【孤唱】二つの影と人形の家

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/09/05 09:00
完成日
2017/09/10 19:02

みんなの思い出

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オープニング

●人形が欲しい
 憂悦孤唱プエルはふてくされながら歩いていた。ついてくるのは拾った犬と三十から五十センチくらいのプエル人形が五体。
「あーあー、おうちがほしいなぁ」
 グラズヘイム王国を無に帰すための拠点だった家をハンターに見つけられ追い出された。それから、どうしたらいいのか考えつつ、さまよっていた。
「父上のところはなぁあ……」
 最近精霊の姿が見えるということは、記憶によればあの町にいるはずなのだ。
「後回し……それにしてもここ、誰かいるみたいなんだよな……」
 集落を抜けて森に入ってから何か視線も感じる。
「空き家があればいいのだけど……」
 道が途切れたところに社があり、等身大の人形がある。
「あああっ! こ、これは、僕にどうぞってことかな!」
 プエルは自分の人形を鞄にしまって、その人形に集中した。
 人形は立つとプエルと同じくらいの身長だ。
「こらあああ! わしのアデルに何をしているんじゃ!」
「!?」
 老翁に怒鳴られ、プエルは驚く。杖を振り上げながら、老翁は向かってくる。
「お、おおう! 精霊さまはわしの思いを聞き入れてくれたか!」
「ええ?」
「動いておる」
「余の力だ!」
 胸を張った。
「何を言う! ここの精霊さまにアデルを生き返らしてほしいと願って、わしが作った人形を奉納したのだ!」
「余の力だから! ……人形を作る?」
「そうじゃ! わしは人形作りじゃからな」
「じゃああ、余も行ってあげる! 余がいればこれ動くよ? だから、余にも人形作って!」
「……お前がいないと動かないのか?」
 老翁はしおれる。
「でも、お前がいればいいのか」
「うん」
「……なら、良いだろう。どんな人形が欲しいのか?」
 プエルはにっこりとほほ笑んで作ってもらいたいものを告げた。

●目撃者
 ルースは意気消沈していた。
 三か月前、森の奥で遭ったがけ崩れで恋人のアデルがなくなったからだ。彼もその場にいた。
 少年少女でその場所でベリー摘みを年に一度行うのが習わしだった。
 森でも村に近いところは危険は大したことはないが、奥に行けば行くほど野生動物が増える上、雑魔の発生もありうるため危険は増す。そこで、警戒し食料を得て、また戦い生き残るすべを学ぶというのがそのベリー摘みの目標だ。
 遊び半分、仕事半分。
 崖崩が起こるとは誰も気づいていなかった。
 ベリー摘みをしていたところに、土砂が流れ込み、木が倒れてきた。
 アデルは自分より小さい子が近くにいたのをかばってうずくまった。そこに木が倒れたのをルースは見た。何もできなかった。
 ルースはアデルが死んだとは信じたくはなかった。
 ルースは落ち込んだ、何もできなかった自分を呪った。
 ある日、森にある社の話を思い出した。
 もともと社には森を守ってくれる何かがいるとされていた。もちろん、迷信だと言われていたが、森の中の安全を願う狩人や樵は掃除をしたり、祈ったりしていた。
 半年前くらいからそこで願ったことがかなったという噂が大人たちに流れていたのだ。
 クマが手前まで来ているからどうにかしてほしい。
 雑魔が出ているみたいだどうにかできないか。
 これらが解決されたのだった。
 村人は祈ったが、自分たちで倒すか奥に追いやるか、ハンターを頼むかという選択肢を用意していたのだ。
 社の精霊には報告をしていたに過ぎなかった。
 これらのことから願いが叶うのではルースは思った。
 社に行き、アデルにもう一度会いたいと願った。
 何度か行き祈った。
 それは、アデルの祖父も同じだったようで、社に人形が置いてあった。
 死者は蘇らない、わかっているがすがりたかった。
 この日、ルースが自分の家の畑から帰るときにセフェットがアデルと歩いているのを見て驚愕した。
「う、そ、だろ」
 急いで行って話したいと考えた。
 しかし、足が震えて動けなかった。喜びと恐怖の入り乱れた気持ちに自分自身驚いた。
「セフェットさんのところ、明日でも行ってみよう」
 ルースは気持ちを落ち着かせるようにした。

●それ
 森の入り口付近に魔術師テレクは住んでいた。森について調査研究をしていたが、半年くらい前から面白いというものを見つけた。
 当初は本当に「精霊」がいるのかと思っていたが、どうやらそれが「歪虚」だと気づいたのはがけ崩れが起こるより前だった。
 その歪虚に観察しているのがばれた。
 別に村人に手を出したりしないとそれは言う。
 ただ、世界を教えてほしいと傲慢な態度で希った。
 断った場合、お前をまず殺すと告げられた。
 テレクは従った。命が惜しかったし、歪虚を観察できるというありえないことがあったからだ。
 この時点で村人に言って討伐する選択肢もあった。しかし、その歪虚にからめとられてしまった。
 そして、この日、テレクが社に訪れると、それは告げた。
「下僕がほしい、歪虚の。さっき、嫉妬の奴がいた」
 不敵に笑いそれは言う。
「もちろん、お前は重要だよ? でも、やはり、歪虚の下僕もほしい。だから、あれを連れてきて、ここにひざまずかせたい」
「分かりました……あ、あの……」
「なんだ?」
「ハンターに依頼を出しても問題ないでしょうか?」
 それは逡巡する。
「この村を思ったら、やめておいたほうがいいだろうな」
 金がないだろう、と続けるのだった。

●手紙
 町に買い出しに行くという村人にテレクは手紙を渡した。宛名のところについでにもっていってほしいと。
 手紙を受け取ったハンターズソサエティの職員はすぐに依頼を出した。
 内容は次の通り。
 この町の先にある、山間の村に歪虚が二体いる。一体は流れてきているだけで去っていく可能性もあるが嫉妬に属するものであり、人形師セフェットの家の近辺にいるようだ。
 もう一体は社に住む傲慢の歪虚。村人の願いを聞くふりをしつつ、力を蓄えてきたようだ。これが村の支配を徐々に望んでいると考えられる。

 手紙を出したテレクはそれにばれないか不安な気持ちでいっぱいで時を過ごすこととなった。

リプレイ本文

●優先順位を考える
 ハンターは村にたどり着いた。見るだけでは何の変哲もない村であるが、歪虚が二体いると考えると非常に空気が重く感じる。
 ミリア・ラスティソード(ka1287)は先日、別件であった依頼を思い出した。
「嫉妬っていって思い出すのは……ボクのせいかな……。傲慢の歪虚は倒すが、嫉妬については様子を見に行かないとな」
 咲月 春夜(ka6377)は首をかしげる。
「傲慢についてはそれとなくわかっているが、嫉妬についてはどのような歪虚がいるかわかっていない。お前が関わっていたとは限らない」
 冷静な言葉にミリアはうなずいた。嫉妬の歪虚といってもたまたま知っている存在があるだけで、別の歪虚がいる可能性も高い。
 レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は嫉妬の歪虚がいると思われる人形師セフェットの家を歩きながら見る。
「タイプの違う歪虚に同時に居座られるか、こいつはひどい状況だな……ん……うん」
 レイオスはセフォットの家の窓に見えなくてもいいものを見た。それはミリアの直感が正解だという解答だったため、目をそらした。
 リュー・グランフェスト(ka2419)が同意する。
「小さい村だし……それで被害がないってのは運がいいのか、悪いのか……。い……」
 リューもセフェットの家を見てすぐに目をそらした。顔を覚えられている場合、下手な刺激になる危険もあるため目は合わさないほうがいい。
 リューの言葉に南護 炎(ka6651)は首を横に振った。
「どっちにしろ、歪虚は消えてもらわないとな。まずは傲慢の歪虚をどうにかする」
 窓辺の歪虚を追い出すにしても討伐するにしても、一つずつ片付けたい。村人が人質に近いのだから、危険極まりない。
 夢路 まよい(ka1328)はスタッフを手に持ち笑顔で告げる。
「なんでも願いを叶てくれる精霊、本当にいてくればよかったのにね。でも、正体が歪虚である以上は、壊しちゃっても構わないんだよね」
 まよいの確認の言葉に他の者はうなずく。
 メイム(ka2290)もセフェットの家を視界に収めていた。
「あれ? あれ、プエル(kz0127)じゃない? 声をかけておこうかな」
 これまでも気づいていたが誰もが後回しにしようとしていた。あの家でおとなしくしているならば、討伐依頼側を優先したい。両方逃亡など目の当てられない事態は避けないとならない。
 エルバッハ・リオン(ka2434)はメイムの手を取って止めた。
「気にはなっていました……プエルはこちらが気づいていないと思っている様子です。まずは、討伐対象になっている傲慢の歪虚を始末するとしましょう」
 メイムは不満そうな顔をしたが、プエルは後回しと他の者は首を横に振る。
「あいつをつついて、傲慢の歪虚と手を結ぼうと乱入してきた場合……それか、逆にプエルのところに行っている間に傲慢の奴が気づいて村に潜んで殺しに走る場合」
 ミリアが最悪な状況を告げる。
「でも、話せばわかってくれるかも」
「いやいやいや……最近、無害のようだが、いるだけでマテリアルを汚染していくし、集落一つ虐殺したこともあるぞ」
 メイムにレイオスは諭す。
「そうだよね。先に行って、セフェットさんや関係していそうな人が契約に走っちゃうのも困るし」
 メイムは「やるならとっととしないと」と続けた。
「そうそう。さあ、依頼遂行にいこう!」
 まよいはスタッフを振った。

 プエルはハンターが来たのを偶然窓から見ていた。
「……なんで? でも、こっちに来ないね」
 気付かれていないのだろうと納得し、おとなしくしておくことにした。

●精霊ならぬ歪虚
 社にいる敵に対し、炎は近づく。どこにいるのかはわからないが、扉があればその中だろうと考える。
 彼がおとりとして近づく間、他の者は社の周囲を固める為移動していく。風向きや音に注意し、近づくため歩みは遅い。
「ここだな。精霊がいるという社は」
 独り言が漏れたようにしゃべる。精霊について調査しに来た者を装い、遭遇したいというふうに続けて言う。
「やはり、作法は必要だ。しかし、精霊と言っても多種多様」
 柏手をたたき、祈るふりをする。調査前の祈り、無礼をする謝罪という風に。
 顔を伏せている間に、仲間がどの程度、移動したのか把握する。

 それは見ていた。
 社の裏の木々の中から。
「あいつは……俺を裏切った? それとも……」
 逃げるにしても木が邪魔だ。ハンターを倒すことができれば?
 マテリアルが手に入る。
 それはかけに出た。

「ご神体……というのか? 拝見」
 炎は問題はないと社の扉を開けようとする。警戒はしていたが、それが表に出て相手に気取られるのも困るため、難しい。
 どこまで役者になれるか、だ。
 バンと扉を開けた。
 その瞬間、衝撃が走る。脳を揺さぶられるようだったが、社から転がるように離れ、武器に手をかけた。炎の位置からは敵が見てていないが、仲間の状況からばれたと判断付く。
「おい、無事か」
 レイオスは声をかけつつ、隠れている意味もないと抜刀し表に出た。
「いったーい、けど、まあ、どうにかなったわよ」
 まよいが余裕の微笑みを浮かべ、敵を見る。
 それは、蝙蝠の翼を持つ以外は人間にも見える存在。それは舌打ちをすると、ハンターに向かってくる。
「させません!」
 エルバッハは【アイスボルト】をかすめるように撃つ。傲慢の歪虚らしいという情報から固有の技能を警戒した。
 それを皮切にミリアの【神速殺突】、レイオスの放った全力の技、リューがそれのつばさを狙った攻撃が続いた。しかし、ここまでの攻撃は間一髪で回避され当たらない。不意打ちが尾を引いているのかもしれない。
「【鉄鎖「ドローミ」】からの【ファミリアアタック】!」
 メイムの放った技はヒットし、それの行動が一時的に阻害される。
 まよいは敵の精神攻撃を考え【アイデアル・ソング】を使う。愛らしい声としぐさで仲間の気持ちを高揚させる。
 炎と春夜の攻撃は加わり、すでにそれは半生半死だ。
 それは翼をはためかそうとする――逃げる。
「意外ともろいものだなっ! 他人を見下すだけで、貴様には上に立つだけの器はないな」
 春夜が挑発した。その瞬間、それの動きが鈍った。逃げるか、悠々とすべきかためらったのだろうか。
「逃がすわけにはいかないのです」
 エルバッハは【アイスボルト】を放つ。命中後、用心していたように【懲罰】が彼女を襲う。痛みはあるが、膝を付く程ではない。
「おいしい場所だったかもしれないがな」
「歪虚は放っておけないなっ」
 ミリアとレイオスの攻撃をそれは回避した。しかし、回避先がそれにとって問題だったが、ハンターたちには幸運だった。追い込んだ状態となる。
「地面の上でお手合わせ願おうか」
 回避したそれに叩き込まれたのはリューの攻撃であり、翼を狙ったものであったが、多少はずれたそれに命中した。それは憎々し気にリューをにらみつける。リューは反射されたダメージに眉をしかめたが、まだいけると判断できた。
「もう終わりだよね」
「歪虚は許さない! この世から消えろ!」
「さらばだ」
 メイム、炎そして春夜の技や魔法が叩き込まれ、それは霧散した。
 周囲を警戒する。これ以上何もないのか、それとも本当に倒したのかの確信を得る為。
「あとはプエルをどうにかするだけだね」
「ああ」
 メイムの言葉にミリアは重くうなずく。
「さっき窓辺にいたのがそれだとしても、対処は……」
「戦うなら応戦はするからね」
 春夜とまよいの言葉に、プエルを知っている者たちはうなずいた。
 ただ、今の状況であると、民家からおびき出して戦わなければならない上、外でも村を巻き込む危険が高い。
「一応セフェットさんの家の様子を見てから対応しますか?」
 エルバッハは仲間に問う。
「どっちにしろ、行ってみないと分からないな」
 炎はずんずん歩き始めた。

●少年、詰め寄る
 セフェットの家に急ぐハンターの耳に悲鳴が聞こえる。
 ノックをせず扉を開けると、ハンターは初対面の少年ルースが倒れ、その上にアデル人形が馬乗りになっている。
「お前っ!」
 炎が抜刀し、人形に迫る。
「やめてくれ、わしのアデルに」
 セフェットの悲鳴が響く。間に入りそうなのを直感し、レイオスがすり抜け押しとどめる。
 炎の刃が人形を刺し貫く。
「あ、あああ」
 セフェットがうめく。
 隙を縫って入ってきたミリアがルースを抱き起し、後方に下げた。
 後方にいるエルバッハと春夜がルースを保護し、警戒する。
「で、これはどういうことだ?」
「ルースはアデルと結婚すると言ってくれていたじゃろ……」
 炎が問いただすのに答えていないが、フォセットのつぶやきがルースの状況を物語った。
 ルースはアデルの恋人だった。死んでほしくはないと願ったとしても、動く人形は恐ろしかったのか別の事態があったのか、だと。
「ちょっと、プエル、いるんでしょ」
 メイムが部屋の奥に声をかけた。
「こんなところで何してんだ」
 リューが続けた。
 まよいは状況を見つつ、念のためにスタッフを握りしめる。戦いになった場合、人命を考えると、ハンターが圧倒的に不利でもある。
 セフェットのうめきが妙に響く中、時間だけが進む。十秒か一分か、経った頃、部屋の奥から大きな荷物を持ったプエルが出てきた。
「……なんでばれ……余の居所がよくわかったな!」
 驚きの声を発しかけ、威厳を保つような口調に戻る。
「アデル、アデル」
 レイオスはセフェットを離した。彼は倒れている人形にしがみつく。炎は引き離すべきか様子をうかがう。人形は動けばセフェットは危険であるが、見ている限り何もないようだった。
「この民家で何やってんだ」
「秘密」
「頼る奴いるのか」
「秘密」
「村から出ていくのか?」
「出てくよ」
 素直なプエルにレイオスは拍子抜けする。素直でも答えてはいないが。
「でもここにいるならいればいいじゃない……居場所がわかるほうがいいじゃない?」
 メイムが告げることには一理もある。その上、歪虚に感化されそうなセフェットについては用心は必要だとも考えてはいた。
「いてもいいぞ、坊ちゃん」
 セフェットはプエルにすがるように言う。
「定住するつもりならそれはそれでいいが……じいさん、こいつ、歪虚だ。それでもいいのか?」
 硬い表情でミリアが問う。
「さっき言った通り余は余の考えた通りに行動する。だから出ていくよ」
「そうか……まあ、ボクとしては……お前が討伐依頼出されるような事態だけは避けてほしいと思う」
 ミリアは一歩近づく。警戒しているプエルは一歩下がる。
「いてくれればアデルは動くのじゃ」
「お人形さん動かせるのってなんだかうらやましいな……。でもね、おじいさん、歪虚の力なのよ?」
 まよいは素直に問いかける。
 セフェットは黙り込む。
「死に抗うな、とは言わねえ。でも、精霊の力を借りたって、人は生き返ったりしねぇんだ」
 レイオスは諭すように告げる。脳裏にあるのは辺境であった商人や東方の巫子の姿だった。今ではそれぞれの道を歩んでいる。
 春夜はルースが「生き返ったとしても人形でどうするんだよ!」と悲鳴を上げて逃げていくのを見つめる。
「つまり、元のままなら受け入れたということか?」
 春夜は淡々とした視線でルースの背中を見送った。
「それは危ないよな……」
 リューは眉間にしわを寄せた。とはいえ、それを叶えるものはここにいない。
「どちらにせよ、プエルがここにいるというのは知れ渡りますね」
 エルバッハは呟く。プエルがいることを隠したとしてもルースが黙っているかは不明だ。
「おばあさんがお弁当作ってくれたし、出かけるよ」
 手触りのよさそうな人形五体が奥から出てきて、大きな包みを頭の上で担ぎ上げるように持っている。
「うわあああ」
 まよいは思わず目を輝かせる。人形が動くファンシーな現実が目の前にあった。
「通してくれる? 窓から出ないといけない? 窓からだとこの子たちが出られない」
 プエルは「どいてくれる?」と小首をかしげる。
 台所にいる老婆は何とも言えない表情で、連れ合いとプエルを見る。
 ハンターはプエルと荷物を持った犬、人形たちを通す。
 攻撃すれば仕留めることも可能かもしれない、とよぎる。失敗したとき、魔法を放たれたら逃げ場がない。その上、セフェットと妻が死ぬのは確実。
「レチタ人形と仲よくするんだよ」
 メイムは人形師とプエルで結び付けた結論を口にした。プエルはキョトンとし、何か言いかけて、にこりと笑う。
「プエル元気でな」
 ミリアが声をかけ、不意打ちでハグしてしまった。
「ふ、ふわあああ」
 むにゅとしたものが顎辺りに当たる。頑張って突き飛ばしてから、プエルは走って行った。そのあとを犬と人形たちがついて行く。
「……いいなぁ、お人形」
「いや、でも、歪虚の力だと言ったよな」
「うん、言ったけど、見ると違うよ」
 リューはまよいの言葉に「まあ、確かに何もなければ可愛いもんだ」とつぶやいた。
「で、これで、この村に関してはどうにかなったが……」
「実家の方も警戒はしているだろうし」
 炎の言葉にレイオスは言う。プエルが行く場所は無数あるが、居座るとなると限られる。
 村のことは村人が解決するしかない。
「何か、引っかかる」
「それはそうですね……」
 エルバッハは呟いた。
 家の中では動かなくなった孫娘の人形を前に、セフェットがしおれていたのだった。
「直すつもりじゃが……」
 孫娘の人形の髪を撫で「すまない」とつぶやいていた。

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MVP一覧

  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカーka1990
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオンka2434
  • 覚悟の漢
    南護 炎ka6651

重体一覧

参加者一覧

  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソード(ka1287
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • 巡るスズラン
    リュー・グランフェスト(ka2419
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師

  • 咲月 春夜(ka6377
    人間(蒼)|19才|男性|機導師
  • 覚悟の漢
    南護 炎(ka6651
    人間(蒼)|18才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談と宣言と調整と(
ミリア・ラスティソード(ka1287
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2017/09/05 05:13:05
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/09/04 08:42:07