ゲスト
(ka0000)
【陶曲】ライブライブライブ!
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/25 19:00
- 完成日
- 2017/05/10 01:26
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「……実は、現場から一本のギターが無くなってたんですよ」
ここは冒険都市、リゼリオのどこか。
「暴れていたまるごとぜんらは自動で暴れるようにされていたとみられています。つまり、歪虚化したギターがその場を離れるため、まるごとぜんらに表で騒がせてその隙に逃げた、と考えられます」
屋台が連なりテーブルやイスがひしめくフードコートでイ寺鑑(kz0175)が熱弁を振るっていた。
内容は、先日の「【陶曲】ぜんらぜんらぜんら!」事件のことである。
「よ、よし……ほとぼりが冷めるまで警備を強化しよう。何ならハンターオフィスに依頼して……」
屋台村の責任者らしい人物はこれを聞き慌てることなく対処を講じようとしている。
それに待ったを掛ける鑑。
「良い手ですが、ちょっと待ってください」
「え?」
「こういっては何ですが、そのギターはどこに行ったのか分からないんですよね。私が事情を知りながら、特にハンターオフィスに討伐を掛け合うなどしていないのは、これから実害があるかどうかわからないからです」
リゼリオから逃げ出しているんならそれにこしたことはないですよね、と鑑。
「そう確信できればいいが……あの騒ぎ、相当に卑猥で下品だったと聞く。細長いオープンテラス形式を取っている『ロゼガーデン』は建物内の飲食店に比べ騒ぎに弱い。高級店と比較して気軽に立ち寄りやすく親しみやすい半面、チープで下品という悪口もささやかれる。そこに卑猥が加わるとイメージが酷く傷つく。手は打つべきだ」
ただし、肝要なのは「注意していることがお客に伝わり、それに安心してくれること」だと口元を引き締める。
「ポイントは、『注意している姿勢を見せる』こと。完全防御は不可能だからね。対応している姿を短期間見せればそれでいい」
つまり、ハンターを数日雇って「何もありませんでした」という報告で済まそうとしているのだ。
「いやいや。もう少し経費のかからない方法がある」
ここで鑑、ぐいと身を乗り出した。
鑑、同盟領は農業推進地「ジェオルジ」の寒村「タスカービレ」に移住していた。
人口流出など厳しい状況だったが、東方テイストの村づくりで復興の途上にある。鑑は銃剣流派「青竜紅刃流」を新たに発足させ、師範を務めていた。ほかに特産品開発にもかかわっている。
というわけで、特産品である
・白茶(ぱいちゃ)
・白ワイン「レ・リリカ」
・チクワ
を売り出したいのだ。
最終的な目標は、アンテナショップを構えて恒常的な観光誘致をすること。
というわけで、青竜紅刃流が警備を担当する代わりにタスカービレの屋台をここ「ロゼガーデン」に出店させてもらいたい、と願い出たのだ。
「ワインは仕方ないが、白茶とチクワは既存の屋台と被ることはないはず。それに先日通行人に試飲などしてもらったら大変好評だった。その時の人も客として見込める。話題作りにもなるし、流派の力を持って警備させてもらう」
鑑、和装の腰に佩いていた刀の柄に手を掛け意気込みを見せる。
「ギブアンドテイクか。いいだろう。ちょうど一つの屋台が空いている。やってみるがいい」
話の分かる責任者だったようで。
「だが、一定期間だけだぞ?」
締めるところは締めるあたり、さすが出店者の多い業態の責任者である。
そんなこんなで、タスカービレ村の「東方茶屋」は屋台村ロゼガーデンの一番隅っこの小さい屋台で営業できることになった。
当日の調理と接客、警備をしてもらえる人、求ム。
ちなみに当日、「近くの長らく使われていない地下倉庫の鍵が壊され、何者かが中でどかどかうるさい演奏を繰り広げている」という騒ぎが伝わる。入った者は無人ながら宙に浮かんだ楽器類を目の当たりにし、直後何かに足を引きずられ吸い寄せられ攻撃されることになる。
すでに被害者が多数。
突入しての撃退を望まれることになる。
ここは冒険都市、リゼリオのどこか。
「暴れていたまるごとぜんらは自動で暴れるようにされていたとみられています。つまり、歪虚化したギターがその場を離れるため、まるごとぜんらに表で騒がせてその隙に逃げた、と考えられます」
屋台が連なりテーブルやイスがひしめくフードコートでイ寺鑑(kz0175)が熱弁を振るっていた。
内容は、先日の「【陶曲】ぜんらぜんらぜんら!」事件のことである。
「よ、よし……ほとぼりが冷めるまで警備を強化しよう。何ならハンターオフィスに依頼して……」
屋台村の責任者らしい人物はこれを聞き慌てることなく対処を講じようとしている。
それに待ったを掛ける鑑。
「良い手ですが、ちょっと待ってください」
「え?」
「こういっては何ですが、そのギターはどこに行ったのか分からないんですよね。私が事情を知りながら、特にハンターオフィスに討伐を掛け合うなどしていないのは、これから実害があるかどうかわからないからです」
リゼリオから逃げ出しているんならそれにこしたことはないですよね、と鑑。
「そう確信できればいいが……あの騒ぎ、相当に卑猥で下品だったと聞く。細長いオープンテラス形式を取っている『ロゼガーデン』は建物内の飲食店に比べ騒ぎに弱い。高級店と比較して気軽に立ち寄りやすく親しみやすい半面、チープで下品という悪口もささやかれる。そこに卑猥が加わるとイメージが酷く傷つく。手は打つべきだ」
ただし、肝要なのは「注意していることがお客に伝わり、それに安心してくれること」だと口元を引き締める。
「ポイントは、『注意している姿勢を見せる』こと。完全防御は不可能だからね。対応している姿を短期間見せればそれでいい」
つまり、ハンターを数日雇って「何もありませんでした」という報告で済まそうとしているのだ。
「いやいや。もう少し経費のかからない方法がある」
ここで鑑、ぐいと身を乗り出した。
鑑、同盟領は農業推進地「ジェオルジ」の寒村「タスカービレ」に移住していた。
人口流出など厳しい状況だったが、東方テイストの村づくりで復興の途上にある。鑑は銃剣流派「青竜紅刃流」を新たに発足させ、師範を務めていた。ほかに特産品開発にもかかわっている。
というわけで、特産品である
・白茶(ぱいちゃ)
・白ワイン「レ・リリカ」
・チクワ
を売り出したいのだ。
最終的な目標は、アンテナショップを構えて恒常的な観光誘致をすること。
というわけで、青竜紅刃流が警備を担当する代わりにタスカービレの屋台をここ「ロゼガーデン」に出店させてもらいたい、と願い出たのだ。
「ワインは仕方ないが、白茶とチクワは既存の屋台と被ることはないはず。それに先日通行人に試飲などしてもらったら大変好評だった。その時の人も客として見込める。話題作りにもなるし、流派の力を持って警備させてもらう」
鑑、和装の腰に佩いていた刀の柄に手を掛け意気込みを見せる。
「ギブアンドテイクか。いいだろう。ちょうど一つの屋台が空いている。やってみるがいい」
話の分かる責任者だったようで。
「だが、一定期間だけだぞ?」
締めるところは締めるあたり、さすが出店者の多い業態の責任者である。
そんなこんなで、タスカービレ村の「東方茶屋」は屋台村ロゼガーデンの一番隅っこの小さい屋台で営業できることになった。
当日の調理と接客、警備をしてもらえる人、求ム。
ちなみに当日、「近くの長らく使われていない地下倉庫の鍵が壊され、何者かが中でどかどかうるさい演奏を繰り広げている」という騒ぎが伝わる。入った者は無人ながら宙に浮かんだ楽器類を目の当たりにし、直後何かに足を引きずられ吸い寄せられ攻撃されることになる。
すでに被害者が多数。
突入しての撃退を望まれることになる。
リプレイ本文
●
「ふむふむ。チクワかぁ……懐かしいね」
霧雨 悠月(ka4130)がすり身をつけて焼く鉄の棒をいじくって懐かしそうにしていた。
「こっちじゃ珍しがってもらえるよ」
イ寺鑑(kz0175)がすり身を用意しながら言う。
そこへぬっと新たな影が。
「味ってのは記憶だからな。一定レベルの味なら、後は楽しい方が旨いのさ」
トリプルJ(ka6653)である。フードテラス「ロゼガーデン」では各屋台が開店準備を進めている。
「今日は楽しく行くぜ?」
そうすりゃ客もまた来てくれんだろ、とドヤ顔で。悠月も鑑も頷く。
「後はこっちも」
「イ寺さんは侍かぶれ、そういう私は東洋かぶれ……」
鑑が腰の刀に視線を落としたところで、ハンス・ラインフェルト(ka6750)がゆらり。腰の刀の柄を愛しそうにさすっている。
「同じかぶれ者として何をやっているのかと寄りましたが、少々悪目立ちしている気がしますね」
金髪のハンスも着物に刀で風来坊剣客姿。周りから好奇の視線を集めている。
「え?」
ここで口元に手を当てががん、と女性が立ち尽くす。
「あの、これって接客のお仕事……」
穂積 智里(ka6819)である。
悠月、鑑、J、ハンスが一斉に振り返った。それぞれ違う魅力の男性陣ばかりで半分は帯刀。まだ誰もエプロンや前掛けなどしていない。
「まあ、もしも歪虚が出れば……」
「斬りますね」
穏便に言う悠月に、不敵に呟くハンス。
「ま、それだけの簡単な仕事さ」
Jがイイ顔して締める。
「えええっ!」
わた、と助けを求めるように左右に視線を向ける智里だが、もちろん誰もいない。
「……何やってるんだかだよ」
その背後から狐中・小鳥(ka5484)が登場。
「いや、仕事の説明をだな」
「せっかくお店を開けるんだしいっぱい売らないとだよね♪ ここで皆に味を知って貰えば今後に繋がるだろうしっ」
慌てて言い訳……説明する鑑に軽く肩ぽむする小鳥。ほかの皆にはぐっと可愛らしく拳を固めてウインクしたり。
「ほっ……」
やっばり接客メーンの依頼なんですね、と安堵のため息を漏らす智里だが……。
「店は繁盛させる。歪虚は殺す。両方やんなきゃいけないのが青竜紅刃流の辛いところだね!」
小鳥の背後からばばん、とウーナ(ka1439)が登場。
再びびくっ、と身を縮める智里だったのだが、様子が少しおかしいぞ。
ウーナと小鳥をまじまじ見ている。
「何?」
「……みなさんチャイナ服で接客するんですか?」
ウーナに聞き、小鳥を見る。
「えーと」
小鳥、鑑に視線を送る。
「東方の雰囲気でやってるからね」
「な? 簡単な仕事だろ?」
説明した艦は袴姿。その肩に肘を置いて気楽に言うJは長袍に身を包んでいる。
「あれ?」
「え?」
ここでウーナ、悠月の格好に気付いた。ノースリーブだが和風でも中華風でもない。
当然、東方かぶれのハンスは着物「荒魂」姿。
「武術用の演舞服よりこういう落ち着いた格好の方が俺様の色男ぶりが上がるだろ?」
J、髪を掻き上げにやり。
これを見たウーナ、悠月をがしり。
「じゃ、色男ぶり上げよっか!」
「え? あ。鑑さん、銃剣流派「青竜紅刃流」……後で見せてくださいね!」
「見せたげる見せたげる♪」
楽しそうに連行するウーナ。悠月は流派の方に後ろ髪引かれまくりのようで。
「じゃ、智里さんもだね~♪」
「小鳥さんっ! そのっ、二の腕とか足を晒したくないので……」
小鳥も楽しく智里の背中を押して更衣室に連れて行くのだったり。
●
そして開店。
「いらっしゃいませ、東方茶屋にようこそ。お勧めは白茶とチクワのセットです」
智里、長衣と長ズボンのチャイナ服でにっこりと接客。
屋台の中では。
「悠月さん、どうかな?」
「いい感じだよ。はい、こっちが焼き上がり」
注文を伝えに来た小鳥に焼きたてチクワを横に置く悠月。
その中にチーズを通す鑑だが……。
「ちょ、ストップ!」
横のハンスを止めた。
何と、チクワにカレーをかけようとしているではないか!
「酸味のきいたカレーにブルストは最高です。ですのでブルストの代わりをチクワにさせてみることにしました。屋台でカレーブルストはテッパンです」
「ダメ。出店にカレーの許可取ってないし、それやると赤ワイン路線になってむしろチクワ単体の評価が下がる」
ハンスの主張は正しいが、それだけに周りと被るし結局カレー料理としての評価しか得られない、という理由だ。
「確かに白ワインも端麗辛口だね」
悠月、ちょいと白ワイン「レ・リリカ」を試飲して納得している。
が、落ち込むハンスではない。
「では……祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり♪」
残された道はこれのみ、とたすき掛けで袂をまとめ頭にはバンダナを巻いき、威勢よくチクワを焼く鉄棒を放り投げてキャッチしては次のすり身を付けていたり。
「懐かしいけど……歌が雰囲気に合うかどうかは微妙だね」
悠月が指で頬をかいているが、とにかく目立っている。
目立っていのは屋台の中だけではない。
「じゃ、一曲やるか」
Jがギター「ジャガーノート」を構えて一曲やり始めた。周りでワイン片手にいい気分の客たちが振り返り手拍子する。
「はいはい。こちらチクワと白ワイン「レ・リリカ」。昨日までなかった? そりゃもちろん」
足を止める人から手際よくウーナが注文を取っている。
「……先ほどまでとは集中力が違いますね」
「ああいう短期集中の方が向いてるのかもなんだよー」
安定した働きを見せていた智里、ウーナの気まぐれともいうべき働きっぷりに驚いている。
そしてウーナの特徴を説明してくれた小鳥の動きにも、びくっと反応。
何せ衣装がアレだ。
サイドのスリットが深いからすらっとした脚が丸見えで。
「ふえ……」
「あ。ニーハイとかはいてないからぷにってならないんだよ」
好奇の目でチラチラしていた智里に気付き説明するが、生足なのが気になっていたり。
そこへ、ぽーんとボールが弾んで来た。通りのテラスなのでそういうこともある。
「よっ、と。気を付けて遊ばないとダメなんだよ~」
両手に盆を持ったまま、片足を上げてボールをコントロールして遊んでいた子供たちに蹴り返す。
「白……」
ちらりん☆した様子に口元を驚く智里。その横で助平親父がおおお、と目をさらに。激しく好評だ。
さらにJの方で歓声が。
「ウチのワイン瓶ならこんなことも楽勝だ」
注文客のグラスに注いだ後、空高く空瓶複数を投げてジャグリングしている。
そしてウーナも絶好調。
「残念だけど期間限定なんだよねー。気になるのは全部注文してね♪」
それかここの管理人に要望出しとして、とあざとく期間延長工作をしてたり。
「みんな楽しそうだね」
「ちょっと! いま行ってもらったら困る!」
屋台では悠月がうずうずしていたが、いきなりそっち行って演奏するとかいうのを鑑が止める。
「ん?」
で、ハンスが気付く。
屋台広場の裏から誰かが転がるように駆けてきたのを。
●
「た、助けてくれ! お化け地下室だぁ!」
「参る!」
ハンス、呼び掛ける声に即反応。押っ取り刀で駆けつける。
「事件発生? 大歓迎!」
振り返ったウーナ、生き生きとこれに続く。心も身体も弾んでいる。小鳥、Jも早い。
「すいません、行ってきますので屋台をお願いします」
「智里さん!」
「え…あの、その…待って下さい、すぐ行きます」
鑑は周りの屋台に声を掛け悠月が智里を呼ぶ。智里、丁寧に盆を置いて後を追う。
「ギターやらの音で場所はすぐに分かるはずだ」
「よし」
最後尾の鑑が駆け付けた時は、ハンスが片膝を付いて建物の中をうかがっていた。
「どうだ?」
「楽器が浮いてこの騒音を出してますね」
「ま、ロックじゃあるがな」
聞いた鑑にハンスの答え。Jはやれやれ。
「ぜんらの次は楽器とは……何か起こってるのかな? かな?」
「この地下倉庫、罠がある?」
うーん、と楽器近くにだけ人が倒れているおかしな状況に考え込む小鳥。ウーナはハンディLEDライトを点けて投げた。
現場は入り口から数段の下り階段のある地下倉庫である。すでに使われてないようで荷物はない。広間である。その奥にギター二本のほか、ドラムセットにキーボード、マイクスタンドとタンバリンも浮いていた。ギャンギャンと気持ちよくハードなビートをプレイ中。まるで人が演奏しているような位置に浮かんで動いている。こちらに気付いているのかいないのか。
「敵が待ちなら動かすまで。ロックで負けるか!」
J、ズッギャーンとギターをかき鳴らす!
「これは行くしかないでしょう。罠があるなら2番目の方が踏み破ればいい…行きます」
同時に先手必勝の理でハンスがばっと踏み込んだ。
いや、跳躍して階段をひとっ飛び!
「随分ゴキゲンみたいだけど……」
悠月、押し殺した呟きとともに黒髪が銀髪に変わった!
「観客を力強くで引き込むなんて好かないなあ。しかもこっちじゃキーボードは珍品でしょう?」
言葉は静かながら動きは猛るよう。続いて突っ込んだ!
「あっ、やっぱり仕掛け! 糸があるっ!」
これまたほぼ同時に声を上げるウーナ。先のライトできらりと光る線を視認したのだ。
「む?」
着地したハンス、集中力抜群。ウーナの声と足に感じた異変を察知。テグスが絡んだことを理解。
ぐんっ、と足を引っ張られる!
「ともかく行くしかないんだよ」
「了解、小鳥ちゃん!」
仰け反ったハンスを見て小鳥とウーナが突入!
「何、これっ!?」
階段を行った悠月も慌てた。闇の中、細いテグスが張り巡らされ絡んできたのだ。これをショートソードで切る悠月を助ける小鳥。もちろん悠月の日本刀「白狼」も吠えていた。手厚い対応で転倒は免れる。
そしてウーナは魔導拳銃剣を剣にしてハンス救出に急ぐ!
が、ハンス。高い集中力を保持していた。
「ハッ!」
崩したバランスでむしろテグスが狙いやすくなったとばかりに半身のまま大剣「獄門刀」を一閃。テグスを切った。悠月の踏み込んだ階段に一番密度が多かったようで、ハンスは自力脱出ができた。
この時、後衛。
「ここは安全地帯か……よし!」
J、戦場を理解。続いて突入する。
「ちょっと、入らないで。ここから立ち入り禁止だ」
鑑は現場を確保。
その背後で、智里が味方に防性・強性強化を掛けつつ地下広間をあっち見てこっち見てとチラチラしていた!
(響いてる……)
ここがリアルブルーなら音響室があるはず、と探すがもちろんここにそんなものはない。
(だとしたら……あっ!)
「い、行きます」
「え?」
背後の鑑、振り向くとすでに智里は踏み込んでいた。
●
その時、先頭。
「速い・上手い・易いはテッパンです!」
ハンスが素早く手軽に容易くど真ん中に突っ込んで唐竹割り。マイクスタンドが横一直線でがきぃ、と受け止めたが。続けてギター、ギター、タンバリンが左右から叩いてくるが不留一歩で横に流れる。
「騒動はさっさと片付けないとだね♪」
「というわけで、青竜紅刃流、見参!」
代わりに小鳥とウーナがステップイン。がきぃ、とギターの痛打を受け止める。
そこへドラムとキーボードの大型がどしーん。ハンスも巻き込み広範囲掃討。
「……おかげで巻き込まれそうなのは引き寄せられたがな」
Jはファントムハンドで被害者を部屋の隅に。
「階段の上までって時間はないから……絶対ここで死守だね」
悠月も同じく幻影の腕で被害者を引き寄せていた。ただ、味方の劣勢にこれ以上の手間はかけない。
そして見詰めた最前線では!
「誰かの物だろうし壊しちゃうのは忍びないけどしょうがないよね。後で謝るということで、全力で叩き壊すんだよー!」
ダンサーズショートソードの小鳥の円舞。しかし敵の動きも軽快。自ら音楽に乗っている。
「体がない分当てにくいですね」
ハンスの言うように武器だけなのも苦戦の要因となっている。
「だったらこれだぁっ!」
ウーナ、オートマチックをぶっ放す。
が、素早い相手に当たるはずもなく一直線に壁へ。
そう。
壁に当たって……。
「青竜紅刃流・攻め崩し!」
――びしっ!
敵ギターの振り下ろしと同時に剣を薙ぎ、リフレクションショットで戻ってきた弾に当てた!
「そんなんじゃお触りできないんだよー」
最初のダメージから立て直した小鳥、ちらっ☆しながらかわす。助平客に大好評だった、これが小鳥の十八番。
「お客様、困ります……って、楽しい時間はここまで」
スライドした小鳥の影から駆け寄ってきた悠月が出て来てキーボードをばきっ。
「さぁ、キミ達のリズム感を感じさせてよ!」
悠月が加わったことで皆のリズムも変わった。
「センターが増えましたね」
「ま、今回は小鳥ちゃんとサイドでいいかな?」
ハンス、悠月の横に付きとにかくビート・ビート・ビート。その左右で自由にくるりと小鳥とウーナがスウィング・キック・シュート。激しく動くギターやタンバリンなどと激しくやり合う。
「おっと。ダンスも忘れてもらっちゃ困るぜ?」
ここでJが華麗にキック・イン。鳴らすギターで防御して、激情のキックアクションでスタンドを蹴る。
とはいえ敵のリズムも崩れていない。
その理由は――。
「これだと思います!」
味方のラッシュの影から飛び出した智里、護身短剣「銀」を腰溜めにスピーカーに体当たりした。
――がしゃっ!
敵のビート、テンション下がった。
「後は面倒なドラム!」
「任せろ!」
ウーナの叫びにJのファントムハンドがドラムを掴んで引き寄せる。
「やるしかないね!」
再びリフレクションショット。引き寄せられたドラムはすでに銃撃は食らったことがる。
耐えられると思ってか、Jに体当たりを敢行するが……。
「させませんね」
がきぃとハンスが身を挺す。
そこに、跳ね返ってきた弾!
――ばきっ……。
「『クリスタルバレット』! 舐めてもらっちゃ困るよ」
「どうしたの? 強引に引き込んどいてその程度?」
手応えにウインクするウーナ。完全に崩れた敵にさらに追い打ちをかける悠月。振るう刀が唸る・唸る。
「こっちのリズムになってきたね!」
タンバリンを仕留めた小鳥の言う通り、敵の音が小さくなると途端にもろくなってきた。
「蹴り砕ける分こっちが有利、ってね」
「バンドにかぶれた精神は見上げたものですけどね」
最後にギターをJが蹴り、わずかな抵抗をするドラムのバチを切ったハンスが身を整えた。
もう、地下室に歪虚のリズムは響かない。
その時、壊れたはずのスピーカーから音がしたッ!
「ざ……我が君よ……ざざっ……」
●「どこか」
そこは大地の裂け目。
記憶の傷跡。
カッツオ・ヴォイは深淵なる闇に恭しく「それ」を差し出した。
「我が君よ……まだ目覚める気にはなられませぬか……?」
問いかけに応えはない。
ただ、……ただ、眷属達は狂喜する。
――……ドクン……
――……ドクン……
「ふむふむ。チクワかぁ……懐かしいね」
霧雨 悠月(ka4130)がすり身をつけて焼く鉄の棒をいじくって懐かしそうにしていた。
「こっちじゃ珍しがってもらえるよ」
イ寺鑑(kz0175)がすり身を用意しながら言う。
そこへぬっと新たな影が。
「味ってのは記憶だからな。一定レベルの味なら、後は楽しい方が旨いのさ」
トリプルJ(ka6653)である。フードテラス「ロゼガーデン」では各屋台が開店準備を進めている。
「今日は楽しく行くぜ?」
そうすりゃ客もまた来てくれんだろ、とドヤ顔で。悠月も鑑も頷く。
「後はこっちも」
「イ寺さんは侍かぶれ、そういう私は東洋かぶれ……」
鑑が腰の刀に視線を落としたところで、ハンス・ラインフェルト(ka6750)がゆらり。腰の刀の柄を愛しそうにさすっている。
「同じかぶれ者として何をやっているのかと寄りましたが、少々悪目立ちしている気がしますね」
金髪のハンスも着物に刀で風来坊剣客姿。周りから好奇の視線を集めている。
「え?」
ここで口元に手を当てががん、と女性が立ち尽くす。
「あの、これって接客のお仕事……」
穂積 智里(ka6819)である。
悠月、鑑、J、ハンスが一斉に振り返った。それぞれ違う魅力の男性陣ばかりで半分は帯刀。まだ誰もエプロンや前掛けなどしていない。
「まあ、もしも歪虚が出れば……」
「斬りますね」
穏便に言う悠月に、不敵に呟くハンス。
「ま、それだけの簡単な仕事さ」
Jがイイ顔して締める。
「えええっ!」
わた、と助けを求めるように左右に視線を向ける智里だが、もちろん誰もいない。
「……何やってるんだかだよ」
その背後から狐中・小鳥(ka5484)が登場。
「いや、仕事の説明をだな」
「せっかくお店を開けるんだしいっぱい売らないとだよね♪ ここで皆に味を知って貰えば今後に繋がるだろうしっ」
慌てて言い訳……説明する鑑に軽く肩ぽむする小鳥。ほかの皆にはぐっと可愛らしく拳を固めてウインクしたり。
「ほっ……」
やっばり接客メーンの依頼なんですね、と安堵のため息を漏らす智里だが……。
「店は繁盛させる。歪虚は殺す。両方やんなきゃいけないのが青竜紅刃流の辛いところだね!」
小鳥の背後からばばん、とウーナ(ka1439)が登場。
再びびくっ、と身を縮める智里だったのだが、様子が少しおかしいぞ。
ウーナと小鳥をまじまじ見ている。
「何?」
「……みなさんチャイナ服で接客するんですか?」
ウーナに聞き、小鳥を見る。
「えーと」
小鳥、鑑に視線を送る。
「東方の雰囲気でやってるからね」
「な? 簡単な仕事だろ?」
説明した艦は袴姿。その肩に肘を置いて気楽に言うJは長袍に身を包んでいる。
「あれ?」
「え?」
ここでウーナ、悠月の格好に気付いた。ノースリーブだが和風でも中華風でもない。
当然、東方かぶれのハンスは着物「荒魂」姿。
「武術用の演舞服よりこういう落ち着いた格好の方が俺様の色男ぶりが上がるだろ?」
J、髪を掻き上げにやり。
これを見たウーナ、悠月をがしり。
「じゃ、色男ぶり上げよっか!」
「え? あ。鑑さん、銃剣流派「青竜紅刃流」……後で見せてくださいね!」
「見せたげる見せたげる♪」
楽しそうに連行するウーナ。悠月は流派の方に後ろ髪引かれまくりのようで。
「じゃ、智里さんもだね~♪」
「小鳥さんっ! そのっ、二の腕とか足を晒したくないので……」
小鳥も楽しく智里の背中を押して更衣室に連れて行くのだったり。
●
そして開店。
「いらっしゃいませ、東方茶屋にようこそ。お勧めは白茶とチクワのセットです」
智里、長衣と長ズボンのチャイナ服でにっこりと接客。
屋台の中では。
「悠月さん、どうかな?」
「いい感じだよ。はい、こっちが焼き上がり」
注文を伝えに来た小鳥に焼きたてチクワを横に置く悠月。
その中にチーズを通す鑑だが……。
「ちょ、ストップ!」
横のハンスを止めた。
何と、チクワにカレーをかけようとしているではないか!
「酸味のきいたカレーにブルストは最高です。ですのでブルストの代わりをチクワにさせてみることにしました。屋台でカレーブルストはテッパンです」
「ダメ。出店にカレーの許可取ってないし、それやると赤ワイン路線になってむしろチクワ単体の評価が下がる」
ハンスの主張は正しいが、それだけに周りと被るし結局カレー料理としての評価しか得られない、という理由だ。
「確かに白ワインも端麗辛口だね」
悠月、ちょいと白ワイン「レ・リリカ」を試飲して納得している。
が、落ち込むハンスではない。
「では……祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり♪」
残された道はこれのみ、とたすき掛けで袂をまとめ頭にはバンダナを巻いき、威勢よくチクワを焼く鉄棒を放り投げてキャッチしては次のすり身を付けていたり。
「懐かしいけど……歌が雰囲気に合うかどうかは微妙だね」
悠月が指で頬をかいているが、とにかく目立っている。
目立っていのは屋台の中だけではない。
「じゃ、一曲やるか」
Jがギター「ジャガーノート」を構えて一曲やり始めた。周りでワイン片手にいい気分の客たちが振り返り手拍子する。
「はいはい。こちらチクワと白ワイン「レ・リリカ」。昨日までなかった? そりゃもちろん」
足を止める人から手際よくウーナが注文を取っている。
「……先ほどまでとは集中力が違いますね」
「ああいう短期集中の方が向いてるのかもなんだよー」
安定した働きを見せていた智里、ウーナの気まぐれともいうべき働きっぷりに驚いている。
そしてウーナの特徴を説明してくれた小鳥の動きにも、びくっと反応。
何せ衣装がアレだ。
サイドのスリットが深いからすらっとした脚が丸見えで。
「ふえ……」
「あ。ニーハイとかはいてないからぷにってならないんだよ」
好奇の目でチラチラしていた智里に気付き説明するが、生足なのが気になっていたり。
そこへ、ぽーんとボールが弾んで来た。通りのテラスなのでそういうこともある。
「よっ、と。気を付けて遊ばないとダメなんだよ~」
両手に盆を持ったまま、片足を上げてボールをコントロールして遊んでいた子供たちに蹴り返す。
「白……」
ちらりん☆した様子に口元を驚く智里。その横で助平親父がおおお、と目をさらに。激しく好評だ。
さらにJの方で歓声が。
「ウチのワイン瓶ならこんなことも楽勝だ」
注文客のグラスに注いだ後、空高く空瓶複数を投げてジャグリングしている。
そしてウーナも絶好調。
「残念だけど期間限定なんだよねー。気になるのは全部注文してね♪」
それかここの管理人に要望出しとして、とあざとく期間延長工作をしてたり。
「みんな楽しそうだね」
「ちょっと! いま行ってもらったら困る!」
屋台では悠月がうずうずしていたが、いきなりそっち行って演奏するとかいうのを鑑が止める。
「ん?」
で、ハンスが気付く。
屋台広場の裏から誰かが転がるように駆けてきたのを。
●
「た、助けてくれ! お化け地下室だぁ!」
「参る!」
ハンス、呼び掛ける声に即反応。押っ取り刀で駆けつける。
「事件発生? 大歓迎!」
振り返ったウーナ、生き生きとこれに続く。心も身体も弾んでいる。小鳥、Jも早い。
「すいません、行ってきますので屋台をお願いします」
「智里さん!」
「え…あの、その…待って下さい、すぐ行きます」
鑑は周りの屋台に声を掛け悠月が智里を呼ぶ。智里、丁寧に盆を置いて後を追う。
「ギターやらの音で場所はすぐに分かるはずだ」
「よし」
最後尾の鑑が駆け付けた時は、ハンスが片膝を付いて建物の中をうかがっていた。
「どうだ?」
「楽器が浮いてこの騒音を出してますね」
「ま、ロックじゃあるがな」
聞いた鑑にハンスの答え。Jはやれやれ。
「ぜんらの次は楽器とは……何か起こってるのかな? かな?」
「この地下倉庫、罠がある?」
うーん、と楽器近くにだけ人が倒れているおかしな状況に考え込む小鳥。ウーナはハンディLEDライトを点けて投げた。
現場は入り口から数段の下り階段のある地下倉庫である。すでに使われてないようで荷物はない。広間である。その奥にギター二本のほか、ドラムセットにキーボード、マイクスタンドとタンバリンも浮いていた。ギャンギャンと気持ちよくハードなビートをプレイ中。まるで人が演奏しているような位置に浮かんで動いている。こちらに気付いているのかいないのか。
「敵が待ちなら動かすまで。ロックで負けるか!」
J、ズッギャーンとギターをかき鳴らす!
「これは行くしかないでしょう。罠があるなら2番目の方が踏み破ればいい…行きます」
同時に先手必勝の理でハンスがばっと踏み込んだ。
いや、跳躍して階段をひとっ飛び!
「随分ゴキゲンみたいだけど……」
悠月、押し殺した呟きとともに黒髪が銀髪に変わった!
「観客を力強くで引き込むなんて好かないなあ。しかもこっちじゃキーボードは珍品でしょう?」
言葉は静かながら動きは猛るよう。続いて突っ込んだ!
「あっ、やっぱり仕掛け! 糸があるっ!」
これまたほぼ同時に声を上げるウーナ。先のライトできらりと光る線を視認したのだ。
「む?」
着地したハンス、集中力抜群。ウーナの声と足に感じた異変を察知。テグスが絡んだことを理解。
ぐんっ、と足を引っ張られる!
「ともかく行くしかないんだよ」
「了解、小鳥ちゃん!」
仰け反ったハンスを見て小鳥とウーナが突入!
「何、これっ!?」
階段を行った悠月も慌てた。闇の中、細いテグスが張り巡らされ絡んできたのだ。これをショートソードで切る悠月を助ける小鳥。もちろん悠月の日本刀「白狼」も吠えていた。手厚い対応で転倒は免れる。
そしてウーナは魔導拳銃剣を剣にしてハンス救出に急ぐ!
が、ハンス。高い集中力を保持していた。
「ハッ!」
崩したバランスでむしろテグスが狙いやすくなったとばかりに半身のまま大剣「獄門刀」を一閃。テグスを切った。悠月の踏み込んだ階段に一番密度が多かったようで、ハンスは自力脱出ができた。
この時、後衛。
「ここは安全地帯か……よし!」
J、戦場を理解。続いて突入する。
「ちょっと、入らないで。ここから立ち入り禁止だ」
鑑は現場を確保。
その背後で、智里が味方に防性・強性強化を掛けつつ地下広間をあっち見てこっち見てとチラチラしていた!
(響いてる……)
ここがリアルブルーなら音響室があるはず、と探すがもちろんここにそんなものはない。
(だとしたら……あっ!)
「い、行きます」
「え?」
背後の鑑、振り向くとすでに智里は踏み込んでいた。
●
その時、先頭。
「速い・上手い・易いはテッパンです!」
ハンスが素早く手軽に容易くど真ん中に突っ込んで唐竹割り。マイクスタンドが横一直線でがきぃ、と受け止めたが。続けてギター、ギター、タンバリンが左右から叩いてくるが不留一歩で横に流れる。
「騒動はさっさと片付けないとだね♪」
「というわけで、青竜紅刃流、見参!」
代わりに小鳥とウーナがステップイン。がきぃ、とギターの痛打を受け止める。
そこへドラムとキーボードの大型がどしーん。ハンスも巻き込み広範囲掃討。
「……おかげで巻き込まれそうなのは引き寄せられたがな」
Jはファントムハンドで被害者を部屋の隅に。
「階段の上までって時間はないから……絶対ここで死守だね」
悠月も同じく幻影の腕で被害者を引き寄せていた。ただ、味方の劣勢にこれ以上の手間はかけない。
そして見詰めた最前線では!
「誰かの物だろうし壊しちゃうのは忍びないけどしょうがないよね。後で謝るということで、全力で叩き壊すんだよー!」
ダンサーズショートソードの小鳥の円舞。しかし敵の動きも軽快。自ら音楽に乗っている。
「体がない分当てにくいですね」
ハンスの言うように武器だけなのも苦戦の要因となっている。
「だったらこれだぁっ!」
ウーナ、オートマチックをぶっ放す。
が、素早い相手に当たるはずもなく一直線に壁へ。
そう。
壁に当たって……。
「青竜紅刃流・攻め崩し!」
――びしっ!
敵ギターの振り下ろしと同時に剣を薙ぎ、リフレクションショットで戻ってきた弾に当てた!
「そんなんじゃお触りできないんだよー」
最初のダメージから立て直した小鳥、ちらっ☆しながらかわす。助平客に大好評だった、これが小鳥の十八番。
「お客様、困ります……って、楽しい時間はここまで」
スライドした小鳥の影から駆け寄ってきた悠月が出て来てキーボードをばきっ。
「さぁ、キミ達のリズム感を感じさせてよ!」
悠月が加わったことで皆のリズムも変わった。
「センターが増えましたね」
「ま、今回は小鳥ちゃんとサイドでいいかな?」
ハンス、悠月の横に付きとにかくビート・ビート・ビート。その左右で自由にくるりと小鳥とウーナがスウィング・キック・シュート。激しく動くギターやタンバリンなどと激しくやり合う。
「おっと。ダンスも忘れてもらっちゃ困るぜ?」
ここでJが華麗にキック・イン。鳴らすギターで防御して、激情のキックアクションでスタンドを蹴る。
とはいえ敵のリズムも崩れていない。
その理由は――。
「これだと思います!」
味方のラッシュの影から飛び出した智里、護身短剣「銀」を腰溜めにスピーカーに体当たりした。
――がしゃっ!
敵のビート、テンション下がった。
「後は面倒なドラム!」
「任せろ!」
ウーナの叫びにJのファントムハンドがドラムを掴んで引き寄せる。
「やるしかないね!」
再びリフレクションショット。引き寄せられたドラムはすでに銃撃は食らったことがる。
耐えられると思ってか、Jに体当たりを敢行するが……。
「させませんね」
がきぃとハンスが身を挺す。
そこに、跳ね返ってきた弾!
――ばきっ……。
「『クリスタルバレット』! 舐めてもらっちゃ困るよ」
「どうしたの? 強引に引き込んどいてその程度?」
手応えにウインクするウーナ。完全に崩れた敵にさらに追い打ちをかける悠月。振るう刀が唸る・唸る。
「こっちのリズムになってきたね!」
タンバリンを仕留めた小鳥の言う通り、敵の音が小さくなると途端にもろくなってきた。
「蹴り砕ける分こっちが有利、ってね」
「バンドにかぶれた精神は見上げたものですけどね」
最後にギターをJが蹴り、わずかな抵抗をするドラムのバチを切ったハンスが身を整えた。
もう、地下室に歪虚のリズムは響かない。
その時、壊れたはずのスピーカーから音がしたッ!
「ざ……我が君よ……ざざっ……」
●「どこか」
そこは大地の裂け目。
記憶の傷跡。
カッツオ・ヴォイは深淵なる闇に恭しく「それ」を差し出した。
「我が君よ……まだ目覚める気にはなられませぬか……?」
問いかけに応えはない。
ただ、……ただ、眷属達は狂喜する。
――……ドクン……
――……ドクン……
依頼結果
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地下ライブ対策会議(相談スレ) ウーナ(ka1439) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/04/23 23:23:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/23 20:29:41 |