん?」
そんな雷蔵を白露は不思議そうに見上げた。
「い、いやっ」
身長差も手伝って、白露が彼を見る時は必然上目遣いになる。彼女の何の気ない視線にさえ、雷蔵の身体はぎくしゃくと強張ってしまうのだった。
そんなこんなで広場のベンチに座り、一緒にチョコを食べてみる。かりっと噛めば、中から芳醇な洋酒ゼリーが溢れた。思いのほか強い酒精度に喉がツンとしたものの、他に違和感などはない。
二人が選んだこのチョコ、噂では『せくすぃなハプニングが起きる』と言われる品のはずだった。
「美味しいけど噂なんて嘘じゃないのか?」
白露は唇についたチョコを舐めとると、この後どうしようかななんて思い巡らせ始める。調査とは言え連れは彼氏。当然デートも兼ねている。
ところがその彼氏と言えば、白露がちらりと覗かせた濡れた舌の赤さに、またもどきまきさせられていた。心拍数が跳ね上がり、一気に酔いが回りだす。
「白露、」
酔いの勢いを借り、彼女の柳腰に腕を回した時だった。
「ん……ぁちぃ」
気付けば白露の頬はしっとり上気し、黒い瞳が潤んでいる。白露も酔いが回ったらしい。彼女はおもむろに上着を脱ぐと、彼の逞しい肩へくったりと凭れ掛かった。
腕に押し付けられた柔らかな感触にちらりと目をやった雷蔵、服から露出した白露の胸元と可愛いおへそ周りを見、硬直。おまけに赤い目許で見上げられ、
「らいぞぅ」
なんて舌っ足らずに呼ばれたものだから堪らない。
普段の彼ならばここで理性を削られ尽したかもしれないが、今は違った。お菓子の魔法か酒の力か。素早く周囲に視線を走らせ人気がない事を確認すると、白露を力強く引き寄せた。片手を頬に添え、瞳を覗き込む。
「らいぞぅ?」
いつもと違う雷蔵の雰囲気を察し、白露は小首を傾げる。それでも雷蔵、怯まず告げた。
「……好きだ、白露」
そしてそのまま、驚きに目を瞠る白露の唇を強引に奪った。腕の中で白露が小さく身じろぐ。そんな反応さえ可愛くて、愛しくて……夢中で唇を味わっていた雷蔵、だがここでふと正気に返った。返ってしまった!
(~~ッ!!?)
動転して唇を離した雷蔵を、白露は訝しむように見つめる。
「こっ、このチョコは相当に危ないっ! 急いでオフィスに提出しないと……!」
雷蔵は真っ赤な顔を隠すよう、白露の手を引き足早に歩き出した。
先にオフィスから出てきたのは白露だった。雷蔵は現在、『これは本当に危険だぞ!』とエラい剣幕で事務員に詰め寄り中だ。
暮れなずむ通りを眺めながら、唇にそっと触れてみる。さっきの雷蔵は明らかにいつもと違った。
「チョコの勢いでなんて、ね」
改まっての告白は確かに嬉しかった。けれど酔いかチョコの所為かは分からないが、その勢いに任せたものだとしたら少し寂しく感じてしまう。ぽつりひとりごちた所へ、雷蔵が追いついてきた。
「行こう」
躊躇せず腰に腕を回してくる。やはり彼らしくない。
一抹の寂しさを感じながら促されるまま歩いて行くと、いつしか人通りのない通りにやって来た。
雷蔵は足を止め白露に向き直る。そして、先程と同じ言葉を口にした。
「好きだ、白露」
けれど言葉は同じでも、雷蔵の双眸は真剣そのもの。急に照れ臭くなり、白露はふいと横を向く。
「まだ酔ってんの?」
けれど大きな両手で頬を包まれ向き直させられると、雷蔵の顔が迫ってきて……
重ねたばかりの唇から、彼の熱っぽい声が告げる。
「いつか、必ずおまえをお嫁さんにするから。ずっと一緒にいてくれ」
真摯な求婚に、白露の身体が小さく震えた。それから、ゆっくりと口を開き――これ以上は野暮というもの。白露の返事は雷蔵のみぞ知る、である。
●
数日後。検査担当から上がってきた菓子の報告書を読み終え、少年事務員は溜息をつく。
「やっぱり混入物はナシ、か。人は噂に流されやすいからねぇ。でも……」
こまっしゃくれた口調で言い、悪戯っぽく笑う。
「皆さんが全員『効果アリ』って報告してきたのは、ちょっと面白かったかも」
そうして報告書をぽんっとデスクの上に放った。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/18 03:00:09 |