ゲスト
(ka0000)
【界冥】ファイアーウォール・インストール
マスター:cr

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/09 07:30
- 完成日
- 2017/05/18 01:27
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「はあぁぁぁぁぁぁっ!?」
ハンターズソサエティに素っ頓狂なナディアの声が響く。
「どうされました総長、あ、これお茶です」
「それがじゃな……(ずずー)あちっ!」
お茶を口に含んで落ち着きを取り戻したナディアが、咳払いを一つしてから話を始める。
「まあこの報告書を見てくれ」
「ああ、先日エバーグリーンからこっそり持ち込んだオートマンをオークションしていた連中の所に、我々が踏み込んだ時の報告書ですね」
「全く何を考えとるんじゃか……っと、そこではない、その突入する前、オフィスに掛かってきた緊急報告のところじゃ」
「えーっと、何々……精霊……組み込み……人格を実装……」
読み上げながら、その職員の言葉数も減っていく。そこに記されていた言葉が何を意味するのか、少しずつ理解したからだった。
●
「ラプラスちゃーん、何しに来たの? こっちは忙しいんだからさぁ」
一方ここはエバーグリーン。とある建物の中で、甲高い男の声が木霊した。その声の主の名はカスケード。サーバーに巣食う歪虚だった。
「忙しいのか。それならば失礼する」
「ええっ!? まさかのマジレス!? 相変わらずだよねラプラスちゃん。何をしているのか気にならないの!?」
「自動兵器の配置と調整だろう。私は既に終わっているものだと思ったのだが」
「さっすがラプラスちゃん、わかってるー! いやね、オートマトンを幾つか配置してインストールしておいたら大丈夫かと思ってたんだけどさぁ、やっぱ中古品はダメだわ。っちゅーわけで、新品をちょっと使っちゃおうかなぁ、って思ったわけー。まあ、俺っちがこんなこと言わなくてもラプラスちゃんならぜーんぶ分かってるよね? なにせラプラスちゃんは元々……」
「黙れ」
黙示騎士の短い言葉が放たれた。
●
おそらくかつてはマテリアルを利用した移動手段が中に備えられていたのだろう。そうでなければ32階層に上るこの高さを徒歩で登るのはあまりに困難だ。
転移したハンター達が見たのは、細く高くそびえ立つ塔と、その隣に伸びる更に高い塔、二つの塔が並び立つ姿だった。推測するに、往時は高い塔に置かれたサーバーを、低い塔から管理、コントロールしていたのだろう。その証拠に高い塔への出入り口は少なくとも周囲を観察するに存在しない。代わりに二つの塔の間をつなぐ渡り廊下が移動手段であった。奇跡的に風化を免れ、透き通った素材で作られた壁が見える。
ハンター達は静かにそびえるその塔を登っていく。階段を登り続けてどれだけの時が経ったのであろうか。ようやく、そこに天空に浮かぶ渡り廊下が姿を表した。
繁栄していた当時なら、そこから見える風景は息を呑むような絶景だったであろう。しかしその面影はどこにもない。ハンター達は慎重に歩を進めていく。
ハンター達がその渡り廊下の中央にたどり着いたときだった。彼らの目の前に人影が現れたのは。
少女の姿をしたそれはしかし人とは違うものだった。細身のその身体には似つかわしくない、太くゴツゴツと盛り上がった右肩、右腕。そこに取り付けられている機械のパーツ。そのパーツが彼女がオートマトンと呼ばれるそれであることをこちらに示してくれていた。敵意は感じられない。だが、このまま通してくれそうにもない。通り抜けようとする者を倒すことだけをプログラミングされている。
ハンター達は目の前の敵に備える。その瞬間響く轟音、背中に感じる風、振り向いたハンター達が見たものは、少年の姿のオートマトンだった。両手両足に甲冑を思わせるパーツが取り付けられている。
「レディース・アーンド・ジェントルマーン! 今回のオマヌケちゃん達に用意されたのは前からオートマトン、後ろからオートマトン、どっちもオートマトンのスッペシャルセットだぁっ! っちゅーわけでどんなオマヌケでもおわかりの通り挟み撃ちになったわけだけど、ねえどんな気持ち? ねえどんな気持ち? アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
カスケードの甲高い笑い声が渡り廊下に響く。しかし奴の言葉を聞くまでもなくわかった。突破しなければ先は無いということを。
「はあぁぁぁぁぁぁっ!?」
ハンターズソサエティに素っ頓狂なナディアの声が響く。
「どうされました総長、あ、これお茶です」
「それがじゃな……(ずずー)あちっ!」
お茶を口に含んで落ち着きを取り戻したナディアが、咳払いを一つしてから話を始める。
「まあこの報告書を見てくれ」
「ああ、先日エバーグリーンからこっそり持ち込んだオートマンをオークションしていた連中の所に、我々が踏み込んだ時の報告書ですね」
「全く何を考えとるんじゃか……っと、そこではない、その突入する前、オフィスに掛かってきた緊急報告のところじゃ」
「えーっと、何々……精霊……組み込み……人格を実装……」
読み上げながら、その職員の言葉数も減っていく。そこに記されていた言葉が何を意味するのか、少しずつ理解したからだった。
●
「ラプラスちゃーん、何しに来たの? こっちは忙しいんだからさぁ」
一方ここはエバーグリーン。とある建物の中で、甲高い男の声が木霊した。その声の主の名はカスケード。サーバーに巣食う歪虚だった。
「忙しいのか。それならば失礼する」
「ええっ!? まさかのマジレス!? 相変わらずだよねラプラスちゃん。何をしているのか気にならないの!?」
「自動兵器の配置と調整だろう。私は既に終わっているものだと思ったのだが」
「さっすがラプラスちゃん、わかってるー! いやね、オートマトンを幾つか配置してインストールしておいたら大丈夫かと思ってたんだけどさぁ、やっぱ中古品はダメだわ。っちゅーわけで、新品をちょっと使っちゃおうかなぁ、って思ったわけー。まあ、俺っちがこんなこと言わなくてもラプラスちゃんならぜーんぶ分かってるよね? なにせラプラスちゃんは元々……」
「黙れ」
黙示騎士の短い言葉が放たれた。
●
おそらくかつてはマテリアルを利用した移動手段が中に備えられていたのだろう。そうでなければ32階層に上るこの高さを徒歩で登るのはあまりに困難だ。
転移したハンター達が見たのは、細く高くそびえ立つ塔と、その隣に伸びる更に高い塔、二つの塔が並び立つ姿だった。推測するに、往時は高い塔に置かれたサーバーを、低い塔から管理、コントロールしていたのだろう。その証拠に高い塔への出入り口は少なくとも周囲を観察するに存在しない。代わりに二つの塔の間をつなぐ渡り廊下が移動手段であった。奇跡的に風化を免れ、透き通った素材で作られた壁が見える。
ハンター達は静かにそびえるその塔を登っていく。階段を登り続けてどれだけの時が経ったのであろうか。ようやく、そこに天空に浮かぶ渡り廊下が姿を表した。
繁栄していた当時なら、そこから見える風景は息を呑むような絶景だったであろう。しかしその面影はどこにもない。ハンター達は慎重に歩を進めていく。
ハンター達がその渡り廊下の中央にたどり着いたときだった。彼らの目の前に人影が現れたのは。
少女の姿をしたそれはしかし人とは違うものだった。細身のその身体には似つかわしくない、太くゴツゴツと盛り上がった右肩、右腕。そこに取り付けられている機械のパーツ。そのパーツが彼女がオートマトンと呼ばれるそれであることをこちらに示してくれていた。敵意は感じられない。だが、このまま通してくれそうにもない。通り抜けようとする者を倒すことだけをプログラミングされている。
ハンター達は目の前の敵に備える。その瞬間響く轟音、背中に感じる風、振り向いたハンター達が見たものは、少年の姿のオートマトンだった。両手両足に甲冑を思わせるパーツが取り付けられている。
「レディース・アーンド・ジェントルマーン! 今回のオマヌケちゃん達に用意されたのは前からオートマトン、後ろからオートマトン、どっちもオートマトンのスッペシャルセットだぁっ! っちゅーわけでどんなオマヌケでもおわかりの通り挟み撃ちになったわけだけど、ねえどんな気持ち? ねえどんな気持ち? アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
カスケードの甲高い笑い声が渡り廊下に響く。しかし奴の言葉を聞くまでもなくわかった。突破しなければ先は無いということを。
リプレイ本文
●
「エバーグリーン、技術力の高い世界、まさに宝の山だな!」
地上100mのその場所で、透き通った外壁から見るエバーグリーンの光景を見て、仙堂 紫苑(ka5953)はそう言った。この渡り廊下の先に見える扉、その向こうにはこの世界が生み出した技術の残滓である“サーバー”があるはずだ。それやオートマトンの技術を加えれば、自分の持つパワードスーツの強化も期待できる。一行は胸を膨らませて先へと進む。だが。
「マンマ・ミーア! 挟み撃ち!!」
気づいたときには二体のオートマトンに挟まれていた。その状況に超級まりお(ka0824)が思わず声を上げる。
「おやおや、これは大変だ。分かりやすくて良いですね。やり甲斐があります」
だが、ハンター達はこの状況でも落ち着いてた。鳳城 錬介(ka6053)はそう言葉にする。なぜなら。その理由を雨を告げる鳥(ka6258)が語る。
「私は思案する。挟撃か。だが、前方のオートマトンのプログラムには隙があるようだ」
彼女は思案しこの状況を突破する術を探っていた。しかしその時耳障りな声がこの廊下に響く。
「……煩い、ざくろ達は遊びでここに来てるんじゃないんだ、その品の無い笑い直ぐに黙らせてあげるよ」
その人を苛つかせる声を聞きながら、時音 ざくろ(ka1250)はそうつぶやいた。そして。
「きっと、連れて行くカラネっ」
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)のその言葉と同時に戦いが始まった。
●
戦いが始まると同時にハンター達がしたことは、まず来た道を取って返すことだった。
「おーっと、尻尾巻いて逃げだしちゃうわけね。ウンウン、賢明だよ~。ま、そんなことさせるわけないんだけどね! アッヒャヒャヒャヒャヒャ!」
カスケードの高笑いと共に、前に居た少女型がこちらに向かってくる。
「それにしても楽しそうですね、カスケード。君は今どんな気持ちですか?」
「そりゃ最高に決まってるじゃーん!」
呆れるような鳳城の言葉にカスケードが返答していた間もハンター達は動いていた。それを追いかける形の少女型。しかし彼女は少し進んだところで、突然爆発的に加速しこちらに向かってきた。
だが、それを塞ぐようにカール・フォルシアン(ka3702)が立っていた。片手には杖。もう片手には盾。その盾で衝突を受け止める。
しかし盾の隙間をかいくぐるように青白い光の剣が彼の腹部をえぐっていた。その光の筋をたどれば、オートマトン、彼女の腕に付いたパーツにたどり着く。ここからエネルギーの剣を出し突進と同時に突き刺してきていた。当たる直前まで展開されないその剣が、達人の居合抜きの様にカールにその剣筋を読ませない。
カールのもう片方の手に持たれていた杖の先端は花開くように光が展開していた。彼の全身にはマテリアルの薄い光が纏われる。このマテリアルの鎧でダメージを抑えていた。そして彼は叫ぶ。
「通して下さい! 僕達は貴女の同胞、貴女方を救いたいんです!」
だが、その彼の思いをあざ笑うかのように、少女型はその場に留まらず流れるように動いていた。彼が彼女の心へと伸ばした手をかいくぐるかのように彼女は動く。
そこに居た岩井崎 メル(ka0520)に出来ることは一つだった。ワイヤーを引っ掛け動きを止める。すぐに振りほどかれてしまったが、ほんの少しでも時間を稼ぐことは出来た。その隙に仕切り直し、二人は少女型に向かい合う。
●
一方その頃、来た道を戻っていたハンター達の前に立ちふさがったのは少年型。彼からは敵意は感じられない。ただ命令されたとおり、ハンター達を逃さないためそこに立ちふさがる。
そこへ向けて、ハンター達の中からも一人飛び出していた。仙堂の機械仕掛けのシューズの足裏からマテリアルが噴出され、それに押されて滑るように飛び出していく。そのまま一気にオートマトンの脇をすり抜け向こう側に回り込もうとしていた。
だが、オートマトンは命令通り仙堂を止めようとする。彼が己の横を通過するまさにその瞬間、全身から、厳密には両手両足に付いたパーツから電撃が放たれる。
それに対し受け止め、障壁を展開して跳ね返そうとする仙堂。しかしその前にたどり着いた電撃が彼の全身にもたらした痺れがキー操作を完了させなかった。うずくまり、耐えるのが精一杯の仙堂。
「着装マテリアルアーマー! 魔力フル収束」
その時ざくろはマテリアルを纏い始めていた。そのマテリアルは彼の体を覆い、鎧と化していく。
そして仙堂をかばうかのように、彼が通り抜けようとしたオートマトンの側面部へと飛び込む。再び放たれる電撃。
だがその電撃はざくろのマテリアルの鎧の前に無力だった。マテリアルが電撃を弾き、少しの間彼の周囲を覆っていたその電撃は程なくして跡形もなく消え失せた。
消え失せたと思った瞬間、再び電撃が放たれた。しかしこれはオートマトンが放ったものではなかった。
「超機導パワーオン、弾け飛べ……」
ざくろから飛び出た衝撃が電撃とともにオートマトンにぶつかり、彼の体を吹き飛ばし壁に叩きつける。
「さぁ、今のうちに!」
その隙にハンター達が走り抜ける。痺れから回復した仙道が、パティが、鳳城が、レインが駆け抜ける。
そしてまりおは側面ではなく、ほぼオートマトンにぶつかるように走り抜けた。彼女がぶつかる瞬間、ギリギリの所で体を傾けかわしながらそのまま刀を振り抜く。
オートマトンは反撃を行う。仙堂が試みざくろが叩きつけた障壁と同じ様に、左腕の装置から光の壁を作り出すとそれをまりおに叩きつける。
だがまりおのダッシュスピードはオートマトンには到底追いきれるものではなかった。彼女が通り過ぎた後に光の壁は飛んでいき、そのまま通路の側面にぶつかっていた。
●
メルは懐中時計を握る。すると彼女の体から放たれたマテリアルがカールへと流入していく。少女型の攻撃を見切ってかわすのは相当困難だ。ならば受け止める他無い。その手助けとなるよう、彼女はカールにマテリアルを流し込む。
そこに彼女は飛び込んできた。寸前までその剣筋を悟らせず、反撃をさせぬよう斬撃の後はすぐに動く。それは達人の剣捌きをプログラミングされたというのか。
再びカールが前に立ち、受け止める。今度も受け止めきれず、その剣が彼の体を傷つけるが、その傷は随分と浅くなっていた。メルの力のおかげだった。
そんな中メルはオートマトンの姿を見つめていた。彼女には叶えたい思いがあった。冷徹な戦略上の判断でもあり、彼女自身の願いでも合った。エゴと言っても良い。彼女はそれをぶつけるときを伺っていた。
●
ざくろの作り出した隙に裏へと抜けたハンター達。だが、オートマトンはその一団に向けて右腕を突き出す。一瞬後にそこから火炎が吹き出された。
広がっていく火炎はこの狭い通路を埋め尽くす。とっさに前に出てその炎を盾で受け止めようとする鳳城。しかし彼自身は受け止められたとしても、炎は隙間を縫い後ろへと襲いかかる。抜けた直後で固まっていた一団にそれをかわす術は存在しない。
通路を埋め尽くした炎がハンター達を焼き、焦がしていく。仙堂やざくろにもその熱がダメージを負わせる。ましてや、防御力のそこまで高くないパティやレインでは。
パティはその熱の前に意識を失いそうになっていた。視界がかすみ、ふらふらとふらつく。
だがレインは炎が彼女の体に襲いかかる寸前、己の周りを光の壁が覆うのを見た。薄い光の壁に炎が当たればそれは程なくして砕け、燐光を残して消散する。しかしそれにより和らげられた炎は彼女に傷を負わせたとは言え、倒れるまでは行かなかった。
その光の壁を産み出したのは鳳城だった。とっさの判断がこの結果をもたらしていた。だが彼は立ち止まらない。すぐに祈りを込める。
すると強くも暖かい光がパティの体を包む。その光は彼女が負った深手をみるみるうちに癒やしていく。その光が晴れた時、彼女の受けたダメージは嘘のように消え失せていた。
一方、そこに居たはずの、炎に包まれていたはずのまりおの姿は掻き消えていた。彼女はその時既に再び走り出していた。もう一度脇をすり抜け、振り向いたオートマトンのさらに背後を取る。さらに通り抜ける瞬間その右腕へと斬撃を一つ加えていた。澄んだ金属音が響く。
その残響が消える前に、レインとパティが動いた。既に倒れ伏していたはずの彼女たちは、鳳城によって今まさに立っていた。パティは符を一枚抜き投げ放つ。
「流転せよ。流転せよ。不均衡なる力。天恵にして災禍。青き奔流よ。彼の者を世界の理に還せ」
同時にレインが詠唱を開始する。足元に現れる七芒星。その頂点から水流が生み出され放たれる。そこにパティの放った符が火球と化し、螺旋を描くように奔り、オートマトンの両腕へと当たっていた。
仙堂はデバイスを操作し、オートマトンの状態を確認しながらさらにキーを叩く。すると彼の前にマテリアルが集束していき、やや合って光の矢と化して放たれた。
そしてざくろが操作すれば、光の三角形が現れ、その先端から光線が放たれる。一本は虚空に、一本は少年に、そしてもう一本は少女に。三本の光線がそれぞれを貫く。
腕で光を受け止める少年型。しかし集中された攻撃が彼の腕にダメージを与え、そして引きちぎっていた。
「君達の仲間を助けたいんだ、だから少しだけこの先に行かせて」
オートマトンは機械のはずだ。だから血は流れない。それでも片腕を失ったその人にしか見えない姿は得も言われぬ罪悪感を与える。ざくろは贖罪するかのように、そう一つ呟いた。
●
少女型は三度カールに襲いかかる。繰り返される同じ動き。真っ直ぐ進み突きを加える。単純だが正確無比な剣をカールは受け止め続けていた。
そんな中、背後で何が起きているのか二人は感づいていた。ざくろが道を開いてくれた。ならば。
カールはもう一度剣撃を盾で受け止めると、すかさず障壁を展開した。先程少年型をざくろが弾き飛ばしたときのように、その障壁は少女型を弾き飛ばす。彼女は吹き飛ばされるも大きな音も立てず着地し、次の一撃を狙ってか構えを取るが、その次の一撃が来る前に二人は後ろへ飛び少年型の側面をすり抜ける。だがその時だった。
「あれは……」
鳳城は盾の隙間から天井が僅かに動いたのを見た。それに反応するや否やオートスパイダーが二人の元へと降ってくる。
しかし、落下する寸前にそれを閉じ込めるように冷気の柱が立ち並んでいた。
「凍れる棺よ開け。永久の刻を巡る白き闇。無音の世界の中で安息を齎さん」
レインが反応していた。生み出された柱はオートスパイダー達を閉じ込め、その内部に吹雪を巻き起こす。
冷風が吹き抜けた後には関節が凍りついたスパイダー達が残されていた。
「そりゃ当然出て来るよねー」
まりおもそれは予想していた。スパイダーに追い打ちの一撃。そこに仙堂は光の矢を放てば伏兵は沈黙していた。
そしてメル達が合流し、一団に戻ったハンター達は再び攻撃を開始する。もう一度火炎と水流が重なり、三角形の頂点から光線が放たれる。さらにカールも光線を放ち、攻撃を集中させる。今度は脚。少年型の脚部が破壊され、バランスを崩し崩れ落ちる。
「ハロー、ハロー。パティダヨ。あなたと友達になりたいな」
そんな中、パティは攻撃の手を止めず、しかしじっとオートマトンの瞳を見つめていた。彼女はオートマトンとも心が通じると思っていた。
「あのさぁ、ただの機械にそんなに呼びかけたってそれでそっちの味方になるなんていうご都合主義はそう起こらないと思うぜ?」
その思いをばっさりと切り捨てるカスケード。だがパティは諦めて無かった。彼女は自身の周りに符を貼り巡らせる。それぞれの符が結びつき結界が展開される、その中にオートマトン達を収めた。これで負のマテリアル汚染は消えるはずだ。
メルは再び前に出た。少女型の腕に素早くワイヤーを絡ませ、こう呼びかける。
「サーバーの復活はオートマトンの復活を意味する。エバーグリーンを取り戻すためにも、ここを通してほしいんだ!」
だが、メルのその思いは少女型の刃によって断ち切られる。彼女に出来ることはその剣筋をギリギリの所でかわすことだけだった。
「この前みたいな誤動作を起こさないようにせっかく新品用意したんだからさぁ。つーか考えてみなよ、機械が自我を持って命令無視して勝手に動き出したら意味なーいじゃーん! オートマトンってそもそも奴隷みたいなもんだぜ? それを何だと思ってるわけ? アッヒャヒャヒャヒャヒャ!」
まくし立てるカスケード。
「パティはオコなんダヨ。シュミが悪いったらありゃしない」
「ハウリングみたいに不快な声だな、クソヤロウ」
パティも仙堂はそのカスケードの声に不快感を隠せない。だが選択肢は残されていなかった。
まずまりおが動く。もう一度駆け抜ければ逆の腕が切り飛ばされ落ちる。しかしこの状況でもオートマトン達は動き続けていた。ここを通過しようとするものを止める。それがオートマトン達の存在意義だった。敵意ではなく、ただ命令に対する従属として動く。それを変えるための自我もカスケードが言う新品であるところの二人には無い。
ざくろがもう一度光線を放ち、メルはワイヤーで動きを縛る。カールが攻撃を重ね、鳳城は念のためハンター達を癒やす。
そしてパティは符をまとめて投げ、仙堂は少女型の踏み込む足に光線を放つ。投げられた符は空中で雷と化し降り注ぐ。一本は彼女に、残りの二本は先回りして道を塞ぐように。それをかわすすべは無い。腕が砕け散り、足が吹き飛ばされる。
そしてレインは再び詠唱していた。それが完成したのは、二人の攻撃が少女型の動きも止めたときだった。二体のオートマトンをまとめて氷柱で取り囲み冷気で覆い尽くす。それが晴れた時、そこには凍りつき、そして全身が砕け散ったオートマトン達、だったものが残されていた。
●
そこに残されたものはただの機械の残骸だった。しかしあまりに人に似たその姿は残酷でグロテスクだ。防護壁(ファイアーウォール)を打ち砕かれて興味を無くしたのか、あれだけうるさかったカスケードの声もぴたりと止んでいた。
「その趣味の悪さを直さないと友達は出来ませんよ。いつか別れるその時までには、マシになってると良いですね」
聞いているのかわからないが、それに向けて鳳城がそうつぶやいた。
ハンター達はサーバーが置かれている部屋へ、本来の目的を達成すべく進んでいく。時間は十分ある。おそらく高い成果を挙げられるだろう。
「もう大丈夫。一緒に帰りましょーネ」
だからこういうことをする余裕もあった。パティはオートマトン達のコアパーツを拾い上げ、鞄に仕舞い込んだ。
「エバーグリーン、技術力の高い世界、まさに宝の山だな!」
地上100mのその場所で、透き通った外壁から見るエバーグリーンの光景を見て、仙堂 紫苑(ka5953)はそう言った。この渡り廊下の先に見える扉、その向こうにはこの世界が生み出した技術の残滓である“サーバー”があるはずだ。それやオートマトンの技術を加えれば、自分の持つパワードスーツの強化も期待できる。一行は胸を膨らませて先へと進む。だが。
「マンマ・ミーア! 挟み撃ち!!」
気づいたときには二体のオートマトンに挟まれていた。その状況に超級まりお(ka0824)が思わず声を上げる。
「おやおや、これは大変だ。分かりやすくて良いですね。やり甲斐があります」
だが、ハンター達はこの状況でも落ち着いてた。鳳城 錬介(ka6053)はそう言葉にする。なぜなら。その理由を雨を告げる鳥(ka6258)が語る。
「私は思案する。挟撃か。だが、前方のオートマトンのプログラムには隙があるようだ」
彼女は思案しこの状況を突破する術を探っていた。しかしその時耳障りな声がこの廊下に響く。
「……煩い、ざくろ達は遊びでここに来てるんじゃないんだ、その品の無い笑い直ぐに黙らせてあげるよ」
その人を苛つかせる声を聞きながら、時音 ざくろ(ka1250)はそうつぶやいた。そして。
「きっと、連れて行くカラネっ」
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)のその言葉と同時に戦いが始まった。
●
戦いが始まると同時にハンター達がしたことは、まず来た道を取って返すことだった。
「おーっと、尻尾巻いて逃げだしちゃうわけね。ウンウン、賢明だよ~。ま、そんなことさせるわけないんだけどね! アッヒャヒャヒャヒャヒャ!」
カスケードの高笑いと共に、前に居た少女型がこちらに向かってくる。
「それにしても楽しそうですね、カスケード。君は今どんな気持ちですか?」
「そりゃ最高に決まってるじゃーん!」
呆れるような鳳城の言葉にカスケードが返答していた間もハンター達は動いていた。それを追いかける形の少女型。しかし彼女は少し進んだところで、突然爆発的に加速しこちらに向かってきた。
だが、それを塞ぐようにカール・フォルシアン(ka3702)が立っていた。片手には杖。もう片手には盾。その盾で衝突を受け止める。
しかし盾の隙間をかいくぐるように青白い光の剣が彼の腹部をえぐっていた。その光の筋をたどれば、オートマトン、彼女の腕に付いたパーツにたどり着く。ここからエネルギーの剣を出し突進と同時に突き刺してきていた。当たる直前まで展開されないその剣が、達人の居合抜きの様にカールにその剣筋を読ませない。
カールのもう片方の手に持たれていた杖の先端は花開くように光が展開していた。彼の全身にはマテリアルの薄い光が纏われる。このマテリアルの鎧でダメージを抑えていた。そして彼は叫ぶ。
「通して下さい! 僕達は貴女の同胞、貴女方を救いたいんです!」
だが、その彼の思いをあざ笑うかのように、少女型はその場に留まらず流れるように動いていた。彼が彼女の心へと伸ばした手をかいくぐるかのように彼女は動く。
そこに居た岩井崎 メル(ka0520)に出来ることは一つだった。ワイヤーを引っ掛け動きを止める。すぐに振りほどかれてしまったが、ほんの少しでも時間を稼ぐことは出来た。その隙に仕切り直し、二人は少女型に向かい合う。
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一方その頃、来た道を戻っていたハンター達の前に立ちふさがったのは少年型。彼からは敵意は感じられない。ただ命令されたとおり、ハンター達を逃さないためそこに立ちふさがる。
そこへ向けて、ハンター達の中からも一人飛び出していた。仙堂の機械仕掛けのシューズの足裏からマテリアルが噴出され、それに押されて滑るように飛び出していく。そのまま一気にオートマトンの脇をすり抜け向こう側に回り込もうとしていた。
だが、オートマトンは命令通り仙堂を止めようとする。彼が己の横を通過するまさにその瞬間、全身から、厳密には両手両足に付いたパーツから電撃が放たれる。
それに対し受け止め、障壁を展開して跳ね返そうとする仙堂。しかしその前にたどり着いた電撃が彼の全身にもたらした痺れがキー操作を完了させなかった。うずくまり、耐えるのが精一杯の仙堂。
「着装マテリアルアーマー! 魔力フル収束」
その時ざくろはマテリアルを纏い始めていた。そのマテリアルは彼の体を覆い、鎧と化していく。
そして仙堂をかばうかのように、彼が通り抜けようとしたオートマトンの側面部へと飛び込む。再び放たれる電撃。
だがその電撃はざくろのマテリアルの鎧の前に無力だった。マテリアルが電撃を弾き、少しの間彼の周囲を覆っていたその電撃は程なくして跡形もなく消え失せた。
消え失せたと思った瞬間、再び電撃が放たれた。しかしこれはオートマトンが放ったものではなかった。
「超機導パワーオン、弾け飛べ……」
ざくろから飛び出た衝撃が電撃とともにオートマトンにぶつかり、彼の体を吹き飛ばし壁に叩きつける。
「さぁ、今のうちに!」
その隙にハンター達が走り抜ける。痺れから回復した仙道が、パティが、鳳城が、レインが駆け抜ける。
そしてまりおは側面ではなく、ほぼオートマトンにぶつかるように走り抜けた。彼女がぶつかる瞬間、ギリギリの所で体を傾けかわしながらそのまま刀を振り抜く。
オートマトンは反撃を行う。仙堂が試みざくろが叩きつけた障壁と同じ様に、左腕の装置から光の壁を作り出すとそれをまりおに叩きつける。
だがまりおのダッシュスピードはオートマトンには到底追いきれるものではなかった。彼女が通り過ぎた後に光の壁は飛んでいき、そのまま通路の側面にぶつかっていた。
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メルは懐中時計を握る。すると彼女の体から放たれたマテリアルがカールへと流入していく。少女型の攻撃を見切ってかわすのは相当困難だ。ならば受け止める他無い。その手助けとなるよう、彼女はカールにマテリアルを流し込む。
そこに彼女は飛び込んできた。寸前までその剣筋を悟らせず、反撃をさせぬよう斬撃の後はすぐに動く。それは達人の剣捌きをプログラミングされたというのか。
再びカールが前に立ち、受け止める。今度も受け止めきれず、その剣が彼の体を傷つけるが、その傷は随分と浅くなっていた。メルの力のおかげだった。
そんな中メルはオートマトンの姿を見つめていた。彼女には叶えたい思いがあった。冷徹な戦略上の判断でもあり、彼女自身の願いでも合った。エゴと言っても良い。彼女はそれをぶつけるときを伺っていた。
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ざくろの作り出した隙に裏へと抜けたハンター達。だが、オートマトンはその一団に向けて右腕を突き出す。一瞬後にそこから火炎が吹き出された。
広がっていく火炎はこの狭い通路を埋め尽くす。とっさに前に出てその炎を盾で受け止めようとする鳳城。しかし彼自身は受け止められたとしても、炎は隙間を縫い後ろへと襲いかかる。抜けた直後で固まっていた一団にそれをかわす術は存在しない。
通路を埋め尽くした炎がハンター達を焼き、焦がしていく。仙堂やざくろにもその熱がダメージを負わせる。ましてや、防御力のそこまで高くないパティやレインでは。
パティはその熱の前に意識を失いそうになっていた。視界がかすみ、ふらふらとふらつく。
だがレインは炎が彼女の体に襲いかかる寸前、己の周りを光の壁が覆うのを見た。薄い光の壁に炎が当たればそれは程なくして砕け、燐光を残して消散する。しかしそれにより和らげられた炎は彼女に傷を負わせたとは言え、倒れるまでは行かなかった。
その光の壁を産み出したのは鳳城だった。とっさの判断がこの結果をもたらしていた。だが彼は立ち止まらない。すぐに祈りを込める。
すると強くも暖かい光がパティの体を包む。その光は彼女が負った深手をみるみるうちに癒やしていく。その光が晴れた時、彼女の受けたダメージは嘘のように消え失せていた。
一方、そこに居たはずの、炎に包まれていたはずのまりおの姿は掻き消えていた。彼女はその時既に再び走り出していた。もう一度脇をすり抜け、振り向いたオートマトンのさらに背後を取る。さらに通り抜ける瞬間その右腕へと斬撃を一つ加えていた。澄んだ金属音が響く。
その残響が消える前に、レインとパティが動いた。既に倒れ伏していたはずの彼女たちは、鳳城によって今まさに立っていた。パティは符を一枚抜き投げ放つ。
「流転せよ。流転せよ。不均衡なる力。天恵にして災禍。青き奔流よ。彼の者を世界の理に還せ」
同時にレインが詠唱を開始する。足元に現れる七芒星。その頂点から水流が生み出され放たれる。そこにパティの放った符が火球と化し、螺旋を描くように奔り、オートマトンの両腕へと当たっていた。
仙堂はデバイスを操作し、オートマトンの状態を確認しながらさらにキーを叩く。すると彼の前にマテリアルが集束していき、やや合って光の矢と化して放たれた。
そしてざくろが操作すれば、光の三角形が現れ、その先端から光線が放たれる。一本は虚空に、一本は少年に、そしてもう一本は少女に。三本の光線がそれぞれを貫く。
腕で光を受け止める少年型。しかし集中された攻撃が彼の腕にダメージを与え、そして引きちぎっていた。
「君達の仲間を助けたいんだ、だから少しだけこの先に行かせて」
オートマトンは機械のはずだ。だから血は流れない。それでも片腕を失ったその人にしか見えない姿は得も言われぬ罪悪感を与える。ざくろは贖罪するかのように、そう一つ呟いた。
●
少女型は三度カールに襲いかかる。繰り返される同じ動き。真っ直ぐ進み突きを加える。単純だが正確無比な剣をカールは受け止め続けていた。
そんな中、背後で何が起きているのか二人は感づいていた。ざくろが道を開いてくれた。ならば。
カールはもう一度剣撃を盾で受け止めると、すかさず障壁を展開した。先程少年型をざくろが弾き飛ばしたときのように、その障壁は少女型を弾き飛ばす。彼女は吹き飛ばされるも大きな音も立てず着地し、次の一撃を狙ってか構えを取るが、その次の一撃が来る前に二人は後ろへ飛び少年型の側面をすり抜ける。だがその時だった。
「あれは……」
鳳城は盾の隙間から天井が僅かに動いたのを見た。それに反応するや否やオートスパイダーが二人の元へと降ってくる。
しかし、落下する寸前にそれを閉じ込めるように冷気の柱が立ち並んでいた。
「凍れる棺よ開け。永久の刻を巡る白き闇。無音の世界の中で安息を齎さん」
レインが反応していた。生み出された柱はオートスパイダー達を閉じ込め、その内部に吹雪を巻き起こす。
冷風が吹き抜けた後には関節が凍りついたスパイダー達が残されていた。
「そりゃ当然出て来るよねー」
まりおもそれは予想していた。スパイダーに追い打ちの一撃。そこに仙堂は光の矢を放てば伏兵は沈黙していた。
そしてメル達が合流し、一団に戻ったハンター達は再び攻撃を開始する。もう一度火炎と水流が重なり、三角形の頂点から光線が放たれる。さらにカールも光線を放ち、攻撃を集中させる。今度は脚。少年型の脚部が破壊され、バランスを崩し崩れ落ちる。
「ハロー、ハロー。パティダヨ。あなたと友達になりたいな」
そんな中、パティは攻撃の手を止めず、しかしじっとオートマトンの瞳を見つめていた。彼女はオートマトンとも心が通じると思っていた。
「あのさぁ、ただの機械にそんなに呼びかけたってそれでそっちの味方になるなんていうご都合主義はそう起こらないと思うぜ?」
その思いをばっさりと切り捨てるカスケード。だがパティは諦めて無かった。彼女は自身の周りに符を貼り巡らせる。それぞれの符が結びつき結界が展開される、その中にオートマトン達を収めた。これで負のマテリアル汚染は消えるはずだ。
メルは再び前に出た。少女型の腕に素早くワイヤーを絡ませ、こう呼びかける。
「サーバーの復活はオートマトンの復活を意味する。エバーグリーンを取り戻すためにも、ここを通してほしいんだ!」
だが、メルのその思いは少女型の刃によって断ち切られる。彼女に出来ることはその剣筋をギリギリの所でかわすことだけだった。
「この前みたいな誤動作を起こさないようにせっかく新品用意したんだからさぁ。つーか考えてみなよ、機械が自我を持って命令無視して勝手に動き出したら意味なーいじゃーん! オートマトンってそもそも奴隷みたいなもんだぜ? それを何だと思ってるわけ? アッヒャヒャヒャヒャヒャ!」
まくし立てるカスケード。
「パティはオコなんダヨ。シュミが悪いったらありゃしない」
「ハウリングみたいに不快な声だな、クソヤロウ」
パティも仙堂はそのカスケードの声に不快感を隠せない。だが選択肢は残されていなかった。
まずまりおが動く。もう一度駆け抜ければ逆の腕が切り飛ばされ落ちる。しかしこの状況でもオートマトン達は動き続けていた。ここを通過しようとするものを止める。それがオートマトン達の存在意義だった。敵意ではなく、ただ命令に対する従属として動く。それを変えるための自我もカスケードが言う新品であるところの二人には無い。
ざくろがもう一度光線を放ち、メルはワイヤーで動きを縛る。カールが攻撃を重ね、鳳城は念のためハンター達を癒やす。
そしてパティは符をまとめて投げ、仙堂は少女型の踏み込む足に光線を放つ。投げられた符は空中で雷と化し降り注ぐ。一本は彼女に、残りの二本は先回りして道を塞ぐように。それをかわすすべは無い。腕が砕け散り、足が吹き飛ばされる。
そしてレインは再び詠唱していた。それが完成したのは、二人の攻撃が少女型の動きも止めたときだった。二体のオートマトンをまとめて氷柱で取り囲み冷気で覆い尽くす。それが晴れた時、そこには凍りつき、そして全身が砕け散ったオートマトン達、だったものが残されていた。
●
そこに残されたものはただの機械の残骸だった。しかしあまりに人に似たその姿は残酷でグロテスクだ。防護壁(ファイアーウォール)を打ち砕かれて興味を無くしたのか、あれだけうるさかったカスケードの声もぴたりと止んでいた。
「その趣味の悪さを直さないと友達は出来ませんよ。いつか別れるその時までには、マシになってると良いですね」
聞いているのかわからないが、それに向けて鳳城がそうつぶやいた。
ハンター達はサーバーが置かれている部屋へ、本来の目的を達成すべく進んでいく。時間は十分ある。おそらく高い成果を挙げられるだろう。
「もう大丈夫。一緒に帰りましょーネ」
だからこういうことをする余裕もあった。パティはオートマトン達のコアパーツを拾い上げ、鞄に仕舞い込んだ。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 仙堂 紫苑(ka5953) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/05/08 23:46:07 |
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質問卓 カール・フォルシアン(ka3702) 人間(リアルブルー)|13才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/05/04 19:19:17 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/04 20:36:47 |