ゲスト
(ka0000)
【AP】エンゼルフライハイ!
マスター:深夜真世
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出? もっと見る
オープニング
「ふうん、芸能人のスカウトみたいねー」
トーキョーのどっかの街角。どっかのカフェでパフェスプーンをくわえた娘が能天気に言った。
「まあ、普段はアイドルとして活躍してもらいますからそんなもんです」
同席する男は落ち着いてこたえ、ホットコーヒーをずずず。
「で、本当は宇宙人の侵略から街を守る一員、と。……よく分からないけど、ま、いっか。私は南那初華。とにかくお母さんに相談してから返答するね」
南那初華(kz0135)と名乗る女子高生は明るくしっかりと言い切った。ぽややん、とした感じではあるが案外しっかりしている。
「まあ、相談してもほぼ確定ですからそれでいいですよ」
「ほへ? ええっと……イ寺さんっていったよね? それ、どういうこと?」
静かに言う男――名前は、イ寺鑑(kz0175)というようだ――の言葉につっかかる初華。
「初華さんのお父さん、いまいちパッとしない怪奇幻想作家さんのようですね。出版社に圧力を掛けましたので、お母さんも首を横には振らないでしょう」
鑑、手元の端末を弄りながら言う。いま調べて、いま出版社に依頼をしたのだろう。
「……それ、売れっ子になっちゃうってこと?」
「初華さんがこの話を受けて、『エンゼル・ストライプ』のメンバーになるなら」
ぐい、と乗り出し見詰められ、初華は慌てた。
「だめだめだめだめ。それ絶対ダメ! そんなことしたらひねくれ者のお父さん、お仕事やめちゃう。絶対にダメ!」
「え? じゃ、じゃあどうすれば……」
うろたえる鑑。思わず身を引く。
「わたし、エンゼル・ストライプのメンバーになるから絶対にお父さんにヘンなことしないでねっ!」
きぱ、と言い切り今度は初華が前のめりに。何だかなぁ、な感じの鑑。
というわけで初華、宇宙人の侵略から地球を守る「エンゼル・ストライプ」の一員となった。
「……でも、どうしてわたしなの?」
パフェの残りを食べつつ聞く。
「『エンゼル係数』の多い人でないと『エンゼルユニット』を使えませんから。……で、エンゼル係数の多い人は大体、若者なんです」
鑑、何かの機械を取り出して見せる。
で、はっとする初華。
手元のパフェに注目する。
「わ、わたし別にエンゲル係数多いとかじゃないですからねっ!」
「エンゲル係数じゃなくてエンゼル係数です」
というわけで、後日。
「これがエンゼルユニット?」
「ええ。巨大な可変翼と推進装置の付いたランドセルと、両上腕部に着けるアームガード、そして膝下から足先までを覆ってサブの推進装置の付いたレッグブースターのセットです」
聞いた初華にこたえる鑑。ついでに、頭部通信装置。これは好みでヘルメットやカチューシャなど自由度があるようだ。
「ちなみに、地球に侵攻してくる宇宙人は?」
「観測では平安風羽衣衣装の女性の姿をしています。人の大きさで色は乳白色一色ですね。指先からビームを、両手を合わせると巨大な破壊力を持つ極大ビームを放ちます。……極大ビームはまれにしか撃ちません。指先からのビームを撃たせていれば使用しないようですね」
「それ、どこからの情報? 地球にもう来てるの?」
「極秘情報ですが、月面の裏には各主要国の調査隊が基地を作っています。これが羽衣女性――侵略戦闘部隊、カグヤにより全滅させられました。まもなく地球にも降り立つものと考えられています」
「んじゃ、何でこのユニットはもうあるの?」
ここで鑑、ニヤリ。
「すべては予見されていたことですので。……それより、早く装着を」
「ほへ? もしかしてたったこれだけで空を飛んで……戦うの?」
初華、素直に装着して愕然とした。
身体はむき出しで装甲がないのだ!
「五つのユニットは相互に干渉しあって特殊フィールドを形成します。だから手足の先となる場所にユニットが必ずあるんですね。フィールド内では気圧、気温、酸素濃度などがある程度確保されます。フィールドに加えられる破壊エネルギーはすべてフィールドを発生させるユニットに行きますので、初華さんは鎧なんかを着る必要はありません。ただ……」
「ただ?」
「海に墜落する可能性があるので水着を着ていた方がいいかもですね」
「えええっ!?」
ちなみに、地面に墜落した場合はユニットが全壊し、搭乗者を軟着陸させるのだという。
さらに後日、都心に乳白色をしたカラスが目撃されるようになったという。
目からビームを出して気まぐれに破壊工作をすることがあるらしい。
実は防衛省外部秘密組織の所属だったエンゼル・ストライプ。初の出撃命令が下るのだった。
トーキョーのどっかの街角。どっかのカフェでパフェスプーンをくわえた娘が能天気に言った。
「まあ、普段はアイドルとして活躍してもらいますからそんなもんです」
同席する男は落ち着いてこたえ、ホットコーヒーをずずず。
「で、本当は宇宙人の侵略から街を守る一員、と。……よく分からないけど、ま、いっか。私は南那初華。とにかくお母さんに相談してから返答するね」
南那初華(kz0135)と名乗る女子高生は明るくしっかりと言い切った。ぽややん、とした感じではあるが案外しっかりしている。
「まあ、相談してもほぼ確定ですからそれでいいですよ」
「ほへ? ええっと……イ寺さんっていったよね? それ、どういうこと?」
静かに言う男――名前は、イ寺鑑(kz0175)というようだ――の言葉につっかかる初華。
「初華さんのお父さん、いまいちパッとしない怪奇幻想作家さんのようですね。出版社に圧力を掛けましたので、お母さんも首を横には振らないでしょう」
鑑、手元の端末を弄りながら言う。いま調べて、いま出版社に依頼をしたのだろう。
「……それ、売れっ子になっちゃうってこと?」
「初華さんがこの話を受けて、『エンゼル・ストライプ』のメンバーになるなら」
ぐい、と乗り出し見詰められ、初華は慌てた。
「だめだめだめだめ。それ絶対ダメ! そんなことしたらひねくれ者のお父さん、お仕事やめちゃう。絶対にダメ!」
「え? じゃ、じゃあどうすれば……」
うろたえる鑑。思わず身を引く。
「わたし、エンゼル・ストライプのメンバーになるから絶対にお父さんにヘンなことしないでねっ!」
きぱ、と言い切り今度は初華が前のめりに。何だかなぁ、な感じの鑑。
というわけで初華、宇宙人の侵略から地球を守る「エンゼル・ストライプ」の一員となった。
「……でも、どうしてわたしなの?」
パフェの残りを食べつつ聞く。
「『エンゼル係数』の多い人でないと『エンゼルユニット』を使えませんから。……で、エンゼル係数の多い人は大体、若者なんです」
鑑、何かの機械を取り出して見せる。
で、はっとする初華。
手元のパフェに注目する。
「わ、わたし別にエンゲル係数多いとかじゃないですからねっ!」
「エンゲル係数じゃなくてエンゼル係数です」
というわけで、後日。
「これがエンゼルユニット?」
「ええ。巨大な可変翼と推進装置の付いたランドセルと、両上腕部に着けるアームガード、そして膝下から足先までを覆ってサブの推進装置の付いたレッグブースターのセットです」
聞いた初華にこたえる鑑。ついでに、頭部通信装置。これは好みでヘルメットやカチューシャなど自由度があるようだ。
「ちなみに、地球に侵攻してくる宇宙人は?」
「観測では平安風羽衣衣装の女性の姿をしています。人の大きさで色は乳白色一色ですね。指先からビームを、両手を合わせると巨大な破壊力を持つ極大ビームを放ちます。……極大ビームはまれにしか撃ちません。指先からのビームを撃たせていれば使用しないようですね」
「それ、どこからの情報? 地球にもう来てるの?」
「極秘情報ですが、月面の裏には各主要国の調査隊が基地を作っています。これが羽衣女性――侵略戦闘部隊、カグヤにより全滅させられました。まもなく地球にも降り立つものと考えられています」
「んじゃ、何でこのユニットはもうあるの?」
ここで鑑、ニヤリ。
「すべては予見されていたことですので。……それより、早く装着を」
「ほへ? もしかしてたったこれだけで空を飛んで……戦うの?」
初華、素直に装着して愕然とした。
身体はむき出しで装甲がないのだ!
「五つのユニットは相互に干渉しあって特殊フィールドを形成します。だから手足の先となる場所にユニットが必ずあるんですね。フィールド内では気圧、気温、酸素濃度などがある程度確保されます。フィールドに加えられる破壊エネルギーはすべてフィールドを発生させるユニットに行きますので、初華さんは鎧なんかを着る必要はありません。ただ……」
「ただ?」
「海に墜落する可能性があるので水着を着ていた方がいいかもですね」
「えええっ!?」
ちなみに、地面に墜落した場合はユニットが全壊し、搭乗者を軟着陸させるのだという。
さらに後日、都心に乳白色をしたカラスが目撃されるようになったという。
目からビームを出して気まぐれに破壊工作をすることがあるらしい。
実は防衛省外部秘密組織の所属だったエンゼル・ストライプ。初の出撃命令が下るのだった。
リプレイ本文
●
「きゃあー、どいてください~」
繁華街でごてごてドレスのポニテ女性、星野 ハナ(ka5852)がきゃるんきゃるん走っていた。
で、どし~ん!
「いたたぁ~……って、あれ? この場合倒れるのがお約束ですよぅ」
「下敷きにするつもりならあいにくだ。それより名前は?」
「ええっとぉ~」
名乗るハナ。
どうやら押し倒したのはイ寺鑑(kz0175)というらしい。
お約束の展開でハナ、アイドル兼飛行隊員に入れられた。
「ちょうどここに来ようと急いでたので、良かったですぅ」
繁華街の広場。特設ステージの袖でハナが口元に両手を当てている。
ステージでは南那初華(kz0135)がメイド服姿で歌っていた。
♪
召しませ、召しませ、珈琲召しませ~
♪
「それよりさー。こんなことばっかりしてないで戦いたいんだけど―」
もう一人、舞台袖に隠れていた。
ショッキングピンクの競泳水着風のスーツに身を包み、ウイングが折りたたまれた背嚢型飛行装置を背負い、手足にメカを付けた少女、ウーナ(ka1439)である。
「ウーナ、勝手に出撃しちゃダメだぞ?」
「エンゼルユニット、使わないともったいないよ? 今ここで飛び立てば注目浴びるのになー」
ぶーたれるウーナ。
「それより次、その衣装で『ショコラの鳥たち』だから。初華が捌けたらすぐに着替えて曲に入って」
「小型化ができて良かったです。やはり舞台の上でも装着していたいですから」
鑑の指示の途中で、ウーナの背後から新たな少女が現れた。
すらっと立つ白いハイレグレオタード姿は、エルバッハ・リオン(ka2434)。同じユニットを装備している。
「開発にかなり経費がかかったらしいが……君のおかげで助かった」
「家族や親戚筋も、リオン家出身のアイドルが売れない、戦えないでは困ると言って増資や開発に快諾したようです。……あ、今はホワイトですけど」
エルバッハ、コードネームの「エンゼル・ホワイト」に言い直す。
ここで曲が終わる。初華が戻ってきた。
すぐに二人と同じようにエンゼル・ユニットを装着。
「よし、アイドルユニット『エンゼル・ストライプ』、出動だ!」
鑑の掛け声で三人がステージに。曲も流れる。
♪
急げ、飛び立て、風を切れ~
♪
同時に歌声もスタート。集まった観客から歓声が上がる。
「私は歌詞や振付を覚えるんですねぇ?」
「そう……ん? エンゼル係数カウンターに反応アリ、だ」
ハナに返したところで機械に気付く鑑。探すと、観客の中に少女らしき人物がいた。
「アイドルかぁ……」
瞳を煌かせて呟いている。
「よし」
ステージ後、その人物に接触することになる。
で、喫茶店。
鑑が名を聞くと、時音 ざくろ(ka1250)と名乗った。
「いいよ。ざくろ、アイドルになってみんなに夢と希望を贈りたかったから!」
パフェ一つで快諾された。
「それに、悪い侵略者達に地球を好きにもさせられないもん!」
純粋である。
「何かいいことでもありました?」
鑑、仕事が終わりバーで飲んでいた。良い顔をしていたのだろう、バーテンがそっと聞いてきた。
「ああ、いいね。こいつもいい調子だ」
水割りを気分よくお代わりし、エンゼル係数カウンターを取り出す。
と、そこで機械が反応。
「ん? ……あっ!」
振り向くと年端もいかない少女がいた。堂々と酒を飲んでいる!
「んー? みんなあたしを見てそんな顔をするのよねぇ。失礼しちゃうわー」
「いや、そうじゃない。君、名前は?」
「え?」
少女はメルクーア(ka4005)と名乗った。
「年齢の話じゃないの?」
「バーテンが酒を出してるんだからそんなのはいい。それよりも……」
エンゼル・ストライプの話を切り出す鑑。
「いいわよ。あなたのとこなら気分よくお酒が飲めそうだしねー」
低年齢に見えるメルクーア、鑑の話より鑑の対応が気に入った。
●
エンゼル・ストライプの一日は忙しい。
「ちょっと待って、みんな女の子だったの?」
早朝の訓練前、ざくろが女子更衣室で脱いだ服を抱いて真っ赤になっていた。
「まあ、そのまま普通にしてれば性別不詳で押し通せるんじゃない?」
「反対側のロッカーを使うといいでしょう」
すでにスーツを下に来ているから後は脱ぐだけのウーナがいい脱ぎっぷりを見せつつ言う横で、ハイレグレオタードを取り出したエルバッハが冷静に現実的な対応策を話す。
そんなこんなで裏のロッカーでへそ出しパレオ付きビキニ水着風ひらひらアイドル衣装に着替えるざくろ。
「らぶらぶハンター、エンゼル・キューピッドに相応しい水着ですぅ」
ロッカーの向こうからは、フリルたっぷりなピンクのワンピース水着に満足そうなハナの声。
「じゃ、私は黒いモノキニね。初華さんは大胆に赤のビキニとかどうかしらね~」
そして、メルクーアのそんな声も。
「え、これ?」
「お。初華、いい動き。全方位射撃できるね」
いやんと身をくねらせたのだろう、ウーナの評価の声。
「仕方ありません。初華さん、これでどうですか?」
エルバッハが何かしたようで、初華も大人しくなった。
「エンゼルユニットでの飛行は左右の手をそれぞれの膝横に当てて、膝の内側を合わせることにより推進装置に点火する。そのごは右足裏で推力を操作。左右や上下は体のひねりで直観的にできる」
ドーム型大訓練場で、整列する六人に説明する鑑。
「あの、もう一人は?」
聞く初華。ちなみに赤いビキニの左胸には可愛い小さなコサージュが一輪つけられていた。これで大胆ビキニを受け入れたらしい。
「休暇届が出てるな。それより行くぞ!」
「うーん……」
「このポーズは……」
初飛行のざくろが少しためらった。横ではハナがわざとお尻を突き出している。
で、点火しどんと離陸。まずは並んで飛ぶ六人。
「でも、普段もこのポーズするんじゃない?」
メルクーアが疑問に思う。
「膝の上になら、ね」
「万が一もあります。発進時以外は安全装置でロックしてください」
経験の長いウーナが説明。エルバッハは注意点を話す。
「それじゃ基本マニューバ、いくよ?」
初華の合図で一斉に左ロール。今度は右にロールしながらバンクを付けてさらに上昇などしていく。
「で、午前中は航空関係の授業で午後からはアイドルとしてのダンスとか発声のレッスンかー」
メルクーアがフォークに刺したプチトマトをぱくり。
お昼は訓練所の食堂でランチ。
「訓練ばっかじゃつまんないよぉ」
ウーナがとんかつにがぶり。
「まさかこんな着替えが多いなんて……」
ざくろはストローから口を離してぐったり。いろいろ気を遣うようだ。
「そうですね。今日は三時からステージですから、また着替えです」
エルバッハ、ナプキンで口元を拭いながら今日の予定を口にする。
「でも、この食堂美味しいですねぇ」
「でしょ……ほへ? そういえば鑑さん、見ないね」
ハナときゃいきゃいやってた初華はいつもと様子が違うことに気付くのだった。
そして今日もエンゼルガーデンでアイドルステージ。
♪
ああ、なんて気持ちいい 襟なびかせ舞い上がる!
♪
観衆が集まる中、六人がエンゼル・ユニットを装着したまま左膝と右拳をいっぱいに上げて一斉にポーズ。客席も全員右拳を突き挙げている。
「よし。新人も初舞台だが盛り上がって……え?」
袖から見守っていた鑑が頷いた時、連絡が。
「カグヤの偵察部隊が現れた? もちろん出撃する。武装はCレベルで。すぐに発令頼む!」
鑑がインカムから伝えた直後、エンゼルガーデンに警報が響き渡った。
『エンゼル部隊、緊急発進お願いします。危険レベルはごく低いので、観客の皆さまに置かれましては……』
「え? 何?」
「待ってました! 出撃だ!」
びくっ、とするハナに、生き生きと舞台最後方に向かうウーナ。
「ええと、何?」
「後ろがせりあがって今回の出撃で必要と思われる武器が出ますので、それを装備します」
聞くメルクーアに説明するエルバッハ。
「特殊防衛部隊「エンゼル・ストライプ」、ライブ中でも出動OK!」
ざくろは後ろに行く前に、客に向かって綺羅っ☆。
「余裕あるわね、ざくろさん」
呆れる初華。
「お、この程度なら雑魚かな?」
現れた武器を取ったウーナ。もちろん、ほかの五人も装備完了。
振り向き翼が開いて、一斉に出撃姿勢に入る。
「エンゼル・ストライプ、出撃!」
どん、と一斉に離陸。
いや、ざくろが遅れた。
「空を翔るは紅の流星、紅(あか)き天使エンゼル・クレナイ!」
パレオをひらめかせ少し低空飛行しファンサービスしてから加速上昇。隊列に追い付いた。
エンゼルの文字を抜いたストライプ模様の入っている翼が次々に空に舞った。
●
「こちらホワイト。各機、調子は?」
エルバッハが白色猫耳の頭部通信機で全機に連絡。バイザーで目元は隠れ表情は不明だが、話す唇からは冷静さが伝わる。
「こちら『エンジェル・トリニティ』。トリニティでいいよ。感度良好」
飛び立ったウーナ、まずはバイザーなしヘアバンドタイプの通信機でオールグリーンを伝える。
「キューピット、大丈夫ですぅ」
ハナも良好。
「え、えとえと……人数増えたからコードネームにするんだっけ」
おっと。初華はすっかり忘れていたようで。
その横に、黒いモノキニ姿がぴたり。
「あたしは『アンバー』問題なし。初華さんは『オニキス』なんてどーお?」
メルクーアである。初華、にこっ。
「クレナイも通信は入りましたし……これより全機、進路を二時方面に取ります。鑑さんも司令室に戻ったようです。敵は乳白色のカラス。数匹確認され目からビームを放っているようです。撃退します」
「了解!」
皆の声とともに右にロールし、ビルの間を縫って加速。
「うわぁ……」
そしてメルクーアの歓声。
ビルの並ぶ窓に飛んでいる自分と初華の姿が次々映し出されているのだ。
「あ、見て見て」
その初華の指差す先では、ビルの上のビールの広告看板が塗り替えられていた。
「あんな風にしてるんだ」
「そろそろ目撃空域です」
感心するウーナ。その間にエルバッハが到着を知らせた。
「どれどれ……いた!」
ランドセルの翼を直角にして垂直ほばりんぐし、双眼鏡で確認していたざくろが大きな公園方面を指差す。
「『カラス』発見! トリニティ、アターック!」
「……全機、突撃。コンバット・オープン」
ウーナも視認し突っ込む。エルバッハが攻撃指示を出した。
時にソメイヨシノが満開を迎え、花見客でごった返す公園に急降下していった。
「おいトリニティ、連携しろ!」
先行するウーナの通信機に鑑からの連絡。
「連携とか、ないない! あたし一人で片付いちゃうね」
カラスの群れは賑わいと離れた場所、ごみ置き場にたむろしていた。
「もらった!」
強引に突っ込んでからの『バレットダンス』。銃の連続射撃で一気に殲滅を狙った。
もちろん、ほとんどの乳白色のカラスに命中した。
が、ぱしん、とカラスの殻を割ったがごとく体が一回り大きくなりより尖った形態になった。
そして飛び去る。カラスの飛び方ではない。滑るようにスムーズだ。
「ちくしょう!」
地上にいったん着陸したウーナ、悔しがる。
それよりこのままでは花見客の方に行くぞ?
「きらり光って急降下だ!」
ざくろがそっちに回り込んでいた!
「こっちにはこさせない。フリージングレイ!」
無数の氷柱を撃ち込む。派手な攻撃で敵の方向転換を狙っているのだ。
「キューピット参上~。五色光符陣も一緒なら氷もピカピカ光りますよぅ」
同時にハナも回り込んでいた。ざくろの横に付こうとしたが、敵の反撃。
フリージングレイと同時に、カラスの軍団も目からビームを放っていた。
カラスの方が多いので相殺されず、残りの光条が二人を襲った。
「ちょっと遅かったですぅ」
「この輝きで、君の翼を直撃だよ……わっ!」
結果、ハナは止まることができずざくろにどっし~ん!
「墜落はダメージですけどぉ、味方同士の接触はできるんですねぇ。一つ賢くなりましたぁ」
「ちょっとハナ、接触しすぎ……というか、やわらかい……」
キューピット風水着姿のハナ、お尻を突き出しざくろのパレオから伸びた脚の間に片膝を付き押し倒していた。というか、おっきな胸でざくろの顔を押し潰していたり。
それはそれとして、上空。
「ジェットブーツで回り込んでたけど……」
メルクーア、右翼から回り込んでいたがカラスの群れはざくろの攻撃を受け左にロールし遠ざかっていた。まだ結構数はいるぞ。
その目の前に一直線に追ってきていた初華がお尻を滑らせ左ロールし食らい付いていた。
「初華さん、適当にぶっ放して脅かしてやって。……あ、花見客に当てちゃダメよぉ」
「言われなくても」
ぱんぱん、と射撃する初華。お世辞にも腕は以下略。
「その……まあ花見客の方に行かないようにするならその射撃よね」
「う~」
再びジェットブーツで追い付いたメルクーア。すべて外した初華を慰め。
「続けて撃って。……こっちはコマンド入力して……」
メルクーア、アルケミーガントレットの蓋を開いてキーボードにコマンド入力!
「デルタレイでどーお?」
初華の一直線射撃をかいくぐり安心した敵に、今度は追尾型のビームが三本。引き続き左ロールする敵を追い掛けて、命中。三羽が墜ちる。
が、敵はひるまない。明確な目的があったから。
「うそっ!?」
実は、再離陸したウーナを狙っていたのだ。
「あたし……もしかしてピンチ?」
はい。さっきの恨みで狙われてますね。
トリニティ機に向かって三角編隊のカラス。
このままではビームの一斉射撃を受けてしまうぞ?
「……そのままで」
おっと、上空に残って観察していたエルバッハの白い姿が急降下している!
「まとまるのを待っていました」
それっ、とワンドを振るいファイヤーボール。ウーナの手前で広範囲爆発し、ほとんどのカラスをやっつけた。
「あとは個別に殲滅ですねぇ」
「これで止めだーっ!」
ハナの五色光符陣できらっとしたところにざくろがメイスでどかん。敵の自分の航跡がエックスを描き……カラスのみが力なく墜ちた。
「ちょっとメルクーアさん、それ!」
「風がフィールドを抜けてきて冷えるからお酒で温まらないと!」
初華とメルクーアは、ソメイヨシノの枝の下を飛び交差する感じで追っていた一匹を殲滅。合流したところで酒を飲んでるのを知り、初華がががん!
「ウインドガスト」
「これで貸し借りは無しだね!」
エルバッハはひらりと敵の突っ込みを回避。それを囮にしたウーナが銃を剣に変形させてバッサリ。
「じゃ、後はライブにも来てね~」
敵を殲滅し、全員そろったところで満開の桜の上空を編成飛行し花見客に手を振った。
「指示せずとも、か。良い素材が揃った」
司令室では鑑がどさくさ紛れの営業行為に大変満足していた。
とにかく、今日も地球の平和は守られるのだった。
「きゃあー、どいてください~」
繁華街でごてごてドレスのポニテ女性、星野 ハナ(ka5852)がきゃるんきゃるん走っていた。
で、どし~ん!
「いたたぁ~……って、あれ? この場合倒れるのがお約束ですよぅ」
「下敷きにするつもりならあいにくだ。それより名前は?」
「ええっとぉ~」
名乗るハナ。
どうやら押し倒したのはイ寺鑑(kz0175)というらしい。
お約束の展開でハナ、アイドル兼飛行隊員に入れられた。
「ちょうどここに来ようと急いでたので、良かったですぅ」
繁華街の広場。特設ステージの袖でハナが口元に両手を当てている。
ステージでは南那初華(kz0135)がメイド服姿で歌っていた。
♪
召しませ、召しませ、珈琲召しませ~
♪
「それよりさー。こんなことばっかりしてないで戦いたいんだけど―」
もう一人、舞台袖に隠れていた。
ショッキングピンクの競泳水着風のスーツに身を包み、ウイングが折りたたまれた背嚢型飛行装置を背負い、手足にメカを付けた少女、ウーナ(ka1439)である。
「ウーナ、勝手に出撃しちゃダメだぞ?」
「エンゼルユニット、使わないともったいないよ? 今ここで飛び立てば注目浴びるのになー」
ぶーたれるウーナ。
「それより次、その衣装で『ショコラの鳥たち』だから。初華が捌けたらすぐに着替えて曲に入って」
「小型化ができて良かったです。やはり舞台の上でも装着していたいですから」
鑑の指示の途中で、ウーナの背後から新たな少女が現れた。
すらっと立つ白いハイレグレオタード姿は、エルバッハ・リオン(ka2434)。同じユニットを装備している。
「開発にかなり経費がかかったらしいが……君のおかげで助かった」
「家族や親戚筋も、リオン家出身のアイドルが売れない、戦えないでは困ると言って増資や開発に快諾したようです。……あ、今はホワイトですけど」
エルバッハ、コードネームの「エンゼル・ホワイト」に言い直す。
ここで曲が終わる。初華が戻ってきた。
すぐに二人と同じようにエンゼル・ユニットを装着。
「よし、アイドルユニット『エンゼル・ストライプ』、出動だ!」
鑑の掛け声で三人がステージに。曲も流れる。
♪
急げ、飛び立て、風を切れ~
♪
同時に歌声もスタート。集まった観客から歓声が上がる。
「私は歌詞や振付を覚えるんですねぇ?」
「そう……ん? エンゼル係数カウンターに反応アリ、だ」
ハナに返したところで機械に気付く鑑。探すと、観客の中に少女らしき人物がいた。
「アイドルかぁ……」
瞳を煌かせて呟いている。
「よし」
ステージ後、その人物に接触することになる。
で、喫茶店。
鑑が名を聞くと、時音 ざくろ(ka1250)と名乗った。
「いいよ。ざくろ、アイドルになってみんなに夢と希望を贈りたかったから!」
パフェ一つで快諾された。
「それに、悪い侵略者達に地球を好きにもさせられないもん!」
純粋である。
「何かいいことでもありました?」
鑑、仕事が終わりバーで飲んでいた。良い顔をしていたのだろう、バーテンがそっと聞いてきた。
「ああ、いいね。こいつもいい調子だ」
水割りを気分よくお代わりし、エンゼル係数カウンターを取り出す。
と、そこで機械が反応。
「ん? ……あっ!」
振り向くと年端もいかない少女がいた。堂々と酒を飲んでいる!
「んー? みんなあたしを見てそんな顔をするのよねぇ。失礼しちゃうわー」
「いや、そうじゃない。君、名前は?」
「え?」
少女はメルクーア(ka4005)と名乗った。
「年齢の話じゃないの?」
「バーテンが酒を出してるんだからそんなのはいい。それよりも……」
エンゼル・ストライプの話を切り出す鑑。
「いいわよ。あなたのとこなら気分よくお酒が飲めそうだしねー」
低年齢に見えるメルクーア、鑑の話より鑑の対応が気に入った。
●
エンゼル・ストライプの一日は忙しい。
「ちょっと待って、みんな女の子だったの?」
早朝の訓練前、ざくろが女子更衣室で脱いだ服を抱いて真っ赤になっていた。
「まあ、そのまま普通にしてれば性別不詳で押し通せるんじゃない?」
「反対側のロッカーを使うといいでしょう」
すでにスーツを下に来ているから後は脱ぐだけのウーナがいい脱ぎっぷりを見せつつ言う横で、ハイレグレオタードを取り出したエルバッハが冷静に現実的な対応策を話す。
そんなこんなで裏のロッカーでへそ出しパレオ付きビキニ水着風ひらひらアイドル衣装に着替えるざくろ。
「らぶらぶハンター、エンゼル・キューピッドに相応しい水着ですぅ」
ロッカーの向こうからは、フリルたっぷりなピンクのワンピース水着に満足そうなハナの声。
「じゃ、私は黒いモノキニね。初華さんは大胆に赤のビキニとかどうかしらね~」
そして、メルクーアのそんな声も。
「え、これ?」
「お。初華、いい動き。全方位射撃できるね」
いやんと身をくねらせたのだろう、ウーナの評価の声。
「仕方ありません。初華さん、これでどうですか?」
エルバッハが何かしたようで、初華も大人しくなった。
「エンゼルユニットでの飛行は左右の手をそれぞれの膝横に当てて、膝の内側を合わせることにより推進装置に点火する。そのごは右足裏で推力を操作。左右や上下は体のひねりで直観的にできる」
ドーム型大訓練場で、整列する六人に説明する鑑。
「あの、もう一人は?」
聞く初華。ちなみに赤いビキニの左胸には可愛い小さなコサージュが一輪つけられていた。これで大胆ビキニを受け入れたらしい。
「休暇届が出てるな。それより行くぞ!」
「うーん……」
「このポーズは……」
初飛行のざくろが少しためらった。横ではハナがわざとお尻を突き出している。
で、点火しどんと離陸。まずは並んで飛ぶ六人。
「でも、普段もこのポーズするんじゃない?」
メルクーアが疑問に思う。
「膝の上になら、ね」
「万が一もあります。発進時以外は安全装置でロックしてください」
経験の長いウーナが説明。エルバッハは注意点を話す。
「それじゃ基本マニューバ、いくよ?」
初華の合図で一斉に左ロール。今度は右にロールしながらバンクを付けてさらに上昇などしていく。
「で、午前中は航空関係の授業で午後からはアイドルとしてのダンスとか発声のレッスンかー」
メルクーアがフォークに刺したプチトマトをぱくり。
お昼は訓練所の食堂でランチ。
「訓練ばっかじゃつまんないよぉ」
ウーナがとんかつにがぶり。
「まさかこんな着替えが多いなんて……」
ざくろはストローから口を離してぐったり。いろいろ気を遣うようだ。
「そうですね。今日は三時からステージですから、また着替えです」
エルバッハ、ナプキンで口元を拭いながら今日の予定を口にする。
「でも、この食堂美味しいですねぇ」
「でしょ……ほへ? そういえば鑑さん、見ないね」
ハナときゃいきゃいやってた初華はいつもと様子が違うことに気付くのだった。
そして今日もエンゼルガーデンでアイドルステージ。
♪
ああ、なんて気持ちいい 襟なびかせ舞い上がる!
♪
観衆が集まる中、六人がエンゼル・ユニットを装着したまま左膝と右拳をいっぱいに上げて一斉にポーズ。客席も全員右拳を突き挙げている。
「よし。新人も初舞台だが盛り上がって……え?」
袖から見守っていた鑑が頷いた時、連絡が。
「カグヤの偵察部隊が現れた? もちろん出撃する。武装はCレベルで。すぐに発令頼む!」
鑑がインカムから伝えた直後、エンゼルガーデンに警報が響き渡った。
『エンゼル部隊、緊急発進お願いします。危険レベルはごく低いので、観客の皆さまに置かれましては……』
「え? 何?」
「待ってました! 出撃だ!」
びくっ、とするハナに、生き生きと舞台最後方に向かうウーナ。
「ええと、何?」
「後ろがせりあがって今回の出撃で必要と思われる武器が出ますので、それを装備します」
聞くメルクーアに説明するエルバッハ。
「特殊防衛部隊「エンゼル・ストライプ」、ライブ中でも出動OK!」
ざくろは後ろに行く前に、客に向かって綺羅っ☆。
「余裕あるわね、ざくろさん」
呆れる初華。
「お、この程度なら雑魚かな?」
現れた武器を取ったウーナ。もちろん、ほかの五人も装備完了。
振り向き翼が開いて、一斉に出撃姿勢に入る。
「エンゼル・ストライプ、出撃!」
どん、と一斉に離陸。
いや、ざくろが遅れた。
「空を翔るは紅の流星、紅(あか)き天使エンゼル・クレナイ!」
パレオをひらめかせ少し低空飛行しファンサービスしてから加速上昇。隊列に追い付いた。
エンゼルの文字を抜いたストライプ模様の入っている翼が次々に空に舞った。
●
「こちらホワイト。各機、調子は?」
エルバッハが白色猫耳の頭部通信機で全機に連絡。バイザーで目元は隠れ表情は不明だが、話す唇からは冷静さが伝わる。
「こちら『エンジェル・トリニティ』。トリニティでいいよ。感度良好」
飛び立ったウーナ、まずはバイザーなしヘアバンドタイプの通信機でオールグリーンを伝える。
「キューピット、大丈夫ですぅ」
ハナも良好。
「え、えとえと……人数増えたからコードネームにするんだっけ」
おっと。初華はすっかり忘れていたようで。
その横に、黒いモノキニ姿がぴたり。
「あたしは『アンバー』問題なし。初華さんは『オニキス』なんてどーお?」
メルクーアである。初華、にこっ。
「クレナイも通信は入りましたし……これより全機、進路を二時方面に取ります。鑑さんも司令室に戻ったようです。敵は乳白色のカラス。数匹確認され目からビームを放っているようです。撃退します」
「了解!」
皆の声とともに右にロールし、ビルの間を縫って加速。
「うわぁ……」
そしてメルクーアの歓声。
ビルの並ぶ窓に飛んでいる自分と初華の姿が次々映し出されているのだ。
「あ、見て見て」
その初華の指差す先では、ビルの上のビールの広告看板が塗り替えられていた。
「あんな風にしてるんだ」
「そろそろ目撃空域です」
感心するウーナ。その間にエルバッハが到着を知らせた。
「どれどれ……いた!」
ランドセルの翼を直角にして垂直ほばりんぐし、双眼鏡で確認していたざくろが大きな公園方面を指差す。
「『カラス』発見! トリニティ、アターック!」
「……全機、突撃。コンバット・オープン」
ウーナも視認し突っ込む。エルバッハが攻撃指示を出した。
時にソメイヨシノが満開を迎え、花見客でごった返す公園に急降下していった。
「おいトリニティ、連携しろ!」
先行するウーナの通信機に鑑からの連絡。
「連携とか、ないない! あたし一人で片付いちゃうね」
カラスの群れは賑わいと離れた場所、ごみ置き場にたむろしていた。
「もらった!」
強引に突っ込んでからの『バレットダンス』。銃の連続射撃で一気に殲滅を狙った。
もちろん、ほとんどの乳白色のカラスに命中した。
が、ぱしん、とカラスの殻を割ったがごとく体が一回り大きくなりより尖った形態になった。
そして飛び去る。カラスの飛び方ではない。滑るようにスムーズだ。
「ちくしょう!」
地上にいったん着陸したウーナ、悔しがる。
それよりこのままでは花見客の方に行くぞ?
「きらり光って急降下だ!」
ざくろがそっちに回り込んでいた!
「こっちにはこさせない。フリージングレイ!」
無数の氷柱を撃ち込む。派手な攻撃で敵の方向転換を狙っているのだ。
「キューピット参上~。五色光符陣も一緒なら氷もピカピカ光りますよぅ」
同時にハナも回り込んでいた。ざくろの横に付こうとしたが、敵の反撃。
フリージングレイと同時に、カラスの軍団も目からビームを放っていた。
カラスの方が多いので相殺されず、残りの光条が二人を襲った。
「ちょっと遅かったですぅ」
「この輝きで、君の翼を直撃だよ……わっ!」
結果、ハナは止まることができずざくろにどっし~ん!
「墜落はダメージですけどぉ、味方同士の接触はできるんですねぇ。一つ賢くなりましたぁ」
「ちょっとハナ、接触しすぎ……というか、やわらかい……」
キューピット風水着姿のハナ、お尻を突き出しざくろのパレオから伸びた脚の間に片膝を付き押し倒していた。というか、おっきな胸でざくろの顔を押し潰していたり。
それはそれとして、上空。
「ジェットブーツで回り込んでたけど……」
メルクーア、右翼から回り込んでいたがカラスの群れはざくろの攻撃を受け左にロールし遠ざかっていた。まだ結構数はいるぞ。
その目の前に一直線に追ってきていた初華がお尻を滑らせ左ロールし食らい付いていた。
「初華さん、適当にぶっ放して脅かしてやって。……あ、花見客に当てちゃダメよぉ」
「言われなくても」
ぱんぱん、と射撃する初華。お世辞にも腕は以下略。
「その……まあ花見客の方に行かないようにするならその射撃よね」
「う~」
再びジェットブーツで追い付いたメルクーア。すべて外した初華を慰め。
「続けて撃って。……こっちはコマンド入力して……」
メルクーア、アルケミーガントレットの蓋を開いてキーボードにコマンド入力!
「デルタレイでどーお?」
初華の一直線射撃をかいくぐり安心した敵に、今度は追尾型のビームが三本。引き続き左ロールする敵を追い掛けて、命中。三羽が墜ちる。
が、敵はひるまない。明確な目的があったから。
「うそっ!?」
実は、再離陸したウーナを狙っていたのだ。
「あたし……もしかしてピンチ?」
はい。さっきの恨みで狙われてますね。
トリニティ機に向かって三角編隊のカラス。
このままではビームの一斉射撃を受けてしまうぞ?
「……そのままで」
おっと、上空に残って観察していたエルバッハの白い姿が急降下している!
「まとまるのを待っていました」
それっ、とワンドを振るいファイヤーボール。ウーナの手前で広範囲爆発し、ほとんどのカラスをやっつけた。
「あとは個別に殲滅ですねぇ」
「これで止めだーっ!」
ハナの五色光符陣できらっとしたところにざくろがメイスでどかん。敵の自分の航跡がエックスを描き……カラスのみが力なく墜ちた。
「ちょっとメルクーアさん、それ!」
「風がフィールドを抜けてきて冷えるからお酒で温まらないと!」
初華とメルクーアは、ソメイヨシノの枝の下を飛び交差する感じで追っていた一匹を殲滅。合流したところで酒を飲んでるのを知り、初華がががん!
「ウインドガスト」
「これで貸し借りは無しだね!」
エルバッハはひらりと敵の突っ込みを回避。それを囮にしたウーナが銃を剣に変形させてバッサリ。
「じゃ、後はライブにも来てね~」
敵を殲滅し、全員そろったところで満開の桜の上空を編成飛行し花見客に手を振った。
「指示せずとも、か。良い素材が揃った」
司令室では鑑がどさくさ紛れの営業行為に大変満足していた。
とにかく、今日も地球の平和は守られるのだった。
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相談(?)卓 メルクーア(ka4005) ドワーフ|10才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/04/08 12:39:16 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/06 18:36:07 |