ゲスト
(ka0000)
魔術師の弟子、ギルド街へ!
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/24 15:00
- 完成日
- 2017/04/30 18:49
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●春だ、新しいことをしたい
ルゥルはハンターとして登録はした。
登録をしたからと言って何かが変わるわけではない。
いや、変わったことはある。近所の人にちょっと遠くにお遣いを頼まれるようになったのだ。お小遣いももらえる! これでフェレットフードも自力で買える……かもしれない。
ハンターらしいことはしているか否かはハンターが何かにもよる。そう、結局、自身の求めることによる。
ルゥルはただリゼリオに行ってみたい。
「ギルド街にユニオンっていうのがあるです。きっと、大人なのです!」
ルゥルは憧れた。
まあ、大人かは分からないけれども、世界各地に羽ばたく王国出身者のための互助機関と考えれば、今のルゥルに関係ない。
家に帰ってくるから。
「でも、でも」
ルゥルは考えた。
「そうです、行ってみるのですー。転移門使って……転移門……はお隣の町です」
リゼリオに行くのはソサエティの転移門をつかえば行けるとして、転移門のある町まで行くのに馬で二時間前後。ルゥルがもらったロバだともっと時間がかかるし、馬車に乗るにはお金がかかる。徒歩は論外。
「うーん、でも、朝早く出て行けば夕方には帰ってこられます!」
こっそり行こう。
師匠はいないし。隣の家のエクラ教の司祭に見つからなければ、問題ないのだ。
ペットのパルムのポルムが自分用の小さなリュックを取り出しワクワクし、フェレットのフレオは丸くなった。
●まあ、ばれる
思い立った日の次の朝、ロバの世話をしていると、隣のエクラ教会の司祭のマークが道を掃いていた。
「おや、ルゥルちゃん、おはよう」
「……おっ、おはようございます」
「今日は早いですね?」
「はっ……春だから、早く起きました」
「……ルゥルちゃん、何か隠していますね?」
すすすと近寄り、ルゥルの前に立つ。マークは笑顔で問うが、ルゥルは冷や汗をかく。
「か、隠し事は……」
「リュックサック背負って?」
「みぎゃあああああああああ」
隠していることは明らかだ。挙動不審にもほどがある。小さいころから彼女を知っているか否か以前に、付き合い浅くてもきっとわかる部類。
「ルゥルはアム・シェリタに行ってみたいですう」
「……なんでです?」
「なんか、ハンターぽいです!」
「なるほど」
「朝に行けば夕方には帰ってこられると思ったのです。お昼は屋台で食べればいいと思いました! あっちにもあるですよね?」
必死なルゥル。
「シャ……シャル、シェ……レットさんの迎賓館だというです、きっとかっこいいです」
「かっこいい……?」
かっこいいが何を指しているのかマークは首かしげたいが、ユニオンに行って帰ってくるということは別にかまわないと思った。ルゥル自身がきちんと考えて行動はしているようだから。
「分かりました」
「わーい」
「その代わり、ロビン君、リゼリオのオフィスの人、アム・シェリタの係の人にサインをもらうんですよ?」
「分かりましたー」
ルゥルがきちんと行ったかのチェックポイント。そこで一筆もらうことで、ルゥルがきちんと予定をこなしたかわかるのだった。ロビン君は隣町のソサエティにいる受付男子の名前だと一応付けくわえておく。
さて、ロバに乗っかってルゥルは出かけた。見送るマークに笑顔で手を振っていた。
順調にリゼリオまで来た。
「一人で来ました! わーーーーーーーーーーーーーーー」
冬も来たけれどもそれは嫌な行事のため。今回は自分で計画し、自分のための行動だ。楽しくないわけがない。
「うわあああああああああああああああああああああああ」
海が輝く。鳥も飛んでいる、陸地と違う。
「うわあああああああああああああああああああああああ」
そして、ギルド街で見たことない店などについふらふら近寄る。
いつもなら止めるペットたちもつられているため、引き留めるモノはなかった。
そして、今、おなかがすいた。
「……こ、ここはどこですか」
ようやく、事態に気づいた。
教わっていた道からは大きく外れており、もうここがどこかなどわからない。
「みぎゃああああああああ」
頭の上に乗っているポルムが必死になだめる。
肩の上に乗っているフレオが必死に愛嬌を振りまく。
ペットが何をしようとも、ルゥルが泣いているだけでは何も解決がなされない。
ルゥルは無事にアム・シェリタにたどり着くのだろうか?
それは日常生活で通りを使うハンターにかかっているといっても過言ではないのだった。
ルゥルはハンターとして登録はした。
登録をしたからと言って何かが変わるわけではない。
いや、変わったことはある。近所の人にちょっと遠くにお遣いを頼まれるようになったのだ。お小遣いももらえる! これでフェレットフードも自力で買える……かもしれない。
ハンターらしいことはしているか否かはハンターが何かにもよる。そう、結局、自身の求めることによる。
ルゥルはただリゼリオに行ってみたい。
「ギルド街にユニオンっていうのがあるです。きっと、大人なのです!」
ルゥルは憧れた。
まあ、大人かは分からないけれども、世界各地に羽ばたく王国出身者のための互助機関と考えれば、今のルゥルに関係ない。
家に帰ってくるから。
「でも、でも」
ルゥルは考えた。
「そうです、行ってみるのですー。転移門使って……転移門……はお隣の町です」
リゼリオに行くのはソサエティの転移門をつかえば行けるとして、転移門のある町まで行くのに馬で二時間前後。ルゥルがもらったロバだともっと時間がかかるし、馬車に乗るにはお金がかかる。徒歩は論外。
「うーん、でも、朝早く出て行けば夕方には帰ってこられます!」
こっそり行こう。
師匠はいないし。隣の家のエクラ教の司祭に見つからなければ、問題ないのだ。
ペットのパルムのポルムが自分用の小さなリュックを取り出しワクワクし、フェレットのフレオは丸くなった。
●まあ、ばれる
思い立った日の次の朝、ロバの世話をしていると、隣のエクラ教会の司祭のマークが道を掃いていた。
「おや、ルゥルちゃん、おはよう」
「……おっ、おはようございます」
「今日は早いですね?」
「はっ……春だから、早く起きました」
「……ルゥルちゃん、何か隠していますね?」
すすすと近寄り、ルゥルの前に立つ。マークは笑顔で問うが、ルゥルは冷や汗をかく。
「か、隠し事は……」
「リュックサック背負って?」
「みぎゃあああああああああ」
隠していることは明らかだ。挙動不審にもほどがある。小さいころから彼女を知っているか否か以前に、付き合い浅くてもきっとわかる部類。
「ルゥルはアム・シェリタに行ってみたいですう」
「……なんでです?」
「なんか、ハンターぽいです!」
「なるほど」
「朝に行けば夕方には帰ってこられると思ったのです。お昼は屋台で食べればいいと思いました! あっちにもあるですよね?」
必死なルゥル。
「シャ……シャル、シェ……レットさんの迎賓館だというです、きっとかっこいいです」
「かっこいい……?」
かっこいいが何を指しているのかマークは首かしげたいが、ユニオンに行って帰ってくるということは別にかまわないと思った。ルゥル自身がきちんと考えて行動はしているようだから。
「分かりました」
「わーい」
「その代わり、ロビン君、リゼリオのオフィスの人、アム・シェリタの係の人にサインをもらうんですよ?」
「分かりましたー」
ルゥルがきちんと行ったかのチェックポイント。そこで一筆もらうことで、ルゥルがきちんと予定をこなしたかわかるのだった。ロビン君は隣町のソサエティにいる受付男子の名前だと一応付けくわえておく。
さて、ロバに乗っかってルゥルは出かけた。見送るマークに笑顔で手を振っていた。
順調にリゼリオまで来た。
「一人で来ました! わーーーーーーーーーーーーーーー」
冬も来たけれどもそれは嫌な行事のため。今回は自分で計画し、自分のための行動だ。楽しくないわけがない。
「うわあああああああああああああああああああああああ」
海が輝く。鳥も飛んでいる、陸地と違う。
「うわあああああああああああああああああああああああ」
そして、ギルド街で見たことない店などについふらふら近寄る。
いつもなら止めるペットたちもつられているため、引き留めるモノはなかった。
そして、今、おなかがすいた。
「……こ、ここはどこですか」
ようやく、事態に気づいた。
教わっていた道からは大きく外れており、もうここがどこかなどわからない。
「みぎゃああああああああ」
頭の上に乗っているポルムが必死になだめる。
肩の上に乗っているフレオが必死に愛嬌を振りまく。
ペットが何をしようとも、ルゥルが泣いているだけでは何も解決がなされない。
ルゥルは無事にアム・シェリタにたどり着くのだろうか?
それは日常生活で通りを使うハンターにかかっているといっても過言ではないのだった。
リプレイ本文
●オフのハンター
ルゥルが迷子になったころ、天央 観智 (ka0896)は仕事のない日リゼリオで過ごしていた。散歩もなんでも新しい発見があるものだった。
ミオレスカ (ka3496)は図書館に本を返すべく、家を出る。
どこかで食事をするか考えつつ、晴れた空を見上げる。
六道銭 千里 (ka6775)は占い屋の席に着く。
うららかな春の日、皆どこかに出かけているのか、客は通らない。
「暇や……」
占えるなら客が来るか占ってみたいものだ。
マリィア・バルデス (ka5848)は一人町の中を歩く。屋台を見つけ、何か新しいものはないか眺める。
ニーナ・フォーレルトゥン (ka6657)はヴァージル・シャーマン (ka6585)とともに外出である。
ニーナがバレンタインのお返しを問われウインドウショッピングと告げた結果、今、街にいる。
二人は同郷かつ幼馴染で、ニーナはヴァージルを自分を守ってくれた頼れるお兄ちゃんと思い、ヴァージルはニーナを妹分でありなぜか好かれていると認識している……である。
似た者同士というか、発展があるかないか分からない未来ある幼馴染。
「みぎゃああああああ」
デート状態に水を差すような、聞いたことのある泣き声を耳にする。
「この声どこかで……クリスマスぐらいだったかな……去年の?」
ニーナが言えば、ヴァージルは周囲を見る。
「あれは」
立派な迷子風のルゥルが泣いて立ち尽くしていた。
●とりあえず喫茶店
「どうしたの?」
ニーナは声を掛け、しゃがむ。
「みぎゃ」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔でルゥルは彼女を見る。ルゥルのペットたちも見つめる為、計六つの目。
「こんにちは……覚えているかな、俺たちのこと」
ヴァージルはティッシュを取り出し、ルゥルに手渡す。
「ひっく、ひっく……クリスマスの時のハンターさんですう」
ニーナとヴァージルはほっとする。
「困っていることがあるのかしら?」
「時間があるなら、そこの喫茶店でひとまず、一息入れよう?」
「みぎゃ」
ルゥルはくっついていく。
喫茶店でそれぞれ飲み物を注文し、ルゥルの横隔膜が落ち着くのを待つ。
「どうしてここにいたのかな?」
それに対してルゥルはユニオンに行こうとして道に迷った告げる。
「珍しいものある物な」
ヴァージルは言いながら、ちらっとニーナを見る。
背伸びしたいお年頃だったニーナを思い出してた。誰しもが通る道ならば、ルゥルを助けつつも見守るほうが良いだろうと、兄視点で考える。
「そうか、行こうと思うことは偉いぞ」
「そ、そうですか?」
「でもな、迷っちゃ意味ねぇぞ?」
「みぎゃ」
ニーナが神妙にうなずくため、ヴァージルは笑いそうになる。
「ハンターでも一人でできることには限度がある。困ったときは遠慮なく人を頼ればいい、今みたいにな」
ヴァージルの言葉にルゥルはうなずく。
「それと、助けてもらったらお礼の言葉、これも大事だよ」
ニーナがにこりと胸を張って告げる。
「あ、ありがとうございます、です」
「いえいえ」
ルゥルはニコッと笑った。
「きちんとルゥルはしゃべれるし、道を聞けばいいの。それでもわからなければ次の人に聞けばいい。もちろんお礼は重要、わかってもわからなくても」
「はいです」
ヴァージルはこのやりとりを見つつ、妹分はいつまでも小さいイメージもあるが、確実に成長はしていると考えて、年齢上の特権としてニコニコと眺めていた。
「さ、ルゥルの運勢を占ってあげるわ」
それから飲み物を飲んで外に出た。
「さてと、そろそろ……お別れかな」
「独りで行けるかな? 道は聞くんだよ。挨拶とお礼は忘れちゃだめだよ?」
「ハンターオフィスはあっち。目印になる広場とかあるほうはあっち」
「戻るほうがわかりやすいとは思うわ」
ヴァージルとニーナに説明され、ルゥルは激しくうなずく。
「はいですっ」
ルゥルは不安ながらも二人と別れて歩き出す。
ニーナとヴァージルも見守る。町の規模や治安を考えても、ルゥル一人で旅するには問題ないはずだと、背中が見えなくなったら立ち去ろうと。
「あ、別のハンターの人が」
「……彼女も知り合いいるんだよね」
ニーナとヴァージルはルゥルが声をかけられ応対しているのを見届けて、ウインドウショッピングに戻っていった。
●屋台
マリィアは一人で歩き回る見覚えの影に遭遇した。
ルゥルは意気揚々としているのか、不安でおどおどしているのかわからない歩き方。
「久しぶりだわね……こんにちは」
マリィアに声をかけられてルゥルがビクッと身を震わせて、彼女を確認し、ほっと息を吐いた。
「こんなところでどうしたのかしら? 泣いたような跡もあるけれど?」
「はい……」
恥ずかしそうに頭を掻く。
そして、ユニオンの建物に向かおうとして道に迷ったいきさつを話した。
「ふふっ……」
「みぎゃ」
「ごめんなさい、悪気はないのよ? 私は同盟に所属しているから揺籃館に入ったことはないわね。どんな内装か見てみたいし、一緒に行きましょうか?」
「い、いいのですか?」
ルゥルが明らかに安心したのは分かった。
「いいわよ。ほら、まず、何か食べるかしら?」
さりげなくマリィアはルゥルの手を持った。つないでないと、今度は迷子に変身する。
ミオレスカは見覚えのある子どもを人波で見つける。
「ルゥルさん、こんにちは」
マリィアの影からにょきとルゥルが顔をのぞかせた。
「こんにちはです」
「リゼリオで珍しいですね。お仕事ではないのですか?」
「はいです。道迷いになっていました」
「え?」
説明を聞きミオレスカはうなずいた。
「リゼリオはいろんなものが集まって目まぐるしいですよね。ロッソが来てから食べ物も増えました」
「ルゥルも見てみたかったです。大きいお船なんですよね?」
「はい。……お昼ご飯は、どこに行くかは決まっているのですか?」
ミオレスカの問いかけにルゥルはマリィアを見上げる。
「こちらの提示に対して、ルゥルがどう決めるかよね?」
「なるほど。醤油の味が利いた煮物や、焼き魚もおいしいです。お昼なら、手軽に食べられるホットドッグやサンドイッチもいいですね」
ルゥルはようやくお昼という予感がして、嬉しそうな顔になる。
「おやつだってあるわよ?」
「みぎゃー」
「ルゥルさん、落ち着いて」
「落ち着いています」
ミオレスカは微笑む。マリィアが手をつないでいるからルゥルはいなくなることはあるまい。
「何がいいか決めてから食べましょう? お時間は」
「あ、暗くなるまでに家に帰らないといけないのです!」
「それでしたら、ささっと食べられる方がいいですね」
「はいです」
ミオレスカのおすすめに寄りそこでよしということになる。
外のテーブルとイスで、さわやかな昼食。
「おいしいですう」
ルゥルは急いで食べる。
「良かったです」
ミオレスカは微笑む。
マリィアが思い出して問う。
「どこか行く途中じゃないの?」
「図書館ですけど、別に閉館までにたどり着けばいいわけですから」
マリィアはミオレスカの答えにうなずいた。
「あ、おかね」
ルゥルは腹八分目になったころ状況に気づく。
「別にいいわよ。ハンター同士の交流よ。それに私のほうが稼いでいるもの。このくらい、どういうこともないわよ」
「で、でもでも」
「ルゥルがお金を稼いで、困っている人がいたら、その人におごってあげればいいのよ」
「あー」
ルゥルはなんとなくわかったような顔になる。
「そうですね。親切は返すこともありますが、連鎖させるものですよね」
ミオレスカはルゥルを見る。
「ルゥルが好きそうな雑貨があったら買ってあげようかと思ったり」
「それは甘やかしになりますが、その誘惑をはねのけるかはルゥルさん次第ですね」
マリィアとミオレスカは笑いながらルゥルを見る。
ルゥルはキョトンとしていた。
「さて、そろそろ行きましょう。図書館行きませんか? 地図もあるのではないでしょうか?」
「隣町のより大きいですか?」
「……ルゥルさんの町の図書館を知らないのですけど、大きいかもしれません」
一行は図書館まで行くこととなった。
●通りすがりのお兄さん
図書館で周辺地図で位置を確認後、マリィアとルゥルはミオレスカと別れた。
これで間違わなければ到着は間近だ。
「おや? ルゥルさん、でしたか? こんなところで珍しい」
ルゥルは観智を見上げる。記憶から引っ張り出し挨拶をする。
「お久しぶりです、その節はどうもです」
「お久しぶりです……どうかされたんですか? こんなところで」
観智しゃがんで声を掛け、ルゥルとマリィアを見る。
「アム・シェリタに行こうとして、道に迷って、ハンターの人に助けてもらってここにいます」
「王国ユニオン、ですか? 行く機会がないから。僕も詳しく知らないのですよね。僕も一緒に探しましょうか? 街はそれなりに広いですし……同盟のならわかるし、他のには何度か遊びに行ったことはあるんですけどね……」
「地図は覚えました」
一緒に行ってみようということになった。
目印さえ間違えなければ到着はできるだろうが、時々、わかりにくいものもある。
観智はちらっとルゥルを見る。
「……どうかしたのです?」
「いや、なんか、ルゥルさんとはお会いしたことあったのですけど、エトファリカばかりだったから、すごく珍しい気がしているんですよ」
ルゥルは照れる。
「そこで照れる理由がわからないのですけど……」
「いろいろやりました……」
「ああ、ルゥルさんも大人になってきているということですね」
「大人ですか!」
目をキラキラさせて見上げる。
――その反応は子供――。
観智とマリィアが異口同音に心でつぶやいたとはルゥルは知らない。
一行は順調とはいかないが進む。
ルゥルの手だけはマリィアとともに前へ進んでいるため、時々ショーウインドウに目を奪われぐいーんと後ろにのけぞってしまう。
「危ないですよ」
観智は肩を押して前に戻す。
「そこの御一行!」
突然、占い屋から声がかかった。
「暇だから無料で占わせてくれんやろか?」
この瞬間、占い屋・千里に冷たい視線と警戒の視線が降り注ぐのだった。
●占い
「……警戒するちゅうことな……あるのか……困ったね」
千里は冷静に自分のことを考えた。
妹連れて町を歩いていて、そんなふうに声をかけられたら――無料より高いものはないということわざもなかっただろうか?
千里が考える間にじりじり一行は移動している。
「待って、本当に暇で、嬢ちゃんたち見てたら、何か悩み事あるんやと気づいて……」
「悩み事ですか」
「悩み事」
「……アム・シェリタへ行くです」
「……道案内やな」
「と言いたいところでしたが、地図を見たのでなんとか行けそうです」
「なんや!?」
千里は苦笑した。
「まー、俺が案内しよう。地図より確実や! 俺も所属しちょる」
ルゥルは左右にいる観智とマリィアをそれぞれ見る。
「それは確かに確実です」
「そうそう。で? 嬢ちゃんはアム・シェリタに用があるやな?」
「ハイです。行ってみたくて来たら、道に迷いました」
なるほどと千里はルゥルの横を見る。親切なハンターが付き合っているとよくわかる状況だ。
「ほいほい、俺は六道銭 千里ちゅう、占い師や。まあ、ハンターの依頼を受け取らんときはの」
「変わった名前です。エトファリカの人ですか?」
「リアルブルー出身や」
ルゥルがそわそわする。
「まあ、僕もですけど……」
「私もよね」
偶然が重なり、妙な沈黙が流れる。しかし、ルゥルの胸の奥は欣喜雀躍していた。
(なんか妹に似とるわ……)
千里はほほえましくルゥルを見ている。
「ほな、案内しようか」
「でもお仕事ですよね?」
「だから、さっき暇だといったやろ?」
「よろしくお願いします。あ、ルゥルです」
自己紹介をしてから一行は進んだ。
●到着
千里が話すリアルブルーの話を聞きつつ、ルゥルが質問攻めにする。
「みんな学校に通うです?」
「俺は元高校生や」
「コーコーセーはどんなことをするですか?」
「勉強や遊びに……妹は小学校だから、ルゥルもいたら一緒に通うんやろな」
「しょーがっこー!」
細かいことをあれこれ聞き、千里の答えに時々観智が付け足したり、ルゥル大興奮だ。
(ルゥル、これだと道覚えてないわよね)
マリィアは苦笑していた。
そして、一行の前に立派な建物がそこにあった。
「到着や」
千里が宣言するとルゥルは感極まったように震える。
「みぎゃあああああああああああああああああああ」
「なっ!?」
「みぎゃみぎゃみぎゃ」
マリィアの手を持ったまま、ルゥルは喜びの舞を踊っている。
「……あー、泣いてんじゃなくて、喜んでんのか」
千里は苦笑する。
「良かったですね」
「みぎゃりがとうひごじゃいます!」
「……ルゥルさん、落ち着いて!」
観智は慌てる。
「あー、そこまで感激されるとは思ってもみーひんかったわ! ひとまず、深呼吸や」
千里がルゥルの両肩に手を当て、深呼吸を促す。
「ありがとうございました」
ルゥルの顔は真っ赤だ。
「では、僕はこの辺で」
観智が手を振る。
「ありがとうございました」
マリィアがつないだ手を離したため、ルゥルは両手を振る。
「俺もそろそろ店に戻るわー」
千里は手を振る。
「お兄さん、ありがとうございました」
「おう、がんばりやー」
見えなくなるまで手を振る。
「さて、中見てみたいし、ルゥルを転移門まで送るまで付き合うわよ」
「そ、そこまでは!」
「いいのよ」
ルゥルは何度も頭を下げ、お礼を述べたのだった。
そして、ルゥルはアム・シェリタの中に足を踏み入れた。
のどかな平和な一日。
ニーナはヴァージルと帰路につく。
「ルゥル、ちゃんとたどり着いたかな?」
「占いはどうだったっけ?」
「願いは成就される」
「なら到着する」
ニーナはうなずく。
ミオレスカは図書館から帰りながら夕日を眺める。
「また、ルゥルさん、リゼリオに来るのでしょうか?」
たぶん来るだろうなとにぎやかな休日を思い出す。
観智は脳内の地図に新たなポイントを追加できた。
「何かあったら遊び行ってみましょうか」
各ユニオン、所属も移動自由で遊びにいって問題はないのだから。
占い屋に戻った千里。
「客、本当に今日は来ない……」
頬杖をついた。ふと妹のことを思い出して、目じりを下げた。
マリィアは急いでルゥルをオフィスまで送る。
転移門で行った先の時間も重要だったからのんびりはできない。
「なんとか日は沈む前に帰れるかしらね」
見送って、ほっと息を吐いた。
ルゥルは自宅最寄りのハンターズソサエティで顔なじみに話をしそうになったが、日暮れ迫ると諭された。
薄暗い街道はちょっと怖いが、無事たどり着く。
家の横の教会の外にマーク司祭がいる。彼はルゥルを見つけると走ってきた。
「マークさん、ただいまです!」
ルゥルが迷子になったころ、天央 観智 (ka0896)は仕事のない日リゼリオで過ごしていた。散歩もなんでも新しい発見があるものだった。
ミオレスカ (ka3496)は図書館に本を返すべく、家を出る。
どこかで食事をするか考えつつ、晴れた空を見上げる。
六道銭 千里 (ka6775)は占い屋の席に着く。
うららかな春の日、皆どこかに出かけているのか、客は通らない。
「暇や……」
占えるなら客が来るか占ってみたいものだ。
マリィア・バルデス (ka5848)は一人町の中を歩く。屋台を見つけ、何か新しいものはないか眺める。
ニーナ・フォーレルトゥン (ka6657)はヴァージル・シャーマン (ka6585)とともに外出である。
ニーナがバレンタインのお返しを問われウインドウショッピングと告げた結果、今、街にいる。
二人は同郷かつ幼馴染で、ニーナはヴァージルを自分を守ってくれた頼れるお兄ちゃんと思い、ヴァージルはニーナを妹分でありなぜか好かれていると認識している……である。
似た者同士というか、発展があるかないか分からない未来ある幼馴染。
「みぎゃああああああ」
デート状態に水を差すような、聞いたことのある泣き声を耳にする。
「この声どこかで……クリスマスぐらいだったかな……去年の?」
ニーナが言えば、ヴァージルは周囲を見る。
「あれは」
立派な迷子風のルゥルが泣いて立ち尽くしていた。
●とりあえず喫茶店
「どうしたの?」
ニーナは声を掛け、しゃがむ。
「みぎゃ」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔でルゥルは彼女を見る。ルゥルのペットたちも見つめる為、計六つの目。
「こんにちは……覚えているかな、俺たちのこと」
ヴァージルはティッシュを取り出し、ルゥルに手渡す。
「ひっく、ひっく……クリスマスの時のハンターさんですう」
ニーナとヴァージルはほっとする。
「困っていることがあるのかしら?」
「時間があるなら、そこの喫茶店でひとまず、一息入れよう?」
「みぎゃ」
ルゥルはくっついていく。
喫茶店でそれぞれ飲み物を注文し、ルゥルの横隔膜が落ち着くのを待つ。
「どうしてここにいたのかな?」
それに対してルゥルはユニオンに行こうとして道に迷った告げる。
「珍しいものある物な」
ヴァージルは言いながら、ちらっとニーナを見る。
背伸びしたいお年頃だったニーナを思い出してた。誰しもが通る道ならば、ルゥルを助けつつも見守るほうが良いだろうと、兄視点で考える。
「そうか、行こうと思うことは偉いぞ」
「そ、そうですか?」
「でもな、迷っちゃ意味ねぇぞ?」
「みぎゃ」
ニーナが神妙にうなずくため、ヴァージルは笑いそうになる。
「ハンターでも一人でできることには限度がある。困ったときは遠慮なく人を頼ればいい、今みたいにな」
ヴァージルの言葉にルゥルはうなずく。
「それと、助けてもらったらお礼の言葉、これも大事だよ」
ニーナがにこりと胸を張って告げる。
「あ、ありがとうございます、です」
「いえいえ」
ルゥルはニコッと笑った。
「きちんとルゥルはしゃべれるし、道を聞けばいいの。それでもわからなければ次の人に聞けばいい。もちろんお礼は重要、わかってもわからなくても」
「はいです」
ヴァージルはこのやりとりを見つつ、妹分はいつまでも小さいイメージもあるが、確実に成長はしていると考えて、年齢上の特権としてニコニコと眺めていた。
「さ、ルゥルの運勢を占ってあげるわ」
それから飲み物を飲んで外に出た。
「さてと、そろそろ……お別れかな」
「独りで行けるかな? 道は聞くんだよ。挨拶とお礼は忘れちゃだめだよ?」
「ハンターオフィスはあっち。目印になる広場とかあるほうはあっち」
「戻るほうがわかりやすいとは思うわ」
ヴァージルとニーナに説明され、ルゥルは激しくうなずく。
「はいですっ」
ルゥルは不安ながらも二人と別れて歩き出す。
ニーナとヴァージルも見守る。町の規模や治安を考えても、ルゥル一人で旅するには問題ないはずだと、背中が見えなくなったら立ち去ろうと。
「あ、別のハンターの人が」
「……彼女も知り合いいるんだよね」
ニーナとヴァージルはルゥルが声をかけられ応対しているのを見届けて、ウインドウショッピングに戻っていった。
●屋台
マリィアは一人で歩き回る見覚えの影に遭遇した。
ルゥルは意気揚々としているのか、不安でおどおどしているのかわからない歩き方。
「久しぶりだわね……こんにちは」
マリィアに声をかけられてルゥルがビクッと身を震わせて、彼女を確認し、ほっと息を吐いた。
「こんなところでどうしたのかしら? 泣いたような跡もあるけれど?」
「はい……」
恥ずかしそうに頭を掻く。
そして、ユニオンの建物に向かおうとして道に迷ったいきさつを話した。
「ふふっ……」
「みぎゃ」
「ごめんなさい、悪気はないのよ? 私は同盟に所属しているから揺籃館に入ったことはないわね。どんな内装か見てみたいし、一緒に行きましょうか?」
「い、いいのですか?」
ルゥルが明らかに安心したのは分かった。
「いいわよ。ほら、まず、何か食べるかしら?」
さりげなくマリィアはルゥルの手を持った。つないでないと、今度は迷子に変身する。
ミオレスカは見覚えのある子どもを人波で見つける。
「ルゥルさん、こんにちは」
マリィアの影からにょきとルゥルが顔をのぞかせた。
「こんにちはです」
「リゼリオで珍しいですね。お仕事ではないのですか?」
「はいです。道迷いになっていました」
「え?」
説明を聞きミオレスカはうなずいた。
「リゼリオはいろんなものが集まって目まぐるしいですよね。ロッソが来てから食べ物も増えました」
「ルゥルも見てみたかったです。大きいお船なんですよね?」
「はい。……お昼ご飯は、どこに行くかは決まっているのですか?」
ミオレスカの問いかけにルゥルはマリィアを見上げる。
「こちらの提示に対して、ルゥルがどう決めるかよね?」
「なるほど。醤油の味が利いた煮物や、焼き魚もおいしいです。お昼なら、手軽に食べられるホットドッグやサンドイッチもいいですね」
ルゥルはようやくお昼という予感がして、嬉しそうな顔になる。
「おやつだってあるわよ?」
「みぎゃー」
「ルゥルさん、落ち着いて」
「落ち着いています」
ミオレスカは微笑む。マリィアが手をつないでいるからルゥルはいなくなることはあるまい。
「何がいいか決めてから食べましょう? お時間は」
「あ、暗くなるまでに家に帰らないといけないのです!」
「それでしたら、ささっと食べられる方がいいですね」
「はいです」
ミオレスカのおすすめに寄りそこでよしということになる。
外のテーブルとイスで、さわやかな昼食。
「おいしいですう」
ルゥルは急いで食べる。
「良かったです」
ミオレスカは微笑む。
マリィアが思い出して問う。
「どこか行く途中じゃないの?」
「図書館ですけど、別に閉館までにたどり着けばいいわけですから」
マリィアはミオレスカの答えにうなずいた。
「あ、おかね」
ルゥルは腹八分目になったころ状況に気づく。
「別にいいわよ。ハンター同士の交流よ。それに私のほうが稼いでいるもの。このくらい、どういうこともないわよ」
「で、でもでも」
「ルゥルがお金を稼いで、困っている人がいたら、その人におごってあげればいいのよ」
「あー」
ルゥルはなんとなくわかったような顔になる。
「そうですね。親切は返すこともありますが、連鎖させるものですよね」
ミオレスカはルゥルを見る。
「ルゥルが好きそうな雑貨があったら買ってあげようかと思ったり」
「それは甘やかしになりますが、その誘惑をはねのけるかはルゥルさん次第ですね」
マリィアとミオレスカは笑いながらルゥルを見る。
ルゥルはキョトンとしていた。
「さて、そろそろ行きましょう。図書館行きませんか? 地図もあるのではないでしょうか?」
「隣町のより大きいですか?」
「……ルゥルさんの町の図書館を知らないのですけど、大きいかもしれません」
一行は図書館まで行くこととなった。
●通りすがりのお兄さん
図書館で周辺地図で位置を確認後、マリィアとルゥルはミオレスカと別れた。
これで間違わなければ到着は間近だ。
「おや? ルゥルさん、でしたか? こんなところで珍しい」
ルゥルは観智を見上げる。記憶から引っ張り出し挨拶をする。
「お久しぶりです、その節はどうもです」
「お久しぶりです……どうかされたんですか? こんなところで」
観智しゃがんで声を掛け、ルゥルとマリィアを見る。
「アム・シェリタに行こうとして、道に迷って、ハンターの人に助けてもらってここにいます」
「王国ユニオン、ですか? 行く機会がないから。僕も詳しく知らないのですよね。僕も一緒に探しましょうか? 街はそれなりに広いですし……同盟のならわかるし、他のには何度か遊びに行ったことはあるんですけどね……」
「地図は覚えました」
一緒に行ってみようということになった。
目印さえ間違えなければ到着はできるだろうが、時々、わかりにくいものもある。
観智はちらっとルゥルを見る。
「……どうかしたのです?」
「いや、なんか、ルゥルさんとはお会いしたことあったのですけど、エトファリカばかりだったから、すごく珍しい気がしているんですよ」
ルゥルは照れる。
「そこで照れる理由がわからないのですけど……」
「いろいろやりました……」
「ああ、ルゥルさんも大人になってきているということですね」
「大人ですか!」
目をキラキラさせて見上げる。
――その反応は子供――。
観智とマリィアが異口同音に心でつぶやいたとはルゥルは知らない。
一行は順調とはいかないが進む。
ルゥルの手だけはマリィアとともに前へ進んでいるため、時々ショーウインドウに目を奪われぐいーんと後ろにのけぞってしまう。
「危ないですよ」
観智は肩を押して前に戻す。
「そこの御一行!」
突然、占い屋から声がかかった。
「暇だから無料で占わせてくれんやろか?」
この瞬間、占い屋・千里に冷たい視線と警戒の視線が降り注ぐのだった。
●占い
「……警戒するちゅうことな……あるのか……困ったね」
千里は冷静に自分のことを考えた。
妹連れて町を歩いていて、そんなふうに声をかけられたら――無料より高いものはないということわざもなかっただろうか?
千里が考える間にじりじり一行は移動している。
「待って、本当に暇で、嬢ちゃんたち見てたら、何か悩み事あるんやと気づいて……」
「悩み事ですか」
「悩み事」
「……アム・シェリタへ行くです」
「……道案内やな」
「と言いたいところでしたが、地図を見たのでなんとか行けそうです」
「なんや!?」
千里は苦笑した。
「まー、俺が案内しよう。地図より確実や! 俺も所属しちょる」
ルゥルは左右にいる観智とマリィアをそれぞれ見る。
「それは確かに確実です」
「そうそう。で? 嬢ちゃんはアム・シェリタに用があるやな?」
「ハイです。行ってみたくて来たら、道に迷いました」
なるほどと千里はルゥルの横を見る。親切なハンターが付き合っているとよくわかる状況だ。
「ほいほい、俺は六道銭 千里ちゅう、占い師や。まあ、ハンターの依頼を受け取らんときはの」
「変わった名前です。エトファリカの人ですか?」
「リアルブルー出身や」
ルゥルがそわそわする。
「まあ、僕もですけど……」
「私もよね」
偶然が重なり、妙な沈黙が流れる。しかし、ルゥルの胸の奥は欣喜雀躍していた。
(なんか妹に似とるわ……)
千里はほほえましくルゥルを見ている。
「ほな、案内しようか」
「でもお仕事ですよね?」
「だから、さっき暇だといったやろ?」
「よろしくお願いします。あ、ルゥルです」
自己紹介をしてから一行は進んだ。
●到着
千里が話すリアルブルーの話を聞きつつ、ルゥルが質問攻めにする。
「みんな学校に通うです?」
「俺は元高校生や」
「コーコーセーはどんなことをするですか?」
「勉強や遊びに……妹は小学校だから、ルゥルもいたら一緒に通うんやろな」
「しょーがっこー!」
細かいことをあれこれ聞き、千里の答えに時々観智が付け足したり、ルゥル大興奮だ。
(ルゥル、これだと道覚えてないわよね)
マリィアは苦笑していた。
そして、一行の前に立派な建物がそこにあった。
「到着や」
千里が宣言するとルゥルは感極まったように震える。
「みぎゃあああああああああああああああああああ」
「なっ!?」
「みぎゃみぎゃみぎゃ」
マリィアの手を持ったまま、ルゥルは喜びの舞を踊っている。
「……あー、泣いてんじゃなくて、喜んでんのか」
千里は苦笑する。
「良かったですね」
「みぎゃりがとうひごじゃいます!」
「……ルゥルさん、落ち着いて!」
観智は慌てる。
「あー、そこまで感激されるとは思ってもみーひんかったわ! ひとまず、深呼吸や」
千里がルゥルの両肩に手を当て、深呼吸を促す。
「ありがとうございました」
ルゥルの顔は真っ赤だ。
「では、僕はこの辺で」
観智が手を振る。
「ありがとうございました」
マリィアがつないだ手を離したため、ルゥルは両手を振る。
「俺もそろそろ店に戻るわー」
千里は手を振る。
「お兄さん、ありがとうございました」
「おう、がんばりやー」
見えなくなるまで手を振る。
「さて、中見てみたいし、ルゥルを転移門まで送るまで付き合うわよ」
「そ、そこまでは!」
「いいのよ」
ルゥルは何度も頭を下げ、お礼を述べたのだった。
そして、ルゥルはアム・シェリタの中に足を踏み入れた。
のどかな平和な一日。
ニーナはヴァージルと帰路につく。
「ルゥル、ちゃんとたどり着いたかな?」
「占いはどうだったっけ?」
「願いは成就される」
「なら到着する」
ニーナはうなずく。
ミオレスカは図書館から帰りながら夕日を眺める。
「また、ルゥルさん、リゼリオに来るのでしょうか?」
たぶん来るだろうなとにぎやかな休日を思い出す。
観智は脳内の地図に新たなポイントを追加できた。
「何かあったら遊び行ってみましょうか」
各ユニオン、所属も移動自由で遊びにいって問題はないのだから。
占い屋に戻った千里。
「客、本当に今日は来ない……」
頬杖をついた。ふと妹のことを思い出して、目じりを下げた。
マリィアは急いでルゥルをオフィスまで送る。
転移門で行った先の時間も重要だったからのんびりはできない。
「なんとか日は沈む前に帰れるかしらね」
見送って、ほっと息を吐いた。
ルゥルは自宅最寄りのハンターズソサエティで顔なじみに話をしそうになったが、日暮れ迫ると諭された。
薄暗い街道はちょっと怖いが、無事たどり着く。
家の横の教会の外にマーク司祭がいる。彼はルゥルを見つけると走ってきた。
「マークさん、ただいまです!」
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おバカな子ほど甘やかしたい マリィア・バルデス(ka5848) 人間(リアルブルー)|24才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/04/23 00:48:37 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/23 00:44:08 |