ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】バチャーレ村の『命の水』
マスター:樹シロカ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/29 19:00
- 完成日
- 2017/06/07 20:08
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
同盟領、農耕推進地域ジェオルジでは、年に二回『郷祭』と呼ばれる催しがある。
始まりは各村の村長が集まり、さまざまな問題を話し合う会議がメインだったのだが、いつの間にかその後の酒宴のほうがメインになっているような状態だ。
もちろん、例え仲の悪い村同士でも、みんなで顔を合わせてごちそうでも食べれば、気分もほぐれる。
そういう交流の場でもあり、今や同盟の各都市からも人々が集まる盛大な催しとなっていた。
そんなジェオルジの一角に、バチャーレ村という、サルヴァトーレ・ロッソで転移してきたリアルブルー人の移住先がある。
村長はサイモン・小川(kz0211)という、元ロッソの植物生産プラントの管理者だ。
今、明るい初夏の日差しが降り注ぐバチャーレ村に、そのサイモンの絶叫が響き渡っていた。
「な ぜ だぁああああああああ!!!!」
叫びながら伸びた黒髪をがしがしと両手で掻き回す。
彼の前には、目の覚めるような艶やかなエメラルドグリーンの液体が満たされた、大きなビーカーがあった。
「だからー。このトウモロコシはすっごく変だって言ったじゃないのさ」
耳を塞ぎながら諦めたように言うのは、アニタというクリムゾンウェスト民だ。
サイモンはくるっと振り向き、アニタに向かってまくしたてた。
「だっておかしいじゃないですか! 蒸留酒ですよ? 気化した液体を集めるんですよ!? なんで透明にならないんですか!!!」
「あたしに言われたって知らないよ。で、どうすんの。出すの辞める? 村長会議までもう時間がないよ」
「……」
サイモンは黙りこくってしまった。
話は少し前にさかのぼる。
アニタはジェオルジ領主のセスト・ジェオルジ(kz0034)に依頼され、『ヒスイトウモロコシ』という珍しいトウモロコシを栽培するためにバチャーレ村へ移住してきた。
サイモンは味は良く、病気に強く、収穫量も多いが、見た目の鮮やか過ぎる緑色が食欲を削ぐといわれるこのトウモロコシでウイスキーを作り、村の特産物にしようと考えていた。
畑では、日々すくすくと苗が育っている。夏にはたくさんのトウモロコシが採れるだろう。
そこで収穫前に試作品を作り、村長会議でアピールしようというのがサイモンの目論見だった。
そしてできたのが、メロンソーダもびっくりな緑色の蒸留酒だったというわけだ。
アニタがビーカーに顔を近づけ、少しだけコップに注ぐと、疑わしそうに口に含む。
「匂いはなし。味も悪かないけど……いやいっそ、ライムかホウレンソウの匂いでもした方がましかも」
「ライムはともかく、ホウレンソウの酒なんて聞いたこともないですよ」
サイモンは腕を組んで眉間に皺を寄せる。
「……時間もあまりありません。何かいい方法がないか考えてみましょう」
●
そして会議のために出発する日がやってきた。
「決めました」
サイモンは眼鏡の位置を直しながら、きっぱりと言い切る。
「ライムで味付けします」
「それだけ!?」
アニタは呆れ顔を取り繕おうともしなかった。
同盟領、農耕推進地域ジェオルジでは、年に二回『郷祭』と呼ばれる催しがある。
始まりは各村の村長が集まり、さまざまな問題を話し合う会議がメインだったのだが、いつの間にかその後の酒宴のほうがメインになっているような状態だ。
もちろん、例え仲の悪い村同士でも、みんなで顔を合わせてごちそうでも食べれば、気分もほぐれる。
そういう交流の場でもあり、今や同盟の各都市からも人々が集まる盛大な催しとなっていた。
そんなジェオルジの一角に、バチャーレ村という、サルヴァトーレ・ロッソで転移してきたリアルブルー人の移住先がある。
村長はサイモン・小川(kz0211)という、元ロッソの植物生産プラントの管理者だ。
今、明るい初夏の日差しが降り注ぐバチャーレ村に、そのサイモンの絶叫が響き渡っていた。
「な ぜ だぁああああああああ!!!!」
叫びながら伸びた黒髪をがしがしと両手で掻き回す。
彼の前には、目の覚めるような艶やかなエメラルドグリーンの液体が満たされた、大きなビーカーがあった。
「だからー。このトウモロコシはすっごく変だって言ったじゃないのさ」
耳を塞ぎながら諦めたように言うのは、アニタというクリムゾンウェスト民だ。
サイモンはくるっと振り向き、アニタに向かってまくしたてた。
「だっておかしいじゃないですか! 蒸留酒ですよ? 気化した液体を集めるんですよ!? なんで透明にならないんですか!!!」
「あたしに言われたって知らないよ。で、どうすんの。出すの辞める? 村長会議までもう時間がないよ」
「……」
サイモンは黙りこくってしまった。
話は少し前にさかのぼる。
アニタはジェオルジ領主のセスト・ジェオルジ(kz0034)に依頼され、『ヒスイトウモロコシ』という珍しいトウモロコシを栽培するためにバチャーレ村へ移住してきた。
サイモンは味は良く、病気に強く、収穫量も多いが、見た目の鮮やか過ぎる緑色が食欲を削ぐといわれるこのトウモロコシでウイスキーを作り、村の特産物にしようと考えていた。
畑では、日々すくすくと苗が育っている。夏にはたくさんのトウモロコシが採れるだろう。
そこで収穫前に試作品を作り、村長会議でアピールしようというのがサイモンの目論見だった。
そしてできたのが、メロンソーダもびっくりな緑色の蒸留酒だったというわけだ。
アニタがビーカーに顔を近づけ、少しだけコップに注ぐと、疑わしそうに口に含む。
「匂いはなし。味も悪かないけど……いやいっそ、ライムかホウレンソウの匂いでもした方がましかも」
「ライムはともかく、ホウレンソウの酒なんて聞いたこともないですよ」
サイモンは腕を組んで眉間に皺を寄せる。
「……時間もあまりありません。何かいい方法がないか考えてみましょう」
●
そして会議のために出発する日がやってきた。
「決めました」
サイモンは眼鏡の位置を直しながら、きっぱりと言い切る。
「ライムで味付けします」
「それだけ!?」
アニタは呆れ顔を取り繕おうともしなかった。
リプレイ本文
●
ジェオルジ中心部は、祭の準備で人がごった返していた。
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)は活気に満ちた人々の顔を見ていると、なんだか嬉しくなってくる。
「また、郷祭の時期が来たのネ〜みんなワクワクだよネ♪」
そしてまた仲間が集ったことも嬉しかった。
「秋にご一緒だったみんな、またこうして揃うのも嬉しダヨ♪」
それはバチャーレ村のサイモンも同じだ。
準備のために設けられたテントから顔を出して、手を振っている。
「やあみなさん、また来てくださったんですね。いつもすみません」
すみませんとは口にするが、全く悪びれる様子がないのがサイモンである。
ノワ(ka3572)はひとなつこい子犬のような笑顔であいさつした。
「お久しぶりです、サイモンさん」
……子犬のような笑顔というか、実質全身犬というか。
雪都(ka6604)には、この友人のセンスがときどき分からなくなる。
「なんでまるごとわんこ……」
「え? 可愛いきぐるみを着て、丁寧に話せば、気持ちが伝わるかと思いまして! サイモンさんもいかがですか?」
「はっはっは」
笑ってごまかすサイモンだった。
「早速なのですが、こちらがその『アクア・ヴィテ』です」
サイモンがテーブルに瓶を置いた。
中にはエメラルドを溶かしたように鮮やかな緑色の液体が入っている。
ルーキフェル・ハーツ(ka1064)は液体が注がれたグラスを恨めしそうに眺めた。
「メロンソーダなら、うーと一緒に飲めるのに残念だお」
パトリシアが同意する。
「しゅわしゅわ緑のメロンソーダ! うぅん、メロンは入ってないんだけどネ? 不思議ダネ? デモ、とにかくおいしーんダヨ♪」
「メロンソーダをサイモンが作ってくれたらよかったお! でもお酒も大きくなったら飲んでみたいお!」
きゃっきゃと盛り上がる二人。
ウェスペル・ハーツ(ka1065)がサイモンを振り返って尋ねる。
「このお酒はどうして『命の水』って名前ですなの?」
「ウィスキーの語源が『アクア・ヴィテ』だと言われているんですね。なのでそのまま拝借しました」
「いい名前ですなの。きっとみんなも気にいるですなの」
アルヴィース・シマヅ(ka2830)は早速一口含み、じっくりと味わう。
「成程、その名に違わぬ良い酒ですな」
酒好きが多いドワーフには、この程度の酒はひと瓶でも軽いぐらいだが今は我慢。
「ウィスキーですか。素敵なアイデアだと思いますよ?」
天王寺茜(ka4080)はグラスを光に透かして眺める。今まで見守ってきたバチャーレ村が、ついにここまで来たという感慨もあった。
「ハイボールとか料理に合うからお客さんが良く注文してましたし、あれ美味し……コホンコホン、美味しいって大人の人が言ってました!」
何か聞こえたようだが、今、そこを確認するのはやめておこう。
●
サイモンがライムを入れる案について語る。
「一応、顔見知りの村長に聞いてみたんですが。やはりこんな色の酒は見たことがない、と気味悪がられまして」
それこそカクテルだと言い張れば何とかなるという発想だ。
だがハンター達は、この案に否定的だった。
パトリシアがにっこり笑ってグラスをかざす。
「『アクア・ヴィテ』ってオシャレなお名前なんダヨ♪ 緑もネ〜パティは、きれーなイイ色ダト思うんダヨ」
宝石のようなグリーンは、他にはない特色でもある。
「だからネ、サイモンが、嘘つくひつよーハ無いと思うんダヨ」
「心配なのは分かりますけど、嘘はやっぱり……」
茜も生真面目に考え込む。
使いたいのはヒスイトウモロコシなのだ。そこを変えられないなら……
「緑色に興味を持ってもらえるように工夫するほうが、前向きじゃないでしょうか」
「大丈夫です! 緑色の持つとっても凄い力を皆さんに知っていただければ、受け入れていただけるはずです!」
ノワが熱弁を振るう。
緑は翡翠の色。翡翠は天然石の中でも人気があり、安定や平穏、慈悲、知恵、忍耐力や健康に長寿、そしてあらゆる災難から護ってくれる「魔法の石」「奇跡の石」とも言われているという。
「そして人が知覚しやすいとされる波長は555nmで、まさに緑色がその付近なんです。見やすいという事から疲労回復、視力向上などの癒しの効果が期待できるわけです。つまり、『アクア・ヴィテ』は「健康維持・視力回復・死亡率低下」の効果が……」
「あんまり話が大きくなると、面倒なことになるかもな」
雪都がノワをやんわりと制する。
(全く……鉱石が絡むと気合が違うな)
まっすぐで、パワフルで、どこまでも走っていってしまうような友人の熱意にはいつも驚かされてしまう。
「まあこういうのは女性に流行れば、一気に受け入れてもらえる事が多い感じかな。男性は美味しいと分かれば大体気にしないから、最初の一口に踏み切らせれば大丈夫だろう」
アルヴィースが皺を深くして笑顔を浮かべた。
「それは保証致しますぞ。バチャーレ村に『命の水』あり、と名を轟かせられるよう頑張りましょうぞ」
「パティ達みんなデ、美味しいの伝えるの、お手伝いするから、ネ? だいじょぶ、だいじょぶ♪ しんこきゅーダヨ、サイモンそんちょ♪」
ここまで言われては、全て任せるしかない。
サイモンは頬を掻きながら、照れ隠しのように笑った。
●
「るー、ピンクやブルーのお酒も見たことありますお。ぱーぱやまーまが飲んでましたお。グリーンはいくないですかお?」
ルーキフェルの両親がどこでそんな酒を入手したのかはわからないが、ジェオルジにないことは確からしい。
「色で区別するのは良くないですお」
だがそこでルーキフェルは気付いた。深い緑色は自分の苦手なピーマンと一緒なのだ。
「……ちょっとしかたがないですお……でも緑はしまーの瞳の色だお」
そしてパトリシアも茜もノワも。
「きれーでやさしくて、るーの好きな色だお♪」
ノワがにっこり笑う。
「ありがとうございます! でもウェスペルさんの瞳の紫も、とっても良い効果のあるアメジストと同じで……」
大好きな双子の弟のことをほめられたようで、ルーキフェルは嬉しくて小鼻をひくひくさせた。
ウェスペルも照れくさそうにルーキフェルと顔を見合わせる。
「でもピーマンの緑も、ワインもオレンジジュースもそのままの色なの。だからこのお酒もありのままがいいと思うの」
ではどうすればいいのか。
「……軽食のほうを頑張るなの。味見はおまかせなの、るーと一緒に頑張るなの!」
それと、案内の看板づくり。
一応ちゃんとお仕事らしいことを、慌てて付け加える。
アルヴィースが名前を伏せて味見をする、利き酒を提案する。
「それと、飲みやすいカクテルを作るのはどうですかな」
できれば他の村にも酒を出してもらえば利き酒もより盛り上がるだろうが、まだ他の村といい意味で競い合うだけの関係ができていない、とサイモンが難色を示した。
「目隠しをして試飲をお願いして、純粋に味の評価をしていただくのです。それから、カクテルをゼリーにするなどもよさそうですな」
ゼリーの涼しげな美しさで、興味を持ってもらえないかと考えたのだ。
茜はグラスに赤いチェリーを沈めて見せる。
「カクテルねえ……こんなのはどうでしょ?」
実際にあるカクテルに似た、緑と赤のコントラストが綺麗だ。
「リアルブルーだとウィスキーは『男性のお酒』という印象が強いですよね。だから見た目の綺麗さで女性の興味も引ければと思います。新規開拓ですね」
雪都も改めて、女性へのアピールの重要性を説く。
「抹茶なんかは緑が濃いけど、女性に人気だし。ミドリムシのドリンクなんかも最初はゲテモノ扱いだったけど健康とわかるとわりと飲んでるイメージがある」
「ミドリムシ!?」
さすがに茜が目を丸くした。
パトリシアはメロンジュースを思い浮かべる。
「簡単カクテル、しゅわしゅわ、炭酸で割ってみるのはどーでしょか? この辺では買えるカナ?」
「試飲ぐらいの量なら僕が手配します」
サイモンが請けあったので、ひとまずパトリシアは持参した分で作って見せる。
「炭酸水に『アクア・ヴィテ』、ライムをちょっと、絞って、添えて。見た目は爽やか♪ 今の季節にピッタリな感じにできそダヨ♪ はいお味見どぞー」
サイモンはさわやかな飲み口に満足したようだが、アルヴィースには若干アルコール度数が物足りない様子だった。
「お酒の好みも色々ダネー」
パトリシアはその反応をメモに書き留める。
それからは各自で軽食とカクテルの作成に取り掛かる。
トマトにパプリカ、ナス、各種のチーズ。それからハーブ。バチャーレ村でも採れる野菜を使って工夫する。
雪都とアルヴィースはカクテルゼリーを試作する。
「健康志向か。ローリエで作られた緑の食後酒は胃腸を促す為だっていうし。酒のゼリーはいいかもしれないな」
「柑橘のジュースを使えば、二層になりますぞ」
「あー、それもいいな」
見た目のインパクトが強ければ、気に入ってもらえば確実に印象に残る。
皆がアイデアを出し合い、翌日の会議に何とか間に合わせようと頑張った。
●
そして当日。
ルーキフェルとウェスペルは、朝早くから走り回っていた。
ロビーのテーブルに、白い花、黄色い花を活けて、ヒスイトウモロコシと一緒に飾る。
「これが飲み物になるの、すおいお」
ルーキフェルは改めて件のトウモロコシをしげしげと眺めた。
「サイモンは会議なのですお」
「大変ですなの」
扉の向こうにいるはずのサイモンに『がんばれ』を送り、双子は準備のテントに戻っていく。
テントには各種のカクテルや軽食が並んでいた。
アルヴィースと雪都が作ったゼリーは、オレンジジュースのオレンジ色と『アクア・ヴィテ』の緑色が二層になっていて、とても綺麗だ。
「ふおー! きれーですお! るーたちは食べられませんかお?」
雪都が、ゼリーを見ながらうろうろしているルーキフェルを慰める。
「今回は時間がなかったからな。火でアルコールを飛ばせば、俺達が食べられる物も作れると思うよ」
不意に香ばしい、いい匂いが漂ってきた。
「よかったらどうぞ! 始まったら忙しくなりますしね」
茜は食べやすく切った、焼きヒスイトウモロコシを皆にすすめる。
「ヒスイトウモウコシを少し貰っちゃいました♪ おつまみにもぴったりですよ」
バターと醤油でこんがり焼いたトウモロコシは、絶品だった。これなら見た目も気にならないかもしれない。
「ふおおお。美味しいですなの!」
「美味い料理があれば自然と酒って進むよな……え? あ、いや、俺の事じゃないよ?」
雪都が何か言いかけたが、ここはやはり聞かなかったことにしよう。
「みなさん、会議が終わりましたよー!」
まるごとわんこの着ぐるみ姿で、ノワがパタパタと駆けてきた。
いよいよ出番だ。
会議を終えて、村長達がぞろぞろとロビーに出てくる。
他の村もテーブルを出してそれぞれ特産品を並べていた。
「こちら、新しいお酒の利き酒です。味のわかる方、ぜひ試してくださいね!」
いやでも目立つノワの呼び込みに、何人かが集まってきた。
「ではちょっとだけ失礼するんダヨ♪」
パトリシアが悪戯っ子のような笑顔で、次々と村長達に目隠しをつけていく。
「おいしいと思ったら、飲み終わったグラスにこのお花をいれてほしいですお」
ルーキフェルが、目隠しした村長達の手にグラスと花を手渡した。
「蒸留酒か。悪くないな」
「コップ一杯じゃ判別できんな、ガハハ!」
そう言って花をグラスに入れる村長達。やはり味は好評である。
問題はここからだ。
種明かしはサイモンが担う。
「実はこのトウモロコシで作った蒸留酒なのです。純粋に味の評価をいただきたかったので……申し訳ありません」
嘘は良くない。
ハンター達にそう言われた以上、ここで嘘をつくわけにはいかないと、サイモンは包み隠さず話すと決めたのだ。
サイモンの手にした真緑の液体が入った瓶と、飾られたヒスイトウモロコシを見て、村長達は一瞬あっけにとられる。
「なんだこりゃ……」
だがうまいと言って飲み干した以上、文句も言いづらいようだ。
その顔をルーキフェルがじっと見上げる。
「しまーがおいしいって飲んでたお、ずるいお。るーも早くオトナの男になりたいお!」
「はは、まあ大人の味ではあるな」
苦笑いを浮かべながら、村長達はサイモンに改めて緑のトウモロコシと『アクア・ヴィテ』について話を促した。
アルヴィースは彼らの耳に届くよう、更に囁く。
「今回は蒸留酒ですが、ゆくゆくはウィスキーにもなりますぞ! 正に寿命の延びるような美味い酒、これは実に楽しみですな」
別のテーブルには、小さめのグラスに入れたカクテルと、いい匂いを立てる焼きトウモロコシ他のおつまみ、それに緑とオレンジが綺麗なゼリーが並ぶ。
「ミントでもライムでもないんですの?」
その女性はゼリーを受け取ったものの、口に運ぶ気になれないらしい。
「ワインだってぶどうの紫なの、このお酒もヒスイトウモロコシの自然の色なの。本当の中身を知らないで決めつけたらとってももったいないですなの!」
ウェスペルが一生懸命に訴える。
とはいえ、ジェオルジが田舎というだけでなく、村長というのは元々経験を受け継ぎ、村を守るという考え方が強い人々だ。新しい物に飛びつくことに警戒心を持っても不思議はない。
パトリシアはその間に、他の村のテーブルを見て回っていた。
「周りの村のそんちょーさんはどんなお話持ってきてるのカナ?」
何かをこちらがお願いしたり、おすすめしたいなら、相手の話も聞く必要があると思ったのだ。
「お嬢さん、おいしいトマトはいかが?」
みると、これまた緑色の大きなトマトだ。とても熟れているようには思えないが、パトリシアは持ち前の好奇心を発揮して齧りつく。
「……スゴイ! おいしいトマトダネ~♪」
驚いたことに、普通のトマトよりもずっと甘く、まるで果実のようだ。
「ありがとう。うれしいわ」
聞けばやはり、あまり売れないものらしい。
「ミンナ、色々悩んでるんダネ。でも特産品と特産品を組み合わせタラ、ステキな発明できるかも!」
戻ってきたパトリシアの話に、ルーキフェルは真剣な顔で聞き入った。
「見慣れないものに警戒をするのは、人も食べ物も同じなんだなーと思いましたお。きっと守るための防衛本能でもあるんですおね」
それでも知ることで分かりあえることもあるし、美味しい食べ物が見つかることもある。
バチャーレ村の人々にとってもそれは同じことだ。
「今回も本当にお世話になりました」
サイモンがハンター達を心からねぎらう。
「この酒がどうなるかはまだ分かりませんが、村長さん達との距離が今回で少し縮まったような気がします」
サイモンの満足げな微笑が、今後に希望を見出したことを物語っていた。
<了>
ジェオルジ中心部は、祭の準備で人がごった返していた。
パトリシア=K=ポラリス(ka5996)は活気に満ちた人々の顔を見ていると、なんだか嬉しくなってくる。
「また、郷祭の時期が来たのネ〜みんなワクワクだよネ♪」
そしてまた仲間が集ったことも嬉しかった。
「秋にご一緒だったみんな、またこうして揃うのも嬉しダヨ♪」
それはバチャーレ村のサイモンも同じだ。
準備のために設けられたテントから顔を出して、手を振っている。
「やあみなさん、また来てくださったんですね。いつもすみません」
すみませんとは口にするが、全く悪びれる様子がないのがサイモンである。
ノワ(ka3572)はひとなつこい子犬のような笑顔であいさつした。
「お久しぶりです、サイモンさん」
……子犬のような笑顔というか、実質全身犬というか。
雪都(ka6604)には、この友人のセンスがときどき分からなくなる。
「なんでまるごとわんこ……」
「え? 可愛いきぐるみを着て、丁寧に話せば、気持ちが伝わるかと思いまして! サイモンさんもいかがですか?」
「はっはっは」
笑ってごまかすサイモンだった。
「早速なのですが、こちらがその『アクア・ヴィテ』です」
サイモンがテーブルに瓶を置いた。
中にはエメラルドを溶かしたように鮮やかな緑色の液体が入っている。
ルーキフェル・ハーツ(ka1064)は液体が注がれたグラスを恨めしそうに眺めた。
「メロンソーダなら、うーと一緒に飲めるのに残念だお」
パトリシアが同意する。
「しゅわしゅわ緑のメロンソーダ! うぅん、メロンは入ってないんだけどネ? 不思議ダネ? デモ、とにかくおいしーんダヨ♪」
「メロンソーダをサイモンが作ってくれたらよかったお! でもお酒も大きくなったら飲んでみたいお!」
きゃっきゃと盛り上がる二人。
ウェスペル・ハーツ(ka1065)がサイモンを振り返って尋ねる。
「このお酒はどうして『命の水』って名前ですなの?」
「ウィスキーの語源が『アクア・ヴィテ』だと言われているんですね。なのでそのまま拝借しました」
「いい名前ですなの。きっとみんなも気にいるですなの」
アルヴィース・シマヅ(ka2830)は早速一口含み、じっくりと味わう。
「成程、その名に違わぬ良い酒ですな」
酒好きが多いドワーフには、この程度の酒はひと瓶でも軽いぐらいだが今は我慢。
「ウィスキーですか。素敵なアイデアだと思いますよ?」
天王寺茜(ka4080)はグラスを光に透かして眺める。今まで見守ってきたバチャーレ村が、ついにここまで来たという感慨もあった。
「ハイボールとか料理に合うからお客さんが良く注文してましたし、あれ美味し……コホンコホン、美味しいって大人の人が言ってました!」
何か聞こえたようだが、今、そこを確認するのはやめておこう。
●
サイモンがライムを入れる案について語る。
「一応、顔見知りの村長に聞いてみたんですが。やはりこんな色の酒は見たことがない、と気味悪がられまして」
それこそカクテルだと言い張れば何とかなるという発想だ。
だがハンター達は、この案に否定的だった。
パトリシアがにっこり笑ってグラスをかざす。
「『アクア・ヴィテ』ってオシャレなお名前なんダヨ♪ 緑もネ〜パティは、きれーなイイ色ダト思うんダヨ」
宝石のようなグリーンは、他にはない特色でもある。
「だからネ、サイモンが、嘘つくひつよーハ無いと思うんダヨ」
「心配なのは分かりますけど、嘘はやっぱり……」
茜も生真面目に考え込む。
使いたいのはヒスイトウモロコシなのだ。そこを変えられないなら……
「緑色に興味を持ってもらえるように工夫するほうが、前向きじゃないでしょうか」
「大丈夫です! 緑色の持つとっても凄い力を皆さんに知っていただければ、受け入れていただけるはずです!」
ノワが熱弁を振るう。
緑は翡翠の色。翡翠は天然石の中でも人気があり、安定や平穏、慈悲、知恵、忍耐力や健康に長寿、そしてあらゆる災難から護ってくれる「魔法の石」「奇跡の石」とも言われているという。
「そして人が知覚しやすいとされる波長は555nmで、まさに緑色がその付近なんです。見やすいという事から疲労回復、視力向上などの癒しの効果が期待できるわけです。つまり、『アクア・ヴィテ』は「健康維持・視力回復・死亡率低下」の効果が……」
「あんまり話が大きくなると、面倒なことになるかもな」
雪都がノワをやんわりと制する。
(全く……鉱石が絡むと気合が違うな)
まっすぐで、パワフルで、どこまでも走っていってしまうような友人の熱意にはいつも驚かされてしまう。
「まあこういうのは女性に流行れば、一気に受け入れてもらえる事が多い感じかな。男性は美味しいと分かれば大体気にしないから、最初の一口に踏み切らせれば大丈夫だろう」
アルヴィースが皺を深くして笑顔を浮かべた。
「それは保証致しますぞ。バチャーレ村に『命の水』あり、と名を轟かせられるよう頑張りましょうぞ」
「パティ達みんなデ、美味しいの伝えるの、お手伝いするから、ネ? だいじょぶ、だいじょぶ♪ しんこきゅーダヨ、サイモンそんちょ♪」
ここまで言われては、全て任せるしかない。
サイモンは頬を掻きながら、照れ隠しのように笑った。
●
「るー、ピンクやブルーのお酒も見たことありますお。ぱーぱやまーまが飲んでましたお。グリーンはいくないですかお?」
ルーキフェルの両親がどこでそんな酒を入手したのかはわからないが、ジェオルジにないことは確からしい。
「色で区別するのは良くないですお」
だがそこでルーキフェルは気付いた。深い緑色は自分の苦手なピーマンと一緒なのだ。
「……ちょっとしかたがないですお……でも緑はしまーの瞳の色だお」
そしてパトリシアも茜もノワも。
「きれーでやさしくて、るーの好きな色だお♪」
ノワがにっこり笑う。
「ありがとうございます! でもウェスペルさんの瞳の紫も、とっても良い効果のあるアメジストと同じで……」
大好きな双子の弟のことをほめられたようで、ルーキフェルは嬉しくて小鼻をひくひくさせた。
ウェスペルも照れくさそうにルーキフェルと顔を見合わせる。
「でもピーマンの緑も、ワインもオレンジジュースもそのままの色なの。だからこのお酒もありのままがいいと思うの」
ではどうすればいいのか。
「……軽食のほうを頑張るなの。味見はおまかせなの、るーと一緒に頑張るなの!」
それと、案内の看板づくり。
一応ちゃんとお仕事らしいことを、慌てて付け加える。
アルヴィースが名前を伏せて味見をする、利き酒を提案する。
「それと、飲みやすいカクテルを作るのはどうですかな」
できれば他の村にも酒を出してもらえば利き酒もより盛り上がるだろうが、まだ他の村といい意味で競い合うだけの関係ができていない、とサイモンが難色を示した。
「目隠しをして試飲をお願いして、純粋に味の評価をしていただくのです。それから、カクテルをゼリーにするなどもよさそうですな」
ゼリーの涼しげな美しさで、興味を持ってもらえないかと考えたのだ。
茜はグラスに赤いチェリーを沈めて見せる。
「カクテルねえ……こんなのはどうでしょ?」
実際にあるカクテルに似た、緑と赤のコントラストが綺麗だ。
「リアルブルーだとウィスキーは『男性のお酒』という印象が強いですよね。だから見た目の綺麗さで女性の興味も引ければと思います。新規開拓ですね」
雪都も改めて、女性へのアピールの重要性を説く。
「抹茶なんかは緑が濃いけど、女性に人気だし。ミドリムシのドリンクなんかも最初はゲテモノ扱いだったけど健康とわかるとわりと飲んでるイメージがある」
「ミドリムシ!?」
さすがに茜が目を丸くした。
パトリシアはメロンジュースを思い浮かべる。
「簡単カクテル、しゅわしゅわ、炭酸で割ってみるのはどーでしょか? この辺では買えるカナ?」
「試飲ぐらいの量なら僕が手配します」
サイモンが請けあったので、ひとまずパトリシアは持参した分で作って見せる。
「炭酸水に『アクア・ヴィテ』、ライムをちょっと、絞って、添えて。見た目は爽やか♪ 今の季節にピッタリな感じにできそダヨ♪ はいお味見どぞー」
サイモンはさわやかな飲み口に満足したようだが、アルヴィースには若干アルコール度数が物足りない様子だった。
「お酒の好みも色々ダネー」
パトリシアはその反応をメモに書き留める。
それからは各自で軽食とカクテルの作成に取り掛かる。
トマトにパプリカ、ナス、各種のチーズ。それからハーブ。バチャーレ村でも採れる野菜を使って工夫する。
雪都とアルヴィースはカクテルゼリーを試作する。
「健康志向か。ローリエで作られた緑の食後酒は胃腸を促す為だっていうし。酒のゼリーはいいかもしれないな」
「柑橘のジュースを使えば、二層になりますぞ」
「あー、それもいいな」
見た目のインパクトが強ければ、気に入ってもらえば確実に印象に残る。
皆がアイデアを出し合い、翌日の会議に何とか間に合わせようと頑張った。
●
そして当日。
ルーキフェルとウェスペルは、朝早くから走り回っていた。
ロビーのテーブルに、白い花、黄色い花を活けて、ヒスイトウモロコシと一緒に飾る。
「これが飲み物になるの、すおいお」
ルーキフェルは改めて件のトウモロコシをしげしげと眺めた。
「サイモンは会議なのですお」
「大変ですなの」
扉の向こうにいるはずのサイモンに『がんばれ』を送り、双子は準備のテントに戻っていく。
テントには各種のカクテルや軽食が並んでいた。
アルヴィースと雪都が作ったゼリーは、オレンジジュースのオレンジ色と『アクア・ヴィテ』の緑色が二層になっていて、とても綺麗だ。
「ふおー! きれーですお! るーたちは食べられませんかお?」
雪都が、ゼリーを見ながらうろうろしているルーキフェルを慰める。
「今回は時間がなかったからな。火でアルコールを飛ばせば、俺達が食べられる物も作れると思うよ」
不意に香ばしい、いい匂いが漂ってきた。
「よかったらどうぞ! 始まったら忙しくなりますしね」
茜は食べやすく切った、焼きヒスイトウモロコシを皆にすすめる。
「ヒスイトウモウコシを少し貰っちゃいました♪ おつまみにもぴったりですよ」
バターと醤油でこんがり焼いたトウモロコシは、絶品だった。これなら見た目も気にならないかもしれない。
「ふおおお。美味しいですなの!」
「美味い料理があれば自然と酒って進むよな……え? あ、いや、俺の事じゃないよ?」
雪都が何か言いかけたが、ここはやはり聞かなかったことにしよう。
「みなさん、会議が終わりましたよー!」
まるごとわんこの着ぐるみ姿で、ノワがパタパタと駆けてきた。
いよいよ出番だ。
会議を終えて、村長達がぞろぞろとロビーに出てくる。
他の村もテーブルを出してそれぞれ特産品を並べていた。
「こちら、新しいお酒の利き酒です。味のわかる方、ぜひ試してくださいね!」
いやでも目立つノワの呼び込みに、何人かが集まってきた。
「ではちょっとだけ失礼するんダヨ♪」
パトリシアが悪戯っ子のような笑顔で、次々と村長達に目隠しをつけていく。
「おいしいと思ったら、飲み終わったグラスにこのお花をいれてほしいですお」
ルーキフェルが、目隠しした村長達の手にグラスと花を手渡した。
「蒸留酒か。悪くないな」
「コップ一杯じゃ判別できんな、ガハハ!」
そう言って花をグラスに入れる村長達。やはり味は好評である。
問題はここからだ。
種明かしはサイモンが担う。
「実はこのトウモロコシで作った蒸留酒なのです。純粋に味の評価をいただきたかったので……申し訳ありません」
嘘は良くない。
ハンター達にそう言われた以上、ここで嘘をつくわけにはいかないと、サイモンは包み隠さず話すと決めたのだ。
サイモンの手にした真緑の液体が入った瓶と、飾られたヒスイトウモロコシを見て、村長達は一瞬あっけにとられる。
「なんだこりゃ……」
だがうまいと言って飲み干した以上、文句も言いづらいようだ。
その顔をルーキフェルがじっと見上げる。
「しまーがおいしいって飲んでたお、ずるいお。るーも早くオトナの男になりたいお!」
「はは、まあ大人の味ではあるな」
苦笑いを浮かべながら、村長達はサイモンに改めて緑のトウモロコシと『アクア・ヴィテ』について話を促した。
アルヴィースは彼らの耳に届くよう、更に囁く。
「今回は蒸留酒ですが、ゆくゆくはウィスキーにもなりますぞ! 正に寿命の延びるような美味い酒、これは実に楽しみですな」
別のテーブルには、小さめのグラスに入れたカクテルと、いい匂いを立てる焼きトウモロコシ他のおつまみ、それに緑とオレンジが綺麗なゼリーが並ぶ。
「ミントでもライムでもないんですの?」
その女性はゼリーを受け取ったものの、口に運ぶ気になれないらしい。
「ワインだってぶどうの紫なの、このお酒もヒスイトウモロコシの自然の色なの。本当の中身を知らないで決めつけたらとってももったいないですなの!」
ウェスペルが一生懸命に訴える。
とはいえ、ジェオルジが田舎というだけでなく、村長というのは元々経験を受け継ぎ、村を守るという考え方が強い人々だ。新しい物に飛びつくことに警戒心を持っても不思議はない。
パトリシアはその間に、他の村のテーブルを見て回っていた。
「周りの村のそんちょーさんはどんなお話持ってきてるのカナ?」
何かをこちらがお願いしたり、おすすめしたいなら、相手の話も聞く必要があると思ったのだ。
「お嬢さん、おいしいトマトはいかが?」
みると、これまた緑色の大きなトマトだ。とても熟れているようには思えないが、パトリシアは持ち前の好奇心を発揮して齧りつく。
「……スゴイ! おいしいトマトダネ~♪」
驚いたことに、普通のトマトよりもずっと甘く、まるで果実のようだ。
「ありがとう。うれしいわ」
聞けばやはり、あまり売れないものらしい。
「ミンナ、色々悩んでるんダネ。でも特産品と特産品を組み合わせタラ、ステキな発明できるかも!」
戻ってきたパトリシアの話に、ルーキフェルは真剣な顔で聞き入った。
「見慣れないものに警戒をするのは、人も食べ物も同じなんだなーと思いましたお。きっと守るための防衛本能でもあるんですおね」
それでも知ることで分かりあえることもあるし、美味しい食べ物が見つかることもある。
バチャーレ村の人々にとってもそれは同じことだ。
「今回も本当にお世話になりました」
サイモンがハンター達を心からねぎらう。
「この酒がどうなるかはまだ分かりませんが、村長さん達との距離が今回で少し縮まったような気がします」
サイモンの満足げな微笑が、今後に希望を見出したことを物語っていた。
<了>
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【春郷祭】バチャーレ村相談室 天王寺茜(ka4080) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/05/29 15:04:58 |
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質問卓 天王寺茜(ka4080) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/05/25 20:57:53 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/25 13:41:05 |