ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】今日は出店のお手伝い
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2017/06/13 19:00
- 完成日
- 2017/06/20 02:30
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
● a past event
耐え切れない気持ち悪さが彼女を襲った。たまらず何度も嘔吐する。吐くものがなくなってから一息ついて周囲を見回し、驚きを覚える。
ついさっきまで回りにあったのは、累々と死体が転がる焼けただれた大地。闊歩する自律兵器の群れ。渦巻く暗雲に覆われた空。それが今は全て消え、木漏れ日の落ちる森の中。
「……ここ……は……どこじゃ……?」
質問に答える声がないことが、彼女の混乱に拍車をかける。
インカムが壊れたのだろうか。だとしたらどうすれば。どうすれば。
焦燥に駆られ当てもないまま歩きだす。多量の出血をしてはいるが、頑健に作られている体にとって苦ではない。
「……帰らないと……わしは帰らないといかんのじゃ。敵を倒してユニオンに帰るのじゃ……帰って……」
帰って誰かに会わないといけない気がする。だけどそれが誰なのか、とんと思い出せない。
「……帰るのじゃ……」
我知らず涙声になりかけていた所で森が開けた。
あれは――向こうに見えるのは――居住地なのだろうか?
でもどうして一つ一つの形がばらばらなのだろう。大きさが違うのだろう。皆同じに揃っていないのだろう。
立ちすくみぼんやりする彼女を現実に引き戻したのは、居住地に走った灼熱の光線だ。
よほどもろい構造なのか、家屋群は紙のように吹き飛び炎に包まれる。
黒煙の向こうに蜘蛛の手足を生やした人形がいた。嫉妬の歪虚だ。
彼女の朦朧とした頭はそれを、先程まで自分が戦っていた相手であると誤認した。
「……殺すのじゃ……敵はすべからくもぎ殺すのじゃ……!」
持って生まれた軍鶏の戦闘衝動につき動かされ、走りだす。血まみれの金髪をなびかせて。
逃げ惑う人々の姿も、彼らが自分を見る視線も、彼女は一切意識していない。頭の中にあるのは敵と戦うこと。そして。
「わしはユニオンに帰るのじゃ、帰って……」
● now
シャン郡ペリニョン村には、ぴょこなる英霊がおわす。まるごとうさぎに憑依した、強くてお茶目な英霊だ。英霊の祠は資料館にもなっていて、たくさんお供え物が飾ってある、内訳はスペアのまるごとうさぎ(赤&青)、写真、村の観光課が試作したぴょこ様ペナント――などなど。
今日は村の子供たちが似顔絵を奉納しに来てくれたので、飾るスペースを作るため、皆で祠の中をちょっと模様替え。
その際子供たちは、飾り棚の片隅に、見慣れないものを発見した。耳当てのついた片眼鏡――といった感じの品。全体がするりと一つに溶け合ったデザイン。継ぎ目やボルトなど、どこを探しても見当たらない。
「ねえぴょこさま、これなあに?」
英霊ぴょこは首を傾げて眺めた。
『これか。これはのう。えーとえーと、多分わしが生きてたとき持っとったものじゃな。前の祠にもあったのじゃからして』
「わー、すごく古いんだー。何に使うの?」
『はてなんだったかのう。よく思い出せんのう。うーん、ええと……あ、あれじゃな! 虫メガネじゃな!』
「……かざしても大きく見えないよ」
『それは多分、壊れておるからじゃろ』
根拠のないことを胸張って言ったぴょこは、折角なので虫メガネを装着してみようとした。
しかし体が縫いぐるみ。人間用に作られたものを装着出来るわけがない。何度かけてもするする落ちてしまう。
『うーむ、どうしたものやら』
悩むぴょこ。そこに村長がやってきた。
「ぴょこ様、そろそろ春郷祭へお出掛けになる時間ですが」
『おう、そうであったよのう! 行くぞ行くぞ、今行くのじゃぞ!』
虫メガネを棚に戻し、英霊様は祠を出て行く。お祭り騒ぎは大好きなのだ。
●ジェオルジ春の郷祭り。
ジェオルジ恒例、賑わう春郷祭の一角。
アレックスとジュアンが連れ立って歩いている。
「あ、カチャは実家に帰ってるんだ」
「おー。成人したんだから春の祭礼の運営を手伝えって連絡が里の方からあってな。『荒行はもう嫌だー!』って血を吐く勢いで叫んでたぜ」
「大変だねえ」
「まあ、それが大人になるってことだけどな。ところでお前、マリーは?」
「ナルシスと一緒にポルトワールに出掛けて行ったよ。彼の実家に顔見せだって」
「へー。あいつん家ポルトワールにあったのか」
世間話をしつつ彼らが立ち寄ったのは、シャン郡ペリニョン村の出店。
並んでいるのは、村の特産物である燻製品。どの品にも『鎌と鎚の交差紋が入った旗を黒うさぐるみが持つ図』のタグと、小さなパンフレットがついている。
「何かな、これ」
「……『岩塩の絆――ペリニョン村とバシリア刑務所の交流事業について』?」
パンフレットを開いてみれば巻頭に、『ペリニョン村は特産の燻製品を作るにあたり、刑務所で採掘された岩塩を使用しております。売上の10パーセントは刑務所の福祉事業に当てられます。』との一文。
続いて刑務所の岩塩採掘現場、作業所、捨て犬捨て猫の保護飼育場といった写真が解説つきで載せられている。
「……なるほど、それでこの並びなわけか」
「納得だね」
と言いながら2人は、ペリニョン村に近接した出店――『バシリア刑務所作業作品展示即売会』に顔を向けた。
売り出されているのはフォークやスプーン、ナイフと言った金属加工品。テーブルやタンス、椅子といった木工品。そして岩塩。
店の一角にはサークルが設置されており、犬と猫が入っている。『犬猫の譲渡会やっております』の立て札つきで。
勘定台に座っているのは猫顔の男、スペット。囚人の身であるが、今日は娑婆での奉仕活動。服役中の勤務態度がまあまあ真面目であること、魔術師協会からの協力要請を着実に履行していること、逃亡しようとしてもすぐ発見出来てしまう容姿であることが評価され、今回この役に抜擢された由――むろん関係職員が同伴した上でのことではあるが。
「おい、猫が店番してるぞ」
「違うって、あれはユグディラだろ」
「ユグディラにしちゃでかすぎねえか?」
「でかくなり過ぎて捨てられたとか」
「おい、ニャーって鳴いてみろ、ニャーって」
「やかましい! 何も買わんのやったら向こう行けジャリ!」
カーッという威嚇音を発しながら悪童達を追い散らすスペット。そこへ『ペリニョン村観光大使』のタスキをかけたぴょこが乱入してくる。
『おう、おぬしも来ておったのか! 奇遇よのう、奇遇よのう!』
「奇遇でも何でもあらへんわ。お前んとこの村うちの刑務所と提携しとるんやから」
『相変わらず顔が猫じゃの、ういやつういやつ。わし猫好きじゃぞ』
「お前ほんまに人の話を聞かんな……」
リプレイ本文
●お仕事始め。
バシリア刑務所作業作品展示即売会の店先で0円スマイルを浮かべるのは、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。
「良かったら見て行ってください、手作りの良い品や岩塩、可愛い動物さんも居ますよ! 今なら世にも珍しい、店員が皆さんをお出迎えです」
食器類、テーブル、椅子と言った地味な商品を彩る『本日のおすすめ♪』『とっても便利♪』『錆び付きにくい優れもの♪』等のPOP。花柄入りの布が掛けられた陳列棚。まるごとうさぎを着込んだスペット。
総合して、『刑務所』というイメージから遠いクリーンな仕上がり。これらのリフォームは全て、マルカ・アニチキン(ka2542)のプロデュースによるものだ。
出店の前にあるケージには、中に入っている犬猫たちの特徴、性格、好きな遊びが記された札がかかっていた。いずれにも大文字で、『トイレのしつけ、すんでいます』という最大のアピール点が明記してある――これは、ソラス(ka6581)のアイデアだ。彼は現在会場を巡回中。魔導マイク「コルカネレ」を使い、譲渡会の情報拡散に勤しんでいる。
『現在シャン郡ペリニョン村のブースでー、保護犬保護猫の譲渡会が行われておりますー。興味のある方は是非おいでくださいませー』
主人がいない間猫のシーと犬のロイは、道行く人々に惜しみ無く愛想を振り撒く。
まずは子供たちが寄ってきた。
「わー、わんちゃんとねこちゃんがいるぅ」
ついで親たちが寄ってきた。
「ねえ、パパ、わんちゃん」
「そうだね。でもママが向こうで待ってるから早く行こう」
と足早に去る親もいたが、いい反応を見せる親もいる。
「ほー、かわいいなあ」
これは脈がありそうかと見たルンルンは、猛烈アピール。
「そうでしょう! 良くなついてるし、躾もちゃんとできてますよ」
1人の女の子がつぶらな瞳を輝かせ、スペットを指さす。
「ねえ、私、あの大きい子が欲しいんだけど」
(……同じこと言われるのこれで何度目だろう)
そろそろ名札を作って下げさせた方がいいかなと思いつつルンルンは、女の子に言った。
「お客さん、それは店員で譲渡対象じゃありません。躾もちょっと、途中です……」
「何が躾やしばくぞ」
「やだ喋った! すごい! 躾なら私がするから譲って!」
「躾が出来ても又吉はあげられないですからっ!」
人が集まってきた機を逃さず、メイム(ka2290)が売り込みを始めた。彼女もまたスペットと同様、まるごとうさぎな姿である。
「さぁさぁお客様パシリア刑務所の作品展だよー」
手をぱんぱん叩き耳目が集まったところで商品説明。
「そこ行く坊ちゃん猫の爪とぎ板なんてどうかな~?」
「お前それまな板やぞ」
スペットからの突っ込みをモノともせず、口上を続ける。
「そこの老ユグディラの自作だよ! 今なら1枚200G♪」
「猫でもユグディラでもないちゅうてるやろ! お前ら誤解を深める発言やめろや!」
隣にあるペリニョン村の出店では、天竜寺 詩(ka0396)は、ペリニョン村の店先で調理実演販売。
「さぁさぁお客さん方、岩塩を使ったお料理を実演するよ~」
お客様に鶏の燻製を試食してもらいつつ、熱したフライパンにスライスした豚肩ロースを投入。まるごとうさぎを着たジルボ(ka1732)はハーモニカで、料理番組っぽいBGMをつける。
「この位の焦げ目がつく位焼いた後はー、味がしつこくならないよう余分な油を取って……お酒を入れると、より風味が増しまーす」
フリルリボンを片耳につけたぴょこは、積極的に通行人へ呼びかける。
『あーこれこれそこの者、ぴょこの一口チーズはどうじゃな』
売り込んでいるのは、燻製チーズをウサギの型で抜いたもの。お値段そこそこということもあり、売れ行きは順調。
「あ、これかわいい。一個50Gだって」
「買ってく?」
詩の実演はそろそろ佳境に入るところ。
「岩塩は海の塩より塩分が強いから、濃い味のお料理に向いてるんだよ。逆に海の塩はお魚とかあっさりめの食材の方があうかな。試食して気に入ったら、この燻製も岩塩もそれぞれの出店で売ってるから買って行ってね♪」
ジルボはブースの近くで、退屈そうにしている子供に気づいた。気兼ねなく皆が楽しめる場を作るため、気配りは欠かせない。よって、絡みに行く。
『ボクハラビィ、ヨロシクネ』
「あは、うさぎー!」
興奮した子供の体当たりで顎を強打したが、接客兎なので平気を装い耐える。
『ヲウダヨウサギダヨ。ピョコノオトモダチサ!』
幸い子供の母親が狼藉に気づき、すぐ止めてくれた。
「やめなさい。うさぎさんに乱暴しちゃ駄目って、看板に書いてあるでしょう。どうもすいません」
『イインダヨ。キニシナイデー』
そこに季節外れの桜吹雪が発生。
「ふははは! うまそうなものが置いてあるではないか!」
高笑いとともに現れたのは、桜色の着物に桜色のアイパッチをつけた五行ヶ原 凛(ka6270)。
ぴょこはカゴを店に戻し、ビシッとファイティングポースをとる。
『むむっ! お主は試食魔と名高い山賊・チェリーリン!』
「ふふふふ、よくぞ俺様の正体を見破った……なら話は早い! 試食品どころか販売品までも根こそぎ食ってやるぜ!」
『そうはさせぬ、させぬぞ! ほあたあああああああ!』
ぴょこは両手をぐるぐる回し、凜に突進。
凜はすかさず六角棍を前に突き出しぴょこの額を押さえる。短い腕は空回り。
『ふぬう! なぜかいつもの力が出ぬ!』
「わはは、所詮はうさちゃんだな!」
高笑いのチェリーリン。そこでジルボがソーセージを投げる。
『ピョコ、アタラシイカオ……ジャナクテソーセージダヨ!』
『おう、忘れておった! こんな時には燻製じゃ!』
とぴょこは受け取ったソーセージを口元に運び、食べる真似をした。するとどうだろう、全身が輝くオーラに包まれた。
『ふおおおお燻製によって底知れぬ力がわいてくるぞよ! くらうがいい、ぴょこたれパーンチ!』
あえて言う必要もないと思うが一応言っておくと、この一連のやり取り、販促用の小芝居である。
この後山賊を演じる凜が「うわーやられた(バタリ)」となって一件落着のオチなのだ。しかしぴょこ様は、リハ不足ということもあり、力の調整がちょっとうまく出来ていなかった。
手加減してほしいという思いと不意の衝撃による漏れ防止におむつを履いてきていてよかったという思いを交錯させつつ――凜は――天高く舞った。
『これぞペリニョン村の燻製パワーじゃ! 皆も食べるがよいぞ! おぬしらも食べるがよいぞ! うはは!』
「あーもうこっちのスペースちょろちょろすんなやお前!」
勢いのまま隣の出店に乱入し、スペットに怒られるぴょこ。
宵待 サクラ(ka5561)はそれを羨ましげに眺めた。初めて会った瞬間から彼女は、彼の猫顔にめろめろなのである。『世界で一番の美形』と迷いなく言い放てるほどに。
「ぴょこさま凄いや、一体どこであんな美形と知り合ったのさ? 見てるだけで動悸がする、ハグハグしたい撫で回したい……」
と悶えるが、残念ながらレジ係の身、隣に移動出来ない。
「ちょっとー、店員さん。こちらの商品は?」
「あ、はい、こちらペリニョン特製サクラチップで燻したソーセージの燻製です、500Gになります」
●仕事終わりの雑談。
あっと言う間に時が過ぎ、気づけば売り出し品が全てはけ、出店を閉める時間帯。スペットはこの後の打ち上げに参加出来ない。店が引けたら、すぐ刑務所に戻らなければならないのだ。囚人であるがために。
めでたく空になった犬猫ケージを片付け終わったソラスは、出店のテントを畳む彼に聞く。
「この間から、さらに思い出せたことはありますか? 例えばθさんの性格や好みとか」
「性格かあ……あいつは元気がようて、よう動き回っ――何してんねやウサギ」
『いや、重ねたらかわいかろと思うての』
「やめえや」
ぴょこが頭上に乗せてきたス・ペットを両手で掴んで降ろすスペット。
ソラスは質問を重ねる。
「どこでデートしてたんです?」
「どこて……どこやったかな。ようタワー高層で待ち合わせてた気はするねんけどな」
そこにルンルンが割り込んできた。
「こんな風に恋人さんとお祭り行ったの覚えてないですか?」
「……ユニオンにはこういう祭りてなかっ……乗せんなて言うたやないか!」
今度はシー含め猫3段重ねに挑戦するぴょこに、ソラスが聞く。
「ぴょこさんは、英霊として祀られた当時のこともお忘れですか?」
『むーん、あまり覚えておらんのう。気づいたら祠の中で拝まれておったでな』
その言葉にサクラ、大興奮。
「ぴょこさま、スペットさんも記憶ないみたいだよ? なんでそんなところがおそろなの? もうこれ乙女ゲームシチュエーションじゃん、やだー!」
『おとめげーむとはなんじゃな?』
「え? ぴょこさま乙女ゲーム知らないの? 最近クリムゾンウェストでも超人気で2作も出たんだよ――」
ぴょこの注意が他にそれている間に、メイムが手早く尋ねる。
「ねぇスペット。この間観たウォッチャーの映像だけどさ、シータさんの当時の装備って覚えてるー?」
「装備て、ソルジャーのか? なんでや」
「うん。ぴょこの祠、何かクリムゾンウェストっぽくない物も転がってるんだよ。大昔村を救ったとき持ってたものらしいんだけど、素性を覚えてないらしくて」
「あん? あいつこの世界の人間やったんちゃうんか?」
「さあ?」
「さあ? てなんや」
「だって、今言ったように本人何も覚えてないんだから」
なんとなし無言になった二人は、ぴょこに視線を向ける。耳に聞こえてくるのは、ぴょことサクラとの会話。
『んー、んー、このリーゼロッテなる者、さっきからずーっと話してばかりじゃつまらんのう……これサクラ、一体どこを押したら戦闘モードに入るのじゃ?』
「もー、やだなあぴょこ様、乙女ゲーにそんなルートないよー」
スペットは、用済みになったPOPの裏に手早く絵を描き、メイムに渡した。
「俺あいつと職場が重ならへんかったから、あまり詳しいは知らへんけどな、仕事ん時はいつでもこれを持ってたと思う」
詩がスペットへ、新聞紙に包んだ岩塩焼きを差し出す。凜もまた燻製あぶり焼きの残りを新聞紙に包んで渡す。
「よかったら、持って帰って食べてよ」
「刑務所じゃ,お肉なかなか食べられないよね?」
「お、おお、あんがとさん。ええ匂いやな」
猫鼻をひくつかせ、礼を言うスペット。詩は、ふと聞いてみた。
「そういえば、シータさんてお料理が得意だったのかな?」
「いや。θはソルジャーやから、そんなことようやれへん。ステーツマンもマゴイも同様や」
マゴイの名が出たので、ついでにソラスは、聞いてみた。
「そういえばマゴイさん、向こうでは何の研究なさってたんです」
「ユニオンに有益な植物やら動物やらその中間やらの新種、ごにょごにょ作ったりしとったかな……後、市民生産機関にもしょっちゅう呼ばれて行っとった」
「市民生産機関とは?」
「そりゃ……文字通り市民の生産を目的とする機関やな。ユニオンの心臓部や」
ジルボは依頼を受ける前にざっと目を通してきた報告書の内容と、スペットの話を重ね合わせる。
「なあスペット、例のドラゴンの件だけどな、あれ、やっぱりマゴイがやったと思うか?」
「まあ、ほぼ間違いないんやないか?」
「あいつはハンターオフィスに何か含むところでもあんのか?」
「全然ないやろ」
「じゃ、なんで宅配テロやらかしたんだ? 大体あそこまでやれるんだったら、自分で駆除出来るだろ」
「出来るけどそれは自分の職務の範疇にない。せやからその専門職ぽい奴らのところへ回す。ちゅうことやと思う」
「なら一筆添えて依頼料と一緒に送って欲しいもんだな……ステーツマンを作るとか言ってたらしいが、奴は次に何をすると思う?」
「ステーツマンを作る気なら、間違いなくユニオンの遺産を探そうとするやろな。ほんで使えそうなものがあったら、再起動させてみると思う。それが大掛かりなもんやった場合は、運用のためにワーカーを集めようとするかもしらん」
「この世界にワーカーいねえだろ」
「ああ、おらんな。でも、そうでない奴をワーカーとして働かせることは可能やと思うぞ」
「マジかよ……あ、そうだ。聞くばかりじゃあれだからな。なんか要望はねぇか」
「せやなあ、魔術師協会に、早いところ指輪返却するように言うてもらいたいちゅうことやろか」
そんなこんなしている間に、すっかり出店は片付けられた。スペットはマルカから贈られたまるごとうさぎと荷を積んだ魔導トラックに乗り込む。車が発信する前にマルカは、聞く。
「刑期が終わったら、どうするんですかスペットさん」
「さあなあ、決めてへんけど」
「なら、出所したらぴょこさんの村へ住んだらどうですか?」
『おお、それはいいのう。歓迎するぞ。歓迎するぞ』
マルカの言葉に賛同してぴょんぴょん跳ねるぴょこ。スペットはぶっきらぼうに返す。
「まあ、考えとく」
トラックが動き出した。ルンルンは大きく手を振り、別れの言葉に代えて励ましを送る。
「ルンルン占いによると、意外な所に意外な出会いがあるかもですよー!」
遠ざかって行くトラックの上でスペットが手を振り返すのが見えた。
「さて、私たちも店舗の片付けをしなければ」
言ってマルカは夕焼け空を見上げる――どういうワケかカチャが親指を上げウインクしている姿が幻視された。
●お宅訪問。
依頼と打ち上げが済んでから、メイム、サクラ、凜の3人は、改めてペリニョン村を訪れた。
「わー、祠、すごく立派になったね♪」
『そうじゃろそうじゃろ。わしとてもお自慢なのじゃ』
ぴょこは楽しそうに祠の壁へ、フリルリボンをくっつけた『スペットと自分の記念ポートレイト』を飾る(ちなみにそれを描いたのはマルカだ)。
サクラは祠にある記念品を、物珍しげに触りたおす。
「ぴょこさまさぁ、なんかこう昔から持ってる物ない? 乙女ゲームなら2人で思い出の品を分け合って、見せあった途端記憶が戻るとかテッパンだよ? やってみようよ。何かスペットさんも持ってるかもだよ」
『昔から持ってるものかの? えーと、確かどこかに』
「ぴょこさん、このモノクルは何?」
『おう、それじゃ凜。その虫メガネこそ、わしが昔から持ってた奴じゃの。たぶん』
明らかにクリムゾンのものではないと分かる一品。
メイムはスペットから渡された絵とアイテムの特徴を、慎重に見比べる。
「完全に一緒だね、これ」
サクラは、俄然眼を輝かせた。
「記憶を失った2人が異世界で巡り合って真実の恋に目覚める……王道だよ! 羨ましいじゃん憧れるじゃん、でもそれじゃ私横恋慕する悪役令嬢ポジションじゃん、やだー」
マシンガンの如く喋り倒す彼女の姿をモノクルは、静かに映していた。
バシリア刑務所作業作品展示即売会の店先で0円スマイルを浮かべるのは、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。
「良かったら見て行ってください、手作りの良い品や岩塩、可愛い動物さんも居ますよ! 今なら世にも珍しい、店員が皆さんをお出迎えです」
食器類、テーブル、椅子と言った地味な商品を彩る『本日のおすすめ♪』『とっても便利♪』『錆び付きにくい優れもの♪』等のPOP。花柄入りの布が掛けられた陳列棚。まるごとうさぎを着込んだスペット。
総合して、『刑務所』というイメージから遠いクリーンな仕上がり。これらのリフォームは全て、マルカ・アニチキン(ka2542)のプロデュースによるものだ。
出店の前にあるケージには、中に入っている犬猫たちの特徴、性格、好きな遊びが記された札がかかっていた。いずれにも大文字で、『トイレのしつけ、すんでいます』という最大のアピール点が明記してある――これは、ソラス(ka6581)のアイデアだ。彼は現在会場を巡回中。魔導マイク「コルカネレ」を使い、譲渡会の情報拡散に勤しんでいる。
『現在シャン郡ペリニョン村のブースでー、保護犬保護猫の譲渡会が行われておりますー。興味のある方は是非おいでくださいませー』
主人がいない間猫のシーと犬のロイは、道行く人々に惜しみ無く愛想を振り撒く。
まずは子供たちが寄ってきた。
「わー、わんちゃんとねこちゃんがいるぅ」
ついで親たちが寄ってきた。
「ねえ、パパ、わんちゃん」
「そうだね。でもママが向こうで待ってるから早く行こう」
と足早に去る親もいたが、いい反応を見せる親もいる。
「ほー、かわいいなあ」
これは脈がありそうかと見たルンルンは、猛烈アピール。
「そうでしょう! 良くなついてるし、躾もちゃんとできてますよ」
1人の女の子がつぶらな瞳を輝かせ、スペットを指さす。
「ねえ、私、あの大きい子が欲しいんだけど」
(……同じこと言われるのこれで何度目だろう)
そろそろ名札を作って下げさせた方がいいかなと思いつつルンルンは、女の子に言った。
「お客さん、それは店員で譲渡対象じゃありません。躾もちょっと、途中です……」
「何が躾やしばくぞ」
「やだ喋った! すごい! 躾なら私がするから譲って!」
「躾が出来ても又吉はあげられないですからっ!」
人が集まってきた機を逃さず、メイム(ka2290)が売り込みを始めた。彼女もまたスペットと同様、まるごとうさぎな姿である。
「さぁさぁお客様パシリア刑務所の作品展だよー」
手をぱんぱん叩き耳目が集まったところで商品説明。
「そこ行く坊ちゃん猫の爪とぎ板なんてどうかな~?」
「お前それまな板やぞ」
スペットからの突っ込みをモノともせず、口上を続ける。
「そこの老ユグディラの自作だよ! 今なら1枚200G♪」
「猫でもユグディラでもないちゅうてるやろ! お前ら誤解を深める発言やめろや!」
隣にあるペリニョン村の出店では、天竜寺 詩(ka0396)は、ペリニョン村の店先で調理実演販売。
「さぁさぁお客さん方、岩塩を使ったお料理を実演するよ~」
お客様に鶏の燻製を試食してもらいつつ、熱したフライパンにスライスした豚肩ロースを投入。まるごとうさぎを着たジルボ(ka1732)はハーモニカで、料理番組っぽいBGMをつける。
「この位の焦げ目がつく位焼いた後はー、味がしつこくならないよう余分な油を取って……お酒を入れると、より風味が増しまーす」
フリルリボンを片耳につけたぴょこは、積極的に通行人へ呼びかける。
『あーこれこれそこの者、ぴょこの一口チーズはどうじゃな』
売り込んでいるのは、燻製チーズをウサギの型で抜いたもの。お値段そこそこということもあり、売れ行きは順調。
「あ、これかわいい。一個50Gだって」
「買ってく?」
詩の実演はそろそろ佳境に入るところ。
「岩塩は海の塩より塩分が強いから、濃い味のお料理に向いてるんだよ。逆に海の塩はお魚とかあっさりめの食材の方があうかな。試食して気に入ったら、この燻製も岩塩もそれぞれの出店で売ってるから買って行ってね♪」
ジルボはブースの近くで、退屈そうにしている子供に気づいた。気兼ねなく皆が楽しめる場を作るため、気配りは欠かせない。よって、絡みに行く。
『ボクハラビィ、ヨロシクネ』
「あは、うさぎー!」
興奮した子供の体当たりで顎を強打したが、接客兎なので平気を装い耐える。
『ヲウダヨウサギダヨ。ピョコノオトモダチサ!』
幸い子供の母親が狼藉に気づき、すぐ止めてくれた。
「やめなさい。うさぎさんに乱暴しちゃ駄目って、看板に書いてあるでしょう。どうもすいません」
『イインダヨ。キニシナイデー』
そこに季節外れの桜吹雪が発生。
「ふははは! うまそうなものが置いてあるではないか!」
高笑いとともに現れたのは、桜色の着物に桜色のアイパッチをつけた五行ヶ原 凛(ka6270)。
ぴょこはカゴを店に戻し、ビシッとファイティングポースをとる。
『むむっ! お主は試食魔と名高い山賊・チェリーリン!』
「ふふふふ、よくぞ俺様の正体を見破った……なら話は早い! 試食品どころか販売品までも根こそぎ食ってやるぜ!」
『そうはさせぬ、させぬぞ! ほあたあああああああ!』
ぴょこは両手をぐるぐる回し、凜に突進。
凜はすかさず六角棍を前に突き出しぴょこの額を押さえる。短い腕は空回り。
『ふぬう! なぜかいつもの力が出ぬ!』
「わはは、所詮はうさちゃんだな!」
高笑いのチェリーリン。そこでジルボがソーセージを投げる。
『ピョコ、アタラシイカオ……ジャナクテソーセージダヨ!』
『おう、忘れておった! こんな時には燻製じゃ!』
とぴょこは受け取ったソーセージを口元に運び、食べる真似をした。するとどうだろう、全身が輝くオーラに包まれた。
『ふおおおお燻製によって底知れぬ力がわいてくるぞよ! くらうがいい、ぴょこたれパーンチ!』
あえて言う必要もないと思うが一応言っておくと、この一連のやり取り、販促用の小芝居である。
この後山賊を演じる凜が「うわーやられた(バタリ)」となって一件落着のオチなのだ。しかしぴょこ様は、リハ不足ということもあり、力の調整がちょっとうまく出来ていなかった。
手加減してほしいという思いと不意の衝撃による漏れ防止におむつを履いてきていてよかったという思いを交錯させつつ――凜は――天高く舞った。
『これぞペリニョン村の燻製パワーじゃ! 皆も食べるがよいぞ! おぬしらも食べるがよいぞ! うはは!』
「あーもうこっちのスペースちょろちょろすんなやお前!」
勢いのまま隣の出店に乱入し、スペットに怒られるぴょこ。
宵待 サクラ(ka5561)はそれを羨ましげに眺めた。初めて会った瞬間から彼女は、彼の猫顔にめろめろなのである。『世界で一番の美形』と迷いなく言い放てるほどに。
「ぴょこさま凄いや、一体どこであんな美形と知り合ったのさ? 見てるだけで動悸がする、ハグハグしたい撫で回したい……」
と悶えるが、残念ながらレジ係の身、隣に移動出来ない。
「ちょっとー、店員さん。こちらの商品は?」
「あ、はい、こちらペリニョン特製サクラチップで燻したソーセージの燻製です、500Gになります」
●仕事終わりの雑談。
あっと言う間に時が過ぎ、気づけば売り出し品が全てはけ、出店を閉める時間帯。スペットはこの後の打ち上げに参加出来ない。店が引けたら、すぐ刑務所に戻らなければならないのだ。囚人であるがために。
めでたく空になった犬猫ケージを片付け終わったソラスは、出店のテントを畳む彼に聞く。
「この間から、さらに思い出せたことはありますか? 例えばθさんの性格や好みとか」
「性格かあ……あいつは元気がようて、よう動き回っ――何してんねやウサギ」
『いや、重ねたらかわいかろと思うての』
「やめえや」
ぴょこが頭上に乗せてきたス・ペットを両手で掴んで降ろすスペット。
ソラスは質問を重ねる。
「どこでデートしてたんです?」
「どこて……どこやったかな。ようタワー高層で待ち合わせてた気はするねんけどな」
そこにルンルンが割り込んできた。
「こんな風に恋人さんとお祭り行ったの覚えてないですか?」
「……ユニオンにはこういう祭りてなかっ……乗せんなて言うたやないか!」
今度はシー含め猫3段重ねに挑戦するぴょこに、ソラスが聞く。
「ぴょこさんは、英霊として祀られた当時のこともお忘れですか?」
『むーん、あまり覚えておらんのう。気づいたら祠の中で拝まれておったでな』
その言葉にサクラ、大興奮。
「ぴょこさま、スペットさんも記憶ないみたいだよ? なんでそんなところがおそろなの? もうこれ乙女ゲームシチュエーションじゃん、やだー!」
『おとめげーむとはなんじゃな?』
「え? ぴょこさま乙女ゲーム知らないの? 最近クリムゾンウェストでも超人気で2作も出たんだよ――」
ぴょこの注意が他にそれている間に、メイムが手早く尋ねる。
「ねぇスペット。この間観たウォッチャーの映像だけどさ、シータさんの当時の装備って覚えてるー?」
「装備て、ソルジャーのか? なんでや」
「うん。ぴょこの祠、何かクリムゾンウェストっぽくない物も転がってるんだよ。大昔村を救ったとき持ってたものらしいんだけど、素性を覚えてないらしくて」
「あん? あいつこの世界の人間やったんちゃうんか?」
「さあ?」
「さあ? てなんや」
「だって、今言ったように本人何も覚えてないんだから」
なんとなし無言になった二人は、ぴょこに視線を向ける。耳に聞こえてくるのは、ぴょことサクラとの会話。
『んー、んー、このリーゼロッテなる者、さっきからずーっと話してばかりじゃつまらんのう……これサクラ、一体どこを押したら戦闘モードに入るのじゃ?』
「もー、やだなあぴょこ様、乙女ゲーにそんなルートないよー」
スペットは、用済みになったPOPの裏に手早く絵を描き、メイムに渡した。
「俺あいつと職場が重ならへんかったから、あまり詳しいは知らへんけどな、仕事ん時はいつでもこれを持ってたと思う」
詩がスペットへ、新聞紙に包んだ岩塩焼きを差し出す。凜もまた燻製あぶり焼きの残りを新聞紙に包んで渡す。
「よかったら、持って帰って食べてよ」
「刑務所じゃ,お肉なかなか食べられないよね?」
「お、おお、あんがとさん。ええ匂いやな」
猫鼻をひくつかせ、礼を言うスペット。詩は、ふと聞いてみた。
「そういえば、シータさんてお料理が得意だったのかな?」
「いや。θはソルジャーやから、そんなことようやれへん。ステーツマンもマゴイも同様や」
マゴイの名が出たので、ついでにソラスは、聞いてみた。
「そういえばマゴイさん、向こうでは何の研究なさってたんです」
「ユニオンに有益な植物やら動物やらその中間やらの新種、ごにょごにょ作ったりしとったかな……後、市民生産機関にもしょっちゅう呼ばれて行っとった」
「市民生産機関とは?」
「そりゃ……文字通り市民の生産を目的とする機関やな。ユニオンの心臓部や」
ジルボは依頼を受ける前にざっと目を通してきた報告書の内容と、スペットの話を重ね合わせる。
「なあスペット、例のドラゴンの件だけどな、あれ、やっぱりマゴイがやったと思うか?」
「まあ、ほぼ間違いないんやないか?」
「あいつはハンターオフィスに何か含むところでもあんのか?」
「全然ないやろ」
「じゃ、なんで宅配テロやらかしたんだ? 大体あそこまでやれるんだったら、自分で駆除出来るだろ」
「出来るけどそれは自分の職務の範疇にない。せやからその専門職ぽい奴らのところへ回す。ちゅうことやと思う」
「なら一筆添えて依頼料と一緒に送って欲しいもんだな……ステーツマンを作るとか言ってたらしいが、奴は次に何をすると思う?」
「ステーツマンを作る気なら、間違いなくユニオンの遺産を探そうとするやろな。ほんで使えそうなものがあったら、再起動させてみると思う。それが大掛かりなもんやった場合は、運用のためにワーカーを集めようとするかもしらん」
「この世界にワーカーいねえだろ」
「ああ、おらんな。でも、そうでない奴をワーカーとして働かせることは可能やと思うぞ」
「マジかよ……あ、そうだ。聞くばかりじゃあれだからな。なんか要望はねぇか」
「せやなあ、魔術師協会に、早いところ指輪返却するように言うてもらいたいちゅうことやろか」
そんなこんなしている間に、すっかり出店は片付けられた。スペットはマルカから贈られたまるごとうさぎと荷を積んだ魔導トラックに乗り込む。車が発信する前にマルカは、聞く。
「刑期が終わったら、どうするんですかスペットさん」
「さあなあ、決めてへんけど」
「なら、出所したらぴょこさんの村へ住んだらどうですか?」
『おお、それはいいのう。歓迎するぞ。歓迎するぞ』
マルカの言葉に賛同してぴょんぴょん跳ねるぴょこ。スペットはぶっきらぼうに返す。
「まあ、考えとく」
トラックが動き出した。ルンルンは大きく手を振り、別れの言葉に代えて励ましを送る。
「ルンルン占いによると、意外な所に意外な出会いがあるかもですよー!」
遠ざかって行くトラックの上でスペットが手を振り返すのが見えた。
「さて、私たちも店舗の片付けをしなければ」
言ってマルカは夕焼け空を見上げる――どういうワケかカチャが親指を上げウインクしている姿が幻視された。
●お宅訪問。
依頼と打ち上げが済んでから、メイム、サクラ、凜の3人は、改めてペリニョン村を訪れた。
「わー、祠、すごく立派になったね♪」
『そうじゃろそうじゃろ。わしとてもお自慢なのじゃ』
ぴょこは楽しそうに祠の壁へ、フリルリボンをくっつけた『スペットと自分の記念ポートレイト』を飾る(ちなみにそれを描いたのはマルカだ)。
サクラは祠にある記念品を、物珍しげに触りたおす。
「ぴょこさまさぁ、なんかこう昔から持ってる物ない? 乙女ゲームなら2人で思い出の品を分け合って、見せあった途端記憶が戻るとかテッパンだよ? やってみようよ。何かスペットさんも持ってるかもだよ」
『昔から持ってるものかの? えーと、確かどこかに』
「ぴょこさん、このモノクルは何?」
『おう、それじゃ凜。その虫メガネこそ、わしが昔から持ってた奴じゃの。たぶん』
明らかにクリムゾンのものではないと分かる一品。
メイムはスペットから渡された絵とアイテムの特徴を、慎重に見比べる。
「完全に一緒だね、これ」
サクラは、俄然眼を輝かせた。
「記憶を失った2人が異世界で巡り合って真実の恋に目覚める……王道だよ! 羨ましいじゃん憧れるじゃん、でもそれじゃ私横恋慕する悪役令嬢ポジションじゃん、やだー」
マシンガンの如く喋り倒す彼女の姿をモノクルは、静かに映していた。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談所 マルカ・アニチキン(ka2542) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/06/13 18:37:59 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/06/13 02:44:28 |
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質問卓 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/06/11 15:41:55 |