ゲスト
(ka0000)
【血盟】龍の手に棒と星
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/23 19:00
- 完成日
- 2017/05/29 19:34
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●龍園
龍園に転移門で飛ぶと、寒暖の差に驚くかもしれない。
龍園があるのは北も北であり、雪さえ降るのかという空の色。肌を撫でる風は冷たく、防寒具は手放せない。
リゼリオでオフィスの職員が言っていた注意事項がよぎる。
寒いですよ、と。
冬でも寒い、夏でも結局寒い。北も北なのだから仕方がない。
さて、依頼を受けてハンターたちはやってきた。
依頼の内容は安否確認である。
集落に見回りに行った神官のラカ・べルフが行方不明になったというのだった。その集落の近辺では強欲勢の残党を見たという話もあったからだった。兵士もいるし大丈夫だろうと彼女は単身でそこに向かった。
彼女自身、多少なら戦えることは戦える。
とはいえ、連絡が途絶えているのが気になっているため、ラカを探してほしいというのと、ついでに集落見てきてほしいという二本柱だった。
何事もなければ非常に簡単な仕事。
残党がいて戦いになれば大変な仕事。
どちらにせよ、ハンターには慎重と確実性は必要であろう仕事であろう。
●攻防の前
ラカ・べルフはおびえている人がいるならば手を出すつもりであり、歪虚や残党がいれば容赦なく打ち砕くつもりであった。
どちらも青龍に従う者として当然のことだと考える。
動けるうちは動こうと見回りは欠かさない。
その集落に向かったのは必然だった。
途中でそれらに合うのは、偶然だったとはいえ、これが課せられた使命とも思った。
まずは隠れて様子をうかがう。いきなりたたきに行っても愚かなだけだと自覚はある。
空にはワイバーン、地上には岩や木などで一部見えないが歪虚とリザードマンが複数いるのが分かった。
ゆったりとした衣類に隠してあるモーニングスターを取り出したが、困るのはワイバーンと敵の数だ。飛び道具も魔法もないため、ワイバーンは危険すぎる。
「困りましたわ」
困ったところで敵は待ってくれない。
集落のほうに向かうならなおさら手を打たねばならない。
「……歪虚もそれに従うモノも許してはおけませんわ」
にっこりとほほ笑む。
「地上にいるモノだけでもどうにかしないといけませんね」
ラカは立ち上がった。空からの襲撃者に注意はしないといけない、と肝に銘じて。
●敵襲
ハンターたちが現場に向かっていると、空に舞うワイバーンの姿が見えた。
敵であると分かる真紅の鱗。
その下に何かがあるのか。
下でなくとも近くで何かがあるはず。
地上にも敵の姿を発見する。
さあ、戦闘の時間だ。用心深く近づくか、大きな音ともに近づくか――。
龍園に転移門で飛ぶと、寒暖の差に驚くかもしれない。
龍園があるのは北も北であり、雪さえ降るのかという空の色。肌を撫でる風は冷たく、防寒具は手放せない。
リゼリオでオフィスの職員が言っていた注意事項がよぎる。
寒いですよ、と。
冬でも寒い、夏でも結局寒い。北も北なのだから仕方がない。
さて、依頼を受けてハンターたちはやってきた。
依頼の内容は安否確認である。
集落に見回りに行った神官のラカ・べルフが行方不明になったというのだった。その集落の近辺では強欲勢の残党を見たという話もあったからだった。兵士もいるし大丈夫だろうと彼女は単身でそこに向かった。
彼女自身、多少なら戦えることは戦える。
とはいえ、連絡が途絶えているのが気になっているため、ラカを探してほしいというのと、ついでに集落見てきてほしいという二本柱だった。
何事もなければ非常に簡単な仕事。
残党がいて戦いになれば大変な仕事。
どちらにせよ、ハンターには慎重と確実性は必要であろう仕事であろう。
●攻防の前
ラカ・べルフはおびえている人がいるならば手を出すつもりであり、歪虚や残党がいれば容赦なく打ち砕くつもりであった。
どちらも青龍に従う者として当然のことだと考える。
動けるうちは動こうと見回りは欠かさない。
その集落に向かったのは必然だった。
途中でそれらに合うのは、偶然だったとはいえ、これが課せられた使命とも思った。
まずは隠れて様子をうかがう。いきなりたたきに行っても愚かなだけだと自覚はある。
空にはワイバーン、地上には岩や木などで一部見えないが歪虚とリザードマンが複数いるのが分かった。
ゆったりとした衣類に隠してあるモーニングスターを取り出したが、困るのはワイバーンと敵の数だ。飛び道具も魔法もないため、ワイバーンは危険すぎる。
「困りましたわ」
困ったところで敵は待ってくれない。
集落のほうに向かうならなおさら手を打たねばならない。
「……歪虚もそれに従うモノも許してはおけませんわ」
にっこりとほほ笑む。
「地上にいるモノだけでもどうにかしないといけませんね」
ラカは立ち上がった。空からの襲撃者に注意はしないといけない、と肝に銘じて。
●敵襲
ハンターたちが現場に向かっていると、空に舞うワイバーンの姿が見えた。
敵であると分かる真紅の鱗。
その下に何かがあるのか。
下でなくとも近くで何かがあるはず。
地上にも敵の姿を発見する。
さあ、戦闘の時間だ。用心深く近づくか、大きな音ともに近づくか――。
リプレイ本文
●寒い
雪が降ることはないようだが寒さが身に染みる中、依頼を受けたハンターたちは馬やバイクなど道を急いだ。
クオン・サガラ(ka0018)は寒さに身を浸したとき、依頼の遂行とともにどのような地形なのか、思いを巡らせた。
「リアルブルー尺度だと北極圏というところでしょうか?」
ラジェンドラ(ka6353)は同意してうなずく。
「本当に寒い。軍用コートを着ていても、足りない……風が冷たい」
急げば急ぐほど当たる風は冷たくなるのだから仕方がないとあきらめるしかない。
ロゼッタ・ラプタイル(ka6434)は龍園という場所を考え、非常にワクワクしていた。ペットの蛇たちはおいてきた、寒いという情報があったから。
「爬虫類……龍人はどんな感じでしょうか……」
基本的に人間に近いという話は耳にしているが、まだ「出会った」という感触はない。
狭霧 雷(ka5296)は以前を思い出し懐かしむ。
「こちらに来たのはずいぶん前になりますが……と、懐かしむ前に探し出さないといけませんね」
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)はゴースロンを駆りながらしっかり前を見て計画を反芻する。
「もし、ラカちゃんが危険ならすぐに助ける。集落が危険ならもちろん。なるはや、だな」
トリス・ラートリー(ka0813)は軍馬を駆り、仲間の言葉にうなずく。
「そうですね。ラカさんとどこで会うかわかりませんね。できれば、何もないところだといいですね」
セルゲン(ka6612)は捜索対象の二つ名を聞いて思い出したのが妻だった。
「龍人なのに鬼神……妻と同じタイプと思う……『止めぬ・阻まぬ・逆らわぬ』で行こう」
しばらく行くと、空に舞うワイバーンの姿が見えた。
「獲物を探しているのかもな。あの当たりを探してみないか?」
進行方向であり、異論は出ない。そのワイバーンが味方となってきていた青のものではないと遠目でもわかるから。
●敵襲!
空を舞うワイバーンがくっきり見えるような距離になると地上にもリザードマンや歪虚らしい姿もあると判別できた。それらは何かに向かい、ワイバーンは急降下する。
「……誰か襲われているじゃん!」
ヴォーイが叫ぶ。
ワイバーンの急降下の先はハンター側からは木があり見えない。
「ワイバーンは狙います。地上の敵に関してはよろしくお願いします」
クオンがアサルトライフルを抜けるところまで持ち出し言う。
「同じく上を中心に狙うから、地上の敵および被害者の確保は頼んだぞ」
ラジェンドラはいつでも機導術を放てるようにして仲間に声をかけた。
「では、一気に駆け抜けますよ」
「被害者の方が見えませんから木の向こうに回り込めるなら」
雷とトリスはバイクまたは馬の速度を上げる。敵対者の位置から向かう先を見据えた。
「ワイバーン対応の人に地上の敵は寄せ付けないようにしないといけませんよね」
ロゼッタはまずは被害者の周囲の確認を優先する。空にいる敵は倒しづらいので彼らを守るのも重要と考えた。
「そうだな。飛んでいる奴、地上だと飛び道具が一番面倒」
セルゲンはにらみつけるように前を見る。
接敵寸前であり、判断は個々にゆだねられる状況に突入した。
クオンが放った銃弾がワイバーンに命中する。別の方に攻撃するのに集中していたそれは攻撃を食らった後、クオンを見る。
「そう、こっちです」
クオンはうまく行ったとほくそ笑むが、その大きさに一瞬気圧された。
「まあ、こっちもいるんでね! この距離ならこっちだ【デルタレイ】」
ラジェンドラは訓練で取得した射程が長いデルタレイを的確に放つ。光の筋はワイバーンと下にいるリザードマンに光の筋は突き進んだ。
ワイバーンはハンターに矛先を変えた。
「大丈夫ですかっ!」
トリスは回り込み馬を降りながら敵にソウルトーチを使う。目の前にはハンターオフィスで聞いたラカ・べルフらしい姿の女性がいる。
「何者ですっ、あなた方は」
厳しい言葉を投げかけるラカ。
「無事か? 加勢させてもらうじゃん!」
ヴォーイが言いながらリザードマンを戦槍で突き刺す。
「さて、轢き殺されてくれればいいんですけれど」
雷はバイクですり抜け、あえてリザードマンを狙い、止まる。
「まずはこちらからですねっ! これで行きます」
ロゼッタは近くにいるリザードマンを【ワイルドスラッシュ】で攻撃をした。その鋭い攻撃をよけきれず、リザードマンは倒れる。
一体でも倒れれば、被害者の周りは余裕ができる。ハンターの勢いにつながる。
「あんたが神官で行方不明になったラカか?」
セルゲンは近くのリザードマンを攻撃しつつ、念のために問いかける。助けることには違いないが、その先が変わる。
「行方不明? わたくしが? 集落を回っていたら、ことのほか時間がかかっているだけですわ! あなた方は何? この辺りの方ではないですわね」
落ち着いた声音であるが、言葉は棘まみれだった。
「リゼリオのハンターですが……自己紹介は後にしましょう。こいつらにとって、私たちも敵ですし」
雷は柔和な笑みから鋭い視線をリザードマンたちに向けた。
リザードマンや歪虚たちはソウルトーチに反応はしていないが、ハンターたちを放置するつもりはない。
「分かりました……ということで……敵ではないのですね」
先ほどワイバーンにつつかれ、リザードマンにつつかれて満身創痍のラカは微笑んで、モーニングスターを構えた。
「ああ、そういう意味の二つなのか」
セルゲンはごくりとつばを飲み込み納得した。敵は鬼神のごとく薙ぎ払う――。
勢いもついていたハンターたちは攻撃を続ける。
「さて……周りに誰もいないうちですね」
クオンは機導術【アイシクルコフィン】を放つ。ワイバーンに命中し、近くにいたリザードマンが巻き込まれる。
「距離が詰まったからこっちを食らえ」
ラジェンドラはデルタレイの威力が高めのほうを放つ。ワイバーンの生命力を徐々に削っているはずだが、そんなようにも見えない頑丈さだ。
「お二人に近づく者は私が受け持ちます」
ラカの周囲のリザードマンも片付いているため、ロゼッタはクオンとラジェンドラの間に立つ。リザードマンか歪虚が近づいてくるなら攻撃をするために。
トリスは敵を引き付けるには攻撃で十分と槍を構え、鋭く突き抜ける。ラカがどこに向かうかは目で追う。
「ボクたちはきみ合わせます」
悠長に説得はできないため、簡単に言葉を載せる。
「そうですね……まずは狙うは……」
雷は射程にあるワイバーンを狙う。弱ってきているようだったら畳みかけてしかるべきである。しかし見た目と同じく頑強そうだ。
「よーし、こっちはいいよな、俺はあっちをやってくる」
ヴォーイは少し離れたリザードマンに向かっていく。敵がじっとしているわけではなく、放っておけば来るか別のところで害をなすだろう。
「俺は『鬼神』じゃないが一応鬼なんでな! 行くぜ【帰路伐拓】」
セルゲンは青龍偃月刀を振う。彼が編み出した素早い二度斬りに、火炎の幻影が浮かび上がる。
ワイバーンはクオンを狙う。
「二度攻撃は予想していますが、避け損ねるとまずいですね」
半分よけきれず、ざっくりと切られる。
歪虚やリザードマンはハンターとラカの内で一番近いのを狙おうとしているようだった。
リザードマンの攻撃はよけきれずとも鎧でほぼ止められるが、累積するのは危険だ。なお、歪虚は剣で薙ぎ払ったが、命中がわるく何もなかった。当たれば危険だという風圧は感じる。
乱戦状態になったため、範囲の魔法や技は使いづらくなる。
クオンは順調にワイバーンに攻撃を当てる。
ラジェンドラはワイバーンと近づいてきた歪虚一体を巻き込むように【デルタレイ】を放った。歪虚に当たっているのだが、効いている様子はない。
「あいつ、魔法に耐性があるのか?」
「否定はできない。無理に当てる必要もないですね」
「……ラカの姐さんがぶったたきに行ってるっ!?」
「……魔法じゃないから、騒がない方がいい」
クオンとラジェンドラは目の前のことに集中することにした。その歪虚の回りに魔法で攻撃しようとしているハンターがいないことも判断材料だ。
「こちらに来ているリザードマンは容赦なく行きますね」
ロゼッタは素早く斬る。周囲を意識しつつも、その腕は衰えることはない。
トリスは敵に攻撃を仕掛けつつ、ラカに声をかける。
「そいつは範囲の攻撃をしてきます、気を付けてくださいね」
怒るとも思われたが、何も言わず、歪虚をぶん殴るラカがいる。
「喜々としていますね」
トリスは危険が迫るまで何もいわまいと決める。
「弓を打ってくるような奴は面倒ですね」
雷は静かに銃口をリザードマンで矢をつがえようとしているものに向ける。ラカの身の安全も考え、近くには控えている。
「ありがたい! なら、こっちを俺は狙うだけ……むっ、固いな」
ヴォーイは雷の銃弾で近くのリザードマンが倒れたため、歪虚を狙う。歪虚は見た目も硬質そうだったが、その通りだった。
「優先順位を考えると……目の前のを倒すほうがいいなっ!」
セルゲンは近くにいるリザードンマンを技を以て斬る。
徐々にハンターたちは数で勝るようになった。
ワイバーンの攻撃にクオンが片膝を付き、歪虚のないだ剣の攻撃にトリスとラジェンドラが巻き込まれた。リザードマンの攻撃も油断はしないが、よけきれるとは限らない。
何度かの攻撃、護りにより、ハンターも疲弊していた。
ラカは唇をきゅとっ結び、少し離れてから回復魔法を使った。彼女を中心として近くにいるハンターたちは傷の痛みが治まるのを感じた。
まもなく、ハンターの奮闘ですべての敵は倒れた。
●説得というより
「……そういえば、リザードマンって皮膚の色を変化させたり、壁を自由に上ることってできるのでしょうか?」
トリスからふと言葉が漏れた。
「……個体によりますわ」
ラカが溜息をつきながら答える。
「まだ、必要な方がいるかもしれませんわ、一度だけは使って差し上げますわ」
ラカはクオンの周りに集まるように指示する。ワイバーンが異常に彼だけを狙っていたため傷が深く、立っているのが不思議なくらいになっている。
集まると祈りとともにマテリアルが円状に広がる。傷が多少癒える。
「改めて……初めまして、私たちはリゼリオのハンターで、あなたが行方不明ということで捜索の依頼を受けました」
雷が自己紹介を続ける。他のハンターも自己紹介をしていく。
「……ラカさん、無事でよかったです。まだ集落のほうは見ていないのですか?」
ロゼッタはそわそわして尋ねる。龍人というからにはどこか爬虫類的なところはないかとも考えなくなない。ラカの破れた袖からうろこが見えた。
「そうですわ! 早く行かないとなりません。先ほどの不届きものは違うほうから来たとはいえ!」
「それに関して、俺たちもついでに見てきてほしいと言われている」
ラジェンドラの言葉にラカが柳眉を逆立てる。
「ラカの姐さんがどういう状況か分からないから、オフィス側はその依頼もしてきたんだ」
ラジェンドラの事実と告げる言葉にラカは口をつぐんだ。
「ラカちゃんは怪我しているし、場所はおおよそ聞いているし、俺たちで見てこようか? 足あるし、早く行ける」
ヴォーイは魔導カメラを見せる。集落で聞き込みをして何かあれば写す。そうすればラカも確認できる。
「いらないですわ! まあ、ちょっと……あれでしたけれど……助かりましたが、それとこれは話が別です!」
ラカは拒否する。
「でも、まだほかにいるかもしれないですよ?」
「そうです。私たちがいるほうが戦力としても重要ですよ?」
トリスと雷がやんわり畳みかける。
「い、いりませんわ!」
ここまで会話をしていると初対面の相手に警戒心があるとうかがえる。龍園の外から来た者へか、ハンターへかは判断しづらいが。
「信用されまいが俺たちは俺たちの仕事をするだけさ、プロだしな」
ラジェンドラは出発の準備を始める。ラカを探す、助けた、集落を見る、というのが仕事なのだから。
「さ、行きましょう」
にこりと雷は言う。
「……う」
「……なあ、あんた。ともに戦うことができたんだ……ともに歩むことだってできると思うが」
セルゲンはぽつりいう。
「そうだな……俺たちが危ないと思ったから、回復魔法を使ってくれた……それと、クオンがやばいって向かおうとしてくれた」
セルゲンの言葉にラカは顔を真っ赤にしてそっぽを向く。
「そうですね、私がもっとしっかりしていればクオンさんはこんなに傷つかなくて済んだのです」
「ちょっと待ってください、しおれないでください。そこまで重傷ではないですから……」
「え? でも、私、頑張らねばと思ったのです」
「それは、わたしだって頑張らないと、ですよ?」
クオンは苦笑した。
「……わかりました。集落はこっちです」
ハンターのやり取りを聞いていたラカはとぼとぼ歩き始める。
「あ、よ、よろしければ後ろに乗ってくれませんか?」
ロゼッタが恥ずかしそうにゴースロンの後ろを示す。
「わ、私……はちゅ……龍人に興味があります!」
危うく爬虫類好きと言いかけ、龍人をまとめようとして止めた。もしラカのプライドを変に傷つけたら、仲間がなんとかラカを説得したのが水の泡だ。
「……龍人を?」
ラカが首をかしげる。
「ラカちゃんが嫌じゃなければ乗ってあげると、早く着く」
二人乗りにはできていないとしても、駆け足ではなければどうにかなるだろうとヴォーイは思った。
「さっさと行こう。ここにじっとしていると寒い」
ラジェンドラがだんだんと凍えてくると伝える。
「北に行けば行くほど寒いわけですよね」
トリスは近くの氷を足で突いた。
「その通りですね、さ、行きましょう」
クオンが穏やかに宣言した。
一行はまもなく到着する。そこは防備を固めてこもっていただけで、まだ何もなかった。ラカやハンターがここに来たかもしれない歪虚等を倒したとあって、一様に安堵の空気が流れたのだった。
雪が降ることはないようだが寒さが身に染みる中、依頼を受けたハンターたちは馬やバイクなど道を急いだ。
クオン・サガラ(ka0018)は寒さに身を浸したとき、依頼の遂行とともにどのような地形なのか、思いを巡らせた。
「リアルブルー尺度だと北極圏というところでしょうか?」
ラジェンドラ(ka6353)は同意してうなずく。
「本当に寒い。軍用コートを着ていても、足りない……風が冷たい」
急げば急ぐほど当たる風は冷たくなるのだから仕方がないとあきらめるしかない。
ロゼッタ・ラプタイル(ka6434)は龍園という場所を考え、非常にワクワクしていた。ペットの蛇たちはおいてきた、寒いという情報があったから。
「爬虫類……龍人はどんな感じでしょうか……」
基本的に人間に近いという話は耳にしているが、まだ「出会った」という感触はない。
狭霧 雷(ka5296)は以前を思い出し懐かしむ。
「こちらに来たのはずいぶん前になりますが……と、懐かしむ前に探し出さないといけませんね」
ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)はゴースロンを駆りながらしっかり前を見て計画を反芻する。
「もし、ラカちゃんが危険ならすぐに助ける。集落が危険ならもちろん。なるはや、だな」
トリス・ラートリー(ka0813)は軍馬を駆り、仲間の言葉にうなずく。
「そうですね。ラカさんとどこで会うかわかりませんね。できれば、何もないところだといいですね」
セルゲン(ka6612)は捜索対象の二つ名を聞いて思い出したのが妻だった。
「龍人なのに鬼神……妻と同じタイプと思う……『止めぬ・阻まぬ・逆らわぬ』で行こう」
しばらく行くと、空に舞うワイバーンの姿が見えた。
「獲物を探しているのかもな。あの当たりを探してみないか?」
進行方向であり、異論は出ない。そのワイバーンが味方となってきていた青のものではないと遠目でもわかるから。
●敵襲!
空を舞うワイバーンがくっきり見えるような距離になると地上にもリザードマンや歪虚らしい姿もあると判別できた。それらは何かに向かい、ワイバーンは急降下する。
「……誰か襲われているじゃん!」
ヴォーイが叫ぶ。
ワイバーンの急降下の先はハンター側からは木があり見えない。
「ワイバーンは狙います。地上の敵に関してはよろしくお願いします」
クオンがアサルトライフルを抜けるところまで持ち出し言う。
「同じく上を中心に狙うから、地上の敵および被害者の確保は頼んだぞ」
ラジェンドラはいつでも機導術を放てるようにして仲間に声をかけた。
「では、一気に駆け抜けますよ」
「被害者の方が見えませんから木の向こうに回り込めるなら」
雷とトリスはバイクまたは馬の速度を上げる。敵対者の位置から向かう先を見据えた。
「ワイバーン対応の人に地上の敵は寄せ付けないようにしないといけませんよね」
ロゼッタはまずは被害者の周囲の確認を優先する。空にいる敵は倒しづらいので彼らを守るのも重要と考えた。
「そうだな。飛んでいる奴、地上だと飛び道具が一番面倒」
セルゲンはにらみつけるように前を見る。
接敵寸前であり、判断は個々にゆだねられる状況に突入した。
クオンが放った銃弾がワイバーンに命中する。別の方に攻撃するのに集中していたそれは攻撃を食らった後、クオンを見る。
「そう、こっちです」
クオンはうまく行ったとほくそ笑むが、その大きさに一瞬気圧された。
「まあ、こっちもいるんでね! この距離ならこっちだ【デルタレイ】」
ラジェンドラは訓練で取得した射程が長いデルタレイを的確に放つ。光の筋はワイバーンと下にいるリザードマンに光の筋は突き進んだ。
ワイバーンはハンターに矛先を変えた。
「大丈夫ですかっ!」
トリスは回り込み馬を降りながら敵にソウルトーチを使う。目の前にはハンターオフィスで聞いたラカ・べルフらしい姿の女性がいる。
「何者ですっ、あなた方は」
厳しい言葉を投げかけるラカ。
「無事か? 加勢させてもらうじゃん!」
ヴォーイが言いながらリザードマンを戦槍で突き刺す。
「さて、轢き殺されてくれればいいんですけれど」
雷はバイクですり抜け、あえてリザードマンを狙い、止まる。
「まずはこちらからですねっ! これで行きます」
ロゼッタは近くにいるリザードマンを【ワイルドスラッシュ】で攻撃をした。その鋭い攻撃をよけきれず、リザードマンは倒れる。
一体でも倒れれば、被害者の周りは余裕ができる。ハンターの勢いにつながる。
「あんたが神官で行方不明になったラカか?」
セルゲンは近くのリザードマンを攻撃しつつ、念のために問いかける。助けることには違いないが、その先が変わる。
「行方不明? わたくしが? 集落を回っていたら、ことのほか時間がかかっているだけですわ! あなた方は何? この辺りの方ではないですわね」
落ち着いた声音であるが、言葉は棘まみれだった。
「リゼリオのハンターですが……自己紹介は後にしましょう。こいつらにとって、私たちも敵ですし」
雷は柔和な笑みから鋭い視線をリザードマンたちに向けた。
リザードマンや歪虚たちはソウルトーチに反応はしていないが、ハンターたちを放置するつもりはない。
「分かりました……ということで……敵ではないのですね」
先ほどワイバーンにつつかれ、リザードマンにつつかれて満身創痍のラカは微笑んで、モーニングスターを構えた。
「ああ、そういう意味の二つなのか」
セルゲンはごくりとつばを飲み込み納得した。敵は鬼神のごとく薙ぎ払う――。
勢いもついていたハンターたちは攻撃を続ける。
「さて……周りに誰もいないうちですね」
クオンは機導術【アイシクルコフィン】を放つ。ワイバーンに命中し、近くにいたリザードマンが巻き込まれる。
「距離が詰まったからこっちを食らえ」
ラジェンドラはデルタレイの威力が高めのほうを放つ。ワイバーンの生命力を徐々に削っているはずだが、そんなようにも見えない頑丈さだ。
「お二人に近づく者は私が受け持ちます」
ラカの周囲のリザードマンも片付いているため、ロゼッタはクオンとラジェンドラの間に立つ。リザードマンか歪虚が近づいてくるなら攻撃をするために。
トリスは敵を引き付けるには攻撃で十分と槍を構え、鋭く突き抜ける。ラカがどこに向かうかは目で追う。
「ボクたちはきみ合わせます」
悠長に説得はできないため、簡単に言葉を載せる。
「そうですね……まずは狙うは……」
雷は射程にあるワイバーンを狙う。弱ってきているようだったら畳みかけてしかるべきである。しかし見た目と同じく頑強そうだ。
「よーし、こっちはいいよな、俺はあっちをやってくる」
ヴォーイは少し離れたリザードマンに向かっていく。敵がじっとしているわけではなく、放っておけば来るか別のところで害をなすだろう。
「俺は『鬼神』じゃないが一応鬼なんでな! 行くぜ【帰路伐拓】」
セルゲンは青龍偃月刀を振う。彼が編み出した素早い二度斬りに、火炎の幻影が浮かび上がる。
ワイバーンはクオンを狙う。
「二度攻撃は予想していますが、避け損ねるとまずいですね」
半分よけきれず、ざっくりと切られる。
歪虚やリザードマンはハンターとラカの内で一番近いのを狙おうとしているようだった。
リザードマンの攻撃はよけきれずとも鎧でほぼ止められるが、累積するのは危険だ。なお、歪虚は剣で薙ぎ払ったが、命中がわるく何もなかった。当たれば危険だという風圧は感じる。
乱戦状態になったため、範囲の魔法や技は使いづらくなる。
クオンは順調にワイバーンに攻撃を当てる。
ラジェンドラはワイバーンと近づいてきた歪虚一体を巻き込むように【デルタレイ】を放った。歪虚に当たっているのだが、効いている様子はない。
「あいつ、魔法に耐性があるのか?」
「否定はできない。無理に当てる必要もないですね」
「……ラカの姐さんがぶったたきに行ってるっ!?」
「……魔法じゃないから、騒がない方がいい」
クオンとラジェンドラは目の前のことに集中することにした。その歪虚の回りに魔法で攻撃しようとしているハンターがいないことも判断材料だ。
「こちらに来ているリザードマンは容赦なく行きますね」
ロゼッタは素早く斬る。周囲を意識しつつも、その腕は衰えることはない。
トリスは敵に攻撃を仕掛けつつ、ラカに声をかける。
「そいつは範囲の攻撃をしてきます、気を付けてくださいね」
怒るとも思われたが、何も言わず、歪虚をぶん殴るラカがいる。
「喜々としていますね」
トリスは危険が迫るまで何もいわまいと決める。
「弓を打ってくるような奴は面倒ですね」
雷は静かに銃口をリザードマンで矢をつがえようとしているものに向ける。ラカの身の安全も考え、近くには控えている。
「ありがたい! なら、こっちを俺は狙うだけ……むっ、固いな」
ヴォーイは雷の銃弾で近くのリザードマンが倒れたため、歪虚を狙う。歪虚は見た目も硬質そうだったが、その通りだった。
「優先順位を考えると……目の前のを倒すほうがいいなっ!」
セルゲンは近くにいるリザードンマンを技を以て斬る。
徐々にハンターたちは数で勝るようになった。
ワイバーンの攻撃にクオンが片膝を付き、歪虚のないだ剣の攻撃にトリスとラジェンドラが巻き込まれた。リザードマンの攻撃も油断はしないが、よけきれるとは限らない。
何度かの攻撃、護りにより、ハンターも疲弊していた。
ラカは唇をきゅとっ結び、少し離れてから回復魔法を使った。彼女を中心として近くにいるハンターたちは傷の痛みが治まるのを感じた。
まもなく、ハンターの奮闘ですべての敵は倒れた。
●説得というより
「……そういえば、リザードマンって皮膚の色を変化させたり、壁を自由に上ることってできるのでしょうか?」
トリスからふと言葉が漏れた。
「……個体によりますわ」
ラカが溜息をつきながら答える。
「まだ、必要な方がいるかもしれませんわ、一度だけは使って差し上げますわ」
ラカはクオンの周りに集まるように指示する。ワイバーンが異常に彼だけを狙っていたため傷が深く、立っているのが不思議なくらいになっている。
集まると祈りとともにマテリアルが円状に広がる。傷が多少癒える。
「改めて……初めまして、私たちはリゼリオのハンターで、あなたが行方不明ということで捜索の依頼を受けました」
雷が自己紹介を続ける。他のハンターも自己紹介をしていく。
「……ラカさん、無事でよかったです。まだ集落のほうは見ていないのですか?」
ロゼッタはそわそわして尋ねる。龍人というからにはどこか爬虫類的なところはないかとも考えなくなない。ラカの破れた袖からうろこが見えた。
「そうですわ! 早く行かないとなりません。先ほどの不届きものは違うほうから来たとはいえ!」
「それに関して、俺たちもついでに見てきてほしいと言われている」
ラジェンドラの言葉にラカが柳眉を逆立てる。
「ラカの姐さんがどういう状況か分からないから、オフィス側はその依頼もしてきたんだ」
ラジェンドラの事実と告げる言葉にラカは口をつぐんだ。
「ラカちゃんは怪我しているし、場所はおおよそ聞いているし、俺たちで見てこようか? 足あるし、早く行ける」
ヴォーイは魔導カメラを見せる。集落で聞き込みをして何かあれば写す。そうすればラカも確認できる。
「いらないですわ! まあ、ちょっと……あれでしたけれど……助かりましたが、それとこれは話が別です!」
ラカは拒否する。
「でも、まだほかにいるかもしれないですよ?」
「そうです。私たちがいるほうが戦力としても重要ですよ?」
トリスと雷がやんわり畳みかける。
「い、いりませんわ!」
ここまで会話をしていると初対面の相手に警戒心があるとうかがえる。龍園の外から来た者へか、ハンターへかは判断しづらいが。
「信用されまいが俺たちは俺たちの仕事をするだけさ、プロだしな」
ラジェンドラは出発の準備を始める。ラカを探す、助けた、集落を見る、というのが仕事なのだから。
「さ、行きましょう」
にこりと雷は言う。
「……う」
「……なあ、あんた。ともに戦うことができたんだ……ともに歩むことだってできると思うが」
セルゲンはぽつりいう。
「そうだな……俺たちが危ないと思ったから、回復魔法を使ってくれた……それと、クオンがやばいって向かおうとしてくれた」
セルゲンの言葉にラカは顔を真っ赤にしてそっぽを向く。
「そうですね、私がもっとしっかりしていればクオンさんはこんなに傷つかなくて済んだのです」
「ちょっと待ってください、しおれないでください。そこまで重傷ではないですから……」
「え? でも、私、頑張らねばと思ったのです」
「それは、わたしだって頑張らないと、ですよ?」
クオンは苦笑した。
「……わかりました。集落はこっちです」
ハンターのやり取りを聞いていたラカはとぼとぼ歩き始める。
「あ、よ、よろしければ後ろに乗ってくれませんか?」
ロゼッタが恥ずかしそうにゴースロンの後ろを示す。
「わ、私……はちゅ……龍人に興味があります!」
危うく爬虫類好きと言いかけ、龍人をまとめようとして止めた。もしラカのプライドを変に傷つけたら、仲間がなんとかラカを説得したのが水の泡だ。
「……龍人を?」
ラカが首をかしげる。
「ラカちゃんが嫌じゃなければ乗ってあげると、早く着く」
二人乗りにはできていないとしても、駆け足ではなければどうにかなるだろうとヴォーイは思った。
「さっさと行こう。ここにじっとしていると寒い」
ラジェンドラがだんだんと凍えてくると伝える。
「北に行けば行くほど寒いわけですよね」
トリスは近くの氷を足で突いた。
「その通りですね、さ、行きましょう」
クオンが穏やかに宣言した。
一行はまもなく到着する。そこは防備を固めてこもっていただけで、まだ何もなかった。ラカやハンターがここに来たかもしれない歪虚等を倒したとあって、一様に安堵の空気が流れたのだった。
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龍人だけど鬼神な神官さん救助隊 セルゲン(ka6612) 鬼|24才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2017/05/23 06:29:13 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/18 22:55:47 |