ゲスト
(ka0000)
青竜紅刃流~チクワウエスタン
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/24 22:00
- 完成日
- 2017/06/04 03:47
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
同盟領は農業推進地「ジェオルジ」には、さまざまな村がある。
「なんでまたこんな乾燥した場所に……」
ジェオルジの片田舎「タスカービレ」に移住しているイ寺鑑(kz0175)は、まるでリアルブルー世界のアメリカ西部劇の舞台のような町並みを見て絶句していた。歩いている通りには乾燥したタンブルウィードがころころ転がっている。
「農業と酪農のさまざまな取り組みをしてるジェオルジですもの。このくらいは当然でしょう?」
ジェオルジ役人でタスカービレに派遣されているフィーネ・リスパルミオは涼しげに肩をすくめると、きいこ、とスイングドアを開けてサルーンに入った。
「いらっしぇい」
「連れが来てから注文するわ。それまではミルクセーキを二つ」
バーテンダーは早速シェイカーをシャカシャカやり始めノンアルコールカクテルを作り始めた。周りではすでに顔を赤らめたおっさん客らがグビリと酒をあおりながら「ミルクセーキだとよ、がはは」となどと漏らしている。
「それにしてもわざわざこんな所に……乾燥した地域ならオリーブ畑にすればいいのに」
ため息交じりに言う鑑の私見ももっともである。
「いい? 農業はね、作物や加工品を売るだけじゃないの」
片肘をつく鑑にフィーネがぐずる子どもに言い聞かせるようにな口調で始めた。
「ジェオルジの生産物が地産地消だけでなく各地に輸出されてるのは知ってるわよね? ただ、それだけじゃ世界の台所を預かってるとはいえないわ」
現に農業なんて各地各国でその地域なりに盛んですから、と続ける。
「そりゃそうだ」
鑑、色気混じりにのぞき込んで来るフィルターに拗ねた子どものように返した。
「苗も売ってるのよ。乾燥した地域には乾燥した地域に合うように品種改良して。むしろこっちの方が当てにされる理屈は分かるわね?」
「だからこんな生産性の上がらない土地でやってるのか」
「ま、タスカービレも似たようなもんだけど」
よくできました、と満面の笑みを見せるフィーネ。
それはそれとしてこの二人。きょうは春郷祭の前の情報交換のためこのウエスタン風の村に来ていた。
「やあ、お久し振り。先日は視察させていただきありがとうございます」
そうこうするうち待ち人がやってきた。この村の役人である。恰幅の良い男だ。
「いえいえ。今度は私たちが勉強させてもらいますよ」
「いや、それよりどうですかね。カジノ構想は」
役人は声を弾ませ聞いてくる。
ジェオルジはいくつもの村があるが、そのどれもが活況というわけではない。へき地で生産性の上がらない村からは人口流出が続いている。鑑の移民したタスカービレモそうだった。
理由の一つが、娯楽や文化の享受の困難性。
中央ではこんな楽しいことがある、新たな産業も活発で人手を欲している、などと伝え聞けば心が引かれよう。若者であればなおさら。
そこで、ウエスタン調の村作りをしていたこの村でトランプが流行したことに目を付けカジノ構想が持ち上がった。
なお、トランプの流行は良かったが賭け事も流行してしまったためひとまず賭博禁止にして、反対意見を抑えるためカジノ施設でのみ許可するという切実な軟着陸策でもある。
「まずいでしょうね。いくら村作りといってもジェオルジ家がうんと言わないでしょう」
農業での振興から外れますから、とフィーネ。
「しかし、そちらの銃剣流派はお咎めなしでしょう?」
「武芸、こと剣術道に関しては礼節・分別・誠心あってこそ。社会の模範となる人物育成が前提にありますから」
一緒にされては困る、カジノごときと、と機嫌をねじ曲げる鑑。
「いや、失礼。……しかし、ヴァリオスなんかの都会に行かずとも近場にそういう特殊で大型の娯楽施設があれば若者も村を後にするなんてことはなくなるし、何よりやっぱり農業が一番堅実だと分かってくれるはず」
胴元の儲からない賭博なんてないですし、と男。
「カジノ運営で儲けたいんですか?」
「そうじゃない。カジノの利益はウチやあなた方のような位置的に不利な近隣村で分配して公共事業に充てるつもりだ」
眉をひそめるフィーネに必死の説明。リアルブルーにおける、地方行政体による競艇みたいな位置付けであるようだ。
「良からぬ者が寄ってきて荒れるとしか思えないが」
「だから、青竜紅刃流のイ寺さんにも来ていただき一番にご相談させてもらおうかと……」
つまり、警備は頼むと言うことだ。
「断る」
「え?」
「われわれ流派は先も言ったように鑑となれる育成をしている。平時には農業に従事し、事あらば村を守るために剣を振るう。……警備員を育てているわけではない」
それをやると勘違いする者が出る、仮に門下生から師範が出るなら、強いだけのものではない、と手厳しく続ける。
一瞬、場が静まったその時だった。
「大変だ、歪虚が出た!」
「何?」
転がり込んだ住民に案内させ駆けつける鑑。
いたのは、暴れて荒野に引き返す大きなタンブルウイードの群れだった。
「なんでまたこんな乾燥した場所に……」
ジェオルジの片田舎「タスカービレ」に移住しているイ寺鑑(kz0175)は、まるでリアルブルー世界のアメリカ西部劇の舞台のような町並みを見て絶句していた。歩いている通りには乾燥したタンブルウィードがころころ転がっている。
「農業と酪農のさまざまな取り組みをしてるジェオルジですもの。このくらいは当然でしょう?」
ジェオルジ役人でタスカービレに派遣されているフィーネ・リスパルミオは涼しげに肩をすくめると、きいこ、とスイングドアを開けてサルーンに入った。
「いらっしぇい」
「連れが来てから注文するわ。それまではミルクセーキを二つ」
バーテンダーは早速シェイカーをシャカシャカやり始めノンアルコールカクテルを作り始めた。周りではすでに顔を赤らめたおっさん客らがグビリと酒をあおりながら「ミルクセーキだとよ、がはは」となどと漏らしている。
「それにしてもわざわざこんな所に……乾燥した地域ならオリーブ畑にすればいいのに」
ため息交じりに言う鑑の私見ももっともである。
「いい? 農業はね、作物や加工品を売るだけじゃないの」
片肘をつく鑑にフィーネがぐずる子どもに言い聞かせるようにな口調で始めた。
「ジェオルジの生産物が地産地消だけでなく各地に輸出されてるのは知ってるわよね? ただ、それだけじゃ世界の台所を預かってるとはいえないわ」
現に農業なんて各地各国でその地域なりに盛んですから、と続ける。
「そりゃそうだ」
鑑、色気混じりにのぞき込んで来るフィルターに拗ねた子どものように返した。
「苗も売ってるのよ。乾燥した地域には乾燥した地域に合うように品種改良して。むしろこっちの方が当てにされる理屈は分かるわね?」
「だからこんな生産性の上がらない土地でやってるのか」
「ま、タスカービレも似たようなもんだけど」
よくできました、と満面の笑みを見せるフィーネ。
それはそれとしてこの二人。きょうは春郷祭の前の情報交換のためこのウエスタン風の村に来ていた。
「やあ、お久し振り。先日は視察させていただきありがとうございます」
そうこうするうち待ち人がやってきた。この村の役人である。恰幅の良い男だ。
「いえいえ。今度は私たちが勉強させてもらいますよ」
「いや、それよりどうですかね。カジノ構想は」
役人は声を弾ませ聞いてくる。
ジェオルジはいくつもの村があるが、そのどれもが活況というわけではない。へき地で生産性の上がらない村からは人口流出が続いている。鑑の移民したタスカービレモそうだった。
理由の一つが、娯楽や文化の享受の困難性。
中央ではこんな楽しいことがある、新たな産業も活発で人手を欲している、などと伝え聞けば心が引かれよう。若者であればなおさら。
そこで、ウエスタン調の村作りをしていたこの村でトランプが流行したことに目を付けカジノ構想が持ち上がった。
なお、トランプの流行は良かったが賭け事も流行してしまったためひとまず賭博禁止にして、反対意見を抑えるためカジノ施設でのみ許可するという切実な軟着陸策でもある。
「まずいでしょうね。いくら村作りといってもジェオルジ家がうんと言わないでしょう」
農業での振興から外れますから、とフィーネ。
「しかし、そちらの銃剣流派はお咎めなしでしょう?」
「武芸、こと剣術道に関しては礼節・分別・誠心あってこそ。社会の模範となる人物育成が前提にありますから」
一緒にされては困る、カジノごときと、と機嫌をねじ曲げる鑑。
「いや、失礼。……しかし、ヴァリオスなんかの都会に行かずとも近場にそういう特殊で大型の娯楽施設があれば若者も村を後にするなんてことはなくなるし、何よりやっぱり農業が一番堅実だと分かってくれるはず」
胴元の儲からない賭博なんてないですし、と男。
「カジノ運営で儲けたいんですか?」
「そうじゃない。カジノの利益はウチやあなた方のような位置的に不利な近隣村で分配して公共事業に充てるつもりだ」
眉をひそめるフィーネに必死の説明。リアルブルーにおける、地方行政体による競艇みたいな位置付けであるようだ。
「良からぬ者が寄ってきて荒れるとしか思えないが」
「だから、青竜紅刃流のイ寺さんにも来ていただき一番にご相談させてもらおうかと……」
つまり、警備は頼むと言うことだ。
「断る」
「え?」
「われわれ流派は先も言ったように鑑となれる育成をしている。平時には農業に従事し、事あらば村を守るために剣を振るう。……警備員を育てているわけではない」
それをやると勘違いする者が出る、仮に門下生から師範が出るなら、強いだけのものではない、と手厳しく続ける。
一瞬、場が静まったその時だった。
「大変だ、歪虚が出た!」
「何?」
転がり込んだ住民に案内させ駆けつける鑑。
いたのは、暴れて荒野に引き返す大きなタンブルウイードの群れだった。
リプレイ本文
●
「へー。雰囲気のあるとこじゃねーか」
きいこ、とスイングドアを開けてサルーンに入ったジャック・エルギン(ka1522)が店内を見回し感心した。テンガロンハットにチョッキ姿の男たちがたむろし、丸テーブルでは煙草をふかしながらトランプに興じている。
「あー、馴染むわ~」
「えーと、どうしてかな?」
ほっこりした冬樹 文太(ka0124)に、宵待 サクラ(ka5561)が聞いてみる。
「壁に銃が飾ったりとか、ええ雰囲気やん」
「あー、そっちかー」
文太、にこにこにとカウンターの壁に掛けてある銃などに視線を送る。 猟撃士と疾影士の違いかもしれない。
「ほら、ゾファル。着いたぞ」
続いてイ寺鑑(kz0175)が入って来る。
何と、ゾファル・G・初火(ka4407)を背負っている。
「あー、お疲れじゃ~ん」
「まったく。この歳で縁側で猫抱いて日向ぼっこするご隠居みたいな生活送って……」
ゾファルを下ろしてぶつくさ言う鑑。
どうやらタスカービレでは古参師範なのに指導もせずに食っちゃ寝三昧のようで。
「だって仕事すんのだりぃじゃん」
「最近じゃただの喧嘩を教えてるとか聞くが?」
「そうそう、一つ小耳に挟んだのだが、賭場を開きたいそうだな」
ここで後から入って来た三里塚 一(ka5736)がスーツ「ノスフェラトゥ」の合わせに手を添えすっとぼけたように会話を誘導した。
「……まさかそういうつもりか?」
「そんな面倒なことするわけないじゃん。カジノのバウンサー育成なんて全く考えてナイナイ絶対無い」
顔を寄せて凄む鑑。ゾファルの方は横向いてはなほじほじ。仕事嫌いなので嘘ではあるまい。
ここで狐中・小鳥(ka5484)が入って来る。
「はわ……ウェスタンな街は初めてだよ……」
きょろ、と見回しジャックや文太、サクラなどと同じ反応を見せる。
「あれ? 小鳥、ウーナは?」
「馬車に残って着替えしてたかな?」
艦に聞かれ小鳥がこたえた時だった。
「いやっほぅ!」
スイングドアを思いっきり開けてテンガロンハットにチョッキ姿のウーナ(ka1439)が登場。カウガール風衣装だ。
「……待て」
「いやほら、TPOっていうじゃない?」
「そうじゃなくってだな」
短いホットパンツに突っ込む鑑だが、まあそれはそれ。
「……それより珍妙なモンが歪虚化したな」
ジャック、そんな騒ぎはほっといて皆に聞く。
「タンブルウィードだよね? まずは探さないといけないのかな」
「西部劇らしくあっちから転がってくれば楽やなぁ」
ええと、と指を頬に添えて首を傾げるサクラに両手を頭の後ろで組んでぼんやり言う文太。
「しかし……この世界にもこの様な風情の街があるものなのだな」
「だよねー。観光で見て回っても……」
もう一方で一と小鳥がそんな会話に華を咲かせている時だった。
――ばたーん!
「た、大変だ。この間の奴が来たッ!」
住民が転がり入って外を指差している。
「あやや!? 落ち着いたと思ったらいきなりだね!? 一体どんな敵なんだろ」
「このような世界であるからして……」
「西部劇のアレだろ?」
小鳥は一の説明も聞かず外へ。ジャックが細かいことは見りゃいいんだよ、と追い越してついて行く。
「興味あるよねー」
「タンブルウィードって普通、背景その1だよね…」
「ああ、私などは何しろ物見の見物人といったものだ。構わず……」
わくわくサクラと呆れウーナが続く。一は紳士然として立っている。
「じゃ、ちょっと裏に行ってくるじゃ~ん」
「おい、ゾファル? あ、皆さん、落ち着いて。ここから出ないで」
「ホンマに向こうから転がって来るとは……それはそれとして、なんや苦労しとんなぁ……」
裏口に行くゾファルに止めようとしつつも場の騒動を押さえようと必死の鑑。文太は同情しつつも表口から仲間を追う。
●
小鳥が外に出た時、まさにタンブルウィードが目の前に迫って来ていた。
「はわわっ!」
小鳥、戦籠手「災厄」をかざしつつ潜り込むようにして弾んだタンブルウィードをしのいだ。
「ちょうど手に入った新しい武器を試すチャンスかもだよ。それしても本物とどう区別つけるんだろ?」
しのいだ小鳥、振り返り禍炎剣「レーヴァテイン」をぴたりと構える。
「Uターンしてくるってのは明らかに普通のじゃねぇな」
分かりやすいぜ、とジャックが登場。
「これはまた燃えやすそうだねー」
サクラも出て来た。すでに絡繰刀「迦具土」を抜刀。先ほど通過したのとは別にやってきた第二陣に備える。
「西部劇の背景に転がってたのって、こんなに大きかったっけ?」
ウーナ、オートマチック「チェイサー」を持つ手で少しテンガロンハットのつばを上げる。反対の手で魔導拳銃剣「エルス」がちゃきん、とソードモード。
その背後で小鳥、Uターンして来た敵に突っ込んでいる。
「あや、軽くて弾力あるから芯を外してくるんだよ? ……でも本当に枯草っぽくはあるよね?」
飛びかかって来た敵の真ん中をぶった切ったつもりだったが、敵は丸くもあり被弾経始は良好。表面の枝がしなって刃をかいくぐるように動き表面を削られるにとどめた。ばさっ、と舞う枝の数々に本質はあまり変わらないと判断する小鳥。
ここで文太も出て来た。
「いきなり囲まれとるんちゃう? やれやれやなぁ」
銃身の側面に刻まれるはファイアパターン。魔導銃「サラマンダー」が火を噴く。
びし、と敵を貫く。ただ敵の内部はスカスカで思ったよりダメージが少ないか?
が、それだけではない。
「効き悪いんなら何度も当てるだけや!」
文太、弾道をマテリアルで操作。ハウンドバレッドだ!
強引に一発で何度も同じ敵に当てる、当てる!
この時、第二陣の迫る背後の正面では。
「えーと、これもしかして、草刈鎌最強伝説だったりしたのかな?」
「数も多いし、まず動きを封じて数を減らそっか」
汗たら~なサクラに、銃を構え第二陣に打ち込むウーナ。
ただ、撃った弾は通常弾ではない。
当たった敵は冷気で一瞬勢いが止まり一斉に襲ってくることを防いだ。
「銃で敵を止めておいて近寄ったら剣、か。おもしれぇな」
「これぞ青竜紅刃流、ってね」
にやりとしたジャック。得意になって流派を名乗るウーナを追い越す。
ヤル気だ!
「剣術の先生もいるこったし……ちょっと試してみっか」
呟き長く分厚い剣二本を抜き、両手に構えた!
「二刀流?」
「ただの二刀流じゃねぇぜ? バスターソード……バスソ二刀流だ!」
右は赤い「アニマ・リベラ」、左は金色の「フォルティス」。長い間合いを存分に生かし、敵の行く手に入って振りきる。赤金の軌道が……。
――ばさっ、ごろごろ……。
見事に敵二体に入った。敵の特性上、一発で真っ二つにはできなかったが二体一組で突撃して来た敵の軌道は二つに割った。
「……行けるじゃねぇか」
ジャック、手ごたえをつかみ、にやり。
そしてこの時、サクラ。
「火属性もついてるしガンガン狩っちゃう、いや刈っちゃうぞー」
ジャックの隣を駆け上がりアサルトディスタンス。敵の特性を見切り、右に左に斬ってはかわし、斬ってはかわしととにかく手数を掛けながら逆突撃を仕掛けていく。
そして背後の味方の戦いに気付くのだ。
こちら、小鳥。
「此処なら燃やしても大丈夫そう? なら、燃えちゃえ! 紅蓮斬だよ!」
腰を捻った低い姿勢から下段の剣。地面を擦った摩擦熱で灼熱した一撃で敵を効果的にぶった切っていた。
もちろん、剣の赤い炎はマテリアルの残光で、摩擦熱の効果も熱を持たない。
敵は燃えないが気合が違う。敵はバッサリだ!
が、サクラ。
燃えちゃえ、の言葉が耳に激しく残った。
はっ、と振り返る。
見ると、敵から削った枯れ枝がごっそりと落ちて散らばっている。とっても乾燥した感じで、こころなしかぷしゅ~、と煙が立っているように見えた。
「NOooOoo! 延焼ダメ絶対ぃ~っ!」
思わずそこに駆け寄り真っ向ダイブ!
ゴロゴロ転がって衝撃で火を消す!
といっても、実際は火はついていないので延焼はない。サクラ、ほっ。
「お代官さま相手でもないのに帯コマ寸前だったよ、ふぅ」
いや、脱げてなくて「あ~れ~」と言ってないだけで派手に転がっていたのだが。
ともかく、悲劇は連鎖した!
「延焼やて?」
ばっ、と文太が振り返っていた。
「そらあかん!」
急いで上着を脱いだ。ジャケットをかぶせて消し止める気だ!
が、背後遠くにいるサクラはまるで消し止めたように額をぬぐっている。
やれやれ、と上着を着直した直後。
「足止めした敵にはクリスタルバレットで爆発だかんね!」
作戦通り、とウーナが特殊弾を敵にぶち込む。貫通せずに爆発する弾の効果は絶大だ。
そしてこれを耳にした文太への威力も絶大!
「ば、爆発やて?」
そら延焼するやろ、とまたもジャケットを脱ぐ。
が、もちろん爆発して満月みたいだったタンブルウィードが半月みたいになっているだけ。燃えてはいないな。
「分かった。敵、燃えへんのやな?」
身をひねって脱ぎかけた上着を戻し「もうだまされへん」。
ともかく、歌って踊れる歌手みたいな動きだった。
●
そして再びサクラ、気付く。
「あれ? 孤立しちゃってる?」
突出した分、仕方ない。
それだけではない。
「数が多いならまとめていくんだよ! ……って、あやや?」
縦横無尽に戦おうとした小鳥も状況に気付く。
「数……減ったね?」
序盤の攻勢で敵が半減し、密度がなくなったことに気付くウーナ。
「っていうか、敵が建物に跳ね返ってジャンプしてるじゃねーか」
本格的にジャックが気付いた。敵、大通りを行ったり来たりする戦闘から、横を使って急降下する戦法も交えて来たのだ。
流れが敵側になった、その時だった!
「うぇぇ、すっかり遅れたじゃん」
ぱかかっ、と愛馬「黒船」に乗ったゾファルが店の裏にある厩舎から回り込んで登場。どうやら店の裏に行ったのはこのためだったようで。
そして炎のように燃えるオーラを纏って悪目立ち。さっきまで延焼がとか爆発がとかやってたのでなおさら。
が、敵がやって来るのを待つなどということはしない。
「俺様ちゃん登場じゃーん」
巨人用の片刃斧二個一のギガースアックスぶん回して敵の中に……といっても今回すでに半数以下なので大通りを文字通り大手を振って往来、往来。壁に弾んで飛んでくる敵に少々ぶつかられようが一直線。でもって折り返して一直線。
「ズバズバビューン」
怒涛の進撃を見せる。
同時に建物の傍で戦況を見詰めていた男も動く。
「やれやれ、これで敵の戦法はすべてであるかな?」
一である。
壁にぶつかって跳ねるので攻撃を食い始めたという理由もあるが、ついに敵の観察を終え討伐に動く。
びらっ、と符綴「花吹雪」を開くと黒竜柄などの符が舞いふんわりと桜の木の香りが漂った。
「鳥なり炎なりだしてやろう」
空中に浮いている敵に対し瑞鳥符や火炎符を見舞う。
無論、それまで戦線を支えていたメンバーも状況変化に対応する。
文太、少なくなった敵に対し、ソウルトーチで向かってくるよう誘う。
そして改めて銃を構えるのだ。
「動物とは違うけど、これで勢い位は落ちるやろ…っ」
狙ったのは、弾んだ敵の着地の瞬間。
これまでの攻撃もそうだったが、何かに当たった瞬間、敏感に方向を調整する。
ならば、弾んで方向を調整した瞬間を狙えば……。
――びしっ!
「よっしゃ。クリーンヒット」
見事捕える。
が、ソウルトーチの影響は他の敵にも及んでいる。
横合いから敵に接近されていた。
「おわっ」
咄嗟に銃で防ぐがのしかかられてざっくり。
文太も身をひねり敵をいなしつつ……。
「ただの回転草の癖にしぶといやっちゃなぁ…!」
短剣を引き抜き敵接地と同時にぐっさりと突き潰す。
ジャックも対応していた。
「威力が流されてるんなら……」
バスソ二刀流で突っ込みつつ、今度は左を前に、右を溜めて身をひねったぞ!
「威力を流される前にこうだ!」
ダウンスイングで横にいなす敵。これを見越していたジャック、間髪入れず二撃目……本命の右を横一閃した!
敵、これに対応できずずぱっと深くぶった斬られる。
「……十字斬り、だ」
その近くでは、ウーナも青竜紅刃流・射の型で接近戦。剣で敵をけん制しつつ、近距離射撃で中心をとらえて殲滅。
「ちょっと衣装と合わないけど……次はちゃんと銃効くヤツ呼んでよね!」
「対応してんじゃねぇか」
カウガールなのに、な感じのウーナにぽそりと突っ込むジャックだったり。
「これで掴めるんなら掴んで紅蓮斬なんだけどねー」
「よくも私をだましたね!」
痛いの嫌だし、と敵を屠る小鳥。燃えないなら燃えないって言えばいいのに、な感じのサクラも敵を倒していた。
敵、全滅である。
●
戦闘後、サルーンに改めて落ち着いた。
「お、来た。ミルクセーキや。頭使った後に甘い物はえぇもんやで?」
散々な目に合ったわ、とか愚痴を言っていた文太は注文したミルクセーキであっさり機嫌を直している。
「……甘すぎるのは苦手なんだよな」
一応皆に付き合って注文したジャックはちびっと飲んでまあこのくらいなら、な感じ。
「それよりカジノだっけか? お節介かもしれねーが、悪どい商売やってたカジノを摘発、なんて依頼もあったな」
ジャック、改めて渋い顔をした。
「やったらいいじゃん。あたしはだりぃのパスだけれど、青竜紅刃流って仕事選べるほど実績ないじゃん」
ゾファルはミルクセーキを飲みながら面倒くさそうに。上着の裾からのぞく腹をぽりぽりかきながら。
「あたしはやってもいいけどなー、護衛。これでも師範だし…それとも鑑センセ、引き受けたら破門だ! とか言っちゃう?」
ウーナ、鑑に流し目。
「誰も破門にしたくないから言ってるんだ」
「それって答えになってないんじゃない?」
「大人を困らすんじゃない」
とかなんとかウーナと鑑の言い合い。
「それで身を持ち崩したり治安が悪化したり人生が悪い意味で変わっちゃったりすると流石にね……」
小鳥、汗たら~しながらフォロー。
「私から一つ言うなれば、客は選ぶものだ」
一、悠然と足を組みかえて言う。金持ち喧嘩せず、詰まらんことで争うのは貧乏人と相場が決まっている、などとも。
「カジノは…多分失敗すると思うよ? この村だけの失敗で済むといいね?」
サクラ、真摯な姿勢で訴える。ギャンブルにはまった人間を唯一止められるのは暴力 だけなんだよ、などくぎを刺す。
「しかし僻地からの人口流出か…。歪虚より頭の痛い問題かもな」
ジャックは改めてため息。
「ま、えぇんちゃう。明確な理由があって村おこしにすんなら」
文太、村への理解もある程度示す。
「村おこしが伝わりやすく……はまらないように、か」
うーん、と鑑も天井を仰ぐ。
とりあえず、常設型の案は中止となった。
「へー。雰囲気のあるとこじゃねーか」
きいこ、とスイングドアを開けてサルーンに入ったジャック・エルギン(ka1522)が店内を見回し感心した。テンガロンハットにチョッキ姿の男たちがたむろし、丸テーブルでは煙草をふかしながらトランプに興じている。
「あー、馴染むわ~」
「えーと、どうしてかな?」
ほっこりした冬樹 文太(ka0124)に、宵待 サクラ(ka5561)が聞いてみる。
「壁に銃が飾ったりとか、ええ雰囲気やん」
「あー、そっちかー」
文太、にこにこにとカウンターの壁に掛けてある銃などに視線を送る。 猟撃士と疾影士の違いかもしれない。
「ほら、ゾファル。着いたぞ」
続いてイ寺鑑(kz0175)が入って来る。
何と、ゾファル・G・初火(ka4407)を背負っている。
「あー、お疲れじゃ~ん」
「まったく。この歳で縁側で猫抱いて日向ぼっこするご隠居みたいな生活送って……」
ゾファルを下ろしてぶつくさ言う鑑。
どうやらタスカービレでは古参師範なのに指導もせずに食っちゃ寝三昧のようで。
「だって仕事すんのだりぃじゃん」
「最近じゃただの喧嘩を教えてるとか聞くが?」
「そうそう、一つ小耳に挟んだのだが、賭場を開きたいそうだな」
ここで後から入って来た三里塚 一(ka5736)がスーツ「ノスフェラトゥ」の合わせに手を添えすっとぼけたように会話を誘導した。
「……まさかそういうつもりか?」
「そんな面倒なことするわけないじゃん。カジノのバウンサー育成なんて全く考えてナイナイ絶対無い」
顔を寄せて凄む鑑。ゾファルの方は横向いてはなほじほじ。仕事嫌いなので嘘ではあるまい。
ここで狐中・小鳥(ka5484)が入って来る。
「はわ……ウェスタンな街は初めてだよ……」
きょろ、と見回しジャックや文太、サクラなどと同じ反応を見せる。
「あれ? 小鳥、ウーナは?」
「馬車に残って着替えしてたかな?」
艦に聞かれ小鳥がこたえた時だった。
「いやっほぅ!」
スイングドアを思いっきり開けてテンガロンハットにチョッキ姿のウーナ(ka1439)が登場。カウガール風衣装だ。
「……待て」
「いやほら、TPOっていうじゃない?」
「そうじゃなくってだな」
短いホットパンツに突っ込む鑑だが、まあそれはそれ。
「……それより珍妙なモンが歪虚化したな」
ジャック、そんな騒ぎはほっといて皆に聞く。
「タンブルウィードだよね? まずは探さないといけないのかな」
「西部劇らしくあっちから転がってくれば楽やなぁ」
ええと、と指を頬に添えて首を傾げるサクラに両手を頭の後ろで組んでぼんやり言う文太。
「しかし……この世界にもこの様な風情の街があるものなのだな」
「だよねー。観光で見て回っても……」
もう一方で一と小鳥がそんな会話に華を咲かせている時だった。
――ばたーん!
「た、大変だ。この間の奴が来たッ!」
住民が転がり入って外を指差している。
「あやや!? 落ち着いたと思ったらいきなりだね!? 一体どんな敵なんだろ」
「このような世界であるからして……」
「西部劇のアレだろ?」
小鳥は一の説明も聞かず外へ。ジャックが細かいことは見りゃいいんだよ、と追い越してついて行く。
「興味あるよねー」
「タンブルウィードって普通、背景その1だよね…」
「ああ、私などは何しろ物見の見物人といったものだ。構わず……」
わくわくサクラと呆れウーナが続く。一は紳士然として立っている。
「じゃ、ちょっと裏に行ってくるじゃ~ん」
「おい、ゾファル? あ、皆さん、落ち着いて。ここから出ないで」
「ホンマに向こうから転がって来るとは……それはそれとして、なんや苦労しとんなぁ……」
裏口に行くゾファルに止めようとしつつも場の騒動を押さえようと必死の鑑。文太は同情しつつも表口から仲間を追う。
●
小鳥が外に出た時、まさにタンブルウィードが目の前に迫って来ていた。
「はわわっ!」
小鳥、戦籠手「災厄」をかざしつつ潜り込むようにして弾んだタンブルウィードをしのいだ。
「ちょうど手に入った新しい武器を試すチャンスかもだよ。それしても本物とどう区別つけるんだろ?」
しのいだ小鳥、振り返り禍炎剣「レーヴァテイン」をぴたりと構える。
「Uターンしてくるってのは明らかに普通のじゃねぇな」
分かりやすいぜ、とジャックが登場。
「これはまた燃えやすそうだねー」
サクラも出て来た。すでに絡繰刀「迦具土」を抜刀。先ほど通過したのとは別にやってきた第二陣に備える。
「西部劇の背景に転がってたのって、こんなに大きかったっけ?」
ウーナ、オートマチック「チェイサー」を持つ手で少しテンガロンハットのつばを上げる。反対の手で魔導拳銃剣「エルス」がちゃきん、とソードモード。
その背後で小鳥、Uターンして来た敵に突っ込んでいる。
「あや、軽くて弾力あるから芯を外してくるんだよ? ……でも本当に枯草っぽくはあるよね?」
飛びかかって来た敵の真ん中をぶった切ったつもりだったが、敵は丸くもあり被弾経始は良好。表面の枝がしなって刃をかいくぐるように動き表面を削られるにとどめた。ばさっ、と舞う枝の数々に本質はあまり変わらないと判断する小鳥。
ここで文太も出て来た。
「いきなり囲まれとるんちゃう? やれやれやなぁ」
銃身の側面に刻まれるはファイアパターン。魔導銃「サラマンダー」が火を噴く。
びし、と敵を貫く。ただ敵の内部はスカスカで思ったよりダメージが少ないか?
が、それだけではない。
「効き悪いんなら何度も当てるだけや!」
文太、弾道をマテリアルで操作。ハウンドバレッドだ!
強引に一発で何度も同じ敵に当てる、当てる!
この時、第二陣の迫る背後の正面では。
「えーと、これもしかして、草刈鎌最強伝説だったりしたのかな?」
「数も多いし、まず動きを封じて数を減らそっか」
汗たら~なサクラに、銃を構え第二陣に打ち込むウーナ。
ただ、撃った弾は通常弾ではない。
当たった敵は冷気で一瞬勢いが止まり一斉に襲ってくることを防いだ。
「銃で敵を止めておいて近寄ったら剣、か。おもしれぇな」
「これぞ青竜紅刃流、ってね」
にやりとしたジャック。得意になって流派を名乗るウーナを追い越す。
ヤル気だ!
「剣術の先生もいるこったし……ちょっと試してみっか」
呟き長く分厚い剣二本を抜き、両手に構えた!
「二刀流?」
「ただの二刀流じゃねぇぜ? バスターソード……バスソ二刀流だ!」
右は赤い「アニマ・リベラ」、左は金色の「フォルティス」。長い間合いを存分に生かし、敵の行く手に入って振りきる。赤金の軌道が……。
――ばさっ、ごろごろ……。
見事に敵二体に入った。敵の特性上、一発で真っ二つにはできなかったが二体一組で突撃して来た敵の軌道は二つに割った。
「……行けるじゃねぇか」
ジャック、手ごたえをつかみ、にやり。
そしてこの時、サクラ。
「火属性もついてるしガンガン狩っちゃう、いや刈っちゃうぞー」
ジャックの隣を駆け上がりアサルトディスタンス。敵の特性を見切り、右に左に斬ってはかわし、斬ってはかわしととにかく手数を掛けながら逆突撃を仕掛けていく。
そして背後の味方の戦いに気付くのだ。
こちら、小鳥。
「此処なら燃やしても大丈夫そう? なら、燃えちゃえ! 紅蓮斬だよ!」
腰を捻った低い姿勢から下段の剣。地面を擦った摩擦熱で灼熱した一撃で敵を効果的にぶった切っていた。
もちろん、剣の赤い炎はマテリアルの残光で、摩擦熱の効果も熱を持たない。
敵は燃えないが気合が違う。敵はバッサリだ!
が、サクラ。
燃えちゃえ、の言葉が耳に激しく残った。
はっ、と振り返る。
見ると、敵から削った枯れ枝がごっそりと落ちて散らばっている。とっても乾燥した感じで、こころなしかぷしゅ~、と煙が立っているように見えた。
「NOooOoo! 延焼ダメ絶対ぃ~っ!」
思わずそこに駆け寄り真っ向ダイブ!
ゴロゴロ転がって衝撃で火を消す!
といっても、実際は火はついていないので延焼はない。サクラ、ほっ。
「お代官さま相手でもないのに帯コマ寸前だったよ、ふぅ」
いや、脱げてなくて「あ~れ~」と言ってないだけで派手に転がっていたのだが。
ともかく、悲劇は連鎖した!
「延焼やて?」
ばっ、と文太が振り返っていた。
「そらあかん!」
急いで上着を脱いだ。ジャケットをかぶせて消し止める気だ!
が、背後遠くにいるサクラはまるで消し止めたように額をぬぐっている。
やれやれ、と上着を着直した直後。
「足止めした敵にはクリスタルバレットで爆発だかんね!」
作戦通り、とウーナが特殊弾を敵にぶち込む。貫通せずに爆発する弾の効果は絶大だ。
そしてこれを耳にした文太への威力も絶大!
「ば、爆発やて?」
そら延焼するやろ、とまたもジャケットを脱ぐ。
が、もちろん爆発して満月みたいだったタンブルウィードが半月みたいになっているだけ。燃えてはいないな。
「分かった。敵、燃えへんのやな?」
身をひねって脱ぎかけた上着を戻し「もうだまされへん」。
ともかく、歌って踊れる歌手みたいな動きだった。
●
そして再びサクラ、気付く。
「あれ? 孤立しちゃってる?」
突出した分、仕方ない。
それだけではない。
「数が多いならまとめていくんだよ! ……って、あやや?」
縦横無尽に戦おうとした小鳥も状況に気付く。
「数……減ったね?」
序盤の攻勢で敵が半減し、密度がなくなったことに気付くウーナ。
「っていうか、敵が建物に跳ね返ってジャンプしてるじゃねーか」
本格的にジャックが気付いた。敵、大通りを行ったり来たりする戦闘から、横を使って急降下する戦法も交えて来たのだ。
流れが敵側になった、その時だった!
「うぇぇ、すっかり遅れたじゃん」
ぱかかっ、と愛馬「黒船」に乗ったゾファルが店の裏にある厩舎から回り込んで登場。どうやら店の裏に行ったのはこのためだったようで。
そして炎のように燃えるオーラを纏って悪目立ち。さっきまで延焼がとか爆発がとかやってたのでなおさら。
が、敵がやって来るのを待つなどということはしない。
「俺様ちゃん登場じゃーん」
巨人用の片刃斧二個一のギガースアックスぶん回して敵の中に……といっても今回すでに半数以下なので大通りを文字通り大手を振って往来、往来。壁に弾んで飛んでくる敵に少々ぶつかられようが一直線。でもって折り返して一直線。
「ズバズバビューン」
怒涛の進撃を見せる。
同時に建物の傍で戦況を見詰めていた男も動く。
「やれやれ、これで敵の戦法はすべてであるかな?」
一である。
壁にぶつかって跳ねるので攻撃を食い始めたという理由もあるが、ついに敵の観察を終え討伐に動く。
びらっ、と符綴「花吹雪」を開くと黒竜柄などの符が舞いふんわりと桜の木の香りが漂った。
「鳥なり炎なりだしてやろう」
空中に浮いている敵に対し瑞鳥符や火炎符を見舞う。
無論、それまで戦線を支えていたメンバーも状況変化に対応する。
文太、少なくなった敵に対し、ソウルトーチで向かってくるよう誘う。
そして改めて銃を構えるのだ。
「動物とは違うけど、これで勢い位は落ちるやろ…っ」
狙ったのは、弾んだ敵の着地の瞬間。
これまでの攻撃もそうだったが、何かに当たった瞬間、敏感に方向を調整する。
ならば、弾んで方向を調整した瞬間を狙えば……。
――びしっ!
「よっしゃ。クリーンヒット」
見事捕える。
が、ソウルトーチの影響は他の敵にも及んでいる。
横合いから敵に接近されていた。
「おわっ」
咄嗟に銃で防ぐがのしかかられてざっくり。
文太も身をひねり敵をいなしつつ……。
「ただの回転草の癖にしぶといやっちゃなぁ…!」
短剣を引き抜き敵接地と同時にぐっさりと突き潰す。
ジャックも対応していた。
「威力が流されてるんなら……」
バスソ二刀流で突っ込みつつ、今度は左を前に、右を溜めて身をひねったぞ!
「威力を流される前にこうだ!」
ダウンスイングで横にいなす敵。これを見越していたジャック、間髪入れず二撃目……本命の右を横一閃した!
敵、これに対応できずずぱっと深くぶった斬られる。
「……十字斬り、だ」
その近くでは、ウーナも青竜紅刃流・射の型で接近戦。剣で敵をけん制しつつ、近距離射撃で中心をとらえて殲滅。
「ちょっと衣装と合わないけど……次はちゃんと銃効くヤツ呼んでよね!」
「対応してんじゃねぇか」
カウガールなのに、な感じのウーナにぽそりと突っ込むジャックだったり。
「これで掴めるんなら掴んで紅蓮斬なんだけどねー」
「よくも私をだましたね!」
痛いの嫌だし、と敵を屠る小鳥。燃えないなら燃えないって言えばいいのに、な感じのサクラも敵を倒していた。
敵、全滅である。
●
戦闘後、サルーンに改めて落ち着いた。
「お、来た。ミルクセーキや。頭使った後に甘い物はえぇもんやで?」
散々な目に合ったわ、とか愚痴を言っていた文太は注文したミルクセーキであっさり機嫌を直している。
「……甘すぎるのは苦手なんだよな」
一応皆に付き合って注文したジャックはちびっと飲んでまあこのくらいなら、な感じ。
「それよりカジノだっけか? お節介かもしれねーが、悪どい商売やってたカジノを摘発、なんて依頼もあったな」
ジャック、改めて渋い顔をした。
「やったらいいじゃん。あたしはだりぃのパスだけれど、青竜紅刃流って仕事選べるほど実績ないじゃん」
ゾファルはミルクセーキを飲みながら面倒くさそうに。上着の裾からのぞく腹をぽりぽりかきながら。
「あたしはやってもいいけどなー、護衛。これでも師範だし…それとも鑑センセ、引き受けたら破門だ! とか言っちゃう?」
ウーナ、鑑に流し目。
「誰も破門にしたくないから言ってるんだ」
「それって答えになってないんじゃない?」
「大人を困らすんじゃない」
とかなんとかウーナと鑑の言い合い。
「それで身を持ち崩したり治安が悪化したり人生が悪い意味で変わっちゃったりすると流石にね……」
小鳥、汗たら~しながらフォロー。
「私から一つ言うなれば、客は選ぶものだ」
一、悠然と足を組みかえて言う。金持ち喧嘩せず、詰まらんことで争うのは貧乏人と相場が決まっている、などとも。
「カジノは…多分失敗すると思うよ? この村だけの失敗で済むといいね?」
サクラ、真摯な姿勢で訴える。ギャンブルにはまった人間を唯一止められるのは暴力 だけなんだよ、などくぎを刺す。
「しかし僻地からの人口流出か…。歪虚より頭の痛い問題かもな」
ジャックは改めてため息。
「ま、えぇんちゃう。明確な理由があって村おこしにすんなら」
文太、村への理解もある程度示す。
「村おこしが伝わりやすく……はまらないように、か」
うーん、と鑑も天井を仰ぐ。
とりあえず、常設型の案は中止となった。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 4人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/23 21:35:00 |
|
![]() |
相談だよー 狐中・小鳥(ka5484) 人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2017/05/23 23:02:47 |