ゲスト
(ka0000)
コボルドに吠えろ! 少女を守る忠犬
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/02/23 09:00
- 完成日
- 2017/02/28 21:37
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●異変
けたたましく吠える。
幼い頃に両親を亡くして以降、家族のように寄り添ってきた大切な愛犬が。
大きく口を開き、尖った歯を覗かせ、今にも噛みつかんばかりに吠える。
「ど、どうしたの、タロ」
怯え気味に、十を僅かに過ぎた程度であろう少女が問いかける。
だが普段なら常に少女を気遣い、優しくしてくれるふかふかの雑種はなおも鋭く吠え続ける。
何年も一緒に過ごしてきた少女を邪魔だと言いたげに。
早くあっちへ行けと言いたげに。
吠えて、吠えて、吠える。
けれども少女は決して愛犬のそばを離れない。
どんなに吠えられようとも、タロは大切な家族だから。
唸るように吠えたタロは、少女に体当たりをする。
地面に尻もちをついたワンピース姿の少女が、涙目になる。
「どうして……」
ほんの少しだけ辛そうに目を伏せたあと、タロは飼い主の愛らしい少女に背を向けて走り出した。
●帰ってこない!
小さな町の一角がやけに騒がしい。
宿屋や道具屋などが挟み合って建て並ぶ石造りの通りに、多くの人が集まっている。
「まだ帰ってこないのか。朝に出かけたんだろ?」
心配げな表情をするのは、宿屋の主人だ。
「ああ。犬の……タロの散歩をすると、朝食後に出かけたきりだ」
重苦しそうに口を開いた老人の表情は暗い。
「やっぱり何かあったんじゃないか? もうすぐ夕方になるぞ。ハンターに頼んだ方がいい」
「う、うむ……。しかし、単に道草を食っているのだとしたら、ハンターの方々のご迷惑になってしまう」
「だったら頭を下げて謝ればいい。爺さんのたった一人の孫娘じゃないか。あの子に何かあったら、亡くなった息子さん夫婦になんて言う気だ」
宿屋の主人に押し切られ、彼と長年の付き合いがある老人は思案する。
孫娘のミミが昼食時になっても帰ってこなかったので、町で立ち寄りそうなところを回ってみた。
しかし誰もミミがどこにいるのかを知らず、肝心の孫娘も見つからなかった。
町の外も少し探してみたが結果は同じ。困り果てて、老人は人通りが多いこの場所で孫娘が帰ってくるのを待ち続けていた。
上げた視線の斜め前には、ハンターズソサエティの支部がある。
普段はカウンターに座っている受付の女性が、ドアの前に立って心配そうに老人を見ていた。
大勢の人に迷惑をかけてしまうかもしれないが、万が一の事態になるよりはずっといい。宿屋の主人が言った通り、自分が頭を下げれば済むだけの話なのだから。
老人はゆっくりとソサエティへと歩き出す。受付の女性に依頼内容を告げるために。
●忠犬
その犬は小さな少女にタロと名付けられた。
元は両親を亡くした少女の寂しさを紛らわすために、祖父が家族として迎え入れた。
タロも両親の顔を知らない。だから少女こそが、本物の家族だった。
タロは吠える。
今度は少女ではなく、先ほどからずっと少女をつけ狙っていたおぞましい連中に。
長い爪を持ち、牙を生やした複数のコボルドから大好きな少女を守るために。
声高に吠え、タロは低く身構えた。
●救出!
町と町を繋ぐ石造りの道から、少し離れた場所にある茂みが揺れる。
老人の依頼で少女を探しに出たハンターたちがそちらへ顔を向けると、風に乗って犬の吠える声が聞こえてきた。
ミミという探索対象の少女は犬を連れていると老人は言っていた。
もしかしたらと思い、ハンターたちは犬の鳴き声がしてくる方へ行ってみることにした。
遠くに見えるのは小さな林。少しずつ犬の吠え声が大きくなってくる。
けたたましく吠える。
幼い頃に両親を亡くして以降、家族のように寄り添ってきた大切な愛犬が。
大きく口を開き、尖った歯を覗かせ、今にも噛みつかんばかりに吠える。
「ど、どうしたの、タロ」
怯え気味に、十を僅かに過ぎた程度であろう少女が問いかける。
だが普段なら常に少女を気遣い、優しくしてくれるふかふかの雑種はなおも鋭く吠え続ける。
何年も一緒に過ごしてきた少女を邪魔だと言いたげに。
早くあっちへ行けと言いたげに。
吠えて、吠えて、吠える。
けれども少女は決して愛犬のそばを離れない。
どんなに吠えられようとも、タロは大切な家族だから。
唸るように吠えたタロは、少女に体当たりをする。
地面に尻もちをついたワンピース姿の少女が、涙目になる。
「どうして……」
ほんの少しだけ辛そうに目を伏せたあと、タロは飼い主の愛らしい少女に背を向けて走り出した。
●帰ってこない!
小さな町の一角がやけに騒がしい。
宿屋や道具屋などが挟み合って建て並ぶ石造りの通りに、多くの人が集まっている。
「まだ帰ってこないのか。朝に出かけたんだろ?」
心配げな表情をするのは、宿屋の主人だ。
「ああ。犬の……タロの散歩をすると、朝食後に出かけたきりだ」
重苦しそうに口を開いた老人の表情は暗い。
「やっぱり何かあったんじゃないか? もうすぐ夕方になるぞ。ハンターに頼んだ方がいい」
「う、うむ……。しかし、単に道草を食っているのだとしたら、ハンターの方々のご迷惑になってしまう」
「だったら頭を下げて謝ればいい。爺さんのたった一人の孫娘じゃないか。あの子に何かあったら、亡くなった息子さん夫婦になんて言う気だ」
宿屋の主人に押し切られ、彼と長年の付き合いがある老人は思案する。
孫娘のミミが昼食時になっても帰ってこなかったので、町で立ち寄りそうなところを回ってみた。
しかし誰もミミがどこにいるのかを知らず、肝心の孫娘も見つからなかった。
町の外も少し探してみたが結果は同じ。困り果てて、老人は人通りが多いこの場所で孫娘が帰ってくるのを待ち続けていた。
上げた視線の斜め前には、ハンターズソサエティの支部がある。
普段はカウンターに座っている受付の女性が、ドアの前に立って心配そうに老人を見ていた。
大勢の人に迷惑をかけてしまうかもしれないが、万が一の事態になるよりはずっといい。宿屋の主人が言った通り、自分が頭を下げれば済むだけの話なのだから。
老人はゆっくりとソサエティへと歩き出す。受付の女性に依頼内容を告げるために。
●忠犬
その犬は小さな少女にタロと名付けられた。
元は両親を亡くした少女の寂しさを紛らわすために、祖父が家族として迎え入れた。
タロも両親の顔を知らない。だから少女こそが、本物の家族だった。
タロは吠える。
今度は少女ではなく、先ほどからずっと少女をつけ狙っていたおぞましい連中に。
長い爪を持ち、牙を生やした複数のコボルドから大好きな少女を守るために。
声高に吠え、タロは低く身構えた。
●救出!
町と町を繋ぐ石造りの道から、少し離れた場所にある茂みが揺れる。
老人の依頼で少女を探しに出たハンターたちがそちらへ顔を向けると、風に乗って犬の吠える声が聞こえてきた。
ミミという探索対象の少女は犬を連れていると老人は言っていた。
もしかしたらと思い、ハンターたちは犬の鳴き声がしてくる方へ行ってみることにした。
遠くに見えるのは小さな林。少しずつ犬の吠え声が大きくなってくる。
リプレイ本文
●現場到着
犬の吠える声を頼りに現場へ到着したハンターが目にしたのは、無数のコボルド相手に小さな体で立ち向かおうとする犬の姿だった。
「ワン公一匹に群がるコボルドどもときて、サテ、探し人のお嬢ちゃんは……居やがった」
サングラスに隠れた目で、J・D(ka3351)は木々に挟まれた細い道の奥に逃げ込んだと思われる少女を見つける。とりあえずは無事なようだ。
「……コボルドの前に立ち塞がっているみたいですね」
他者からは冷静沈着に状況判断をしているようにしか見えないが、メアリ・ロイド(ka6633)の心の内にある感情はとても豊かだ。
――マジか!? あの小さな体でよくやるぜ。ま、嫌いじゃねえけどよ。
心の声で勇気ある犬のタロに賞賛を贈るメアリ。先ほど少女を見つけたJ・Dも彼女の先の台詞に同意する。
「成程、コボルドどもをお嬢ちゃんの方へ行かせるめえとしていやがる訳かい、あのワン公は。こいつァ、泣かせやがる。こうあっちまっちゃァ、ワン公の意地を無駄にする訳にゃァいくめえな」
べらんめい口調のJ・Dのそばでは、甲鎧に身を包んだSerge・Dior(ka3569)が馬上から状況を確認している。
「大切な家族を守るために、自分を犠牲にしようとするとはなんと勇敢な犬なのでしょう。何としてもミミさんとタロを無事送り届けられるよう尽力したいと思います」
続けてSergeは独り言のように呟く。
「ハンターに迷惑が掛かるからと言わず、どんなことでも頼って欲しいところです」
それはSergeの本音だ。事の大小にこだわらず、困りごとがあれば解決するための力となり、人々を安心させたいと心の底から願っていた。
そしてそれは月雪 涼花(ka6591)も同じだ。
「タロの思いを無下にしない為にもミミさんは私達が護る」
理知的さを漂わせながらも、紡がれた言葉には確かな情の深さが宿る。
少女とその愛犬の窮地を救う為、手早くハンターたちは役割分担を決める。
J・DとSergeが自分達から見てタロの北のコボルドを。
涼花と氷雨 柊(ka6302)がミミの救出と保護に回る。
「タロのことは心配ですがー……仲間を信じて任せましょう」
タロの様子を確認してから、柊は逃げたミミの方を見る。
「ミミさんも一人で怖いでしょうし、早くタロと会わせて安心させてあげたいですねぇ」
そして久瑠我・慈衛(ka6741)はメアリと一緒に、タロの正面側にいるコボルドの排除へ向かうことになった。
「……初めての依頼だけど、やることは森で狩りをして暮らしてた頃と変わりない……仕留めるか、やられるか……いや、今は違うな……守るか、守れないか……だな。うん、確かに初めての戦いだ、頑張ろう」
●戦闘開始
真っ先に動いたのはJ・Dだ。かぶる帽子を揺らし、流れるように手を動かして二体のコボルドを制圧するための射撃を行う。
「お嬢ちゃんの事を考えると、あのワン公に怪我を負わせる訳にもいかねえ。となると――ここからはハンターの腕の見せ所ってェ訳だ。シッカリと気をシメて掛かるとするか」
一体には命中し足を止めるのに成功したが、かろうじてではあるが、もう一体には回避されてしまう。無意識にJ・Dは軽く舌打ちをする。
「――チッ。上手くかわしやがるじゃねえか」
「問題ありません。その一体、私がこの剣で仕留めてみせましょう」
愛馬を走らせ、Sergeが銃弾から逃れたコボルドに迫る。
馬上で剣を抜き、機動力を活かして間合いを詰めると、強打をコボルドの腕へお見舞いする。
もとより雑魚のコボルド。経験を積んだハンターであるSergeの剣戟に耐えられるはずもなく、命を散らして大地へ倒れた。
「J・Dさんの足止めもあり、こちら側の窮地は脱しましたか。油断はできませんが」
軽く剣を振り、地面に赤い染みを作りつつ、Sergeは次の標的を探す。
■
戦闘が開始したタイミングで、柊と涼花はコボルドへ脇目も振らずに全力で走っていた。
仲間がコボルドを足止めしてくれているうちに、怯えている少女のもとへと急行する。
奮戦する仲間を見やり、涼花は言う。
「仲間がコボルドを抑えてくれている今が絶好の機会。急ぎましょう」
「ええ。絶対に手遅れにはさせませんー」
頷いた柊が、柔らかな土を踏みしめ細道の奥で震えるミミへと駆け寄る。
足音に気付き、肩を震わせてミミが振り返る。ともすればパニックを起こして号泣しかねない少女を、少しでも安心させようと柊は微笑みかける。
「ミミさん、ですねぇ? お怪我などはありませんかー?」
「お、お姉ちゃん達……誰?」
小さく頷きつつも、恐怖と疑問が交錯しているらしいミミ。
今度は涼花が落ち着いた声で自己紹介をする。
「私達はハンター。依頼を受けて、あなたを保護しに来ました。もちろんタロさんも一緒に」
「タロ……! タロは!? 急に吠えて……」
「タロさんはあなたを護る為に戦っています。でも安心して。そちらにも私達の仲間が助けに行っていますから」
「で、でも……」
すぐには納得できそうもないそぶりを見せる少女に、上半身をかがめた柊が優しく話しかける。
「涼花さんの言った通り、タロはミミさんを守るために。仲間はタロを守るために戦ってるんですよぉ。だから、今のうちなら安全なところへ移動もできますよぅ。どうしますかぁ?」
答えられないとばかりに俯くミミ。柊は怒るでも焦らせるでもなく、落ち着いた口調で少女に決断を委ねる。
「怖い、ですよねぇ。だから、どちらの選択をしてもいいんですよぉ。どうなっても、ミミさんとタロは私達ハンターが守り切ってみせますからー。……ただ、タロがあそこから離れるには、ミミさんが安全な場所に移動するほかないかなぁ、と私は思いますよぅ」
自分を吠えたタロが危険な状況にあると知り、ミミは瞳を潤ませる。
涼花はしゃがみ込み、そんな少女の両肩に手を置き、正面からしっかりと見つめる。
「ミミさん、あなたがタロさんの事を大好きなように、タロさんもあなたの事が大好きで大切なんだと思います。ちょっと意地悪をしたかもしれませんが、それはあなたを守るためにしたこと……大好きなあなたが無事におじいさんの所に帰って欲しいとしたこと」
ミミは頷く。少女もまたタロから離れた直後に不気味な気配と足音を聞き、怖くてこの場に隠れていた。愛犬が守ろうとしてくれていると、心のどこかで理解していたのである。
「大丈夫、タロさんは私の仲間が必ず連れて帰りますから、帰って仲直りするためにも今は一緒に帰りましょ?」
涼花、そして柊の説得が功を奏し、少女は二人と共に避難するのを決めたのだった。
■
「……吠えてると、標的になる。ハチ……タロに吠えるのをやめさせてくれるか」
同行しているソウルウルフが、慈衛の意図をすぐに理解して動き出す。
同時に慈衛の体の表面に、蛇とおぼしき紋様が出現する。さらには瞳も蛇を連想させるようなものへと変化し、全身を纏う雰囲気がそれまでとは一変した。
狙いを定めたコボルドに、ランアウトからのスラッシュエッジで、一気に接近して脚からの切り上げで命を奪う。
悲鳴でも上げてくれれば、注意を引き付けられると考えていたが――。
「その前に死んだか……しかし、こちらに敵意を向けさせることには成功した……ようだな」
近くのコボルドが殺気を含んだ目で睨みつけているのが、タロではなく慈衛なのがその証拠だ。あとはこの間に、ハチがタロをなんとかしてくれるのを期待する。
「……無理に、脅したりは……しなくて、いい。それと、タロが移動するようなら、ついていって……守ってやってくれ」
一体を片付けた慈衛の近くでは、メアリもまた敵の数を減らすべく行動していた。
「よく飼い主を守っていて下さいました。ここからのコボルド退治、お任せ下さいませ」
無表情の仮面に隠れた心中でメアリが笑う。
――上出来だぜ。さあ、ここからが本番だ。派手にぶちかませいてやる!
タロに一言告げたばかりのメアリに、一体のコボルドが忍び寄る。咆哮とともに爪を繰り出してきたが、命中させられるずに終わり、悔しそうな唸り声を漏らす。
避けるまでもなく一撃をやり過ごしたメアリ。舞い上がるブロンドの髪を落ちゆく日に煌めかせ、目覚めのスイッチでも押したかのごとく、普段は奥底で揺らめている感情を爆発させる。
「へたくそが! どこを狙ってやがる。攻撃ってのはこうやるんだよっ!」
溢れ出る感情が導いた口調の言葉と一緒に、コボルドの頭へ機導剣を食らわせ、絶命させる。
「じゃあな無粋なコボルド共。てめえらはジ・エンドだ。戦闘開始前にすでに終わりに終わってんだよ」
メアリだけでなく慈衛も攻撃され頭部に食らうも、防具で守ってダメージを防ぐ。
直後にジャマダハルの短剣状の刃をそのコボルドの胴体へ突き刺し、深くめり込ませてから素早く引き抜く。
こぼれる血はコボルドの命そのもの。目を反転させ、糸が切れたように崩れ落ちた。
「生き残りのコボルドがこちらへ向かってくるか。けど……近場の敵は倒した。今のうちに避難してくれればいいんだが……」
ポツリと呟いた慈衛の視線の先では、涼花と柊に守られて逃げようとするミミの姿があった。
■
「だいぶコボルドの数が減ってますねぇ。さすがですー。ミミさん、タロが心配なら、今が呼べるチャンスですよぉ」
どうしますぅ? と柊が尋ねるより先に、少女は愛犬の名前を声高に叫んだ。
柊の言葉を待っていたかのように、喜びと心配の感情を交差させた顔で。
「タローっ!」
ピクンと顔を跳ね上げ、愛らしい飼主の姿とまだ残るコボルドの姿を交互に見るタロ。
主のために踏ん張りたそうだったが、コボルドを抑えてくれるハンターたちの目に促され、タロは走りだす。すぐ後ろには慈衛のハチも続く。
少女の声は愛犬との再会を果たす鍵となったが、同時にコボルドにも獲物として認識される。
その兆候を鋭敏に察知したのは涼花だ。最悪の場合は自らを盾にしてでも守る覚悟で一歩前に出る。
「あのコボルドがこちらへ向かって来るようなら、私が食い止めます。ミミさんは必ず守り切って見せます……タロさんの思いの為にも。ですから柊さんはミミさんをお願いします」
金剛により高めた防御力は易々と突破されない。涼花の横顔に決意が滲む。
■
後方が狙われようとしているのに、むざむざ見過ごすほどハンターはコボルドに優しくはない。
「おいおい。俺を無視するなんてつれねえなァ。もう少し遊んでったらどうだい」
タロを追いかけようとする一体を、リロードを終えていたJ・Dがハウンドバレットで仕留める。
腕と胴に風穴を開け、口から泡を吹いたコボルドの目はもうどこも見ていなかった。
ポンと片手を帽子に置いたJ・Dがニヒルに笑う。
「悪ィ、用があるのを忘れてたぜ。遊びは終わりだ。その代わり地獄行きの列車を手配しといたからよ。そっちでゆっくりしてくんな」
J・Dの制圧射撃で足止めをされていたコボルドには、Sergeが馬上から強打を放つ。
「万が一にもミミさんの方へは行かせません。護衛役が彼女を安全圏へ避難させるまで」
漆黒の剣がコボルドの胴体を切り裂く。舞い散る血飛沫には目もくれず、敵の絶命を確認するなりSergeは残る敵を確認する。
「次が最後の一体ですね。タロも無事みたいですし、何とかなりそうです」
■
睨みを効かせていたコボルドに、腕を攻撃された慈衛。しかしながら、愛用の防具が肌への貫通を許さなかった。
反撃を恐れ、咄嗟に後退りするコボルド。
その間にもミミとハチが合流する。両手を愛犬の首に回し、少女はお礼を言いながらわんわんと泣く。
「どうやら感動の再会を果たせたみたいだな。それじゃ、こっちもとっととフィナーレといくか!」
メアリの突撃に怯んだコボルドが、背中を見せて逃げようとする。
だがそうはさせじと慈衛が追い、コボルドの側面を取るように走る。
地を這うように、蛇のように、コボルドに恐怖を与えるように。
「狩られるのは、喰われるのはオマエタチダ」
コボルドの双眸が見開かれる。その急所には、スラッシュエッジによる慈衛の一撃が命中していた。
●戦闘終了
周囲に敵の気配がなくなり、安堵の含まれた大気が優しげに一行に寄り添う。
少女の顔にも笑みが戻ったところで、メアリはタロを撫でさせてほしいとお願いする。
もちろん断られるはずもなく、少しくすぐったそうなタロの頭をメアリが撫でる。
「勇猛果敢な良い犬です。私達が駆けつける前にちゃんと貴女を守ってくれていました。小さな騎士様ですね」
戦闘が終わって冷静沈着さの塊となったメアリだが、心の内ではやるじゃねえか、うりうりと褒めてはタロと戯れる。
「ワン公にも怪我はねえな。まったく、たいした騎士様だったぜ」
J・Dの言葉に、誇らしげにわんとひと吠えするタロ。ミミとも無事に仲直りできて、会話ができなくとも、嬉しそうなのはJ・Dでなくとも一目瞭然だった。
「同じ騎士として賞賛を贈りましょう。お見事でした」
拍手でもしそうな雰囲気がSergeにあるのを見れば、本気でそう思っているのがわかる。
ミミの護衛を無事にやりきった涼花も、心から笑顔の少女を祝福する。
「仲直りできたみたいで良かったですね。これからもその友情を大切にね」
「うんうん。心が洗われるような光景ですねぇ。美しい友情ですぅ」
鼻歌交じりの柊はとても楽しそうで、引っ張られるように場の雰囲気も明るくなる。
そんな一行をやや離れた場所で見守る慈衛。
自分の見た目が怖いのを自覚し、戦いが終わると同時に茂みの中に身を隠していた。
ふと慈衛は足元に違和感を覚える。視線を下に移動させると、ハチのにおいを覚えていたらしいタロがいつの間にか駆け寄ってきていた。
飼主の呼ぶ声を聞きながら、タロはチロチロと慈衛の足を舐めてワンとひと吠えする。
「……お礼……か? 律儀だね。でも、なんか……ありがとう」
僅かに表情を崩した慈衛を見上げ、笑うように尻尾を振るタロ。
慈衛が手でミミの元へ戻りなと合図をすると、嬉しそうに走り出した。
■
ミミにもタロにも怪我は無い。帰路に悲惨さはなく、ハンターに護られて歩く少女の足取りは軽い。
緑を金色に染める夕陽道。お姉さんのように慕いだした女性のハンターたちとお喋りを楽しんでいたミミの顔が前を向く。
前方には夕陽に伸びる町の影。そしてハンターが出立した時とは比べものにならないくらい明るい笑顔の老人。
祖父に大きく手を振るミミの笑顔。それは紛れもなくハンターが守ったものであり、夕陽よりも眩しく輝いて見えた。
犬の吠える声を頼りに現場へ到着したハンターが目にしたのは、無数のコボルド相手に小さな体で立ち向かおうとする犬の姿だった。
「ワン公一匹に群がるコボルドどもときて、サテ、探し人のお嬢ちゃんは……居やがった」
サングラスに隠れた目で、J・D(ka3351)は木々に挟まれた細い道の奥に逃げ込んだと思われる少女を見つける。とりあえずは無事なようだ。
「……コボルドの前に立ち塞がっているみたいですね」
他者からは冷静沈着に状況判断をしているようにしか見えないが、メアリ・ロイド(ka6633)の心の内にある感情はとても豊かだ。
――マジか!? あの小さな体でよくやるぜ。ま、嫌いじゃねえけどよ。
心の声で勇気ある犬のタロに賞賛を贈るメアリ。先ほど少女を見つけたJ・Dも彼女の先の台詞に同意する。
「成程、コボルドどもをお嬢ちゃんの方へ行かせるめえとしていやがる訳かい、あのワン公は。こいつァ、泣かせやがる。こうあっちまっちゃァ、ワン公の意地を無駄にする訳にゃァいくめえな」
べらんめい口調のJ・Dのそばでは、甲鎧に身を包んだSerge・Dior(ka3569)が馬上から状況を確認している。
「大切な家族を守るために、自分を犠牲にしようとするとはなんと勇敢な犬なのでしょう。何としてもミミさんとタロを無事送り届けられるよう尽力したいと思います」
続けてSergeは独り言のように呟く。
「ハンターに迷惑が掛かるからと言わず、どんなことでも頼って欲しいところです」
それはSergeの本音だ。事の大小にこだわらず、困りごとがあれば解決するための力となり、人々を安心させたいと心の底から願っていた。
そしてそれは月雪 涼花(ka6591)も同じだ。
「タロの思いを無下にしない為にもミミさんは私達が護る」
理知的さを漂わせながらも、紡がれた言葉には確かな情の深さが宿る。
少女とその愛犬の窮地を救う為、手早くハンターたちは役割分担を決める。
J・DとSergeが自分達から見てタロの北のコボルドを。
涼花と氷雨 柊(ka6302)がミミの救出と保護に回る。
「タロのことは心配ですがー……仲間を信じて任せましょう」
タロの様子を確認してから、柊は逃げたミミの方を見る。
「ミミさんも一人で怖いでしょうし、早くタロと会わせて安心させてあげたいですねぇ」
そして久瑠我・慈衛(ka6741)はメアリと一緒に、タロの正面側にいるコボルドの排除へ向かうことになった。
「……初めての依頼だけど、やることは森で狩りをして暮らしてた頃と変わりない……仕留めるか、やられるか……いや、今は違うな……守るか、守れないか……だな。うん、確かに初めての戦いだ、頑張ろう」
●戦闘開始
真っ先に動いたのはJ・Dだ。かぶる帽子を揺らし、流れるように手を動かして二体のコボルドを制圧するための射撃を行う。
「お嬢ちゃんの事を考えると、あのワン公に怪我を負わせる訳にもいかねえ。となると――ここからはハンターの腕の見せ所ってェ訳だ。シッカリと気をシメて掛かるとするか」
一体には命中し足を止めるのに成功したが、かろうじてではあるが、もう一体には回避されてしまう。無意識にJ・Dは軽く舌打ちをする。
「――チッ。上手くかわしやがるじゃねえか」
「問題ありません。その一体、私がこの剣で仕留めてみせましょう」
愛馬を走らせ、Sergeが銃弾から逃れたコボルドに迫る。
馬上で剣を抜き、機動力を活かして間合いを詰めると、強打をコボルドの腕へお見舞いする。
もとより雑魚のコボルド。経験を積んだハンターであるSergeの剣戟に耐えられるはずもなく、命を散らして大地へ倒れた。
「J・Dさんの足止めもあり、こちら側の窮地は脱しましたか。油断はできませんが」
軽く剣を振り、地面に赤い染みを作りつつ、Sergeは次の標的を探す。
■
戦闘が開始したタイミングで、柊と涼花はコボルドへ脇目も振らずに全力で走っていた。
仲間がコボルドを足止めしてくれているうちに、怯えている少女のもとへと急行する。
奮戦する仲間を見やり、涼花は言う。
「仲間がコボルドを抑えてくれている今が絶好の機会。急ぎましょう」
「ええ。絶対に手遅れにはさせませんー」
頷いた柊が、柔らかな土を踏みしめ細道の奥で震えるミミへと駆け寄る。
足音に気付き、肩を震わせてミミが振り返る。ともすればパニックを起こして号泣しかねない少女を、少しでも安心させようと柊は微笑みかける。
「ミミさん、ですねぇ? お怪我などはありませんかー?」
「お、お姉ちゃん達……誰?」
小さく頷きつつも、恐怖と疑問が交錯しているらしいミミ。
今度は涼花が落ち着いた声で自己紹介をする。
「私達はハンター。依頼を受けて、あなたを保護しに来ました。もちろんタロさんも一緒に」
「タロ……! タロは!? 急に吠えて……」
「タロさんはあなたを護る為に戦っています。でも安心して。そちらにも私達の仲間が助けに行っていますから」
「で、でも……」
すぐには納得できそうもないそぶりを見せる少女に、上半身をかがめた柊が優しく話しかける。
「涼花さんの言った通り、タロはミミさんを守るために。仲間はタロを守るために戦ってるんですよぉ。だから、今のうちなら安全なところへ移動もできますよぅ。どうしますかぁ?」
答えられないとばかりに俯くミミ。柊は怒るでも焦らせるでもなく、落ち着いた口調で少女に決断を委ねる。
「怖い、ですよねぇ。だから、どちらの選択をしてもいいんですよぉ。どうなっても、ミミさんとタロは私達ハンターが守り切ってみせますからー。……ただ、タロがあそこから離れるには、ミミさんが安全な場所に移動するほかないかなぁ、と私は思いますよぅ」
自分を吠えたタロが危険な状況にあると知り、ミミは瞳を潤ませる。
涼花はしゃがみ込み、そんな少女の両肩に手を置き、正面からしっかりと見つめる。
「ミミさん、あなたがタロさんの事を大好きなように、タロさんもあなたの事が大好きで大切なんだと思います。ちょっと意地悪をしたかもしれませんが、それはあなたを守るためにしたこと……大好きなあなたが無事におじいさんの所に帰って欲しいとしたこと」
ミミは頷く。少女もまたタロから離れた直後に不気味な気配と足音を聞き、怖くてこの場に隠れていた。愛犬が守ろうとしてくれていると、心のどこかで理解していたのである。
「大丈夫、タロさんは私の仲間が必ず連れて帰りますから、帰って仲直りするためにも今は一緒に帰りましょ?」
涼花、そして柊の説得が功を奏し、少女は二人と共に避難するのを決めたのだった。
■
「……吠えてると、標的になる。ハチ……タロに吠えるのをやめさせてくれるか」
同行しているソウルウルフが、慈衛の意図をすぐに理解して動き出す。
同時に慈衛の体の表面に、蛇とおぼしき紋様が出現する。さらには瞳も蛇を連想させるようなものへと変化し、全身を纏う雰囲気がそれまでとは一変した。
狙いを定めたコボルドに、ランアウトからのスラッシュエッジで、一気に接近して脚からの切り上げで命を奪う。
悲鳴でも上げてくれれば、注意を引き付けられると考えていたが――。
「その前に死んだか……しかし、こちらに敵意を向けさせることには成功した……ようだな」
近くのコボルドが殺気を含んだ目で睨みつけているのが、タロではなく慈衛なのがその証拠だ。あとはこの間に、ハチがタロをなんとかしてくれるのを期待する。
「……無理に、脅したりは……しなくて、いい。それと、タロが移動するようなら、ついていって……守ってやってくれ」
一体を片付けた慈衛の近くでは、メアリもまた敵の数を減らすべく行動していた。
「よく飼い主を守っていて下さいました。ここからのコボルド退治、お任せ下さいませ」
無表情の仮面に隠れた心中でメアリが笑う。
――上出来だぜ。さあ、ここからが本番だ。派手にぶちかませいてやる!
タロに一言告げたばかりのメアリに、一体のコボルドが忍び寄る。咆哮とともに爪を繰り出してきたが、命中させられるずに終わり、悔しそうな唸り声を漏らす。
避けるまでもなく一撃をやり過ごしたメアリ。舞い上がるブロンドの髪を落ちゆく日に煌めかせ、目覚めのスイッチでも押したかのごとく、普段は奥底で揺らめている感情を爆発させる。
「へたくそが! どこを狙ってやがる。攻撃ってのはこうやるんだよっ!」
溢れ出る感情が導いた口調の言葉と一緒に、コボルドの頭へ機導剣を食らわせ、絶命させる。
「じゃあな無粋なコボルド共。てめえらはジ・エンドだ。戦闘開始前にすでに終わりに終わってんだよ」
メアリだけでなく慈衛も攻撃され頭部に食らうも、防具で守ってダメージを防ぐ。
直後にジャマダハルの短剣状の刃をそのコボルドの胴体へ突き刺し、深くめり込ませてから素早く引き抜く。
こぼれる血はコボルドの命そのもの。目を反転させ、糸が切れたように崩れ落ちた。
「生き残りのコボルドがこちらへ向かってくるか。けど……近場の敵は倒した。今のうちに避難してくれればいいんだが……」
ポツリと呟いた慈衛の視線の先では、涼花と柊に守られて逃げようとするミミの姿があった。
■
「だいぶコボルドの数が減ってますねぇ。さすがですー。ミミさん、タロが心配なら、今が呼べるチャンスですよぉ」
どうしますぅ? と柊が尋ねるより先に、少女は愛犬の名前を声高に叫んだ。
柊の言葉を待っていたかのように、喜びと心配の感情を交差させた顔で。
「タローっ!」
ピクンと顔を跳ね上げ、愛らしい飼主の姿とまだ残るコボルドの姿を交互に見るタロ。
主のために踏ん張りたそうだったが、コボルドを抑えてくれるハンターたちの目に促され、タロは走りだす。すぐ後ろには慈衛のハチも続く。
少女の声は愛犬との再会を果たす鍵となったが、同時にコボルドにも獲物として認識される。
その兆候を鋭敏に察知したのは涼花だ。最悪の場合は自らを盾にしてでも守る覚悟で一歩前に出る。
「あのコボルドがこちらへ向かって来るようなら、私が食い止めます。ミミさんは必ず守り切って見せます……タロさんの思いの為にも。ですから柊さんはミミさんをお願いします」
金剛により高めた防御力は易々と突破されない。涼花の横顔に決意が滲む。
■
後方が狙われようとしているのに、むざむざ見過ごすほどハンターはコボルドに優しくはない。
「おいおい。俺を無視するなんてつれねえなァ。もう少し遊んでったらどうだい」
タロを追いかけようとする一体を、リロードを終えていたJ・Dがハウンドバレットで仕留める。
腕と胴に風穴を開け、口から泡を吹いたコボルドの目はもうどこも見ていなかった。
ポンと片手を帽子に置いたJ・Dがニヒルに笑う。
「悪ィ、用があるのを忘れてたぜ。遊びは終わりだ。その代わり地獄行きの列車を手配しといたからよ。そっちでゆっくりしてくんな」
J・Dの制圧射撃で足止めをされていたコボルドには、Sergeが馬上から強打を放つ。
「万が一にもミミさんの方へは行かせません。護衛役が彼女を安全圏へ避難させるまで」
漆黒の剣がコボルドの胴体を切り裂く。舞い散る血飛沫には目もくれず、敵の絶命を確認するなりSergeは残る敵を確認する。
「次が最後の一体ですね。タロも無事みたいですし、何とかなりそうです」
■
睨みを効かせていたコボルドに、腕を攻撃された慈衛。しかしながら、愛用の防具が肌への貫通を許さなかった。
反撃を恐れ、咄嗟に後退りするコボルド。
その間にもミミとハチが合流する。両手を愛犬の首に回し、少女はお礼を言いながらわんわんと泣く。
「どうやら感動の再会を果たせたみたいだな。それじゃ、こっちもとっととフィナーレといくか!」
メアリの突撃に怯んだコボルドが、背中を見せて逃げようとする。
だがそうはさせじと慈衛が追い、コボルドの側面を取るように走る。
地を這うように、蛇のように、コボルドに恐怖を与えるように。
「狩られるのは、喰われるのはオマエタチダ」
コボルドの双眸が見開かれる。その急所には、スラッシュエッジによる慈衛の一撃が命中していた。
●戦闘終了
周囲に敵の気配がなくなり、安堵の含まれた大気が優しげに一行に寄り添う。
少女の顔にも笑みが戻ったところで、メアリはタロを撫でさせてほしいとお願いする。
もちろん断られるはずもなく、少しくすぐったそうなタロの頭をメアリが撫でる。
「勇猛果敢な良い犬です。私達が駆けつける前にちゃんと貴女を守ってくれていました。小さな騎士様ですね」
戦闘が終わって冷静沈着さの塊となったメアリだが、心の内ではやるじゃねえか、うりうりと褒めてはタロと戯れる。
「ワン公にも怪我はねえな。まったく、たいした騎士様だったぜ」
J・Dの言葉に、誇らしげにわんとひと吠えするタロ。ミミとも無事に仲直りできて、会話ができなくとも、嬉しそうなのはJ・Dでなくとも一目瞭然だった。
「同じ騎士として賞賛を贈りましょう。お見事でした」
拍手でもしそうな雰囲気がSergeにあるのを見れば、本気でそう思っているのがわかる。
ミミの護衛を無事にやりきった涼花も、心から笑顔の少女を祝福する。
「仲直りできたみたいで良かったですね。これからもその友情を大切にね」
「うんうん。心が洗われるような光景ですねぇ。美しい友情ですぅ」
鼻歌交じりの柊はとても楽しそうで、引っ張られるように場の雰囲気も明るくなる。
そんな一行をやや離れた場所で見守る慈衛。
自分の見た目が怖いのを自覚し、戦いが終わると同時に茂みの中に身を隠していた。
ふと慈衛は足元に違和感を覚える。視線を下に移動させると、ハチのにおいを覚えていたらしいタロがいつの間にか駆け寄ってきていた。
飼主の呼ぶ声を聞きながら、タロはチロチロと慈衛の足を舐めてワンとひと吠えする。
「……お礼……か? 律儀だね。でも、なんか……ありがとう」
僅かに表情を崩した慈衛を見上げ、笑うように尻尾を振るタロ。
慈衛が手でミミの元へ戻りなと合図をすると、嬉しそうに走り出した。
■
ミミにもタロにも怪我は無い。帰路に悲惨さはなく、ハンターに護られて歩く少女の足取りは軽い。
緑を金色に染める夕陽道。お姉さんのように慕いだした女性のハンターたちとお喋りを楽しんでいたミミの顔が前を向く。
前方には夕陽に伸びる町の影。そしてハンターが出立した時とは比べものにならないくらい明るい笑顔の老人。
祖父に大きく手を振るミミの笑顔。それは紛れもなくハンターが守ったものであり、夕陽よりも眩しく輝いて見えた。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 J・D(ka3351) エルフ|26才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/02/23 06:13:01 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/18 20:54:11 |