ゲスト
(ka0000)
【転臨】折り目正しき避難訓練@湾港都市
マスター:ムジカ・トラス

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/08/30 22:00
- 完成日
- 2017/09/15 00:23
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
ガンナ・エントラータ。王国最大の湾港都市であり、同時に最大の貿易都市でもある同市は、王国の中でも王都に並ぶ——あるいは局所的には超えうるほどの賑わいを誇っている。
代々、シャルシェレット家が治めていることは知られているが、実態としては立地的優位性、経済的妥当性から、ごくごく自然と発展してきたに過ぎない。利便性のよい土地に、整備された港があり、細心の注意をもって治水や防波工事が行われ、大型の船舶が造船される造船所では長い航海の後の修繕も可能、ついでに歓楽街も有り——となれば、商業においておよそ必要とされるすべてが揃っている。経済的な王国の門である実態故に、同都市には、他国のものと合わせると実に多数の商館が立ち並んでいる。
さて。同都市の領主が経営しているという、灰色極まる商会、第六商会の商館も、当然ながらそこにあった。
●
「君たちには、避難訓練の実施と、避難計画の策定をしてほしいんだ」
その男は、開口一番そう言った。ヘクス・シャルシェレット。銀髪銀髪の男は、目を細めてにこやかに、傍ら、白髪をなでつけた執事服の老人——セバスという——を見やる。その右手には、蛇の意匠が見事な腕輪があった。ハンターたちの前には大型の木製机と、淹れ立ての紅茶が置かれている。
「最近、いろいろ物騒だろう? 折角だし、たまには領主らしいことをしようかなって思ってね。もちろん、この町は広大だから、各区画に分けての依頼になるんだけど——君たちには、此処、【第六商会】の本館周囲の区画の避難計画を頼みたくてさ」
参加者のもの問うような視線に気づいたか、へクスは笑みを浮かべたまま、人差し指を立てた。
「や、この町は結構歴史があるからさ。もちろん歪虚対策だって十全、なんだけど……例外もあってね。それが、この"内側"について、なんだ」
青年の後方には、同市の地図があった。区画ごとに区切られており、碁盤の目のような通りを中心に、幾何学とエントロピーの複合体としての美が刻まれている。
「この街の検閲は厳しくてね。工場はあるけれど、環境にも配慮してる。危険な場所で商いなんてしたくないだろ? 内部で歪虚が自然発生するようなことは避けてきた結果ではあるんだけど——王都強襲のあのときとかの事情を踏まえると、そうもいってられないからね。結構な数の歪虚が、防空性能を貫いて攻めてくる可能性も否定できないし」
それに、と付け加えた。
「もし大型の歪虚とか、強力なやつを落としてきたりとかしたら、大変だろう? とはいえ、"僕たちにそんな経験をしている者"なんて少ないから、さ」
にへら、と笑い、へクスは面々を見渡した。
「それなら、経験豊富で、何なら攻める側にだってなれそうな君たちに聞いた方が早いんじゃないかな、って。そういうわけさ!」
そうして、傍らのセバスを横目に見た。老人のかすかなうなずきに満足げに笑うと、
「それじゃあ、あとはよろしく」
そう言って、へクスはその場を後にした。
●
「まず最初にご理解いただきたいことは、"実際の避難誘導などは第六商会である我々が担当"することでございます。つまり、へクス様を通してはいますが、実際の依頼は我々、第六商会より行われているとご理解ください。へクス様から委託された業務——有事の際の避難誘導など——について、我々第六商会から皆様へと依頼を出している、という形です」
各員への資料配付を待ってから、セバスは告げた。
「本商館は、"領主様の配慮"も有り、一般の商館や商業施設、工業地帯からは離れた位置に置かれており——周囲はおおよそすべてが、民家となっております。その上で、皆様に担当していただきたい土地は、本商館を中心に、1km四方となります。住民の数としては凡そ1000人程度。今回は依頼として、100名程度の避難者を用意しております。病人10、幼年15、成人60、老人15という内訳で、各地に配置しております」
地図にはすでに、各地の病人、幼年、老人らの配置が記載されている。実際にどのような住民がいるかを、大凡の比率でまとめ配置したものであると資料に記載されていた。
「また、当商館のスタッフから10名を、本依頼に動員しております。覚醒者である皆様の分は、当会の覚醒者で補填しますので、補助用の人員として動員ください」
最後に、と、セバスは穏やかな表情で告げた。
「重要事項になりますが、避難場所として、当館は利用できません。資料保持、機密保持の観点から、いかな慈善事業、有事対応とはいえ、それは許容できない——という私の判断から、でございますので、その点はご了承ください。それでは、私からは以上となります」
そうして、老人は丁寧に一礼をするとその場を後にした。
●抜粋/避難誘導中
一部、訓練中の状況について、抜粋しておこう。
「くっくっく……はァーハッハッハッハッ!」
逃げ惑う市民(仮)とハンターたちを前に、男は大笑した。
「歪虚見参! ついでに僕はその中でもレアキャラである、えーと……ヘビックス! そう! ヘビックス・シャルシェレットさ! つまり……そう、結構強いってことだ。お金もあるしね。仕方がない。だれだって強くなるために最善を尽くすものだろう? 僕だってそうさ。どれだけメガネが渋ったって金さえあれば装備強化だってちょちょいのちょい。幸い、装備品(ロゴ:サンプルヒン)には困らないからね。え? 訓練じゃないのかって? そう。これは訓練さ。だからそう、よりよき訓練のために無辜の民を襲う歪虚役だって必要不可欠じゃないか! そう思わないかい? だからほら、逃げ惑うなり立ちはだかるなりしてくれると訓練らしくっていいんじゃないかな!」
男は、蛇の仮面をかぶっていた。笑んだ口元だけが、わずかに見えるのみ。
それでも、中の人は一発でわかる。この街の腐れ領主にして、避難訓練の企画人だろう。男は爽やかに両手を天に向けると、手にした銃、それぞれの引き金を引いた。
軽い銃声——しかし、本物に相違ないそれが、大気を叩いた。
「当然実弾入りだ! 大丈夫、たぶん死なないくらいの手加減はできると思う! ついでに僕は病人だって老人だって女子供だって容赦しないよ! 歪虚だもの!」
あなたは訓練を優先すべきだろうが、これもまた、訓練には違いない。
この男を倒してもよいし、倒さなくてもよい。
ガンナ・エントラータ。王国最大の湾港都市であり、同時に最大の貿易都市でもある同市は、王国の中でも王都に並ぶ——あるいは局所的には超えうるほどの賑わいを誇っている。
代々、シャルシェレット家が治めていることは知られているが、実態としては立地的優位性、経済的妥当性から、ごくごく自然と発展してきたに過ぎない。利便性のよい土地に、整備された港があり、細心の注意をもって治水や防波工事が行われ、大型の船舶が造船される造船所では長い航海の後の修繕も可能、ついでに歓楽街も有り——となれば、商業においておよそ必要とされるすべてが揃っている。経済的な王国の門である実態故に、同都市には、他国のものと合わせると実に多数の商館が立ち並んでいる。
さて。同都市の領主が経営しているという、灰色極まる商会、第六商会の商館も、当然ながらそこにあった。
●
「君たちには、避難訓練の実施と、避難計画の策定をしてほしいんだ」
その男は、開口一番そう言った。ヘクス・シャルシェレット。銀髪銀髪の男は、目を細めてにこやかに、傍ら、白髪をなでつけた執事服の老人——セバスという——を見やる。その右手には、蛇の意匠が見事な腕輪があった。ハンターたちの前には大型の木製机と、淹れ立ての紅茶が置かれている。
「最近、いろいろ物騒だろう? 折角だし、たまには領主らしいことをしようかなって思ってね。もちろん、この町は広大だから、各区画に分けての依頼になるんだけど——君たちには、此処、【第六商会】の本館周囲の区画の避難計画を頼みたくてさ」
参加者のもの問うような視線に気づいたか、へクスは笑みを浮かべたまま、人差し指を立てた。
「や、この町は結構歴史があるからさ。もちろん歪虚対策だって十全、なんだけど……例外もあってね。それが、この"内側"について、なんだ」
青年の後方には、同市の地図があった。区画ごとに区切られており、碁盤の目のような通りを中心に、幾何学とエントロピーの複合体としての美が刻まれている。
「この街の検閲は厳しくてね。工場はあるけれど、環境にも配慮してる。危険な場所で商いなんてしたくないだろ? 内部で歪虚が自然発生するようなことは避けてきた結果ではあるんだけど——王都強襲のあのときとかの事情を踏まえると、そうもいってられないからね。結構な数の歪虚が、防空性能を貫いて攻めてくる可能性も否定できないし」
それに、と付け加えた。
「もし大型の歪虚とか、強力なやつを落としてきたりとかしたら、大変だろう? とはいえ、"僕たちにそんな経験をしている者"なんて少ないから、さ」
にへら、と笑い、へクスは面々を見渡した。
「それなら、経験豊富で、何なら攻める側にだってなれそうな君たちに聞いた方が早いんじゃないかな、って。そういうわけさ!」
そうして、傍らのセバスを横目に見た。老人のかすかなうなずきに満足げに笑うと、
「それじゃあ、あとはよろしく」
そう言って、へクスはその場を後にした。
●
「まず最初にご理解いただきたいことは、"実際の避難誘導などは第六商会である我々が担当"することでございます。つまり、へクス様を通してはいますが、実際の依頼は我々、第六商会より行われているとご理解ください。へクス様から委託された業務——有事の際の避難誘導など——について、我々第六商会から皆様へと依頼を出している、という形です」
各員への資料配付を待ってから、セバスは告げた。
「本商館は、"領主様の配慮"も有り、一般の商館や商業施設、工業地帯からは離れた位置に置かれており——周囲はおおよそすべてが、民家となっております。その上で、皆様に担当していただきたい土地は、本商館を中心に、1km四方となります。住民の数としては凡そ1000人程度。今回は依頼として、100名程度の避難者を用意しております。病人10、幼年15、成人60、老人15という内訳で、各地に配置しております」
地図にはすでに、各地の病人、幼年、老人らの配置が記載されている。実際にどのような住民がいるかを、大凡の比率でまとめ配置したものであると資料に記載されていた。
「また、当商館のスタッフから10名を、本依頼に動員しております。覚醒者である皆様の分は、当会の覚醒者で補填しますので、補助用の人員として動員ください」
最後に、と、セバスは穏やかな表情で告げた。
「重要事項になりますが、避難場所として、当館は利用できません。資料保持、機密保持の観点から、いかな慈善事業、有事対応とはいえ、それは許容できない——という私の判断から、でございますので、その点はご了承ください。それでは、私からは以上となります」
そうして、老人は丁寧に一礼をするとその場を後にした。
●抜粋/避難誘導中
一部、訓練中の状況について、抜粋しておこう。
「くっくっく……はァーハッハッハッハッ!」
逃げ惑う市民(仮)とハンターたちを前に、男は大笑した。
「歪虚見参! ついでに僕はその中でもレアキャラである、えーと……ヘビックス! そう! ヘビックス・シャルシェレットさ! つまり……そう、結構強いってことだ。お金もあるしね。仕方がない。だれだって強くなるために最善を尽くすものだろう? 僕だってそうさ。どれだけメガネが渋ったって金さえあれば装備強化だってちょちょいのちょい。幸い、装備品(ロゴ:サンプルヒン)には困らないからね。え? 訓練じゃないのかって? そう。これは訓練さ。だからそう、よりよき訓練のために無辜の民を襲う歪虚役だって必要不可欠じゃないか! そう思わないかい? だからほら、逃げ惑うなり立ちはだかるなりしてくれると訓練らしくっていいんじゃないかな!」
男は、蛇の仮面をかぶっていた。笑んだ口元だけが、わずかに見えるのみ。
それでも、中の人は一発でわかる。この街の腐れ領主にして、避難訓練の企画人だろう。男は爽やかに両手を天に向けると、手にした銃、それぞれの引き金を引いた。
軽い銃声——しかし、本物に相違ないそれが、大気を叩いた。
「当然実弾入りだ! 大丈夫、たぶん死なないくらいの手加減はできると思う! ついでに僕は病人だって老人だって女子供だって容赦しないよ! 歪虚だもの!」
あなたは訓練を優先すべきだろうが、これもまた、訓練には違いない。
この男を倒してもよいし、倒さなくてもよい。
リプレイ本文
●
物事は初志こそが肝要だ。依頼を受けた一同は思索と、調整の時間を設けた。
黒髪に眼鏡の青年、誠堂 匠(ka2876)は黙考する。為すべきこととは別に――その、必要性について。
「街への強襲か……あまり、考えたくはない事態だけど」
想起されるのは、彼自身も目にした"先王"とその配下達だ。王国を識る者が相手なればこそ、最善を尽くす必要がある。
「そーなったら、終わりって感じもするけどねえ……」
鵤(ka3319)が、わずかに口元を歪ませつつ外を眺めた。やや騒がしいが、平和な光景だ。同じものを眺めて、フェリア(ka2870)は溜め息をついた。
「……いったい、何を考えていますやら」
「まあ、まあ」
取りなしたのは、マッシュ・アクラシス(ka0771)。黒髪の帝国人は、その表情をぴくりとも動かすことなかった。
「何事も、計画。準備するに越したことは無い。いやはや、全くですな」
「少し、業腹じゃがのう」
何が、とは言わないが、フラメディア・イリジア(ka2604)は扉を眺めつつ零す。一方で、アイシュリング(ka2787)の細面が、真剣そのもののの表情に転じていく。配布された資料を読み込んでいくうちに、懸念が広がった。
「千人もの人が住んでいるのね……実際に緊急時に避難するとなると、かなりの混乱になりそう。そのうちの百人とは言っても、かなりの人数だわ」
「実際に逃げるのは住民だしな……パニックに陥った者が増えた数だけ想定通りにならねぇ」
注意するのはそこだろうな、とカイン・シュミート(ka6967)は呟いた。その手が、首元の飾り――二つの指輪が連なったそれを、揺らす。意見のもとは、自分自身の経験ではなく近しかった者が残したもの。思わず、手が伸びた。
「まずは、避難のための準備、じゃな」
フラメディアの言葉に、頷きが返る。
「各市民が、避難のための荷物を準備しておくことじゃ。食事、水、防寒具に雨具、明かりになるものに……そうじゃな、ヘルメットや軍手などもあると便利が良かろう」
ついでに販売してみぬか? という問いに、セバスは微笑。
「好い案かと存じます。"避難活動への気運が高まるようなことがあれば"、なお好評を博すことでしょうね」
「各家に合ったほうが安全じゃしな。家をでる際に必要なものは、それぞれに用意しておくように通達しておくとなお良い」
「ふむ……」
挙げられた品目を前にセバスは暫し、黙考したようだった。"訓練"への影響を考えているようにみえる。たとえば、その、"偶発性"であるだとか。このような事案は同都市においても初めてなため、どこに目線と目標を定めるべきかは判断を要するのだろう。しばしして、見守るフラメディアの視線の先で、老紳士は頷いた。
「それでは、今回は通達することとしましょう。そのくらいの準備をしておく必要がある、という良い宣伝機会にもなりますしね」
「となると、同日の避難者の動き方は確定できそうだ」
話の推移を追っていた匠の言葉だった。
「警報などに合わせて予め用意しておいた荷物を持って家を立ち、各区域ごとに指定場所に集合。外出中なら近くの集団に合流することとして……あとは、老人や病人、子供についてだね」
よどみない言葉に、フラメディアが続く。
「そちらについては、リストの用意をしております。勿論、今回参加する100名の分だけでなく、実際に近隣住民全ての分までご用意しておりますので、避難計画に組み込むこと自体は可能ですよ」
――へー、あるんだねぇ……。
RB人の鵤が、少しばかりの驚きと、感心、そして若干の呆れを含んだ吐息を零す。この世界では大凡手作業になるはずで、その茫漠な作業量たるや、鵤としては実に勘弁願いたいものであった。つと、視線に気づいた。それがマッシュからの視線だと知ると、鵤は大きく欠伸をして、背を伸ばす。
……だからこそ、奇異なのだ。この準備の質と量は、ただの訓練に留まるには――少しばかり、過剰に見える。
その間にも、種々の打ち合わせは続いていく。
つと、フェリアがすらりと挙手をした。
「有事の際の避難ルートや避難場所が貼ってある場所があると覚えやすかったり、移動しやすかったりすると思いますが……それは、いかがでしょうか」
「現状、この都市には看板の類はありませんね。用意するとなると……少しばかり数が多い点がネックではございますが、準備自体は可能、かと。少し、時間が必要になりますが」
セバスの答えに、フェリアは微かな笑みと共に頷いた。掛かる金を厭う気配は無く、好意的に受け止められた、と思えたからだ。
「……実際に、避難する段階で想定される事態が肝要、かと思われますね」
「と、言いますと?」
話の動勢を見守っていたマッシュに、セバスが続きを促す。
「先程の――あの方のお話でもありましたが、"歪虚が来ないとも限らない"ですので……実際には、避難経路が定められていたとして、それを避けて移動する必要は出てきます。実際の避難時には判断を要することになるでしょうし、現実的には集合場所、そして、避難場所の記載と案内程度といった、必要十分な記載だけでもよろしい、かと」
「道順が違った時に、パニックになるのだけは避けたいところだしな……」
マッシュの提案に、カインが賛意を示す。大本の意見であるフェリアとしても、特に異論はなく、視線だけでセバスに委ねる。生まれを感じさせる、なんとも典雅な仕草であった。
「検討させていただきます」
その後、細々した準備や手順などを詰めて、事前の打ち合わせとしてはお開きとなった。想定よりも大掛かりな準備となり、訓練の日程は別日に設けられることになったが、これはハンターたちも賛成するところだった。
●
配布するにしても、モノが無くては回らない。フラメディアなどは余裕があればアグニを引き連れて街の散策――これは互いの"相互理解"を得る意味でもあった――を予定していたが、実際は首根っこを捕まれ、ほぼ不眠不休でマニュアル作成に従事することとなった。事前の準備として最も厚い意見を提言していたことと、マニュアル作成の重要性を解いた手前もあり彼女も否やはなかった。
無かったのだが――。
「やー、さっすがお膝元だけあって、酒も飯も美味かったねぇ」
「……ぬ」
などと、訓練参加者のリストと避難場所、集合場所が書かれた地図を眺めながら宣う鵤には殺意が湧いた。フラメディアは、ドワーフであり、酒も食にも目がない。退屈していたアグニをけしかけて、溜飲を下げたのも宜なるかな、である。
―・―
参加者への指導も行われた。これを担当したフェリアはグリフォンを連れ、各避難所に集合した面々に対して今回の要綱と段取りを説明する。グリフォンを同道させたのは当日生じうる混乱を避けるためであったが、フェリアの隣で折り目正しく座っている。
なお、避難訓練参加者は実際の訓練以外での時間的拘束が生じているが、安心してほしい。彼らには、第六商会からのお手当(時間給)が出ている。
その甲斐あってか、老若男女問わず、参加者の意識は高い。彼らにとっては、領主自身が発した号令に違いない。緊張、というには些か大げさだが、完遂への強い意志は感じられる。
「……今回の場合、訓練はむしろ結果発表みたいなもの、と考えています」
だから、フェリアはそう言った。彼らの意欲を削がず、さりとて、気負わせすぎないように。
「そして、問題点を洗い出す意味でも重要です。ですので……当日は、頑張りましょうね」
―・―
空いた時間を、アイシュリングは現地の確認に当てた。盤の目に組まれた通りを一つ一つ歩き、確認している。都市の広さを思えば担当する範囲は決して広くはないが、それでも相当な広さである。覚醒者であるアイシュリングにとっては大した労苦ではないが、どちらかといえば集中による疲労が勝り、息を零す。
「……整備された街、だけど、千人が本当に避難しようとすれば、相応に大変ね……」
それは、道の細々したところを確認しようとすればするだけ、労力がかかるのだ。たとえば建物。崩れそうなものはないか。通路に歪虚が潜みそうな死角はないか。火災が起きそうな調理店や、木造の家屋はないか。倒壊しそうな古い建物は――。そんなことを、流麗な字で地図に書き留めながらの道程だった。
勾配の有無や、道の具合なども踏まえ、これらを元に戦闘回避を心がけた最適ルートと、迂回路などを考える。
実際には千人いるという住民を参考に配置されたというが、その散在ぶりは効率とはかけ離れた配置になっているのも、苦労に拍車を掛けた。
「……あら」
漸く半分まで来たところ。向う先に、見知った顔を見かけて、声がこぼれた。
「よう」
それを拾ったか、気難しい顔のまま、青年が手を掲げる。同じく依頼を受けたカインであった。視線で問うと、カインは右手に持った地図を掲げる。
「紙面だけじゃ見えねぇ箇所ってあると思って、な」
「あら……実は、私もなのよ」
無表情なまま放たれたアイシュリングの生真面目な言葉に、カインは苦笑した。庶民じみた生まれのカインには、このエルフの振る舞いは目新しさがある。
「せっかくだ。突き合わせて打ち合わせようぜ。そのほうが早そうだ」
「ええ……お願いするわ」
●
高々と響くのは、魔導具を用いた都市内への臨時放送。これから行うのは訓練である、という通達の後に本物の警報が響く。
「始まったねえ」
鵤は身を預けていたソファから立ち上がると、軽い調子で荷をユキウサギに預けた。幻獣も心得たもので、荷を持ち上げて鵤を見上げている。
「役割は事前の通りで?」
「ええ」
「あい。じゃ、何かあったら"コレ"で」
鵤の問いに同じく支度を済ませたアイシュリングが応じた。鵤が自らのイヤリングを示したのは、無線でのやり取りを意味してのもの。一人この場に残るカインに言った後、そのまま、足早に商会を後にした。その後を、商会の担当員が追う。
「はーい慌てず騒がず落ち着いて行動しましょうねぇー。慌て過ぎて転びマシターなんざ、本番じゃ笑い話にもなりゃしねえからなぁ?」
そんな声が、通りの向こうへと消えていった。
残る面々も足早に担当地域へと散っていくのを見送って、カインは深呼吸。眼前には地図。訓練とはいえ――護るべきものが想定されたものだ。手抜かりは、出来ない。出来るはずもない。無線機を手に取り、告げる。
「人の流れ、進捗状況なんかは適宜連絡してくれ。此方で管制する」
●
「……なるほど」
感心したマッシュは、しかし、連絡には及ばぬと感嘆を胸に落とし込む。
担当地域に限れば25人にすぎない訓練参加者は頭に叩き込んでいるが、集合地点に真っ先に飛び出してきたのは、子供を連れた女性だった。背負った荷物の物々しさとその手際の良さも去ることながら、"周囲の視線"が、目につく。なるほど、そういう意図もあったか、という感嘆だ。
とまれ、女性は訓練どおりに行動し、集合場所の公園で子供たちを集めて周囲の様子を伺っている。残る訓練参加者の成人たちが駆けつけるのを確認すると、マッシュは誘導員二名に現地待機を命じ、残る人間を連れて移動を開始。
「救助の手が最も要る場所は?」
と、同道するスタッフに確認すると、すぐに「北に二区角に病人二名」と返事があった。
「いやはや、結構」
まず、そちらに向うこととする。老人や他の人間については成人男性参加者にまかせて、走り出した。
―・―
グリフォンの背に乗るフェリアが上空から見下ろすと、穏やかな町並みの中に確かな緊迫が見えた。
北方を広く移動しながら、状況を確認する。訓練参加者は特に混乱を見せることなく、予定されたとおりの行動が取れている。
焦る人間が少ないのは教導の賜物だろう。
「……すこし、やりすぎたかしら」
そんな反省も無いでもない。
俯瞰視点だからこそ、得られる知見もあった。実際には訓練参加者以外にも往来には存在している。それ故に移動はやはり少しばかり難しいと見え、急ごうとするあまり通行人と衝突しかけるケースも多く見られた。また、搬送に際しても人混みをかき分けて為すのは困難を伴うらしく、進みは鈍い。
高度を下げながら、「通してあげてください! 訓練参加者も焦らずに、整然と進むことを心がけて下さいね!」と言いつつ誘導を行うと、グリフォンの物珍しさも手伝ってか、渋滞めいた状況は次第にほどけていく。
そこに。
『管制より連絡。"歪虚"が出現した。場所は――』
連絡が、届いた。
●
アイシュリングにとって幸いだったのは、往来のど真ん中で"まるごとべりある"を纏った変態が現れたのが病人搬送を開始した後だったことだろう。ユキウサギのマーニと同道するスタッフへと告げる。
「私が足止めをするわ。先に避難場所へ」
「め、めええ! 歪虚だめええ!」
「…………」
歪虚役である彼を、哀れとは思わない。これは訓練なのだ。
無言で魔術を解き放つ。黒雲が湧き立ち、豚羊を包み込む、が。
「歪虚には効かめえ! です!」
豚羊はその暗雲を突き破って疾走。アイシュリングへと接近。その速さから疾影士と当たりをつけるが――彼女も手練だ。
「――遠慮は、しない」
此処で落ちるわけにも、行かない。避難民に恐怖を植え付けぬためにも、豚羊の足元に氷嵐を張り、迎撃に臨んだ。
―・―
各地から届く"目撃情報"。上空から見ていれば、各所で避難の流れが留められていた様がわかったことだろう。
カインはそれらを地図上に書き記しながら、取るべき経路を指示していく。歪虚の動き方が解らない現状では、大きく迂回するルートしか取れない。
『くっそォ、担架を運んでるのを見守ってれば済むシゴトだと思ってたのにねぇ……』
「セバスの様子をみる限りじゃ、何方かからの粋なサプライズらしい。それも給料のうちと割り切ってくれ」
鵤の愚痴に、カイン。その隣では、セバスが額に手を当ててうなだれている。そうこうしているうちに、道の途中で荷物から火が上がった、煙で道が塞がった、などの報告が届きはじめる。無線の向こうからは、悲鳴。おそらくは――訓練"非"参加者のものだろう。
「……やり過ぎだろう」
幸いなのは、参加者は皆平静を保ち、指示を護っていること、か。混乱の程度は大きくはなく、事故の予感は無い。
歪虚(役)にはハンターたちと、第六商会のスタッフが対応していく中――。
『此方、匠。大物と交戦中。そちらへ向かってる。留意を』
「……ちっ」
舌打ちを零し、地図を見下ろす。避難の進捗状況は、芳しいとは言い難い。
●
「ハーーハッハッハッ!」
匠は内心の困惑を押し込め、走る。声を、追うように。
そう、匠は今、追走していた。ヘク……ヘビックス――蛇男は斬りかかってきた匠を無視して手近な建物の上へと上がると、屋根沿いにある場所へと向けて走りだした結果である。予想外の動きとこちらの出足に動きを合わせられ、追走が遅れた。
「ねえ、君も見ただろう! 意味ありげにグリフォンが飛び出して、ハンターとか色々な人間が飛び出した場所を! あれは何だろう、気になるよね!」
「…………」
幸い、足は匠の方が早い。回り込む形で蛇男の眼前に飛び出す。白銀の刀が二連の光を刻むが、「おおっと!」と声だけを残して回避。そのまま、蛇男は屋上から飛び降りるが、匠もそれに続くと、進路を塞いだことが奏功したか、蛇男の足が止まる。にらみ合い――になると思われた寸前、蛇男は横方向へと飛び退る。
「避けるでない!」
声と轟音が、遅れて振ってきた。赤色のイェジドに乗ったフラメディアの渾身の戦斧だ。破砕された床を見て、遠慮がないな、と匠は思う。
「やけに遠慮がないね!?」
「歪虚ならば問題あるまいて!」
叫ぶ蛇男に、第六商会を背負う匠とは別方向――避難誘導が進む市民の方に立ちはだかったフラメディアは小柄ながらも豊満な胸を張る。
「我以外にも殴りたい奴はおるじゃろうが、だからこそ、ここでは我がぶん殴っておくとしようぞ!」
「流石歪虚、存在そのものが罪深いみたいだ……」
嘯きながら蛇男は二丁の銃をそれぞれ、匠とフラメディアに向ける、と。
「でもこれは"後ろ"が危ないから、避けないでくれよ」
"砲撃"した。
――その後、調子に乗った蛇男が大立ち回りしたあげく、終いには避難を終えたハンターたちと空からの魔術に追い立てられた後にハンターたちに囲まれて降参することになるが、諸般の都合で割愛しよう。
●
反省会をしましょう、というアイシュリングの一声で、一同は再び第六商会に集合した。
「ハンターの参加者じゃおっさんらが一番のりだったって?」
「そのようで」
避難場所にマッシュが到着したのとほぼ同時、鵤が到着したという。
「そちらは歪虚は……」
「え? 足止めできたから置いてきたけどぉ? 実際は俺らとは別にセキュリティは他に居るだろうしさ」
「私も似たようなものですが――」
と、傍らのユキウサギを撫でる。ユキウサギの結界術を盾に機動術で足止めが効いたこと、敵に攻撃手段がないことを確認すると直ぐさま撤退した。マッシュもそうだ。歪虚が居ると言われる経路を徹底的に避けた結果、交戦時間そのものが短縮でき、避難誘導自体に大きな影響は無かった。
脅威度次第では対応するのも吝かでは無かったが、取り立てて"非参加者"に対して暴れる気配もなかったため、無視をしたのだが――。
「現地のセキュリティの位置や接近状況も把握できたら良かったですね」
「……確かに、そうだな。あー……」
頭を書くカインだが、身体的な労苦はさておき、頭が困憊していて、なかなか言葉にできない。
「……そうなると、流石に人手が足りないな。百人を相手にこれじゃあ、実際にする段では手が回らない。各地域ごとに一名は居た方がいいだろうな……」
奮闘ぶりを横で見ていたセバスも同意を示す。
「機導師と、専用の通信網の用意は必須ですね……」
そこで、そっとフェリアが手を上げる。
「あの、実際には空からの視点は用意は……」
「………………」
「ですよ、ね……」
「すみません……有用ではあるとは思うのですが、ワイバーンやグリフォンの用意となると」
項垂れるセバスを余所に、その横でソファにだらしなく座るへクスは「ま、その辺は、そのうちだね……」と良い紅茶を賞味していた。アルコールは傷に染みるらしく、見ればその身体は彼方此方が細かい傷や汚れだらけとなっている。
――装備だけの強さじゃ、無かった。
そんなへクスと最も長く交戦していた匠はその様子を眺めながら、思う。不満げなフラメディアを見れば分かるように、真っ向切っての的中打は――匠が援護をしたうえでも――無かった。結果としては多勢に無勢で押しつぶされて居たが、立ち回りそのものを攻略するには至らなかったのだ。
最終的にはボコボコにされていたが、それもまあ、度量の一つだろうか。
「どうしたんだい?」
「……いえ」
にやついた視線をそう言って避けると、匠は咳払いを一つ。そして、
「過去に王国に現れた飛行型歪虚には、自爆する個体も居ました。今回は、戦闘を避けられたケースもあったと思いますが、交戦域に避難民が接近しすぎるのも問題です。うまく通知する方法があれば、危険を避けられるように思ったのですが」
「悪くないね。とはいえ、放送みたいにしちゃうと拠点がバレるリスクもあるから……そうだね、避難所から離れた場所に、大きめのスピーカーを散在させておこうか。とりあえず、この商会周囲にだけ置いておいて、具合がよければ継続しちゃおう」
「かしこまりました」
匠の案を受けて、それぞれへクスとセバスが言う。つと、気になっていたことを思い出した。
「……そう、それです。他に、歪虚役から見て気になった点はありませんでしたか?」
「あー、そうそう。商館が拠点だってバレちゃうのはあったかな。彼女のグリフォンもそうだけど、例えば空からきた敵がそれを見ちゃうととりあえず潰しておこう、ってなるかもしれないかなあ」
管制をするのは良いアイディアだから、これは僕らの課題だけどね、とへクス。
「……今回は、あらかじめ持ち出す荷物に貴重品なんかを持ち出すように伝えていたが、実際は、俺は逆にしたほうがいい、と思ったな」
そこで、カインが手を上げ、言った。
「押さない駆けない喋らない戻らないとはよく言ったもんだが、まずは命を大事にすることを優先する方が良い、とな」
「実際には、千人全員に規範のある行動が望ましいですが……こればかりは、難しいものもありましょう。そのように徹底しておく方が、いざ戻ろうとする人間をとどめる動きもできるでしょうし……」
とマッシュが締めると、そこで大凡の意見が出きったか、僅かな沈黙が生まれる。
「あの……」
微かな声に、視線が集まる。アイシュリングであった。
「今回の参加者全員に、アンケートを取っていただけないかしら? 彼らが感じたことが、次に繋がる貴重な材料になるかもしれない……」
「お、それは良いね。セバス、項目を上げておいてくれるかい?」
「かしこまりました」
間髪入れぬ返事に、へクスは微笑みをこぼす。しばしの間、セバスを眺めていたが、へクスはそこで手を打ち合わせた。
「よし。それじゃ、これにて終了、ということで……ま、君たちも楽しめたんじゃ無いかな? こちらとしても、十分な成果だったよ。ありがとう」
じゃあ、解散! という快活な声の元、依頼は終わりを告げた。
●
ハンターたちを見送った後、どこからともなく、声が響いた。
「悪趣味な仮面だ」
「ええ? やっぱり君もそう思うかい?」
「……ちィ、忌々しい……」
へクスは座ったままけらけらと笑うと、傍らのセバスを見上げた。
「上手くいきそうかい?」
「勿論、十全に、果たして見せますよ。我が主」
「結構……じゃ、僕はそろそろ行くとしよう」
言いつつ、へクスは立ち上がった。蛇の金細工を腕に填めると、帽子を被り直した。背に回ったセバスがへクスの身支度を整える。
静かな時間が、部屋に満ちた。そして。
「紅茶、美味しかったよ。ありがとう」
「お気をつけて」
そんな言葉を残して、へクスは第六商会の本館を後にした。
物事は初志こそが肝要だ。依頼を受けた一同は思索と、調整の時間を設けた。
黒髪に眼鏡の青年、誠堂 匠(ka2876)は黙考する。為すべきこととは別に――その、必要性について。
「街への強襲か……あまり、考えたくはない事態だけど」
想起されるのは、彼自身も目にした"先王"とその配下達だ。王国を識る者が相手なればこそ、最善を尽くす必要がある。
「そーなったら、終わりって感じもするけどねえ……」
鵤(ka3319)が、わずかに口元を歪ませつつ外を眺めた。やや騒がしいが、平和な光景だ。同じものを眺めて、フェリア(ka2870)は溜め息をついた。
「……いったい、何を考えていますやら」
「まあ、まあ」
取りなしたのは、マッシュ・アクラシス(ka0771)。黒髪の帝国人は、その表情をぴくりとも動かすことなかった。
「何事も、計画。準備するに越したことは無い。いやはや、全くですな」
「少し、業腹じゃがのう」
何が、とは言わないが、フラメディア・イリジア(ka2604)は扉を眺めつつ零す。一方で、アイシュリング(ka2787)の細面が、真剣そのもののの表情に転じていく。配布された資料を読み込んでいくうちに、懸念が広がった。
「千人もの人が住んでいるのね……実際に緊急時に避難するとなると、かなりの混乱になりそう。そのうちの百人とは言っても、かなりの人数だわ」
「実際に逃げるのは住民だしな……パニックに陥った者が増えた数だけ想定通りにならねぇ」
注意するのはそこだろうな、とカイン・シュミート(ka6967)は呟いた。その手が、首元の飾り――二つの指輪が連なったそれを、揺らす。意見のもとは、自分自身の経験ではなく近しかった者が残したもの。思わず、手が伸びた。
「まずは、避難のための準備、じゃな」
フラメディアの言葉に、頷きが返る。
「各市民が、避難のための荷物を準備しておくことじゃ。食事、水、防寒具に雨具、明かりになるものに……そうじゃな、ヘルメットや軍手などもあると便利が良かろう」
ついでに販売してみぬか? という問いに、セバスは微笑。
「好い案かと存じます。"避難活動への気運が高まるようなことがあれば"、なお好評を博すことでしょうね」
「各家に合ったほうが安全じゃしな。家をでる際に必要なものは、それぞれに用意しておくように通達しておくとなお良い」
「ふむ……」
挙げられた品目を前にセバスは暫し、黙考したようだった。"訓練"への影響を考えているようにみえる。たとえば、その、"偶発性"であるだとか。このような事案は同都市においても初めてなため、どこに目線と目標を定めるべきかは判断を要するのだろう。しばしして、見守るフラメディアの視線の先で、老紳士は頷いた。
「それでは、今回は通達することとしましょう。そのくらいの準備をしておく必要がある、という良い宣伝機会にもなりますしね」
「となると、同日の避難者の動き方は確定できそうだ」
話の推移を追っていた匠の言葉だった。
「警報などに合わせて予め用意しておいた荷物を持って家を立ち、各区域ごとに指定場所に集合。外出中なら近くの集団に合流することとして……あとは、老人や病人、子供についてだね」
よどみない言葉に、フラメディアが続く。
「そちらについては、リストの用意をしております。勿論、今回参加する100名の分だけでなく、実際に近隣住民全ての分までご用意しておりますので、避難計画に組み込むこと自体は可能ですよ」
――へー、あるんだねぇ……。
RB人の鵤が、少しばかりの驚きと、感心、そして若干の呆れを含んだ吐息を零す。この世界では大凡手作業になるはずで、その茫漠な作業量たるや、鵤としては実に勘弁願いたいものであった。つと、視線に気づいた。それがマッシュからの視線だと知ると、鵤は大きく欠伸をして、背を伸ばす。
……だからこそ、奇異なのだ。この準備の質と量は、ただの訓練に留まるには――少しばかり、過剰に見える。
その間にも、種々の打ち合わせは続いていく。
つと、フェリアがすらりと挙手をした。
「有事の際の避難ルートや避難場所が貼ってある場所があると覚えやすかったり、移動しやすかったりすると思いますが……それは、いかがでしょうか」
「現状、この都市には看板の類はありませんね。用意するとなると……少しばかり数が多い点がネックではございますが、準備自体は可能、かと。少し、時間が必要になりますが」
セバスの答えに、フェリアは微かな笑みと共に頷いた。掛かる金を厭う気配は無く、好意的に受け止められた、と思えたからだ。
「……実際に、避難する段階で想定される事態が肝要、かと思われますね」
「と、言いますと?」
話の動勢を見守っていたマッシュに、セバスが続きを促す。
「先程の――あの方のお話でもありましたが、"歪虚が来ないとも限らない"ですので……実際には、避難経路が定められていたとして、それを避けて移動する必要は出てきます。実際の避難時には判断を要することになるでしょうし、現実的には集合場所、そして、避難場所の記載と案内程度といった、必要十分な記載だけでもよろしい、かと」
「道順が違った時に、パニックになるのだけは避けたいところだしな……」
マッシュの提案に、カインが賛意を示す。大本の意見であるフェリアとしても、特に異論はなく、視線だけでセバスに委ねる。生まれを感じさせる、なんとも典雅な仕草であった。
「検討させていただきます」
その後、細々した準備や手順などを詰めて、事前の打ち合わせとしてはお開きとなった。想定よりも大掛かりな準備となり、訓練の日程は別日に設けられることになったが、これはハンターたちも賛成するところだった。
●
配布するにしても、モノが無くては回らない。フラメディアなどは余裕があればアグニを引き連れて街の散策――これは互いの"相互理解"を得る意味でもあった――を予定していたが、実際は首根っこを捕まれ、ほぼ不眠不休でマニュアル作成に従事することとなった。事前の準備として最も厚い意見を提言していたことと、マニュアル作成の重要性を解いた手前もあり彼女も否やはなかった。
無かったのだが――。
「やー、さっすがお膝元だけあって、酒も飯も美味かったねぇ」
「……ぬ」
などと、訓練参加者のリストと避難場所、集合場所が書かれた地図を眺めながら宣う鵤には殺意が湧いた。フラメディアは、ドワーフであり、酒も食にも目がない。退屈していたアグニをけしかけて、溜飲を下げたのも宜なるかな、である。
―・―
参加者への指導も行われた。これを担当したフェリアはグリフォンを連れ、各避難所に集合した面々に対して今回の要綱と段取りを説明する。グリフォンを同道させたのは当日生じうる混乱を避けるためであったが、フェリアの隣で折り目正しく座っている。
なお、避難訓練参加者は実際の訓練以外での時間的拘束が生じているが、安心してほしい。彼らには、第六商会からのお手当(時間給)が出ている。
その甲斐あってか、老若男女問わず、参加者の意識は高い。彼らにとっては、領主自身が発した号令に違いない。緊張、というには些か大げさだが、完遂への強い意志は感じられる。
「……今回の場合、訓練はむしろ結果発表みたいなもの、と考えています」
だから、フェリアはそう言った。彼らの意欲を削がず、さりとて、気負わせすぎないように。
「そして、問題点を洗い出す意味でも重要です。ですので……当日は、頑張りましょうね」
―・―
空いた時間を、アイシュリングは現地の確認に当てた。盤の目に組まれた通りを一つ一つ歩き、確認している。都市の広さを思えば担当する範囲は決して広くはないが、それでも相当な広さである。覚醒者であるアイシュリングにとっては大した労苦ではないが、どちらかといえば集中による疲労が勝り、息を零す。
「……整備された街、だけど、千人が本当に避難しようとすれば、相応に大変ね……」
それは、道の細々したところを確認しようとすればするだけ、労力がかかるのだ。たとえば建物。崩れそうなものはないか。通路に歪虚が潜みそうな死角はないか。火災が起きそうな調理店や、木造の家屋はないか。倒壊しそうな古い建物は――。そんなことを、流麗な字で地図に書き留めながらの道程だった。
勾配の有無や、道の具合なども踏まえ、これらを元に戦闘回避を心がけた最適ルートと、迂回路などを考える。
実際には千人いるという住民を参考に配置されたというが、その散在ぶりは効率とはかけ離れた配置になっているのも、苦労に拍車を掛けた。
「……あら」
漸く半分まで来たところ。向う先に、見知った顔を見かけて、声がこぼれた。
「よう」
それを拾ったか、気難しい顔のまま、青年が手を掲げる。同じく依頼を受けたカインであった。視線で問うと、カインは右手に持った地図を掲げる。
「紙面だけじゃ見えねぇ箇所ってあると思って、な」
「あら……実は、私もなのよ」
無表情なまま放たれたアイシュリングの生真面目な言葉に、カインは苦笑した。庶民じみた生まれのカインには、このエルフの振る舞いは目新しさがある。
「せっかくだ。突き合わせて打ち合わせようぜ。そのほうが早そうだ」
「ええ……お願いするわ」
●
高々と響くのは、魔導具を用いた都市内への臨時放送。これから行うのは訓練である、という通達の後に本物の警報が響く。
「始まったねえ」
鵤は身を預けていたソファから立ち上がると、軽い調子で荷をユキウサギに預けた。幻獣も心得たもので、荷を持ち上げて鵤を見上げている。
「役割は事前の通りで?」
「ええ」
「あい。じゃ、何かあったら"コレ"で」
鵤の問いに同じく支度を済ませたアイシュリングが応じた。鵤が自らのイヤリングを示したのは、無線でのやり取りを意味してのもの。一人この場に残るカインに言った後、そのまま、足早に商会を後にした。その後を、商会の担当員が追う。
「はーい慌てず騒がず落ち着いて行動しましょうねぇー。慌て過ぎて転びマシターなんざ、本番じゃ笑い話にもなりゃしねえからなぁ?」
そんな声が、通りの向こうへと消えていった。
残る面々も足早に担当地域へと散っていくのを見送って、カインは深呼吸。眼前には地図。訓練とはいえ――護るべきものが想定されたものだ。手抜かりは、出来ない。出来るはずもない。無線機を手に取り、告げる。
「人の流れ、進捗状況なんかは適宜連絡してくれ。此方で管制する」
●
「……なるほど」
感心したマッシュは、しかし、連絡には及ばぬと感嘆を胸に落とし込む。
担当地域に限れば25人にすぎない訓練参加者は頭に叩き込んでいるが、集合地点に真っ先に飛び出してきたのは、子供を連れた女性だった。背負った荷物の物々しさとその手際の良さも去ることながら、"周囲の視線"が、目につく。なるほど、そういう意図もあったか、という感嘆だ。
とまれ、女性は訓練どおりに行動し、集合場所の公園で子供たちを集めて周囲の様子を伺っている。残る訓練参加者の成人たちが駆けつけるのを確認すると、マッシュは誘導員二名に現地待機を命じ、残る人間を連れて移動を開始。
「救助の手が最も要る場所は?」
と、同道するスタッフに確認すると、すぐに「北に二区角に病人二名」と返事があった。
「いやはや、結構」
まず、そちらに向うこととする。老人や他の人間については成人男性参加者にまかせて、走り出した。
―・―
グリフォンの背に乗るフェリアが上空から見下ろすと、穏やかな町並みの中に確かな緊迫が見えた。
北方を広く移動しながら、状況を確認する。訓練参加者は特に混乱を見せることなく、予定されたとおりの行動が取れている。
焦る人間が少ないのは教導の賜物だろう。
「……すこし、やりすぎたかしら」
そんな反省も無いでもない。
俯瞰視点だからこそ、得られる知見もあった。実際には訓練参加者以外にも往来には存在している。それ故に移動はやはり少しばかり難しいと見え、急ごうとするあまり通行人と衝突しかけるケースも多く見られた。また、搬送に際しても人混みをかき分けて為すのは困難を伴うらしく、進みは鈍い。
高度を下げながら、「通してあげてください! 訓練参加者も焦らずに、整然と進むことを心がけて下さいね!」と言いつつ誘導を行うと、グリフォンの物珍しさも手伝ってか、渋滞めいた状況は次第にほどけていく。
そこに。
『管制より連絡。"歪虚"が出現した。場所は――』
連絡が、届いた。
●
アイシュリングにとって幸いだったのは、往来のど真ん中で"まるごとべりある"を纏った変態が現れたのが病人搬送を開始した後だったことだろう。ユキウサギのマーニと同道するスタッフへと告げる。
「私が足止めをするわ。先に避難場所へ」
「め、めええ! 歪虚だめええ!」
「…………」
歪虚役である彼を、哀れとは思わない。これは訓練なのだ。
無言で魔術を解き放つ。黒雲が湧き立ち、豚羊を包み込む、が。
「歪虚には効かめえ! です!」
豚羊はその暗雲を突き破って疾走。アイシュリングへと接近。その速さから疾影士と当たりをつけるが――彼女も手練だ。
「――遠慮は、しない」
此処で落ちるわけにも、行かない。避難民に恐怖を植え付けぬためにも、豚羊の足元に氷嵐を張り、迎撃に臨んだ。
―・―
各地から届く"目撃情報"。上空から見ていれば、各所で避難の流れが留められていた様がわかったことだろう。
カインはそれらを地図上に書き記しながら、取るべき経路を指示していく。歪虚の動き方が解らない現状では、大きく迂回するルートしか取れない。
『くっそォ、担架を運んでるのを見守ってれば済むシゴトだと思ってたのにねぇ……』
「セバスの様子をみる限りじゃ、何方かからの粋なサプライズらしい。それも給料のうちと割り切ってくれ」
鵤の愚痴に、カイン。その隣では、セバスが額に手を当ててうなだれている。そうこうしているうちに、道の途中で荷物から火が上がった、煙で道が塞がった、などの報告が届きはじめる。無線の向こうからは、悲鳴。おそらくは――訓練"非"参加者のものだろう。
「……やり過ぎだろう」
幸いなのは、参加者は皆平静を保ち、指示を護っていること、か。混乱の程度は大きくはなく、事故の予感は無い。
歪虚(役)にはハンターたちと、第六商会のスタッフが対応していく中――。
『此方、匠。大物と交戦中。そちらへ向かってる。留意を』
「……ちっ」
舌打ちを零し、地図を見下ろす。避難の進捗状況は、芳しいとは言い難い。
●
「ハーーハッハッハッ!」
匠は内心の困惑を押し込め、走る。声を、追うように。
そう、匠は今、追走していた。ヘク……ヘビックス――蛇男は斬りかかってきた匠を無視して手近な建物の上へと上がると、屋根沿いにある場所へと向けて走りだした結果である。予想外の動きとこちらの出足に動きを合わせられ、追走が遅れた。
「ねえ、君も見ただろう! 意味ありげにグリフォンが飛び出して、ハンターとか色々な人間が飛び出した場所を! あれは何だろう、気になるよね!」
「…………」
幸い、足は匠の方が早い。回り込む形で蛇男の眼前に飛び出す。白銀の刀が二連の光を刻むが、「おおっと!」と声だけを残して回避。そのまま、蛇男は屋上から飛び降りるが、匠もそれに続くと、進路を塞いだことが奏功したか、蛇男の足が止まる。にらみ合い――になると思われた寸前、蛇男は横方向へと飛び退る。
「避けるでない!」
声と轟音が、遅れて振ってきた。赤色のイェジドに乗ったフラメディアの渾身の戦斧だ。破砕された床を見て、遠慮がないな、と匠は思う。
「やけに遠慮がないね!?」
「歪虚ならば問題あるまいて!」
叫ぶ蛇男に、第六商会を背負う匠とは別方向――避難誘導が進む市民の方に立ちはだかったフラメディアは小柄ながらも豊満な胸を張る。
「我以外にも殴りたい奴はおるじゃろうが、だからこそ、ここでは我がぶん殴っておくとしようぞ!」
「流石歪虚、存在そのものが罪深いみたいだ……」
嘯きながら蛇男は二丁の銃をそれぞれ、匠とフラメディアに向ける、と。
「でもこれは"後ろ"が危ないから、避けないでくれよ」
"砲撃"した。
――その後、調子に乗った蛇男が大立ち回りしたあげく、終いには避難を終えたハンターたちと空からの魔術に追い立てられた後にハンターたちに囲まれて降参することになるが、諸般の都合で割愛しよう。
●
反省会をしましょう、というアイシュリングの一声で、一同は再び第六商会に集合した。
「ハンターの参加者じゃおっさんらが一番のりだったって?」
「そのようで」
避難場所にマッシュが到着したのとほぼ同時、鵤が到着したという。
「そちらは歪虚は……」
「え? 足止めできたから置いてきたけどぉ? 実際は俺らとは別にセキュリティは他に居るだろうしさ」
「私も似たようなものですが――」
と、傍らのユキウサギを撫でる。ユキウサギの結界術を盾に機動術で足止めが効いたこと、敵に攻撃手段がないことを確認すると直ぐさま撤退した。マッシュもそうだ。歪虚が居ると言われる経路を徹底的に避けた結果、交戦時間そのものが短縮でき、避難誘導自体に大きな影響は無かった。
脅威度次第では対応するのも吝かでは無かったが、取り立てて"非参加者"に対して暴れる気配もなかったため、無視をしたのだが――。
「現地のセキュリティの位置や接近状況も把握できたら良かったですね」
「……確かに、そうだな。あー……」
頭を書くカインだが、身体的な労苦はさておき、頭が困憊していて、なかなか言葉にできない。
「……そうなると、流石に人手が足りないな。百人を相手にこれじゃあ、実際にする段では手が回らない。各地域ごとに一名は居た方がいいだろうな……」
奮闘ぶりを横で見ていたセバスも同意を示す。
「機導師と、専用の通信網の用意は必須ですね……」
そこで、そっとフェリアが手を上げる。
「あの、実際には空からの視点は用意は……」
「………………」
「ですよ、ね……」
「すみません……有用ではあるとは思うのですが、ワイバーンやグリフォンの用意となると」
項垂れるセバスを余所に、その横でソファにだらしなく座るへクスは「ま、その辺は、そのうちだね……」と良い紅茶を賞味していた。アルコールは傷に染みるらしく、見ればその身体は彼方此方が細かい傷や汚れだらけとなっている。
――装備だけの強さじゃ、無かった。
そんなへクスと最も長く交戦していた匠はその様子を眺めながら、思う。不満げなフラメディアを見れば分かるように、真っ向切っての的中打は――匠が援護をしたうえでも――無かった。結果としては多勢に無勢で押しつぶされて居たが、立ち回りそのものを攻略するには至らなかったのだ。
最終的にはボコボコにされていたが、それもまあ、度量の一つだろうか。
「どうしたんだい?」
「……いえ」
にやついた視線をそう言って避けると、匠は咳払いを一つ。そして、
「過去に王国に現れた飛行型歪虚には、自爆する個体も居ました。今回は、戦闘を避けられたケースもあったと思いますが、交戦域に避難民が接近しすぎるのも問題です。うまく通知する方法があれば、危険を避けられるように思ったのですが」
「悪くないね。とはいえ、放送みたいにしちゃうと拠点がバレるリスクもあるから……そうだね、避難所から離れた場所に、大きめのスピーカーを散在させておこうか。とりあえず、この商会周囲にだけ置いておいて、具合がよければ継続しちゃおう」
「かしこまりました」
匠の案を受けて、それぞれへクスとセバスが言う。つと、気になっていたことを思い出した。
「……そう、それです。他に、歪虚役から見て気になった点はありませんでしたか?」
「あー、そうそう。商館が拠点だってバレちゃうのはあったかな。彼女のグリフォンもそうだけど、例えば空からきた敵がそれを見ちゃうととりあえず潰しておこう、ってなるかもしれないかなあ」
管制をするのは良いアイディアだから、これは僕らの課題だけどね、とへクス。
「……今回は、あらかじめ持ち出す荷物に貴重品なんかを持ち出すように伝えていたが、実際は、俺は逆にしたほうがいい、と思ったな」
そこで、カインが手を上げ、言った。
「押さない駆けない喋らない戻らないとはよく言ったもんだが、まずは命を大事にすることを優先する方が良い、とな」
「実際には、千人全員に規範のある行動が望ましいですが……こればかりは、難しいものもありましょう。そのように徹底しておく方が、いざ戻ろうとする人間をとどめる動きもできるでしょうし……」
とマッシュが締めると、そこで大凡の意見が出きったか、僅かな沈黙が生まれる。
「あの……」
微かな声に、視線が集まる。アイシュリングであった。
「今回の参加者全員に、アンケートを取っていただけないかしら? 彼らが感じたことが、次に繋がる貴重な材料になるかもしれない……」
「お、それは良いね。セバス、項目を上げておいてくれるかい?」
「かしこまりました」
間髪入れぬ返事に、へクスは微笑みをこぼす。しばしの間、セバスを眺めていたが、へクスはそこで手を打ち合わせた。
「よし。それじゃ、これにて終了、ということで……ま、君たちも楽しめたんじゃ無いかな? こちらとしても、十分な成果だったよ。ありがとう」
じゃあ、解散! という快活な声の元、依頼は終わりを告げた。
●
ハンターたちを見送った後、どこからともなく、声が響いた。
「悪趣味な仮面だ」
「ええ? やっぱり君もそう思うかい?」
「……ちィ、忌々しい……」
へクスは座ったままけらけらと笑うと、傍らのセバスを見上げた。
「上手くいきそうかい?」
「勿論、十全に、果たして見せますよ。我が主」
「結構……じゃ、僕はそろそろ行くとしよう」
言いつつ、へクスは立ち上がった。蛇の金細工を腕に填めると、帽子を被り直した。背に回ったセバスがへクスの身支度を整える。
静かな時間が、部屋に満ちた。そして。
「紅茶、美味しかったよ。ありがとう」
「お気をつけて」
そんな言葉を残して、へクスは第六商会の本館を後にした。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 フラメディア・イリジア(ka2604) ドワーフ|14才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/08/30 18:35:01 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/08/30 03:31:05 |