【女神】双剣を使いし魚人の刃

マスター:奈華里

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
6日
締切
2017/06/30 07:30
完成日
2017/07/13 00:41

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「んー…困ったわね」
 イズはここのところずっと部屋に籠っていた。
 古い資料を掘り返し、借り受けた海図はとある所で厳重に保管。
 海図の所有者であるアリエンヌは周りに迷惑がからないようにと自主的に里へ戻ったそうだ。
 そうしてイズは海図の謎と対峙中。海賊との一件で原本から書き写して作った偽物の海図には何やらいろいろ書き込まれているようだが、それがどのようにして導き出されたのかは彼女にしか判らない。
「船長。浪漫を追い求めるのはいいですが、ちょっと根詰め過ぎでは?」
 ドアをノックしたにも関わらず、振り向きもしない彼女に彼女の補佐をしているセルクが声をかける。
 だが、それでも彼女の耳には届いていないようで視線はずっと机の上。そこで彼も机を覗き込み眉を顰める。
(あれ、おかしいな。これは一体…)
 彼女の前にある地図は彼が以前見た地図とは明らかに違う。
 暗黒海域に当たる場所には落書きとは思えない程の緻密さで島らしきものが細かく書き込まれ、その横には数字と見覚えのない文字らしきものが添えられている。
「あの、これは…」
「ん、ああ…いたのね。凄いでしょ、これ…原本に隠されていたのよ」
 イズが平然と言う。
「隠されていたって…じゃあ、謎は解けたので?」
「ええ、一部はね。けど、困った事にここからが動けなくって」
 とんとんっと指で地図を小突いて彼女が大きく息を吐く。
「これは…文字ですか?」
 蛇のような、ミミズのような…。
 学生が眠気と戦いながら書き留めたような字体が並んでいるのを見つけて彼が問う。
「文字、だとは思うのよね。だってこことここは同じ形をしているし…ただの落書きだったらこんな偶然あり得ないもの」
 問題の箇所を指差し言う。
「古代文字を当たってみたんだけどどうも違うのよね…。エルフのアリエンヌさんにも聞いたけど、知らないみたいで本当にお手上げよ」
 もう一度、はぁと息を吐いて椅子の背もたれにイズがその身を預ける。
「船長、ちょっと来て下さい! 珍しいもんが海に」
 するとそこへ別の乗組員が彼女の部屋を訪れて――ひとまずデッキに出る彼女。
 そうここは海の上、今も一応仕事の途中。今日は隣りの港への運搬とあって乗組員に舵を任せていたようだ。
 船長室の扉を開いて、その先に見えたのは小さな檻。中に人の姿が見えて、慌てて船をそちらに向かわせる。
 そして、そこにいたのは酷く怯えたい一人の少年人魚だった。
「タ…ケて……ボク、デキ、ナイ…ヒじゅつ、シラナイ…」
 引き上げる檻の中で彼が必死でその言葉を繰り返す。
「珍しい…言葉が、喋れるのね。大丈夫よ、私達は貴方に危害は加えないわ」
 彼女はそう言って彼を宥めて……事情を聞けば、どうやら心無い人間に捕らえられたらしい。
「そう言えば先の戦いで人魚が特殊な力でハンター達を長時間潜れるようにしたとか言ってたわね」
 それには海涙石が必要だが――それに一部の人魚が秘術をかける事で、酸素補給なしに潜る事が可能になるという。
「ねえ、でもどうしてあなたは一人なの?」
 捕らえられていたのなら捕らえた側がいる筈だ。けれど、檻だけ浮かんでいたというのは変な話だ。
「魚人に、フネ、オソワレタ…多分、歪虚化してル……手当たリ次第、襲ッテテ、それデ」
 その時の事を思い出したように彼が肩を震わせる。
 彼は檻の中にあり、早々に船に繋がれていたロープが切られた事から魚人らの刃を免れたらしい。
「そんな…もしこの近くだったとしたら?」
 ほっておいては危険だ。イズのみならず漁師達の船も襲われかねない。
「ねえ、その事詳しく教えてくれない? 教えてくれればちゃんとあなたを指定の場所に送り届けるから」
 イズが言う。その真っ直ぐな瞳に敵ではないと感じ取ったのだろう。少年人魚がこくりと頷く。
「多分、数ハオオくナかった。ケド、人間ノ武器ヲ奪ッテ…桁外レニ、強イノガイタ」
 その言葉に一同息を呑む。その相手は、魚人ながら双剣の使い手のようだった。

リプレイ本文

●海上
 馴染みの顔もちらほら見えてイズの表情に過度な緊張は見えない。
 暗黒海域に近付く事になってもハンター達がいる事がその不安を緩和しているようだ。
「マルも一緒だし、心配いらないヨ~。だからおーぶねに乗ったつもりで、れっつごー♪」
 マルというのは万歳丸(ka5665)の事――彼はパティことパトリシア=K=ポラリス(ka5996)と知り合いであるらしい。船上の事は彼と他のハンターに任せて、パティは操舵室で待機する。というのもいざという時、彼女がイズをケアする為だ。海賊との一件の記憶もまだ浅い事から見てもそれは妥当な判断と言えよう。一方、人魚の少年をケアするのはコロラ・トゥーラ(ka5954)だ。
「ごめんなさいね、人魚さん。どこに行っても欲の皮の突っ張った人間っていうのはいるもので…代わりにならないかもしれないけど、魚人の歪虚たちは任せて頂戴。海の安全のためにもしっかりと退治するわ!」
 強い意志を秘めた瞳でコロラが言う。
「仕方ない事、知ってル……ダカラ、気にシナイで」
 それに未だ少し怯えながらも答える少年。その様子に僅かに不安を覚える者がいた。
 名はコーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)――ハッキリ言って彼女は子供が苦手なのだ。
 意思疎通がうまく出来ず、考えも予測できない相手。今は大丈夫でもいざ戦闘になった時、彼が恐怖に耐えかねて何か起こさないとも限らない。一度襲撃されている分、彼にとってはトラウマとなっている筈だ。
「まあ、そんな怖い顔すんなって…美人が勿体ないぜ?」
 その様子を見取ってジャック・エルギン(ka1522)が軽口を叩く。
「そうそう、この俺がいるんだァ、万が一何てこたぁ怒らねェよっ」
 隣りにいた万歳丸もそう言い、豪快に笑う。
「ねえねえ、イズさん。依頼読んダんだけど、問題の海図って…」
 そうパティが話し始めた頃の事だった。
 始めに何かを察知したのはジャックのカモメ…何処となくそわそわし始めて、ジャックが周囲に気を配る。一見何の変哲もない海だがしかし、よく観察してみれば目視出来る範囲にいた野生生物がいつの間にか見当たらない。
「オイ、パティ…生命探知だァ」
 それの気付いた万歳丸がパティに確認を要請する。
「お二人共、準備するからこっちに来て欲しいの」
 ファリス(ka2853)はそう言い、前衛の男性陣にウォーターウォークをかける。
 作戦としては男性二人が接近戦を担当し、それを女性陣が船からサポートする形となる。
「確かにおかしいヨ…ここらにお魚さん、イナイみたい」
 これだけ広い海に魚がいないとはどういう事か――考えるに答えはただ一つだ。
「さァて、んじゃあやり合おうや」
 胸の内にある闘争本能をむき出しに万歳丸が船の縁に手をかける。
 そして、彼は迷わず海上へと飛び下りて――見事に海面を駆けてゆく。
「うらぁあ、いるのは判ってんだァ! 出てこいやァ!」
 その声に潜伏していた魚人らも煽られ、海中から複数の影が姿を見せる。
 それを見取り、人魚の少年を船長室に避難させるとコロラは大弓に矢を番え、敵が浮上してくるのを待つ。
(場所は違えど、本質は同じ…私は私がやれる事を)
 だが、相手の土俵であるからそう簡単に当てる事叶わない。跳び魚の様に瞬時に飛び出し潜りを繰り返し顔を出すのは極僅か。海面にも飛沫が上がり自然と弾や矢の威力を鈍らせる。
「じゃあ俺も行くかっ」
 そこで飛び出したジャックだったが、彼は海に着地した瞬間派手に沈んで水中へ。ファリスの魔術が効いていなかったのだろうか。否、効いてはいても今の状況では無理もない。万歳丸と魚人達が動き回っているのだ。高速移動できない彼には波のせいで海上歩行は難しい。そんな彼を見つけて、別の魚人が好機とばかりに狙いを定める。が、ジャックも馬鹿ではない。
(ハッ、これはこれでやってやるぜ!)
 と泳げる彼はこの状況を利用するべくソウルトーチを発動。一体ならず、もっと自分の存在を認識させて視線が向けば思う壺だ。突進してくる敵に盾を構えて堅牢で更に敵を引き付け、盾を下に向けると…。

 ばっしゃーーん

 それはまるでイルカが海上のボールを突き上げる様に、彼は盾ごと弾かれる形で海上へと姿を現す。それと同時に突き上げた側の魚人も無防備に海面へうち上がり、
「今だ! 撃てッ―!」
 彼の声が女性陣に届く。初手は上々…かに見えた。
 しかし、それと時を同じくして、イズの船に異変が起こる。

●船内
 ぐらりと船体が揺れたのは飛沫が上がった後の事。海上に視線を飛ばしていたハンター達が船内を顧みる。
「くそっ、倉庫がやられたっ!」
 それと同時に聞こえたのは船員の言葉。どうやら敵はあちらだけではないらしい。
「場所は! 被害を早く報告してっ!?」
 イズがパイプを伝って状況報告を求めるも応答がない。
 ちなみにイズの船の構造は次の通り。甲板のある階にはマストの下、前から操舵室、共有スペースに船長室が、階を下に降りると船員達の生活スペースと船倉が完備されており、今船倉にはバラストのみ。船を形作る竜骨部以外を狙えば、割と穴を開けるのは容易なのかもしれない。
「いけねぇ! 船長っ、至急ハ…っぐあぁ!」
 穴から流れ込んでくる水音と共に更なる攻撃が襲ったか、報告する船員の声がそこで途切れる。
「パティさん、ここはいいからあっちを」
 イズの言葉にパティは迷った。イズをほおってはおけないが、下も気になる。そこで優先すべきを考えて、ここは不安要素を減らす事がイズの為だという判断に至り、操舵室の戸を開き船倉へと向かう。
 が船倉へ続く梯子に向かおうと外に出た直後、彼女が感じたのはとてつもない殺気。
「ふせてっ!」
 出てきた彼女に仲間の声が飛ぶ。
 その仲間の視線の先に目をやれば、操舵室の屋根に当たる部分に仁王立ちしている敵の影…。
 すらりとした細身の剣が二本握られているではないか。
(アレが双剣使い…)
 コーネリアのはなった弾丸をいともたやすく弾いて見せてその魚人は僅かに揺れる。
 そして次の瞬間、瞬間移動でもしたかのように距離を詰めるとコーネリアのライフルを弾き、パティの元へと迫っている。だが、
「やらせないのっ!」
 そこはファリスがウインドスラッシュを割り込ませて庇い、その隙にパティは結界を張る。今の魚人は三対一。全てに気を向けている間などない筈だ。ウインドスラッシュをいなして、双剣は前方の二人に狙いを変える。だが、その選択が命取りとなった。
「油断大敵ダヨ!」
 奴が甲板に降りた瞬間、足元が眩く光り彼の視界を奪う。その間に武器をオートマに持ち替えていたコーネリアは迷う事なく、魚人を撃ち抜く。加えて、ファリスも容赦なかった。準備していたのは風の雷撃――動けないでいる魚人を貫く。
『グ、ガガガ…』
 その連携に強敵とされていた双剣使いは小さく声を上げると手にした剣を取り落とし、ガクリと膝をつきそのまま事切れる。そこへ船倉の様子を見に行っていたコロラが戻って来て、
「やったのですか?」
「まあ、とりあえずこいつはな」
 コーネリアが髪をかき上げ言う。確かに双剣使いは片付いたが、まだ歪虚と化した魚人は残っている。
「そっちは大丈夫そうなの?」
 心配の色を見せてファリスが尋ねる。
「はい。船員さん達が的確でしたし、穴は囮のようでして」
「成程、その手できたか」
 ライフルを拾いながらコーネリアが少し感心する。
「マルはともかくジャックを助けなきゃ! 海中戦は不利ダヨ」
 パティが外の様子を知り、操舵室に戻る。
 船の中の騒ぎが一段落したかに見えたが、戦いはこれだけでは終わらない。

「サンキュー…って言いたい所だが、そんな暇ねぇな!」
 戦場を船上に変えてもジャックは疲労の色を少しも見せず、剣を手にする。
 一方の万歳丸も負けず劣らず。その都度、ウォーターウォークをかけて貰っていたとはいえ海を駆け回る立ち回り。流石、自称『未来の大英雄』と言い切る男である。そんな彼も数が減ってきたのを悟って、船の方に戻ってくる。
「出来るだけ乗り込ませる前に叩きましょう! それが最善です!」
 大弓を構えて、飛び込んでくる相手をコロラが迎え撃つ。
「しっかし、肝心の双剣使いとやれねェとはなァ…がっかりだぜ」
 ひとまず一呼吸ついた万歳丸。転がったままの双剣に手を伸ばす。
「ま、こんなひょろっこい剣じゃ俺は…っグッ!?」
 突然言葉が途切れて思わず皆が振り返る。するとそこには手の平をぱっくりやられた万歳丸の姿があって、
「ちょっ、どういう事なの…」
 訳が判らないと言った様子でファリスが呟く。が、次の瞬間皆は否応なしにでもその理由を知る事となる。
 ふわりと剣が浮き上がり、風切る速さで次々にハンターらの間をすり抜け、隙あらば傷を負わせると、仲間を求めるかのようにその剣は自ら海に潜って、次に現れたのは新たな双剣使い…。
「おい、まさかあの剣も…」 
「歪虚、だったのか?」
 俄かに信じがたい事であるが、でもそうであるならば辻褄は合う。慣れない武器をいとも容易く使いこなし強くなった魚人。それは個人のポテンシャルではなく剣自身にも力が宿っていたからなのだ。
「へえ…面白くなってきたじゃんかよ」
 大振りのバスターソードと盾を構えながらジャックが呟く。
「あれは俺の獲物だぜェ」
 万歳丸もそれに感化されたように双剣の魚人を見据える。
「ああ…もう、男の人と来たら」
 村にもそういう者がいたのだろう、コロラが頭を抱える。
「殲滅するなら問題ないの。だから、頑張るの」
 ファリスも己の杖をしかと握って迎撃の態勢。彼女には些か似つかわしくない黒く不気味な杖であるが、その杖が秘めたる力は絶大だ。杖にはマテリアルが収束し、乗り込んでくる魚人にも備える。
「後少しです! 頑張りましょう!」
 コロラの弓が飛ぶ。戦いは予想以上の激戦となった。

●実態
 例え双剣使いとて、使い手は一人。
 だが、動きを見ればそれが一人であっても楽には勝てない事は察しがつく。
「うらっ、来いよ。こっちだぜ」
 堅牢を使ってジャックが双剣使いの気を引く。そして、連続攻撃を盾に向かって繰り出してきた時がチャンスと踏んだ彼であるが、二度の攻撃を受けて尚更に魚人のターンは続く。それに加えて、剣の歪虚の力が強いのか、熟練レベルのジャックとて真面に喰らえば致命傷になり兼ねない。盾で受けるにしてもうまく力を受け流す様に工夫して、隙を探しカウンターを狙う。
「こういう奴ァ豪快にいった方がァいいんだよっ」
 万歳丸もそう言い接近を試みるが、瞬天速をもってしてもなかなか難しい。それでも敵の隙をついて投げに持ち込む老龍大回天でせっていくが、巧みなステップで寸での所で掴み切れない。
 そんな訳でハンターらは自然と連携へと動きを移行していく。
 コーネリアとコロラが牽制射撃と威嚇射撃で魚人の行動を制限する。それに加えて、パティを禹歩を使い、出来るだけ致命傷を貰わないよう危機回避に努める。その援護の下でもう一度万歳丸とジャックが打って出る。
「おらおら、どうしたァ。こっちだぜェ」
 あえて挑発する様に万歳丸が立ち回る。もうこの頃には既に他の魚人は殲滅され、双剣使いしか残っていない。
 だが、最後になっても双剣使いは逃げを取らなかった。取りつかれたように剣を揮い、ハンターらをやらんと動く。その身体は疲労も痛みも全くもって感じてはいないようで万歳丸の挑発に応えて、双剣を合わせたまま前に突き出してくる。そうして、敵を捉え切れなかったと判ると合わせていた剣を左右に振り抜いて、間合いに入らせまいと攻めから一転、間合いを死守する動きを見せる。だが、その動きは既に何度も見ていたから予測は可能だ。それを見計らって、ジャックの後ろにいたファリスが動く。
「ここなのっ!」
 杖を掲げて発生させたのは風の刃…その刃が魚人の片腕を斬り落とす。それを見取って、コーネリアは剣に照準を合わせ、高加速連射で剣自体を粉々に破壊してゆく。
「こっちも手放しなぁ!」
 そこでジャックが前に出てもう片方の腕を切断。追撃のコロラの矢が刀身を砕きへし折る。
 後はもう丸腰になった魚人だけだ。それでも念には念を入れて、パティが万歳丸をサポート。五色光符陣で両手を失くした魚人の動きを止めて、そこまでされてはもう魚人に逃げるすべはない。
「因果応報――てめェの結びだ!!」
 魚人の腕を掴み、一本背負いの要領で魚人を甲板に叩き付ける。それに魚人は目を見開いたまま絶命する。
 そして、後に残ったのは悲しき魚人の亡骸の数々。甲板に残っている者は多くないが、海にも何体か浮かんで見える。
「完全に歪虚にはなっていなかったのかもしれませんね…それだけでも救いでしょうか?」
 コロラがぽつりとそんな事を言う。
「そうだな。そしてせめて海に還してやる事が一番だろうさ」
 ジャックはそう言うと双剣使いの骸を抱え上げ、海にそっと浮かべ沈みゆく遺体を見送る。
「しんみりしている場合か? まだ依頼は終わっていないだろう」
 そんな中でコーネリアが冷静に言う。後は少年を届ける。それが彼等の使命であった。

 戦闘時は流石にびくついていた少年ではあったが、船長室の窓からハンターらの戦いを見て彼は感化されたらしい。憧れる様な眼差しで皆に握手を求める。
「特に、コロラ! 凄いッ、弓カッコいい!」
 人魚であるからあまり弓とは縁がない筈だが、逆にその風切る武器に興味を持ったのかもしれない。
「あ~まあそれはそれとして、坊主。コレ、読めねェか?」
 興奮冷めやらぬ少年を宥めて、万歳丸が例の文字を見せ尋ねる。
「コレですか? えーと…そう言えば、長老の家ノ壁に、コンナノガ」
「長老さん? その方に会う事は出来るでしょうか?」
 文字が読めるのがその人物だけとは限らないが、判る一番の人物は彼と見てコロラが尋ねる。
「聞いテみます…待ッテテ…後、その…友達に、なってホシィなって」
 彼にとっては海以外での友というのは初めてで気恥ずかし気に付け加える。
「ええ、勿論。こちらこそよろしくね」
 それにコロラが率先して了承すると、他の面子も(約一名困惑する者もいたが)それぞれに握手を交して、
「そういや、俺海涙石で海底神殿に潜ったんだぜ? また体験したいもんだな」
 ジャックが言う。泳ぎのできる彼なら人魚らも歓迎してくれるかもしれない。
 その後、里に戻った少年人魚から長老に話は通り、彼を助けてくれたお礼にとその文字の意味を教えて貰い、ついには海図の謎が明らかとなる。
「そう言う事だったのね。暗黒海域を渡る鍵、それは…」
 イズがぎゅっと海図を握り締める。後は実践あるのみ――逸る心を抑え、彼女はひとまず港へと戻るのだった。

依頼結果

依頼成功度成功
面白かった! 6
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

  • 金色のもふもふ
    パトリシア=K=ポラリスka5996

重体一覧

参加者一覧

  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 新航路開発寄与者
    ファリス(ka2853
    人間(紅)|13才|女性|魔術師
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • パティの相棒
    万歳丸(ka5665
    鬼|17才|男性|格闘士
  • 弓師
    コロラ・トゥーラ(ka5954
    人間(紅)|28才|女性|猟撃士
  • 金色のもふもふ
    パトリシア=K=ポラリス(ka5996
    人間(蒼)|19才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/06/27 23:02:28
アイコン そーだんっ♪
パトリシア=K=ポラリス(ka5996
人間(リアルブルー)|19才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2017/06/29 21:20:48