ゲスト
(ka0000)
【血盟】刈られた羊の記憶
マスター:君矢

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/03/13 19:00
- 完成日
- 2017/03/24 06:23
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
部族の戦士たちは追い詰められていた。
後ろには不安そうに鳴いている極彩色の羊の幻獣たちの群れ。そのさらに向こう側は断崖絶壁。
正面には巨人の歪虚の大群。
幻獣を守るために戦ってきた仲間たちは歪虚によって倒され、残っている者たちも大小傷を負い、無傷な者はいなかった。
「大丈夫か」
「今は何とか」
隣で武器を構えている仲間に声をかける。
「今のうちに回復を……」
オーガ、トロルが犇めいている戦場。巨人たちの巨躯が視界を埋め尽くしていて、空が狭く見える。
今、巨人たちの攻撃は止まっていた。この隙に傷を癒し少しでも反撃が可能なように体制を整えることにする。
攻勢の手を止めている歪虚の大群が嵐の前の静けさのようで不気味だった。
「ちくしょう! こんなことになるなんて!」
羊の幻獣メリノーシュが歪虚に襲われているという情報を受けて部族の戦士たちは幻獣たちを助けるためにこの戦場にやってきたのだった。
メェー、メェー、とメリノーシュたちは戦士たちの背後で不安げに鳴いている。
メリノーシュは羊の幻獣だ。一匹、一匹ごとに体毛の色が違っていて群れになると極彩色の絨毯のようにみえる。
その毛はとても柔らかく毛織物の素材として高級品とされていて、おとなしく優しくて身を守る手段を持たないメリノーシュは古くから体毛を目当てに狩猟の対象にされがちだった。
狩られて数を減らしているメリノーシュの中でも最大の群れが、今回、歪虚によって刈り取られようとしていた。
最初は部族の戦士たちが優勢だった。
メリノーシュたちを守り、歪虚たちを打倒していく。
状況が一転したのは、歪虚たちに加勢がついたからだ。
怠惰の巨人ヤクシーが配下の巨人たちを引き連れて戦線に加わったのだ。
数に押された部族の戦士たちはそこから防戦に回らざるをおえなくなり、だんだんと打ち取られていった。
「何人残っている?」
生存者を確認する。ポツ、ポツと返ってきた声は五つ。
「自分も入れて六人か……」
圧倒的な戦力の差に、全滅の二文字がちらついた。
しかし希望の光はまだあった。
「あと少し、あと少しでイェジドたちが加勢に駆け付けるはずだ。それまでねばるんだ」
オオカミの幻獣イェジドたちがここに向かって走っているはずだった。彼らの加勢がつけば逆転できる。
「あと少しだ! 気張れよ!」
仲間たちの気力を鼓舞するように声に力をこめる。
歪虚たちは、戦闘の最中に訪れた小休止の間にも力を溜めている。合図があれば、何かきっかけがあれば、溜めている力を獲物に向けて開放するだろう緊張感が漂っている。
追い詰めた獲物を前にして、指揮官であるヤクシーとアンリはもめていた。
「ああ、めんどくさい。こんな奴らあたしが鎌を振るうまでもないじゃないか。アンリ、あとはあんたがやりなよ」
「えぇ、ヤクシーさんもやりましょうよ。ここまで来たんですからぁ」
怠惰の魔人、女装家のアンリはヤクシーを見上げながらシナを作る。
「あんたが楽をしたいだけだろう。あたしは帰るよ」
「そんなこと言わないでぇ。あとちょっとで素敵なマテリアルがいっぱい回収できますよぉ」
アンリは、足元に転がっている部族の戦士の死体を蹴りながら言った。
「ふん。もとはといえばあんたが羊の毛を刈りたいだけじゃないか。こんな雑魚ども相手にしていられるか、面倒だ。あとは、勝手にやりな」
ヤクシーは、ああ面倒だ、めんどくさいと愚痴をこぼす。もともと、この戦闘はアンリが「素敵なセーターほしいから素敵な毛糸を手に入れたいな♪」という個人的な願望で始めたことだった。ここまで付き合っただけで十分だとヤクシーは思っている。
「むぅ。素敵な毛皮も素敵なマテリアルも僕が独り占めしちゃいますからね。あとになってから手に入らなかったからって文句言わないでくださいね!」
アンリはぷぅと頬を膨らませて、ヤクシーにバイバイと手を振った。
そのしぐさにイラッとしたヤクシーは、イラただしさを解消するために部族の戦士たちを鎌で薙ぎ払うと、幻獣にも戦士たちにも興味を失って帰途につこうとしていた。
後ろには不安そうに鳴いている極彩色の羊の幻獣たちの群れ。そのさらに向こう側は断崖絶壁。
正面には巨人の歪虚の大群。
幻獣を守るために戦ってきた仲間たちは歪虚によって倒され、残っている者たちも大小傷を負い、無傷な者はいなかった。
「大丈夫か」
「今は何とか」
隣で武器を構えている仲間に声をかける。
「今のうちに回復を……」
オーガ、トロルが犇めいている戦場。巨人たちの巨躯が視界を埋め尽くしていて、空が狭く見える。
今、巨人たちの攻撃は止まっていた。この隙に傷を癒し少しでも反撃が可能なように体制を整えることにする。
攻勢の手を止めている歪虚の大群が嵐の前の静けさのようで不気味だった。
「ちくしょう! こんなことになるなんて!」
羊の幻獣メリノーシュが歪虚に襲われているという情報を受けて部族の戦士たちは幻獣たちを助けるためにこの戦場にやってきたのだった。
メェー、メェー、とメリノーシュたちは戦士たちの背後で不安げに鳴いている。
メリノーシュは羊の幻獣だ。一匹、一匹ごとに体毛の色が違っていて群れになると極彩色の絨毯のようにみえる。
その毛はとても柔らかく毛織物の素材として高級品とされていて、おとなしく優しくて身を守る手段を持たないメリノーシュは古くから体毛を目当てに狩猟の対象にされがちだった。
狩られて数を減らしているメリノーシュの中でも最大の群れが、今回、歪虚によって刈り取られようとしていた。
最初は部族の戦士たちが優勢だった。
メリノーシュたちを守り、歪虚たちを打倒していく。
状況が一転したのは、歪虚たちに加勢がついたからだ。
怠惰の巨人ヤクシーが配下の巨人たちを引き連れて戦線に加わったのだ。
数に押された部族の戦士たちはそこから防戦に回らざるをおえなくなり、だんだんと打ち取られていった。
「何人残っている?」
生存者を確認する。ポツ、ポツと返ってきた声は五つ。
「自分も入れて六人か……」
圧倒的な戦力の差に、全滅の二文字がちらついた。
しかし希望の光はまだあった。
「あと少し、あと少しでイェジドたちが加勢に駆け付けるはずだ。それまでねばるんだ」
オオカミの幻獣イェジドたちがここに向かって走っているはずだった。彼らの加勢がつけば逆転できる。
「あと少しだ! 気張れよ!」
仲間たちの気力を鼓舞するように声に力をこめる。
歪虚たちは、戦闘の最中に訪れた小休止の間にも力を溜めている。合図があれば、何かきっかけがあれば、溜めている力を獲物に向けて開放するだろう緊張感が漂っている。
追い詰めた獲物を前にして、指揮官であるヤクシーとアンリはもめていた。
「ああ、めんどくさい。こんな奴らあたしが鎌を振るうまでもないじゃないか。アンリ、あとはあんたがやりなよ」
「えぇ、ヤクシーさんもやりましょうよ。ここまで来たんですからぁ」
怠惰の魔人、女装家のアンリはヤクシーを見上げながらシナを作る。
「あんたが楽をしたいだけだろう。あたしは帰るよ」
「そんなこと言わないでぇ。あとちょっとで素敵なマテリアルがいっぱい回収できますよぉ」
アンリは、足元に転がっている部族の戦士の死体を蹴りながら言った。
「ふん。もとはといえばあんたが羊の毛を刈りたいだけじゃないか。こんな雑魚ども相手にしていられるか、面倒だ。あとは、勝手にやりな」
ヤクシーは、ああ面倒だ、めんどくさいと愚痴をこぼす。もともと、この戦闘はアンリが「素敵なセーターほしいから素敵な毛糸を手に入れたいな♪」という個人的な願望で始めたことだった。ここまで付き合っただけで十分だとヤクシーは思っている。
「むぅ。素敵な毛皮も素敵なマテリアルも僕が独り占めしちゃいますからね。あとになってから手に入らなかったからって文句言わないでくださいね!」
アンリはぷぅと頬を膨らませて、ヤクシーにバイバイと手を振った。
そのしぐさにイラッとしたヤクシーは、イラただしさを解消するために部族の戦士たちを鎌で薙ぎ払うと、幻獣にも戦士たちにも興味を失って帰途につこうとしていた。
リプレイ本文
ハンターたちが歪虚から羊の幻獣メリノーシュたちを守ろうと態勢を整えようとしていた時だ。巨人の歪虚たちの後方から、さらに巨大な体格の女性歪虚ヤクシーが巨大な鎌を携えて進み出てくる。
「あれが指揮官か」
他の歪虚と違う特殊な個体に龍崎・カズマ(ka0178)は斬龍刀「天墜」を握りしめながら反応した。
「羊……モフモフ羊……終わったらモフモフしたいの~……じゅる。って、気を付けた方がいいの。嫌な予感がするの」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は意識を背後の羊から眼前の巨人たちに引き戻す。蒼機盾「ハルジオン」を構えてヤクシーの行動に注意をはらう。
「ここまできたら、意地でも!」
マチルダ・スカルラッティ(ka4172)は魔杖「スキールニル」を持ち直し、後ろを振り返った。背後に固まっているメリノーシュたちを、守るという決意とともに見つめる。
「こっからむこーはボクのじんち! ぜったいぜったいとーさんのじゃもん!!」
ガリガリと戦鎚「ウンシル」で地面に長く線を引いた泉(ka3737)は言った。その眼は強い戦意でヤクシーを見つめ離さない。
「羊型の歪虚と戦ったのはいつだったか、今度は羊型の幻獣を守れというのだから奇遇なものだな」
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)は戦いの合間におとずれた凪のような時間に、自分の過去を振り返り運命の皮肉にも似た廻りあわせに思いをはせていた。ただ、彼女の真意は妹を奪った憎い歪虚を倒すことであって、保護対象がなんであるかはあまり問題ではなかった。
「振り向けばふわもこな羊達、目の前には巨人の群……何だこの天国と地獄感」
……ちょっとそこの赤色の君、うちの子にならないかと真顔でつぶやいているのはセルゲン(ka6612)だった。ふわふわな羊をモフモフしたいと考えるだけで目じりが下がる。
「ああ! めんどくさいね。ちんたらやってないで、羊も人間どももまとめて刈っちまえばいいのさ!」
ヤクシーが大鎌をふるった。六人のハンターたちをまとめて始末しようという大ぶりな薙ぎ払いだった。
カズマとマチルダは飛びのいて一撃を回避した。
ディーナとセルゲンは上手く盾で受け止めた。
過去を振り返っていたコーネリアは、ヤクシーの大鎌を受けきることが出来ずに胴に一撃をくらい吹き飛ばされる。パッと血が飛び散る。
身を低くして避けようとした泉も薙ぎ払いを避けきることが出来ずにズサァァと吹き飛ばされた。タイガーヘッドに守られた頭部から一筋の流れになって血が滴り落ちる。
「あいてがおっきくたってまけないのんじゃもん!」
ケガを感じさせないような明るい口調で泉は言った。
「油断するな!」
吹き飛ばされた仲間をかばうようにカズマは斬龍刀を構えて前に出るとヤクシーの第二撃を警戒して対峙する。
「大変なの。今回復するの!」
ディーナは出血している二人に駆け寄るとフルリカバリーを順番に唱えて傷を癒していく。
「アンリ! あとはお前が何とかしな!」
巨躯に見合った大声でヤクシーは怒鳴るとあとは興味はないとばかりに大鎌を担ぎ上げて戦場から去っていった。
「ええっ! 本当にヤクシーさん帰っちゃうんですかー! ここからがいいところなのにぃ」
後方からアンリと呼ばれた歪虚の声がする。
「いいもんね! マテリアルも毛皮も僕がいただきますからね! さぁ者ども! 邪魔者たちをかたずけちゃって!」
アンリが戦場を埋める巨人たちに向かって号令を発した。
地響きを立てて巨人の群れが攻撃を再開する。六人のハンターたちはその攻撃を回避し、受け止めている。
「一番厄介な奴は去ったが……」
「一難去ってまた一難、だな。さてどうするか、巨人の相手は初めてだ」
カズマはオーガからの攻撃を避けつつ、現状を把握しようと周囲に目を走らせる。
セルゲンは、動かざるものを使用し自身の防御力を上昇させると羊たちと巨人の群れの間に立ちふさがる。
「まずは羊たちを守ることだな」
範囲攻撃の手段を持たないセルゲンは、羊たちを守ることを第一に考えて行動することにする。
「歪虚ども! 狩り尽してやるぞ!」
コーネリアは、オーガの群れにフォールシュートを放つ。弾丸が雨となってオーガに降り注いだ。
「この世から完全に葬り去ってやるぞ」
コーネリアを突き動かすのは妹を殺した歪虚への復讐心だった。妹を殺した歪虚がわからない以上、すべての歪虚が復讐の対象であり殲滅すべき相手だった。
「きょじんたちがなにをやっているのかきになるじゃもん!」
泉はオーガの足を狙って攻撃をしつつ、敵の攻撃方法を見定めるために行動を観察していた。
オーガやトロルたちはその巨体をいかし腕を振るって、強い腕力を生かしてハンターたちを攻撃している。
「こいつらのこうげきはたんじゅんじゃもん。よくみればこわくないじゃもん!」
泉は仲間たちに注意を発する。
「あいつがこの群れのボスね」
マチルダは、オーガの群れの後方で指揮をしている派手な格好の歪虚、アンリを見つけ出していた。
「魔法は使わせないわ」
魔法を使用しようとしているアンリに対して、マチルダはカウンターマジックを唱えて妨害を試みる。
「スリープクラウド! って発動しない! なんで?」
アンリは唱えた魔法が発動しないことにうろたえていた。
「コーネリア、今、回復するの」
ディーナはパーティ中の唯一の回復役として、メンバーの回復に追われていた。
巨人の歪虚の群れは、ハンターたちの前方をふさぐように展開している。
「そんじゃま、せいぜい逃亡できるだけの道を切り開きますか」
カズマは敵の配置と密度を見渡して、少しでも薄いルートを探そうとしていた。
「ルートをこじ開けるわ!」
マチルダが敵の群れの端の方へ移動すると、端から中央に向かって魔法を放ち崖伝いにルートが開くように攻撃をかける。
グラビティフォールを敵の端に向かって詠唱した。重力波によって動きの鈍ったオーガたちはその部分だけ進撃の速度が鈍った。
「俺が先頭に出てルートを切り開く! 障害になる敵らを、振り切るぜ?」
マチルダが魔法であけた穴をさらに切り開くべく、カズマはアサルトディスタンスを使用しオーガの群れに突っ込んでいく。
全速力で駆け抜けるカズマは、鋭い切っ先で邪魔をしてくるオーガたちを斬り倒していく。
「じゃまなんじゃもん。おうちにかえってもーくるなー! じゃもん!」
投石などの遠距離攻撃の場合は、腕を優先的につぶそうと泉は巨人たちの動きに注意する。
「なんてしぶとい奴らだ!」
コーネリアはフォールシュートを唱えてオーガの群れの厚みを削っていこうと試みるがオーガの防御力は高いのかなかなか削り取ることが出来ないでいた。
「逃げるなんて許さないんだから! 凍えて死にな!」
「逃げる事は恥じゃねえ、最優先はこいつらの安全だ! 悪いな!」
ブリザードを唱えつつ怒鳴っているアンリにカズマが叫び返す。
「ちっ、それにしても数が多すぎる。一体一体相手にしていてはきりがない」
メリノーシュたちに向かって殺到しようとするオーガを相手にしていたセルゲンは、最前列のオーガの足を狙いクラッシュブロウを放つ。
足を攻撃されたオーガはバランスを崩し、音を立てて地面に倒れこむ。倒れたオーガを避けることのできなかった他のオーガたちも足を取られて倒れこんだ。
ディーナは、トロルが多くいる場所に向かって前進していた。回復手段のある自分が特殊攻撃を引き受けた方がいいだろうと判断してだ。
トロルとついでにアンリを視界に収めるとディーナは、大きく息を吸い込んで叫んだ。
「そこのオカマ歪虚! そんな恰好で女装のつもりとか笑わせるの! オカマジョだかなんだか知らないけどそんなナリで服を整えようとか幻獣狩ろうとか鼻で笑うのバカなの死ぬの!? エクラさまの御許に送ってやるからさっさと来いやぁなの!」
「誰がオカマだってぇ! ちんちくりんの小娘が! 覚悟しなぁ!」
ディーナの挑発に激怒したアンリはブリザードをディーナに向け放つ。
「……! 寒いの! 凍えちゃうの……」
凍り付いたディーナは震えて体をさする。
ディーナとアンリの悪口の応酬の間に、逃走ルートは何とか確保されていた。しかし、歪虚の間の狭いルートにメリノーシュたちは震えあがって動こうとしない。
「おてつだいおねがいなんじゃもん。おわったらいーっぱいあそぶんじゃもんっ♪」
動けないでいる羊たちの移動を手助けしようと泉は柴犬のメンチと鴉のやきとりに誘導を行わせることにした。
動物たちの鳴き声に反応した羊たちは、金色の毛並みの羊を先頭に走り出した。
「穴をあけるよ。巻き込まれないように気を付けて!」
マチルダはファイアーボールを走る羊の群れの先頭に向けて放った。爆音とともにファイアーボールが爆発し、オーガの群れに亀裂を作る。
「このまま逃走ルートを確保するぞ」
カズマは地面に伏せるようにしてファイアーボールの爆風をやり過ごす。Star of Bethlehemを投げて影渡を使用し、オーガの群れとの距離を縮めると天墜を構え、マチルダの開けた亀裂をこじ開けにかかった。
アサルトディスタンスを放ち、オーガの群れを切り裂いていく。
「このまま走り抜けられればいいんだが……」
セルゲンは羊たちの後方から、周囲を警戒する。羊を狙ってくるオーガやトロルに対してクラッシュブロウを叩き込んで牽制する。
ディーナは巨人の群れの合間をぬって、盾を構えて警戒しながらアンリに向き直ると、セイクリッドフラッシュを放つ。
「痛いじゃないか! ああ、服が破けちゃう! 許さねぇぞ、小娘!」
「服ばっかり気にするのは、中身が伴わない証拠なの!」
叫ぶアンリに負けじとディーナも叫び返す。
羊たちをかばいつつ逃走ルートを作り出していくハンターたちだったが、巨人の歪虚の群れの壁は厚く、削るスピードが追い付かない。徐々に包囲され始める。
「貴様らも土に還れ、雑種共!」
コーネリアは高加速射撃で羊たちの逃げる先を塞ぐトロルを攻撃する。
「ひとりじゃムリでもみんないっしょじゃもん! まだまだまけないんじゃもん!!」
泉は戦意高くオーガの足を狙って攻撃していく。
しかし、ハンターたち六人の力を合わせても戦力差を覆すのは厳しかった。
「このままでは全滅してしまうぞ」
「決め手に欠けるな」
コーネリアはフローズンパニッシャーを放ちながらオーガが近寄れないように牽制し、そばにいるセルゲンに話しかけた。
セルゲンはトランシーバーで先頭にいるカズマたちに連絡を取るも、彼らもまた巨人たちの攻撃をしのぐのに精一杯になっている様子だった。
羊たちは縮こまる。メェー、メェーという鳴き声が悲鳴のように戦場にこだました。
「このままじゃ羊たちを守りきれない」
オーガたちを羊たちから遠ざけるようにコーネリアが悲壮さを漂わせながら言った。
その時だった。巨人たちの分厚い壁の向こうから、オーガを蹴散らして大きな影が走ってくる。
「これは、イェジド、か……?」
「おっきじゃもん!」
コーネリアと泉が大きな狼を見上げた。
ハンターたちの記憶にあるよりも大きな巨躯のイェジドが救援に駆け付けてくれたのだった。
「……イェジドもデカい……ちょっと君、うちの子にならないk」
セルゲンは乱入してきたイェジドに見惚れると、イェジドに駆け寄って頭に乗せてもらいモフモフとその毛並みを堪能した。
「オーガを蹴散らしてメリノーシュを守ってなの! 全部終わったら尻尾から頭まで全身でモフモフ堪能させてほしいの!」
ディーナはイェジドに近寄りお願いをしている。
「一緒に撤退の殿をお願いしたい」
カズマはイェジドのうちの一体に近寄りこれからの行動を願い出る。何故、どうしてここへ来たのか聞こうかとも思ったが、聞かないことにした。自分たちと同じように幻獣を守りに来た。そう思うことにする。
「一緒に戦おうね」
マチルダは、イェジドの頭に乗って戦闘を継続した。救援が来てくれたということに加えてイェジドの毛並みの温かさにこれで大丈夫だという安心感が満ちてくる。
「おてつだいおねがいなんじゃもん。おわったらいーっぱいあそぶんじゃもんっ♪」
泉はさっそくイェジドにしっぽを振るった勢いでぶん投げてもらうと、その勢いのままにトロルに向かってクラッシュブロウを叩き込む
「後ろからメリノーシュたちを援護しようね」
マチルダはイェジドに羊の後ろに回ってもらって羊たちの移動を促してもらう。自分自身はオーガたちが追ってこられないようにグラビティフォールを敵の先頭集団に放って足止めをした。
「幻獣の加勢が付くなんて計算外だわ。ここまでか、ちくしょう! 素敵なセーターほしかったのに! あんたたち、あとは好きにしていいよ!」
アンリは救援に訪れたイェジドたちを見て自身の不利を悟ったのかこれ以上指揮をするのは面倒だとばかりに巨人たちに投げやりな指示を出してアンリはさっさと逃走した。
「逃げるか、僥倖な奴らだ。だが貴様らの尻尾は掴めた。今度会う時は貴様らの葬式だ!」
逃げていくアンリに向かってコーネリアは最後の射撃を行う。
「服に穴が開いちゃうじゃない」
負け惜しみを残してアンリは走り去っていった。
指揮官を失った巨人たちは混乱して各々が好き勝手な行動を始めた。ハンターたちを囲む包囲網も緩む。
「敵は混乱し始めたな。このまま離脱しよう!」
トランシーバーで味方に伝達したセルゲンはイェジドの頭に乗せてもらい羊たちの先頭に立ってオーガたちを蹴散らしにかかった。
ハンターたちと大きなイェジドに守られてメリノーシュたちは戦場を無事に走り切ることが出来た。
「もう大丈夫だとは思うが……」
コーネリアは戦場からは離れることが出来たが、念のためにと追ってきた巨人たちがいないかと周囲を警戒した。
「ひつじさんもおーかみさんもふわふわなんじゃもっ♪ にゃぁうっ♪ くすぐったいんじゃもーっ♪」
泉はメリノーシュやイェジドたちとじゃれあいながら遊んでいる。
「イェジドさん、ありがとうございました。は~、幸せ~」
マチルダはイェジドに礼を言いながら、メリノーシュに抱きついて顔をうずめて幸せそうだった。
「モフモフ出来て幸せなの。もう死んじゃうかもしれないの~」
ディーナは子供のメリノーシュを抱きしめて、イェジドの背中でモフモフを堪能している表情は幸せそうだった。
「こんな子たちがうちの子になってくれたら……」
セルゲンは毎日、モフモフが堪能出来て楽しいだろうなぁと、うれしそうな表情でメリノーシュの毛並みをなでている。
「勝つんじゃなくて、生きのびることが大切だからな」
これで良いんだろう? カズマはイェジドを見つめてつぶやいた。
「ワォン」
とイェジドも同意を返す。
「あれが指揮官か」
他の歪虚と違う特殊な個体に龍崎・カズマ(ka0178)は斬龍刀「天墜」を握りしめながら反応した。
「羊……モフモフ羊……終わったらモフモフしたいの~……じゅる。って、気を付けた方がいいの。嫌な予感がするの」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は意識を背後の羊から眼前の巨人たちに引き戻す。蒼機盾「ハルジオン」を構えてヤクシーの行動に注意をはらう。
「ここまできたら、意地でも!」
マチルダ・スカルラッティ(ka4172)は魔杖「スキールニル」を持ち直し、後ろを振り返った。背後に固まっているメリノーシュたちを、守るという決意とともに見つめる。
「こっからむこーはボクのじんち! ぜったいぜったいとーさんのじゃもん!!」
ガリガリと戦鎚「ウンシル」で地面に長く線を引いた泉(ka3737)は言った。その眼は強い戦意でヤクシーを見つめ離さない。
「羊型の歪虚と戦ったのはいつだったか、今度は羊型の幻獣を守れというのだから奇遇なものだな」
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)は戦いの合間におとずれた凪のような時間に、自分の過去を振り返り運命の皮肉にも似た廻りあわせに思いをはせていた。ただ、彼女の真意は妹を奪った憎い歪虚を倒すことであって、保護対象がなんであるかはあまり問題ではなかった。
「振り向けばふわもこな羊達、目の前には巨人の群……何だこの天国と地獄感」
……ちょっとそこの赤色の君、うちの子にならないかと真顔でつぶやいているのはセルゲン(ka6612)だった。ふわふわな羊をモフモフしたいと考えるだけで目じりが下がる。
「ああ! めんどくさいね。ちんたらやってないで、羊も人間どももまとめて刈っちまえばいいのさ!」
ヤクシーが大鎌をふるった。六人のハンターたちをまとめて始末しようという大ぶりな薙ぎ払いだった。
カズマとマチルダは飛びのいて一撃を回避した。
ディーナとセルゲンは上手く盾で受け止めた。
過去を振り返っていたコーネリアは、ヤクシーの大鎌を受けきることが出来ずに胴に一撃をくらい吹き飛ばされる。パッと血が飛び散る。
身を低くして避けようとした泉も薙ぎ払いを避けきることが出来ずにズサァァと吹き飛ばされた。タイガーヘッドに守られた頭部から一筋の流れになって血が滴り落ちる。
「あいてがおっきくたってまけないのんじゃもん!」
ケガを感じさせないような明るい口調で泉は言った。
「油断するな!」
吹き飛ばされた仲間をかばうようにカズマは斬龍刀を構えて前に出るとヤクシーの第二撃を警戒して対峙する。
「大変なの。今回復するの!」
ディーナは出血している二人に駆け寄るとフルリカバリーを順番に唱えて傷を癒していく。
「アンリ! あとはお前が何とかしな!」
巨躯に見合った大声でヤクシーは怒鳴るとあとは興味はないとばかりに大鎌を担ぎ上げて戦場から去っていった。
「ええっ! 本当にヤクシーさん帰っちゃうんですかー! ここからがいいところなのにぃ」
後方からアンリと呼ばれた歪虚の声がする。
「いいもんね! マテリアルも毛皮も僕がいただきますからね! さぁ者ども! 邪魔者たちをかたずけちゃって!」
アンリが戦場を埋める巨人たちに向かって号令を発した。
地響きを立てて巨人の群れが攻撃を再開する。六人のハンターたちはその攻撃を回避し、受け止めている。
「一番厄介な奴は去ったが……」
「一難去ってまた一難、だな。さてどうするか、巨人の相手は初めてだ」
カズマはオーガからの攻撃を避けつつ、現状を把握しようと周囲に目を走らせる。
セルゲンは、動かざるものを使用し自身の防御力を上昇させると羊たちと巨人の群れの間に立ちふさがる。
「まずは羊たちを守ることだな」
範囲攻撃の手段を持たないセルゲンは、羊たちを守ることを第一に考えて行動することにする。
「歪虚ども! 狩り尽してやるぞ!」
コーネリアは、オーガの群れにフォールシュートを放つ。弾丸が雨となってオーガに降り注いだ。
「この世から完全に葬り去ってやるぞ」
コーネリアを突き動かすのは妹を殺した歪虚への復讐心だった。妹を殺した歪虚がわからない以上、すべての歪虚が復讐の対象であり殲滅すべき相手だった。
「きょじんたちがなにをやっているのかきになるじゃもん!」
泉はオーガの足を狙って攻撃をしつつ、敵の攻撃方法を見定めるために行動を観察していた。
オーガやトロルたちはその巨体をいかし腕を振るって、強い腕力を生かしてハンターたちを攻撃している。
「こいつらのこうげきはたんじゅんじゃもん。よくみればこわくないじゃもん!」
泉は仲間たちに注意を発する。
「あいつがこの群れのボスね」
マチルダは、オーガの群れの後方で指揮をしている派手な格好の歪虚、アンリを見つけ出していた。
「魔法は使わせないわ」
魔法を使用しようとしているアンリに対して、マチルダはカウンターマジックを唱えて妨害を試みる。
「スリープクラウド! って発動しない! なんで?」
アンリは唱えた魔法が発動しないことにうろたえていた。
「コーネリア、今、回復するの」
ディーナはパーティ中の唯一の回復役として、メンバーの回復に追われていた。
巨人の歪虚の群れは、ハンターたちの前方をふさぐように展開している。
「そんじゃま、せいぜい逃亡できるだけの道を切り開きますか」
カズマは敵の配置と密度を見渡して、少しでも薄いルートを探そうとしていた。
「ルートをこじ開けるわ!」
マチルダが敵の群れの端の方へ移動すると、端から中央に向かって魔法を放ち崖伝いにルートが開くように攻撃をかける。
グラビティフォールを敵の端に向かって詠唱した。重力波によって動きの鈍ったオーガたちはその部分だけ進撃の速度が鈍った。
「俺が先頭に出てルートを切り開く! 障害になる敵らを、振り切るぜ?」
マチルダが魔法であけた穴をさらに切り開くべく、カズマはアサルトディスタンスを使用しオーガの群れに突っ込んでいく。
全速力で駆け抜けるカズマは、鋭い切っ先で邪魔をしてくるオーガたちを斬り倒していく。
「じゃまなんじゃもん。おうちにかえってもーくるなー! じゃもん!」
投石などの遠距離攻撃の場合は、腕を優先的につぶそうと泉は巨人たちの動きに注意する。
「なんてしぶとい奴らだ!」
コーネリアはフォールシュートを唱えてオーガの群れの厚みを削っていこうと試みるがオーガの防御力は高いのかなかなか削り取ることが出来ないでいた。
「逃げるなんて許さないんだから! 凍えて死にな!」
「逃げる事は恥じゃねえ、最優先はこいつらの安全だ! 悪いな!」
ブリザードを唱えつつ怒鳴っているアンリにカズマが叫び返す。
「ちっ、それにしても数が多すぎる。一体一体相手にしていてはきりがない」
メリノーシュたちに向かって殺到しようとするオーガを相手にしていたセルゲンは、最前列のオーガの足を狙いクラッシュブロウを放つ。
足を攻撃されたオーガはバランスを崩し、音を立てて地面に倒れこむ。倒れたオーガを避けることのできなかった他のオーガたちも足を取られて倒れこんだ。
ディーナは、トロルが多くいる場所に向かって前進していた。回復手段のある自分が特殊攻撃を引き受けた方がいいだろうと判断してだ。
トロルとついでにアンリを視界に収めるとディーナは、大きく息を吸い込んで叫んだ。
「そこのオカマ歪虚! そんな恰好で女装のつもりとか笑わせるの! オカマジョだかなんだか知らないけどそんなナリで服を整えようとか幻獣狩ろうとか鼻で笑うのバカなの死ぬの!? エクラさまの御許に送ってやるからさっさと来いやぁなの!」
「誰がオカマだってぇ! ちんちくりんの小娘が! 覚悟しなぁ!」
ディーナの挑発に激怒したアンリはブリザードをディーナに向け放つ。
「……! 寒いの! 凍えちゃうの……」
凍り付いたディーナは震えて体をさする。
ディーナとアンリの悪口の応酬の間に、逃走ルートは何とか確保されていた。しかし、歪虚の間の狭いルートにメリノーシュたちは震えあがって動こうとしない。
「おてつだいおねがいなんじゃもん。おわったらいーっぱいあそぶんじゃもんっ♪」
動けないでいる羊たちの移動を手助けしようと泉は柴犬のメンチと鴉のやきとりに誘導を行わせることにした。
動物たちの鳴き声に反応した羊たちは、金色の毛並みの羊を先頭に走り出した。
「穴をあけるよ。巻き込まれないように気を付けて!」
マチルダはファイアーボールを走る羊の群れの先頭に向けて放った。爆音とともにファイアーボールが爆発し、オーガの群れに亀裂を作る。
「このまま逃走ルートを確保するぞ」
カズマは地面に伏せるようにしてファイアーボールの爆風をやり過ごす。Star of Bethlehemを投げて影渡を使用し、オーガの群れとの距離を縮めると天墜を構え、マチルダの開けた亀裂をこじ開けにかかった。
アサルトディスタンスを放ち、オーガの群れを切り裂いていく。
「このまま走り抜けられればいいんだが……」
セルゲンは羊たちの後方から、周囲を警戒する。羊を狙ってくるオーガやトロルに対してクラッシュブロウを叩き込んで牽制する。
ディーナは巨人の群れの合間をぬって、盾を構えて警戒しながらアンリに向き直ると、セイクリッドフラッシュを放つ。
「痛いじゃないか! ああ、服が破けちゃう! 許さねぇぞ、小娘!」
「服ばっかり気にするのは、中身が伴わない証拠なの!」
叫ぶアンリに負けじとディーナも叫び返す。
羊たちをかばいつつ逃走ルートを作り出していくハンターたちだったが、巨人の歪虚の群れの壁は厚く、削るスピードが追い付かない。徐々に包囲され始める。
「貴様らも土に還れ、雑種共!」
コーネリアは高加速射撃で羊たちの逃げる先を塞ぐトロルを攻撃する。
「ひとりじゃムリでもみんないっしょじゃもん! まだまだまけないんじゃもん!!」
泉は戦意高くオーガの足を狙って攻撃していく。
しかし、ハンターたち六人の力を合わせても戦力差を覆すのは厳しかった。
「このままでは全滅してしまうぞ」
「決め手に欠けるな」
コーネリアはフローズンパニッシャーを放ちながらオーガが近寄れないように牽制し、そばにいるセルゲンに話しかけた。
セルゲンはトランシーバーで先頭にいるカズマたちに連絡を取るも、彼らもまた巨人たちの攻撃をしのぐのに精一杯になっている様子だった。
羊たちは縮こまる。メェー、メェーという鳴き声が悲鳴のように戦場にこだました。
「このままじゃ羊たちを守りきれない」
オーガたちを羊たちから遠ざけるようにコーネリアが悲壮さを漂わせながら言った。
その時だった。巨人たちの分厚い壁の向こうから、オーガを蹴散らして大きな影が走ってくる。
「これは、イェジド、か……?」
「おっきじゃもん!」
コーネリアと泉が大きな狼を見上げた。
ハンターたちの記憶にあるよりも大きな巨躯のイェジドが救援に駆け付けてくれたのだった。
「……イェジドもデカい……ちょっと君、うちの子にならないk」
セルゲンは乱入してきたイェジドに見惚れると、イェジドに駆け寄って頭に乗せてもらいモフモフとその毛並みを堪能した。
「オーガを蹴散らしてメリノーシュを守ってなの! 全部終わったら尻尾から頭まで全身でモフモフ堪能させてほしいの!」
ディーナはイェジドに近寄りお願いをしている。
「一緒に撤退の殿をお願いしたい」
カズマはイェジドのうちの一体に近寄りこれからの行動を願い出る。何故、どうしてここへ来たのか聞こうかとも思ったが、聞かないことにした。自分たちと同じように幻獣を守りに来た。そう思うことにする。
「一緒に戦おうね」
マチルダは、イェジドの頭に乗って戦闘を継続した。救援が来てくれたということに加えてイェジドの毛並みの温かさにこれで大丈夫だという安心感が満ちてくる。
「おてつだいおねがいなんじゃもん。おわったらいーっぱいあそぶんじゃもんっ♪」
泉はさっそくイェジドにしっぽを振るった勢いでぶん投げてもらうと、その勢いのままにトロルに向かってクラッシュブロウを叩き込む
「後ろからメリノーシュたちを援護しようね」
マチルダはイェジドに羊の後ろに回ってもらって羊たちの移動を促してもらう。自分自身はオーガたちが追ってこられないようにグラビティフォールを敵の先頭集団に放って足止めをした。
「幻獣の加勢が付くなんて計算外だわ。ここまでか、ちくしょう! 素敵なセーターほしかったのに! あんたたち、あとは好きにしていいよ!」
アンリは救援に訪れたイェジドたちを見て自身の不利を悟ったのかこれ以上指揮をするのは面倒だとばかりに巨人たちに投げやりな指示を出してアンリはさっさと逃走した。
「逃げるか、僥倖な奴らだ。だが貴様らの尻尾は掴めた。今度会う時は貴様らの葬式だ!」
逃げていくアンリに向かってコーネリアは最後の射撃を行う。
「服に穴が開いちゃうじゃない」
負け惜しみを残してアンリは走り去っていった。
指揮官を失った巨人たちは混乱して各々が好き勝手な行動を始めた。ハンターたちを囲む包囲網も緩む。
「敵は混乱し始めたな。このまま離脱しよう!」
トランシーバーで味方に伝達したセルゲンはイェジドの頭に乗せてもらい羊たちの先頭に立ってオーガたちを蹴散らしにかかった。
ハンターたちと大きなイェジドに守られてメリノーシュたちは戦場を無事に走り切ることが出来た。
「もう大丈夫だとは思うが……」
コーネリアは戦場からは離れることが出来たが、念のためにと追ってきた巨人たちがいないかと周囲を警戒した。
「ひつじさんもおーかみさんもふわふわなんじゃもっ♪ にゃぁうっ♪ くすぐったいんじゃもーっ♪」
泉はメリノーシュやイェジドたちとじゃれあいながら遊んでいる。
「イェジドさん、ありがとうございました。は~、幸せ~」
マチルダはイェジドに礼を言いながら、メリノーシュに抱きついて顔をうずめて幸せそうだった。
「モフモフ出来て幸せなの。もう死んじゃうかもしれないの~」
ディーナは子供のメリノーシュを抱きしめて、イェジドの背中でモフモフを堪能している表情は幸せそうだった。
「こんな子たちがうちの子になってくれたら……」
セルゲンは毎日、モフモフが堪能出来て楽しいだろうなぁと、うれしそうな表情でメリノーシュの毛並みをなでている。
「勝つんじゃなくて、生きのびることが大切だからな」
これで良いんだろう? カズマはイェジドを見つめてつぶやいた。
「ワォン」
とイェジドも同意を返す。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/03/10 19:55:15 |
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ふわもこを巡る戦い ディーナ・フェルミ(ka5843) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/03/13 12:05:52 |