ゲスト
(ka0000)
錬金術師の終幕
マスター:植田誠

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/09/03 09:00
- 完成日
- 2017/09/11 18:51
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
薄暗い坑道の一室。そこにはズィルバー・ヴァルトフォーゲルが立っていた。
「あなたが、本当にただ愚鈍であったならば……もう少し生き延びることができたかもしれませんね」
その足元には倒れたホルスト・プレスブルクがいた。
こうなる少し間、ホルストはズィルバーに怒鳴りかかっていた。集めた資金に対する教導団の装備。この質が想定と食い違うと感じたことから調査を開始し、その結果使途不明金がかなりの額に上ることを突き止めたのだ。
状況が好転せず、実働部隊とともに拠点を転々としていく生活を送るようになったからこそ気づいたことだ。尤も、その結果死ぬことになるとは哀れというほかないだろう。
「き、さま……」
「おっと、まだ息がありますか」
呟きとともにズィルバーは魔導ガントレットを腕につける。機導術でとどめを刺そうというのだろう。
「いつ、から……」
「最初からですよ」
魔導ガントレットが輝きを放つ。3本の光がホルストを撃ち抜いた。
最初から……元々錬金術教導団はズィルバーがホルストに働きかけて結成された。錬金術の素晴らしさを説きながら、今の世情を貶め、その過程で組織が少しでも傾いたら反帝国組織のメリットと中途で挫折するデメリットを語る。そうしてここまでやってきた。あくまでもホルストの意思で教導団を運営するという体を維持するために。
ただ、それらは全て、ある目的のためだった。
「まさか、ヴルツァライヒとの繋がりまで調べ上げるとは、思っていませんでしたよ」
呟くズィルバーは、そのまま部屋を後にする。この場所も帝国には知られており、いつ踏み込まれてもおかしくはない。無論、策はいくつも巡らせてはあるが。
「お前もここにきているのかな、クロウ?」
ハルトの復讐のためか、それとも身内のけじめをつけるためにか。
だが、それでいい。
そう思っていてくれた方が本当の狙いが見えにくくなる。
この時……ズィルバーは一つ思い違いをしていた。ホルストは確かに愚かであったが、この期に及んで思いのまま怒鳴り散らすだけの男ではなかった。
●
「さて、状況を整理しておくぜ」
とある山中、その茂みにはクロウとともにハンター達が潜んでいた。
これまで、錬金術教導団の拠点を少しずつ潰してきて、ここが最後の大型拠点となるはずだ。
「つまり、ここを潰せば教導団は壊滅。そうでなくても、少なくとも長期的に活動を制限することができるだろう。もちろん、ここも一筋縄ではいかないけどな」
そういってクロウは地図を広げる。大型拠点、とクロウは言ったが。見てくれはただの廃坑だ。ただ、大きさだけで言えば今までと比べれば確かに大きい。
「そもそも、この坑道は地盤が緩くなってて崩れる危険性がある。だからこそ、廃坑になっていたわけだし、今まで見つからなかったわけだが」
いるだけで危険な場所に拠点は置かないだろう。そんな心理的な隙をついたつもりだったのかもしれない。
「まぁそのおかげで大型兵器は無いとみていい。その点は運がいいな……さて、お前らに頼むのはここにいる連中の『炙り出し』だ」
出口は発見し、押さえてある。ただ、坑道は結構入り組んでおり、思わぬところから攻撃を受ける可能性もある。下手な戦力を投入するよりも精鋭たるハンターに一任したほうが被害が少なくて済むだろうという考えだ。
「軍の被害を減らすための駒として使われてる、なんて思うかもしれねぇが……下手に大人数を突っ込ませて混乱に乗じて逃げられても厄介だろ? 軍的にはなんでもかんでもハンターに頼りっきりで不満みたいだが……まぁ、出口をきっちり押さえてもらおう」
クロウはそういうと、各自に地図を渡した。
「今回俺は外で待機だ。奴は……ズィルバーは、あるいは別のところに出口を隠しているかもしれねぇ。それをもう少し探してみるつもりだ。お前らの方でも注意してみてくれ」
本当は、自らの手で決着をつけたかったはずだ。だが、その気持ちを抑えてクロウはハンターたちを送り出す。
(俺は今、ズィルバーに対し入れ込みすぎている……目の前にしたらキレて殴りかかる程度には。だが、それじゃ大事なことを見落としちまうかもしれねぇ)
だからこそ、クロウはズィルバーとの決着を委ねたのだ。クロウが最も信頼しているハンターたちに。
●
「……さて、どうなるかな?」
ハンター達や帝国兵の様子を隠れて見ている男がいた。鉄仮面の男、エルウィンだ。
ここに至るまでエルウィンは各地の拠点を探り、その情報を帝国軍に提供し教導団壊滅に尽力してきた。
別に教導団に何か恨みがあるわけではない。『帝国の為に動く』こと。それが自身に課したことであり、何より乗りかかった船から降りる気にはならなかったからだ。
(だが、ここにズィルバーがいるなら、何事もなく幕が引かれることはねぇか)
ここが最後の拠点であるのは恐らく間違いない。ならばここにズィルバーやホルストがいるのは道理だ。攻め込んだとして、何か対策を立てていておかしくない。
「さぁ、踏ん張りどころだぜ、若者たち」
薄暗い坑道の一室。そこにはズィルバー・ヴァルトフォーゲルが立っていた。
「あなたが、本当にただ愚鈍であったならば……もう少し生き延びることができたかもしれませんね」
その足元には倒れたホルスト・プレスブルクがいた。
こうなる少し間、ホルストはズィルバーに怒鳴りかかっていた。集めた資金に対する教導団の装備。この質が想定と食い違うと感じたことから調査を開始し、その結果使途不明金がかなりの額に上ることを突き止めたのだ。
状況が好転せず、実働部隊とともに拠点を転々としていく生活を送るようになったからこそ気づいたことだ。尤も、その結果死ぬことになるとは哀れというほかないだろう。
「き、さま……」
「おっと、まだ息がありますか」
呟きとともにズィルバーは魔導ガントレットを腕につける。機導術でとどめを刺そうというのだろう。
「いつ、から……」
「最初からですよ」
魔導ガントレットが輝きを放つ。3本の光がホルストを撃ち抜いた。
最初から……元々錬金術教導団はズィルバーがホルストに働きかけて結成された。錬金術の素晴らしさを説きながら、今の世情を貶め、その過程で組織が少しでも傾いたら反帝国組織のメリットと中途で挫折するデメリットを語る。そうしてここまでやってきた。あくまでもホルストの意思で教導団を運営するという体を維持するために。
ただ、それらは全て、ある目的のためだった。
「まさか、ヴルツァライヒとの繋がりまで調べ上げるとは、思っていませんでしたよ」
呟くズィルバーは、そのまま部屋を後にする。この場所も帝国には知られており、いつ踏み込まれてもおかしくはない。無論、策はいくつも巡らせてはあるが。
「お前もここにきているのかな、クロウ?」
ハルトの復讐のためか、それとも身内のけじめをつけるためにか。
だが、それでいい。
そう思っていてくれた方が本当の狙いが見えにくくなる。
この時……ズィルバーは一つ思い違いをしていた。ホルストは確かに愚かであったが、この期に及んで思いのまま怒鳴り散らすだけの男ではなかった。
●
「さて、状況を整理しておくぜ」
とある山中、その茂みにはクロウとともにハンター達が潜んでいた。
これまで、錬金術教導団の拠点を少しずつ潰してきて、ここが最後の大型拠点となるはずだ。
「つまり、ここを潰せば教導団は壊滅。そうでなくても、少なくとも長期的に活動を制限することができるだろう。もちろん、ここも一筋縄ではいかないけどな」
そういってクロウは地図を広げる。大型拠点、とクロウは言ったが。見てくれはただの廃坑だ。ただ、大きさだけで言えば今までと比べれば確かに大きい。
「そもそも、この坑道は地盤が緩くなってて崩れる危険性がある。だからこそ、廃坑になっていたわけだし、今まで見つからなかったわけだが」
いるだけで危険な場所に拠点は置かないだろう。そんな心理的な隙をついたつもりだったのかもしれない。
「まぁそのおかげで大型兵器は無いとみていい。その点は運がいいな……さて、お前らに頼むのはここにいる連中の『炙り出し』だ」
出口は発見し、押さえてある。ただ、坑道は結構入り組んでおり、思わぬところから攻撃を受ける可能性もある。下手な戦力を投入するよりも精鋭たるハンターに一任したほうが被害が少なくて済むだろうという考えだ。
「軍の被害を減らすための駒として使われてる、なんて思うかもしれねぇが……下手に大人数を突っ込ませて混乱に乗じて逃げられても厄介だろ? 軍的にはなんでもかんでもハンターに頼りっきりで不満みたいだが……まぁ、出口をきっちり押さえてもらおう」
クロウはそういうと、各自に地図を渡した。
「今回俺は外で待機だ。奴は……ズィルバーは、あるいは別のところに出口を隠しているかもしれねぇ。それをもう少し探してみるつもりだ。お前らの方でも注意してみてくれ」
本当は、自らの手で決着をつけたかったはずだ。だが、その気持ちを抑えてクロウはハンターたちを送り出す。
(俺は今、ズィルバーに対し入れ込みすぎている……目の前にしたらキレて殴りかかる程度には。だが、それじゃ大事なことを見落としちまうかもしれねぇ)
だからこそ、クロウはズィルバーとの決着を委ねたのだ。クロウが最も信頼しているハンターたちに。
●
「……さて、どうなるかな?」
ハンター達や帝国兵の様子を隠れて見ている男がいた。鉄仮面の男、エルウィンだ。
ここに至るまでエルウィンは各地の拠点を探り、その情報を帝国軍に提供し教導団壊滅に尽力してきた。
別に教導団に何か恨みがあるわけではない。『帝国の為に動く』こと。それが自身に課したことであり、何より乗りかかった船から降りる気にはならなかったからだ。
(だが、ここにズィルバーがいるなら、何事もなく幕が引かれることはねぇか)
ここが最後の拠点であるのは恐らく間違いない。ならばここにズィルバーやホルストがいるのは道理だ。攻め込んだとして、何か対策を立てていておかしくない。
「さぁ、踏ん張りどころだぜ、若者たち」
リプレイ本文
●
ハンターたちは、拠点に侵入後すぐに、4人2班に分かれた。戦闘も加味しつつ探索を行うとなれば、これ以上多くても少なくてもまずいだろう。
(なんだか、教導団とも長い付き合いになっちゃったわねぇ……)
A班。ドロテア・フレーベ(ka4126)が先行して索敵を行う。極力隠密行動を心がけていたが……
「……な! 侵入者だ!!」
「ちっ……」
すぐに敵に見つかる。数は2。
ドロテアに非は無い。ただ、ここは教導団最後の拠点なのだ。
(残された教導団員が皆ここに集まっている……そうなると敵の数は相応に多く、また警戒心も強いってことね)
「やっぱり、戦闘は避けられないのね……エクラさまのご加護がありますように、なの!」
前に出てきたディーナ・フェルミ(ka5843)。攻撃の瞬間魔力を集中。フォースクラッシュを使用して攻撃。一撃で気絶させる。その間に、ドロテアはランアウトを使用して逃げようとした敵の片割れの前に回り込む。
「大人しくした方がいい。こんなとこで命を落とすことに価値なんてないだろう」
最後尾を警戒しながらも、教導団員にそう告げる金目(ka6190)。その言葉で教導団員も抵抗する気をなくしたようだ。
(やはり、士気の低さは顕著か)
本格的に戦うまでもなく白旗を上げた教導団員に、金目はそんな感想を抱いた。侵入者が来たというのに積極的に阻止してくる敵がいないことからもそれがうかがえる。
「さぁ。それじゃ、色々喋ってもらおうかしら。ディーナ君は前をちょっと見張っててくれる?」
「了解なの」
縛り上げられた教導団員を前にしながら、ドロテアはそうディーナに言った。
本当であれば、脅してでも喋らせるつもりだったが、その必要は無さそうだ。
「それじゃ、とりあえずホルストの私室の場所をお願いね。情報があるならそこだと思うわ」
ロベリア・李(ka4206)はドロテアに頼みながら、じっと壁の一部を見つめている。
「……変ですね」
「金目も気づいた? ちょっと……」
そういってロベリアは軽く壁を叩く。音がそこだけ違う。見た目にもやや新しく見える。慎重に掘ってみると……
「爆弾……やっぱりね」
そこには小型の爆弾があった。威力は小さそうだ。だが、坑道の状態を鑑みれば爆発した際の影響は小さくないだろう。
「……とりあえず、他にあるのかは聞いてみた方がいいでしょうね」
ロベリアが取り外した爆弾を持って、金目が教導団員のそばに向かう。
(でも、爆弾か……)
この爆弾は、何のために設置してあるものなのだろうか。罠にしてはリスキーだが、他に何か用途があるというのだろうか。この答えにたどり着くのは、もう少し後になってからだった。
●
「狭い洞窟内で殲滅戦か。相手も待ち構えてんだろうなぁとは思ってたけど、案の定か」
銃弾が直後してもなお反撃しようとしてきたため、リカルド=フェアバーン(ka0356)は踏込からの一撃を加える。さらに、喉、心臓、腹部と三度刀を突きさすことで完全に息の根を止めた。
侵入を気づかれていなければ尋問するために生かしてもよかったが、気づかれているのであれば後の憂いになる。
「……何かめぼしいものでもあればと思ったが」
死体となった教導団員の懐をまさぐるリカルド。だが、特に成果は無し。
「仕方あるまい。とにかく先に進むとしよう」
ミグ・ロマイヤー(ka0665)はそう言って地図を見る。A班同様一人の教導団員を捕らえたB班は、地図に情報を追加すると、まっすぐズィルバーの部屋を目指していた。
「もうすぐ着きそうで……あ、そこも何かありますね」
アメリア・フォーサイス(ka4111)がそういって壁の一部を指さす。そこには亀裂が入っている。注意深く奥を覗いてみると……何かが見える。
「多分……爆弾ですね。これで4つ目ですか……」
直観視のお陰でこういった爆弾の類は割と容易に発見できている。ただ、解除や取り外しとなると時間がかかるため、今は放置して前進している。
「でも、この爆弾は何のために設置されているんでしょう……」
リカルド同様前に出るユウ(ka6891)がそんな疑問を浮かべる。
「坑道の状態を見ると、爆弾が一つでも爆発すれば崩れる恐れがありますし、それで不都合が生じるのは拠点にいる方……教導団の方だと思うのですが……」
「その理由は、この先にいる人に問いただすのが早いかもしれませんね」
サイレンサー代わりに濡れた布を巻き付けた銃を構えたアメリアの言葉に、3人は立ち止まる。ズィルバーの部屋だ。
ドアノブに手をかけたリカルド。素早く開けると、ランアウトを使用したユウが踏み込む。
……だが、そこには誰もいなかった。息絶え倒れたホルスト以外は。
「これは……仲間割れか?」
「断定は出来んが……まぁ他に理由は無いじゃろうな」
リカルドが部屋を調べる間に、ミグは死体の方を確認する。
「おい、大丈夫か? 死体に罠が仕掛けられてる可能性も……」
「心配のしすぎじゃ……ふむ、ホルスト・プレスブルクに間違いなさそうじゃな……まだ、少し温かい……」
「ということは、犯人は……」
「うむ。そこまで遠くにはいってないじゃろう。少なくとも坑道内にはおるじゃろうと思う」
その間にアメリアはリカルド同様部屋を調べる。しかし……
「何も無いですね。私たちが来ることを予期してすでに処分していた可能性もありますが……」
そんな時だった、状況に異変が生じたのは。
『ハンターが危険だ!』
「え? 今のは……」
あたりを見回すが、人はいない。それもそのはず。今の声はミグやリカルドやミグの持つトランシーバーからの物だったのだから。
『中の敵が予想より多いらしい! 我々は突撃する!』
電波状態はかなり悪く、誰が話したのかまではわからない。だが、聞く限り……帝国兵が突撃してくるという内容のように聞こえた。
●
「もしもし! ……駄目、通じないの……」
ディーナはトランシーバーを取り出し通信を試みるが返答は無い。
「今通じないのは、何らかのジャミングによるもの? でも、それなら今の声が通じたのは一体……」
顎に手を当てロベリアは考える。ズィルバーは以前通信機能を妨害する機導術を使用していた。これもその影響だろうと、予測はできるが……
「……皆さん、注意してください。後方から誰か来ます!」
後方を警戒していた金目が声を上げる。すぐに各自が武器を構える。だが……
「……え?」
ドロテアが意外そうな声を上げる。こちらに向かってきていたのは武装した帝国兵たちだった。
「いたぞ、ハンターだ! 何人か残れ! 残りはそのまま突撃しろ、一人も逃がすんじゃないぞ!!」
「「おお!!」」
小隊長がそう指示を下し、各自がそのように動く。その様子をハンターたちは呆気に取られて見ていた。
「え? 作戦はどうなっているの?」
「はっ! 当初は出口で待機する予定でしたが、先ほどの通信で苦戦しているものと判断し、支援のため侵入した次第です!」
「今の、外には聞こえてたのね……」
「はい。どこの隊かは分かりませんが、友軍が突撃しているのに自分たちだけがそのまま座して待つというわけにはいかず……」
ディーナの言葉にそう返答する小隊長。その答えを聞き、ロベリアはさらに首をかしげる。
「どの隊かは……分からない?」
その時、ロベリアの脳裏に思い起こされるのは……あの爆弾だった。
「やられた!!!」
叫ぶロベリア。同時に、金目が縛っていた教導団員をほどく。
「え? なぜ縄を……」
「説明は後です。いますぐ外へ! ディーナさん、先導してください!!」
「わかったの。さぁ急いで!」
その間にドロテアは奥へと向かった帝国兵の元へと駆け出す。彼らを連れ戻すために。どうやら、ロベリアがたどり着いた答えに、金目、ディーナ、ドロテアもたどり着いたらしい。
「ホルストの部屋まですぐだっていうのに……仕方ないか」
ロベリアが悔しそうに呟き、魔導短伝話を取り出す。これはミグが連結通話で繋げてくれたものだ。ジャミング下でも恐らくは通じるだろう。
●
「つまり、罠だったということですね」
A班からの連絡を受けて、アメリアが呟く。
先ほどのトランシーバーは恐らくズィルバーによるものだろう。そして、帝国兵がそれを受けて動いてしまった。
「扇動家……か……」
リカルドは、かつてクロウがズィルバーを総評していたのを思い出す。
帝国兵は教導団との戦いではいつも後手に回っていた。敵魔導アーマーや剣機により仲間は殺され、その中でも魔導アーマー乗りは結局ハンター主導で倒されている。
良いところは皆ハンターに持っていかれていた。そう考えていてもおかしくはない。
この戦いで士気が高かったのは、そんな汚名を返上したいという欲求によるものだった。
それをズィルバーは利用した。
トランシーバーで、さも帝国兵が突撃しているような文言を告げ以後の通信をジャミングで妨害する。そうなると帝国兵は各自の判断で行動を迫られる。
(どこかの隊が突撃した)
(我々は動かなくていいのか)
(いや、ここで動き、ハンターを助ければ……)
(今までの汚名を返上できる!)
この場合、各出入り口に帝国兵が分散していたのも悪い方向に働いた。
そして、この後どうなるのかというと……
「道中で発見した爆弾を爆破し、全員を瓦礫と土砂で押しつぶす……味方も巻き込んで……」
苦々しい表情を浮かべユウが言った。爆弾に関して、捕らえた教導団員は知らなかった。仕掛けたのは恐らくズィルバーなのだろう。
「これ以上の情報収集は困難だ」
そう判断したリカルドは撤退を提案。その背にはホルストの遺体があった。死因などを詳しく調べる意味でも移送したいというユウの提案を受け入れた形だ。
「それじゃ行くとするかの」
そう言ってミグが取り出したのは拡声器だ。どんな衝撃で崩れるか分からない以上軽々に使うべきではないが、もう崩れ始めているならどちらにせよ同じことだ。
「教導団員および帝国兵に告ぐ! この坑道は間もなく崩壊する! 全員戦闘を止め、すぐに坑道を脱出せよ! 繰り返す! 脱出せよ!」
ミグが大声でかけていく。アメリアも周辺に気を使いながら追従する。
(……あれは)
アメリアはその途中、脇道のようなものを確認した。そして、そちらに誰かが走っていくのを。
「ま、待ちなさい!」
そちらへ向かおうとする前に、爆発音が響く。設置された爆弾が爆発し始めたのだろう。小さい爆弾だったはずだが、坑道内に反響し、かなり大きな音に聞こえる。
「危ない!」
叫ぶユウ。同時にアメリアの頭上が崩れる。脇道に気を取られた。
……だが、間一髪。リカルドが腕を引き崩落に巻き込まれずにすんだ。
「あ、ありがとうございます」
「何かあったのかえ?」
「脇道が……でも、道はもう塞がってしまったようです」
声を聞きミグが声をかける。だが、奥へと行く道は塞がれている。道はもう前……戻る道しか残されていない。
「仕方ありません。とにかく今は急ぎましょう」
ユウがそういって促す。こうして、4人は爆発音を背に出口へと駆けた。
●
「無事か、お前ら!」
外で出入り口を探していたクロウは、急な爆発を確認して慌てて戻ってきていた。
だが、すでにハンターたちは皆脱出した後。
すぐに判明している各出入り口を確認したが、ほとんどの帝国兵は脱出できたようだ。また、教導団員も多数脱出してきていた。
(無力化したとしても、息の根を止めようとは思っていません。この結果は喜ぶべきでしょうね)
その様子を見て、ユウは心中でそう呟く。
「ミグが脱出を呼びかけたお陰かしらね」
「いや、そちらの判断が早かったのがよかったのじゃろう」
ロベリアの言葉にミグはそう言った。
「さて、いつまでも休んでられないわね。最後まできちんとカタをつけましょう」
ドロテアの指示に従い、まだ肩で息する教導団員たちを、とりあえず片っ端から縛り上げていく。
教導団員達は皆従順だった。最後の拠点が潰されたから。というよりは……
(自分たちが囮にされたということに気づいたからですかね)
と、金目は予想した。
こうして、錬金術教導団の拠点は、そのすべてが潰されたことになる。
だが、教導団に関する内部情報。それらが分かる資料のようなものは全て坑道内に埋まってしまった。
「ズィルバーが見つけられなかったのは痛かったな」
「捕らえた教導団員の方々も行方が分からないそうです。クロウさんと同じく姉妹がいる身としては捕まえるなりしてなんとか力になってあげたかったんですが……」
リカルドやアメリアの言葉を聞きながら、クロウは考えていた。
(こんな自爆みたいな真似をして、結局何がしたかったんだ。ズィルバーよ)
難しい顔をしているクロウの頭を誰かが叩いた。
「一人で考えすぎない……ね?」
様子を見て心配したディーナが元気づけようと背伸びしていた。
「悪いな。心配かけた」
そういって、クロウは笑った。
とにもかくにも、ホルストは死に、教導団はこれ以上の活動は難しいだろう。
被害も少なくて済んだ。最低限の仕事はこなせただろう。
●
「フフフ……ハハハハハ!!」
爆発音が響く坑道内。その中でも最も長い通路。これは新設されたもので、ズィルバーの他数人しか知らないものだった。
その出口付近で、ズィルバーは声を上げて笑っていた。
「ヴルツァライヒの為に……死に体の教導団を餌に帝国兵を可能な限り殺し、私の痕跡も残さない。後は脱出するだけだったのですがね」
肝心の出口は、分厚い鉄板や大岩などで完全に塞がっていた。
言うまでもない。これはホルストが指示したものだ。ズィルバーに気づかれないように。そして、万が一ズィルバーがホルストを裏切った時、彼を道連れにできるように。
追撃を防ぐために、来た道は機導術で破壊してしまった。もう戻ることはできない。
「ここを通ることを予測してくるとは……まったく、侮っていましたよ!!」
この通路が埋まるまで、笑い声が途切れることは無かった。
ハンターたちは、拠点に侵入後すぐに、4人2班に分かれた。戦闘も加味しつつ探索を行うとなれば、これ以上多くても少なくてもまずいだろう。
(なんだか、教導団とも長い付き合いになっちゃったわねぇ……)
A班。ドロテア・フレーベ(ka4126)が先行して索敵を行う。極力隠密行動を心がけていたが……
「……な! 侵入者だ!!」
「ちっ……」
すぐに敵に見つかる。数は2。
ドロテアに非は無い。ただ、ここは教導団最後の拠点なのだ。
(残された教導団員が皆ここに集まっている……そうなると敵の数は相応に多く、また警戒心も強いってことね)
「やっぱり、戦闘は避けられないのね……エクラさまのご加護がありますように、なの!」
前に出てきたディーナ・フェルミ(ka5843)。攻撃の瞬間魔力を集中。フォースクラッシュを使用して攻撃。一撃で気絶させる。その間に、ドロテアはランアウトを使用して逃げようとした敵の片割れの前に回り込む。
「大人しくした方がいい。こんなとこで命を落とすことに価値なんてないだろう」
最後尾を警戒しながらも、教導団員にそう告げる金目(ka6190)。その言葉で教導団員も抵抗する気をなくしたようだ。
(やはり、士気の低さは顕著か)
本格的に戦うまでもなく白旗を上げた教導団員に、金目はそんな感想を抱いた。侵入者が来たというのに積極的に阻止してくる敵がいないことからもそれがうかがえる。
「さぁ。それじゃ、色々喋ってもらおうかしら。ディーナ君は前をちょっと見張っててくれる?」
「了解なの」
縛り上げられた教導団員を前にしながら、ドロテアはそうディーナに言った。
本当であれば、脅してでも喋らせるつもりだったが、その必要は無さそうだ。
「それじゃ、とりあえずホルストの私室の場所をお願いね。情報があるならそこだと思うわ」
ロベリア・李(ka4206)はドロテアに頼みながら、じっと壁の一部を見つめている。
「……変ですね」
「金目も気づいた? ちょっと……」
そういってロベリアは軽く壁を叩く。音がそこだけ違う。見た目にもやや新しく見える。慎重に掘ってみると……
「爆弾……やっぱりね」
そこには小型の爆弾があった。威力は小さそうだ。だが、坑道の状態を鑑みれば爆発した際の影響は小さくないだろう。
「……とりあえず、他にあるのかは聞いてみた方がいいでしょうね」
ロベリアが取り外した爆弾を持って、金目が教導団員のそばに向かう。
(でも、爆弾か……)
この爆弾は、何のために設置してあるものなのだろうか。罠にしてはリスキーだが、他に何か用途があるというのだろうか。この答えにたどり着くのは、もう少し後になってからだった。
●
「狭い洞窟内で殲滅戦か。相手も待ち構えてんだろうなぁとは思ってたけど、案の定か」
銃弾が直後してもなお反撃しようとしてきたため、リカルド=フェアバーン(ka0356)は踏込からの一撃を加える。さらに、喉、心臓、腹部と三度刀を突きさすことで完全に息の根を止めた。
侵入を気づかれていなければ尋問するために生かしてもよかったが、気づかれているのであれば後の憂いになる。
「……何かめぼしいものでもあればと思ったが」
死体となった教導団員の懐をまさぐるリカルド。だが、特に成果は無し。
「仕方あるまい。とにかく先に進むとしよう」
ミグ・ロマイヤー(ka0665)はそう言って地図を見る。A班同様一人の教導団員を捕らえたB班は、地図に情報を追加すると、まっすぐズィルバーの部屋を目指していた。
「もうすぐ着きそうで……あ、そこも何かありますね」
アメリア・フォーサイス(ka4111)がそういって壁の一部を指さす。そこには亀裂が入っている。注意深く奥を覗いてみると……何かが見える。
「多分……爆弾ですね。これで4つ目ですか……」
直観視のお陰でこういった爆弾の類は割と容易に発見できている。ただ、解除や取り外しとなると時間がかかるため、今は放置して前進している。
「でも、この爆弾は何のために設置されているんでしょう……」
リカルド同様前に出るユウ(ka6891)がそんな疑問を浮かべる。
「坑道の状態を見ると、爆弾が一つでも爆発すれば崩れる恐れがありますし、それで不都合が生じるのは拠点にいる方……教導団の方だと思うのですが……」
「その理由は、この先にいる人に問いただすのが早いかもしれませんね」
サイレンサー代わりに濡れた布を巻き付けた銃を構えたアメリアの言葉に、3人は立ち止まる。ズィルバーの部屋だ。
ドアノブに手をかけたリカルド。素早く開けると、ランアウトを使用したユウが踏み込む。
……だが、そこには誰もいなかった。息絶え倒れたホルスト以外は。
「これは……仲間割れか?」
「断定は出来んが……まぁ他に理由は無いじゃろうな」
リカルドが部屋を調べる間に、ミグは死体の方を確認する。
「おい、大丈夫か? 死体に罠が仕掛けられてる可能性も……」
「心配のしすぎじゃ……ふむ、ホルスト・プレスブルクに間違いなさそうじゃな……まだ、少し温かい……」
「ということは、犯人は……」
「うむ。そこまで遠くにはいってないじゃろう。少なくとも坑道内にはおるじゃろうと思う」
その間にアメリアはリカルド同様部屋を調べる。しかし……
「何も無いですね。私たちが来ることを予期してすでに処分していた可能性もありますが……」
そんな時だった、状況に異変が生じたのは。
『ハンターが危険だ!』
「え? 今のは……」
あたりを見回すが、人はいない。それもそのはず。今の声はミグやリカルドやミグの持つトランシーバーからの物だったのだから。
『中の敵が予想より多いらしい! 我々は突撃する!』
電波状態はかなり悪く、誰が話したのかまではわからない。だが、聞く限り……帝国兵が突撃してくるという内容のように聞こえた。
●
「もしもし! ……駄目、通じないの……」
ディーナはトランシーバーを取り出し通信を試みるが返答は無い。
「今通じないのは、何らかのジャミングによるもの? でも、それなら今の声が通じたのは一体……」
顎に手を当てロベリアは考える。ズィルバーは以前通信機能を妨害する機導術を使用していた。これもその影響だろうと、予測はできるが……
「……皆さん、注意してください。後方から誰か来ます!」
後方を警戒していた金目が声を上げる。すぐに各自が武器を構える。だが……
「……え?」
ドロテアが意外そうな声を上げる。こちらに向かってきていたのは武装した帝国兵たちだった。
「いたぞ、ハンターだ! 何人か残れ! 残りはそのまま突撃しろ、一人も逃がすんじゃないぞ!!」
「「おお!!」」
小隊長がそう指示を下し、各自がそのように動く。その様子をハンターたちは呆気に取られて見ていた。
「え? 作戦はどうなっているの?」
「はっ! 当初は出口で待機する予定でしたが、先ほどの通信で苦戦しているものと判断し、支援のため侵入した次第です!」
「今の、外には聞こえてたのね……」
「はい。どこの隊かは分かりませんが、友軍が突撃しているのに自分たちだけがそのまま座して待つというわけにはいかず……」
ディーナの言葉にそう返答する小隊長。その答えを聞き、ロベリアはさらに首をかしげる。
「どの隊かは……分からない?」
その時、ロベリアの脳裏に思い起こされるのは……あの爆弾だった。
「やられた!!!」
叫ぶロベリア。同時に、金目が縛っていた教導団員をほどく。
「え? なぜ縄を……」
「説明は後です。いますぐ外へ! ディーナさん、先導してください!!」
「わかったの。さぁ急いで!」
その間にドロテアは奥へと向かった帝国兵の元へと駆け出す。彼らを連れ戻すために。どうやら、ロベリアがたどり着いた答えに、金目、ディーナ、ドロテアもたどり着いたらしい。
「ホルストの部屋まですぐだっていうのに……仕方ないか」
ロベリアが悔しそうに呟き、魔導短伝話を取り出す。これはミグが連結通話で繋げてくれたものだ。ジャミング下でも恐らくは通じるだろう。
●
「つまり、罠だったということですね」
A班からの連絡を受けて、アメリアが呟く。
先ほどのトランシーバーは恐らくズィルバーによるものだろう。そして、帝国兵がそれを受けて動いてしまった。
「扇動家……か……」
リカルドは、かつてクロウがズィルバーを総評していたのを思い出す。
帝国兵は教導団との戦いではいつも後手に回っていた。敵魔導アーマーや剣機により仲間は殺され、その中でも魔導アーマー乗りは結局ハンター主導で倒されている。
良いところは皆ハンターに持っていかれていた。そう考えていてもおかしくはない。
この戦いで士気が高かったのは、そんな汚名を返上したいという欲求によるものだった。
それをズィルバーは利用した。
トランシーバーで、さも帝国兵が突撃しているような文言を告げ以後の通信をジャミングで妨害する。そうなると帝国兵は各自の判断で行動を迫られる。
(どこかの隊が突撃した)
(我々は動かなくていいのか)
(いや、ここで動き、ハンターを助ければ……)
(今までの汚名を返上できる!)
この場合、各出入り口に帝国兵が分散していたのも悪い方向に働いた。
そして、この後どうなるのかというと……
「道中で発見した爆弾を爆破し、全員を瓦礫と土砂で押しつぶす……味方も巻き込んで……」
苦々しい表情を浮かべユウが言った。爆弾に関して、捕らえた教導団員は知らなかった。仕掛けたのは恐らくズィルバーなのだろう。
「これ以上の情報収集は困難だ」
そう判断したリカルドは撤退を提案。その背にはホルストの遺体があった。死因などを詳しく調べる意味でも移送したいというユウの提案を受け入れた形だ。
「それじゃ行くとするかの」
そう言ってミグが取り出したのは拡声器だ。どんな衝撃で崩れるか分からない以上軽々に使うべきではないが、もう崩れ始めているならどちらにせよ同じことだ。
「教導団員および帝国兵に告ぐ! この坑道は間もなく崩壊する! 全員戦闘を止め、すぐに坑道を脱出せよ! 繰り返す! 脱出せよ!」
ミグが大声でかけていく。アメリアも周辺に気を使いながら追従する。
(……あれは)
アメリアはその途中、脇道のようなものを確認した。そして、そちらに誰かが走っていくのを。
「ま、待ちなさい!」
そちらへ向かおうとする前に、爆発音が響く。設置された爆弾が爆発し始めたのだろう。小さい爆弾だったはずだが、坑道内に反響し、かなり大きな音に聞こえる。
「危ない!」
叫ぶユウ。同時にアメリアの頭上が崩れる。脇道に気を取られた。
……だが、間一髪。リカルドが腕を引き崩落に巻き込まれずにすんだ。
「あ、ありがとうございます」
「何かあったのかえ?」
「脇道が……でも、道はもう塞がってしまったようです」
声を聞きミグが声をかける。だが、奥へと行く道は塞がれている。道はもう前……戻る道しか残されていない。
「仕方ありません。とにかく今は急ぎましょう」
ユウがそういって促す。こうして、4人は爆発音を背に出口へと駆けた。
●
「無事か、お前ら!」
外で出入り口を探していたクロウは、急な爆発を確認して慌てて戻ってきていた。
だが、すでにハンターたちは皆脱出した後。
すぐに判明している各出入り口を確認したが、ほとんどの帝国兵は脱出できたようだ。また、教導団員も多数脱出してきていた。
(無力化したとしても、息の根を止めようとは思っていません。この結果は喜ぶべきでしょうね)
その様子を見て、ユウは心中でそう呟く。
「ミグが脱出を呼びかけたお陰かしらね」
「いや、そちらの判断が早かったのがよかったのじゃろう」
ロベリアの言葉にミグはそう言った。
「さて、いつまでも休んでられないわね。最後まできちんとカタをつけましょう」
ドロテアの指示に従い、まだ肩で息する教導団員たちを、とりあえず片っ端から縛り上げていく。
教導団員達は皆従順だった。最後の拠点が潰されたから。というよりは……
(自分たちが囮にされたということに気づいたからですかね)
と、金目は予想した。
こうして、錬金術教導団の拠点は、そのすべてが潰されたことになる。
だが、教導団に関する内部情報。それらが分かる資料のようなものは全て坑道内に埋まってしまった。
「ズィルバーが見つけられなかったのは痛かったな」
「捕らえた教導団員の方々も行方が分からないそうです。クロウさんと同じく姉妹がいる身としては捕まえるなりしてなんとか力になってあげたかったんですが……」
リカルドやアメリアの言葉を聞きながら、クロウは考えていた。
(こんな自爆みたいな真似をして、結局何がしたかったんだ。ズィルバーよ)
難しい顔をしているクロウの頭を誰かが叩いた。
「一人で考えすぎない……ね?」
様子を見て心配したディーナが元気づけようと背伸びしていた。
「悪いな。心配かけた」
そういって、クロウは笑った。
とにもかくにも、ホルストは死に、教導団はこれ以上の活動は難しいだろう。
被害も少なくて済んだ。最低限の仕事はこなせただろう。
●
「フフフ……ハハハハハ!!」
爆発音が響く坑道内。その中でも最も長い通路。これは新設されたもので、ズィルバーの他数人しか知らないものだった。
その出口付近で、ズィルバーは声を上げて笑っていた。
「ヴルツァライヒの為に……死に体の教導団を餌に帝国兵を可能な限り殺し、私の痕跡も残さない。後は脱出するだけだったのですがね」
肝心の出口は、分厚い鉄板や大岩などで完全に塞がっていた。
言うまでもない。これはホルストが指示したものだ。ズィルバーに気づかれないように。そして、万が一ズィルバーがホルストを裏切った時、彼を道連れにできるように。
追撃を防ぐために、来た道は機導術で破壊してしまった。もう戻ることはできない。
「ここを通ることを予測してくるとは……まったく、侮っていましたよ!!」
この通路が埋まるまで、笑い声が途切れることは無かった。
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相談 リカルド=フェアバーン(ka0356) 人間(リアルブルー)|32才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/09/03 01:58:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/08/31 21:36:30 |