ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】はもう終わりました?
マスター:龍河流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/07/07 22:00
- 完成日
- 2017/07/23 20:25
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
自由都市同盟、だいたい短くして同盟と呼ばれている国というか地域というか、まあそんなところの中に、ジェオルジがあります。
ジェオルジは農業で世界征服を企んでいる! と噂されてはいませんが、そんなことを考えていそうな、食べ物をたくさん作っているところです。
領主さまと村長さん達が色々相談して決めるので、春と秋に会議をしているそうです。
まあ、普通の人には会議より、その後のお祭りが気になるところでしょう。
ちなみに、領主さまのお名前はセストさん。若くてぴちぴちした男の人です。お母さんとお姉さんと一緒に、毎日頑張ってお仕事しているそうですよ。
じゃあ、お父さんはどうしたの?
別に死んでません。生きてます。
病気でもありません。めちゃくちゃ元気です。
昔は領主さまでしたが、どっちかというと奥さんの方が頑張っていたと噂です。これは、ほんとのこと。
そんなお父さんは、
「まったく、あの人は自分のことばかり」
誰かそう言ったのか知りませんが、セストさんのお父さんのルーベンさんは、自分の好きなことをやりたい人でした。
もうちょっと言っちゃうと、好きなことだけをやりたい人だったのです。会議の時も、いたんだかいないんだか。
そんなルーベンさんは、ジェオルジのとあるところに農場をつくっていました。
働いているのは、あちこちから集まって来た若い人たち。毎日、植物をあれしたりこれしたりしています。
時々変な植物を作ってしまいますが、作った植物を売ったり、それを加工して商品にしたりもしているようです。
ここは、マッドな園芸と農業の研究家たちの巣窟なのでした。
そのマッドなギリビッツォ農場の人達が、ジェオルジのお祭り跡地にやって来たのは、まさにお祭り後のこと。
「あっれー、もう終わってる」
「いいんじゃない? 参加は次回でしょ」
「ルーベンさんに、色々聞いておこうね。あとお金貰わないと」
「そう、お金お金」
ギリビッツォ農場のマッド研究家の人々は、ルーベンさんを訪ねてきたところ。
次のお祭りから、農場で作っている品物を売りに来ようと考えたので、手続きの仕方などを訊きに来たのです。
ついでに、いえ、もっと大事なのはお金。研究資金。自分たちの食べ物なんてどうでもいいから、新しい研究をするためのお金です。
ルーベンさんに預けてある、農場から売り出した諸々の代金を貰わずには帰れません。
そのお金はセストさんから貰うことが出来ましたが、ルーベンさんがいません。約束していたと思うのですが、どこかにお出掛けしてしまったらしく……
ハンターオフィスに、まったく困ったようすはないけれど、困っているらしい人達がやってきました。
「さとまつり、でしたっけ? ああいうところにお店を出す時の方法を教えてもらおうと思って」
その笑顔は、勉強しに来たというより、教えてもらって楽しようって感じでしたよ。
ジェオルジは農業で世界征服を企んでいる! と噂されてはいませんが、そんなことを考えていそうな、食べ物をたくさん作っているところです。
領主さまと村長さん達が色々相談して決めるので、春と秋に会議をしているそうです。
まあ、普通の人には会議より、その後のお祭りが気になるところでしょう。
ちなみに、領主さまのお名前はセストさん。若くてぴちぴちした男の人です。お母さんとお姉さんと一緒に、毎日頑張ってお仕事しているそうですよ。
じゃあ、お父さんはどうしたの?
別に死んでません。生きてます。
病気でもありません。めちゃくちゃ元気です。
昔は領主さまでしたが、どっちかというと奥さんの方が頑張っていたと噂です。これは、ほんとのこと。
そんなお父さんは、
「まったく、あの人は自分のことばかり」
誰かそう言ったのか知りませんが、セストさんのお父さんのルーベンさんは、自分の好きなことをやりたい人でした。
もうちょっと言っちゃうと、好きなことだけをやりたい人だったのです。会議の時も、いたんだかいないんだか。
そんなルーベンさんは、ジェオルジのとあるところに農場をつくっていました。
働いているのは、あちこちから集まって来た若い人たち。毎日、植物をあれしたりこれしたりしています。
時々変な植物を作ってしまいますが、作った植物を売ったり、それを加工して商品にしたりもしているようです。
ここは、マッドな園芸と農業の研究家たちの巣窟なのでした。
そのマッドなギリビッツォ農場の人達が、ジェオルジのお祭り跡地にやって来たのは、まさにお祭り後のこと。
「あっれー、もう終わってる」
「いいんじゃない? 参加は次回でしょ」
「ルーベンさんに、色々聞いておこうね。あとお金貰わないと」
「そう、お金お金」
ギリビッツォ農場のマッド研究家の人々は、ルーベンさんを訪ねてきたところ。
次のお祭りから、農場で作っている品物を売りに来ようと考えたので、手続きの仕方などを訊きに来たのです。
ついでに、いえ、もっと大事なのはお金。研究資金。自分たちの食べ物なんてどうでもいいから、新しい研究をするためのお金です。
ルーベンさんに預けてある、農場から売り出した諸々の代金を貰わずには帰れません。
そのお金はセストさんから貰うことが出来ましたが、ルーベンさんがいません。約束していたと思うのですが、どこかにお出掛けしてしまったらしく……
ハンターオフィスに、まったく困ったようすはないけれど、困っているらしい人達がやってきました。
「さとまつり、でしたっけ? ああいうところにお店を出す時の方法を教えてもらおうと思って」
その笑顔は、勉強しに来たというより、教えてもらって楽しようって感じでしたよ。
リプレイ本文
●やる気はどこですか?
トルステン=L=ユピテル(ka3946)さんは、こう思っていました。
「駄目だ、こいつら」
思っていることが口からだばーっと漏れましたが、それも仕方がありません。
ギリビッツォ農場の研究者さん達ときたら、ハンターさん達が来てくれただけで安心して、なにもかもお任せするつもりになっていたのです。
ハンターさん達はお手伝いに来ただけで、商品を売るのは自分達だと忘れているのではないでしょうか。トルステンさんは、それがとっても心配です。
そ れ と !
「パティは、そっちに混ざってんじゃねーよ! 他も!」
リアルブルー時代の同級生パトリシア=K=ポラリス(ka5996)さんことパティちゃんが、すっかりティータイムしているのも気に入りません。
あと二人、ソナ(ka1352)さんと星野 ハナ(ka5852)さんも、お茶を飲みながら研究者さん達とお話をしています。
「あれ、ステン、お茶なくなっちゃっタの? 新しいの、淹れヨウカ?」
「まだ、ある」
もちろんトルステンさんにも、お茶はご用意されていました。仲間はずれで怒っているのではありません。
研究者さん達のやる気が、どこかに逃げ散っているので、腹が立つのです。
「マジウンザリ……」
それはそうでしょう。
しかし、他の三人のハンターさん達も、やる気がない訳ではありません。
「やればできるなんて、ただの精神論ですぅ。あなた達に無理なのは、試すまでもなく分かっているのでぇ、無理は通さずに代替手段を探しますよぉ」
「わーい、鬼指揮官だー」
自己紹介をするついでに、お茶でも飲みながら親睦を深めるとかなんとか……確か、パティちゃんが言いだしたのでお茶会をしていた皆さんですが、お仕事のお話だってしますとも。
特にハナさんは、今回売り出しを予定しているルージュオブランの加工品を作るお仕事にも協力したので、研究者さん達からとても頼りにされていました。それをトルステンさん風に言いかえると、自分達でやる気がない、になります。
それにしたって、鬼指揮官とはどういうことでしょうか。言った人は、ハナさんに拳骨を喰らっていますけれども。
「なんだか皆さん、とても嬉しそうですけれど……どうして鬼指揮官なんですの?」
言葉のわりに、研究者さん達が『ひゃっほー』な感じなので、ソナさんが不思議そうにしています。パティちゃんは、前の依頼の時に何があったのか興味津々。トルステンさんは肘をついて、素知らぬ顔でお茶を飲むことにしましたか?
「適材適所を、厳しく教えただけですぅ。この人達の頭にはぁ、商売って言葉はそもそも入ってないんですよぅ」
ものすごい言われようなのに、研究者さん達は平気です。
ハナさん提案の、『店舗展開するなら、店員は経験者を雇用。裏方業務は研究者達が行い、経費削減を図る』という展開にも、大賛成でした。
研究者さん達は、とにかく植物を弄っていたいのです。おしべやめしべとたわむれたり、種が発芽するまでの観察をしたりするのは楽しくて仕方ありませんが、商売とは未知の領域でしかありません。つまり、やりたくないのです。
専門家の起用、万歳。
「すでに分かってたけど、ホントにやる気ねぇな……芸術家にも、こういうの良くいるけどさ」
トルステンさん、芸術家さんには色々お知り合いがいるのでしょうか。なにやら頭の中で、『こういう人達』が次々思い出されてしまったようです。
きっと、何か苦労したこともあるのでしょう。自分の専門分野しか興味がないとか、人の気持ちに鈍い人とか、ホントに困ります。いやもう、ほんとに……
トルステンさんがちょっと遠い目になっていたら、パティさんがにこやかにこう言いました。
「パティもめんどくさいのキライ。ダカラ、ステキな助っ人さんを探して、お願いするのはイイよね~」
それでいいのか、ちょっと、いえ、かーなーり心配になりますが、研究員さん達はやるべきことが一つ分かって、喜んでいます。
「でしたら、秋の郷祭までの予定表を作って、誰が何をするのかも決めてしまって、直前に慌てないように準備しましょう。あとは……」
ソナさんが具体的な計画を出してくれたので、また喜んでいますが、ハナさんとトルステンさんが気付きました。
「メモはどうしましたかぁ? 書かない子は、おやつ抜きにしちゃいますからぁ」
「ちゃんと一人ずつ、自分用に記録を取れよ。箇条書きでシンプルに、あと、他人に読ませることも考えて読みやすく。分かったか!」
研究者さん達はトルステンさんより年上ですが、知ったことではありません。ビシバシいかないと、お仕事をするのはハンターさん達だけになりかねないのです。
「じゃ、下調べや細かい準備があるから、ざっと班分けして」
「はい! ステンにはPRソングをお願いしマショ!」
ビシバシしていたトルステンさんに、パティさんが突然のお仕事をぶつけてきました。
「まあ。音楽があれば、印象がぐっと上がりますね」
「お願いできますぅ?」
音楽家の苦労を考えてくれるような人は、残念ながらここにはいなかったのです。
●傷は小さな方がいいのですぅ
ハンターさん達と研究者さん達で分けたお仕事は、大体三つ。
まず、秋の郷祭の日程と楽市の申し込み方法を確かめに行きます。ついでに、今回の楽市に集まった人の数や良く売れた商品も訊かねばいけません。
それとは別に、ギリビッツォ農場の商品の内容を説明するものが必要になります。これは実際の使い心地を確かめてから、考えるといいでしょう。
最後に、そうやって考えた説明をチラシや看板にして、お店らしく出来るようにする準備が大事です。商人さん向けと普通の人向けの二種類があると、とってもいいですね。
「それじゃ、最初から始めましょぉかぁ」
ハナさんは研究者さん二人と、ジェオルジの商人ギルドさんを訪ねることになりました。秋の郷祭や楽市の時期を確かめて、申し込み方法を教えてもらうのです。
もちろん、ハナさんも研究者さん達も聞いたことをメモするための筆記用具を持っています。ハナさんが、持ってきなさいと怒ったとも言います。
こちらの皆さんは、商人ギルドの人から楽市の実行委員さんの住所を聞いて、一番近くの人に色々と訊きに行く予定でした。でも、ちょうどいいことに実行委員さんをしていた商人さんがいたので、ちょっと楽が出来ることに。
では、必要なことを訊いていきましょう。ハナさんは、最初は後ろで見ていることにしました。
「ええと、なんだっけ?」
「申し込み方法と開催期間と費用」
「そっか。質問してもいいですか」
研究者さん達は、ハナさんと同じくらいの歳の男の人と女の人。質問を指折り数えていたりするので、実行委員さんは笑ってしまっています。
それでもなんとか、次の開催予定日と申込期間と掛かる費用、それから途中で思い出した借りられる場所の広さを訊くことが出来ました。ふうやれやれ。
ここからは、ハナさんの出番。
「あとぉ、出来ればこの春の人出と人気商品を教えていただいてもぉ?」
「うーん、そういう統計は取ってないんだが」
楽市で出されている商品は沢山あり過ぎて、これと目立つ人気商品はないそうです。けれども食料品や日用品のおしゃれなものは、けっこう売れやすいとか。
それと、やはり看板やのぼりなどで目立つのと、何を売っているのか分かりやすいところが人も立ち寄ると教えてもらったところで、研究者さんの一人、クレートさんが突然質問を追加したのです。
「商品搬入は開催何日前から可能ですか? 倉庫に預けることは出来ますか?」
これにはハナさんも、いいところに気付いてくれたとほめちゃいます。
そうしたら。
「僕の実家、酒問屋なんです。よくこういう話をしてました」
思い出したので訊いてみたと、結構適当な理由でしたが……
「そういう大事なことぉ、どうして先に言わないんですかぁっ!」
ハナさん、心からの叫びでした。
身内の商売人、もしかしたら頼れるかもしれません。これは素晴らしい情報です。
●スケジュールは大事です
一つの植物から、多彩な製品が生み出されています。
アイデア出しは以前の依頼でハンターさんに頼ったおかげらしいものの、ソナさんはルージュオブランの可能性に感激していました。こんな素晴らしいものがあると、沢山の人に知ってもらいたいではありませんか。
そんなソナさんの担当は、秋の楽市までのスケジュールを決めることです。やることはたくさんあります。
「最初に、商品を十分に用意しなくてはいけません。今は各商品をどのくらいずつ生産しているのですか?」
「……足りなそうなのを、手が空いた時に?」
いきなり、つまづきました。こんな適当なことでは、短期間でもお店を出すのは難しいでしょう。
更に確かめたら、在庫確認もちゃんと出来ていないことが分かりました。
「では、まずは商品の一覧を作成して、そこに楽市までの生産目標数と在庫を書く欄を作ってください」
テーブルに大きな紙を広げて、研究者さん達に表を作ってもらいます。まだ数字のところは真っ白ですが、後で皆さんと考えることにしましょう。
次は予定表を作らねばいけません。誰がいつ、なんの作業を済ませておくのか。それと一緒に、お店を出す時の作業一覧も……
とやっていたら、研究者さん達がお疲れのようです。早すぎます。しかし、ここで続けても頭に入らないでしょう。
「後で皆さんとご一緒にと思いましたけれど、商品の説明を考えるのに、試食や試用をしましょうか」
研究者さん達は、商品を作っているのに使っていない人が多いので、使い心地や味をちゃんと確かめなくてはいけません。
「わーい、お酒」
「お酒は感覚が鈍りますから、最後にしましょうね」
ソナさんがちゃんと注意したのに、お酒から飲み始めた研究者さん達はもちろん使い物になりません。
「……酔い覚ましのお薬が、鞄に入っていたはず」
実は研究者さん達に負けない植物好きのソナさん。ご自分で作った酔い覚まし用のお薬を取り出しました。
「あら、そんなに苦いですか?」
作ったばかりで効果の程は分かりませんが、飲まないよりはいいはずです。
とりあえず、味は分かりましたし。
●歌に看板に冊子に……忙しい!
研究者さん達に訊いてみたら、せっかくの商品にはすごく簡単な説明しかついていないことが分かりました。パティちゃん、こんなにステキなものがいっぱいあるのにと残念です。
でも、そのステキな商品を、お店をする時にどう並べたらいいかなって考えるのは、とっても楽しいのでした。
「目立つ看板デショ、それから一つデモ買った人に、他の商品も載ってるパンフを挙げるデショ、パンフは一般向けと商人さん向けに分けテ」
うきうき、わくわく。お隣のテーブルでソナさん達が、なんだか難しそうな表を作っていますが、パティちゃん達は違います。
パンフレット用の可愛いイラストを描いたり、看板のアイデアを出したりしています。こちらの係の研究者さん達は、絵が上手な人達ばかり。
「看板商品で展示スルのに、ウェディングケーキはピッタリ! それカラ石鹸とお酒とジャムと……オイルも売れそウ?」
楽市では美味しいもの巡りをしたパティちゃん、売れていた物を一生懸命思い出しています。食べ物以外は、あんまり見ていなかったので大変ですが……
「ソウ! ケーキの試食が出来タラ、お客さんも止まってくれるノ!」
ソナさんが試食用のジャムと一緒に、いいアイデアもくれました。そう、試食と試飲、お試し利用は、お客さん集めにデパートでもやっていたではありませんか。
「商人さん用にネ、試供品を用意したらイイかも」
「後で注文する時用の連絡先を、それを入れる袋にも書くといいな」
出来れば研究者さん達以外で、配達や発送をやってくれる人がいると安心だと、今度はトルステンさんが言ってくれました。
「ウーン、店員さん、やっぱり大事ネ」
パンフレットを飾るイラストはいっぱい用意出来ました。パンフレットは、きっとなんとかなるでしょう。
となると、後はPRソング!
「あまい あまーい みつの香~♪」
曲はトルステンさんが色々弾いてくれるので、試しにパティちゃんが思い付いた歌詞を口ずさんだら、駄目出しされました。誰にって、研究者さん達に。
「あの花は、蜜ではなく花弁が発しているので正確性に欠けます」
「あまい あまーい 花びらの香~?」
なんだか歌いにくいので、もうちょっと考えないと駄目そうです。
●お試し店舗をやってみる?!
それからハナさん達が戻って来て、お店の仮図面や商品の並べ方を描いてみたりしていたら、すごいお話がやってきました。
「三日間のテナント販売? 販売員もいないのに、大丈夫か」
「何言ってるんですぅ。私達がいるうちに、しごきますよぉ」
「大変ですわね。でもこれで売れ筋が分かりますから、準備する商品数が計算できますよ」
「パティもお手伝いするカラ! 皆の可愛いルージュオブランを、知ってもらうチャンスだヨ!」
実行委員さんから、三日間だけお店をしないかと声を掛けられたのです。しかも、店賃無料で。
こんないい機会、滅多にあるものではありませんが……研究者さん達は、農場に帰って植物と仲良くしたい気分みたい。
「今回は見送」
「黙って準備しやがれ、ですぅ」
ハナさんが、鬼指揮官モードに入りました!
「金勘定の責任者を決めて、出入りを記録する用紙を作らないとな」
トルステンさんも、鬼指揮官その二になりました。
「急いで、当日の行動予定表を作らなくてはいけませんね」
ソナさん、シフト表作りに着手しました。
「えーっとォ?」
パティちゃん、看板を作ろうかほかのことしようか迷っていたら。
「パティ! おまえは全員に、お辞儀と笑顔をみっちり教え……られるかな?」
トルステンさんに接客の心得を研究者さん達に教えるように言われ……たみたいなのに、なぜか言いだしっぺが不安そうです。
「大丈夫ですよぉ、パティちゃん。二人で特訓してあげましょぉ」
でも力強い応援のハナさんが加わって、きっと接客の練習は大丈夫!
笑顔でいらっしゃいませって言うだけです。裏方でもご挨拶はしっかり頑張らねば。
他に練習した方がいいことは。
「商品の包装の仕方にも、慣れておきましょうね。それでしたら、私もお役に立てますわ」
買ったものが多い人には、包む布や入れる袋も用意しなければと、ソナさんが買い出しメモを作りながらにっこり。
「覚悟を決めろ」
農場に帰りたいと嘆いている研究者さん達に、トルステンさんが鬼指揮官らしい一言をぶつけました。
「頑張りまショー、オーっ!」
せっかく励ましてくれるパティちゃんに、オーと返してくれる人はいなかったので……
お店を出す前に、更なる猛特訓決定です。
トルステン=L=ユピテル(ka3946)さんは、こう思っていました。
「駄目だ、こいつら」
思っていることが口からだばーっと漏れましたが、それも仕方がありません。
ギリビッツォ農場の研究者さん達ときたら、ハンターさん達が来てくれただけで安心して、なにもかもお任せするつもりになっていたのです。
ハンターさん達はお手伝いに来ただけで、商品を売るのは自分達だと忘れているのではないでしょうか。トルステンさんは、それがとっても心配です。
そ れ と !
「パティは、そっちに混ざってんじゃねーよ! 他も!」
リアルブルー時代の同級生パトリシア=K=ポラリス(ka5996)さんことパティちゃんが、すっかりティータイムしているのも気に入りません。
あと二人、ソナ(ka1352)さんと星野 ハナ(ka5852)さんも、お茶を飲みながら研究者さん達とお話をしています。
「あれ、ステン、お茶なくなっちゃっタの? 新しいの、淹れヨウカ?」
「まだ、ある」
もちろんトルステンさんにも、お茶はご用意されていました。仲間はずれで怒っているのではありません。
研究者さん達のやる気が、どこかに逃げ散っているので、腹が立つのです。
「マジウンザリ……」
それはそうでしょう。
しかし、他の三人のハンターさん達も、やる気がない訳ではありません。
「やればできるなんて、ただの精神論ですぅ。あなた達に無理なのは、試すまでもなく分かっているのでぇ、無理は通さずに代替手段を探しますよぉ」
「わーい、鬼指揮官だー」
自己紹介をするついでに、お茶でも飲みながら親睦を深めるとかなんとか……確か、パティちゃんが言いだしたのでお茶会をしていた皆さんですが、お仕事のお話だってしますとも。
特にハナさんは、今回売り出しを予定しているルージュオブランの加工品を作るお仕事にも協力したので、研究者さん達からとても頼りにされていました。それをトルステンさん風に言いかえると、自分達でやる気がない、になります。
それにしたって、鬼指揮官とはどういうことでしょうか。言った人は、ハナさんに拳骨を喰らっていますけれども。
「なんだか皆さん、とても嬉しそうですけれど……どうして鬼指揮官なんですの?」
言葉のわりに、研究者さん達が『ひゃっほー』な感じなので、ソナさんが不思議そうにしています。パティちゃんは、前の依頼の時に何があったのか興味津々。トルステンさんは肘をついて、素知らぬ顔でお茶を飲むことにしましたか?
「適材適所を、厳しく教えただけですぅ。この人達の頭にはぁ、商売って言葉はそもそも入ってないんですよぅ」
ものすごい言われようなのに、研究者さん達は平気です。
ハナさん提案の、『店舗展開するなら、店員は経験者を雇用。裏方業務は研究者達が行い、経費削減を図る』という展開にも、大賛成でした。
研究者さん達は、とにかく植物を弄っていたいのです。おしべやめしべとたわむれたり、種が発芽するまでの観察をしたりするのは楽しくて仕方ありませんが、商売とは未知の領域でしかありません。つまり、やりたくないのです。
専門家の起用、万歳。
「すでに分かってたけど、ホントにやる気ねぇな……芸術家にも、こういうの良くいるけどさ」
トルステンさん、芸術家さんには色々お知り合いがいるのでしょうか。なにやら頭の中で、『こういう人達』が次々思い出されてしまったようです。
きっと、何か苦労したこともあるのでしょう。自分の専門分野しか興味がないとか、人の気持ちに鈍い人とか、ホントに困ります。いやもう、ほんとに……
トルステンさんがちょっと遠い目になっていたら、パティさんがにこやかにこう言いました。
「パティもめんどくさいのキライ。ダカラ、ステキな助っ人さんを探して、お願いするのはイイよね~」
それでいいのか、ちょっと、いえ、かーなーり心配になりますが、研究員さん達はやるべきことが一つ分かって、喜んでいます。
「でしたら、秋の郷祭までの予定表を作って、誰が何をするのかも決めてしまって、直前に慌てないように準備しましょう。あとは……」
ソナさんが具体的な計画を出してくれたので、また喜んでいますが、ハナさんとトルステンさんが気付きました。
「メモはどうしましたかぁ? 書かない子は、おやつ抜きにしちゃいますからぁ」
「ちゃんと一人ずつ、自分用に記録を取れよ。箇条書きでシンプルに、あと、他人に読ませることも考えて読みやすく。分かったか!」
研究者さん達はトルステンさんより年上ですが、知ったことではありません。ビシバシいかないと、お仕事をするのはハンターさん達だけになりかねないのです。
「じゃ、下調べや細かい準備があるから、ざっと班分けして」
「はい! ステンにはPRソングをお願いしマショ!」
ビシバシしていたトルステンさんに、パティさんが突然のお仕事をぶつけてきました。
「まあ。音楽があれば、印象がぐっと上がりますね」
「お願いできますぅ?」
音楽家の苦労を考えてくれるような人は、残念ながらここにはいなかったのです。
●傷は小さな方がいいのですぅ
ハンターさん達と研究者さん達で分けたお仕事は、大体三つ。
まず、秋の郷祭の日程と楽市の申し込み方法を確かめに行きます。ついでに、今回の楽市に集まった人の数や良く売れた商品も訊かねばいけません。
それとは別に、ギリビッツォ農場の商品の内容を説明するものが必要になります。これは実際の使い心地を確かめてから、考えるといいでしょう。
最後に、そうやって考えた説明をチラシや看板にして、お店らしく出来るようにする準備が大事です。商人さん向けと普通の人向けの二種類があると、とってもいいですね。
「それじゃ、最初から始めましょぉかぁ」
ハナさんは研究者さん二人と、ジェオルジの商人ギルドさんを訪ねることになりました。秋の郷祭や楽市の時期を確かめて、申し込み方法を教えてもらうのです。
もちろん、ハナさんも研究者さん達も聞いたことをメモするための筆記用具を持っています。ハナさんが、持ってきなさいと怒ったとも言います。
こちらの皆さんは、商人ギルドの人から楽市の実行委員さんの住所を聞いて、一番近くの人に色々と訊きに行く予定でした。でも、ちょうどいいことに実行委員さんをしていた商人さんがいたので、ちょっと楽が出来ることに。
では、必要なことを訊いていきましょう。ハナさんは、最初は後ろで見ていることにしました。
「ええと、なんだっけ?」
「申し込み方法と開催期間と費用」
「そっか。質問してもいいですか」
研究者さん達は、ハナさんと同じくらいの歳の男の人と女の人。質問を指折り数えていたりするので、実行委員さんは笑ってしまっています。
それでもなんとか、次の開催予定日と申込期間と掛かる費用、それから途中で思い出した借りられる場所の広さを訊くことが出来ました。ふうやれやれ。
ここからは、ハナさんの出番。
「あとぉ、出来ればこの春の人出と人気商品を教えていただいてもぉ?」
「うーん、そういう統計は取ってないんだが」
楽市で出されている商品は沢山あり過ぎて、これと目立つ人気商品はないそうです。けれども食料品や日用品のおしゃれなものは、けっこう売れやすいとか。
それと、やはり看板やのぼりなどで目立つのと、何を売っているのか分かりやすいところが人も立ち寄ると教えてもらったところで、研究者さんの一人、クレートさんが突然質問を追加したのです。
「商品搬入は開催何日前から可能ですか? 倉庫に預けることは出来ますか?」
これにはハナさんも、いいところに気付いてくれたとほめちゃいます。
そうしたら。
「僕の実家、酒問屋なんです。よくこういう話をしてました」
思い出したので訊いてみたと、結構適当な理由でしたが……
「そういう大事なことぉ、どうして先に言わないんですかぁっ!」
ハナさん、心からの叫びでした。
身内の商売人、もしかしたら頼れるかもしれません。これは素晴らしい情報です。
●スケジュールは大事です
一つの植物から、多彩な製品が生み出されています。
アイデア出しは以前の依頼でハンターさんに頼ったおかげらしいものの、ソナさんはルージュオブランの可能性に感激していました。こんな素晴らしいものがあると、沢山の人に知ってもらいたいではありませんか。
そんなソナさんの担当は、秋の楽市までのスケジュールを決めることです。やることはたくさんあります。
「最初に、商品を十分に用意しなくてはいけません。今は各商品をどのくらいずつ生産しているのですか?」
「……足りなそうなのを、手が空いた時に?」
いきなり、つまづきました。こんな適当なことでは、短期間でもお店を出すのは難しいでしょう。
更に確かめたら、在庫確認もちゃんと出来ていないことが分かりました。
「では、まずは商品の一覧を作成して、そこに楽市までの生産目標数と在庫を書く欄を作ってください」
テーブルに大きな紙を広げて、研究者さん達に表を作ってもらいます。まだ数字のところは真っ白ですが、後で皆さんと考えることにしましょう。
次は予定表を作らねばいけません。誰がいつ、なんの作業を済ませておくのか。それと一緒に、お店を出す時の作業一覧も……
とやっていたら、研究者さん達がお疲れのようです。早すぎます。しかし、ここで続けても頭に入らないでしょう。
「後で皆さんとご一緒にと思いましたけれど、商品の説明を考えるのに、試食や試用をしましょうか」
研究者さん達は、商品を作っているのに使っていない人が多いので、使い心地や味をちゃんと確かめなくてはいけません。
「わーい、お酒」
「お酒は感覚が鈍りますから、最後にしましょうね」
ソナさんがちゃんと注意したのに、お酒から飲み始めた研究者さん達はもちろん使い物になりません。
「……酔い覚ましのお薬が、鞄に入っていたはず」
実は研究者さん達に負けない植物好きのソナさん。ご自分で作った酔い覚まし用のお薬を取り出しました。
「あら、そんなに苦いですか?」
作ったばかりで効果の程は分かりませんが、飲まないよりはいいはずです。
とりあえず、味は分かりましたし。
●歌に看板に冊子に……忙しい!
研究者さん達に訊いてみたら、せっかくの商品にはすごく簡単な説明しかついていないことが分かりました。パティちゃん、こんなにステキなものがいっぱいあるのにと残念です。
でも、そのステキな商品を、お店をする時にどう並べたらいいかなって考えるのは、とっても楽しいのでした。
「目立つ看板デショ、それから一つデモ買った人に、他の商品も載ってるパンフを挙げるデショ、パンフは一般向けと商人さん向けに分けテ」
うきうき、わくわく。お隣のテーブルでソナさん達が、なんだか難しそうな表を作っていますが、パティちゃん達は違います。
パンフレット用の可愛いイラストを描いたり、看板のアイデアを出したりしています。こちらの係の研究者さん達は、絵が上手な人達ばかり。
「看板商品で展示スルのに、ウェディングケーキはピッタリ! それカラ石鹸とお酒とジャムと……オイルも売れそウ?」
楽市では美味しいもの巡りをしたパティちゃん、売れていた物を一生懸命思い出しています。食べ物以外は、あんまり見ていなかったので大変ですが……
「ソウ! ケーキの試食が出来タラ、お客さんも止まってくれるノ!」
ソナさんが試食用のジャムと一緒に、いいアイデアもくれました。そう、試食と試飲、お試し利用は、お客さん集めにデパートでもやっていたではありませんか。
「商人さん用にネ、試供品を用意したらイイかも」
「後で注文する時用の連絡先を、それを入れる袋にも書くといいな」
出来れば研究者さん達以外で、配達や発送をやってくれる人がいると安心だと、今度はトルステンさんが言ってくれました。
「ウーン、店員さん、やっぱり大事ネ」
パンフレットを飾るイラストはいっぱい用意出来ました。パンフレットは、きっとなんとかなるでしょう。
となると、後はPRソング!
「あまい あまーい みつの香~♪」
曲はトルステンさんが色々弾いてくれるので、試しにパティちゃんが思い付いた歌詞を口ずさんだら、駄目出しされました。誰にって、研究者さん達に。
「あの花は、蜜ではなく花弁が発しているので正確性に欠けます」
「あまい あまーい 花びらの香~?」
なんだか歌いにくいので、もうちょっと考えないと駄目そうです。
●お試し店舗をやってみる?!
それからハナさん達が戻って来て、お店の仮図面や商品の並べ方を描いてみたりしていたら、すごいお話がやってきました。
「三日間のテナント販売? 販売員もいないのに、大丈夫か」
「何言ってるんですぅ。私達がいるうちに、しごきますよぉ」
「大変ですわね。でもこれで売れ筋が分かりますから、準備する商品数が計算できますよ」
「パティもお手伝いするカラ! 皆の可愛いルージュオブランを、知ってもらうチャンスだヨ!」
実行委員さんから、三日間だけお店をしないかと声を掛けられたのです。しかも、店賃無料で。
こんないい機会、滅多にあるものではありませんが……研究者さん達は、農場に帰って植物と仲良くしたい気分みたい。
「今回は見送」
「黙って準備しやがれ、ですぅ」
ハナさんが、鬼指揮官モードに入りました!
「金勘定の責任者を決めて、出入りを記録する用紙を作らないとな」
トルステンさんも、鬼指揮官その二になりました。
「急いで、当日の行動予定表を作らなくてはいけませんね」
ソナさん、シフト表作りに着手しました。
「えーっとォ?」
パティちゃん、看板を作ろうかほかのことしようか迷っていたら。
「パティ! おまえは全員に、お辞儀と笑顔をみっちり教え……られるかな?」
トルステンさんに接客の心得を研究者さん達に教えるように言われ……たみたいなのに、なぜか言いだしっぺが不安そうです。
「大丈夫ですよぉ、パティちゃん。二人で特訓してあげましょぉ」
でも力強い応援のハナさんが加わって、きっと接客の練習は大丈夫!
笑顔でいらっしゃいませって言うだけです。裏方でもご挨拶はしっかり頑張らねば。
他に練習した方がいいことは。
「商品の包装の仕方にも、慣れておきましょうね。それでしたら、私もお役に立てますわ」
買ったものが多い人には、包む布や入れる袋も用意しなければと、ソナさんが買い出しメモを作りながらにっこり。
「覚悟を決めろ」
農場に帰りたいと嘆いている研究者さん達に、トルステンさんが鬼指揮官らしい一言をぶつけました。
「頑張りまショー、オーっ!」
せっかく励ましてくれるパティちゃんに、オーと返してくれる人はいなかったので……
お店を出す前に、更なる猛特訓決定です。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/07/06 07:42:52 |
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相談しましょ♪ パトリシア=K=ポラリス(ka5996) 人間(リアルブルー)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2017/07/07 14:45:45 |