ゲスト
(ka0000)
【剣機】特攻野郎をぶちのめせ!
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/10/19 19:00
- 完成日
- 2014/10/27 06:19
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
一条の光も入らない暗闇の中、それは時を待っていた。今か今かと吐息を荒く、無量の闇を濁った目で見つめ続ける。
初めに衝撃と轟音を感じてから、長い時間が経っていた。しかし、それは時間という概念を理解していない。ただじっと待っていた。ひたすらに。
何が悪かったのか、初めの衝撃を受けてから、それは自分の中に火を灯すことができなくなっていた。火が灯らなければ何もできない。走るために作られたのに、ほんの少しも動くことができない。
だから待った。感情もなく、思考もなく。
――そして、どこかで全てが終わってしばらく、それはようやく自分が火を灯すことができるようになったことに気がづいた。
その瞬間に、それは吠えた。心臓に溜まった燃料を爆発させ、燃えたぎる血液が全身を巡る。細かく連続した振動が全身を包み込み、その心地よさにそれは少し濁りの増した目を細めた。
ようやく、走りだすことができる。ようやく、生まれた意味をこの世界に知らしめることができる。腐りきったはずの脳髄が、歓喜に打ち震えた。
エンジンが大気も闇も震わす雄叫びを上げ、タイヤが火花を散らして地面を噛む。
次の瞬間、それは猛烈な加速とともに金属の扉をぶち破った。砕け吹き飛ぶ金属片を追い越して、外に広がっていた森の木々も轢き裂いて、斜めに傾いだコンテナの底面をカタパルトに空中へと飛び出した。
それの頭にあるのは、ただ一つ植え付けられた本能だけ。
人間を、殺せ。
●
剣機リンドヴルムの置き土産は、とある山奥に残されていた。鈍色に輝く、金属製の巨大なコンテナ。誰にも気付かれずひっそりと落とされたそれは、何かのトラブルでも起こっていたのか、今になってその中身を、三台の魔導自動車を吐き出した。
これまでの剣機達と同じく機械とゾンビを掛けあわせたそれらは、酷く醜悪で嫌悪感を催す外見をしている。まず目に入るのは、その車体をハリネズミのように彩る刺や剣の群れ。その奥の車内には、腐って色の悪くなった肉が詰まっている。もともと運転席のあったらしき場所には、腐肉に紛れて人間の顔のようなものが浮かんでいた。
車体自体は、この世界で一般に売買されている魔導自動車と大差はない。だがそこに施された改造は、それを作った何者かが尋常な思考の持ち主ではないことを予感させた。
自動車と一体となったゾンビは、手足のように車体を操り、あらかじめ道を知っていたのか本能で生命を感知しているのか、山の木々をなぎ倒して迷わず街道に躍り出た。エンジンを鳴らし、タイヤで地面を黒く焦がしながら街道をひた走る。
そしてその道中、運悪くその街道を歩いていた何の罪もない一般人が――次々と轢き殺されていった。遠からずゾンビ達は街道の先にある町へと辿り着き、甚大な被害をもたらすだろう。
知らせを受け、ハンター数名が招集された。
帝国を襲った脅威から、人々はようやく開放されたのだ。そこに水を差すような真似は、とても歓迎されるものではない。
初めに衝撃と轟音を感じてから、長い時間が経っていた。しかし、それは時間という概念を理解していない。ただじっと待っていた。ひたすらに。
何が悪かったのか、初めの衝撃を受けてから、それは自分の中に火を灯すことができなくなっていた。火が灯らなければ何もできない。走るために作られたのに、ほんの少しも動くことができない。
だから待った。感情もなく、思考もなく。
――そして、どこかで全てが終わってしばらく、それはようやく自分が火を灯すことができるようになったことに気がづいた。
その瞬間に、それは吠えた。心臓に溜まった燃料を爆発させ、燃えたぎる血液が全身を巡る。細かく連続した振動が全身を包み込み、その心地よさにそれは少し濁りの増した目を細めた。
ようやく、走りだすことができる。ようやく、生まれた意味をこの世界に知らしめることができる。腐りきったはずの脳髄が、歓喜に打ち震えた。
エンジンが大気も闇も震わす雄叫びを上げ、タイヤが火花を散らして地面を噛む。
次の瞬間、それは猛烈な加速とともに金属の扉をぶち破った。砕け吹き飛ぶ金属片を追い越して、外に広がっていた森の木々も轢き裂いて、斜めに傾いだコンテナの底面をカタパルトに空中へと飛び出した。
それの頭にあるのは、ただ一つ植え付けられた本能だけ。
人間を、殺せ。
●
剣機リンドヴルムの置き土産は、とある山奥に残されていた。鈍色に輝く、金属製の巨大なコンテナ。誰にも気付かれずひっそりと落とされたそれは、何かのトラブルでも起こっていたのか、今になってその中身を、三台の魔導自動車を吐き出した。
これまでの剣機達と同じく機械とゾンビを掛けあわせたそれらは、酷く醜悪で嫌悪感を催す外見をしている。まず目に入るのは、その車体をハリネズミのように彩る刺や剣の群れ。その奥の車内には、腐って色の悪くなった肉が詰まっている。もともと運転席のあったらしき場所には、腐肉に紛れて人間の顔のようなものが浮かんでいた。
車体自体は、この世界で一般に売買されている魔導自動車と大差はない。だがそこに施された改造は、それを作った何者かが尋常な思考の持ち主ではないことを予感させた。
自動車と一体となったゾンビは、手足のように車体を操り、あらかじめ道を知っていたのか本能で生命を感知しているのか、山の木々をなぎ倒して迷わず街道に躍り出た。エンジンを鳴らし、タイヤで地面を黒く焦がしながら街道をひた走る。
そしてその道中、運悪くその街道を歩いていた何の罪もない一般人が――次々と轢き殺されていった。遠からずゾンビ達は街道の先にある町へと辿り着き、甚大な被害をもたらすだろう。
知らせを受け、ハンター数名が招集された。
帝国を襲った脅威から、人々はようやく開放されたのだ。そこに水を差すような真似は、とても歓迎されるものではない。
リプレイ本文
剣機の眷属が迫っているという情報は、いち早く町のハンターオフィスへと届けられていた。その危険性を鑑み、万が一のため町の人々は避難を余儀なくされる。
エルバッハ・リオン(ka2434)はその依頼を受けると同時に、避難の補助を買って出た。現場に赴くハンターの言葉というのは、その力を当てにせざるを得ない人々にとってはかなりの重みを持つ。オフィスの職員と共に彼女は住人を説得して回り、予想よりも早く避難を完了させることができた。
「最悪の置き土産ですね。これ以上の犠牲者を出さないためにも、きっちりと引導を渡さなければなりませんね」
彼女は気合を入れる。
万が一。
それを起こさせないのが、ハンターの仕事であるのだから。
●
ハンター達は、町から二十分ほどの街道上で敵を待ち構えることにした。報告によればゾンビ自動車は、この街道を町に向けてひたすら爆走しているらしい。
接敵まではしばらく時間がある。一同は息を整えながら、各々が迎撃に適した場所に移動した。
超級まりお(ka0824)と白主・アイノネ(ka2628)は、討伐の布石として街道の石畳に油を撒き、その上に落ち葉をばら撒いていく。相手の速度が脅威ならば、車をスリップさせそれを発揮できない状況に持って行こうという算段だ。加えてまりおは、油の手前に、車がスリップすれば飛び込んでくるだろう箇所にガラスの破片や曲がった釘なども配置する。上手くすれば、これで相手の機動力をある程度削げるかもしれない。
「よーし、これくらいで大丈夫かな」
準備を終えて、まりおは満足そうに仕掛けた罠を見下ろした。あとはまりおとアイノネが道の真中に陣取り、車を罠に引きこむべく囮になるだけだ。
「上手く、かかってくれるといいですね」
携えた刺突剣と盾の調子を確かめながらアイノネは……全身を覆う、うさぎのきぐるみから真剣な表情を覗かせて呟いた。もふもふとした滑らかな毛並みが、街道を駆ける風に波を打っている。本人は至って真剣な顔でいるため、その格好で戦うのかという突っ込みを入れるタイミングを、全員が失ってしまっていた。とはいえその目立つ格好は、囮になるには丁度いい、かもしれない。
「まだ、来ないみたいですね」
リオンはそんな二人の後ろで、ステッキを片手に道の向こうに目を凝らしている。
「……じゃ、私は……隠れるから」
姫凪 紫苑(ka0797)は、静かにそう言って近くの岩の陰に隠れて息を潜めた。身長よりも長大な大鎌も、上手く見えないように隠れている。
そんな四人を少し離れて見る木陰には、ズィルバーン・アンネ・早咲(ka3361)が銃を構えてターゲットを待ち構えていた。彼女の役割は、敵に見つからず、なおかつ致命的な一撃を与える狙撃だ。集中を研ぎ澄まし、体内のマテリアルを放つ用意も万全だ。
準備は全て整った。耳を澄まし、目を凝らし、ひりつくような緊張感に心を慣らしていく。
時間はゆっくりと流れていく。今は爽やかな風も、いつ腐臭を運んでくるのか分からない。
――そして、常人を凌駕する彼らの耳は、体は、僅かな音と振動を捉えた。
空気が戦場のそれに変わる。全員が覚醒のために体内のマテリアルを活性化させた。
途端に視界が広がっていく。道の先に爆音と砂煙を上げてこちら向かう、異形の自動車の姿を確認した。
「引き下がるわけには行かないからねー。さあ、俺がここに居合わせたことを後悔するといいよ!」
「囚われたラマツ、ポクナシルへと案内いたしましょう」
まりおとアイノネが、自らの存在を誇示するように堂々と声を上げた。
「後ろは、任せて下さい」
リオンも改めて気合を入れる。
紫苑は黙って鎌の柄を握り直すと、足に力を込める。アンネも目を凝らし、迫る自動車に向けて照準を合わせた。
視界に入った以上、接敵までの時間は僅かだ。相手は一秒で十六メートルを疾駆する。
初撃は、道に撒いた油だ。あれだけのスピードでスリップを起こせば、確実に相手は操縦不能に陥るだろう。
エンジンの燃える爆発音は、どんどん大きくなる。同時に、三台のゾンビ自動車の姿も詳らかになっていった。
見るに耐えない、芸術性の欠片もない無骨な姿だ。至る所に刺や剣を無理やり取り付けられ、元の車のデザインが完全に死んでいる。しかしその分、迫りくるインパクトは大きい。もし、あれをまともに喰らえば、ただでは済まないことは誰もが分かっていた。
まりおは足に力を込め、アイノネはすれ違いざまの一撃を狙って盾を構える。
油地点に近づく自動車が、奇声を発した。運転席に浮かんだ人間らしき顔が、二人を見つけて大きく歪む。ゾンビの目には、街道の上で彼を挑発する二つの影しか見えていないようだ。
三台の自動車は、一台を先頭に左右が背後に構える魚鱗の陣を思わせる隊列を組んでいる。先頭の一台は、間違いなく街道のど真ん中を走っていた。
つまり――狙いのとおりだ。
ゾンビは道の上にあるものになど見向きもせずに、一直線に飛び込んだ。タイヤは落ち葉の乗った油を見事に踏んで、猛烈な勢いで車体が左右にぶれる。ブレーキというものをしらない特攻兵器は、完全にコントロールを失ったように暴れ狂う。
その先に待ち受けているのは、ガラスの破片や曲がった釘たちだ。車体を横に滑らせながら後輪で見事にそれを踏んだ自動車は、バンと大きな音を響かせて僅かに宙に浮き上がった。
「Bダーッシュ!」
バーストしたタイヤは摩擦を失い、車体は弧を描くように回転しながら街道を滑る。まりおは瞬脚を使い、素早く駆けて華麗に回避する。
そしてアイノネは、その回転する車体の動きに合わせるように体勢を低く盾を構え――迫る鋼鉄の塊に向けて自ら飛び込んだ。
「……!」
車体の横を掠めるように、まるごとうさぎの体が疾走る。すれ違いざまに構えた盾の突端を、車体に溶接された刺に思い切り叩きつけた。車体の勢いも相まって、金属のぶつかる鈍い音と強力な衝撃が骨を伝って全身に響く。アイノネは反動を流さず受け止め、転がるようにその場を離脱。その一撃は強力で、刺の数本をもぎ取ると同時に、滑る車体の安定性を更に失わせることに成功した。
「……今」
その瞬間に、岩の陰に隠れていた紫苑が大鎌を手に飛び出した。脚に込めたマテリアルは彼女の体を弾丸の勢いで疾駆させ、慣性で滑る車体に向けて大きく跳躍する。
ダンと華麗に刺や剣を避けて屋根に着地した彼女は、その刹那に鎌を振りかぶっていた。
「……此処なら外さない」
狙うは運転席。振り下ろされた命を刈り取る大鎌は、屋根の薄い金属を容易く突き破り、車内を満たす腐肉に大きな穴を穿った。
耳朶を強力に打ち付ける絶叫が爆発する。運転席に浮かび上がった顔が苦悶の表情を作った。
一瞬の内に、先頭の一台に大きなダメージを与えることに成功した。しかし、敵はまだ二台も残っている。
リオンは最初の一台に追撃を入れるよりも、残った二台が前衛に向かう可能性を懸念した。案の定、少し離れてこちらに向かっていた二台は、明らかにまりおとアイノネに狙いを定めている。
「させません!」
杖を振り、リオンは風の刃を発生させる。唸りを上げて見えない刃が、迫る車に向けて放たれた。
狙いはタイヤだ。先頭の一台を簡単にパンクさせられたことで、その耐久性のなさは証明されている。上手く直撃さえすれば、破壊するのは難しくない。
放たれた刃と車の距離は一瞬にしてゼロになり――バシン、と叩きつけるような音を発して、黒光りする車体に大きく切り傷が刻まれた。衝撃に、僅かに車の軌道がブレる。だが、タイヤは破壊できていない。
「正面からだと、難しいですね……!」
しかも、大したダメージを与えられたようにも見えない。金属製の車体を斬り裂くのは、簡単ではなさそうだ。
「目標の材質を確認……ただいまより殲滅を開始、する」
ほぼ同時に、アンネはさらにもう一台の車を照準に捉えていた。
タイヤの材質は、恐らくゴムだ。そうでなかったにしろ、釘やガラスで穴が開く程度なら、銃弾の効果のほどは考えるまでもない。
とにかく当てさえすればいい。限りあるリソースを節約するため、アンネは通常弾での射撃を試みる。
街道から少し脇に逸れたこの場所からなら、タイヤの側面を確認できる。
集中を研ぎ澄まし、ゆっくりと引き金を引く。
同時に、乾いた破裂音が二つ、連続して街道に響き渡った。
「……ん」
銃弾は過たずタイヤの側面を引き裂いて、その機能を失わせた。それを確認すると、アンネは淡々と、次の目標に照準を合わせる。
タイヤを破壊しても、車の動きが完全に止められるわけではない。最初の一台は完全にコントロールを失い、狙撃を受けた個体もかなり速度を落としているが、それでも充分な殺傷能力をまだ有している。
しかも、まだタイヤに傷のない一台が健在だ。砂煙を上げて迫る最後の一台が、脅威と見なしたアイノネに向けて猛烈な突進を仕掛けてくる。街道脇に離脱を試みたアイノネだったが、まだ車の行動範囲の外に出られてはいなかった。
ギラリと鈍く光る刺が風を斬り裂き、不気味な音を奏でて迫る。
「……これは、避けられそうにないかな」
これを躱してしまえば、後衛に被害が及ぶ。意を決し、うさぎが大きな盾を構える。身を低く、できるだけ車の突起を回避できる場所を選んで覚悟とともに力を込める。
「車相手に正面衝突とか、狂気の沙汰ですね」
真っ向からの体当たり。
アイノネは、そんな状況にありながらニヤリと口元を歪めた。ただの強がりだが、それでも心は僅かに軽くなった気がした。
そんな心を構える時間もほんの僅か、押し出された大気の塊が盾を僅かに押したと思ったその瞬間――途轍もない衝撃が全身を襲った。
鼓膜を破らんばかりの轟音、全身の骨が砕けるような衝撃に、アイノネの体が大きく吹き飛ばされる。
「アイノネさん!」
咄嗟に、吹き飛ばされたアイノネに追撃を掛けようとしていた車に向けて、リオンはアースバレットを叩き込んでいた。弾丸のように撃ちだされた石塊は車体の刺を叩き折り、側面のドア部分を大きく凹ませる。
車体を大きく揺らし、それでも吠えるゾンビの眼球がぐるりとリオンに向いた。土や小石を弾き飛ばし、アクセル全開のまま無茶な操縦で弧を描く。
しかし、
「行かせないよー!」
一回転し、再びリオンを視界に捉えたゾンビの見たものは、高速で回転する鋸の刃だった。
まりおは大きく地を駆け、車の正面からすれ違うようにリボルビングソーを振りかぶっていた。全身にマテリアルを潤滑させ、精度の高い一撃は綺麗に刺の合間を縫って車体を削り取っていく。開いた車体の亀裂から、摩擦で焼けた腐肉の臭いが漂った。
そして、アイノネを狙った車は大きく車体を抉られ、そのまま街道を横切って脇に放置された岩へと突っ込み――爆発。腐肉と金属をばら撒いて、ようやくその役割を終えた。
「アイノネさん、無事っ?」
すかさずまりおが、土まみれになったうさぎのきぐるみに駆け寄った。きぐるみはしばらく体をもぞもぞさせると、ゆっくりと頭を振って起き上がる。
「……ええっと、たぶん無事……なのかな?」
大きなダメージは負ったものの、何らかの加護でもあったかのように、アイノネに致命的な怪我はないようだ。
暴れ牛のように車体を振り回すゾンビの脳天に幾度か鎌を叩き込み、振り落とされる前に紫苑は屋根から飛び降りた。前転で衝撃を殺し、さっと起き上がって目の前を睨みつける。
「……まだ、動くの」
発狂したように叫びながら、不安定に揺れる車体がこちらに突っ込んでくる。
「……無駄」
紫苑はマルチステップで回避を行うと、すれ違いざまにフロントガラスを叩き割ってゾンビの顔面に鎌を突き立てた。鎌はゾンビの顔面からドア部までを大きく斬り裂いていく。
何度目かの絶叫が響く。もう中身はかなりかき混ぜてやったはずなのに、どこから声が出てくるのか。
「……ここ」
アンネは呟き、引き金を引いた。
紫苑の攻撃でできた一瞬の隙を狙い、アンネの狙撃は残った後輪を破裂させる。今度はホイールごと撃ちぬいたのか、衝撃でボルトが弾け飛び、タイヤが外れ傾いた車体と刺が火花を散らして街道の石畳を擦る。
しかし、それでもゾンビの声は鳴り止まず、車も走ることをやめなかった。
速度は先程までの半分もなく、最早回避は難しいものではなくなっている。
倒しきるのも時間の問題。しかしその異様なタフさに、疑問が浮かんでくる。もしかしたら、あの運転席のゾンビの顔は、頭部としての役割を持っていないのではないか。
あれがただのフェイクで、車が特攻を行うまでの時間稼ぎの道具である可能性。
紫苑とアンネは、同時にそこに思い至った。
機械に疎い人間の多いこの世界で、分かりやすい弱点を見せつけての撹乱。ゾンビではなく、車を見た時に、どこが一番の弱点となり得るのか。
紫苑は無言で鎌を振りかぶり、アンネもまた、無言で構えた銃にマテリアルを集めていく。
ゾンビはまだ叫び声を上げながら、不自然となった体勢で紫苑に向けて怨嗟の突撃を繰り出す。紫苑は、それを真正面から迎え撃つことにする。そこを狙うには、他からでは難しいからだ。
「――!」
二人の攻撃は、同時に行われた。
紫苑は足にマテリアルを込めて素早く、自ら懐に飛び込んでいく。アンネのマテリアルが砲口に集まり、淡い光を放ち始める。
死神の如き鎌が振り下ろされ、大気を貫く一条の光が放たれる。
狙うのは、車のフロント部分。後輪の二つを潰してなお何とか走ることができるのは、恐らくエンジンが前にあるからだ。
二つの攻撃は同時に突き刺さり――そして、爆炎が大輪の花を咲かせた。
「標的の活動停止を……確認。ミッション、こんぷりーと」
●
弱点が割れれば、残った一台を対処することは難しくなかった。全員で力を合わせ、あっけなく無力化することに成功する。随分と苦労を強いられたが、これで、剣機の影に怯える必要はないだろう。
「もしかして、コイツらが量産されてたら巨大改造ゾンビより絶望的……?」
まりおは呟く。これが大量に町に突撃することを考えれば、背筋が寒くなる。
たった三台で、多くの犠牲者が出た。町の住民にも手伝ってもらっても、遺体の回収にはしばらく時間がかかりそうだ。
幸いにも街道にできてしまった戦闘の跡は思ったよりも簡単に修復が可能なようで、回収の手間を増やすことにはならないようだが、それでも、町の人々の心に刻まれた傷跡は小さくない。
アイノネは一人、風の中でオカリナを奏でる。澄んだ音色が、死者の魂を鎮めてくれることを願って。
エルバッハ・リオン(ka2434)はその依頼を受けると同時に、避難の補助を買って出た。現場に赴くハンターの言葉というのは、その力を当てにせざるを得ない人々にとってはかなりの重みを持つ。オフィスの職員と共に彼女は住人を説得して回り、予想よりも早く避難を完了させることができた。
「最悪の置き土産ですね。これ以上の犠牲者を出さないためにも、きっちりと引導を渡さなければなりませんね」
彼女は気合を入れる。
万が一。
それを起こさせないのが、ハンターの仕事であるのだから。
●
ハンター達は、町から二十分ほどの街道上で敵を待ち構えることにした。報告によればゾンビ自動車は、この街道を町に向けてひたすら爆走しているらしい。
接敵まではしばらく時間がある。一同は息を整えながら、各々が迎撃に適した場所に移動した。
超級まりお(ka0824)と白主・アイノネ(ka2628)は、討伐の布石として街道の石畳に油を撒き、その上に落ち葉をばら撒いていく。相手の速度が脅威ならば、車をスリップさせそれを発揮できない状況に持って行こうという算段だ。加えてまりおは、油の手前に、車がスリップすれば飛び込んでくるだろう箇所にガラスの破片や曲がった釘なども配置する。上手くすれば、これで相手の機動力をある程度削げるかもしれない。
「よーし、これくらいで大丈夫かな」
準備を終えて、まりおは満足そうに仕掛けた罠を見下ろした。あとはまりおとアイノネが道の真中に陣取り、車を罠に引きこむべく囮になるだけだ。
「上手く、かかってくれるといいですね」
携えた刺突剣と盾の調子を確かめながらアイノネは……全身を覆う、うさぎのきぐるみから真剣な表情を覗かせて呟いた。もふもふとした滑らかな毛並みが、街道を駆ける風に波を打っている。本人は至って真剣な顔でいるため、その格好で戦うのかという突っ込みを入れるタイミングを、全員が失ってしまっていた。とはいえその目立つ格好は、囮になるには丁度いい、かもしれない。
「まだ、来ないみたいですね」
リオンはそんな二人の後ろで、ステッキを片手に道の向こうに目を凝らしている。
「……じゃ、私は……隠れるから」
姫凪 紫苑(ka0797)は、静かにそう言って近くの岩の陰に隠れて息を潜めた。身長よりも長大な大鎌も、上手く見えないように隠れている。
そんな四人を少し離れて見る木陰には、ズィルバーン・アンネ・早咲(ka3361)が銃を構えてターゲットを待ち構えていた。彼女の役割は、敵に見つからず、なおかつ致命的な一撃を与える狙撃だ。集中を研ぎ澄まし、体内のマテリアルを放つ用意も万全だ。
準備は全て整った。耳を澄まし、目を凝らし、ひりつくような緊張感に心を慣らしていく。
時間はゆっくりと流れていく。今は爽やかな風も、いつ腐臭を運んでくるのか分からない。
――そして、常人を凌駕する彼らの耳は、体は、僅かな音と振動を捉えた。
空気が戦場のそれに変わる。全員が覚醒のために体内のマテリアルを活性化させた。
途端に視界が広がっていく。道の先に爆音と砂煙を上げてこちら向かう、異形の自動車の姿を確認した。
「引き下がるわけには行かないからねー。さあ、俺がここに居合わせたことを後悔するといいよ!」
「囚われたラマツ、ポクナシルへと案内いたしましょう」
まりおとアイノネが、自らの存在を誇示するように堂々と声を上げた。
「後ろは、任せて下さい」
リオンも改めて気合を入れる。
紫苑は黙って鎌の柄を握り直すと、足に力を込める。アンネも目を凝らし、迫る自動車に向けて照準を合わせた。
視界に入った以上、接敵までの時間は僅かだ。相手は一秒で十六メートルを疾駆する。
初撃は、道に撒いた油だ。あれだけのスピードでスリップを起こせば、確実に相手は操縦不能に陥るだろう。
エンジンの燃える爆発音は、どんどん大きくなる。同時に、三台のゾンビ自動車の姿も詳らかになっていった。
見るに耐えない、芸術性の欠片もない無骨な姿だ。至る所に刺や剣を無理やり取り付けられ、元の車のデザインが完全に死んでいる。しかしその分、迫りくるインパクトは大きい。もし、あれをまともに喰らえば、ただでは済まないことは誰もが分かっていた。
まりおは足に力を込め、アイノネはすれ違いざまの一撃を狙って盾を構える。
油地点に近づく自動車が、奇声を発した。運転席に浮かんだ人間らしき顔が、二人を見つけて大きく歪む。ゾンビの目には、街道の上で彼を挑発する二つの影しか見えていないようだ。
三台の自動車は、一台を先頭に左右が背後に構える魚鱗の陣を思わせる隊列を組んでいる。先頭の一台は、間違いなく街道のど真ん中を走っていた。
つまり――狙いのとおりだ。
ゾンビは道の上にあるものになど見向きもせずに、一直線に飛び込んだ。タイヤは落ち葉の乗った油を見事に踏んで、猛烈な勢いで車体が左右にぶれる。ブレーキというものをしらない特攻兵器は、完全にコントロールを失ったように暴れ狂う。
その先に待ち受けているのは、ガラスの破片や曲がった釘たちだ。車体を横に滑らせながら後輪で見事にそれを踏んだ自動車は、バンと大きな音を響かせて僅かに宙に浮き上がった。
「Bダーッシュ!」
バーストしたタイヤは摩擦を失い、車体は弧を描くように回転しながら街道を滑る。まりおは瞬脚を使い、素早く駆けて華麗に回避する。
そしてアイノネは、その回転する車体の動きに合わせるように体勢を低く盾を構え――迫る鋼鉄の塊に向けて自ら飛び込んだ。
「……!」
車体の横を掠めるように、まるごとうさぎの体が疾走る。すれ違いざまに構えた盾の突端を、車体に溶接された刺に思い切り叩きつけた。車体の勢いも相まって、金属のぶつかる鈍い音と強力な衝撃が骨を伝って全身に響く。アイノネは反動を流さず受け止め、転がるようにその場を離脱。その一撃は強力で、刺の数本をもぎ取ると同時に、滑る車体の安定性を更に失わせることに成功した。
「……今」
その瞬間に、岩の陰に隠れていた紫苑が大鎌を手に飛び出した。脚に込めたマテリアルは彼女の体を弾丸の勢いで疾駆させ、慣性で滑る車体に向けて大きく跳躍する。
ダンと華麗に刺や剣を避けて屋根に着地した彼女は、その刹那に鎌を振りかぶっていた。
「……此処なら外さない」
狙うは運転席。振り下ろされた命を刈り取る大鎌は、屋根の薄い金属を容易く突き破り、車内を満たす腐肉に大きな穴を穿った。
耳朶を強力に打ち付ける絶叫が爆発する。運転席に浮かび上がった顔が苦悶の表情を作った。
一瞬の内に、先頭の一台に大きなダメージを与えることに成功した。しかし、敵はまだ二台も残っている。
リオンは最初の一台に追撃を入れるよりも、残った二台が前衛に向かう可能性を懸念した。案の定、少し離れてこちらに向かっていた二台は、明らかにまりおとアイノネに狙いを定めている。
「させません!」
杖を振り、リオンは風の刃を発生させる。唸りを上げて見えない刃が、迫る車に向けて放たれた。
狙いはタイヤだ。先頭の一台を簡単にパンクさせられたことで、その耐久性のなさは証明されている。上手く直撃さえすれば、破壊するのは難しくない。
放たれた刃と車の距離は一瞬にしてゼロになり――バシン、と叩きつけるような音を発して、黒光りする車体に大きく切り傷が刻まれた。衝撃に、僅かに車の軌道がブレる。だが、タイヤは破壊できていない。
「正面からだと、難しいですね……!」
しかも、大したダメージを与えられたようにも見えない。金属製の車体を斬り裂くのは、簡単ではなさそうだ。
「目標の材質を確認……ただいまより殲滅を開始、する」
ほぼ同時に、アンネはさらにもう一台の車を照準に捉えていた。
タイヤの材質は、恐らくゴムだ。そうでなかったにしろ、釘やガラスで穴が開く程度なら、銃弾の効果のほどは考えるまでもない。
とにかく当てさえすればいい。限りあるリソースを節約するため、アンネは通常弾での射撃を試みる。
街道から少し脇に逸れたこの場所からなら、タイヤの側面を確認できる。
集中を研ぎ澄まし、ゆっくりと引き金を引く。
同時に、乾いた破裂音が二つ、連続して街道に響き渡った。
「……ん」
銃弾は過たずタイヤの側面を引き裂いて、その機能を失わせた。それを確認すると、アンネは淡々と、次の目標に照準を合わせる。
タイヤを破壊しても、車の動きが完全に止められるわけではない。最初の一台は完全にコントロールを失い、狙撃を受けた個体もかなり速度を落としているが、それでも充分な殺傷能力をまだ有している。
しかも、まだタイヤに傷のない一台が健在だ。砂煙を上げて迫る最後の一台が、脅威と見なしたアイノネに向けて猛烈な突進を仕掛けてくる。街道脇に離脱を試みたアイノネだったが、まだ車の行動範囲の外に出られてはいなかった。
ギラリと鈍く光る刺が風を斬り裂き、不気味な音を奏でて迫る。
「……これは、避けられそうにないかな」
これを躱してしまえば、後衛に被害が及ぶ。意を決し、うさぎが大きな盾を構える。身を低く、できるだけ車の突起を回避できる場所を選んで覚悟とともに力を込める。
「車相手に正面衝突とか、狂気の沙汰ですね」
真っ向からの体当たり。
アイノネは、そんな状況にありながらニヤリと口元を歪めた。ただの強がりだが、それでも心は僅かに軽くなった気がした。
そんな心を構える時間もほんの僅か、押し出された大気の塊が盾を僅かに押したと思ったその瞬間――途轍もない衝撃が全身を襲った。
鼓膜を破らんばかりの轟音、全身の骨が砕けるような衝撃に、アイノネの体が大きく吹き飛ばされる。
「アイノネさん!」
咄嗟に、吹き飛ばされたアイノネに追撃を掛けようとしていた車に向けて、リオンはアースバレットを叩き込んでいた。弾丸のように撃ちだされた石塊は車体の刺を叩き折り、側面のドア部分を大きく凹ませる。
車体を大きく揺らし、それでも吠えるゾンビの眼球がぐるりとリオンに向いた。土や小石を弾き飛ばし、アクセル全開のまま無茶な操縦で弧を描く。
しかし、
「行かせないよー!」
一回転し、再びリオンを視界に捉えたゾンビの見たものは、高速で回転する鋸の刃だった。
まりおは大きく地を駆け、車の正面からすれ違うようにリボルビングソーを振りかぶっていた。全身にマテリアルを潤滑させ、精度の高い一撃は綺麗に刺の合間を縫って車体を削り取っていく。開いた車体の亀裂から、摩擦で焼けた腐肉の臭いが漂った。
そして、アイノネを狙った車は大きく車体を抉られ、そのまま街道を横切って脇に放置された岩へと突っ込み――爆発。腐肉と金属をばら撒いて、ようやくその役割を終えた。
「アイノネさん、無事っ?」
すかさずまりおが、土まみれになったうさぎのきぐるみに駆け寄った。きぐるみはしばらく体をもぞもぞさせると、ゆっくりと頭を振って起き上がる。
「……ええっと、たぶん無事……なのかな?」
大きなダメージは負ったものの、何らかの加護でもあったかのように、アイノネに致命的な怪我はないようだ。
暴れ牛のように車体を振り回すゾンビの脳天に幾度か鎌を叩き込み、振り落とされる前に紫苑は屋根から飛び降りた。前転で衝撃を殺し、さっと起き上がって目の前を睨みつける。
「……まだ、動くの」
発狂したように叫びながら、不安定に揺れる車体がこちらに突っ込んでくる。
「……無駄」
紫苑はマルチステップで回避を行うと、すれ違いざまにフロントガラスを叩き割ってゾンビの顔面に鎌を突き立てた。鎌はゾンビの顔面からドア部までを大きく斬り裂いていく。
何度目かの絶叫が響く。もう中身はかなりかき混ぜてやったはずなのに、どこから声が出てくるのか。
「……ここ」
アンネは呟き、引き金を引いた。
紫苑の攻撃でできた一瞬の隙を狙い、アンネの狙撃は残った後輪を破裂させる。今度はホイールごと撃ちぬいたのか、衝撃でボルトが弾け飛び、タイヤが外れ傾いた車体と刺が火花を散らして街道の石畳を擦る。
しかし、それでもゾンビの声は鳴り止まず、車も走ることをやめなかった。
速度は先程までの半分もなく、最早回避は難しいものではなくなっている。
倒しきるのも時間の問題。しかしその異様なタフさに、疑問が浮かんでくる。もしかしたら、あの運転席のゾンビの顔は、頭部としての役割を持っていないのではないか。
あれがただのフェイクで、車が特攻を行うまでの時間稼ぎの道具である可能性。
紫苑とアンネは、同時にそこに思い至った。
機械に疎い人間の多いこの世界で、分かりやすい弱点を見せつけての撹乱。ゾンビではなく、車を見た時に、どこが一番の弱点となり得るのか。
紫苑は無言で鎌を振りかぶり、アンネもまた、無言で構えた銃にマテリアルを集めていく。
ゾンビはまだ叫び声を上げながら、不自然となった体勢で紫苑に向けて怨嗟の突撃を繰り出す。紫苑は、それを真正面から迎え撃つことにする。そこを狙うには、他からでは難しいからだ。
「――!」
二人の攻撃は、同時に行われた。
紫苑は足にマテリアルを込めて素早く、自ら懐に飛び込んでいく。アンネのマテリアルが砲口に集まり、淡い光を放ち始める。
死神の如き鎌が振り下ろされ、大気を貫く一条の光が放たれる。
狙うのは、車のフロント部分。後輪の二つを潰してなお何とか走ることができるのは、恐らくエンジンが前にあるからだ。
二つの攻撃は同時に突き刺さり――そして、爆炎が大輪の花を咲かせた。
「標的の活動停止を……確認。ミッション、こんぷりーと」
●
弱点が割れれば、残った一台を対処することは難しくなかった。全員で力を合わせ、あっけなく無力化することに成功する。随分と苦労を強いられたが、これで、剣機の影に怯える必要はないだろう。
「もしかして、コイツらが量産されてたら巨大改造ゾンビより絶望的……?」
まりおは呟く。これが大量に町に突撃することを考えれば、背筋が寒くなる。
たった三台で、多くの犠牲者が出た。町の住民にも手伝ってもらっても、遺体の回収にはしばらく時間がかかりそうだ。
幸いにも街道にできてしまった戦闘の跡は思ったよりも簡単に修復が可能なようで、回収の手間を増やすことにはならないようだが、それでも、町の人々の心に刻まれた傷跡は小さくない。
アイノネは一人、風の中でオカリナを奏でる。澄んだ音色が、死者の魂を鎮めてくれることを願って。
依頼結果
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MVP一覧
- 鎮魂歌を奏でる兎
白主・アイノネ(ka2628)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談卓 白主・アイノネ(ka2628) 人間(リアルブルー)|16才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/10/19 18:59:39 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/17 02:40:48 |