ゲスト
(ka0000)
【繭国】薬草園の助手、猫の手になる
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/06/29 22:00
- 完成日
- 2017/07/04 21:54
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●薬草園
ジャイルズ・バルネは話を聞き終わったとき、仏頂面の目元の神経がピクリと動いた。
目の前では隣の村の代表者ナトリがおびえている。年齢もたいして変わらないはずだが、妙にびくつかれて迷惑である、ジャイルズにとって。
「お願いです! バルネ先生」
「……間に合わないのはそちらの責任」
「ぐぬ」
先ほどもやったやり取りを再び行った。
「領主に頼まれて……なら、君達がやるべき仕事だ」
「うっ」
「それが間に合わないなら、私に頼むより領主に延長を頼むか寝る間も惜しんでやるしかあるまい」
「最近晴れなかったために、作業が遅れてしまったのです。私どもも遅れるつもりなかった」
「それで私を頼る意味が分からない。薬草園としては村とは付き合いたい。できるなら手を貸してあげたいが、この時期、手助けをするほど余裕があるわけではない」
薬草園は主のジャイルズと助手のコリンだけが作業をする人間である。ユグディラが三匹いるが、作業としては近づく不審者を追い払うといったたぐいであり、直接作業をしていない。家畜は違う仕事を持っている。
ジャイルズは普段の仏頂面のまま彼を見つめる。先ほど言ったことは本心だ。ストレートすぎる本心だ。息を深く吐き、言葉を紡ぐ。
「……秘策を授ける」
「!」
「ハンターに頼め」
「……でも、作業中。説明をしている余裕がないんです。我々も刈り取りや精油作りなどの作業が!」
「それは私だって同じだ。村をあげての作業ができるそちらとは違う」
季節が変る前に薬草園の植物の剪定、肥料の追加、刈り取ったモノから増やせるものは増やすための処理など。
「知識がある者がいれば」
ナトリはうめく。
知識がある人物を派遣すればいいが、小さな町に住む魔術師の行動は読めないし、弟子の方は「リアルブルーですうう」と叫んでいた。もう帰っているかもしれないが、浮かれている気がする。
「コリンに行かせよう」
「……?」
「私の助手だ。蜜蝋のクリームなら作ったことある」
ナトリは感激して、礼を示すためにジャイルズの手を取ろうとしたがひっこめられてしまった。
「シロッポイ、コリンを呼んできてくれないか」
部屋の隅にいた猫は「了解」というように鳴き、後ろ足で立つと、外に出て行った。
「……ユ、ユグディラ!」
「住んでる」
「へええ」
近所に住む森があるわけではないため珍しい。
ノックのあとに扉が開く。
「ジャイルズさん、用ですか? あ、初めまして」
コリンは深々とナトリに頭を下げる。作業をしていたらしく、つなぎのズボンも手も土まみれだ。
カクカクシカジカと説明を受けてコリンは了解した旨を告げた。
●依頼
大きな町にあるハンターズソサエティの支部、職員のロビン・ドルトスは依頼をまとめる。
「まずは小さな町でコリン君を拾っていくこと……」
ユグディラ付きと記載がある。
「……あそこ、三匹住んでたっけ……こっちの町、僕が知る限りゼロ匹なんだよなぁユグディラの生息状況」
ロビンは呟く。幻獣が住む町……なんかうらやましい気がした。
「基本、道中は危険はないだろうけど用心だね。街道の状況は安定中だし」
なぜ、コリンを連れて行ってほしいかという依頼がついているかというと、馬に乗るのもまだ慣れていないとのこと。練習はしているが、もしもがあると振り落とされる危険性がある。
転移門経由で来るハンターが村まで行くには、小さな町を経由する。別段大きな手間は生じない。
「本筋がこっちだな。蜜蝋を使ったクリームを作るんだ……え? 20gの容器入りを100個と40g入りのを50個? ……あ、個数は多いかな……でも量は4キログラム……十分多いわ……」
人数があれば手分けしてやればいいため、丸一日もかからないだろう。
「にしても……どの作業が滞っていたんだ? ラベンダー精油なんて去年作っているはずだし」
ロビンは首を傾げた。
「……ああああ、そこから!? え、材料の調達!」
ハチの巣から蜜蝋を作るところからの依頼だった。滞った作業というのはハチを巣から追い出し、蜜蝋を作るという作業だったのだ。
「ハチ……刺されると危険か……頑張れ、ハンター!」
ロビンは小さく応援を言いながら、依頼の登録を完了させた。
ジャイルズ・バルネは話を聞き終わったとき、仏頂面の目元の神経がピクリと動いた。
目の前では隣の村の代表者ナトリがおびえている。年齢もたいして変わらないはずだが、妙にびくつかれて迷惑である、ジャイルズにとって。
「お願いです! バルネ先生」
「……間に合わないのはそちらの責任」
「ぐぬ」
先ほどもやったやり取りを再び行った。
「領主に頼まれて……なら、君達がやるべき仕事だ」
「うっ」
「それが間に合わないなら、私に頼むより領主に延長を頼むか寝る間も惜しんでやるしかあるまい」
「最近晴れなかったために、作業が遅れてしまったのです。私どもも遅れるつもりなかった」
「それで私を頼る意味が分からない。薬草園としては村とは付き合いたい。できるなら手を貸してあげたいが、この時期、手助けをするほど余裕があるわけではない」
薬草園は主のジャイルズと助手のコリンだけが作業をする人間である。ユグディラが三匹いるが、作業としては近づく不審者を追い払うといったたぐいであり、直接作業をしていない。家畜は違う仕事を持っている。
ジャイルズは普段の仏頂面のまま彼を見つめる。先ほど言ったことは本心だ。ストレートすぎる本心だ。息を深く吐き、言葉を紡ぐ。
「……秘策を授ける」
「!」
「ハンターに頼め」
「……でも、作業中。説明をしている余裕がないんです。我々も刈り取りや精油作りなどの作業が!」
「それは私だって同じだ。村をあげての作業ができるそちらとは違う」
季節が変る前に薬草園の植物の剪定、肥料の追加、刈り取ったモノから増やせるものは増やすための処理など。
「知識がある者がいれば」
ナトリはうめく。
知識がある人物を派遣すればいいが、小さな町に住む魔術師の行動は読めないし、弟子の方は「リアルブルーですうう」と叫んでいた。もう帰っているかもしれないが、浮かれている気がする。
「コリンに行かせよう」
「……?」
「私の助手だ。蜜蝋のクリームなら作ったことある」
ナトリは感激して、礼を示すためにジャイルズの手を取ろうとしたがひっこめられてしまった。
「シロッポイ、コリンを呼んできてくれないか」
部屋の隅にいた猫は「了解」というように鳴き、後ろ足で立つと、外に出て行った。
「……ユ、ユグディラ!」
「住んでる」
「へええ」
近所に住む森があるわけではないため珍しい。
ノックのあとに扉が開く。
「ジャイルズさん、用ですか? あ、初めまして」
コリンは深々とナトリに頭を下げる。作業をしていたらしく、つなぎのズボンも手も土まみれだ。
カクカクシカジカと説明を受けてコリンは了解した旨を告げた。
●依頼
大きな町にあるハンターズソサエティの支部、職員のロビン・ドルトスは依頼をまとめる。
「まずは小さな町でコリン君を拾っていくこと……」
ユグディラ付きと記載がある。
「……あそこ、三匹住んでたっけ……こっちの町、僕が知る限りゼロ匹なんだよなぁユグディラの生息状況」
ロビンは呟く。幻獣が住む町……なんかうらやましい気がした。
「基本、道中は危険はないだろうけど用心だね。街道の状況は安定中だし」
なぜ、コリンを連れて行ってほしいかという依頼がついているかというと、馬に乗るのもまだ慣れていないとのこと。練習はしているが、もしもがあると振り落とされる危険性がある。
転移門経由で来るハンターが村まで行くには、小さな町を経由する。別段大きな手間は生じない。
「本筋がこっちだな。蜜蝋を使ったクリームを作るんだ……え? 20gの容器入りを100個と40g入りのを50個? ……あ、個数は多いかな……でも量は4キログラム……十分多いわ……」
人数があれば手分けしてやればいいため、丸一日もかからないだろう。
「にしても……どの作業が滞っていたんだ? ラベンダー精油なんて去年作っているはずだし」
ロビンは首を傾げた。
「……ああああ、そこから!? え、材料の調達!」
ハチの巣から蜜蝋を作るところからの依頼だった。滞った作業というのはハチを巣から追い出し、蜜蝋を作るという作業だったのだ。
「ハチ……刺されると危険か……頑張れ、ハンター!」
ロビンは小さく応援を言いながら、依頼の登録を完了させた。
リプレイ本文
●村へ
村に向かう途中、小さな町でコリンとユグディラのチャを拾う。
ディーナ・フェルミ(ka5843)は玄関先でまずチャを抱き上げる。
「ハチミツと巣蜜と蜂の子とチャさまに会いに来たのー。元気? チャさまー」
ソナ(ka1352)も続いて声をかけた。
「コリン君もチャちゃんもお元気でしたか?」
「はい、先日はどうもありがとうございました。この通り元気です」
コリンは頭を下げる。
瀬崎 琴音(ka2560)は丁寧にお辞儀をする。
「初めまして……今回はよろしくお願いするね」
「こちらこそ」
コリンはぺこりと頭を下げる。
守原 有希弥(ka0562)は挨拶をすます。
「さて、現地で聞くこともありますし、早速出発しましょう」
「それはそうね。結構やること多いみたいよね……状況からすると」
マリィア・バルデス(ka5848)も同意した。
コリンは馬に独りで乗れなくはないが不安定とソナは聞いたため、上達のアドバイスができればと思っていた。この町から村までなら徒歩でも大した距離ではないため、ソナはコリンを馬に載せ手綱を引き歩く。
朝が早いため町自体静かだ。
町の外に出れば林の多い街道を歩く。鳥の声が賑やかであり、動物の気配もある。
動物以上の危険はないだろうが、もしもというとき、馬の速度をあげられないと危険ではある。
「まずはあちらに着いたら蜜蝋取りかららしいから……詳しいことは訊いたほうがいいですね」
有希弥はいくつか情報の不足が気になっていた。相手は大したことがないとしても依頼を受けた方は困る。
「道具も追加して借りられるか、聞かないといけないの」
ディーナはチャをかわいがりしながら告げる。
「そうか……一応マントは持ってきたのだが……防ぎきれないか」
琴音が借りられると聞き、安堵してつぶやく。
「そうね、借りられるなら借りたほうがいいわ。いくらスキルがあっても、普通に防いだほうがいいもの」
マリィアはうなずく。
しばらくして街道が交差したところに出た。コリンが道を示しそちらを進む。
「コリン君、緊張するのはわかります。馬に任せるといいこともありますよ」
ソナは指摘した。
「は、はいっ」
余計に緊張したため乗馬には時間がかかるかもしれない。
●分担
村に到着後、滞った作業を片付ける村人たちが働いているのが見えた。
村の主たる作物ラベンダーの畑では人が多く動いているし、土木作業も結構あるようだ。
依頼人ナトリを見つけるのもたらいまわし状態になったが、何とか挨拶を済ませた。そして、養蜂家と今日の作業場に案内してもらう。
「すみません、お昼ご飯は用意します」
ナトリは頭を下げると走って行った。
一行は作業小屋の様子を見た後、一番の難関の蜜蝋取りのために養蜂家の扉をたたいた。
顔を出したのは養蜂家の妻であり、説明をしてくれた。
「すみません、本当に……作業が滞っています。蜜蝋をとるのはこの辺りのをお願いします」
女性は巣箱を示す。作業が止まった理由は、天候が良くなかったのと、旦那がぎっくり腰、妻が風邪をひいたりと悪運の連鎖があったというのだ。
「ハチを出さないといけないんですよね?」
「はい、その件に関しては、新しい小屋に誘導していただければ」
有希弥に問われ、その手順を示す。
「あと、防護服はあるの?」
ディーナは首をかしげる。
用意された顔用の網等の防護服を手にハンターは作業開始となる。
「ぼくは知っているだけなので……」
「もしものことがあれば専門家もいるのですから安心ですよ」
ソナに言われてコリンはうなずいた。
「手順はおおよそわかりました。道具の消毒もいるようですし、ひとまず二手に別れましょう」
有希弥が告げる。
「チャさま、煮沸消毒一緒にしましょう」
ディーナがチャの手を挙げる。
「その前にチャに質問よ。【猫たちの挽歌】は使えるかしら? それでハチが怒ったときに抑えてもらうことは可能かしら」
マリィアの言葉にチャはぽかーんとした顔になった。
その顔は雄弁に語る。
「念のため答えてね。【猫たちの挽歌】は使える?」
「うにゃうにゃ、にゃーうにゃー」
猫語、通じない。身振り手振りと雰囲気から「無理」なのは伝わった。
「分かったわ、ありがとう。聖導士がいるんだもの、アナフィラキシーショックへの対策は十分できているものね」
チャがしょんぼりするため、マリィアが再度礼を言って頭を撫でた。
「チャさま、【旅人たちの練習曲】は使えるの?」
ディーナの問いかけにチャはキョトンとした後、少しの間の後、胸を張った。
「わー、それは頼もしいの。さ、煮沸消毒しよう」
ディーナがチャを連れて小屋に向かう。
「分担、異議はありませんか?」
有希弥の発言に異議はないようだ。
「僕、蜜蝋づくりを手伝いたい。ハチの巣って見たことないから……」
「まずはハチを追い出すところからですね」
琴音はそわそわし、ソナは手順を考える。
「そうなりますね」
コリンは緊張して言う。
「コリンは煮沸消毒手伝ってきてくれますか? 何かあったら指示をもらいに行くから」
有希弥に言われ、コリンはお辞儀をした後、小屋に入った。
●巣を取ろう
巣からハチを追い出し、巣を得る作業という一番の問題にとりかかる。
「消毒もかねてこれでいぶす……」
マリィアは植物を置きいぶす準備をする。
「刷毛を使ってハチをはがします」
ソナが準備をする。
「僕はどうしよう」
「引き出すことをお願いしてもいいでしょうか? あ、危険は伴いますが……」
「分かっているよ? 一応借りた物もあるし、いざとなったら……きみが治してくれるのだろう?」
琴音は微笑んだため、ソナは力強くうなずいた。
「さて、準備は整ったわけです……が、歪虚を相手にするより緊張するのはなぜでしょうか?」
有希弥は苦笑する。いざとなったら覚醒状態で逃げることすら考える。
「仕方がないわよ。私たち、専門家じゃないし」
マリィアが肩をすくめた。
さあ、ハチを追い出して巣を得る作業を開始した。
幸い、適度な戦いで済み、無事ハチの巣は入手した。
「……蜂蜜とるところからですね……」
「先が長いですね」
ソナに有希弥が応じる。
「ハチミツを分離する作業はこちらでします」
小屋から見ていたコリンが言う。
「準備は万端なのー」
「にゃー」
ディーナとチャも頭をのぞかせる。
「煮沸消毒は乾くのは早いの」
ディーナはにこにことチャを撫でた。
●蜜を取る
蜜をとるのは体力温存になっていたディーナが受け持った。ひたすら遠心分離機を回すだけだが、これが大変なため覚醒する。
「巣材舐めたいの……さあ、チャさま! こういうときに【旅人達の練習曲】を聞きたいの。たぶん仕事がすっごくはかどるの、お願い、チャさま」
ディーナがにこにこと頼む。
「にゃ、にゃあ、にゃあああ」
一応、何か歌ったようだったが、効果は怪しい。
この曲に聞き覚えがあったコリンははっとなる。
「ディーナさん……チャ、薬草園で練習していたかもしれません」
休憩中のハンターも「え?」と声が漏れた。
「つまり……使えないんだと思います、スキル……」
「……チャは勢いで使える宣言したわけね」
マリィアが苦笑して言った。
「にゃああああ」
チャは恥ずかしがっている動作をする。
「でも、チャちゃんは努力しているのですよね? これからなのですよね?」
ソナがなだめる。
「ま、スキルに頼らなくてもうちらだけでどうにかなります」
有希弥がチャを慰める。
「そうだね。ディーナさん、代わるよ?」
「お願いなのー」
琴音に交代してもらい、ディーナはチャを抱き上げた。
「さて、これが終わってからが本番……。蜜蝋取りの道具……特に木べらは使い分けないとまずいでしょう。ん? どうかしましたか?」
有希弥はハチミツを取り終えた巣を見たディーナとマリィアが微妙な表情をしているのに気づいた。
「ハチの子、忘れていたの」
「そういえば、ハチの巣と言えばいるってことよね?」
「楽しみだったの」
「常食としては悩ましいけど、食べられるなら食べてみてもいいかしらとは思ったわ」
有希弥はなるほどとうなずく。専門家に聞かねばならぬ状況。
「コリンくん、どうかしたのかい?」
琴音はハチミツを取り終えたところで問う。
「えと……」
冷や汗をかくコリン。
「何か失敗したのかな? 今のうちに言うほうが傷は浅いよ?」
琴音は諭す。
「ハチの子をとるのは秋だそうです」
「えええっ! 楽しみだったのに」
「……すみません」
「謝ることはないの。え、秋?」
「はい」
コリンはここに来る前に調べたことを告げる。ハチミツをとるのとハチを育てるのは同じところで行う。ハチミツをとるのを優先していたところを考えると、ハチの子は育ていないと想像ができる。
「ううう、楽しみが一つ消えたのー。チャさまああ、ハチミツは舐めたいのー」
ディーナがチャをむぎゅっとした。チャ逃げるに逃げられず、おとなしくもふられている。
「それは仕方がないわね。ハチミツこれだけあれば……一匙くらいいいんじゃない? 確認は問ってこようかしら」
ほっとしたような寂しいようなマリィア。
「さて、次は蜜蝋取りです。温度が大切なんですね?」
ソナが作業を促す。
「時間もかかるだろうし、今のうちに材料を計ったり、昼食作ったりしてもいいですね」
有希弥が言い、簡単に分担が出来上がった。
丁寧にまぜ、温度に注意をしていると、巣からいろいろなものが出てくる。
そうなると室内は異様な匂いが充満してくる。
「扉も開けっ放しにするわよ」
「……うううう、チャさまの鼻、曲がってる」
「こ、これは……博物館のようなにおい、強力版というべきなのか?」
マリィアが扉をあけに走り、ディーナはチャを連れてその開いた扉か飛び出し、琴音は持ってきたマントを口元に当てて簡易マスクとした。
「……ごみを取っていかないといけないですね。ガーゼでやるのが一番ですね……」
温度もあるため慎重に事を運ぶソナ。
●クリーム作り
作る量から材料を計算していく。
「結構な量ね……精油も最初に計っておくかしら?」
「いえ、粗熱をとるときにすればいいです。精油は熱で成分が壊れてしまいます」
マリィアは分かったと告げ、ひとまず1パーセントにする方法は手元の道具でどうするかだけは考えておく。
「湯煎……直火にしますか?」
ソナの問いかけにコリンは「どちらでも」という。
「温度調整を確実にできそうなら、直火でも問題ないです」
「なるほど。なら、僕たちがきちんと見ていればいいということだな」
琴音は湯煎をするのも難しいと感じていた。鍋の中に湯を入れ、鍋を入れるとして、それをひっくり返さない努力がいる。
「さあ、始めるの」
計量された材料を入れる。オリーブオイルと蜜蝋を鍋で混ぜやすい量で行う。
「暑いですから、休憩がてら外に出てください。ああ、水分を摂らないと熱中症一直線ですよ」
有希弥は仲間の様子を見る。
じわじわと熱を加えると、一度固まった蜜蝋も熱を加えることで溶け始める。
オイルとしっかり合わせていく。
「量が多いので結構大変ですね」
「覚醒すればいいの」
「……一理あるのかもしれません」
ソナは何とかそのまま混ぜるが、ディーナの助言を真剣に考える。
「料理という戦いだな……いや、料理ではなく……アイテム作りは戦いだ」
琴音は楽しそうにまぜる。手を動かしているとだんだんと材料が混ざる感触がわかる。
「混ざってきたかしら?」
マリィアが代わって混ぜる。力もいるが、丁寧にうまく混ぜる方法はないかと試行錯誤する。しっかり混ざるように手を動かす。
「そろそろ、火を止めますか? 下すとやけどの危険がありますからね」
有希弥が鍋の中を見て、火を止める。
「どのくらい温度下がるといいのかしら」
「量が多すぎてちょっと分かりにくいですが……割とすぐです」
マリィアは質問の後、量は多めであるため計算し精油を計る。
「開けたてのラベンダーの香りですね」
ソナはほっと息を吐き、ハンカチで汗をぬぐう。
マリィアがメスシリンダーを用いておおざっぱに入れてから、細かいところは調整する。
「開けたてだと違うのかしら?」
「植物なので産地や時期によっても違います。それでも、開けたときは先ほどマリィアさんが蓋をひねってぱっと香りが散ったみたいに、芳醇なものです」
「そうね」
ラベンダーの精油の効果なのか、仕事も終わりに近づいているためか、マリィアもほっと微笑む。
「しかし、だんだん匂いがしなくなってきたよ」
琴音は鼻を動かすが寂しくなる。
「それは鼻が慣れてしまうからです」
「そうなのか。ああ、確かに緑茶を淹れたときも、急須から出た瞬間は香るけれど、少しすると特に何もないね」
コリンの説明を聞いて琴音は自分の体験を重ねた。
「まだ混ざるうちなの。そろそろ限界かもしれないの」
ディーナが木べらを動かして告げる。
「では、入れるわよ」
マリィアは精油を流し込む。
「混ぜるの。あ、チャさまはそこで応援していてほしいの」
ディーナは動き始めたチャをけん制した。
「ではこちらは私が混ぜまずね」
ソナがもう一つの鍋の中を混ぜた。
そして、完成した――と思われる。
秤に載せて分けていくのが一番実は大変だったかもしれない。クリームが固まっていくのだから。
黙々と作業をし、蓋を占めれば終わる、というところまで行ったのだった。
●粗熱取りと食事
村人が提供してれたパンなども併せて、一行は休息をとる。
火を使っていたこともあり汗だくだ。
「暑かったね。でも、とても楽しかったよ。また、何かあったら手伝いたいな」
琴音は汗をぬぐいつつ微笑む。
「そうですね。頑張ったかいがあった……かはまだわからないのですね」
ソナはかたまるのかじっと器を見る。
「しっかり休んで、最後の締めに備えないとね。それにしても……鍛えているはずなのに、筋肉痛になりそうな気がするわ」
マリィアは必死にまぜていた時を思い出す。
「おいしい依頼楽しいの。もっとあるといいの。チャさまも楽しかった?」
ディーナに話しかけられ、チャはうなずいた。
コリンは気づいている、チャ自身楽しかったのだが、ディーナにうまい具合に振り回されて気づいたらすべてが終わっていると感じているのだろうと。
「……無事終わって良かったですね」
有希弥は作ったパンにハチミツを載せて頬張った。暑さと熱中で心地よい疲労を感じていた体に、ハチミツの甘さはしみわたっていった。
蜜蝋のクリームは完成した。
村人たちはひたすらお礼を述べる。
その見送りを背に、ハンターは帰路についたのだった。
村に向かう途中、小さな町でコリンとユグディラのチャを拾う。
ディーナ・フェルミ(ka5843)は玄関先でまずチャを抱き上げる。
「ハチミツと巣蜜と蜂の子とチャさまに会いに来たのー。元気? チャさまー」
ソナ(ka1352)も続いて声をかけた。
「コリン君もチャちゃんもお元気でしたか?」
「はい、先日はどうもありがとうございました。この通り元気です」
コリンは頭を下げる。
瀬崎 琴音(ka2560)は丁寧にお辞儀をする。
「初めまして……今回はよろしくお願いするね」
「こちらこそ」
コリンはぺこりと頭を下げる。
守原 有希弥(ka0562)は挨拶をすます。
「さて、現地で聞くこともありますし、早速出発しましょう」
「それはそうね。結構やること多いみたいよね……状況からすると」
マリィア・バルデス(ka5848)も同意した。
コリンは馬に独りで乗れなくはないが不安定とソナは聞いたため、上達のアドバイスができればと思っていた。この町から村までなら徒歩でも大した距離ではないため、ソナはコリンを馬に載せ手綱を引き歩く。
朝が早いため町自体静かだ。
町の外に出れば林の多い街道を歩く。鳥の声が賑やかであり、動物の気配もある。
動物以上の危険はないだろうが、もしもというとき、馬の速度をあげられないと危険ではある。
「まずはあちらに着いたら蜜蝋取りかららしいから……詳しいことは訊いたほうがいいですね」
有希弥はいくつか情報の不足が気になっていた。相手は大したことがないとしても依頼を受けた方は困る。
「道具も追加して借りられるか、聞かないといけないの」
ディーナはチャをかわいがりしながら告げる。
「そうか……一応マントは持ってきたのだが……防ぎきれないか」
琴音が借りられると聞き、安堵してつぶやく。
「そうね、借りられるなら借りたほうがいいわ。いくらスキルがあっても、普通に防いだほうがいいもの」
マリィアはうなずく。
しばらくして街道が交差したところに出た。コリンが道を示しそちらを進む。
「コリン君、緊張するのはわかります。馬に任せるといいこともありますよ」
ソナは指摘した。
「は、はいっ」
余計に緊張したため乗馬には時間がかかるかもしれない。
●分担
村に到着後、滞った作業を片付ける村人たちが働いているのが見えた。
村の主たる作物ラベンダーの畑では人が多く動いているし、土木作業も結構あるようだ。
依頼人ナトリを見つけるのもたらいまわし状態になったが、何とか挨拶を済ませた。そして、養蜂家と今日の作業場に案内してもらう。
「すみません、お昼ご飯は用意します」
ナトリは頭を下げると走って行った。
一行は作業小屋の様子を見た後、一番の難関の蜜蝋取りのために養蜂家の扉をたたいた。
顔を出したのは養蜂家の妻であり、説明をしてくれた。
「すみません、本当に……作業が滞っています。蜜蝋をとるのはこの辺りのをお願いします」
女性は巣箱を示す。作業が止まった理由は、天候が良くなかったのと、旦那がぎっくり腰、妻が風邪をひいたりと悪運の連鎖があったというのだ。
「ハチを出さないといけないんですよね?」
「はい、その件に関しては、新しい小屋に誘導していただければ」
有希弥に問われ、その手順を示す。
「あと、防護服はあるの?」
ディーナは首をかしげる。
用意された顔用の網等の防護服を手にハンターは作業開始となる。
「ぼくは知っているだけなので……」
「もしものことがあれば専門家もいるのですから安心ですよ」
ソナに言われてコリンはうなずいた。
「手順はおおよそわかりました。道具の消毒もいるようですし、ひとまず二手に別れましょう」
有希弥が告げる。
「チャさま、煮沸消毒一緒にしましょう」
ディーナがチャの手を挙げる。
「その前にチャに質問よ。【猫たちの挽歌】は使えるかしら? それでハチが怒ったときに抑えてもらうことは可能かしら」
マリィアの言葉にチャはぽかーんとした顔になった。
その顔は雄弁に語る。
「念のため答えてね。【猫たちの挽歌】は使える?」
「うにゃうにゃ、にゃーうにゃー」
猫語、通じない。身振り手振りと雰囲気から「無理」なのは伝わった。
「分かったわ、ありがとう。聖導士がいるんだもの、アナフィラキシーショックへの対策は十分できているものね」
チャがしょんぼりするため、マリィアが再度礼を言って頭を撫でた。
「チャさま、【旅人たちの練習曲】は使えるの?」
ディーナの問いかけにチャはキョトンとした後、少しの間の後、胸を張った。
「わー、それは頼もしいの。さ、煮沸消毒しよう」
ディーナがチャを連れて小屋に向かう。
「分担、異議はありませんか?」
有希弥の発言に異議はないようだ。
「僕、蜜蝋づくりを手伝いたい。ハチの巣って見たことないから……」
「まずはハチを追い出すところからですね」
琴音はそわそわし、ソナは手順を考える。
「そうなりますね」
コリンは緊張して言う。
「コリンは煮沸消毒手伝ってきてくれますか? 何かあったら指示をもらいに行くから」
有希弥に言われ、コリンはお辞儀をした後、小屋に入った。
●巣を取ろう
巣からハチを追い出し、巣を得る作業という一番の問題にとりかかる。
「消毒もかねてこれでいぶす……」
マリィアは植物を置きいぶす準備をする。
「刷毛を使ってハチをはがします」
ソナが準備をする。
「僕はどうしよう」
「引き出すことをお願いしてもいいでしょうか? あ、危険は伴いますが……」
「分かっているよ? 一応借りた物もあるし、いざとなったら……きみが治してくれるのだろう?」
琴音は微笑んだため、ソナは力強くうなずいた。
「さて、準備は整ったわけです……が、歪虚を相手にするより緊張するのはなぜでしょうか?」
有希弥は苦笑する。いざとなったら覚醒状態で逃げることすら考える。
「仕方がないわよ。私たち、専門家じゃないし」
マリィアが肩をすくめた。
さあ、ハチを追い出して巣を得る作業を開始した。
幸い、適度な戦いで済み、無事ハチの巣は入手した。
「……蜂蜜とるところからですね……」
「先が長いですね」
ソナに有希弥が応じる。
「ハチミツを分離する作業はこちらでします」
小屋から見ていたコリンが言う。
「準備は万端なのー」
「にゃー」
ディーナとチャも頭をのぞかせる。
「煮沸消毒は乾くのは早いの」
ディーナはにこにことチャを撫でた。
●蜜を取る
蜜をとるのは体力温存になっていたディーナが受け持った。ひたすら遠心分離機を回すだけだが、これが大変なため覚醒する。
「巣材舐めたいの……さあ、チャさま! こういうときに【旅人達の練習曲】を聞きたいの。たぶん仕事がすっごくはかどるの、お願い、チャさま」
ディーナがにこにこと頼む。
「にゃ、にゃあ、にゃあああ」
一応、何か歌ったようだったが、効果は怪しい。
この曲に聞き覚えがあったコリンははっとなる。
「ディーナさん……チャ、薬草園で練習していたかもしれません」
休憩中のハンターも「え?」と声が漏れた。
「つまり……使えないんだと思います、スキル……」
「……チャは勢いで使える宣言したわけね」
マリィアが苦笑して言った。
「にゃああああ」
チャは恥ずかしがっている動作をする。
「でも、チャちゃんは努力しているのですよね? これからなのですよね?」
ソナがなだめる。
「ま、スキルに頼らなくてもうちらだけでどうにかなります」
有希弥がチャを慰める。
「そうだね。ディーナさん、代わるよ?」
「お願いなのー」
琴音に交代してもらい、ディーナはチャを抱き上げた。
「さて、これが終わってからが本番……。蜜蝋取りの道具……特に木べらは使い分けないとまずいでしょう。ん? どうかしましたか?」
有希弥はハチミツを取り終えた巣を見たディーナとマリィアが微妙な表情をしているのに気づいた。
「ハチの子、忘れていたの」
「そういえば、ハチの巣と言えばいるってことよね?」
「楽しみだったの」
「常食としては悩ましいけど、食べられるなら食べてみてもいいかしらとは思ったわ」
有希弥はなるほどとうなずく。専門家に聞かねばならぬ状況。
「コリンくん、どうかしたのかい?」
琴音はハチミツを取り終えたところで問う。
「えと……」
冷や汗をかくコリン。
「何か失敗したのかな? 今のうちに言うほうが傷は浅いよ?」
琴音は諭す。
「ハチの子をとるのは秋だそうです」
「えええっ! 楽しみだったのに」
「……すみません」
「謝ることはないの。え、秋?」
「はい」
コリンはここに来る前に調べたことを告げる。ハチミツをとるのとハチを育てるのは同じところで行う。ハチミツをとるのを優先していたところを考えると、ハチの子は育ていないと想像ができる。
「ううう、楽しみが一つ消えたのー。チャさまああ、ハチミツは舐めたいのー」
ディーナがチャをむぎゅっとした。チャ逃げるに逃げられず、おとなしくもふられている。
「それは仕方がないわね。ハチミツこれだけあれば……一匙くらいいいんじゃない? 確認は問ってこようかしら」
ほっとしたような寂しいようなマリィア。
「さて、次は蜜蝋取りです。温度が大切なんですね?」
ソナが作業を促す。
「時間もかかるだろうし、今のうちに材料を計ったり、昼食作ったりしてもいいですね」
有希弥が言い、簡単に分担が出来上がった。
丁寧にまぜ、温度に注意をしていると、巣からいろいろなものが出てくる。
そうなると室内は異様な匂いが充満してくる。
「扉も開けっ放しにするわよ」
「……うううう、チャさまの鼻、曲がってる」
「こ、これは……博物館のようなにおい、強力版というべきなのか?」
マリィアが扉をあけに走り、ディーナはチャを連れてその開いた扉か飛び出し、琴音は持ってきたマントを口元に当てて簡易マスクとした。
「……ごみを取っていかないといけないですね。ガーゼでやるのが一番ですね……」
温度もあるため慎重に事を運ぶソナ。
●クリーム作り
作る量から材料を計算していく。
「結構な量ね……精油も最初に計っておくかしら?」
「いえ、粗熱をとるときにすればいいです。精油は熱で成分が壊れてしまいます」
マリィアは分かったと告げ、ひとまず1パーセントにする方法は手元の道具でどうするかだけは考えておく。
「湯煎……直火にしますか?」
ソナの問いかけにコリンは「どちらでも」という。
「温度調整を確実にできそうなら、直火でも問題ないです」
「なるほど。なら、僕たちがきちんと見ていればいいということだな」
琴音は湯煎をするのも難しいと感じていた。鍋の中に湯を入れ、鍋を入れるとして、それをひっくり返さない努力がいる。
「さあ、始めるの」
計量された材料を入れる。オリーブオイルと蜜蝋を鍋で混ぜやすい量で行う。
「暑いですから、休憩がてら外に出てください。ああ、水分を摂らないと熱中症一直線ですよ」
有希弥は仲間の様子を見る。
じわじわと熱を加えると、一度固まった蜜蝋も熱を加えることで溶け始める。
オイルとしっかり合わせていく。
「量が多いので結構大変ですね」
「覚醒すればいいの」
「……一理あるのかもしれません」
ソナは何とかそのまま混ぜるが、ディーナの助言を真剣に考える。
「料理という戦いだな……いや、料理ではなく……アイテム作りは戦いだ」
琴音は楽しそうにまぜる。手を動かしているとだんだんと材料が混ざる感触がわかる。
「混ざってきたかしら?」
マリィアが代わって混ぜる。力もいるが、丁寧にうまく混ぜる方法はないかと試行錯誤する。しっかり混ざるように手を動かす。
「そろそろ、火を止めますか? 下すとやけどの危険がありますからね」
有希弥が鍋の中を見て、火を止める。
「どのくらい温度下がるといいのかしら」
「量が多すぎてちょっと分かりにくいですが……割とすぐです」
マリィアは質問の後、量は多めであるため計算し精油を計る。
「開けたてのラベンダーの香りですね」
ソナはほっと息を吐き、ハンカチで汗をぬぐう。
マリィアがメスシリンダーを用いておおざっぱに入れてから、細かいところは調整する。
「開けたてだと違うのかしら?」
「植物なので産地や時期によっても違います。それでも、開けたときは先ほどマリィアさんが蓋をひねってぱっと香りが散ったみたいに、芳醇なものです」
「そうね」
ラベンダーの精油の効果なのか、仕事も終わりに近づいているためか、マリィアもほっと微笑む。
「しかし、だんだん匂いがしなくなってきたよ」
琴音は鼻を動かすが寂しくなる。
「それは鼻が慣れてしまうからです」
「そうなのか。ああ、確かに緑茶を淹れたときも、急須から出た瞬間は香るけれど、少しすると特に何もないね」
コリンの説明を聞いて琴音は自分の体験を重ねた。
「まだ混ざるうちなの。そろそろ限界かもしれないの」
ディーナが木べらを動かして告げる。
「では、入れるわよ」
マリィアは精油を流し込む。
「混ぜるの。あ、チャさまはそこで応援していてほしいの」
ディーナは動き始めたチャをけん制した。
「ではこちらは私が混ぜまずね」
ソナがもう一つの鍋の中を混ぜた。
そして、完成した――と思われる。
秤に載せて分けていくのが一番実は大変だったかもしれない。クリームが固まっていくのだから。
黙々と作業をし、蓋を占めれば終わる、というところまで行ったのだった。
●粗熱取りと食事
村人が提供してれたパンなども併せて、一行は休息をとる。
火を使っていたこともあり汗だくだ。
「暑かったね。でも、とても楽しかったよ。また、何かあったら手伝いたいな」
琴音は汗をぬぐいつつ微笑む。
「そうですね。頑張ったかいがあった……かはまだわからないのですね」
ソナはかたまるのかじっと器を見る。
「しっかり休んで、最後の締めに備えないとね。それにしても……鍛えているはずなのに、筋肉痛になりそうな気がするわ」
マリィアは必死にまぜていた時を思い出す。
「おいしい依頼楽しいの。もっとあるといいの。チャさまも楽しかった?」
ディーナに話しかけられ、チャはうなずいた。
コリンは気づいている、チャ自身楽しかったのだが、ディーナにうまい具合に振り回されて気づいたらすべてが終わっていると感じているのだろうと。
「……無事終わって良かったですね」
有希弥は作ったパンにハチミツを載せて頬張った。暑さと熱中で心地よい疲労を感じていた体に、ハチミツの甘さはしみわたっていった。
蜜蝋のクリームは完成した。
村人たちはひたすらお礼を述べる。
その見送りを背に、ハンターは帰路についたのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/06/27 23:39:14 |
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蜜蝋作りのご相談 ソナ(ka1352) エルフ|19才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/06/29 21:54:40 |