ゲスト
(ka0000)
【交酒】狐狸相打つ
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/31 19:00
- 完成日
- 2017/06/02 08:05
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
九代目詩天の三条真美(kz0198)がハンターと共にリゼリオの街を探索している間、三条家軍師の水野 武徳(kz0196)はリゼリオを離れていた。
武徳の向かう先は、要塞『ノアーラ・クンタウ』――。
東西交流祭を前に準備に勤しむゴルドゲイルのノールド・セッテントリオーネを労う為であった。
「……ふぅ。あの狸め。交易路の構築でかかった費用を三条家につけ回そうとしておったな」
「それはそうでしょう。今回の祭りでどれだけの出費か……考えるだけでも恐ろしいです」
ノールドの執務室を後にした武徳は、家臣からそう言い返されていた。
今回、ノールドが主軸となって始めた東西交流祭であったが、武徳から思わぬ条件が付与されていた。
その条件の一つに交流祭が開催される為に必要な交易をノールドが負担する事が決められていた。家臣は費用だけを気にしているが、おそらく連合軍や各国の要人を説得して回ったのだろう。時には騙すも同然のやり方で協力を要請したのかもしれない。
その苦労を考えるだけでも家臣は胃が痛くなる。
だが、その苦労を前にしても武徳は涼しい顔でノールドの懇願を聞き流していた。
「まあ、やると言い出したのはあの狸だ。わしは知らんぞ」
「ノールド殿が聞けば、きっと泣きますぞ」
家臣は、思わずノールドを労らずには居られなかった。
だが、既に武徳は別の事を考えていた。
「それより今回ここを訪れた理由は、あの狸に会うだけではない。もう一匹の狐と交渉に来たのよ」
「狐?」
「おるであろう。この要塞を守る厄介な狐が」
その一言で、家臣は狐の正体に気付いた。
ノアーラ・クンタウ要塞管理者にして帝国軍第一師団所属の兵長――ヴェルナー・ブロスフェルトだ。
「ああ、あの御仁でございますか。あの御仁が何故狐なのでしょう?」
「お前の目は節穴か? あの同盟の狸を腹に飼い慣らしておるのだぞ? 何の思惑もなく抱え込むはずがあるまい」
武徳の脳裏には、真美と共に西方へ初めてやってきた日の事を思い出す。
あの時、ヴェルナーは武徳達を明らかに待ち受けていた。
ノールド抜きで真美と武徳に顔を売り、こちらを品定めをする為か。
もし役立つと分かれば、どんな無理難題をふっかけてくるか分かったものではない。
そんな状況とは知らない家臣。
暢気に武徳へ質問をぶつける。
「なら、会わなければ良いのではありませんか? ノールド殿と歩調を合わせれば良いではありませんか」
「たわけ。東方には幕府もおる。詩天としては西方になるべく強いパイプを持っておく必要があるのじゃ。
それにな。もう既に先手を打たれておる」
そう言った武徳は、懐から一枚の手紙を取り出した。
「これは?」
「先日紅茶を紹介した時にわしが興味を示したので茶会の誘いを出してきたのだ。
あの狐め、わしと直接交渉を狙ってきおったわ。どうやら軍人として肝も据わっておるようじゃな」
ヴェルナーからの茶会。
無論、断る事もできる。だが、ここで断れば祭りの雰囲気に水を差す事になる。それ以上に武徳としてはヴェルナーから逃げた形になる。
詩天でも老練な武将として知られる武徳とって、それは絶対に避けるべき展開であった。
「なるほど。その茶会でどんな提案をされるか分かりませんな。
武徳殿、そのまま茶会へ行かれるのですか?」
「そのまま行くつもりはないわ。悪いが、一足先にあの狐の所へ行け。急遽ハンターが数名同席する事になったので、準備を頼むと伝えるのじゃ」
●
「急遽ハンターが、ですか。ふふっ、一対一の交渉を避ける為でしょうかね」
詩天の家臣からの報告を受けたヴェルナーは、思わず笑みが溢れた。
こちらの狙いが何処まで見透かされたのかは分からない。だが、武徳が最初から警戒して茶会に臨む事は間違いない。
「しかし、困りましたねぇ。純粋に茶会を楽しんでいただきたのですが……あの狸さんはとても警戒心がお強いようで」
帝国軍人と東方の武将。
剣を握っての戦いとは異なる、まったく別種の戦いが始まろうとしていた。
武徳の向かう先は、要塞『ノアーラ・クンタウ』――。
東西交流祭を前に準備に勤しむゴルドゲイルのノールド・セッテントリオーネを労う為であった。
「……ふぅ。あの狸め。交易路の構築でかかった費用を三条家につけ回そうとしておったな」
「それはそうでしょう。今回の祭りでどれだけの出費か……考えるだけでも恐ろしいです」
ノールドの執務室を後にした武徳は、家臣からそう言い返されていた。
今回、ノールドが主軸となって始めた東西交流祭であったが、武徳から思わぬ条件が付与されていた。
その条件の一つに交流祭が開催される為に必要な交易をノールドが負担する事が決められていた。家臣は費用だけを気にしているが、おそらく連合軍や各国の要人を説得して回ったのだろう。時には騙すも同然のやり方で協力を要請したのかもしれない。
その苦労を考えるだけでも家臣は胃が痛くなる。
だが、その苦労を前にしても武徳は涼しい顔でノールドの懇願を聞き流していた。
「まあ、やると言い出したのはあの狸だ。わしは知らんぞ」
「ノールド殿が聞けば、きっと泣きますぞ」
家臣は、思わずノールドを労らずには居られなかった。
だが、既に武徳は別の事を考えていた。
「それより今回ここを訪れた理由は、あの狸に会うだけではない。もう一匹の狐と交渉に来たのよ」
「狐?」
「おるであろう。この要塞を守る厄介な狐が」
その一言で、家臣は狐の正体に気付いた。
ノアーラ・クンタウ要塞管理者にして帝国軍第一師団所属の兵長――ヴェルナー・ブロスフェルトだ。
「ああ、あの御仁でございますか。あの御仁が何故狐なのでしょう?」
「お前の目は節穴か? あの同盟の狸を腹に飼い慣らしておるのだぞ? 何の思惑もなく抱え込むはずがあるまい」
武徳の脳裏には、真美と共に西方へ初めてやってきた日の事を思い出す。
あの時、ヴェルナーは武徳達を明らかに待ち受けていた。
ノールド抜きで真美と武徳に顔を売り、こちらを品定めをする為か。
もし役立つと分かれば、どんな無理難題をふっかけてくるか分かったものではない。
そんな状況とは知らない家臣。
暢気に武徳へ質問をぶつける。
「なら、会わなければ良いのではありませんか? ノールド殿と歩調を合わせれば良いではありませんか」
「たわけ。東方には幕府もおる。詩天としては西方になるべく強いパイプを持っておく必要があるのじゃ。
それにな。もう既に先手を打たれておる」
そう言った武徳は、懐から一枚の手紙を取り出した。
「これは?」
「先日紅茶を紹介した時にわしが興味を示したので茶会の誘いを出してきたのだ。
あの狐め、わしと直接交渉を狙ってきおったわ。どうやら軍人として肝も据わっておるようじゃな」
ヴェルナーからの茶会。
無論、断る事もできる。だが、ここで断れば祭りの雰囲気に水を差す事になる。それ以上に武徳としてはヴェルナーから逃げた形になる。
詩天でも老練な武将として知られる武徳とって、それは絶対に避けるべき展開であった。
「なるほど。その茶会でどんな提案をされるか分かりませんな。
武徳殿、そのまま茶会へ行かれるのですか?」
「そのまま行くつもりはないわ。悪いが、一足先にあの狐の所へ行け。急遽ハンターが数名同席する事になったので、準備を頼むと伝えるのじゃ」
●
「急遽ハンターが、ですか。ふふっ、一対一の交渉を避ける為でしょうかね」
詩天の家臣からの報告を受けたヴェルナーは、思わず笑みが溢れた。
こちらの狙いが何処まで見透かされたのかは分からない。だが、武徳が最初から警戒して茶会に臨む事は間違いない。
「しかし、困りましたねぇ。純粋に茶会を楽しんでいただきたのですが……あの狸さんはとても警戒心がお強いようで」
帝国軍人と東方の武将。
剣を握っての戦いとは異なる、まったく別種の戦いが始まろうとしていた。
リプレイ本文
「確かにわしも手習い程度ではあるが、茶を点てる事はできるぞ」
三条家軍師の水野 武徳(kz0196)は、茶会の前にハンス・ラインフェルト(ka6750)と話し込んでいた。
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)より茶会の招待を受けた武徳ではあったが、この茶会が普通の茶会で終わるとは考えていない。
そんな最中、ハンスから茶を点てるよう提案を受けたのだ。
「相手が自分の流儀で話を勧めようとしているのです。返礼の場を別に設けては、金も時間もかかってしまいます」
ハンスは、返礼の場を設ける時点で相手の主張を検討するという意味にも受け取られかねないと考えた。
ここは『美味しい茶会だった』と話を終わらせて、その場をうまく煙に巻く。その為にもお返しはこの場で行ってしまおうというのだ。
「相手も手ぶらで帰る気はないだろうが、うまくいけば誤魔化す手段の一つとして使えるな」
「既に茶道具の準備はできています。菓子の方もお任せを」
「うむ。ところでおぬしは何故、わしに味方する?」
武徳の言葉に、ハンスは小さな笑みを浮かべる。
「私はリアルブルーにいた頃からの東方かぶれ。武徳殿に肩入れするのは当然でしょう」
●
――同時刻。
ヴェルナーもまた、ハンターの一人と顔を合わせていた。
依頼等で何度か顔を合わせている桜憐りるか(ka3748)だ。
「お茶会……美味しいお茶に美味しい食べ物、のんびりお話……楽しそうなの、ですね」
茶会に参加できる事はりるかにとって嬉しい出来事。
ましてや、以前より約束していたヴェルナーと同席できるのだ。
「ふふっ。本当に楽しそうですね。私もなんだか嬉しくなってしまいます。
あなたの期待通り、今日は楽しい茶会になると良いのですが……」
「ヴェルナー、さん?」
笑顔を浮かべているヴェルナーに対して、りるかは小首を傾げる。
優しい笑顔はいつもの通りですが、言葉の中にやや不安な感情を感じ取ったからだ。
「ああ、いけませんね。お嬢さんに心配させるなんて。
今日の茶会の相手は詩天でも大変賢い方と聞いています。今日の茶会でどのような感想を抱かれるのか気になってしまいました」
「あの……あたしも、頑張ります……」
そんなヴェルナーを察してか、りるかはそう言葉をかけた。
少しでもヴェルナーの力になりたかったからだ。
「はい、期待していますよ」
気合いを入れるりるかを前に、ヴェルナーは再び優しい笑みを向けてくれた。
●
「本日はお招きいただき恐悦至極に存じます」
茶会の開始早々、黒耀 (ka5677)は丁寧な挨拶をする。
持参した詩天饅頭を土産に参加したのだが、テーブルの上には純白のテーブルクロスに白い陶器の器。
東方ではあまり見かけない光景である。
西方でハンターとして活動する際に見かけた事はあるが――。
「お茶会に参加するだけで……すぴー……いいなんて……すぴー」
言葉の間に寝息を立てるのは、ドゥアル(ka3746)。
常に睡魔に襲われているドゥアルではあるが、東方と西方の文化を話ながらお茶とお菓子で舌鼓を打てるのだから参加せずにはいられない。
「今日はお招きありがとうございます。お二人のお話を是非拝聴させてください」
悠里(ka6368)は、深々と頭を下げる。
悠里もまたこの茶会を単なるお茶を楽しむ場とは考えていない。
ヴェルナーと武徳が自国の利益を戦わせる交渉の場と捉えていた。交渉の場に同席できる事はあまり多くない為、この場を借りて勉強させてもらうつもりだ。
「水野さん、それにハンターの皆さん。今日は本当にありがとうございます。ささやかではございますが、西方のお茶を楽しんでください。
……アスワドさん、お願いできますか」
「こちらが今日の紅茶になります」
アスワド・ララ(ka4239)が『ララ海運商会』より持ち込んだ紅茶の数々。
一般的な紅茶から、紅茶「ジェオルジの風」、ヒカヤ紅茶。
さらにフレーバードティーの茶葉「秋の収穫祭」や白茶「タスカービレ」まで取り揃えていた。すべてララ海運商会からの提供である。
これには武徳も驚いた。
「なんと、これがすべてお茶か!」
「はい。リゼリオで開催されている東西交流祭では、多くの品が集まるでしょう。数少ないものは『稀少品』と扱う事で商人の興味を惹くことができます」
アスワドは、様々な紅茶の香りを漂わせながら商売について力説した。
東西で商品の交易が活発になれば、様々な商品が行き交う事になる。そうなれば、詩天にも西方の品々が流れ込んでくる。
「アスワドさんには及びませんが、私も紅茶を提供させていただきます。
私がブレンドしたオリジナル茶葉……『リーベ』です。アスワドさんに任せればこの茶葉も詩天へ行くのかもしれませんね。ですが……」
「その為には、安全な交易路が必要。そう言いたいのであろう?」
ヴェルナーの言葉を遮るように武徳が言い放つ。
アスワド達にとって東西の交易路は重要だ。
ゴルドゲイルのノールド・セッテントリオーネが東西交流祭で物資を運んできたのはあくまでも仮の交易路だ。物資を大量に輸送してこそ初めて商人は利益を上げる事ができる。ノールドの構築した仮の交易路は、未だ大量に物資を輸送するには心許ないのだ。
「その通りです。今回の祭りを成功した後、交易路の構築を是非お願いします。
『ララ海運商会』の船員としての立場ですが、交易路の構築と保全を東西で協力しましょう。安全を守る為の費用を連合が持ち、人手を詩天が出すというのはどうでしょう」
商売に携わるアスワドとしては、この交易路構築に東西が協力してくれた方がありがたい。東西の協力関係は必ず後から重要な関係となるはずだ。
だが、その意見に黒耀 が待ったをかける。
「祭りの成功を願うのは同意しますが、東方の品々を吟味してから交易路を構築いただいても良いのではないでしょうか。商人の方ならば西方の品を東方へ持ち込んだ後、空のまま出航はできないでしょう」
黒耀 は、この祭りの成功を優先するべきとの意見を出した。
商人の交易熱が高まったところで出資を各国や民間へ募り、それを交易路の構築と保全へ繋げる。
それはまさに正論なのだが、黒耀 の言葉の中には別の意図がある。
武徳はその意図を経験から素早く察した。
「そうじゃのう。まずは、祭りの成功が優先かのう。勝手に動けば幕府が何を言ってくるか……」
武徳は残念そうな顔を浮かべる。
黒耀 の意図は答えを『持ち帰り』にする事だ。即答を避けた後、都合の良い回答を適当に返答すれば良い。武徳が尤も得意とする対応方法だ。
しかし、相手は辺境地域でも曲者で知られるヴェルナーである。
「なるほど。つまり、『先送り』という訳ですか」
ヴェルナーの言葉に周囲が一瞬凍り付く。
仮面をつけて作り笑顔でお互い臨んだ茶会であるが、突如ヴェルナーは剛速球とも言うべき対応を見せた。
このやり方に武徳は警戒せずにはいられない。
(狐め……)
(押せば引く。引けば押す。相手との駆け引きですね)
苦々しげなヴェルナーを前に、悠里は二人の駆け引きを見届けていた。
二人の立場は違えど、両国の利益を第一に考えた交渉。悠里としては、少しでも武徳の役に立ちたいところだ。
「あの……和のお餅と洋のチョコ……」
ここでりるかが持参したチョコ餅と牛乳をテーブルの上に並べた。
凝り固まった場の空気を戻しながら、ヴェルナーに再び交渉の主導権を引き戻す意図があった。
りるかは、チョコ餅を取り出しながら話を続ける。
「不思議な組み合わせ、だけど……お互いが、主張し過ぎる事が無く、とても調和していて美味しいの……ですよ。お互いに引き立て合えるというのは、とても素敵なの……」
「ふむ。洋と和の融合か」
珍しそうにチョコ餅を手に取ってしげしげと見つめる武徳。
りるかは、そんなチョコ餅を見つめる武徳へ思い切って提案する。
「さっき、ヴェルナーさんから……詩天はお金があまりない、って聞きました。
もし、武徳さんが……お金をかけたくないというなら……ヴェルナーさんへ、戦力の援助の代わりに、多少のお金を援助して貰うとかは……いけないので、しょうか?」
りるかはヴェルナーから今後の連合軍における兵力の不足を懸念していると聞かされていた。
そこでりるかは復興資金で不安を抱える詩天へ兵力の提供を打診した。
兵力を提供する代わりに連合軍から資金提供を求めるのだ。
しかし、これには武徳は難色を示す。
「つまり、それは傭兵という訳じゃな? なれば、その指揮権は資金を提供した連合軍になるのう」
武徳からすれば兵力を提供して資金を得るとなれば、それは傭兵となる。
その場合、指揮権は資金を提供する連合軍に移る。この場合、詩天に危機が訪れても連合軍――正確にはヴェルナーが許可しなければ戻って詩天を守る事も許されない。
実際にはそのような事をヴェルナーがするとは思えないが、武徳からすれば指揮権まで明け渡す傭兵という形態には反対のようだ。
「そうですねぇ。ですが、傭兵とまではいかなくても、力をお貸しいただけると助かるのですが……スメラギさんも助かると思いますよ」
りるかを助けるように、ヴェルナーは武徳を説得する。
「すぴー……ここらで……すぴー……スメラギさんに、恩を売っておくのも悪くない……のでは?」
眠気と戦いながら、黒耀 の詩天饅頭へ手を伸ばすドゥアル。
見れば、持ち込まれた菓子を眠りながら次々と食べ進めている。甘い物を満喫するドゥアルだったが、ここらで交渉に絡み出した。
「朝廷への恩か。それは悪くない」
「……詩天は、歪虚襲撃でボロボロだし……復興中だから……戦力貸与といっても難しそうで……。交易路の確保と保持を主に動いて貰うのが……いいかも……すぴー」
ドゥアルはアスワドと同様交易路の確保に兵力を回すべきと提案した。
交易路のすべてを詩天で守るのは無理があるのは承知。幕府や連合軍と手を結んで一部でも詩天が守護に回る。現状、可能な範囲で兵力を提供し合うのがベストだと考えているようだ。
さらにドゥアルは付け加える。
「……それはそれとして……東方の技術を西方に伝える事は、逆もしかりですが……どうでしょう? 職人を集めて……技術交流会という事で……お互いの産業に変化が起こるかも……。戦いでいえば……歪虚王にも……符術結界が効果を上げたという話もありますし……」
「ほう、歪虚王にも効果を上げた符術結界があるのですか。どのような術なのでしょう?」
技術交流会の話が出た瞬間、ヴェルナーは目の色を変えた。
様々な活用法が考えられるだけにヴェルナーは一気に武徳へ歩み寄る。
「そ、それは……」
「ところで、武徳殿。煎茶式から緋毛氈がなくてもこのまま茶の振る舞いができると思いますが、如何でしょう。この場で茶の返礼のなさるのは」
旗色が悪いと感じたハンスは、準備していた和風の茶会について切り出した。
簡易竈で湯を沸かし、詩天茶道具セットで武徳が煎茶の入れる段取りだ。。
早速、ハンスは助け船を出した。
「そ、そうじゃな。それが良かろう」
逃げる様に武徳はハンスの準備していた竈の近くへと座る。
交渉で詰め寄ろうとするヴェルナーへ、うまく楔を打つことができた。
「見た目が涼やかな方が水無月らしくてよろしいでしょう。これの給仕は私が行いますのでこのままに」
ハンスは準備していた茶菓子を全員の前に差し出した。
東西の菓子を薄く切って花弁に見立て、いくつも重ねて花のように彩る。そこへ葛で固めて一口菓子を作り上げた。
見た目にも涼しげではあるが、和と洋を取り合わせた創作和菓子である。
「すぴー……これも……美味しそう……すぴー」
「あの……とても綺麗、です」
ドゥアルとりるかは、美しい和菓子を前に嬉しそうな笑顔を浮かべる。
一方、同じ笑顔でも別の感情が入り交じっているヴェルナー。
「やってくれますね。詩天はハンターを惹き付ける魅力があるようです」
「買い被りすぎです。
それより素直に茶を楽しまれては? 初めての方には抹茶よりも煎茶の方が馴染みやすい。しかも白茶は西方でも手に入る。ただ楽しむための茶会なら東西好まれる茶を飲み比べてこそ相応しいかと」
ハンスはヴェルナーを牽制する。
この仕掛けでヴェルナーは詩天に対する認識を変えたようだ。
「では、これを」
武徳はヴェルナーの前に茶を差し出した。
今回の茶会に対する返礼。
ヴェルナーはそっと口を器に近付ける。
「この香りは実に見事です。茶の新たな可能性を感じさせます」
「喜んでもらえて何よりじゃ」
ヴェルナーの感想に、武徳は満足げな表情。
先程まで詰め寄られていたとは思えない状況だ。
ここで悠里が新たなる提案を行う。
「双方のご意見、拝聴させていただきました。連合軍の事情は察するにあまりありますが、詩天も歪虚と化した初代詩天を倒したばかり。今すぐの参加は難しいのです。
ですが、水野様。ここは歩み寄りだけでも見せておくべきです。これは譲歩ではなく、将来への投資とお考え下さい」
双方の状況が芳しくないのは事実。
それでも、何か一歩前進させるべきだ。
大きく無くても良い。
小さいが確実な一歩。
今の双方にとって必要なのは、お互いが踏み出した一歩だ。
「投資か」
「それでは、こういうのはどうでしょう。
東方の若者が西方の見聞を広める為に、使節団をノアーラ・クンタウが受け入れます。ここで西方の見聞を深めてもらいましょう。お代はこちらの『お願い』を聞いてもらえば結構です」
ヴェルナーの提案は、詩天より使節団として受け入れるというものだ。
拠点を提供して西方の見聞を深めていけば、詩天に良い結果をもたらす。
その代わり連合軍に戦力を提供してもらう。使節団であるから無理強いはできないが、それで後は双方の良い関係次第だ。
「それはいいですね。東西が交流する場があるだけで今後の発展に繋がります」
アスワドもヴェルナーの言葉に賛同。
その反応を見た武徳は、小さく頷き決断する。
「良かろう。じゃが、条件がある。その宿舎、わしも使わせてもらう。長期滞在は難しいが、使節団が心配でな」
「そうきましたか」
ヴェルナーは条件の裏に気付いた。
詩天は使節団の宿舎を拠点として手に入れる。
そして、この拠点に武徳が『使節団の監督役』として訪れる。
これはこの宿舎を拠点に武徳が他国へちょっかいを出す可能性がある。
「お主が言い出した事だぞ。さて、どうする?」
武徳にやり込められたと思われたヴェルナー。
しかし、それで終わるヴェルナーではなかった。
「分かりました。その案で参りましょう。
ですが……幕府の方を無視できません。宿舎は詩天に限らず幕府の方も使える様にしましょう」
三条家軍師の水野 武徳(kz0196)は、茶会の前にハンス・ラインフェルト(ka6750)と話し込んでいた。
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)より茶会の招待を受けた武徳ではあったが、この茶会が普通の茶会で終わるとは考えていない。
そんな最中、ハンスから茶を点てるよう提案を受けたのだ。
「相手が自分の流儀で話を勧めようとしているのです。返礼の場を別に設けては、金も時間もかかってしまいます」
ハンスは、返礼の場を設ける時点で相手の主張を検討するという意味にも受け取られかねないと考えた。
ここは『美味しい茶会だった』と話を終わらせて、その場をうまく煙に巻く。その為にもお返しはこの場で行ってしまおうというのだ。
「相手も手ぶらで帰る気はないだろうが、うまくいけば誤魔化す手段の一つとして使えるな」
「既に茶道具の準備はできています。菓子の方もお任せを」
「うむ。ところでおぬしは何故、わしに味方する?」
武徳の言葉に、ハンスは小さな笑みを浮かべる。
「私はリアルブルーにいた頃からの東方かぶれ。武徳殿に肩入れするのは当然でしょう」
●
――同時刻。
ヴェルナーもまた、ハンターの一人と顔を合わせていた。
依頼等で何度か顔を合わせている桜憐りるか(ka3748)だ。
「お茶会……美味しいお茶に美味しい食べ物、のんびりお話……楽しそうなの、ですね」
茶会に参加できる事はりるかにとって嬉しい出来事。
ましてや、以前より約束していたヴェルナーと同席できるのだ。
「ふふっ。本当に楽しそうですね。私もなんだか嬉しくなってしまいます。
あなたの期待通り、今日は楽しい茶会になると良いのですが……」
「ヴェルナー、さん?」
笑顔を浮かべているヴェルナーに対して、りるかは小首を傾げる。
優しい笑顔はいつもの通りですが、言葉の中にやや不安な感情を感じ取ったからだ。
「ああ、いけませんね。お嬢さんに心配させるなんて。
今日の茶会の相手は詩天でも大変賢い方と聞いています。今日の茶会でどのような感想を抱かれるのか気になってしまいました」
「あの……あたしも、頑張ります……」
そんなヴェルナーを察してか、りるかはそう言葉をかけた。
少しでもヴェルナーの力になりたかったからだ。
「はい、期待していますよ」
気合いを入れるりるかを前に、ヴェルナーは再び優しい笑みを向けてくれた。
●
「本日はお招きいただき恐悦至極に存じます」
茶会の開始早々、黒耀 (ka5677)は丁寧な挨拶をする。
持参した詩天饅頭を土産に参加したのだが、テーブルの上には純白のテーブルクロスに白い陶器の器。
東方ではあまり見かけない光景である。
西方でハンターとして活動する際に見かけた事はあるが――。
「お茶会に参加するだけで……すぴー……いいなんて……すぴー」
言葉の間に寝息を立てるのは、ドゥアル(ka3746)。
常に睡魔に襲われているドゥアルではあるが、東方と西方の文化を話ながらお茶とお菓子で舌鼓を打てるのだから参加せずにはいられない。
「今日はお招きありがとうございます。お二人のお話を是非拝聴させてください」
悠里(ka6368)は、深々と頭を下げる。
悠里もまたこの茶会を単なるお茶を楽しむ場とは考えていない。
ヴェルナーと武徳が自国の利益を戦わせる交渉の場と捉えていた。交渉の場に同席できる事はあまり多くない為、この場を借りて勉強させてもらうつもりだ。
「水野さん、それにハンターの皆さん。今日は本当にありがとうございます。ささやかではございますが、西方のお茶を楽しんでください。
……アスワドさん、お願いできますか」
「こちらが今日の紅茶になります」
アスワド・ララ(ka4239)が『ララ海運商会』より持ち込んだ紅茶の数々。
一般的な紅茶から、紅茶「ジェオルジの風」、ヒカヤ紅茶。
さらにフレーバードティーの茶葉「秋の収穫祭」や白茶「タスカービレ」まで取り揃えていた。すべてララ海運商会からの提供である。
これには武徳も驚いた。
「なんと、これがすべてお茶か!」
「はい。リゼリオで開催されている東西交流祭では、多くの品が集まるでしょう。数少ないものは『稀少品』と扱う事で商人の興味を惹くことができます」
アスワドは、様々な紅茶の香りを漂わせながら商売について力説した。
東西で商品の交易が活発になれば、様々な商品が行き交う事になる。そうなれば、詩天にも西方の品々が流れ込んでくる。
「アスワドさんには及びませんが、私も紅茶を提供させていただきます。
私がブレンドしたオリジナル茶葉……『リーベ』です。アスワドさんに任せればこの茶葉も詩天へ行くのかもしれませんね。ですが……」
「その為には、安全な交易路が必要。そう言いたいのであろう?」
ヴェルナーの言葉を遮るように武徳が言い放つ。
アスワド達にとって東西の交易路は重要だ。
ゴルドゲイルのノールド・セッテントリオーネが東西交流祭で物資を運んできたのはあくまでも仮の交易路だ。物資を大量に輸送してこそ初めて商人は利益を上げる事ができる。ノールドの構築した仮の交易路は、未だ大量に物資を輸送するには心許ないのだ。
「その通りです。今回の祭りを成功した後、交易路の構築を是非お願いします。
『ララ海運商会』の船員としての立場ですが、交易路の構築と保全を東西で協力しましょう。安全を守る為の費用を連合が持ち、人手を詩天が出すというのはどうでしょう」
商売に携わるアスワドとしては、この交易路構築に東西が協力してくれた方がありがたい。東西の協力関係は必ず後から重要な関係となるはずだ。
だが、その意見に黒耀 が待ったをかける。
「祭りの成功を願うのは同意しますが、東方の品々を吟味してから交易路を構築いただいても良いのではないでしょうか。商人の方ならば西方の品を東方へ持ち込んだ後、空のまま出航はできないでしょう」
黒耀 は、この祭りの成功を優先するべきとの意見を出した。
商人の交易熱が高まったところで出資を各国や民間へ募り、それを交易路の構築と保全へ繋げる。
それはまさに正論なのだが、黒耀 の言葉の中には別の意図がある。
武徳はその意図を経験から素早く察した。
「そうじゃのう。まずは、祭りの成功が優先かのう。勝手に動けば幕府が何を言ってくるか……」
武徳は残念そうな顔を浮かべる。
黒耀 の意図は答えを『持ち帰り』にする事だ。即答を避けた後、都合の良い回答を適当に返答すれば良い。武徳が尤も得意とする対応方法だ。
しかし、相手は辺境地域でも曲者で知られるヴェルナーである。
「なるほど。つまり、『先送り』という訳ですか」
ヴェルナーの言葉に周囲が一瞬凍り付く。
仮面をつけて作り笑顔でお互い臨んだ茶会であるが、突如ヴェルナーは剛速球とも言うべき対応を見せた。
このやり方に武徳は警戒せずにはいられない。
(狐め……)
(押せば引く。引けば押す。相手との駆け引きですね)
苦々しげなヴェルナーを前に、悠里は二人の駆け引きを見届けていた。
二人の立場は違えど、両国の利益を第一に考えた交渉。悠里としては、少しでも武徳の役に立ちたいところだ。
「あの……和のお餅と洋のチョコ……」
ここでりるかが持参したチョコ餅と牛乳をテーブルの上に並べた。
凝り固まった場の空気を戻しながら、ヴェルナーに再び交渉の主導権を引き戻す意図があった。
りるかは、チョコ餅を取り出しながら話を続ける。
「不思議な組み合わせ、だけど……お互いが、主張し過ぎる事が無く、とても調和していて美味しいの……ですよ。お互いに引き立て合えるというのは、とても素敵なの……」
「ふむ。洋と和の融合か」
珍しそうにチョコ餅を手に取ってしげしげと見つめる武徳。
りるかは、そんなチョコ餅を見つめる武徳へ思い切って提案する。
「さっき、ヴェルナーさんから……詩天はお金があまりない、って聞きました。
もし、武徳さんが……お金をかけたくないというなら……ヴェルナーさんへ、戦力の援助の代わりに、多少のお金を援助して貰うとかは……いけないので、しょうか?」
りるかはヴェルナーから今後の連合軍における兵力の不足を懸念していると聞かされていた。
そこでりるかは復興資金で不安を抱える詩天へ兵力の提供を打診した。
兵力を提供する代わりに連合軍から資金提供を求めるのだ。
しかし、これには武徳は難色を示す。
「つまり、それは傭兵という訳じゃな? なれば、その指揮権は資金を提供した連合軍になるのう」
武徳からすれば兵力を提供して資金を得るとなれば、それは傭兵となる。
その場合、指揮権は資金を提供する連合軍に移る。この場合、詩天に危機が訪れても連合軍――正確にはヴェルナーが許可しなければ戻って詩天を守る事も許されない。
実際にはそのような事をヴェルナーがするとは思えないが、武徳からすれば指揮権まで明け渡す傭兵という形態には反対のようだ。
「そうですねぇ。ですが、傭兵とまではいかなくても、力をお貸しいただけると助かるのですが……スメラギさんも助かると思いますよ」
りるかを助けるように、ヴェルナーは武徳を説得する。
「すぴー……ここらで……すぴー……スメラギさんに、恩を売っておくのも悪くない……のでは?」
眠気と戦いながら、黒耀 の詩天饅頭へ手を伸ばすドゥアル。
見れば、持ち込まれた菓子を眠りながら次々と食べ進めている。甘い物を満喫するドゥアルだったが、ここらで交渉に絡み出した。
「朝廷への恩か。それは悪くない」
「……詩天は、歪虚襲撃でボロボロだし……復興中だから……戦力貸与といっても難しそうで……。交易路の確保と保持を主に動いて貰うのが……いいかも……すぴー」
ドゥアルはアスワドと同様交易路の確保に兵力を回すべきと提案した。
交易路のすべてを詩天で守るのは無理があるのは承知。幕府や連合軍と手を結んで一部でも詩天が守護に回る。現状、可能な範囲で兵力を提供し合うのがベストだと考えているようだ。
さらにドゥアルは付け加える。
「……それはそれとして……東方の技術を西方に伝える事は、逆もしかりですが……どうでしょう? 職人を集めて……技術交流会という事で……お互いの産業に変化が起こるかも……。戦いでいえば……歪虚王にも……符術結界が効果を上げたという話もありますし……」
「ほう、歪虚王にも効果を上げた符術結界があるのですか。どのような術なのでしょう?」
技術交流会の話が出た瞬間、ヴェルナーは目の色を変えた。
様々な活用法が考えられるだけにヴェルナーは一気に武徳へ歩み寄る。
「そ、それは……」
「ところで、武徳殿。煎茶式から緋毛氈がなくてもこのまま茶の振る舞いができると思いますが、如何でしょう。この場で茶の返礼のなさるのは」
旗色が悪いと感じたハンスは、準備していた和風の茶会について切り出した。
簡易竈で湯を沸かし、詩天茶道具セットで武徳が煎茶の入れる段取りだ。。
早速、ハンスは助け船を出した。
「そ、そうじゃな。それが良かろう」
逃げる様に武徳はハンスの準備していた竈の近くへと座る。
交渉で詰め寄ろうとするヴェルナーへ、うまく楔を打つことができた。
「見た目が涼やかな方が水無月らしくてよろしいでしょう。これの給仕は私が行いますのでこのままに」
ハンスは準備していた茶菓子を全員の前に差し出した。
東西の菓子を薄く切って花弁に見立て、いくつも重ねて花のように彩る。そこへ葛で固めて一口菓子を作り上げた。
見た目にも涼しげではあるが、和と洋を取り合わせた創作和菓子である。
「すぴー……これも……美味しそう……すぴー」
「あの……とても綺麗、です」
ドゥアルとりるかは、美しい和菓子を前に嬉しそうな笑顔を浮かべる。
一方、同じ笑顔でも別の感情が入り交じっているヴェルナー。
「やってくれますね。詩天はハンターを惹き付ける魅力があるようです」
「買い被りすぎです。
それより素直に茶を楽しまれては? 初めての方には抹茶よりも煎茶の方が馴染みやすい。しかも白茶は西方でも手に入る。ただ楽しむための茶会なら東西好まれる茶を飲み比べてこそ相応しいかと」
ハンスはヴェルナーを牽制する。
この仕掛けでヴェルナーは詩天に対する認識を変えたようだ。
「では、これを」
武徳はヴェルナーの前に茶を差し出した。
今回の茶会に対する返礼。
ヴェルナーはそっと口を器に近付ける。
「この香りは実に見事です。茶の新たな可能性を感じさせます」
「喜んでもらえて何よりじゃ」
ヴェルナーの感想に、武徳は満足げな表情。
先程まで詰め寄られていたとは思えない状況だ。
ここで悠里が新たなる提案を行う。
「双方のご意見、拝聴させていただきました。連合軍の事情は察するにあまりありますが、詩天も歪虚と化した初代詩天を倒したばかり。今すぐの参加は難しいのです。
ですが、水野様。ここは歩み寄りだけでも見せておくべきです。これは譲歩ではなく、将来への投資とお考え下さい」
双方の状況が芳しくないのは事実。
それでも、何か一歩前進させるべきだ。
大きく無くても良い。
小さいが確実な一歩。
今の双方にとって必要なのは、お互いが踏み出した一歩だ。
「投資か」
「それでは、こういうのはどうでしょう。
東方の若者が西方の見聞を広める為に、使節団をノアーラ・クンタウが受け入れます。ここで西方の見聞を深めてもらいましょう。お代はこちらの『お願い』を聞いてもらえば結構です」
ヴェルナーの提案は、詩天より使節団として受け入れるというものだ。
拠点を提供して西方の見聞を深めていけば、詩天に良い結果をもたらす。
その代わり連合軍に戦力を提供してもらう。使節団であるから無理強いはできないが、それで後は双方の良い関係次第だ。
「それはいいですね。東西が交流する場があるだけで今後の発展に繋がります」
アスワドもヴェルナーの言葉に賛同。
その反応を見た武徳は、小さく頷き決断する。
「良かろう。じゃが、条件がある。その宿舎、わしも使わせてもらう。長期滞在は難しいが、使節団が心配でな」
「そうきましたか」
ヴェルナーは条件の裏に気付いた。
詩天は使節団の宿舎を拠点として手に入れる。
そして、この拠点に武徳が『使節団の監督役』として訪れる。
これはこの宿舎を拠点に武徳が他国へちょっかいを出す可能性がある。
「お主が言い出した事だぞ。さて、どうする?」
武徳にやり込められたと思われたヴェルナー。
しかし、それで終わるヴェルナーではなかった。
「分かりました。その案で参りましょう。
ですが……幕府の方を無視できません。宿舎は詩天に限らず幕府の方も使える様にしましょう」
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/28 12:08:10 |
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茶会の準備を(相談卓) 悠里(ka6368) 人間(リアルブルー)|15才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/05/29 23:26:07 |