ゲスト
(ka0000)
アマリリス~十三夜栄転と蜘蛛歪虚
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/07/12 22:00
- 完成日
- 2017/07/27 00:54
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
大型歪虚に破壊されたポカラ村跡地にて。
「あっ、今の!」
駐屯する義勇隊の見張りが、大型歪虚出没歴のある森の異変に気付いた。身を乗り出して双眼鏡でのぞき込む。
「どうした?」
隣に平屋の木造宿舎増築作業をしていた仲間が問う。
「……あー、まただよ」
「羽根アリ歪虚か?」
うんざりした見張りの言葉に、下の仲間もうんざり返す。
「いや、今度は蜘蛛だと思う。まだ遠いけど」
羽根アリの時のように、森からジャンプしてる時に姿がちらっと見えるようだ。
なお、このポカラ村。
これまで何もなかったのに、昨年大型浮遊歪虚「パルサラス」と「ブラブロ」の襲撃を受けて壊滅した。
その時はハンターの活躍により住民の避難誘導に成功。後日、ユニットを結集して居座る両大型歪虚を殲滅した。なぜか歪虚は人的被害より村の建物の破壊と場所の占拠を優先していた節があり、大艦巨砲主義や高速移動戦術など駆使するにも関わらず周辺地域に被害はなかった。
その恩恵により無事に避難した住民は、いったんフマーレの新興鉱山「セル鉱山」が世話をすることになった。ちょうど増産が決定してまとまった人員を求めていたためである。
ただ、移住した村の住民たち。
当面ここで復興のための資金を稼ぐことを了承したが、早急にも帰郷したい。
一方、セル鉱山を運営するアマリリス商会は、メンバーの覚醒者、モータルが義勇隊を作りたい意向があった。また、アマリリス商会に自作の可変魔導アーマー「ビルドムーバー」を売り込んだ技術者集団「十三夜」は、ビルドムーバーのハンターソサエティ正式採用を狙っていた。
モータル率いる守備隊を壊滅したポカラ村に住民が帰郷するまで常駐させることになった。
また、大型歪虚の出た森に近いため、魔術師協会に掛け合って同盟領安全のための監視という名目で業務委託も受けた。十三夜としても、ビルドムーバーの実戦配備が実現した形である。
そして数か月前、次の大型歪虚たる羽根アリの侵攻があったばかりであった。
「森にはキアン率いるビルドムーバー隊が伐採に出てるけど……」
建築作業をしていた男が心配そうにする。
「数は少ないしこっちに来る様子はないけど……知らないとマズいし、念のために早めに切り上げた方がいいと思う」
「分かった。モータルに報告して行ってもらおう」
この時、モータル。
「え? 十三夜を解散する?」
「そうじゃ。ついにわしらの実力が認められて好待遇で大きな企業に誘われたんじゃ!」
宿舎で、技術者集団「十三夜」代表のガリアとそんな話をしていた。
ガリアが喜んでいるのは無理もない。もともとビルドムーバーは、「下請けだった自分たちの実力を示したい」という目的で魔導アーマーを魔導トラックに変形できるよう改造したもの。大量生産して大儲けする計画ではなかった。というか、大量生産するだけの施設は到底整備できるはずもなく、その道を行くならどこかに売りつけなくてはならなかったのだ。
「じゃ、そこでビルドムーバーを大量生産する、と?」
「いや、それがの……」
ここでガリア、声のトーンを落とした。
「実は、採用を狙っていたハンターソサエティには新たに「プラヴァー」という機動力特化の新型魔導アーマーの採用が決まったばかりでの……ビルドムーバーの付け入る隙は無かったんじゃ」
くわえて、先に実装された射撃特化の魔導アーマーの例を出す。
「もう、工事用機械からの転用の時代じゃなくなっとるんじゃ。最初から戦闘のみを目的に、設計段階から戦闘に適した開発をしておる。CAM技術なんか応用しまくりで、元の魔導アーマーの見る影なんかまるでないんじゃ」
つまり、工事用機械としてまず完成させたビルドムーバーはすでに検討の余地もないという感じだ。実際、現場の安全第一を優先した変形機構など、これまでかかわった覚醒者からは苦言しか出てこなかった。
「じゃ、ここにあるドラマーやトール、キウイは?」
モータル、ハンターと一緒に改良して来た一号機から三号機までの心配をする。もちろんほかにも数台ここに配備されている。
「もちろん、アマリリス商会に売ったものじゃ。ここで使うといい。……が、もう無理して戦闘には出さんほうがええ。生みの親として、傷つくのが忍びない。支援車両として使うのがええじゃろ」
「……十三夜としてかかわったハンターたち、残念だろうな」
「すまぬ、時勢じゃ。高速移動戦闘ならプラヴァーがあればビルドムーバーの出番はなかろう。わしらは開発に負けた。これは認めるしかなかろう」
残念そうなモータルを見てガリアも肩を落とした。
「ただ、栄転ですよね」
「おお。それに工事用としては少ないながら受注はある。一応、新たな職場で開発は中止じゃが生産はする約束はつけておる」
モータルが気を取り直しガリアがそう言ったとき、伝令が来た。
「え、大型の蜘蛛歪虚? 分かった。すぐに呼び戻そう」
とにかく、モータルの運転するビルドムーバーが伝達に行き、砦建設のための木材を調達していたキアンたちを呼び戻すのだった。
そしてさらに後日、その大蜘蛛歪虚数匹がこちらに近付いていることが確認された。
至急、ユニットで狙撃できるハンターたちが募られることになる。
「あっ、今の!」
駐屯する義勇隊の見張りが、大型歪虚出没歴のある森の異変に気付いた。身を乗り出して双眼鏡でのぞき込む。
「どうした?」
隣に平屋の木造宿舎増築作業をしていた仲間が問う。
「……あー、まただよ」
「羽根アリ歪虚か?」
うんざりした見張りの言葉に、下の仲間もうんざり返す。
「いや、今度は蜘蛛だと思う。まだ遠いけど」
羽根アリの時のように、森からジャンプしてる時に姿がちらっと見えるようだ。
なお、このポカラ村。
これまで何もなかったのに、昨年大型浮遊歪虚「パルサラス」と「ブラブロ」の襲撃を受けて壊滅した。
その時はハンターの活躍により住民の避難誘導に成功。後日、ユニットを結集して居座る両大型歪虚を殲滅した。なぜか歪虚は人的被害より村の建物の破壊と場所の占拠を優先していた節があり、大艦巨砲主義や高速移動戦術など駆使するにも関わらず周辺地域に被害はなかった。
その恩恵により無事に避難した住民は、いったんフマーレの新興鉱山「セル鉱山」が世話をすることになった。ちょうど増産が決定してまとまった人員を求めていたためである。
ただ、移住した村の住民たち。
当面ここで復興のための資金を稼ぐことを了承したが、早急にも帰郷したい。
一方、セル鉱山を運営するアマリリス商会は、メンバーの覚醒者、モータルが義勇隊を作りたい意向があった。また、アマリリス商会に自作の可変魔導アーマー「ビルドムーバー」を売り込んだ技術者集団「十三夜」は、ビルドムーバーのハンターソサエティ正式採用を狙っていた。
モータル率いる守備隊を壊滅したポカラ村に住民が帰郷するまで常駐させることになった。
また、大型歪虚の出た森に近いため、魔術師協会に掛け合って同盟領安全のための監視という名目で業務委託も受けた。十三夜としても、ビルドムーバーの実戦配備が実現した形である。
そして数か月前、次の大型歪虚たる羽根アリの侵攻があったばかりであった。
「森にはキアン率いるビルドムーバー隊が伐採に出てるけど……」
建築作業をしていた男が心配そうにする。
「数は少ないしこっちに来る様子はないけど……知らないとマズいし、念のために早めに切り上げた方がいいと思う」
「分かった。モータルに報告して行ってもらおう」
この時、モータル。
「え? 十三夜を解散する?」
「そうじゃ。ついにわしらの実力が認められて好待遇で大きな企業に誘われたんじゃ!」
宿舎で、技術者集団「十三夜」代表のガリアとそんな話をしていた。
ガリアが喜んでいるのは無理もない。もともとビルドムーバーは、「下請けだった自分たちの実力を示したい」という目的で魔導アーマーを魔導トラックに変形できるよう改造したもの。大量生産して大儲けする計画ではなかった。というか、大量生産するだけの施設は到底整備できるはずもなく、その道を行くならどこかに売りつけなくてはならなかったのだ。
「じゃ、そこでビルドムーバーを大量生産する、と?」
「いや、それがの……」
ここでガリア、声のトーンを落とした。
「実は、採用を狙っていたハンターソサエティには新たに「プラヴァー」という機動力特化の新型魔導アーマーの採用が決まったばかりでの……ビルドムーバーの付け入る隙は無かったんじゃ」
くわえて、先に実装された射撃特化の魔導アーマーの例を出す。
「もう、工事用機械からの転用の時代じゃなくなっとるんじゃ。最初から戦闘のみを目的に、設計段階から戦闘に適した開発をしておる。CAM技術なんか応用しまくりで、元の魔導アーマーの見る影なんかまるでないんじゃ」
つまり、工事用機械としてまず完成させたビルドムーバーはすでに検討の余地もないという感じだ。実際、現場の安全第一を優先した変形機構など、これまでかかわった覚醒者からは苦言しか出てこなかった。
「じゃ、ここにあるドラマーやトール、キウイは?」
モータル、ハンターと一緒に改良して来た一号機から三号機までの心配をする。もちろんほかにも数台ここに配備されている。
「もちろん、アマリリス商会に売ったものじゃ。ここで使うといい。……が、もう無理して戦闘には出さんほうがええ。生みの親として、傷つくのが忍びない。支援車両として使うのがええじゃろ」
「……十三夜としてかかわったハンターたち、残念だろうな」
「すまぬ、時勢じゃ。高速移動戦闘ならプラヴァーがあればビルドムーバーの出番はなかろう。わしらは開発に負けた。これは認めるしかなかろう」
残念そうなモータルを見てガリアも肩を落とした。
「ただ、栄転ですよね」
「おお。それに工事用としては少ないながら受注はある。一応、新たな職場で開発は中止じゃが生産はする約束はつけておる」
モータルが気を取り直しガリアがそう言ったとき、伝令が来た。
「え、大型の蜘蛛歪虚? 分かった。すぐに呼び戻そう」
とにかく、モータルの運転するビルドムーバーが伝達に行き、砦建設のための木材を調達していたキアンたちを呼び戻すのだった。
そしてさらに後日、その大蜘蛛歪虚数匹がこちらに近付いていることが確認された。
至急、ユニットで狙撃できるハンターたちが募られることになる。
リプレイ本文
●
「あっ、来た!」
ポカラ駐屯地の櫓にいた見張りは、森からぴょーん、と滞空時間長く飛び跳ね近付いてくる大蜘蛛歪虚の群れを発見し、慌てて下に敵襲を叫んだ。
「よし。『およそ予定の地点に接近中』ののろしを上げろ!」
報告を受けた防衛隊リーダーのモータルが部下に指示。
すでに熾していた火に生乾きの枝葉を入れて白い煙を上げた。
時は少し遡り、森の外縁部の草原。
「あーあ。決まっちまったものは仕方ない、とはいうけど……」
レオーネ・インヴェトーレ(ka1441)がポニーテールの間に両手を挟んだ姿勢でぼやいている。
魔導アーマー「プラヴァー」が両脚を広げ腰掛けている間に座り、機体を背もたれにするように座りくつろいでいる。愛機に「渡り鳥の騎士(ka1441unit002)」と名付けたのはこうやって自然の中でのんびりする……というわけではなく、開発初期の試作段階で付けられていた名前で、当時の思いを忘れないためそう名付けた。
「自分の関わった企画同士が潰し合いってのは複雑だぜ」
どうやら、可変魔道アーマー「ビルドムーバー」の開発中止に思いをはせているようで。ぶちっと傍らの草をむしって投げる。
その横には、魔導トラック(ka5484unit001)が一台。
運転席の扉は開かれ、狐中・小鳥(ka5484)がドライバーズシートに横に座っている。両脚は扉の外で、ぶらぶら揺らしていたり。スリットのえらく深いチャイナ服の裾も揺れる。
「ビルドムーバー、発売されるなら買おうと思ってたけどダメになったのは残念だねー。しょうがないとはいえっ」
残念、と左腕をハンドルに乗せてしなやかに腰をひねる。
「色々悩ましいけど……まぁ、まずはやることやってからだな」
レオーネは森を背にして座っていたので、作戦に参加した皆の機体があちらこちらに見える。狙撃戦を想定しているのでいずれもくぼみに身を伏せているが。その向こうには、ポカラ駐屯地。
「大きい蜘蛛が相手かー……」
小鳥の魔道トラックは森の方を向いている。森に近いと遠くは見えないが、森の中を縫うように接近された場合は近くで木々の間を見ていないと発見できないからだ。
それはそれとして、ぽややん、と口にしたあと慌てたように付け足す。
「な、生身の近接戦闘依頼じゃなくてよかったんだよ」
「ああ。糸がー、ってやつね」
「あと、昆虫嫌いってわけじゃないけど、やっぱり見た目的になんか、ね」
「ん?」
レオーネ、小鳥の言葉を遮った。
駐屯地からのろしが上がったのだ。
この少し前、狙撃班。
「うう~」
ディーナ・フェルミ(ka5843)がR7エクスシア(ka5843unit002)のコクピット内で唸っていた。
「フォルケのアバルトだ。どうした?」
すぐに魔導短伝話でアバルト・ジンツァー(ka0895)が声を掛けて来た。
「CAMに乗ると近接して魔法が使えないからもぞもぞした気分になるの…」
「ああ、分かる分かる。あまり操縦してないとコツとかがまだね~」
もぞもぞしていたところに、トランシーバーで天竜寺 舞(ka0377)の声が入って来る。ちなみに舞は、魔導型デュミナス「弁慶」(ka0377unit001)で草原の窪地に伏せて身を隠していた。
「姿勢の問題もあるだろう。慣れるまでは敵がくるまであおむけで待機するのも手だ」
元宙軍特殊任務部隊所属のアバルト、コクピットで座ったまま宙吊りみたいな姿勢になる辛さに理解を示す。もちろんアバルトも乗機、魔導型デュミナス「Falke」(ka0895unit003)で平伏潜伏中。ディーナももちろん同じ姿勢だ。
「そういう意味じゃないの~。……でもR7は私と違って射撃が得意だから何とかなるの、多分」
「ああ、大丈夫。愛機を信じろ。何とかなる」
アバルト、こっそりと微笑。
「そうそう。実戦でコツを掴んでいくしかないよね!」
舞も同調し、いい雰囲気だ。
ちなみにこの時、美亜・エルミナール(ka4055)。
「敵さん、遅いねー」
魔導アーマー「ヘイムダル GーCustom」(ka4055unit001)で森の外縁ぎりぎりで待機。長く改造した両手を付き身を屈めて潜伏している。小鳥やレオーネとは距離が離れている。囮になる二人と同じ場所にいて味方の射線に居座り攻撃を受けるわけにはいかない。
ちらと草原の方を見る。
味方三機がうつぶせで隠れている。当然、パイロットはシートで超前傾姿勢を強いられている。
「四足の機体なら平伏していてもパイロットの姿勢は楽なんだけどね」
設計してくれればいいのに、とか。
そしてディーナたち。
「早く来るといいの~」
「……来た」
ディスプレイの変化に気付くアバルト。
「よし」
楽な姿勢に崩しかけていた舞、しっかりと戦闘態勢に入る。
森の近くの二人は。
「来た。作戦開始だ」
レオーネ、のろしを確認。すかさずトランシーバーで味方に伝達するとまるで着るようにプラヴァーに搭乗。車輪の音を響かせまず下がり目視確認に行く。
「静かには来なかったんだね。それじゃ射撃準備するんだよ」
囮役にもなる小鳥、扉を閉めてシフトをバックに。魔導トラックをアクセル全開でバックさせ森の端から離れると、主砲の車載砲「パンテレスD7」の砲口を木々の上に固定して待ち構えるのだった。
やがてがさ……ばさっ、など枝を押しのける音が遠くに聞こえ始め……いや、だんだん近寄って来たぞ!
●
「先制で一気に行くんだよっ!」
――ドゥン……。
全長約4・6mの車載砲「パンテレスD7」がジャンプの頂点でやや滞空する大蜘蛛目掛け火を噴いた。発射の衝撃で魔トラのサスが沈んで車体が揺れる。
この一発は敵の腹にヒットするが、貫通などはしない。空中に浮いて腹が丸いだけに、衝撃を逃がすようにバランスを崩し森の中に落ちた。もちろんダメージはあるようだが。
ただ、全く隠れることなく森の近くから撃っただけあって、ほぼすべての敵から目の敵にされる羽目になる。
――ぶしゅっ、ぶしゅーっ!
「あややっ!」
一斉に白い糸が飛んで来た。
小鳥、次の発射をやめて高速でバック。幅広い地点が白くなり、逃げたはずの魔道トラックのフロントガラスにも着いた。量が少ないので何とかワイパーで払うことができたが、回転部にも絡んだかすでにワイパーブレードの挙動が重い。
「これだけ食らったら脱出できずにお終いだよっ。……それでも近付く相手にはどっかーんといっちゃうよー」
敵はジャンプしているだけにリズムがある。一斉放射だったので間隙も一斉だ。小鳥、次にジャンプしてくるタイミングに合わせ一発放ってハンドルぐるり。
「燃えて脱出、フェニックスチャージ!」
限界まで踏み込むアクセル。魔導エンジン最大出力。
炎の幻影を纏い一直線に逃げた!
もちろん、後方狙撃組がこれを座視しているわけはない。
「……やはり厄介な攻撃を仕掛けてくるようだな」
アバルト、敵が森の上で飛び跳ね小鳥を狙ったところで200mm4連カノン砲をぶっ放す。ぎゃーっ、という不気味な悲鳴のような音とともに飛んでいき命中。ただ、敵は威力にくるくる回って落ちた。うまく被弾の威力を逃しているようだ。
こちら、舞。
「あたしの『弁慶』で蹴散らしてやるよ! 高速演算……マルチロックオン!」
長大な砲身の105mmスナイパーライフルを構えたまま敵の動きを予測。アバルトと同じタイミングでトリガーを引く!
「狙い撃つよ!」
複数の敵を狙い、発射。
こちらは一匹の足一本を吹っ飛ばし、もう一匹はやはり腹にヒットするも回転して落ちる。
「敵、軽すぎるんじゃないの?」
命中後の敵の挙動に舞、少し不満げ。
もちろんディーナもすぐに反応していた。
「早く居なくなるの」
チェーンガンともいえる試作型スラスターライフルでマテリアルライフルスキル使用。小鳥を狙って一斉に蜘蛛がジャンプしているところ、一直線で複数ダメージを狙うつもりだ。
が、やはり一発で仕留めることにはならず。
「……これは魔刃「凶骨」の怨霊の呼び声が炸裂するかもなの」
接近戦になるなら準備があるの、と先の展開へ奥の手も辞さず、の構えを見せる。
そして遊撃位置にいる、美亜。
「ようやく出番だ!」
コクピットでバイク型操縦桿をひねってアクセル・オンじゃなく、パワーゲイン。
ゴリラのシルエットを模したGカスタム、上体を起こし30mmガトリングガンを構える。手のグリップだけではなく肩と胸部に増設したハードポイントも活用しがっちりホールド。横合いから空中の敵にとりあえずブッパ。タタタタタ……と弾を好き放題ばらまいた。
これが狙撃本隊との射撃と相まって、クロスファイアの形となる。敵の特性で全滅には至らないが、それも織り込み済みだ。
「制圧射撃なんだからこれでいいよねー。さて、これで跳んでは来ないでしょ?」
美亜の言葉の通り、次に跳んだ蜘蛛は一匹。
小鳥の一撃離脱に大きく貢献することになる。
遊撃隊は他にもいる。
「空中から狙ってくれてる時は楽だね」
レオーネである。敵が遮蔽物のない空にいるため動向を探りやすい。
小鳥の傍から離れ狙撃隊の傍に行きその行動で敵襲来を告げて戻ってきたのだ。味方機から親指を立てるポーズを受けたのでホイールをうならせ即帰還。
そして戦況はちょうど味方の十字砲火が収まり、小鳥がそれでもジャンプして来た蜘蛛に砲撃し回れ右していたところだった。
フェニックスチャージで炎のトラックと化し距離を取る小鳥機。これがいい囮になっている。
レオーネは地面を気にしていた。
「地面に糸が残ってるのが嫌だけど……」
しばらくすれば消えるようだが、その前に上を通ってタイヤもしくはホイールに巻き付いて機動力が落ちるのは勘弁だ。
かちゃり、と長大なランスカノン「メテオール」を構え一瞬腰を落とす。
そして力を籠める!
「スキルトレース。……跳べるのはそっちだけじゃないんだぜ!」
ジェットブーツのように大きく跳躍。
空回りするローラー。
小鳥の砲撃を受けさすがに力なく落ちて来る大蜘蛛のかなり前方を横切り飛翔する渡り鳥の騎士の白騎士のような機体。
ぐるりと回させるランスカノンの穂先、その奥にある砲口。
――ドンッ! ……がしゃっ、きゅきゅきゅ!
縦に逃げる小鳥機を背後に、横から跳躍してカットインしたレオーネ機が着地しその場で旋回し、ぴたっ。上から襲ってきた大蜘蛛はその後方に落ち、力尽きた。
●
囮を使ったのはハンター側だけではない。
「また出てきたの」
「今度は跳躍、高いよ!」
ディーナ機のマテリアルライフル、紫色の光線で一直線に伸びるが蜘蛛の跳躍の最高到達点は先ほどより高い。跳躍頂点の滞空時間を狙った射撃はタイミングを外してしまう。舞機のスナイパーライフルも同じく。「今度は」と舞が言ったのは初撃のことを指すほか、直前に一匹だけ低く跳ねて小鳥機を狙ったフェイントジャンプも指している。
敵、今度は時間差と高低差を付けて本格的な狩りの動きに移行していた。
「……これは接近を許さぬように砲射撃でなるべく仕留めたいものだ」
アバルト、ぎゃぁぁ、うぎゃあ、と悲鳴に似た発射音をさせとにかく4連カノン砲をばらまく。敵の変化をつけた跳躍により合わせることができなかったためばらまいているといっていい。
しかし、大跳躍した蜘蛛の狙いはアバルトたち狙撃本隊への肉弾戦。景気よく弾をばらまくと距離を詰められたタイミングでリロードという悲劇に見舞われるぞ?
「全機、動けるようにしておけ、来るぞ!」
通信機にそう叫んでおいてフォルケを起こした。草原の色にマッチしていたカーキ色の巨体が片膝立ちとなる。両肩の鷹の意匠が陽の光を浴びて輝き……。
走った!
これまで陣取っていた、身を隠すのに都合の良かった場所をあっさりと放棄した。
がっしゃがっしゃと横に移動しつつ撃ち切ったカノン砲をガンラックに戻す。リロードはしない。
代わりに30mmアサルトライフルを構えた。
「……相変わらず取り回しがいいな」
もう、隠れることなどしない。アサルトの使い勝手を誉めつつ銃口をぐるりと回しつつマルチロックオン。大ジャンプして着地した二匹にぶっ放す。ちなみに、さっきまでいたところは糸で白くなっている。潜伏していても敵が飛んでいたので発見されやすかったのだ。
この時、舞。
「広い場所だけど乱戦になればきっと効果もあるよね」
弁慶にスキルトレースで隠の徒。気配を消すような動きで潜伏場所を離れた。
そのおかげもあるのかこちらに来たのは一匹。
移動前の元居た場所付近に着地している。白い糸は弁慶の動きを察知していたように移動した側へとずれて着弾している。
刹那、こちらを向く大蜘蛛。
舞、自分が狙われていると気付く。
敵の次の動きを察知した瞬間だ。ライフルの銃口を敵に合わせた。
同時に蜘蛛、跳躍!
――ドン!
銃撃、やや遅れた。跳躍した蜘蛛の尻に命中。逆にこれで蜘蛛の糸は飛んでこない。むしろラッキー。
が、その分跳躍は残っている。
覆いかぶさるように蜘蛛が迫って来た。どあっぷになる蜘蛛の顔と鋭い牙!
やられる――。
「弁慶!」
舞、ぎりぎりの場面で頼ったのは身に沁みついた自分自身の動き。
スキルトレースからのマルチステップで横っ飛び。
いや。
わざとギリギリの回避だ。
そして手にはぎらりと刃の輝き。片手持ちしたライフルを敵に襲わせ、1300mmコンバットナイフを反対の手で抜き放っていた!
「八艘跳びでもよかったんだけどね」
蜘蛛の着地を追うように弁慶の身をひねり、複眼を狙ってざっくり。飛び散る体液をかぶりながらもさらに突く、突く。
「きっちり止めを刺しておかないとね」
今度は大きくバックステップして念のためにライフルでドン。腹部を狙って最後に糸を食らうなどないように息の根を止めた。
二人が目立ちにくかった半面、ディーナが苦労していた。
「一直線になってくれないの」
スラスターライフルから貫通攻撃のマテリアルライフルで一気殲滅を狙っていたが、これにより対応がやや遅れた。すぐに各個撃破に切り替え空中で一体落としたものの、二匹に近くに着地された。
瞬間、これまで苦労したり楽しかったりした記憶がよみがえった。
ビルドムーバーの改造のため、新年互礼会で技術者集団「十三夜」の仲間集めをしたこと。
ポカラ村難民を迎えた花見に参加しポカラ村駐屯への流れに立ち会ったこと。
仲間集めでは壁際の積極的でない参加客に声を掛けた。花見ではおやつを差し入れ皆と楽しんだ。
そして今日は、ガリアたち十三夜が大工場に迎え入れられたと聞いて来た。
そう。祝いに来たのだ。
「無粋な歪虚はさっさと退場なの!」
襲い掛かって来た一匹にスラスターライフルを投げつける。
間髪入れず残りの一匹が襲ってきた。
が、ライフルを捨てたのは……。
「まさかこの魔刃「凶骨」を振るうことになるとは……」
がしっ、と骨をくみ上げて作られたような不気味な形状の鎌を手にした。スタイリッシュなエクスシアが禍々しい印象となる。
敵の突っ込みをマテリアルカーテンでいなしておいて……。
「……ちょっぴり思ってたの!」
嬉々として鎌をぶん回した!
蜘蛛の頭と胴体が泣き別れだ。体液が派手に飛び散る。
「はっ!」
が、背中はがら空きだ。先に一匹が迫っているぞ?
刹那。
「うー、近接武器はないけどできないわけじゃないんだからね!」
何かが横合いから突っ込んできた!
「タダのトラックだと思って馬鹿にしないでほしいんだよ! 今度こそ燃えて突撃、フェニックスチャージ発動!」
小鳥の魔道トラックだ。
魔導忍法火の鳥ではないが、燃えて体当たりしそのままひき殺しの刑に処した。
「ふぅ……」
ばたんと開いたドアからすらっと伸びる生足。
小鳥、トラックから出てディーナの安否確認。
「ありがとなの」
ばこっとハッチを空けたディーナ、満面の笑顔である。
●
時は遡り、森の近く。
制圧射撃をした直後の美亜。
「まさかまた跳ぶとはねー」
一匹飛び跳ねた後にばらまく。
前回は一斉に飛んだので敵が見えなくてもこのタイミングでばらまいておけばクリーンヒットだ。
が、敵は来なかった。
銃撃が止んだところで後続多数がぴょーんと高く跳ねた。
「ま、行動阻害の射撃にはなったでしょ。それより……」
美亜、慌てて高く飛んだ敵本隊を追って弾をばらまくなどはしなかった。
「……なんでもできなきゃ傭兵なんてできないんじゃあ。火力支援舐めたらあかんぜよ」
ぱちんぱちんと手元のスイッチを操作する。
Gカスタムはこの操作でガトリングガンを捨てた。
さらに背後。
重厚なヘルダイムの特徴ともいえるスタビライザーががこんと展開。がっしりと大地に接地。第三の足となりGカスタムの巨体を支えた。
――がしっ……。
そして新たに構えるは、対空砲CC-01。
背負っての運用もできるが、ハードポイントを増設したGカスタムならばと通常の構え。本来、対空戦闘を想定して開発されているので近距離戦闘には向かないが……。
「対空砲だからって水平射撃しちゃいけないとは書いてない。大昔の軍人だってやったことだしぃ」
なんと、仰角無しの構え。
森の中は見えないが、間違いなく来ると判断している。足が吹っ飛んだ敵がいたことも確認している。
そして、木々の間に光る複眼を確認!
「そこだぁっ!」
木々をすり抜け一直線に伸びる対空砲火。
ごぼっ、と命中音。空中ではないので威力を逃がすことなく食らったようだ。
――ざざっ!
「はっ!」
一匹、飛んだ。糸が降って来た。
がしっ、と左前腕部を掲げ敵ののしかかりを受け止めた。
「腕の大型化は伊達じゃないんじゃあ!」
身をひねりつつ右で大地に叩きつけるように殴りつけた!
そして、アバルト。
「む?」
アサルトで狙った蜘蛛一匹は転がったが、まだ生きている。そのまま横に動いた。これまでにない動きだ。
さらに、それに一瞬視線を取られるうちにもう一体がジャンプ!
「叩き落とすまではいかないか」
背中に装備していたバルディッシュに換装したが、ぶん回して叩き落とすには間に合わない。そのまま掲げて敵の突撃を止めた。
蜘蛛、牙でがっちりとバルディッシュの柄にかみついた。このまま逃がさないという構え。さらに腹を動かし糸を吐こうとしたが……。
「……この距離感で戦う気はない」
なんとアバルト、バルディッシュを手放した。
そのままスラスタージャンプで高速後退するフォルケ。とりついていた大蜘蛛、そのままバルディッシュとともに行き場を失う。
が、それを撃たない。再びアサルトを手にしているというのに。
「任せる」
くる、と横を向くフォルケ。
その目の端には、ものすごい勢いでジャンプし突っ込んで来たプラヴァーの姿があった。
「小回りが利くのはそっちだけじゃないんだぜ!」
レオーネである。
腰ダメに構えたランスカノンの穂先、ランス部分を前にがっちり構えた姿勢でジェットブーツでジャンプ。わが身を砲弾のようにしていま、バルディッシュに食いついていた大蜘蛛の腹に突撃。槍を構えたままだったのは最後の最後に逃げた場合、その動きに合わせるためだったがそれもない。腹に突き刺し着地と同時に大地に突き刺した!
そしてアバルト。
「……この手負いの敵をそのまま逃がしては後顧の憂いを残すこととなるだけ」
まだ生きて横に回り込んでいた蜘蛛を忘れていない。冷静に狙撃して止めを刺すのだった。
●
「遅くなってすまん。敵はもうやっつけたようじゃの」
帰投すると十三夜のガリアたちが駆けつけていた。
「ガリアさん、おめでとうございますなの! ガリアさん達の熱意と技術が認められたの、とってもいい事なのっ!」
ディーナがすぐさま駆け寄ってわがことのように喜ぶ。これにはガリアたちも笑顔がはじけた。少しばつが悪かったようだが、救われたような形だ。
「努力が認められたお祝いと雑魔退治のお祝いは一緒にしていいと思うの。今後の計画は打ち上げしながらやりましょうなの」
むふん、と得意顔なディーナ。この手際の良さには皆、笑うしかなかった。
「しかし、残念だなぁ」
小鳥や守備隊の面々の焼いた焼き鳥にかぶりつき、レオーネがぽそり。
「まあ、ロマンはロマンでしかなかったか。この上は可変データが次世代機に生きることを祈りましょ」
美亜も少し残念そうだが、先を見据えて串にがぶり。
「妹は残念がるかも。……でもあんた達がしっかり活用しなよ」
舞はモータルを見つけて背中をバシン。
こちら、アバルトは地図とにらめっこ中。
「堀や柵などの防衛用障害物を設置。砲戦型を含めた刻令型ゴーレムなどを配備……人的被害を最小限に抑える避難壕も欲しいな」
「確かに時間さえ稼げれば増援が間に合うしね? とりあえずの防衛にはゴーレムっていい気がするっ」
横で小鳥がうんうんと盛り上がる。
これに興味を引かれた美亜が頭を突っ込んだ。
そしてなんと、守備隊の位置からすすっと指先を森に移したではないか!
「いっそ綺麗サッパリ森を焼くというのは……」
「え? それやっちゃうと敵の進行速度も速くなっちゃうんだよ……」
小鳥、汗たら~。
「……こほん」
アバルトは咳払い。
「……ダメ? ア、ハイ」
小さくなる美亜だが、戦略的見地がないわけではない。すぐに真面目な様子に。
「じゃ、堀がポイントになるんじゃない? ムーバー自体がまだ使えるって言うなら、地面を深く掘ってその土で壁を仕立て上げる事もそれほど難しくないだろうし」
「ふむ。しかし、ゴーレムの運用はモータルたちがハンターにならんと無理じゃな」
ガリア、いろいろ検討しているようだ。
「でもこの子達は実験機なの。皆を守るために今まで通りの運用でいいと思うの」
「ああ。ビルドムーバーに関してはディーナさんの言う通りじゃの」
ディーナが必死に、後方にあるビルドムーバーの価値を訴えた。ガリアはそれがうれしい。
そして、舞が立ち愛機に近付いた。
「大分操縦にも慣れたかな♪……これからも頼むよ、弁慶」
見守った皆は頷いた。
これからはハンターのユニットでここを防衛していくのだから。
「あっ、来た!」
ポカラ駐屯地の櫓にいた見張りは、森からぴょーん、と滞空時間長く飛び跳ね近付いてくる大蜘蛛歪虚の群れを発見し、慌てて下に敵襲を叫んだ。
「よし。『およそ予定の地点に接近中』ののろしを上げろ!」
報告を受けた防衛隊リーダーのモータルが部下に指示。
すでに熾していた火に生乾きの枝葉を入れて白い煙を上げた。
時は少し遡り、森の外縁部の草原。
「あーあ。決まっちまったものは仕方ない、とはいうけど……」
レオーネ・インヴェトーレ(ka1441)がポニーテールの間に両手を挟んだ姿勢でぼやいている。
魔導アーマー「プラヴァー」が両脚を広げ腰掛けている間に座り、機体を背もたれにするように座りくつろいでいる。愛機に「渡り鳥の騎士(ka1441unit002)」と名付けたのはこうやって自然の中でのんびりする……というわけではなく、開発初期の試作段階で付けられていた名前で、当時の思いを忘れないためそう名付けた。
「自分の関わった企画同士が潰し合いってのは複雑だぜ」
どうやら、可変魔道アーマー「ビルドムーバー」の開発中止に思いをはせているようで。ぶちっと傍らの草をむしって投げる。
その横には、魔導トラック(ka5484unit001)が一台。
運転席の扉は開かれ、狐中・小鳥(ka5484)がドライバーズシートに横に座っている。両脚は扉の外で、ぶらぶら揺らしていたり。スリットのえらく深いチャイナ服の裾も揺れる。
「ビルドムーバー、発売されるなら買おうと思ってたけどダメになったのは残念だねー。しょうがないとはいえっ」
残念、と左腕をハンドルに乗せてしなやかに腰をひねる。
「色々悩ましいけど……まぁ、まずはやることやってからだな」
レオーネは森を背にして座っていたので、作戦に参加した皆の機体があちらこちらに見える。狙撃戦を想定しているのでいずれもくぼみに身を伏せているが。その向こうには、ポカラ駐屯地。
「大きい蜘蛛が相手かー……」
小鳥の魔道トラックは森の方を向いている。森に近いと遠くは見えないが、森の中を縫うように接近された場合は近くで木々の間を見ていないと発見できないからだ。
それはそれとして、ぽややん、と口にしたあと慌てたように付け足す。
「な、生身の近接戦闘依頼じゃなくてよかったんだよ」
「ああ。糸がー、ってやつね」
「あと、昆虫嫌いってわけじゃないけど、やっぱり見た目的になんか、ね」
「ん?」
レオーネ、小鳥の言葉を遮った。
駐屯地からのろしが上がったのだ。
この少し前、狙撃班。
「うう~」
ディーナ・フェルミ(ka5843)がR7エクスシア(ka5843unit002)のコクピット内で唸っていた。
「フォルケのアバルトだ。どうした?」
すぐに魔導短伝話でアバルト・ジンツァー(ka0895)が声を掛けて来た。
「CAMに乗ると近接して魔法が使えないからもぞもぞした気分になるの…」
「ああ、分かる分かる。あまり操縦してないとコツとかがまだね~」
もぞもぞしていたところに、トランシーバーで天竜寺 舞(ka0377)の声が入って来る。ちなみに舞は、魔導型デュミナス「弁慶」(ka0377unit001)で草原の窪地に伏せて身を隠していた。
「姿勢の問題もあるだろう。慣れるまでは敵がくるまであおむけで待機するのも手だ」
元宙軍特殊任務部隊所属のアバルト、コクピットで座ったまま宙吊りみたいな姿勢になる辛さに理解を示す。もちろんアバルトも乗機、魔導型デュミナス「Falke」(ka0895unit003)で平伏潜伏中。ディーナももちろん同じ姿勢だ。
「そういう意味じゃないの~。……でもR7は私と違って射撃が得意だから何とかなるの、多分」
「ああ、大丈夫。愛機を信じろ。何とかなる」
アバルト、こっそりと微笑。
「そうそう。実戦でコツを掴んでいくしかないよね!」
舞も同調し、いい雰囲気だ。
ちなみにこの時、美亜・エルミナール(ka4055)。
「敵さん、遅いねー」
魔導アーマー「ヘイムダル GーCustom」(ka4055unit001)で森の外縁ぎりぎりで待機。長く改造した両手を付き身を屈めて潜伏している。小鳥やレオーネとは距離が離れている。囮になる二人と同じ場所にいて味方の射線に居座り攻撃を受けるわけにはいかない。
ちらと草原の方を見る。
味方三機がうつぶせで隠れている。当然、パイロットはシートで超前傾姿勢を強いられている。
「四足の機体なら平伏していてもパイロットの姿勢は楽なんだけどね」
設計してくれればいいのに、とか。
そしてディーナたち。
「早く来るといいの~」
「……来た」
ディスプレイの変化に気付くアバルト。
「よし」
楽な姿勢に崩しかけていた舞、しっかりと戦闘態勢に入る。
森の近くの二人は。
「来た。作戦開始だ」
レオーネ、のろしを確認。すかさずトランシーバーで味方に伝達するとまるで着るようにプラヴァーに搭乗。車輪の音を響かせまず下がり目視確認に行く。
「静かには来なかったんだね。それじゃ射撃準備するんだよ」
囮役にもなる小鳥、扉を閉めてシフトをバックに。魔導トラックをアクセル全開でバックさせ森の端から離れると、主砲の車載砲「パンテレスD7」の砲口を木々の上に固定して待ち構えるのだった。
やがてがさ……ばさっ、など枝を押しのける音が遠くに聞こえ始め……いや、だんだん近寄って来たぞ!
●
「先制で一気に行くんだよっ!」
――ドゥン……。
全長約4・6mの車載砲「パンテレスD7」がジャンプの頂点でやや滞空する大蜘蛛目掛け火を噴いた。発射の衝撃で魔トラのサスが沈んで車体が揺れる。
この一発は敵の腹にヒットするが、貫通などはしない。空中に浮いて腹が丸いだけに、衝撃を逃がすようにバランスを崩し森の中に落ちた。もちろんダメージはあるようだが。
ただ、全く隠れることなく森の近くから撃っただけあって、ほぼすべての敵から目の敵にされる羽目になる。
――ぶしゅっ、ぶしゅーっ!
「あややっ!」
一斉に白い糸が飛んで来た。
小鳥、次の発射をやめて高速でバック。幅広い地点が白くなり、逃げたはずの魔道トラックのフロントガラスにも着いた。量が少ないので何とかワイパーで払うことができたが、回転部にも絡んだかすでにワイパーブレードの挙動が重い。
「これだけ食らったら脱出できずにお終いだよっ。……それでも近付く相手にはどっかーんといっちゃうよー」
敵はジャンプしているだけにリズムがある。一斉放射だったので間隙も一斉だ。小鳥、次にジャンプしてくるタイミングに合わせ一発放ってハンドルぐるり。
「燃えて脱出、フェニックスチャージ!」
限界まで踏み込むアクセル。魔導エンジン最大出力。
炎の幻影を纏い一直線に逃げた!
もちろん、後方狙撃組がこれを座視しているわけはない。
「……やはり厄介な攻撃を仕掛けてくるようだな」
アバルト、敵が森の上で飛び跳ね小鳥を狙ったところで200mm4連カノン砲をぶっ放す。ぎゃーっ、という不気味な悲鳴のような音とともに飛んでいき命中。ただ、敵は威力にくるくる回って落ちた。うまく被弾の威力を逃しているようだ。
こちら、舞。
「あたしの『弁慶』で蹴散らしてやるよ! 高速演算……マルチロックオン!」
長大な砲身の105mmスナイパーライフルを構えたまま敵の動きを予測。アバルトと同じタイミングでトリガーを引く!
「狙い撃つよ!」
複数の敵を狙い、発射。
こちらは一匹の足一本を吹っ飛ばし、もう一匹はやはり腹にヒットするも回転して落ちる。
「敵、軽すぎるんじゃないの?」
命中後の敵の挙動に舞、少し不満げ。
もちろんディーナもすぐに反応していた。
「早く居なくなるの」
チェーンガンともいえる試作型スラスターライフルでマテリアルライフルスキル使用。小鳥を狙って一斉に蜘蛛がジャンプしているところ、一直線で複数ダメージを狙うつもりだ。
が、やはり一発で仕留めることにはならず。
「……これは魔刃「凶骨」の怨霊の呼び声が炸裂するかもなの」
接近戦になるなら準備があるの、と先の展開へ奥の手も辞さず、の構えを見せる。
そして遊撃位置にいる、美亜。
「ようやく出番だ!」
コクピットでバイク型操縦桿をひねってアクセル・オンじゃなく、パワーゲイン。
ゴリラのシルエットを模したGカスタム、上体を起こし30mmガトリングガンを構える。手のグリップだけではなく肩と胸部に増設したハードポイントも活用しがっちりホールド。横合いから空中の敵にとりあえずブッパ。タタタタタ……と弾を好き放題ばらまいた。
これが狙撃本隊との射撃と相まって、クロスファイアの形となる。敵の特性で全滅には至らないが、それも織り込み済みだ。
「制圧射撃なんだからこれでいいよねー。さて、これで跳んでは来ないでしょ?」
美亜の言葉の通り、次に跳んだ蜘蛛は一匹。
小鳥の一撃離脱に大きく貢献することになる。
遊撃隊は他にもいる。
「空中から狙ってくれてる時は楽だね」
レオーネである。敵が遮蔽物のない空にいるため動向を探りやすい。
小鳥の傍から離れ狙撃隊の傍に行きその行動で敵襲来を告げて戻ってきたのだ。味方機から親指を立てるポーズを受けたのでホイールをうならせ即帰還。
そして戦況はちょうど味方の十字砲火が収まり、小鳥がそれでもジャンプして来た蜘蛛に砲撃し回れ右していたところだった。
フェニックスチャージで炎のトラックと化し距離を取る小鳥機。これがいい囮になっている。
レオーネは地面を気にしていた。
「地面に糸が残ってるのが嫌だけど……」
しばらくすれば消えるようだが、その前に上を通ってタイヤもしくはホイールに巻き付いて機動力が落ちるのは勘弁だ。
かちゃり、と長大なランスカノン「メテオール」を構え一瞬腰を落とす。
そして力を籠める!
「スキルトレース。……跳べるのはそっちだけじゃないんだぜ!」
ジェットブーツのように大きく跳躍。
空回りするローラー。
小鳥の砲撃を受けさすがに力なく落ちて来る大蜘蛛のかなり前方を横切り飛翔する渡り鳥の騎士の白騎士のような機体。
ぐるりと回させるランスカノンの穂先、その奥にある砲口。
――ドンッ! ……がしゃっ、きゅきゅきゅ!
縦に逃げる小鳥機を背後に、横から跳躍してカットインしたレオーネ機が着地しその場で旋回し、ぴたっ。上から襲ってきた大蜘蛛はその後方に落ち、力尽きた。
●
囮を使ったのはハンター側だけではない。
「また出てきたの」
「今度は跳躍、高いよ!」
ディーナ機のマテリアルライフル、紫色の光線で一直線に伸びるが蜘蛛の跳躍の最高到達点は先ほどより高い。跳躍頂点の滞空時間を狙った射撃はタイミングを外してしまう。舞機のスナイパーライフルも同じく。「今度は」と舞が言ったのは初撃のことを指すほか、直前に一匹だけ低く跳ねて小鳥機を狙ったフェイントジャンプも指している。
敵、今度は時間差と高低差を付けて本格的な狩りの動きに移行していた。
「……これは接近を許さぬように砲射撃でなるべく仕留めたいものだ」
アバルト、ぎゃぁぁ、うぎゃあ、と悲鳴に似た発射音をさせとにかく4連カノン砲をばらまく。敵の変化をつけた跳躍により合わせることができなかったためばらまいているといっていい。
しかし、大跳躍した蜘蛛の狙いはアバルトたち狙撃本隊への肉弾戦。景気よく弾をばらまくと距離を詰められたタイミングでリロードという悲劇に見舞われるぞ?
「全機、動けるようにしておけ、来るぞ!」
通信機にそう叫んでおいてフォルケを起こした。草原の色にマッチしていたカーキ色の巨体が片膝立ちとなる。両肩の鷹の意匠が陽の光を浴びて輝き……。
走った!
これまで陣取っていた、身を隠すのに都合の良かった場所をあっさりと放棄した。
がっしゃがっしゃと横に移動しつつ撃ち切ったカノン砲をガンラックに戻す。リロードはしない。
代わりに30mmアサルトライフルを構えた。
「……相変わらず取り回しがいいな」
もう、隠れることなどしない。アサルトの使い勝手を誉めつつ銃口をぐるりと回しつつマルチロックオン。大ジャンプして着地した二匹にぶっ放す。ちなみに、さっきまでいたところは糸で白くなっている。潜伏していても敵が飛んでいたので発見されやすかったのだ。
この時、舞。
「広い場所だけど乱戦になればきっと効果もあるよね」
弁慶にスキルトレースで隠の徒。気配を消すような動きで潜伏場所を離れた。
そのおかげもあるのかこちらに来たのは一匹。
移動前の元居た場所付近に着地している。白い糸は弁慶の動きを察知していたように移動した側へとずれて着弾している。
刹那、こちらを向く大蜘蛛。
舞、自分が狙われていると気付く。
敵の次の動きを察知した瞬間だ。ライフルの銃口を敵に合わせた。
同時に蜘蛛、跳躍!
――ドン!
銃撃、やや遅れた。跳躍した蜘蛛の尻に命中。逆にこれで蜘蛛の糸は飛んでこない。むしろラッキー。
が、その分跳躍は残っている。
覆いかぶさるように蜘蛛が迫って来た。どあっぷになる蜘蛛の顔と鋭い牙!
やられる――。
「弁慶!」
舞、ぎりぎりの場面で頼ったのは身に沁みついた自分自身の動き。
スキルトレースからのマルチステップで横っ飛び。
いや。
わざとギリギリの回避だ。
そして手にはぎらりと刃の輝き。片手持ちしたライフルを敵に襲わせ、1300mmコンバットナイフを反対の手で抜き放っていた!
「八艘跳びでもよかったんだけどね」
蜘蛛の着地を追うように弁慶の身をひねり、複眼を狙ってざっくり。飛び散る体液をかぶりながらもさらに突く、突く。
「きっちり止めを刺しておかないとね」
今度は大きくバックステップして念のためにライフルでドン。腹部を狙って最後に糸を食らうなどないように息の根を止めた。
二人が目立ちにくかった半面、ディーナが苦労していた。
「一直線になってくれないの」
スラスターライフルから貫通攻撃のマテリアルライフルで一気殲滅を狙っていたが、これにより対応がやや遅れた。すぐに各個撃破に切り替え空中で一体落としたものの、二匹に近くに着地された。
瞬間、これまで苦労したり楽しかったりした記憶がよみがえった。
ビルドムーバーの改造のため、新年互礼会で技術者集団「十三夜」の仲間集めをしたこと。
ポカラ村難民を迎えた花見に参加しポカラ村駐屯への流れに立ち会ったこと。
仲間集めでは壁際の積極的でない参加客に声を掛けた。花見ではおやつを差し入れ皆と楽しんだ。
そして今日は、ガリアたち十三夜が大工場に迎え入れられたと聞いて来た。
そう。祝いに来たのだ。
「無粋な歪虚はさっさと退場なの!」
襲い掛かって来た一匹にスラスターライフルを投げつける。
間髪入れず残りの一匹が襲ってきた。
が、ライフルを捨てたのは……。
「まさかこの魔刃「凶骨」を振るうことになるとは……」
がしっ、と骨をくみ上げて作られたような不気味な形状の鎌を手にした。スタイリッシュなエクスシアが禍々しい印象となる。
敵の突っ込みをマテリアルカーテンでいなしておいて……。
「……ちょっぴり思ってたの!」
嬉々として鎌をぶん回した!
蜘蛛の頭と胴体が泣き別れだ。体液が派手に飛び散る。
「はっ!」
が、背中はがら空きだ。先に一匹が迫っているぞ?
刹那。
「うー、近接武器はないけどできないわけじゃないんだからね!」
何かが横合いから突っ込んできた!
「タダのトラックだと思って馬鹿にしないでほしいんだよ! 今度こそ燃えて突撃、フェニックスチャージ発動!」
小鳥の魔道トラックだ。
魔導忍法火の鳥ではないが、燃えて体当たりしそのままひき殺しの刑に処した。
「ふぅ……」
ばたんと開いたドアからすらっと伸びる生足。
小鳥、トラックから出てディーナの安否確認。
「ありがとなの」
ばこっとハッチを空けたディーナ、満面の笑顔である。
●
時は遡り、森の近く。
制圧射撃をした直後の美亜。
「まさかまた跳ぶとはねー」
一匹飛び跳ねた後にばらまく。
前回は一斉に飛んだので敵が見えなくてもこのタイミングでばらまいておけばクリーンヒットだ。
が、敵は来なかった。
銃撃が止んだところで後続多数がぴょーんと高く跳ねた。
「ま、行動阻害の射撃にはなったでしょ。それより……」
美亜、慌てて高く飛んだ敵本隊を追って弾をばらまくなどはしなかった。
「……なんでもできなきゃ傭兵なんてできないんじゃあ。火力支援舐めたらあかんぜよ」
ぱちんぱちんと手元のスイッチを操作する。
Gカスタムはこの操作でガトリングガンを捨てた。
さらに背後。
重厚なヘルダイムの特徴ともいえるスタビライザーががこんと展開。がっしりと大地に接地。第三の足となりGカスタムの巨体を支えた。
――がしっ……。
そして新たに構えるは、対空砲CC-01。
背負っての運用もできるが、ハードポイントを増設したGカスタムならばと通常の構え。本来、対空戦闘を想定して開発されているので近距離戦闘には向かないが……。
「対空砲だからって水平射撃しちゃいけないとは書いてない。大昔の軍人だってやったことだしぃ」
なんと、仰角無しの構え。
森の中は見えないが、間違いなく来ると判断している。足が吹っ飛んだ敵がいたことも確認している。
そして、木々の間に光る複眼を確認!
「そこだぁっ!」
木々をすり抜け一直線に伸びる対空砲火。
ごぼっ、と命中音。空中ではないので威力を逃がすことなく食らったようだ。
――ざざっ!
「はっ!」
一匹、飛んだ。糸が降って来た。
がしっ、と左前腕部を掲げ敵ののしかかりを受け止めた。
「腕の大型化は伊達じゃないんじゃあ!」
身をひねりつつ右で大地に叩きつけるように殴りつけた!
そして、アバルト。
「む?」
アサルトで狙った蜘蛛一匹は転がったが、まだ生きている。そのまま横に動いた。これまでにない動きだ。
さらに、それに一瞬視線を取られるうちにもう一体がジャンプ!
「叩き落とすまではいかないか」
背中に装備していたバルディッシュに換装したが、ぶん回して叩き落とすには間に合わない。そのまま掲げて敵の突撃を止めた。
蜘蛛、牙でがっちりとバルディッシュの柄にかみついた。このまま逃がさないという構え。さらに腹を動かし糸を吐こうとしたが……。
「……この距離感で戦う気はない」
なんとアバルト、バルディッシュを手放した。
そのままスラスタージャンプで高速後退するフォルケ。とりついていた大蜘蛛、そのままバルディッシュとともに行き場を失う。
が、それを撃たない。再びアサルトを手にしているというのに。
「任せる」
くる、と横を向くフォルケ。
その目の端には、ものすごい勢いでジャンプし突っ込んで来たプラヴァーの姿があった。
「小回りが利くのはそっちだけじゃないんだぜ!」
レオーネである。
腰ダメに構えたランスカノンの穂先、ランス部分を前にがっちり構えた姿勢でジェットブーツでジャンプ。わが身を砲弾のようにしていま、バルディッシュに食いついていた大蜘蛛の腹に突撃。槍を構えたままだったのは最後の最後に逃げた場合、その動きに合わせるためだったがそれもない。腹に突き刺し着地と同時に大地に突き刺した!
そしてアバルト。
「……この手負いの敵をそのまま逃がしては後顧の憂いを残すこととなるだけ」
まだ生きて横に回り込んでいた蜘蛛を忘れていない。冷静に狙撃して止めを刺すのだった。
●
「遅くなってすまん。敵はもうやっつけたようじゃの」
帰投すると十三夜のガリアたちが駆けつけていた。
「ガリアさん、おめでとうございますなの! ガリアさん達の熱意と技術が認められたの、とってもいい事なのっ!」
ディーナがすぐさま駆け寄ってわがことのように喜ぶ。これにはガリアたちも笑顔がはじけた。少しばつが悪かったようだが、救われたような形だ。
「努力が認められたお祝いと雑魔退治のお祝いは一緒にしていいと思うの。今後の計画は打ち上げしながらやりましょうなの」
むふん、と得意顔なディーナ。この手際の良さには皆、笑うしかなかった。
「しかし、残念だなぁ」
小鳥や守備隊の面々の焼いた焼き鳥にかぶりつき、レオーネがぽそり。
「まあ、ロマンはロマンでしかなかったか。この上は可変データが次世代機に生きることを祈りましょ」
美亜も少し残念そうだが、先を見据えて串にがぶり。
「妹は残念がるかも。……でもあんた達がしっかり活用しなよ」
舞はモータルを見つけて背中をバシン。
こちら、アバルトは地図とにらめっこ中。
「堀や柵などの防衛用障害物を設置。砲戦型を含めた刻令型ゴーレムなどを配備……人的被害を最小限に抑える避難壕も欲しいな」
「確かに時間さえ稼げれば増援が間に合うしね? とりあえずの防衛にはゴーレムっていい気がするっ」
横で小鳥がうんうんと盛り上がる。
これに興味を引かれた美亜が頭を突っ込んだ。
そしてなんと、守備隊の位置からすすっと指先を森に移したではないか!
「いっそ綺麗サッパリ森を焼くというのは……」
「え? それやっちゃうと敵の進行速度も速くなっちゃうんだよ……」
小鳥、汗たら~。
「……こほん」
アバルトは咳払い。
「……ダメ? ア、ハイ」
小さくなる美亜だが、戦略的見地がないわけではない。すぐに真面目な様子に。
「じゃ、堀がポイントになるんじゃない? ムーバー自体がまだ使えるって言うなら、地面を深く掘ってその土で壁を仕立て上げる事もそれほど難しくないだろうし」
「ふむ。しかし、ゴーレムの運用はモータルたちがハンターにならんと無理じゃな」
ガリア、いろいろ検討しているようだ。
「でもこの子達は実験機なの。皆を守るために今まで通りの運用でいいと思うの」
「ああ。ビルドムーバーに関してはディーナさんの言う通りじゃの」
ディーナが必死に、後方にあるビルドムーバーの価値を訴えた。ガリアはそれがうれしい。
そして、舞が立ち愛機に近付いた。
「大分操縦にも慣れたかな♪……これからも頼むよ、弁慶」
見守った皆は頷いた。
これからはハンターのユニットでここを防衛していくのだから。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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MVP一覧
- 灯光に託す鎮魂歌
ディーナ・フェルミ(ka5843)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼相談卓 アバルト・ジンツァー(ka0895) 人間(リアルブルー)|28才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/07/10 21:30:28 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/07/08 01:23:46 |