• 春郷祭1017
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【春郷祭】精霊に逢いたい!【血盟】

マスター:樹シロカ

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/07/07 22:00
完成日
2017/07/21 01:56

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 今年の春郷祭もそろそろ終盤という頃。
 人々が賑わうジェオルジ領主一族の館に向かう街道を、一台の魔導トラックが土埃をあげて疾走してきた。
 何事かと見つめる人々の前に停まったトラックから降りてきたのは、オレンジ色の髪を短く切った若い女。
 険しい表情で辺りを素早く見回すと、近くの男に早口で話しかける。
「楽しんでるところをごめんなさいね、バチャーレ村の村長を探してるの。どこにいるかわかるかしら」
 しばらくしてサイモン・小川(kz0211)が呼ばれてきた。
「マリナ! いったいどうしたんだ?」
「ああ、主任! ちょっと困ったことになったの、人手を……できればハンターをお願いしたいの」
 マリナ・リヴェールは眉間にしわを寄せ、『困ったこと』について語り出した。


 ジェオルジにはバチャーレ村という、サルヴァトーレ・ロッソの乗員が移住した村がある。
 マリナ・リヴェールは惑星開拓団の一員として乗り込んだ科学者のひとりで、地質調査の専門家だった。
 バチャーレ村に移住してからも、近くの山や平野を歩きまわり、移民たちが安心して暮らせるように調査を続けていたのだが、あるときひょんなことから精霊と遭遇したのだ。
 マニュス・ウィリディスという精霊は、村から川をさかのぼった山奥の祠に祀られていた。
 その際に、近隣のトナリー村の住人が道案内をしてくれたのだが、この村には皆の尊敬を集める長老がいた。
 一体何歳なのか分からないほどの年寄りだが、知識が豊富で、皆に様々な言い伝えや経験に基づく助言を与える存在だ。
 その長老がある日、ぼそりと呟いた。
「生きているうちに、一度でいいから精霊様にお会いしてみたいものじゃのう」

 皆に尊敬される長老のたっての望みとあって、村の屈強な男が長老を背負い、近くの地図を作成していたマリナの他、数人で精霊の祠を目指したのが今朝のこと。
 ところがそこで不思議な事が起こった。
 山道を歩く一行の前に、巨大な岩が隆起していたのだ。
「え? こんな岩、前にはなかったわよ」
 マリナが辺りを調べていると、長老を背負っていた男の叫び声が響く。
「うわ、うわあああああ」
 信じられないことに、男のすぐ傍に別の岩がいくつか現れたかと思うと、みるみる大きくなり、彼は長老を背負ったまま岩の向こう側に見えなくなってしまったのだ。
 驚いたマリナ達がどうにか大岩を這いあがり、男と長老がどうにか岩に囲まれた空間にいることを確認する。
 だが男は腕を負傷していた。


 マリナはそこまで一気に説明して、息をつく。
「私たちじゃどうしても助けられなくて。とりあえず水と食料だけ預けて、急いで山を降りて、ここまで来たのよ」
「岩が隆起、か……不思議なこともあるんだな」
 サイモンが唸ると、マリナはカッと目を見開く。
「不思議とかそういう次元じゃないわよ! 常識的に考えてあり得ないわよ!! あの辺りには断層もないし、地震の気配もなかった。ああでもひとつだけ分かったわ、あの緑色のトウモロコシ酒を見たときの主任の気持ちがね!!」
 物事には理由がある。
 事象を観察し、理由を推測するのが彼らの仕事だ。
 だがクリムゾンウエストの事象は彼らにとってあまりにも常識外れで、その『理由』はまるで意味不明だった。
「と、とにかく。長老様はお年を召していることだし、怪我人も心配だ。すぐに助けに行こう」
 サイモンはハンター達に渡りをつけてもらうべく、領主の館へ走って行った。


 風が心地よく吹きぬけ、鳥のさえずりが絶え間なく響いている。
 岩に囲まれていることを除けば、山の空気は静かで心地よかった。
 トナリー村の長老は、自分をかばった村人を気遣い、すぐ傍にちょこんと座っていた。
「わしは精霊様に歓迎されておらんのかもしれんのう」
 長老は、僅かにのぞく空を見上げ、さびしそうに呟いた。

リプレイ本文


 祭を楽しんでいたハンター達だったが、緊急事態の知らせに集まってくる。
 マリナの説明に、鵤(ka3319)はコップを片手にけらけら笑いだした。
「突然岩が生えるねぇ……おっさんついていけねえわぁ」
「笑いごとじゃないわよ!」
 マリナは眉間に皺を寄せ、鵤のコップをひったくると中身をあおる。当然、中身がアルコールと知ってのことである。
「いやいや、元からファンタジーじみた世界だったがねぇ、益々それっぽくなったじゃないの」
 この辺りはリアルブルー出身者の感想というところか。
 一方でノワ(ka3572)は目をキラキラさせながらマリナを見つめている。
「岩が隆起ですか……凄い、私もその場で見てみたかったです!」
 地殻変動か、あるいは未知の鉱物の力か。
 興味は尽きないが、閉じ込められた人のことが何より気にかかる。
 ウェスペル・ハーツ(ka1065)は双子の兄弟、ルーキフェル・ハーツ(ka1064)と顔を見合わせた。
「長老さんたちが大変なの! いそいでおたすけするなの!」
 ハンター達に頼まれ、サイモンは領主の館へ走って行き、傷薬や包帯、ロープ、その他必要そうなものをかき集めて戻ってきた。
「じゃあすみませんが、皆さん宜しくお願いします」
 慌ただしくトラックに乗り込むと、マリナがアクセルを踏み込んだ。

 街道からバチャーレ村の中もそのまま走り抜け、キアーラ川のほとりで車を降り、それぞれに荷物を担いで山へ入る。 
 ソアラ(ka6583)は山道を踏みしめながら、思わず呟く。
「おじーさん大丈夫かな……?」
「前に私たちが来たときは、こんなこと無かったんだけど」
 天王寺茜(ka4080)は並んで歩きながら、考え込んだ。
(精霊の祠でまた何か起きてるのかも。……大丈夫かな)
 茜は、あのとき歪虚に襲われていた精霊にまた何か良くないことがあったのではないかと案じていた。
 ほどなくして先頭のマリナが声を上げる。
「あれよ!」
 顔を上げ、茜は目を見開いた。
「ふわー……。これどう見ても自然な隆起じゃないですね」
 木々の間を縫って続く道が、巨大な岩で途切れていたのだ。
「すごいお。いっぱい木が倒れてるお……」
 ルーキフェルは小さな体を生かして、弟とふたりで辺りを探った。
 隆起物は岩を組み合わせたような形をしていて、その周りでは大きな木が何本も根をさらして倒れている。
 ウェスペルは慎重に岩に手をかけ、崩れないかを確認した。
「上にのっても大丈夫そうですなの」
 茜は頷き、ジェットブーツを身につけながら岩に向かって呼びかけた。
「えっと、聞こえますかー! 今から助けに行きまーす!」
 中からは村人らしい男の声が返事する。
「ありがとう、助かるよ!」

 ルーキフェルは岩に塞がれて見えない、道の先を見つめる。ウェスペルがそれに気付いて尋ねた。
「なにか気になるなの」
「精霊さんがやったのか、教えてもらえないかとおもったお」
 ふたりはお祈りするように両手を組み、精霊によびかける。
「中にけが人がいますお。手当てしたいから、お岩どかしてもらえませんかお」
 だが返事はない。
 そこでふと、ソアラが少し離れた場所で何やら荷物を開いているのに気付いた。
「ソアラはなにか気になるかお」
「え? や、だってたぶん精霊様なんでしょ? よくわからないけど、機嫌悪くしてるなら少しでも良くなって貰おうかなって」
 ソアラは岩の傍に大きな葉っぱを敷き、持参した肉とウイスキーを並べる。
「敵ではないんでしょ? 敬う心は忘れちゃいけないと思うし」
 三人は並んで両手を組み、精霊に祈りをささげた。
「さ、モタモタしてられないからね。救出を急ぐわよ」
「いそぐですお!!」
「いくですなの!!」
 双子はふんすふんすと鼻息荒く、気合を入れる。


 マリナの説明によると、自分たち一般人でも岩によじ登るのは何とかなったという。
 そして長老を背負っていた村人が、おそらく肩を脱臼している。長老と彼は自力で脱出するのは難しい。
「2mとはいえ、ロープで持ちあげるだけじゃ不安定ですから、これを使いましょう!」
 ノワはうさぎのきぐるみを引っ張りだす。着ぐるみに包まった上でロープをかければ、多少岩にぶつかっても酷い怪我をすることはないだろう、というわけだ。
「あー、おっさんのも使うかい? ほらアレだ、緊急事態ってやつだからな」
 鵤がくっくと笑いながら、まるごとのーむの着ぐるみを追加する。それらを毛布と一緒にロープで結わえて、ジェットブーツを使う鵤と茜が岩の上へと運ぶ。
「よかった! そんなに酷い怪我じゃないみたい」
 茜は中のふたりの様子を確認して、ひとまずは安堵した。だが中は狭く、作業は難しい。
 そこでルーキフェルとウェスペルが中に入ることを申し出た。
「うーたちなら小さいから大丈夫なの」

 ふたりはロープをつたいながらもぐりこみ、長老にミネラルウォーターを渡し、うさぎのきぐるみを着せる。
「えっと、おじさんの怪我は……」
 村人の怪我に、ウェスペルは悩む。実は取っておきの薬があるのだが、若干説明文に不安があった。
 鵤が岩の上でしゃがみ込み、声をかける。
「あー、ウェスペル、怪我人をこっち向けてくれい。そうそう、そこでいい」
 エナジーショットなら届く距離だった。すぐに動くようになった腕を、村人は不思議そうに動かしている。
 ノワは着ぐるみと毛布でくるんだ要救助者に、ロープをかける方法を教える。
「ロープはわんちゃんのハーネスのような形状を作って。下の輪部分に座っていただいて、上の輪部分から腕を出していただくんです。座る部分に毛布などを巻いておけば体への負担も少なくなると思います!」
「ちょっとの間だけ我慢してね! いざとなったら手は使えるけど、なるべく身体につけておいたほうがいいわ」
 ロープの端を握った茜が、幾度か引っ張って強度を確認する。ロープは丈夫な木の枝にひっかけてあり、地上に落ちた端をソアラとノワ、そしてマリナとサイモンが掴んだ。
「お手伝いしましょう」
「お願いしますね!」
 ノワは嬉しそうに笑うが、実際サイモンがどれほど戦力になるのかはかなり疑問だ。
 ゆっくりロープを引き上げると同時に、ルーキフェルとウェスペルが長老の身体を押し上げる。
「おお、こりゃ小さい子が、すまんのう……」
「るーたちは力もちですお! しんぱいないですお!!」
「いきますなの! ふおー!!」
 顔を真っ赤にしてふんばる双子を、鵤がくわえ煙草で面白そうに眺めている。
「おー、えらいねぇ。おっさんに何かあったときも頼むわ」
 一応、万が一岩にぶつかりそうになった時のために気を配ってはいるのだが、余りそう見えないのが残念なところ。
 だがこうしてどうにか、長老と村人を岩の外に連れ出すことに成功した。


 ノワは、疲れてぐったりしている村人に水を飲ませ、長老に声をかける。
「大変でしたね! でも少しくらい困難があったほうが、精霊さんに会えた時の感動はひとしおじゃないですか?」
「どうじゃろうなあ。もう皆にさんざん迷惑をかけたことじゃし、精霊様がお望みでないなら失礼しようかと思うんじゃ」
 長老は禿げた頭をつるりと撫でてふぉっふぉと笑った。

 ノワは考え込む。
 この近くには、以前遭遇したマニュス・ウィリディスという地精霊の祠がある。
 彼女が岩を隆起させるという力技が可能かどうかはわからないが、いずれにせよ精霊の仕業ではないか。
(もしかしたらマニュスさんに何かあったとか……それとも『自分に会いにきたければこの試練を超えてこい』とか、そういうことでしょうか?)
 いずれにせよ、ここにいてもわからないなら、行くしかない。
「では、マニュスさんに確認しに行きましょう!」
 茜もノワの意見に賛成した。
「私たちが会ったマニュスさんは、人の祈りで名前と形を持ったと言ってました。精霊様に会いたいって一心に願ってる、お爺さんを拒むはずないわ」
 だからこそ、何か事情があったのではないかと茜は懸念しているのだ。
「マリナさん、サイモンさんはここで待っていてもらえますか。私達で祠に行って、確かめてきます」
 岩を迂回して、山中の道なき道を行くのは、一般人には難しい。この前のような歪虚に襲われたら、ハンター達も守りきれないかもしれない。
 鵤も腰を上げる。
「精霊ちゃんと共存共栄、大変結構でないのぉ?  何か言いたいことがあるなら伝えてやるから、長老には会っておけばってぐらいはいってやろうかね」

 結局、ソアラと双子は護衛のためにその場に残り、茜とノワと鵤が祠へ向かった。
 ソアラは長老が、こんな状況でも毛布の上でちょこんと座って穏やかに微笑んでいることに興味を覚えた。
「長老様は、今までにもこんな経験があったりするのかしら?」
 皆に尊敬される長老というだけあって、肝が座っているのかもしれないが。もしかしたら、とも思ったのだ。
「ふぉっふぉ。地面から生えた岩に閉じ込められるなど、早々あるものではないのう」
「失礼だけど、その割には落ち着いていらっしゃるし。昔は結構、強かったとか?」
「いやいや。ただ本ばかり読んでおったので、古い言い伝えなどは他のものよりはちいとばかり詳しいかもしれんのう」
 ルーキフェルが身を乗り出した。
「そういえば、ここはどうしてマニュスさまを祀ってますかお? 古いご本には書いてありますかお?」
「さあて……昔は、鉱山に入る前にお参りしていた祠があったという話じゃが。わしのひい爺様の生きておった頃にも、もう鉱山は閉鎖されておったようじゃで……おおそうじゃ、精霊様のことは、直にお会いしたお前様たちのほうが良く知っているのではないかの?」
 長老は道案内の村人から精霊の話を聞いて、自分も精霊に会ってみたいと思うようになったのだと言った。

 ルーキフェルもうんうんと頷いて、隣に座るウェスペルに顔を向ける。
「うーは会ったけど、るーは会ったことないお。るーも会ってみたくなりましたお」
「マニュス様の祠はすぐ近くなの。だからいきなり岩が出てきたことも関係あるかもしれないなの。でもマニュス様は、いじわるする精霊ではないと思うの……」
 そこでウェスペルは長老をじっと見つめる。
「あの、長老さんは、本当にマニュス様に会ったことはないなの? ながーく生きてたら、うんと小さいころに会ったりしてそうなの」
 もし今回の事件を起こしたのがマニュスで、理由があるとしたら。
 長老が自分のことを忘れていることを拗ねているのではないかと思ったのだ。
「やっと一緒に遊べるって思ったら、お友達を怪我させちゃって、どうしようって困ってるかもしれないなの……」
 だが長老は首を横に振る。
「わしの聞いた話が間違っておらなんだら、その精霊様は何百年も眠っておいでだったのじゃろう?」
 マニュスだけでなく、精霊の姿が見られるようになったのはつい最近のことだ。長老が会えるはずはなかった。
「ルーキフェル坊も一緒に、お会いできればいいがのう。……また岩が出てきたりせなんだらいいのじゃが」
 長老は少し心配そうに、祠の方角に目をやった。


 長老の懸念は当たらずとも遠からず、というところだった。
「マニュスちゃんてば、なんかご機嫌斜めかねぇ?」
 鵤が座り込んで頭を掻いた。
 目前には、大きな岩が転がっている。
「あっ、でも祠はもうすぐですよ!」
 茜が元気よく岩を飛び越える。
「すごいです! 岩が隆起するところが見られましたよ!」
 ノワは探究心が満たされ、余り不満もなさそうだ。
「若さがまぶしいってこういうことー? おっさんにはつらい道のりだわぁ」
 ぶつぶつ言いながら鵤も岩を越えていくと、ようやく見覚えのある場所に出た。木々が開けたところに、岩を組み合わせた祠がある。
 茜が周囲を注意深く見渡す。特に怪しい気配もない。
 そこで祠にむかって呼びかけてみる。
「えっと、お久しぶりです! マニュスさん、いらっしゃいますか?」
 祠は静まり返っている。
「こんにちは、ノワです! 岩がぐんぐんでてくるの見ました、すごいです! あれってマニュスさんですか?」
 ノワが興奮気味に語りかけると、祠の上にぽうっと小さな光が浮かび上がる。
「当たり前じゃ。誰にでもできる技ではないわ」
 光は高さ1mほどの小さな人型を取った。妙齢の女性の姿になったマニュス・ウィリディスは、そっぽを向いている。
「すごいですー!」
 手を叩くノワの横から、鵤が口を出す。
「マニュスちゃん、お陰でおっさんたち大変だったのよ? あとさ、なんかあったかと思って心配したんだよー?」
「礼儀を怠る者には相応の報いがあろうぞ」
「……はい?」
 マニュスはこちらを見て腕組みしていた。
「汝らは我ら精霊をなんと心得るか」

 つまり、マニュスは拗ねていたのだ。だが理由は、ロマンチックとは程遠いもので。
 精霊にお手軽に会おうとする根性が気に食わん……ということらしい。
「追い返そうかとも思うたが、酒と肉に免じて目通りは許す。なれど、汝らが浮かれて騒ぎおるに、充分な供物もなしとは無礼であろう」
 春郷祭の華やぎは山にも届いていたようだ。
 もしかすると古い時代の鉱夫たちは、祭の頃には揃ってお参りに来ていたのかもしれない。
 精霊の感覚は、人とは違う。
 マニュスは人に対し好意的な精霊ではあるが、祀ることで恩恵を受けられるとすれば、逆に放っておけば災いをなすこともありうるということだ。
 とにかく岩の一部は崩れ、長老たちも祠までやってくることができた。
 散々な目にあったが、長老は初めて見る精霊の姿に大いに感動したという。
「有難や……今後は必ず、祭にはお参り致しますじゃ」
「その言葉、忘れるでないぞ」
 だが、それよりも前に面倒くさいことが控えていた。
 一同が帰ろうとしたところ、マニュスが小さな欠伸をしながら言ったのだ。
「我は疲れたゆえ、残りの岩は汝らで片づけておくが良い」

 山道の途中で、茜が小さく笑いながら言った。
「精霊って、本当は寂しがり屋さんなのかもしれないね」
「いやー、それにしてもやりたい放題だねぇ。あともしかして、散らかすだけで片付け下手?」
 鵤はけらけらと笑った。
 人間の期待通りには力を使ってくれそうもない精霊には、せいぜい大人しくしてもらうのが一番ということだ。
「ソアラさん、これは持って帰っていいと思います!」
 ノワがソアラにお供え物を渡す。
「え? でもお供えしたんだけど」
「精霊さんは、お肉を食べるわけじゃないなの」
 ウェスペルは以前の依頼を思い出していた。
 ルーキフェルは精霊に会えて満足そうだ。
「精霊さん、小さいけどきれいだったお。またあいたいお」
「またあいに来るなの」
 そこでルーキフェルはあることを思い出し、真顔になる。
「……その前に岩だお」
 半ば崩れた岩山を見つめ、ハンター達は溜息を漏らすのだった。

<了>

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参加者一覧

  • がんばりやさん
    ルーキフェル・ハーツ(ka1064
    エルフ|10才|男性|闘狩人
  • がんばりやさん
    ウェスペル・ハーツ(ka1065
    エルフ|10才|男性|魔術師
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • ドキドキ実験わんこ
    ノワ(ka3572
    人間(紅)|16才|女性|霊闘士
  • 語り継ぐ約束
    天王寺茜(ka4080
    人間(蒼)|18才|女性|機導師

  • ソアラ(ka6583
    ドワーフ|18才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼の相談スレッド
天王寺茜(ka4080
人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/07/07 10:26:33
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/07/03 03:32:09