ゲスト
(ka0000)
大江家の猫、カエルの歌と戦う
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/06/27 09:00
- 完成日
- 2017/07/03 10:30
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●猫、冒険に出る
エトファリカ連邦国、天ノ都の片隅にある大江 紅葉の家。大江家で認識している動物の数、紅葉が買ってきたウサギや拾って来たらしいパルムはおいておいて、虎猫十七匹、柴犬七匹、驢馬四頭である。
増えすぎた。
――という話ではないので、大江家、ペットがたくさんいるとだけ記憶していただければよい。
虎猫二匹が出かけたところ、柴犬一匹が隙をついてくっついて家を出てきた。
三匹はとぼとぼと町の外に出て行った。
大江家が住んでいた里がある方向に向かっていく。この猫達はそうだったとは知らないためたまたま道なりに進んでいるだけであった。
三匹は通りを行く人から可愛がってもらいつつ、休みながら遠出する。
時々雑魔も出る為、危険この上ないが、三匹は問題なく進む。
そして、どこかの集落があった跡にやってきた。復興はされていないが、通る人のために雨風しのげるような小屋はできていた。
少しずつ未来へつながってはいる……のであるが、猫と犬にはそこまで理解はない。
そこの集落には農業池がある。田畑は荒れ果てているので、農業用だろうが異なっていようが関係ない。歪虚による汚染の影響も残り、農作物は作られていないから。雑草は生えているため、そのうちどうにかなるだろう。
その池には水はそれなりにたまっている。中央は足りないのか形はヘチマのようなくびれがある形だ。
この時期、池には大量にカエルが住んでいる。
ゲコゲコ。
グワギュワギュワ。
何か所かで何種類かの鳴き声がする。
猫はそれをとろうとした。
水辺により、鋭い一撃を加える。
バシャーン。
落ちた。
「にゃああ」
「んぎゃ」
「わんわん、わんわん」
幸い上がることはできた。
「にゃんんにゃ」
今日はこのくらいにしてやる、という感じで鳴き、猫と犬は立ち去った。
都に戻らず、三匹は小屋で寝泊まりする。通りすがりの人がいればごはんもらえるだろうと意外とのんびりしている。まあ、餌はある、そこかしこに。捕まえることができれば。
翌日、猫達はチャレンジする。カエルを取って楽しみたいのだ。
犬はとりあえずそこら辺を掘り始める。なんかあると楽しいかも!
三匹は楽しく遊んでいた。
しかし、それも一変する。
池に昨日見なかった大きく禍々しいカエルがいるのだ!
犬は吠えつつ逃げようとする。
池のところで取ろうとした獲物がでかかったため、虎猫はこしを抜かしている。
もう一匹はとりあえず、威嚇しているが腰は完全に引けている。
柴犬は腰が抜けている虎猫を咥えると走り始める。威嚇していた虎猫も後に続いた。
何とか小屋のところまで逃げて隠れる。
追ってはこないようだ。
三匹は心細く固まって過ごした。おなかすいてきた。
「きゅーん」
より一層寂しくなってきた。思い浮かべるのは飼い主の紅葉と餌をくれる人間たちの姿だった。
●武人、依頼を受ける
紅葉は家令から一つ話を受け、頼りになる知り合いを訪ねた。こういったことばかりで悪いと思いつつも、頼れるのはハンターと彼くらいだ。
龍尾城の一室に紅葉は訪れる。松永 光頼の家に行くのはなんとなくはばかられた。
「どうなさったのですか?」
光頼は真摯に問う。紅葉の様子が悩んでいるというのがはっきりするから。
「実は、我が家の虎猫の……無名三号と無名四号、芝六郎が行方不明なのです」
光頼は硬直した。
「名前ですか」
「恥ずかしながら……虎猫十匹目で名前が尽きました」
「……そこまではつけましたか」
光頼は偉いなぁとしみじみ言う。
「もし、見つけたら、何が不満だったのかと聞いて、連れ戻してくれませんか」
「待ってください! 私、猫語わかりません!」
「もちろん、わかると思ってません!」
二人はいたって真剣に会話をしている。
仕切りの反対側で耳をそばだてていた武人たちは笑い転げそうになるのを必死にこらえる。ここは職場だ。
「……特徴はあるのですか?」
「首輪が全部一緒です。これです。この布で作っています」
紅葉が見せてくれた。大江の家紋が入っているため分かりやすい。
「見回りをしているときに見つけたら捕まえておきますね」
「はい、お願いします。本当、何がいけなかったのでしょうか」
紅葉が立ち去った。
たぶん、それは、猫語がわからないと誰もわからないが、指摘する人物はいなかった。
「さて……私はこの仕事を片付けないといけないな」
光頼は依頼書を眺めた。彼自身が書いたモノであり、これは控え。
街道の枝分かれするところにある集落跡に妖怪がいるという話だった。カエルの歌が賑やかであるが、そこに巨大なカエルの姿を見たという目撃が多数寄せられている。
小屋で泊っている分はいいが、池に近づくと襲われるという報告もある。
ただし、行方不明者がそこで出たというのはない。
「ことが大きくなる前に調査し、片づけないとならない」
光頼はハンターに同道願う依頼を出していたのだった。
エトファリカ連邦国、天ノ都の片隅にある大江 紅葉の家。大江家で認識している動物の数、紅葉が買ってきたウサギや拾って来たらしいパルムはおいておいて、虎猫十七匹、柴犬七匹、驢馬四頭である。
増えすぎた。
――という話ではないので、大江家、ペットがたくさんいるとだけ記憶していただければよい。
虎猫二匹が出かけたところ、柴犬一匹が隙をついてくっついて家を出てきた。
三匹はとぼとぼと町の外に出て行った。
大江家が住んでいた里がある方向に向かっていく。この猫達はそうだったとは知らないためたまたま道なりに進んでいるだけであった。
三匹は通りを行く人から可愛がってもらいつつ、休みながら遠出する。
時々雑魔も出る為、危険この上ないが、三匹は問題なく進む。
そして、どこかの集落があった跡にやってきた。復興はされていないが、通る人のために雨風しのげるような小屋はできていた。
少しずつ未来へつながってはいる……のであるが、猫と犬にはそこまで理解はない。
そこの集落には農業池がある。田畑は荒れ果てているので、農業用だろうが異なっていようが関係ない。歪虚による汚染の影響も残り、農作物は作られていないから。雑草は生えているため、そのうちどうにかなるだろう。
その池には水はそれなりにたまっている。中央は足りないのか形はヘチマのようなくびれがある形だ。
この時期、池には大量にカエルが住んでいる。
ゲコゲコ。
グワギュワギュワ。
何か所かで何種類かの鳴き声がする。
猫はそれをとろうとした。
水辺により、鋭い一撃を加える。
バシャーン。
落ちた。
「にゃああ」
「んぎゃ」
「わんわん、わんわん」
幸い上がることはできた。
「にゃんんにゃ」
今日はこのくらいにしてやる、という感じで鳴き、猫と犬は立ち去った。
都に戻らず、三匹は小屋で寝泊まりする。通りすがりの人がいればごはんもらえるだろうと意外とのんびりしている。まあ、餌はある、そこかしこに。捕まえることができれば。
翌日、猫達はチャレンジする。カエルを取って楽しみたいのだ。
犬はとりあえずそこら辺を掘り始める。なんかあると楽しいかも!
三匹は楽しく遊んでいた。
しかし、それも一変する。
池に昨日見なかった大きく禍々しいカエルがいるのだ!
犬は吠えつつ逃げようとする。
池のところで取ろうとした獲物がでかかったため、虎猫はこしを抜かしている。
もう一匹はとりあえず、威嚇しているが腰は完全に引けている。
柴犬は腰が抜けている虎猫を咥えると走り始める。威嚇していた虎猫も後に続いた。
何とか小屋のところまで逃げて隠れる。
追ってはこないようだ。
三匹は心細く固まって過ごした。おなかすいてきた。
「きゅーん」
より一層寂しくなってきた。思い浮かべるのは飼い主の紅葉と餌をくれる人間たちの姿だった。
●武人、依頼を受ける
紅葉は家令から一つ話を受け、頼りになる知り合いを訪ねた。こういったことばかりで悪いと思いつつも、頼れるのはハンターと彼くらいだ。
龍尾城の一室に紅葉は訪れる。松永 光頼の家に行くのはなんとなくはばかられた。
「どうなさったのですか?」
光頼は真摯に問う。紅葉の様子が悩んでいるというのがはっきりするから。
「実は、我が家の虎猫の……無名三号と無名四号、芝六郎が行方不明なのです」
光頼は硬直した。
「名前ですか」
「恥ずかしながら……虎猫十匹目で名前が尽きました」
「……そこまではつけましたか」
光頼は偉いなぁとしみじみ言う。
「もし、見つけたら、何が不満だったのかと聞いて、連れ戻してくれませんか」
「待ってください! 私、猫語わかりません!」
「もちろん、わかると思ってません!」
二人はいたって真剣に会話をしている。
仕切りの反対側で耳をそばだてていた武人たちは笑い転げそうになるのを必死にこらえる。ここは職場だ。
「……特徴はあるのですか?」
「首輪が全部一緒です。これです。この布で作っています」
紅葉が見せてくれた。大江の家紋が入っているため分かりやすい。
「見回りをしているときに見つけたら捕まえておきますね」
「はい、お願いします。本当、何がいけなかったのでしょうか」
紅葉が立ち去った。
たぶん、それは、猫語がわからないと誰もわからないが、指摘する人物はいなかった。
「さて……私はこの仕事を片付けないといけないな」
光頼は依頼書を眺めた。彼自身が書いたモノであり、これは控え。
街道の枝分かれするところにある集落跡に妖怪がいるという話だった。カエルの歌が賑やかであるが、そこに巨大なカエルの姿を見たという目撃が多数寄せられている。
小屋で泊っている分はいいが、池に近づくと襲われるという報告もある。
ただし、行方不明者がそこで出たというのはない。
「ことが大きくなる前に調査し、片づけないとならない」
光頼はハンターに同道願う依頼を出していたのだった。
リプレイ本文
●心情色々
エルバッハ・リオン(ka2434)は本人が思わずつぶやくほど重装備だった。
「ここまで重装備なのも久しぶりですね。個人的には露出が多めの方が好みなのですが、今後の戦いのことも考えると、こういった装備にも慣れておいた方がいいと思いますし」
松永 光頼へのあいさつをしたころには仕事を意識し、装備のことはなじんだかもしれない。
ステラ・フォーク(ka0808)は挨拶の後、質問を投げかける。
「虎猫さんと柴犬さんの特徴はあるのかしら?」
光頼は名前と首輪の説明をする。首輪に使っている布には大江家の家紋が描かれているという。
星野 ハナ(ka5852)は自分ペットにも首輪やアイテムがついていても可愛いな作ろうかなと考えつつ、仕事に必要なことを尋ねる。
「無名三号と四号、芝六郎の好物は何でしょうか? またたびも用意しますが、なければ買わないとならないのですう」
にこやかなハナだが、光頼は何か警戒するほうがいいと直感した。いつもネズミ捕ったりしている話は聞いていたためそれを話す。
ミオレスカ(ka3496)は挨拶のあと大江家の猫の名前を聞いて眉を顰める。
「光頼さん、一緒に頑張りましょう! それにしても、それは本当に名前なのでしょうか」
東條 奏多(ka6425)が同意してうなずく。
「ああ、ひどくないか? むしろ、一、二の方が潔くていいのか……いや、どっちもどっちか」
「一匹目が寅吉、二匹目が寅美と来て十匹目が虎十郎で力尽きたそうです、飼い主」
光頼の情報にハンターは沈黙する。
「どれだけいるのか気になりますわ」
「……聞いた話には虎猫十七匹、柴犬七匹それ以外にも何かいると」
ステラは説明を聞き「伺ってみたいわ」とほほ笑んだ。
ヴァイス(ka0364)は話を切り替える。
「動物たちも心配だが、その集落まで行っているかは不明だ。まずは集落の跡に出る生き物のことを訊こう。巨大カエルだと聞くが、それほどおおきいということは――」
「妖怪――歪虚だと思われる」
「歪虚と言ってもなり立ての可能性もある」
ヴァイスとハナの目は、なぜか捕食者のそれだった。
光頼は背筋を這う冷や汗を感じた。
●動物走る
集落の跡地まで難なくハンターは到着した。捜索は街道沿いにある小屋を起点に行うこととなる。
小屋の扉は簡単に開くものであったため、ハンターたちが来た時は薄く開いていた。猫と犬が開けて行ったのか、ここに休んだ一般人が閉めなかったのかは不明。
奏多とハナは小屋の中を覗き込む。
中にあるのは休めるようにと置いてある腰掛風の物入れと、ひっくり返っている毛布。
犬猫がいたとしたらこの毛布にくるまっていた可能性は高い。二人は毛布を調べる。
「……これは、猫の毛かな」
「それはあり得ますう……ここで見つけるものはないですぅ?」
「ないだろう。外を調べよう」
外に出るとハナは大きく息を吸い、大きな声で呼びかけた。
「無名三号、無名四号。芝六郎ー! 好物を持ってきましたよぉ。うっかり飛ばされる前に出てくるですぅ」
「おー、出て……は?」
奏多は自分も呼びかけようとして、隣の人物を恐る恐る見た。
「うっかり、飛ばされる?」
「吹っ飛ばされるか好物を食べるか選ばせてあげようと思いましてぇ」
「……お、おおい、無名三号、四号、芝六郎ー、ご飯もある、だから、おとなしく出て来い! 逃げると死ぬぞおおお」
奏多の声は少し裏返っていた。
ステラとミオレスカは池に向かって歩く。
周囲の地形を把握しつつ、妖怪探しもペット探しもできればいい。ペットを先に見つけたならば、保護ができればいい。
「都から距離はありますね、ここまで来るんでしょうか?」
「相当元気がいい虎猫さんと柴犬さんですわね……」
「飼い主に似たのでしょうか」
「飼い主が似たのを飼うとも、だんだん似てくるというのも聞くわね」
「そうですよね」
ミオレスカは飼い主の大江 紅葉を考えると何とも言えない表情になる。
「あ」
二人の声が重なった。走っている虎猫二匹と柴犬らしい生き物を見つけたのだ。
「池に向かっていますね」
「あらあら♪ 可愛いですわ」
のどかに言っている場合でもないため追いかけた。
先行して池の周りに来たヴァイスとエルバッハ。光頼もこちらについてきている。
「おお、食料が……こっちにはたくさんいるが、あっちにはいない」
ヴァイスは過去にカエルが食料だったことがあり、反射的に食料だという言葉が漏れた。一瞬同道者を怖がらせたかと思って見るが、気にしている様子は見えず安堵の息を吐いた。
ヴァイスが言うように手前の池にはカエルがたくさん生活をしているが、つながるもう一つの池は静かだ。
「ここから見ている限りでは何もいませんが」
エルバッハは双眼鏡で眺める。手前はカエルの歌が賑やかである。
「この辺りが農業用の池だったということは、畦と田畑があったということですね?」
エルバッハの問いかけに光頼はうなずく。
「各地域の上に立つ人がしっかりしていると帰還は早い。民の土地への思い入れもあるな。この辺りは都近いから、あちらで生活の足掛かりができると、なかなか動きづらい」
「……上が動けば早いのもわかります」
もし畑があって水が豊富ならば、池は大きいのだろう。カエルはいるということは、人間も住めるはずなのだ。
「ここまで極端だと、罠だったりするのだろうか? こっちで水を汲みづらいからそっちに行けば狙われる」
カエル程度ならどけることも可能だが、面倒くさいことには変わりがない。
ヴァイスは他のメンバーが集まるのを待ってから行くか、様子を見る為先行するか依頼人を見る。
「あら?」
「おや?」
「ん?」
虎猫二匹と柴犬、ステラとミオレスカが走ってくる。
猫と犬は薄汚れているが、気力は満ちて走っている。追いかけてくる者や待ちかまえる者がいると気づくと、池を迂回するように大回り枯れ草むらに消えた。
あまりの素早さに、捕まえ損ねた。
「逃げられてしまいました」
ミオレスカが不安そうに犬猫が消えた繁みを眺める。
「おおーい、何かいたのか?」
奏多が声をかけつつ、ハナとともにやってきた。
情報交換をし、一行は妖怪がいるかどうかを先に確認することになった。
「この辺りにとりあえず虎猫二匹と柴犬一匹はいた」
ヴァイスの言葉に全員がうなずく。
「逃げられたのですう?」
「野性は強い」
「分かりました」
ハナはおもむろに符を握った。
「妖怪いるなら臨戦態勢ね?」
ステラもつぶやくと武器に手を伸ばした。
●カエル還る
「池に近づくならば、【ウォーターウォーク】をかけますか?」
エルバッハの問いかけに池の近くに寄ろうとしたヴァイスと奏多が頼む。
「今回は銃は見送りますわ。ナイフの投擲は数が限られているから気をつけないといけないですね」
「そうですね、虎猫さんも柴犬さんも余計に逃げてしまうかもしれませんし」
ステラはナイフをミオレスカは弓を構える。
「さて、いつでも出てきていいですよー。符術は敵のみ選択できますから、術範囲内に猫ちゃんやワンちゃんがいても使いますよぉ」
ハナが池を距離と範囲に計算しつつ近づく。彼女の作戦をつぶやくのを聞き、仲間がぎょっとしている。問題ないはずだが問題を感じる。
「猫ちゃんもワンちゃんも逃がそうとしていればひと手間の間に、敵に猫ちゃんたちが食べられてしまうかもしれませんから、それを防ぐのも大事ですぅ」
ハナの言っていることは正しい。
「と、とりあえず、光頼の手が空いているし、余裕があれば後衛も犬猫の保護を頼むぞ」
「そうだな、それがいいか? 光頼は連携してもらうことも可能かもしれないが」
ヴァイスと奏多は後ろにいる仲間と依頼人をちらっと見て告げる。
光頼は前衛が必要なら入るし、ペットの保護が必要なら保護すると告げた。
「近くにいるみたいですね」
エルバッハは枯れ草が不自然に揺れるのを横目でとらえた。
犬猫ではなく、敵がいるということもあり得る。水辺に生息する妖怪が普段から離れたところにいるなら、被害が拡大しているだろうから敵である可能性は薄い。
水辺にあと五メートル、四メートル……接したとき、水面が揺れた。ハンターたちは動く。
ヴァイスが回避をしたところを赤いものよぎった。
「何だ!?」
奏多はそれが舌のように見えてはいた。カエルやカメレオンの舌のようなイメージだ。
「わんわんわん」
「しゃああああ」
犬と猫の威嚇の声近づいてくる音がする。
「……来るなっ!」
ヴァイスが叫ぶ。
なぜか虎猫達と柴犬はカエルに恐怖を覚え、かつ倒さねばいけないという使命感に燃える。
捕まえようとして失敗したことが頭にきている、とか、怯えた自分たちに腹を立ててているなどハンターは知らない。
「困りましたね」
エルバッハは姿を完全に表していない敵と、それをどうにかしようとする動物たちを注視する。
「駄目です、無名三号と四号、芝六郎」
ミオレスカが声をかけると、柴犬が名前に反応した。小首をかしげて「誰?」というように。
「近すぎすると危険ですしぃ、逃げると三味線の皮や犬鍋っていう運命も待っていますよぉ」
「そうで……いえ、こっちに来てくださいね?」
ステラは同意の言葉を告げようとして、前がハナの言葉だったので冷静に言い直した。
再び水中から攻撃が来る。
「何度も同じ手が使えると思うなよ!」
今回はすでに攻撃の可能性があると分かっているため、ヴァイスも奏多も心構えがあった。回避はできたが、どうやって引きずりあげるか悩ましい。
「浮くことを考えて水の上に行くか……釣りの要領で引っ張るか」
ヴァイスは水面を見る。
「奴、結構適当に打ち払ってくるよな……おとりに俺が行くのが一番被害が出ないか?」
奏多は自分が持ってきたスキルや武器を考え呟く。素早く動くことはできそうだが、水面であることを除けば。
「一気に魔法を叩き込みますう?」
「それも出てくる可能性ありますが、引っ込むこともあり得ますね」
ハナとミオレスカが言う。
「奏多さんができるのであればおとり作戦も良いのかもしれません」
「次に攻撃されたときに武器で絡めとる……かしら?」
エルバッハとステラは名案が浮かばない。
そうこうしている間にヴァイスや奏多を避けるように、虎猫と柴犬が池に近づく。
「駄目だ」
「駄目ですわ」
光頼とステラが動いた。二人が何とか犬猫を押さえた直後、池から飛び上がって近づく存在がある。これが池の中から攻撃をしてきた存在だろう。
「こっちだ!」
「そうそう、ぜひとも地上にとどまって遊んでもらいたな」
ヴァイスと奏多が現れた巨大なカエルの妖怪を武器で打ち、飛ばすように攻撃した。池に戻られては元も子もないし下手に攻撃をすれば動物たちを巻き込む。
「今のうちです」
ミオレスカは声をかけつつ、矢を構えて待機した。敵が一体であれば、攻撃が動物たちに行きそうな場合、妨害を行うほうが有効と考えた。
「敵を狙い撃ちですぅ! 【五色光符陣】」
ペットたちと仲間は外れるが目の前に光が飛び交う。
エルバッハは集中していた力を解放する。
「まずは……【アイスボルト】」
属性があれば効かない可能性があるが、行動を阻害する可能性も考えて放つ。若干効果が薄いという手ごたえだ。
「フォーク殿」
「はい、今のうちに逃げますわ」
ステラに声をかけ光頼が虎猫を両腕に抱え、逃げる。ステラは柴犬を抱きかかえて離れた。
動物たちがいなくなった瞬間、攻撃が可能なハンターたちは技を惜しむことなく重ねて畳みかける。
ハンターたちの行動が終わったころには、巨大化した妖怪のカエルは消えていなくなった。
●帰路へ
抱き抱えられていた犬猫は地面に置かれると、震えながら光頼の足元にいる。
犬猫が逃げないことを確認後、池の中や周りに歪虚がいないか念のため確認するハンターたち。
何もないと分かると三々五々戻ってくる。
「お怪我はないですか? 触らせていただければ見られるのですが」
ミオレスカが手を伸ばそうとすると、三匹ともびくりとしてじりじり逃げる。
「まずはゆっくりしましょう。何か考えがあって行動をしていたのですよね? 頑張っていたみたいなのでご褒美です」
ミオレスカは微笑むと干し肉をもって視線を合わせる。柴犬は鼻をひくひくさせてやってきた。
「猫たちはこれがいいか」
ヴァイスがそわそわとツナ缶を開けたところ、猫たちはわっと群がる。
「ううう、残念ですう! 食べ応えのありそうなカエルでしたのに、何も残りませんでしたあ」
ハナがうめく。
「……確かに食べ応えありそうだったな」
ヴァイスが応じる。上の空なのは虎猫と柴犬に触るタイミングを計るためだ。
「お前たち、こんなところまでよく来たな。遊びながら迷子になった口か?」
奏多が話しかける。虎猫が「にゃあ」というが、なんといったかは想像するしかない。
「名前に抗議ならここまでは来ないだろうなぁ」
奏多は苦笑する。
「無事で良かったですわ。おいたが過ぎてもっと危険なこともありえたのですよ?」
ステラが犬猫に話しかける。撫でようとしたが、まだ警戒しつつ必死に食べていた。先ほど抱き抱えられたのは三匹が反応する前だったからのようだ。
「好奇心旺盛なのは飼い主に似ているのでしょうか」
エルバッハのコメントに紅葉を知る者は沈黙を守るだけにとどめた。なぜかこの発言は二度目である。
「それにしてもしっかり着こむと暑いですね」
「脱ぐわけにいかないですよ?」
エルバッハにミオレスカが指摘した。
ペットたちが一心不乱に食事をしている間、ハナは負のマテリアルの状況を見て回る。植物の状態からの推測、カエルたちは懸命に生きているという良いこと。
しかし、負のマテリアルの影響があれば、これらも雑魔化する危険性ははらむ。
「人が戻ればよいですよねぇ」
ハナは池の周りが重点的に可能な限り【浄龍樹陣】を使った。可能な限り回数を。
「そうですわね。そうすれば、きっとここも落ち着いた場所になりますわ。猫さんや犬さん達だけでなく、のんびり遊べますわ」
ステラは微笑む。ようやく抱きかかえた虎猫は疲労困憊しているらしくひどい顔をしている。
「帰りましょうね」
ミオレスカは抱えた無名三号か四号に話しかけた。
「お前も抱っこか」
ヴァイスが芝六郎を抱きかかえたところで、帰路につくのだった。
エルバッハ・リオン(ka2434)は本人が思わずつぶやくほど重装備だった。
「ここまで重装備なのも久しぶりですね。個人的には露出が多めの方が好みなのですが、今後の戦いのことも考えると、こういった装備にも慣れておいた方がいいと思いますし」
松永 光頼へのあいさつをしたころには仕事を意識し、装備のことはなじんだかもしれない。
ステラ・フォーク(ka0808)は挨拶の後、質問を投げかける。
「虎猫さんと柴犬さんの特徴はあるのかしら?」
光頼は名前と首輪の説明をする。首輪に使っている布には大江家の家紋が描かれているという。
星野 ハナ(ka5852)は自分ペットにも首輪やアイテムがついていても可愛いな作ろうかなと考えつつ、仕事に必要なことを尋ねる。
「無名三号と四号、芝六郎の好物は何でしょうか? またたびも用意しますが、なければ買わないとならないのですう」
にこやかなハナだが、光頼は何か警戒するほうがいいと直感した。いつもネズミ捕ったりしている話は聞いていたためそれを話す。
ミオレスカ(ka3496)は挨拶のあと大江家の猫の名前を聞いて眉を顰める。
「光頼さん、一緒に頑張りましょう! それにしても、それは本当に名前なのでしょうか」
東條 奏多(ka6425)が同意してうなずく。
「ああ、ひどくないか? むしろ、一、二の方が潔くていいのか……いや、どっちもどっちか」
「一匹目が寅吉、二匹目が寅美と来て十匹目が虎十郎で力尽きたそうです、飼い主」
光頼の情報にハンターは沈黙する。
「どれだけいるのか気になりますわ」
「……聞いた話には虎猫十七匹、柴犬七匹それ以外にも何かいると」
ステラは説明を聞き「伺ってみたいわ」とほほ笑んだ。
ヴァイス(ka0364)は話を切り替える。
「動物たちも心配だが、その集落まで行っているかは不明だ。まずは集落の跡に出る生き物のことを訊こう。巨大カエルだと聞くが、それほどおおきいということは――」
「妖怪――歪虚だと思われる」
「歪虚と言ってもなり立ての可能性もある」
ヴァイスとハナの目は、なぜか捕食者のそれだった。
光頼は背筋を這う冷や汗を感じた。
●動物走る
集落の跡地まで難なくハンターは到着した。捜索は街道沿いにある小屋を起点に行うこととなる。
小屋の扉は簡単に開くものであったため、ハンターたちが来た時は薄く開いていた。猫と犬が開けて行ったのか、ここに休んだ一般人が閉めなかったのかは不明。
奏多とハナは小屋の中を覗き込む。
中にあるのは休めるようにと置いてある腰掛風の物入れと、ひっくり返っている毛布。
犬猫がいたとしたらこの毛布にくるまっていた可能性は高い。二人は毛布を調べる。
「……これは、猫の毛かな」
「それはあり得ますう……ここで見つけるものはないですぅ?」
「ないだろう。外を調べよう」
外に出るとハナは大きく息を吸い、大きな声で呼びかけた。
「無名三号、無名四号。芝六郎ー! 好物を持ってきましたよぉ。うっかり飛ばされる前に出てくるですぅ」
「おー、出て……は?」
奏多は自分も呼びかけようとして、隣の人物を恐る恐る見た。
「うっかり、飛ばされる?」
「吹っ飛ばされるか好物を食べるか選ばせてあげようと思いましてぇ」
「……お、おおい、無名三号、四号、芝六郎ー、ご飯もある、だから、おとなしく出て来い! 逃げると死ぬぞおおお」
奏多の声は少し裏返っていた。
ステラとミオレスカは池に向かって歩く。
周囲の地形を把握しつつ、妖怪探しもペット探しもできればいい。ペットを先に見つけたならば、保護ができればいい。
「都から距離はありますね、ここまで来るんでしょうか?」
「相当元気がいい虎猫さんと柴犬さんですわね……」
「飼い主に似たのでしょうか」
「飼い主が似たのを飼うとも、だんだん似てくるというのも聞くわね」
「そうですよね」
ミオレスカは飼い主の大江 紅葉を考えると何とも言えない表情になる。
「あ」
二人の声が重なった。走っている虎猫二匹と柴犬らしい生き物を見つけたのだ。
「池に向かっていますね」
「あらあら♪ 可愛いですわ」
のどかに言っている場合でもないため追いかけた。
先行して池の周りに来たヴァイスとエルバッハ。光頼もこちらについてきている。
「おお、食料が……こっちにはたくさんいるが、あっちにはいない」
ヴァイスは過去にカエルが食料だったことがあり、反射的に食料だという言葉が漏れた。一瞬同道者を怖がらせたかと思って見るが、気にしている様子は見えず安堵の息を吐いた。
ヴァイスが言うように手前の池にはカエルがたくさん生活をしているが、つながるもう一つの池は静かだ。
「ここから見ている限りでは何もいませんが」
エルバッハは双眼鏡で眺める。手前はカエルの歌が賑やかである。
「この辺りが農業用の池だったということは、畦と田畑があったということですね?」
エルバッハの問いかけに光頼はうなずく。
「各地域の上に立つ人がしっかりしていると帰還は早い。民の土地への思い入れもあるな。この辺りは都近いから、あちらで生活の足掛かりができると、なかなか動きづらい」
「……上が動けば早いのもわかります」
もし畑があって水が豊富ならば、池は大きいのだろう。カエルはいるということは、人間も住めるはずなのだ。
「ここまで極端だと、罠だったりするのだろうか? こっちで水を汲みづらいからそっちに行けば狙われる」
カエル程度ならどけることも可能だが、面倒くさいことには変わりがない。
ヴァイスは他のメンバーが集まるのを待ってから行くか、様子を見る為先行するか依頼人を見る。
「あら?」
「おや?」
「ん?」
虎猫二匹と柴犬、ステラとミオレスカが走ってくる。
猫と犬は薄汚れているが、気力は満ちて走っている。追いかけてくる者や待ちかまえる者がいると気づくと、池を迂回するように大回り枯れ草むらに消えた。
あまりの素早さに、捕まえ損ねた。
「逃げられてしまいました」
ミオレスカが不安そうに犬猫が消えた繁みを眺める。
「おおーい、何かいたのか?」
奏多が声をかけつつ、ハナとともにやってきた。
情報交換をし、一行は妖怪がいるかどうかを先に確認することになった。
「この辺りにとりあえず虎猫二匹と柴犬一匹はいた」
ヴァイスの言葉に全員がうなずく。
「逃げられたのですう?」
「野性は強い」
「分かりました」
ハナはおもむろに符を握った。
「妖怪いるなら臨戦態勢ね?」
ステラもつぶやくと武器に手を伸ばした。
●カエル還る
「池に近づくならば、【ウォーターウォーク】をかけますか?」
エルバッハの問いかけに池の近くに寄ろうとしたヴァイスと奏多が頼む。
「今回は銃は見送りますわ。ナイフの投擲は数が限られているから気をつけないといけないですね」
「そうですね、虎猫さんも柴犬さんも余計に逃げてしまうかもしれませんし」
ステラはナイフをミオレスカは弓を構える。
「さて、いつでも出てきていいですよー。符術は敵のみ選択できますから、術範囲内に猫ちゃんやワンちゃんがいても使いますよぉ」
ハナが池を距離と範囲に計算しつつ近づく。彼女の作戦をつぶやくのを聞き、仲間がぎょっとしている。問題ないはずだが問題を感じる。
「猫ちゃんもワンちゃんも逃がそうとしていればひと手間の間に、敵に猫ちゃんたちが食べられてしまうかもしれませんから、それを防ぐのも大事ですぅ」
ハナの言っていることは正しい。
「と、とりあえず、光頼の手が空いているし、余裕があれば後衛も犬猫の保護を頼むぞ」
「そうだな、それがいいか? 光頼は連携してもらうことも可能かもしれないが」
ヴァイスと奏多は後ろにいる仲間と依頼人をちらっと見て告げる。
光頼は前衛が必要なら入るし、ペットの保護が必要なら保護すると告げた。
「近くにいるみたいですね」
エルバッハは枯れ草が不自然に揺れるのを横目でとらえた。
犬猫ではなく、敵がいるということもあり得る。水辺に生息する妖怪が普段から離れたところにいるなら、被害が拡大しているだろうから敵である可能性は薄い。
水辺にあと五メートル、四メートル……接したとき、水面が揺れた。ハンターたちは動く。
ヴァイスが回避をしたところを赤いものよぎった。
「何だ!?」
奏多はそれが舌のように見えてはいた。カエルやカメレオンの舌のようなイメージだ。
「わんわんわん」
「しゃああああ」
犬と猫の威嚇の声近づいてくる音がする。
「……来るなっ!」
ヴァイスが叫ぶ。
なぜか虎猫達と柴犬はカエルに恐怖を覚え、かつ倒さねばいけないという使命感に燃える。
捕まえようとして失敗したことが頭にきている、とか、怯えた自分たちに腹を立ててているなどハンターは知らない。
「困りましたね」
エルバッハは姿を完全に表していない敵と、それをどうにかしようとする動物たちを注視する。
「駄目です、無名三号と四号、芝六郎」
ミオレスカが声をかけると、柴犬が名前に反応した。小首をかしげて「誰?」というように。
「近すぎすると危険ですしぃ、逃げると三味線の皮や犬鍋っていう運命も待っていますよぉ」
「そうで……いえ、こっちに来てくださいね?」
ステラは同意の言葉を告げようとして、前がハナの言葉だったので冷静に言い直した。
再び水中から攻撃が来る。
「何度も同じ手が使えると思うなよ!」
今回はすでに攻撃の可能性があると分かっているため、ヴァイスも奏多も心構えがあった。回避はできたが、どうやって引きずりあげるか悩ましい。
「浮くことを考えて水の上に行くか……釣りの要領で引っ張るか」
ヴァイスは水面を見る。
「奴、結構適当に打ち払ってくるよな……おとりに俺が行くのが一番被害が出ないか?」
奏多は自分が持ってきたスキルや武器を考え呟く。素早く動くことはできそうだが、水面であることを除けば。
「一気に魔法を叩き込みますう?」
「それも出てくる可能性ありますが、引っ込むこともあり得ますね」
ハナとミオレスカが言う。
「奏多さんができるのであればおとり作戦も良いのかもしれません」
「次に攻撃されたときに武器で絡めとる……かしら?」
エルバッハとステラは名案が浮かばない。
そうこうしている間にヴァイスや奏多を避けるように、虎猫と柴犬が池に近づく。
「駄目だ」
「駄目ですわ」
光頼とステラが動いた。二人が何とか犬猫を押さえた直後、池から飛び上がって近づく存在がある。これが池の中から攻撃をしてきた存在だろう。
「こっちだ!」
「そうそう、ぜひとも地上にとどまって遊んでもらいたな」
ヴァイスと奏多が現れた巨大なカエルの妖怪を武器で打ち、飛ばすように攻撃した。池に戻られては元も子もないし下手に攻撃をすれば動物たちを巻き込む。
「今のうちです」
ミオレスカは声をかけつつ、矢を構えて待機した。敵が一体であれば、攻撃が動物たちに行きそうな場合、妨害を行うほうが有効と考えた。
「敵を狙い撃ちですぅ! 【五色光符陣】」
ペットたちと仲間は外れるが目の前に光が飛び交う。
エルバッハは集中していた力を解放する。
「まずは……【アイスボルト】」
属性があれば効かない可能性があるが、行動を阻害する可能性も考えて放つ。若干効果が薄いという手ごたえだ。
「フォーク殿」
「はい、今のうちに逃げますわ」
ステラに声をかけ光頼が虎猫を両腕に抱え、逃げる。ステラは柴犬を抱きかかえて離れた。
動物たちがいなくなった瞬間、攻撃が可能なハンターたちは技を惜しむことなく重ねて畳みかける。
ハンターたちの行動が終わったころには、巨大化した妖怪のカエルは消えていなくなった。
●帰路へ
抱き抱えられていた犬猫は地面に置かれると、震えながら光頼の足元にいる。
犬猫が逃げないことを確認後、池の中や周りに歪虚がいないか念のため確認するハンターたち。
何もないと分かると三々五々戻ってくる。
「お怪我はないですか? 触らせていただければ見られるのですが」
ミオレスカが手を伸ばそうとすると、三匹ともびくりとしてじりじり逃げる。
「まずはゆっくりしましょう。何か考えがあって行動をしていたのですよね? 頑張っていたみたいなのでご褒美です」
ミオレスカは微笑むと干し肉をもって視線を合わせる。柴犬は鼻をひくひくさせてやってきた。
「猫たちはこれがいいか」
ヴァイスがそわそわとツナ缶を開けたところ、猫たちはわっと群がる。
「ううう、残念ですう! 食べ応えのありそうなカエルでしたのに、何も残りませんでしたあ」
ハナがうめく。
「……確かに食べ応えありそうだったな」
ヴァイスが応じる。上の空なのは虎猫と柴犬に触るタイミングを計るためだ。
「お前たち、こんなところまでよく来たな。遊びながら迷子になった口か?」
奏多が話しかける。虎猫が「にゃあ」というが、なんといったかは想像するしかない。
「名前に抗議ならここまでは来ないだろうなぁ」
奏多は苦笑する。
「無事で良かったですわ。おいたが過ぎてもっと危険なこともありえたのですよ?」
ステラが犬猫に話しかける。撫でようとしたが、まだ警戒しつつ必死に食べていた。先ほど抱き抱えられたのは三匹が反応する前だったからのようだ。
「好奇心旺盛なのは飼い主に似ているのでしょうか」
エルバッハのコメントに紅葉を知る者は沈黙を守るだけにとどめた。なぜかこの発言は二度目である。
「それにしてもしっかり着こむと暑いですね」
「脱ぐわけにいかないですよ?」
エルバッハにミオレスカが指摘した。
ペットたちが一心不乱に食事をしている間、ハナは負のマテリアルの状況を見て回る。植物の状態からの推測、カエルたちは懸命に生きているという良いこと。
しかし、負のマテリアルの影響があれば、これらも雑魔化する危険性ははらむ。
「人が戻ればよいですよねぇ」
ハナは池の周りが重点的に可能な限り【浄龍樹陣】を使った。可能な限り回数を。
「そうですわね。そうすれば、きっとここも落ち着いた場所になりますわ。猫さんや犬さん達だけでなく、のんびり遊べますわ」
ステラは微笑む。ようやく抱きかかえた虎猫は疲労困憊しているらしくひどい顔をしている。
「帰りましょうね」
ミオレスカは抱えた無名三号か四号に話しかけた。
「お前も抱っこか」
ヴァイスが芝六郎を抱きかかえたところで、帰路につくのだった。
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虎猫と柴犬を助けよう ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/06/26 23:55:11 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/06/26 18:58:25 |