• 王臨

【王臨】ハーディングドッグ

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
イベント
難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/03/27 22:00
完成日
2017/04/02 22:17

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●逆上陸
 マーグミュル島の奪還戦を終えて休む間もなく、フライングシスティーナ号は王国西岸沖を疾走していた。
「ベリアル軍が動いているの?」
 ソルラ・クート(kz0096)の質問に『軍師騎士』ノセヤは頷く。
 机上には王国の地図が広げられ、敵味方の駒が置かれていた。
「ベリアル軍が王都に向けて侵攻中との事」
 フライングシスティーナ号には転移門が設置してある。緊急の連絡であれば、王都から直接、使者が伝達に来れる。
 もちろん、ノセヤ自身も覚醒者であるので、もしかして、彼が王都へ行って得た情報かもしれない。
「ゲオルギウス団長から、アルテミス小隊もベリアル軍討伐に参加するようにとの事です」
「なら、転移門でハルトフォート砦に移動した方が早くない?」
 確かに、その方が確実である。急いで危険な王国西部沖を航行する必要もないものだ。
 だが、ノセヤは地図の駒を指した。
「これは未確認の情報なのですが、ベリアル軍は、かなりの速度で進撃しているらしいです。当然、個体差によって進撃のペースやルートがバラバラです」
 その為、広い戦域に渡ってベリアル軍が姿を現しているようだ。
 駒の一つを新たに出すと、それを王国西部に置いた。
「理由は分かりませんが……戦線が伸びていると思われます」
「?」
 首を傾げるソルラ。
「ベリアル軍を戦域全体で包囲します」
 地図上に置かれた駒は確かに、ベリアル軍を半円に包囲していた。
 そこへ、王国西部に置いた駒を進める。
「……分かったわ、ノセヤ君。アルテミス小隊は逆上陸して、ベリアル軍の背後を突くのね」
「はい。そうすれば、回り込む必要なく、ベリアル軍の包囲が完成します。後は、徹底的に叩くのみです」
 その言葉にソルラは感嘆の声をあげた。
 ノセヤは各地で作戦を指揮してきた。大規模な戦いから、ハンター達による小規模の戦いまで様々に。その経験は、彼の軍略にますます磨きを掛けたようだ。
「凄いものね」
「これが、僕が出来る“戦い”ですから」
 苦笑するノセヤだったが、その瞳は真剣だった。
 彼も彼なりに苦悩しているのだろう。マーグミュル島での戦いで、敵の意図を見抜けず、結果、ランドル船長を死なせてしまった責任を感じているのかもしれない。
 もっとも、彼に責任は無いのだが、責任を抱える辺り、それが彼の人柄というものなのだろう。
「戦闘後はどうするの?」
「ソルラ先輩はそのままハルトフォート砦へ向かって下さい。僕はフライングシスティーナ号と共に川を遡上し、王都防衛の任に付きます」
 外輪船であるフライングシスティーナ号は吃水線が浅い。大きな河川での運用を視野に作られているだけはある。
 万が一、ベリアル軍が王都に迫った場合、即席の河川砦として王都を死守するつもりなのだ。
「上陸に時間を掛ける事はあまりできないので、ユニットは使えませんが、馬やバイクなら下ろせるでしょう」
「それで十分よ」
 ソルラは机上の駒の一つを、更に西に動かして微笑んだ。

●王国西部
「メ゛ェ~メ゛ェ~」
 これが長閑な牧草地帯であれば、羊の群れが移動しているようにも見えたかもしれない。
 だが、実際は違う。直立した羊が、先に行ってしまった主を追いかけて必死に走っていたのだ。
「置いて行かれたメ゛~」
 と喋れれば、そう言ったかもしれない。
 彼ら?はその様に思っていたが、実の所、ベリアルの背後を守る為の捨石に過ぎない。
 どうせ足が遅くて全体の行軍についていけないのだ。つまり――その程度の存在という訳だ。
 それでも、数が多ければ脅威となる。
「ひぃ~。もの凄い数だ~」
 運悪く遭遇してしまった行商が驚いて逃げる。
 羊雑魔の足が遅くて幸いであった。行商は荷物が犠牲になったものの、逃げ切れそうだったからだ。
「なんだって、こんな事になってるんだよ」
 十分な距離が取れた所で行商は涙目を浮かべた。
 一体何が起こっているのか、全く分からない。そもそも、ベリアル軍は港町郊外の戦いに敗れていたのではないのか。
「これは、無事に討伐されるまで無闇やたらに動かない方がいいな……しかし、あの数がそのまま雪崩込んで大丈夫か?」
 街道を真っ直ぐ進めばハルトフォート砦へ至る。
 行商は不安そうな顔で羊雑魔の群れを眺めていた。

●アルテミス小隊追撃
 ソルラ率いるアルテミス小隊とハンター達の混成軍が王国西部を強行した。
 たどり着いたのは大き目の河のほとりだった。
「小休止。馬を少し休めて」
 全軍に指示すると、ソルラは乗っていた魔導バイクから降りる。
 手頃な所にあった塚の上に上がると全体の様子を見るように手をかざした。
「遠くに羊歪虚の群れが見えるわね。あれで間違いないはず」
 なんとか追いついたというのが実感だ。
 逆上陸してから必死に駆け抜けて間に合わなければ笑いものもいいところ。
「……思ったより、数が多いよ、ノセヤ君」
 遠くの方には砂埃が上がっていた。
 想定していた数よりも多いとソルラは直感して、フライングシスティーナ号に残った後輩の騎士の名を恨めしそうに呼ぶ。
 戦場とは予期せぬ事が起こる。それをソルラは学生時代に、遠い親戚でもあるある船長に聞いていた。
 それを如何に乗り切るかは現場に在る者が考えなくてはならない。その為に、隊を率いる将や騎士は一定の権限を委譲されているのだから。
「ハンター達と作戦会議を開くわ。元気な隊員は先行して情報収集に」
 この難局を乗り越えるには、彼ら――ハンター達――の力が必要なのだ。

リプレイ本文

●南側――エンゲージ
「ヒャッハー! 1番乗りだぜっ!」
 小悪党みたいな台詞を発しながら、トリプルJ(ka6653)が羊の群れに向かって鉄拳を繰り出した。
 側面からの突然の奇襲にその羊は驚いて体勢を崩し、それが波のように広がった。
「おっとー。どうやら、そんじゃそこらの羊じゃなさそうだな!」
 羊歪虚共の不気味な瞳が一斉に向けられて、トリプルJはニヤっと笑う。
 確かに、普通の羊ではないのは確かだ。姿形は羊でも歪虚は歪虚なのだから。
「羊がたくさんいるけど、全く眠くならないわね」
 明らかに嫌そうな視線を向ける十色 乃梛(ka5902)が覚醒状態に入り、右目に九芒星が浮かび、光に包まれた。
「無茶はしないでね。アンバサ」
 そんな独り言を呟いた乃梛の真横で時音 ざくろ(ka1250)がメイスを高々と掲げる。
 光に反射したメイスが眩しい輝く。その先端をビシッと羊歪虚の群れへと向けた。
「皆と一緒に、べリアル軍を殲滅だよ!」
 今日は無駄に親近感がある“友人”と一緒の大冒険。テンションも上がるというものだ。
「さぁ、行くよ! 砦に敵が雪崩れ込んだら大変な事になるもん!」
「え? えぇ? は、は~い?」
 何この人、さっきから馴れ馴れしく真横に居るし、話しかけてくるしと乃梛は感じたが、ハンターとはこんなものかもしれないと気にするのを止めた。
 そんな微妙にすれ違う空気を気にせずにAnbar(ka4037)が片手斧を構えつつ、空いた手で戦馬の手綱を握る。
「……さて、ここで敵を食い止めないと要らない損害が出るだけだしな」
 単独行動が危険なのは数の差でハッキリとしている。
 仲間との連携を意識し、相互補完できるように努めて臨むべきだろう。
「ともかく、全力で暴れさせて貰おうか」
 足で馬に合図をすると駆け出した。
 合わせて、カーミン・S・フィールズ(ka1559)が引き絞った弓から矢を放った。
 一筋の光が宙を駆け抜けた。
「私達はさながら牧羊犬ね」
 敵の群れを切り離し、橋がある東へと進むのを足止め・誘導。
 その背後をアルテミス小隊と別働のハンターが追撃するという作戦だ。
「敵が混乱して、味方の被害が減ればいうことなしなんだけどね」
 番える矢に手を伸ばした。光が回路状に駆け抜ける。
 戦闘開始、だ。

●中央前面――コンタクト
「あの羊達見てたらジンギスカン食べたくなってきた……そのうち絶対食べよ」
 藤堂 小夏(ka5489)が独り言のように呟いた。
 これだけの羊が本物だったら、一体どれだけの量になるのか。もう、食べ飽きるのは間違いないだろう。
 もっとも、歪虚なので、倒したら消え去るのみだが。
「ハルトフォート砦側からの増援や敗走兵は居なそうですね」
 後ろの景色に目を向けながら、Serge・Dior(ka3569)が言った。
 さすがに包囲戦を展開している中で、背後から突かれると苦しい事になるが、今回、その心配は必要なさそうである。
「そうだな。だが……」
 険しい表情で言葉を止めた龍崎・カズマ(ka0178)が来た道を振り返った。
 強行軍となった為、移動力に差があったハンターが遅れているのだ。
 僅かな遅れかもしれないが、不安は残る。
 鳳城 錬介(ka6053)が向かって来る羊の群れを眺めながら言った。
「随分と数が多いみたいですが、やる事が沢山あるのは良いことですね」
 ふと、潮風を感じた……いや、気のせいかもしれない。
 遠く西の空を見上げながら、錬介は呟いた。
「動いていれば、悲しみも少しは紛れます……そうでしょう、船長」

 左手に羊歪虚の群れを見ながら、ミオレスカ(ka3496)と皐月=A=カヤマ(ka3534)が駆けていた。
 数が多いので敵の叫び声も、大地を揺るがす行軍の音も響いているが、戦場での訓練を積んだ馬は忠実に乗り手の意思を聞いている。
「無事に戻れたら、焼肉もいいですね。羊肉は少し不安ですが」
 そう言いながら彼女は背丈を遥かに超える大弓を引いた。
 戦闘開始までに正面に移動できないが、側面からでも撃てると判断したからだ。
「帆船の次は、羊の群れか。今度は、きっちり邪魔してやんねーとな」
 皐月が手綱から手を離して、ライフルを両手で構え、銃口を羊の群れへと向けた。
 確かに移動力の差で初動は遅れたかもしれない。だが、致命的という訳でもないはずだ。

●北側――コンタクト
 王国西部を疾走する幾つかの影。
 ある者は馬に跨り、ある者は魔導バイクに乗り、土煙を上げて進行する羊歪虚の群れを横手に見ながら疾走していた。
「……これだけ羊だらけだと、ある意味、壮観だな」
 鞍馬 真(ka5819)が長い黒髪がなびかせながら手綱をしっかりと握った。
 見渡すばかりという表現は過剰かもしれないが、羊の群れが東に向けて一斉に直立で走っている様相は、確かに壮観の一言だ。
 既に南側では戦端は開かれているだろう。一瞬だけ、チラリと振り返った夜桜 奏音(ka5754)が心配そうに呟く。
「ソルラさんは今頃、近場の敵と交戦中でしょうか」
 出発時、笑顔で送り出してくれたアルテミス小隊の隊長は、いつもと変わらない雰囲気――だったはず。
 違和感があるとすれば、何か悟ったような、指揮官としての責任感を自覚したというのか……一先ず、今回の戦場では多くのハンター達が同行している。大丈夫なはずだ。
「エクラの加護を……アスナ、しっかりついてきてね」
 ブリジット(ka4843)が小さな声で祈った後、後ろを走る友人に声を掛けた。
 小隊員が連絡用に使う短笛が首元で揺れる。どこまで響くかは不安ではあるが、無いよりかはマシだろう。
「迷子にならないように付いていきます」
 真剣な表情で真っ直ぐ前を見つめる伊勢・明日奈(ka4060)の緊張した声。
 置いていかれた上に迷子になってしまっては笑い事では済まないし、戦場であれば孤立すれば生命の危険でもある。
「離れなければ大丈夫ぜェ」
「前線は俺達が引き付けるからな」
 シガレット=ウナギパイ(ka2884)とヴァイス(ka0364)が頼もしくそう言った。
 今回、北方の群れを担当するハンター達の構成はバランスが良い。長期戦になる事も想定される以上、大事な事だろう。
「呑まれねぇよう、気ーつけや」
 鋭い犬歯をチラっと覗かせて冬樹 文太(ka0124)が魔導バイクで駆けながら双眼鏡で敵と地形を確認する。
 いよいよ、羊歪虚を追い抜き、奴らの前面に出られる。本番はそこからだ。

●南側――バトル
「これ以上は進ませない!」
 歪虚群れの正面に躍り出たざくろが機導術を放ちつつ、行く手を身体を張って立ち塞いだ。
 盾を構え、仲間を庇う。いつもより、“友人”の動きにキレが無いようにも見えたからだ。
「超機導パワーオン! 弾け飛べッ! 更に、熱線、放射!」
 攻撃してきた羊が攻勢防壁で弾け飛び、追い打ちを掛けるように、白く輝く無数の熱線が羊歪虚を焼いていく。
 弱った所を乃梛が突撃してトドメを差しにいく。
 背後からざくろの「魔法は!?」という声が聞こえたが、きっと、気のせいだ。
「ぶっ飛ばして差し上げましょう!」
 どうやら、誰かと勘違いしているようだが、今は戦闘中だ。
 一段落したら、誤解を解いてあげればそれでいい……なんか、守ってくれてるし、それまで肉壁にはちょうどいい。
「最低8体は屠っておきたいわね」
 そう言いながら、持っている鞭にマテリアルを流し込み、それで羊に叩き込む。
「1人8匹落とせばいいんだろ?」
 確認の意味で訪ねたのはトリプルJだった。
 拳を先程から羊に叩き込んでいるようだった。遠慮のない彼の拳は羊歪虚を葬ってきている。
 ただ、彼も含め、ハンター達も全くの無傷という訳ではない。羊歪虚の反撃もあったからだ。
「両手の全指が真っ赤に染まるまで、倒しゃ、10匹だ……分かりやすいだろ、なぁ」
 ちなみに、今までさんざん殴ってきた拳は真っ赤に染まっていなかった。
 おかしい。これでは、倒していないみたいではないか。
「この歪虚は血みたいなものはないみたいだ、な」
「なん……だと……」
 律儀に応えたAnbarの言葉に絶句するトリプルJ。
 歪虚は既に死んでいるので、血液は必要ない。ただ、個体の中には血液の役目のようなものを果たす体液が流れている場合もある。
 なんにせよ、この羊歪虚の群れには血液も体液も存在していないみたいだ。
 これでは、既に何体倒したか分からない。多分、幾体目――なはずだ。という事で、再び拳を力強く握った。
「まぁ、いいぜ。とりあえず、削りまくればいいって事に変わりはねぇ!」
「その通りだ」
 二人の霊闘士がそれぞれの武器を構えて羊歪虚の群れへと突っ込んだ。
 まるで申し合わせたように、群れの背後から轟音が響き渡る。後方から襲いかかるアルテミス小隊と別動ハンターの攻撃が開始されたのだろう。
「後ろから怖いオオカミさんが来たみたい」
 前後に挟まれ動揺する羊歪虚に対し、カーミンはイタズラっぽく言い放つと、星の形をした手裏剣を構えた。
 マテリアルを込めて投げつけた手裏剣は羊歪虚共を次々に切りつけていく。

●南側追撃――ブレイク
 巨大な機械の腕のようなガントレットを米本 剛(ka0320)は繰り出した。
 細かい作戦の事はよく分からないのが、自分が出来る事は分かる。
「とりあえず敵に追いついて討てばいいのですね! 皆さん、行きますよ!」
 アルテミス小隊員を率いて剛は、羊歪虚の群れを後方から追撃していた。
 適宜、回復魔法を唱えて、支援しつつ、羊を文字通り殴っていく。
「小隊員の脱落はゼロを目指したいですね」
「助かります、剛さん」
 ソルラ・クート(kz0096)の感謝の言葉に「これが自分の戦い方なので」と剛は返事をした。
 小隊員の先頭に立ち、壁となって進む。
「自分には安心感……みたいなものがありますね」
「私も同感です」
 剛とソルラの視線には長い赤い髪の女性。
 追撃がここまで進んだのは、コントラルト(ka4753)の殲滅力のおかげでもあった。
「強力なスキルの組み合わせで来たけど、近場は範囲が狭いから、守って貰って助かるわ」
 クールに返す彼女の顔を見つめ、ソルラはニッコリと笑った。
 過剰とも思える高威力の術を放つ為には、装備やスキルをそれに合わせている。結果、どうしても接近戦を犠牲している。
 もちろん、遠近両方に対応できないという訳ではないが、全てにおいて完璧という超人は居ないものだ。
「盾ぐらいでなら、いくらでも受け持つわ。『鉄壁の騎士』の名に掛けてね」
 胸を張るソルラ。きっと、彼女が感じている安心感はコントラルトの姉と重なる所があるからかもしれない。
 圧倒的な殲滅力は双子揃ってという事なのだろうか。
「敵を早く減らせば、その分手が空く人が増えるし。さっさと焼き払うだけよ」
「なるほど、確かにそうですな」
 コントラルトの台詞に剛が力強く頷きながら、自身の拳をドスンと合わせる。
 再び小隊員に声を駆けて、趣味丸出しの魔導バイクのスロットを回して、彼は走り出す。
 後を追おうとしたコントラルトにソルラが声を掛けた。
「そうだ、コントラルトさん。お姉さんに伝えて貰ってもいいかしら?」
「構わないわよ」
 その返答にソルラは眩しい程の笑顔を見せた。
「一連の戦いが終わったら、女子会でも、と……」

●中央後方――アタック
「楽しく殺せば良いか……」
 骸香(ka6223)がヒュンヒュンと、音を立てて三節棍を操ってみせた。
 破壊衝動なのか、狂気的なものなのか分からないが、それらを消しながら、眼前の羊の背中を見つめる。
「血祭りにあげてやる」
 瞳孔が朱く染まり、漆黒の髪はまるで血での流れているかのような赤黒さへと変わった。
 もし、羊が振り返ったならば、驚いただろう――鬼が居ると。
 その脇を光の筋が幾つも伸びる。
 着崩れした服と眼鏡の位置を直そうともせず、鵤(ka3319)がぼやく。
「はーーーーぁ、こりゃまた元気な羊共だなぁおい」
 直立している羊というのも不思議な光景だが、それが背を見せて、ひたすら前に進む姿。
 こちらの攻撃を受けると振り返るが、それ以外の羊歪虚は立ち止まらないので、討伐は比較的楽だった。
「羊的……とでも、言やあいいのかねぇ。にしても、きっもぉ~」
 煙草を口に咥えたまま、魔導拳銃の銃口を振り返った敵ではなく、なおも前進する羊歪虚の背中へと向けた。
 落伍したのは後で残党狩りすればいい。今は少しでも敵を倒すだけだ。
「これだけいるなら、10体は釣られて欲しいわね」
 マリィア・バルデス(ka5848)は魔導狙撃銃を構える。
 グラズヘイム王国の商会「第六商会」が完成させた名銃だ。扱いは難しいが、その射程、威力共に狙撃銃としての性能は十分だ。
 射線さえ確保できていれば、更に奥――最前線まで届くだろう。
「確実に1体ずつ、狙い撃つ」
 マテリアルを噴出しながら撃ち出された弾丸が、羊歪虚を貫いた。

●中央前面――エンゲージ
 戦闘が開始された。
 群れの中で最も先頭な羊集団と、それを迎え撃つハンター達。
「なんちゃら無双って奴か。この場合は、クリムゾンウェスト無双か?」
 正面には回らず、皐月は見晴らしの良い場所で馬を止めると、射撃を試みる。
 なるべく多くの敵を巻き込めるようにとマテリアルを集中させた。
「さて、いくつキル数を伸ばそうか」
 引き金を引き、マテリアルを纏いながら高速で射出された弾。
 次の瞬間、まるで散弾のように、マテリアルが羊達へと降り注いだ。

「沢山いますが、絶望的な数量差ではありません、いけます」
 疾走する愛馬――ハニーマーブル――の馬上から弓を放つミオレスカ。
 羊歪虚の先頭集団に向けて放たれた矢はマテリアルの力を放出しながら、着地点一帯を押さえつける。
「足止めすれば……と思ったのですが、これは酷いですね」
 呆れたように言いながら矢を番える。
 後続の羊歪虚共は“仲間”を押し倒し、踏み潰しても東進を続けていたのだ。

 羊歪虚の1体を切り捨て、Sergeは次の標的に剣先を向けた。
「ベリアル軍との集大成となるこの作戦……」
 奇怪な叫び声をあげつつ突撃してきた羊の頭を盾で受け流し、横腹に剣を突き立てた。
 剣を引き抜く為、右足を歪虚の身体へと蹴り当て、支えとして剣を引き抜くと同時に、逆方向から迫る敵を斬りつける。
「必ず成功させる。王国の人々を安心させられるように」
 王国は長年、ベリアルの軍勢の脅威に晒され続けた。
 この度の戦いは、この軍勢を壊滅できるまたとない機会でもあるはずだ。
 その横で銀色の光跡を残しながら槍を振るう小夏。
「うーん……鳴き声うるさいねー」
「「「メ゛メ゛メ゛メ゛メ゛」」」
 孤立しないように戦うよう気をつけてはいるが、如何せん、敵の数も多い。
 幸いなのは、二人の猟撃士が側面から援護してくれている事だろう。
「ミオの方には行かせないよ」
 援護射撃の矢に意識が向いた羊歪虚を小夏は容赦なく槍で貫いた。
 その時、傷を癒す優しい光がハンター達を包んだ。錬介が頃合を見ながら、回復魔法を行使しているのだ。
「敵も勢いだけは無駄にあるみたいですね」
 冷静にそんな事を言った。
 どうしても、突破を図りたいようでもある。横に広がって迂回しようとする羊歪虚を見つけると拳銃を向ける錬介。
「行かせませんよ」
 銃弾を受けながら、それでも前に進む羊歪虚。
 だが、唐突に切り倒された。
「行かせないし逃がさない。ここから先は、どこも通行止めだ」
 仁王立つのは、カズマだった。
 長大な刀を構え直すと、マテリアルの煌きを残しながら再び敵中へと飛び込んだ。

●中央後方――チェイス
 弾丸が羊歪虚の胴体を撃ち破ると、奇声を発しながら羊歪虚が散り消える。
「誘導は難しそうだが……」
 遠くを見る為に目を凝らすマリィア。
 戦況は流動的だ。中央の敵を北側へ誘導できればと思ったが、北側の動きの方が早かった。
 遠いという訳ではないが、距離はそれなりに開いている。
「それならば、このまま追い打ちをかけるだけ」
 狙撃の援護を受けつつ、鵤が羊群れの後方へと取り付いた。
「少しは反応してくれないと、おっさん悲しいよ~」
 心にも無い事を言い放ちながら、機導術を行使する。
 陽炎のような熱波が銃口から放たれると、羊を焼いていく。
 もっとも、焼いた所で香ばしい羊肉の匂いはしないのだが。
「骸香ちゃん、やっちゃっていいよ」
「遠慮はしない」
 容赦ない程、冷たい雰囲気の瞳の骸香。
 思わず、鵤はわざとらしく両肩を竦めてみせたが、気に留める様子もなく、骸香は三節棍は振り回しながら羊へと襲いかかった。
「まだまだ、足りない」
 既に3人でかなりの数を倒しているが、物足りない様子で骸香は呟いた。
 両脚が潰れて移動できない羊歪虚を残酷にも踏みつけ、戦場を一望した。
「なるほど」
 南側は決着が付いているだろう。となると、北側と中央だが、北側は遠く離れている。
 であれば、このまま真っ直ぐ進んで、中央に追撃を掛けるだけだ。
「あれも、襲っていいのだろう」
 骸香は羊の群れに棍を向けて言った。もちろん、それを否定する鵤とマリィアではない。
「いいんじゃないかな」
「その通りだ」
 新しい煙草に火を点けて鵤が美味そうに煙を吹き出し、マリィアが狙撃銃を構えたまま応える。
 その後も、ハンター達の攻勢はこのまま続いたのだった。

●北側――エンゲージ
「……こっちや、橋は一匹も渡らせへんで」
 リアルブルー制のアサルトライフルを構えた文太。
 正面から向かって来る羊歪虚にマテリアルを練りながら狙いを定めた。橋の先、街道を進めばハルトフォート砦へと至る。
 そこでも大きな規模で戦闘は行われているはずだ。一匹でも通過はさせない。
「ほな、いくで!」
 発砲音と共に放たれた銃弾は1発。しかし、マテリアルが込められたそれは、無数の弾丸の雨となり、羊歪虚の先頭集団へと降り注いだ。
 ――ギロリと羊特有の目が文太に向けられる。しかし、文太は慌てる事なく、手馴れた手つきでリロードを行った。
「一番槍、貰いますよ!」
 白いふんわりとした翼の幻影を背負いながら、ブリジットが日本刀を振るった。
 その素早い動きで羊歪虚を切り刻んでいく彼女の後方から、矢が飛翔した。
「射撃は当たらなくても、飛び道具がある事を印象づけられれば」
 明日奈が放った矢だ。反撃とばかりに負のマテリアルの矢が打ち返されるが、あらぬ方向へと飛んでいく。
 どうやら、打撃だけではなく、この羊歪虚共は遠距離攻撃も可能らしい。
「積極的に遠距離攻撃されると厄介。アスナ、気をつけて」
「はい、ブリジットさんも」
 二人はつかず離れずの位置を保ちながら羊歪虚の一角を足止めした。
「前線に出る。真、準備はいいか?」
「大丈夫だ」
 ヴァイスが独特の形状の槍を、真が戦闘用の大鎌を、それぞれ構えると、体内のマテリアルに火を灯す。
 炎のようなオーラは、視界の良いこの戦場では、とても目立った。
 羊歪虚が視線が一斉に二人の闘狩人へと向けられた。
「「ダァァァ!!」」
 二人が雄叫びを挙げて、力の限り、豪快に武器を振り回した。
 その勢いに吹き飛ばされる歪虚も数体。行軍の勢いが若干乱れた所で、二人は丘の方向へと向けて引いた。
 狙い通り、羊歪虚の群れの大部分が二人の後を追い掛けて来る。
「今なら、入れ食い状態ってなァ!」
「纏まったとこから殲滅していきましょうかね」
 シガレットが掲げた杖から光の波動が迸り、奏音が放った符が光り輝く結界を創り出した。
 あっという間に、追い掛けてきた哀れな羊歪虚共が「メ゛~」と消えていった。

●南側――ヴィクトリー
 前後からの挟撃で南側の羊歪虚を蹴散らせた。残るは残党程度だ。
 ハンター達は中央での戦いに参戦すべく、体勢を整えていた。
「みんなー、まだ元気ー?」
 カーミンの呼び掛けに各々は元気良く応えた。
「まだまだ余裕だぜ」
 とトリプルJが自信満々に言った。
 その拳は――やはり、血で染まってはいないままだが、彼個人の目標は達成されているだろう。
 Anbarも斧を肩に掛けて、馬上で呼吸を整えていた。
「もちろんだ。このまま、中央でも暴れさせて貰おう」
 頼もしい言葉にカーミンはウンウンと頷いた。
 速やかな作戦の成功は体力の消耗も抑えられる。
「さ、次にいきましょ!」
 威勢の良いそんな彼女の宣言が耳に入ってきた所で、ざくろは“友人”に声を掛ける。
 先程からの戦闘での動きに違和感が合ったからだ。なにか無理しているのであれば、無茶は止めないといけない。
「大丈夫? エ……」
 手を伸ばした時、お互いの魔導バイクが何かに乗り上げた。
 まるでざくろが乃梛を押し倒すように地面に落下する。
「おいおい、大丈夫か?」
「……大丈夫そうで、大丈夫じゃ、なさそうだな」
 トリプルJとAnbarがその惨状に苦笑を浮かべた。
 乃梛の上に、ざくろが覆いかぶさっていた。そして、ざくろの手が――控えめという言葉すらお世辞とも言えるような慎ましい乃梛の胸をついていた。
「ちょっと、どこ触ってるのよ!」
「え? む、胸? な……ん……で?」
 戸惑うざくろに一発殴ってやろうと思った乃梛だったが、その前にざくろが大量の鼻血を吹き出して大地に転がるのであった。

●中央前面――インデュア
 射撃を繰り返していた皐月が戦場の変化に気がついた。
 今対峙している敵集団の後方の群れが散り散りになっていたのだ。
「追撃が上手く行ってるという訳か」
「そうみたいですね。これはチャンスです」
 近くで弓を放つミオレスカもその様子は確認している。
 つまり、ここで敵の突破を防げば作戦は成功なはずだ。
「よし、それなら、出し惜しみはしねぇ」
 銃口を向ける皐月の様子に、ミオレスカも頷いた。
「そうですね。次期に南側からの援軍が来るはずですから」
 彼女の放った矢が宙を切り裂く音を立てて飛んだ。

「後方の班が追い上げているとの事です」
 敵を切り捨てながら、小夏が通信機からの連絡をSergeに伝える。
 南側の戦線も片がついたようでもある。
「ならば、このまま耐え忍ぶまでだ」
 鈍くなった身体に発破をかけるSerge。
 回復魔法の支援があるとはいえ、スキルを出し尽くしてしまうと辛いものがある。
 特に範囲攻撃の手段が無くなると殲滅力が落ちてしまうからだ。
「それでも、絶対に通しません。ここで完全に終わらせてみせましょう」
 錬介の回復魔法が前衛を支え、前衛が突破を防ぐ。
 その流れは戦いが後半になっても崩れなかった。
「守りきってみせます……」
 戦っていれば紛れると思ったが、ふと、哀しみが去来した。
 だが、それで戦意が挫けるという訳でもない。むしろ、逆だ。今は自分の果たすべき役割を意識できる。
 中央全面の戦線で、もっとも敵を斬り伏せたのはカズマであった。
 彼は肩を激しく揺らしながら呼吸を整える。
「一匹でも多くつぶし、一刻でも多く稼ごうか。時間が掛かれば他の仲間たちが潰してくれる」
 持ち堪えれば、後方から追撃してくる別働隊の援護が望める。
 早い話、それまで、敵を足止めしていればいいようなものだ。
「俺はこの軍勢の足枷になってやる」
 刀を水平に構え、カズマは再び敵の中へと斬りかかった。

●北側――グレイアウト
 羊歪虚を丘側へ誘導、誘い込んだ上で、後衛職の強力な範囲攻撃に合わせた上で前衛が戦線を支える。
 出発地点から離れた北側での戦闘は、当初、ハンター達の優位に進んでいた。だが、それも、永遠には続かない。
 短い笛の音色のような、あるいは、弓の弦が鳴らした音なのか判別する間もなく、ブリジットは馬の頭先を変えた。
「アスナを狙わせない!」
 体内のマテリアルを絞り出し、刀を素早く振るう。
 羊歪虚の反撃を受け、全身傷だらけであるが、引く訳にはいかない。ブリジットをフォローするように真が羊歪虚との間に割って入った。
「敵を一匹残さず殲滅する」
 戦闘は乱戦気味となっている。
 ここが踏ん張り所だ。疲労感を訴える四肢に対し、歯を噛み締めて大鎌を構えると、幾度目となるソウルトーチを使った。
 ワラっと羊歪虚共の意識が真に向く。
「前に出過ぎや阿保! 下がれ!」
 通信機から文太の怒号が響いた。
 直後、前衛を回り込もうとした1体の羊歪虚の頭が吹き飛ぶ。見通しの良い丘陵から戦線を支える為に的確に指示していたのは文太だった。
 彼の周りには薬莢が散乱している。それだけ、彼も撃ち続けているという事だ。
「行かせへんで」
 狙いをつけたまま、手早く次弾装填。
 戦線を突破しようとする敵や回り込もうとする敵を優先的に狙っていく。
「回復魔法を使います」
 そんな明日奈の宣言と共に、一帯をマテリアルの柔らかい光が包み込む。
 その魔法で受けた傷が全て癒される訳ではないが、それでも、この長期戦ではなくてはならないスキルだっただろう。
「まだ、余裕がありますからね」
 明日奈はニッコリとした表情を浮かべて、ブリジットと真に言った。
「「頼もしい」」
 二人の声が重なると再び通信機から文太の声が聞こえてくる。
「ぼさっとしている暇ないで」
 その声に三人は無言で頷きあった。

 そろそろ、剣を手にすべきかと柄を確認した奏音が言った。
「敵は纏めてさっさと片づけたいですね」
 彼女の言う通り、範囲魔法は敵が纏まっていなければ、効果が望めない。
「この状態で掻き集めると危険だが……」
 そう言ったヴァイスの言葉にシガレットが応えた。
「掻き集めて時間稼ぎと囮はできるぜェ。やるか、ヴァイス?」
「もちろんだ」
 血と汗が入り混じった顔を向け合って歴戦のハンター二人はニカっと笑った。
 幾つもの死地をくぐり抜けてきた二人にとって、この程度、まだまだというべきだろうか。
 ヴァイスとシガレットの二人が戦場を走り抜けてバラけた羊歪虚を掻き集めるとシガレットは宝剣を掲げた。
「……我らが意は、壁となり、崖となり、力と成りて、不浄なる者を退ける!」
 不可視の境界が広がった。羊歪虚は無様に魔法境界に激突する。
 そこへ後続が詰まり、まるで、羊がもこもこと固まっているようだ。脱出しようとした羊歪虚は足元が泥状態となり、更に身動きが鈍くなる。
「逃がしませんよ」
 奏音が行使した符術――地縛符――だ。
 シガレットの魔法境界と奏音の符術により、移動力を失った羊歪虚の群れに対し、二人は次の魔法を唱え始める。
 次の魔法は足止めの魔法ではない。光の波動と符の結界により、多くの羊歪虚が消えていく。
 残った一団に向けて赤髪のハンターが灯火のようなオーラを纏った槍を豪快に振り回した。
「これで、終わらせる!」
 ヴァイスの強烈な一撃が、集めた羊歪虚を一掃させた。
 これで残りは、逸れながらも東へと向かう孤独な羊だけだ。北側の羊歪虚の群れを殲滅したハンター達は引き続き、狩り続けるのであった。

●橋――スタンバイ
 残党なのか、逸れたのか、橋にやってくる羊は僅かだった。疲れきった様子の羊歪虚を倒すのは容易い。
 通信機が無いので戦場の詳しい様子は分からないが、見た感じだと戦闘の経過は優勢だろう。
 それでも警戒を緩める事なく央崎 遥華(ka5644)は橋の上で待ち構えていた。
 近くではヴィリー・シュトラウス(ka6706)も剣を構えている。聞けば、弟の友人との事で、世間は広いようで狭い。
「未来を繋ぐ――あの人は私達にそう託してくれた。なのに……」
 ある船長の髭面の顔が浮かんだ。
 今日の自分は何をしているのだろうか。何かの手違いか、キャンベルもトリスタンも魔導バイクの何れも――船を降りた時に居なかった。
 せめて、ママチャリでもあれば……小隊から借りようとした時、ヴィリーの馬に乗せて貰った。
「次は絶対にっ!」
 グッと唇を噛み締めた。
 その悔しさをヴィリーも分かっていた。
 遥華を乗せたからという訳では決してないが、出発地点から東側の丘へ向かうには遠すぎた。
「……どの道、罠の準備は難しかったか」
 川沿いに走り、なんとか橋前までには到着したが、そのタイミングから罠を準備しても難しいだろう。
 それなら、いっその事、前線へと駆け込んだ方が良いかもしれない。
 しかし、それだと、友の姉である遥華を一人置いていく事になる。移動するなら遥華も一緒の方が妥当ではあるが……。
「かと言って、ここは最終防衛ライン。全くの無防備にもできない」
 という事で、二人は橋で待機状態だった。
 それでも暇を持て余していた訳ではなく、ポツポツと現れる敵を打倒していた。
「この様子だと、敵はたどり着いても残党程度、か」
 ヴィリーのその言葉に遥華は頷いた。
 もし、作戦が失敗していれば、自分達が最後の砦だったかもしれない。そういう意味では意味のある待機だったともいえよう。
 橋も戦闘に巻き込まれずに残すことが出来るのも、大事な事だろうし。
 遥華は気持ちを切り替えるように西の方角を見つめた。
 出発前に見かけたソルラの事を思い出したからだ。
「……ソルラさん、どこか、思い詰めたような……ううん。きっと、気のせい。きっと……」
 その違和感を遥華はグッと飲み込んだ。


 アルテミス小隊とハンター達の混成部隊は、王国西部を進軍中だった羊歪虚の群れを強襲。
 ほぼ全ての羊歪虚の群れを打倒し、ハルトフォート砦への進軍を阻む事に成功した。


「他の戦域はどうなっているのかしら」
 ソルラが砦へと向かう街道でそんな事を呟いた。
 ベリアルの動きも気になる所である。
「隊長! 早馬です!」
 小隊員の声にソルラは顔を上げた。
 視界の先に、騎士団の伝令騎士が見えた。その知らせが、彼女の運命の岐路となるものだと、その時、誰も知る由もなかった――。


 おしまい。

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MVP一覧

  • 弾雨のイェーガー
    冬樹 文太ka0124
  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマka0178

  • ヴァイス・エリダヌスka0364
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろka1250
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズka1559
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイka2884
  • 最強守護者の妹
    コントラルトka4753
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデスka5848
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介ka6053

重体一覧

参加者一覧

  • 弾雨のイェーガー
    冬樹 文太(ka0124
    人間(蒼)|29才|男性|猟撃士
  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    米本 剛(ka0320
    人間(蒼)|30才|男性|聖導士

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイ(ka2884
    人間(紅)|32才|男性|聖導士
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 這い寄る毒
    皐月=A=カヤマ(ka3534
    人間(蒼)|15才|男性|猟撃士
  • 盾の騎士
    Serge・Dior(ka3569
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • 願いに応える一閃
    Anbar(ka4037
    人間(紅)|19才|男性|霊闘士

  • 伊勢・明日奈(ka4060
    人間(蒼)|16才|女性|聖導士
  • 最強守護者の妹
    コントラルト(ka4753
    人間(紅)|21才|女性|機導師
  • 咲き初めし白花
    ブリジット(ka4843
    人間(紅)|16才|女性|舞刀士
  • スライムの御遣い
    藤堂 小夏(ka5489
    人間(蒼)|23才|女性|闘狩人
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 疾風の癒し手
    十色 乃梛(ka5902
    人間(蒼)|14才|女性|聖導士
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介(ka6053
    鬼|19才|男性|聖導士
  • 孤独なる蹴撃手
    骸香(ka6223
    鬼|21才|女性|疾影士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • BravePaladin
    ヴィリー・シュトラウス(ka6706
    人間(紅)|17才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問卓:教えてソルラさん
コントラルト(ka4753
人間(クリムゾンウェスト)|21才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/03/26 11:42:33
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/03/27 01:08:02
アイコン 【総合卓】
カーミン・S・フィールズ(ka1559
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/03/27 21:21:28