新たなる城 ~騎士アーリア~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
普通
オプション
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/04/18 09:00
完成日
2017/04/25 20:40

みんなの思い出

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オープニング

 グラズヘイム王国の南部に伯爵地【ニュー・ウォルター】は存在する。
 領主が住まう城塞都市の名は『マール』。自然の川を整備した十kmに渡る運河のおかげで内陸部にも関わらず帆船で『ニュー港』へ直接乗りつけることができた。
 升の目のように造成された都市内の水上航路は多くのゴンドラが行き来していて、とても賑やかだ。
 この地を治めるのはアリーア・エルブン伯爵。オリナニア騎士団長を兼任する十七歳になったばかりの銀髪の青年である。
 前領主ダリーア・エルブン伯爵が次男である彼に家督を譲ったのは十四歳のとき。すでに闘病の日々を送っていた前領主は、それからわずかな期間で亡くなっていた。
 長男ドネア・エルブンはそれ以前に死亡。妹のミリア・エルブンは健在である。幼い頃から秀才ぶりを発揮し、弱冠十五歳ながらも内政を担う。
 偽金事件によって、亡くなったはずのドネアの生存が何者かによって仄めかされる。事故と発表されたドネアの死因だが、実は謀反に失敗して命を落としていた。
 アーリアの兄は本当に死んだのか。ハンター達によって真相が暴かれる。
 ドネアは歪虚軍長アスタロトとして復活。そして謀反に関与していた元親衛隊の女性ロランナ・ベヒも歪虚の身となっていた。
 武器防具を積んだゴンドラの沈没事件、領地巡回アーリア一行襲撃事件、穀倉地帯における蝗雑魔大量発生等、アスタロト側が仕組んだ陰謀はことごとくハンター達の力添えによって打ち砕かれる。
 だが、これらの陰謀には搦め手が存在した。ネビロスが運河の湧水個所破壊を密かに企んでいたのである。
 看破されたことに焦ったネビロスが湧水個所を急襲。ハンター達の協力によって撃退されたものの、一ヶ月後に再度襲ってきた。歪虚アイテルカイトの尊厳をかなぐり捨てたネビロスだったが、騎士団とハンター達の前に敗北して最後の時を迎える。
 勝利に沸く城塞都市マールの民。アーリアが喜んでいたのも事実だが、振り払ったはずの兄への気持ちは心の奥底でかすかに残る。
 そんな折、マール城にアスタロトから晩餐への招待状が届いた。ミリアの反対を押し切り、アーリアはその場へと出向く。そこで交わされたアスタロトの発言はまさに傲慢に満ちていた。
 アスタロトが父ダリーアに抱いていた不信感も判明。流行病に冒された村の過去の一件はエルブン兄妹の胸を締めつける。
 不意に転移してきたTNT爆薬の処分についても、ハンター達の尽力によって解決へと導かれたのだった。


 それは日常の出来事として始まった。
 伯爵地ニュー・ウォルターの北東部。早朝、青年農夫が鍬を担いで畑へとでかける。すると不思議なことに自分の畑の近くで人だかりができていた。
「俺の畑にみんな用なのか?」
「いや、ほら。あれを見てみい」
 青年農夫が野次馬の一人に指さされた先を望んだ。すると麦畑の中央に巨大な穴が空いていた。
 近づいて覗いてみれば底は見えずに真っ暗闇。青年農夫が地面に膝をつけて嘆いたとき、誰かが蹴った小石が穴へと転がり落ちていく。まもなく水音が聞こえてきた。
「こ、これならば」
 青年農夫は湧き水の存在に希望を感じる。この一帯にも小川は流れているものの、夏場に枯れてしまうときがあった。湧き水があれば付近一帯が潤うこと必至。畑は駄目になったが、これがあれば生活に困ることはなかった。
 この事実はマール城にも伝わる。
 ここは城の執務室。
「どうしたのですの?」
「新たに現れた湧き水の一件……胸騒ぎがして仕方がない。杞憂であればよいのだが」
 ミリアの問いにアーリアが沈んだ表情を浮かべた。
 もしもに備えて別件で集まってもらったハンター一行に、調査隊へ参加してもらうことにした。この目で見てみたいとアーリアも同行することとなる。
 馬車十両で出立して二日後、調査隊は目的の村へと辿り着く。さっそく大穴の正体を確かめようとしたところ、地響きが起こった。
 穴が拡大し始めて大量の湧き水が溢れだす。一向に収まる気配は感じられず、次々と麦畑を飲み込んでいく。
「付近の町村に連絡だ! すべての住民を避難させよ!」
 アーリアの指揮の下、周辺領民の緊急避難が行われる。ハンターたちも事態を知らせるために方々へと散らばっていくのだった。

リプレイ本文


 村へと到着してまもなく調査隊は地響きに襲われた。
 高台からハンター達が眺めている間に穴の周囲が崩れだし、大量の湧き水が溢れだす。麦畑が呑み込まれていく様を目の当たりにしたアーリアは叫んだ。「付近の町村に連絡だ! すべての住民を避難させよ!」と。
「急ぎたい気持ちは俺も山々だが集まってくれ。連絡の行き届かない空白地帯ができてしまうのは避けたいからな」
 ヴァイス(ka0364)は地面に地図を広げる。緊急の状況なので人数分の担当範囲を大まかに決めてしまう。先に仲間から選んでもらい、ヴァイス自身は最後の区域を担当した。
「馬車の荷物は離れた高台におろしておくといいんだよ」
 弓月 幸子(ka1749)が遠くの丘を指さしながら意見を述べる。
「体力のない人でも丘まで頑張って避難してもらったほうがよさそうですね。区域によっては反対側の丘にあがってもらいましょう」
 ミオレスカ(ka3496)の意見に近くにいたアーリアが同意した。そしてディーナ・フェルミ(ka5843)がアーリアの手を両手で強く握りしめる。
「私たちは、領民を助けるの! だから貴方は、領主として助かった人を助ける準備をしてほしいの! 領主の貴方が頼めば、エクラの教会だって炊き出しの協力はするはずなの! この前の古城跡でもどこでもいいの!」
 ディーナはアーリアの顔を仰いで真剣な眼差しを注ぐ。
「領民を逃がすのは兵士や私達でもできるけれど、その先のことはアーリアにしかできないの! そうしないと、助かった人が助からなくなるの! お願い、アーリア」
 食糧と住処の手配、そして近い将来的には仕事への配慮が必要だと力説した。
「わかった。早急に手配しよう。今は陥没や水に領民が巻き込まれないよう力を貸して欲しい」
 アーリアはディーナの肩を軽く叩いて意思を示す。次に緊急の領主指示の証としてハンター達が持つ地図にサインを施した。遠方からの支援要請のために配下の騎士から何人かを選抜し、伝令として走らせる。
「よし、これでいこう。近衛の騎士も誘導したり、馬車で領民を運んでくれるはずだ。俺達は魔導バイクや馬で知らせに回るんだ」
 鳳凰院ひりょ(ka3744)は跨がった魔導バイク「バルバムーシュ」のエンジンを始動させる。
 魔導短伝話の設定は道中の間に設定済みだ。崩壊の地響きを立てながら沈下していく麦畑を見やってから、一同は一斉に動きだしたのだった。


 ヴァイスが試作魔導バイク「ナグルファル」で疾走させた先は、拡大していく地盤沈下を中心にして、北東から東に位置する村や集落である。
 最後となる三つ目の村。長閑に農作業している様子に驚いた彼は、バイクを停めて農夫達に話しかけた。
「地盤沈下と湧き水の異変のことは知っているのか?」
「いや。もしかして地鳴りのことか?」
 まだ情報が伝わっていないことがわかったところで、村長の家を教えてもらう。バイクで乗りつけて、アーリアのサインを村長に提示。緊急の状況を冷静な口調で伝える。
「そんなばかなことが」
 半信半疑の村長だったが、アーリア視察の経緯を事細かに話すと信じてくれた。急遽、教会の鐘が鳴らされて村人達が広場に集められる。
「地盤沈下と湧き水がどこまで広がるのかわからないというのが、領主アーリアの判断だ。避難する際、親は子供の手を確りと握ってもらいはぐれないように注意して欲しい。手の空いている若い男衆は、老人や怪我人を助けてやってくれ。馬車や荷馬車に乗せてやってくれるだろうか」
 現状の進行具合が続いたとして、村が呑み込まれるのは四時間後だと伝えた。但し、脅かすような真似はせず、余裕があるからこその協力を強調する。村長の力添えもあって避難は順調に進んだ。
「まだ時間に余裕はある。焦らずにできるだけ東を目指してくれ。どこかの高台がいいだろう」
 ヴァイスは村長が乗る最後の荷馬車を見送る。そのとき村から離れた一軒家で、独り暮らしをしている男性のことを教えてもらう。
 バイクで向かったヴァイスは説得を試みた。男性は頑固者であったが、足の弱った老犬と一緒ならばと了承する。犬を背負った男性をバイクの後ろに乗せて、安全なところまで連れて行く。
 ヴァイスは担当地区を何度も巡回し、逃げ遅れた人がいないかどうか確認したのだった。


「あ、ありがとうございます。とても助かりました」
「すぐに集落のみなさんが来るはずだから、待っていてくれ」
 妊婦を丘の頂で下ろした鳳凰院は、魔導バイクを反転させてアクセルを吹かす。大急ぎで集落へと戻っていった。
 途中で馬や荷車に荷物を載せての徒歩による避難一行と遭遇。問題は起きていないか声かけしてから、再びバイクを加速させる。
「これであなた以外の人は避難したよ」
「私の我が儘を聞いてくれて、ありがとう」
 集落には老婦が一人、最後まで残っていた。
 避難を渋る集落民を説得してくれた老婦は、前集落長の伴侶である。立ち去るのならば集落の最後を見届けたいというのが彼女の望みだ。鳳凰院はそれを守ろうとしていた。
 地鳴りが迫りだし、鳳凰院は老婦を後ろに乗せて魔導バイクをゆっくりと走らせる。状況を知るために集落近くの丘へと登り、後方の眼下を確かめた。
 遠方の陥没は未だ止まらず、そこへ泥水が溜まって広がっていく。三十分ほど留まっていると、集落の端が呑み込まれだす。
「これでもう悔いはないわ。天国のあの人も満足してくれるでしょう。非常事態を教えてくれてとても助かった」
「こちらこそ。それでは、みなさんのところへ急ぎましょうか」
 鳳凰院は魔導バイクを再始動させて、集落とは反対方向の斜面を下っていく。すると集落民とは別の、荷馬車で避難中の家族一行と出会う。地盤沈下のせいで樹木が倒れ、道が塞がれて往生していたのである。
「荷物は捨てていっても構わねぇんだが、小さい子と年老いた両親もいるんだよ。このままでは」
 御者をしていた家長らしき男性が嘆く。
「大丈夫。俺に任せてくれ」
 男性を励ました鳳凰院は魔導バイクからおりて、モーニングスターを手に取る。
(迂回している余裕はない、ここは道を作る!)
 全力で振りおろし、倒木を真っ二つに。もう一度繰り返して四等分にした。
「この大きさならなんとかなるだろう」
 鳳凰院が全力で押して倒木を転がす。御者の男性も手伝い、荷馬車が通り抜けられるだけの隙間が開けられる。
 鳳凰院は老婦と荷馬車家族を安全なところまで、無事に送り届けたのだった。


「あのお願いが――」
 ミオレスカは出立の直前、水難故に必要になるかも知れないとアーリアに小舟の手配を頼んだ。それから愛馬ハニーマーブルに跨がり、北西の町へと急いだ。
 到着早々、町長との面談。説き伏せて、緊急を意味する鐘楼を鳴らしてもらう。
 町長と一緒に城塞門の上に立ったミオレスカは、声を張りあげて目下に迫る危険を知らせた。
「もしかしたら、家財道具を失うかもしれませんが、自身が水に飲まれてしまえば、何も残りません。ここは、生き残る事を第一にしてください。この町の位置ですと、地盤沈下と水は南東から迫っています。その反対の北西に逃げてください。あとのことは、アーリアさんが、何とかしてくれますので、信じてください」
「皆の者、このお嬢さんのいうことは本当じゃ」
「足腰の弱いお年寄りや子供も連れて行ってあげてください。余裕がないのなら、私か町長さんのところへ教えてくれますか」
「猶予は今から三時間じゃ」
 ミオレスカと町長は繰り返し町人を説得し続ける。
 不安を覚えた町人達が次々と避難を開始。迷っていた人々も追随していく。城塞門を通過する人がほとんどいなくなったところで、ミオレスカは愛馬に乗って町内を巡回した。
「大丈夫。私にまかせてください」
 逃げ遅れた人を愛馬に乗せて、町長が待機する広場まで連れて行く。町長が用意した馬車や荷馬車は全部で六両。満員になった車輌から避難していった。
 ミオレスカは一人泣いていた女の子を見つけて愛馬へと乗せる。広場で待っていた町長に声をかけて最後の一両と共に出発した。
 城塞門を通り抜けたとき、宣言した三時間が経過する。
 地響きが聞こえて振り向けば、背後から地盤沈下と湧き水が迫っていた。ゆっくりではあったが凄まじい恐怖に襲われて、荷馬車に乗っていた町人のほとんど祈りを捧げる。
 遠ざかって視界には映らなくなっても不安は消えないようだ。ミオレスカは大丈夫だと何度でも励ます。避難先の丘が見えてきて、ようやく安心の声が聞こえてきた。


 土煙をあげて集落の広場に急停止するバイクが一台。その魔導二輪「闘走」には弓月幸子が乗っていた。
「この集落に地盤沈下と湧水が迫っているんだよ。この地響きはそのせいなんだよ」
 弓月幸子が何度か警告を繰り返すと、集落の人々が集まってくる。
「やっぱりそうなのか。どうするべきか迷っていたんだよ」
 集落の人々もあまりにも酷い地響きに不安を信じていた。
「重たい物はあきらめるようにね」
 弓月幸子の忠告で決心した集落の人々は避難の準備を始める。彼女はすでに三個所の集落地を回っており、ここが最後の集落であった。
 集落の人々は三家族に集約されるので、話が決まれば行動は迅速。荷馬車に荷物が載せられていく。
「水はあんまり早くないから、慌てずにね。何かあったらボクが守ってあげるからね」
「ほ、ほんとう?」
 弓月幸子は地響きを怖がっている男の子に声をかけて励ました。
 説得し終えてから三十分後には出立する。小さな丘を越えたときに振り返ると、遠くに巨大な湖が出現していた。
 弓月幸子の印象は湖ではなく沼だ。濁った泥水に満たされていたからである。
 避難の途中、わずかだった地面の亀裂が急激に広がったせいで道が分断された。
「こりゃ荷物ごと荷馬車を諦めなきゃならねぇか」
「大丈夫、ボクに任せてね」
 弓月幸子はアースウォールを試す。崖面で水平に出現させると、残念ながら倒れて落ちてしまう。ただ二m以内の幅ならうまく填まり、一時的な渡しとして充分に役に立つ。
 斜面をゆっくりと登って、目的としていた丘へと辿り着く。到着から二時間が経ち、丘の周囲にもわずかに湧き水が届いた。但し、地盤沈下はそこまで至らずに数十m前で収束している。
 暮れなずむ頃に騎士団が現れて、食糧などの必要物資を提供してくれた。アーリアの指示で被害地域の周辺すべてに運ばれているという。明日からは居住地への誘導が始まるとのことだった。


 愛馬のゴースロンで駆けるディーナは、地盤沈下の状況を常に視界の隅へと置く。最短時間で出発地点の反対側である西側を目指す限り、避けられない危険であった。
 少しずつ広がっていく地盤沈下のぎりぎりの端を見定めて、全速力で迂回していく。倒れてくる大木を避けて、ときに地割れを跳び越える。
「崩壊は今も続いているの」
 丘を見つけたら頂までのぼって、地盤沈下の様子を確認。魔導短伝話で仲間に様子を伝えてから再び走りだした。
「ここからなら南に逃げるの!」
 避難途中の人とすれ違ったときには逃げるべき方角を指し示してから去っていく。
 歩けなくなった人を乗せたときは迂回移動しながら遠回りをし、高台に避難させてから西側を目指す。こうしてディーナは一番遠い町へと辿り着いた。
「そんなこと、突然にいわれてもさ」
「逃げるっていったって」
 町の人々は異変に気づいていたが、大局的な情報が不足していた。
「私のいうことを聞いて欲しいの。この時期は野山に食べ物がいっぱいあるの! 領主のアーリアも兵士と一緒にみんなを助けに回ってるの! 落ち着いて、最低限の荷物を持って、西の丘を目指すの! 少しでもここから離れるの!」
 ディーナは逃げるべき方角は西だと何度も繰り返す。すると悩んでいた町の人々が決心して大移動が始まる。
 ディーナの見立てでは地盤沈下と水が町へ到達するまで一時間を切っていた。
 町中を駆けたディーナは逃げ遅れた人を愛馬に乗せて、まだ空きがある馬車や荷馬車へと預けていく。
 小川が増水して町の通りに溢れだす。脱出の頃合いだとディーナが判断したとき、老人の姿が目に入った。急いで後ろへ乗せて全速力で駆ける。
 水飛沫をあげながら走って町の郊外へ。まもなく町そのものが沈下して、建物が崩れていく。一瞬だけ振り返ったディーナは一直線に西側を目指した。
 避難場所となった丘へと辿り着いたのは夕暮れ時である。ヒーリングスフィアで怪我人の治療を終えたディーナがふと東側を望んだ。夕日が巨大な泥の湖を照らしていた。
「あれは……」
 ディーナは気づく。まるで浮かぶように湖中央で存在する島を。そこには巨大な建造物が聳えていた。
「もしかして……アスタロトの、お城なの……?」
 ディーナがアスタロトだと言及したのには理由がある。歪虚か雑魔らしき禍々しい空飛ぶ魔が上空を飛翔していたからだ。城の誕生をまるで祝うかのように。

 湖の城を目の当たりにしたのはディーナだけではなかった。

「あれがアスタロトのお城だね。水の中からせり出してくるなんてゲームの悪役みたいだよ」
 大樹に登った弓月幸子は太枝の上に立って赤く染まる城を眺めた。

「まさか、アスタロトがあそこにいるのでしょうか。以前から、井戸や水路を狙っていたのも、このためだったのでしょうか。何がしたいのか、本当に謎ですが、やはり、放置はできないようですね」
 小舟での救助を終えたミオレスカは、夕日が地平線に沈むまで城を見つめ続ける。

(何を企てた? 奴は……。それにしても、前の水路の時と言い、結構大掛かりな事をやりたがるようだ。自己顕示欲が強い、ということか?)
 鳳凰院は湖畔まで近づく。湧き水はわずかに引いていたが、かといって元に戻る様子は微塵も感じられなかった。

「あれってやはり、アスタロトだよな?」
「このようなことを考え、また実行できる輩はアスタロト以外にはいないだろう」
 ヴァイスとアーリアは一緒に湖の城を瞼の裏に焼き付ける。
 地平線に太陽が沈む直前、城の上空に翼を広げた人型の影が浮かびあがる。誰もがそれを視て、アスタロトだと思い浮かべたのだった。

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参加者一覧


  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • デュエリスト
    弓月 幸子(ka1749
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士

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アイコン 洪水避難作戦
ミオレスカ(ka3496
エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2017/04/16 22:26:31
アイコン 質問です
ミオレスカ(ka3496
エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2017/04/17 23:03:19
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/15 22:16:45