• 哀像

【哀像】剣機研究所 閉ざされた光

マスター:紫月紫織

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/04/27 15:00
完成日
2017/05/09 21:09

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●船上の人々
 船が進むに連れて、霧が立ち込め始めた。
 目的地である暗黒海域を目指し、船は征く。
 ハンター達を乗せて。

 船長のくゆらせる紫煙が霧に溶けて消えてゆく。
 最初、まだ確認することができた煙は、いつしか霧に飲まれてわからなくなった。
 濃霧は視界を覆い尽くし、先の見えない船路は船長の勘だのみ。
 そこに命を預けるハンターたちの度量は、胆力はどれほどのものか。

「やれやれ、厄介な仕事を引き受けちまったもんだぜ」

 舵を取りながら、喉の奥で笑う船長に恐れは微塵もない。
 一つ間違えれば海の藻屑と消えてしまうであろう場所を、長年の感一つ、舵が伝える海流の感触のみで掻い潜るのである。

「ろくに先も見えないな……」

 誰かがなんともなしにつぶやいた言葉は、濃霧に飲まれて消えていく。
 海面がかろうじて見えるか否か、舳先すらも見通せない濃密な霧の中、やがて島がその姿をあらわすまで、会話らしい会話もないままの時間が過ぎた

 話は、少し遡る。

●作戦会議展開中
「陽動作戦?」

 集められたハンターの一人が上げた言葉に、エリクシアはこくりと頷く。
 薄っすらと細められた目が、その依頼の重要度を物語っていると言えるだろう。

「剣機博士討伐を行う本隊に先駆けて研究所へ突入、撹乱と陽動を行っていただくものです。先駆けての突入になりますから危険度は高いと言えるでしょう、敵の数も不明です。あくまで陽動ですので危険と判断したら引いていただいても構いません。無論、出来る限り粘ってほしいとの依頼ではあります。なお、万が一ですが……生存者が居た場合は陽動から救助に移行してほしいとも書き添えてあります」

 そう言ってエリクシアはいつもの紙媒体の資料を配る。
 それを見て、ハンターの一人がなんとなしに声を上げた。

「エリクシアさんてさ、いつも紙媒体の資料用意してるけど、魔導機ディスプレイとか使えないの?」

 しん、と沈黙が下りた。
 十数秒ほどそれが続いた時、問うたハンターはそれが地雷であったと悟った。
 ごそごそとエリクシアが近場にある魔導機ディスプレイのリモコンを手に取り、無言で電源を押した。

 ――ボンッ

 なぜか、モニタが内部で爆発音がし軽く煙があがる。
 数人が突然のことにビクリと体を震わせた。

「このように、私がスイッチを推すと何故かみんな壊れるんです。というわけで紙媒体でご了承ください」
「……はい」

 それは一種の超能力ではないだろうか、いたたまれないものを見るような視線も慣れたようにかわし、改めて本題に戻られた。 

「研究所内の防衛戦力は不明。添付資料は今まで報告が上がった剣機の中から、拠点防衛するに適しているであろう個体と思われるものを私の判断で抜粋したものになります。参考になるかはわかりませんが、良ければ目を通しておいてください」

 ……
 …………
 ………………

 添付資料の説明が終わり、エリクシアが改めて姿勢を正す。

「一連の作戦は、帝国の今後において重要な作戦です。この依頼、蹴るも受けるも、皆様次第です。なお、現場では何があるか想定できません、なので撤退のタイミングも含めて全て現場の判断におまかせ致します」

●行き当たった先の光
 依頼を受け、研究所に潜入したハンター達。
 地下二階の行き当たった場所で、そのうちの一人が重そうな扉を開けた先、状況を致命的に悪化させるであろう事態に出くわすことになるのは、さて……何のいたずらだろうか?

 重い扉を開けた先、鉄格子の向こう側に囚われた人々。
 皆、まだ生きている。

「……マジかよ」
「ちょっとまて、この状況は――」

 最悪じゃないか、という言葉だけがかろうじて飲み込まれる。
 陽動で踏み入った研究所の最奥。
 逃げるに最も遠い場所。
 剣機による誘拐事件の被害者が、そこに囚われていた。

「……あ、あんたたち」

 囚われていた人々が、差し込んだ光に視線を向けて気づいたのだ。
 あなた達の姿に。

「た、助けに来てくれたのか?」
「助け、本当に? 私達助かるの!?」

 にわかにざわつく檻の中、あなた達は判断を迫られる。

リプレイ本文

●光閉ざされた場所
 目を背けたくなるような光景でも、立ち止まることは許されない。
 ここは敵陣の最奥の一つである。
 そんなことをすれば待つのは死のみだ、そしてそれはすなわち彼らの絶望にほかならない。

 にわかにざわつく檻を前に、ロス・バーミリオン(ka4718)がパンパンと手をたたく。
 自然と集中する視線。
 ある種違う意味でプレッシャーがかかるが、医者として似たような目を何度となく目にしてきた彼女がそれに屈することはない。
「……アンタ達、今から私達がアンタ達を護衛しながら脱出するわ」
 ざわ、とはっきり空気が揺れた。
「た、助かるのか? 俺たち」
「本当なの? ここから出られるの!?」
 パン、と乾いた手を打つ音。
 ざわつきが一瞬にして収まるのは、ロゼの纏う雰囲気によるものだった。
「いい? この檻から出たら我先にと飛び出さない事。大声、悲鳴を上げない事。喧嘩しない事。これは必ず守りなさい。いいわね?」
 そうして全体に事を伝えている間、檻を一つ一つめぐりマッシュ・アクラシス(ka0771)と神楽(ka2032)が細かい説明をしながら順次落ち着かせていく。
「よいですか、数の関係でバラバラに動かれると守りきれません。ひとかたまりになって動くように、いいですね?」
 でないと、安全は保証できません。
 そう、マッシュの雰囲気が語っている。
「あなた達はずっとここに? 他に人は?」
 落ち着いた所に青霧 ノゾミ(ka4377)が事情聴取のような質問を混ぜる。
 室内の広さに対して、残っていた人達は少ない――少なすぎる。
 すえた臭いに、やせ細った体。
 ただ生かされていただけではないのではないかと疑念を抱くに十分であった。
「最初は、もっと人が居たんだ……でも、定期的に連れて行かれて、誰も帰ってこなくて……」
「辛いことを思い出させたね、あなた方は俺達の指示に従えば逃げられる。安心して」
 小さな力のない嗚咽が収まるまで、ノゾミは大丈夫だと、伝え続けた。
 順次落ち着いていく囚われの人々だが、神楽の方が少々問題であった。
「な、なぁ……あんた、大丈夫なのか?」
 神楽の様子に、檻の中から不安の声が漏れる。
 ここに来るまでの間、先の依頼で受けた傷口が開いた神楽は満身創痍に近い状態だ。
 頼みの綱のハンターがこんなでは、脱出は危ういのではないか、そんな考えが虜囚の一人の頭をよぎった。
「落ち着くっす。既にここに来るまでに敵はあらかた倒してあるっす」
 強敵だったっす、と続く言葉は、その有様を見れば真実味がある。
 そして、見た目の重症度に比べて思いの外しっかりとしていることも、上手く働いた。
 必死に気を張っているだけではあるが。
「更に先行部隊が帰り道の掃除をしつつ、後衛部隊が敵の追撃を抑えるんで安全っす。あ、勿論護衛もつけるっすよ。なんで俺達の言う事をきけば必ず助かるっす。でも聞かないと俺みたいになるっす」
 ハンターでないのにそんなことになったら死んでしまう、そう思って聞く人達は真剣そのものだった。
 まさしく、怪我の功名であった。

●光を目指して
 氷雨 柊(ka6302)の聴覚と嗅覚に頼り、左右に時折伸びる通路を確認しつつ、撤退は進行中である。
 要所の警戒をマッシュが、そして柊の間隔に引っかかったゾンビの殲滅をクラン・クィールス(ka6605)が担当することにより、帰路の確保は比較的順調であった。
 まとめて貫いたゾンビを、剣を振り払って捨てる。
 もはや動かなくなり塵に帰るそれを見て、ふぅと小さく息を吐いた。
「柊、これでこちらの通路は終わりか?」
「はい、特に何も聴こえませんからおそらく」
 耳を澄ませていた柊がクランの言葉に頷いて返す。
「順調だな、このまま階段まで確保したいところだが」
 ちらりと柊を見つつ、軽く自身を回復する。
「どうやらそうはいかないみたいですねぇ、正面から一体、かなり臭うのでゴーレムでしょう」
「ちっ、厄介だな」
 図体の分しぶといアンフレッシュゴレームは、倒すためのコストが重い。
 あまり遭遇したい相手ではなかった。
 しかし相手にしないわけにもいかない、薙刀を構えて柊が前に立つ。
 薄暗い通路の中から、腐臭と腐汁を撒き散らす肉塊の姿が顕になる。
「ここからの脱出は大変そうですがー……誰1人として見捨てられませんねぇ」
 アンフレッシュゴーレムの突進を薙刀で正面から受け止め、その腐臭を必死に堪えながら切り返す。
「この先、通しませんよぅ?」
 流動する腐肉の体は、まともに組み合うと飲み込まれてしまいそうである。
 斬撃は効果が薄いのか、切り裂いた跡は溶けるように飲み込まれていく。
 だが、柊はそれでいいとばかりに薙刀を振るう。
 最も気をつけるべきは、敵を護衛対象――つまり背後へと逃さないことだ。
 そのためには自分に最大限引き付ければいい。
 そうすれば――
「押し通らせていただきますよ」
 柊の背後からするりと躍り出たマッシュが黒い刀身を振るう。
 大きく全身を躍動させて繰り出された一撃が、ゴーレムの下半身を苛烈に揺さぶる、それによって崩れた重心に追い打ちをかけるかのように、クランの大剣による背面からの一撃が炸裂する。
 不浄を祓うかのようなその刀身、身の丈ほどもあるそれが腐肉を溶かしていくと、ついぞ腐肉の塊は力を失うように朽ちて山となる。
「まあ、押し通る等と言いつつ全力で逃げている訳ですがね、これは」
 肉塊が溶け消える、その、最後の刹那。

 ――あり、が……とう

 微かに聞こえたその言葉に、三人の表情がこわばった。
 つぅ、と嫌な汗が頬を伝う。
『こちら神楽っす、そっちはどんな状況っすか?』
 不意に入った魔導短伝話の音に、ビクリと反応してしまい慌てて取り落としそうになる柊。
 それをひょいと手に取り対応したのはマッシュだった。
「問題ありません、そのまま進んでください。此方はそろそろ階段が見えてくる頃のはずです」
『了解っす! みんな、このまま進むっすよ!』
 通信が終わり、しんと静まる。
 そうだ、ここはおぞましい研究所なのだ。
 そういうことがあっても、おかしくはないだろう。
 だが、もしもこれが揺さぶりであるのならば――
 揺れてはいけない。
「面倒な状況だが、やれるだけやるしかない。……切り抜けるぞ」
 クランの言葉に頷く柊とマッシュ。

 先に進まなければならない。
 今はまだ、生きている人のために。

●先はいまだ暗けれど
 先行組が進むのに合わせて、一般人十二名を含む護衛の三人、そして後衛の二人もまた前へと進む。
 階段を登り一階へとようやく上がった頃には、精神的な消耗はすでに往路で積み重なったものと同等程度に蓄積されていた。
 最後尾のノゾミがアースウォールを使って背後の憂いを断つ。
 それだけでも一般人の緊張がいくらか和らいた様子だった。
「ここまでは順調っすね」
「そうだね、順調すぎて逆に気味が悪い」
 塞がったアースウォールを確かめるように触りつつ、皆が上に登っていくのを待つ。
「本体の方に手が行き過ぎて、こっちが手薄になってるとかっすかね?」
「だとすると陽動である僕らの仕事ぶりが問われることになるな、単純に一番最後に荒らした階だったから、というのが妥当だろう」
 つまり、本番はこれからということになる。
 階段の途中で力尽きていた若者を上までおぶって進み、ママチャリの籠に乗せる。
 栄養状態の悪い、言ってしまえば瀕死の一般人にこの行軍は辛いものがあるだろう。
 そんな状況を少しでも支えるように、神楽は気丈に、ノゾミは余裕の表情を崩さない。
 僅かな希望、ささやかな安心感。
 そうしたものが支えになる時、それが今だ。
 折れそうになる人々を鼓舞する二人。
 その励ましにまた一歩、歩みは進む。


 がこ、という音に真っ先に反応したのはヴィリー・シュトラウス(ka6706)だった。
「上です!」
 上部に備え付けられたダクトから這い出してくるゾンビに、レム・フィバート(ka6552)とロスが即座に構えを取る。
 四、六、七……数えて十。
 やはり組織的に、統率されて動いている、そう確信しながらヴィリーは盾を構え前に出て剣を振る。
 ゾンビ達の注意がヴィリーへと向いたのは、それを最優先の脅威とみなしたからだろうか。
「カールスナウト。死者を祓う魔剣……その力、借りる時みたいだね」
 振り下ろされる爪を受け止め、剣で不浄を切り払う、ゾンビたちの攻撃を一身に受け止めるその姿は、震える人々には聖騎士のように映っただろう。
「絶対後ろへは行かせないわよ!! レムちゃん、オンナの底力見せてやりましょう!!」
「おうともさ! レムさんに任せておきなさーい♪」
 範囲は直線、射程は圏内、数の差はいかんともし難いこの状況、ならば取る手段は一つ。
 ヴィリーが前に出て足止めしている今がチャンスと体内のマテリアルを練り上げる。
 次の瞬間には、通路を覆い尽くすほどの気功による一撃がゾンビをまとめて吹き飛ばされた。
 かろうじて耐えきったゾンビも、ロスの鞭とヴィリーの聖剣の前に討ち取られ前方は無力化された。
「ダクトとは……盲点でしたね」
 盲点というよりも、そこまで気を回していたらそもそも進行もままならないだろう。
 そのための護衛であるし、何より配置が良かった。
 突如現れた敵を一掃してみせたハンターたちに、士気が回復する様子すらあったほどである。
「少し前衛との距離は詰めたほうがいいかもしれないわね」
「それじゃあちょっと連絡しちゃいますかー」
 そんな時、後ろで炎が吹き荒れた。

「後ろから追撃っす! 急いで進んでほしいっすよ!」
 魔導短電話に叫びつつ、人々をかばうように位置取りする神楽、その隣でノゾミが次の魔術を展開する。
 突如として下がった気温、吹き荒れる冷気の嵐にゾンビたちの動きがぎしりと鈍る。
(スキルの残りが厳しい、か)
 すでにどれも片手で数える程度しか残数は残っていない。
 それでも自分が取り乱せば不安が広がる、そのために踏みとどまる。
 自信満々で仁王立ちし、続けざまに巻き起こる火炎にゾンビたちが包まれていく。
「さぁ、此処から先は通さないよ」
 アースウォールによって仕上げとばかりに封鎖が施される。
 これで一時だが更に時間が稼げる。
 少しでも距離を取るべく、まだ見えぬ光目指して皆が駆け出した。

●立ちふさがるもの
 最初に踏み入った通路、つまり最後の通路まで戻った時、とうとうそれが立ちふさがった。
 満身創痍と言っても過言ではないマッシュ、柊、クランの三人を前に、左右一対のように見える、刀を構えた元ハンターと思わしきゾンビ。
 全身いたるところに謎の機関が添えつけられた醜悪な姿を晒している。
「あなた達で最後ですよぅ」
「…とは言ったものの、余裕とも言っていられませんな。割に」
 すでに満身創痍に近いこの状況で、後に続く者たちが来る前に片付けられるほどにぬるい相手とは思えない。
「来ます!」
 薙刀の柄で二刀を受け止める。
 鏡写しのように息の合ったその一撃に、柊の体が浮いた。
 その一瞬を追い打つように、人間の腕では曲がることの決して無い部分が関節として蠢き斬撃を繰り出す。
 それぞれをクランとマッシュが受け止め、そして返す。 
「させるか!」
 硬直に返すように振るうそれぞれの剣は空をかすめた。
 攻撃の後、留まらずに動くその動きには見覚えがある。
 舞刀士のスキルにそっくりだ。
 だが、それはつまり――
「知ってる、ってことなんですよねぇ」
 二体のゾンビが動きを終えたところへ、柊の薙刀が振るわれる。
 通路を開けるように、壁際へ叩き込む。
 その聴覚で、背後から聞こえる詠唱に、後ろも見ずに合わせたのである。
「――罪を断ち罰せよ、Judgment!!」
 壁際へと寄せられた二体のうち片方に光の杭が突き立った。
 ヴィリーの魔法による援護は、柊の機転によって見事に突き刺さる。
「今ですロゼさん! レムさん!」
「タイミングドンピシャよヴィリーちゃん!」
「突っ込みますよぉ!」
 這い寄る影のように走るロス、そこから繰り出される無数の斬撃が二体の元ハンターゾンビを捉え制圧する。
 更に、ヴィリーの魔法により固定されたゾンビに対して、爆ぜるような鋭い踏み込みをするレムが続く。
 最短距離を突き抜けたその一撃は綺麗に直撃しその四肢を軋ませる。
 倒しきるまでには至らないものの、二人の攻撃は確かなダメージを積み重ね――動けない状況は的を生み出す。
「んふ、いい的ですねーっ♪」
 気功で生み出された青い龍が二体を飲み込む。
「制圧制圧ーっ」
「――輝け、聖なる雷!」
 比較的余力のあった三人が加勢にはいったことで、状況はあっという間に覆る。
 手数の違いは圧倒的であった。
 そしてこの段階になって、元ハンターゾンビ二体の動きが突然糸が切れたように粗悪なものへと変わったのである。
「後ろっ、もう限界っす、みんな走るっすよ!」
 抑え込まれたハンターゾンビ、そこから距離を取りわっと走り出す、その背後へ、ノゾミが最後のアースウォールを展開した。
「切れる手札はこれでラストだ!」
 二体を抑えにロスとレムが相手をし、そこにヴィリーが魔法の援護を行うことで状況を決定的なものとする。
 この時間が、彼らに光をもたらした。

●愛しき光に手を伸ばし
 背後で響く剣戟の音を尻目に、駆ける――駆ける。
 スキルをほぼほぼ使い果たしてしまったクランと柊、そして神楽が先導し、十二人を引き連れて出口へと駆ける。
 霧に覆われてなおその光は暖かく、望む手が伸びる。
 長く暗い道の果てに、その光を掴むべく手を伸ばす。
 あとちょっと、もうすこし……そして彼らは――


 船室をあてがわれた十二人は食料と水で腹を満たし、その安心感から皆熟睡していた。
「なんとか、無事に助け出せましたねぇ」
「そうだな」
 柊の言葉に、頷いて返しつつクランは空を見上げる。
 真っ白い霧しか見えない光景だ。
 降り注ぐ光も僅かなもので、とてもあたたかい陽射しとはいえないだろう。
 こんなものでも、彼らは切実に求めたのだ。
「霧を抜けたらもうひと騒ぎありそうですねぇ」
「そうだな……」
 それはきっと、命の危険とは関係のない、平和な時間となるだろう。
 今は、それでよしとしよう。

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重体一覧

参加者一覧

  • 無明に咲きし熾火
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士

  • 青霧 ノゾミ(ka4377
    人間(蒼)|26才|男性|魔術師
  • Lady Rose
    ロス・バーミリオン(ka4718
    人間(蒼)|32才|男性|舞刀士
  • 一握の未来へ
    氷雨 柊(ka6302
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • キャスケット姐さん
    レム・フィバート(ka6552
    人間(紅)|17才|女性|格闘士
  • 望む未来の為に
    クラン・クィールス(ka6605
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • BravePaladin
    ヴィリー・シュトラウス(ka6706
    人間(紅)|17才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 人質救出大作戦相談卓
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2017/04/27 07:40:31
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/27 09:46:29