ゲスト
(ka0000)
もぐら退治?
マスター:山稜上ル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 7~9人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/06/19 19:00
- 完成日
- 2014/06/26 17:36
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●もぐら退治?
威風堂々とした建物の正面に配置された石造りの太い柱、エンタシスに造られたその柱は空までまっすぐ伸びているような錯覚を覚える。
(相変わらず高ぇ)
ここはハンターズ・ソサエティ本部。
練成工房の見習い技師の俺がパシられて強化依頼を受けていた銃を届けに来たところだった。ちょうど建物の階段に足を掛けた時、建物にちょっと不釣合いなじっちゃんが目の前でこけた。
(あちゃ)
足元の小石に足をとられたようだった。
(さっきから、目の端でふらふらしてたから気になってたんだよ)
腕を引っ張り上げて、彼の膝についた泥をパンパンと叩き落としながら聞いた。
「じっちゃん、大丈夫? 観光?」
「いや、わしはもぐら退治を……」
「は? もぐら退治?」
すっとんきょうな声が青空の下響き渡った。
幾人かの視線が飛んでくる。ここは観光客も多く、亜人、人間を問わず多くのクリムゾンウエストの住人の多様性を見ることができる場所でもあった。
行き交う人の視線を集めてしまって、苦虫を噛み潰した顔をしているじっちゃんの腕を引いて、隅っこの階段に腰掛けた。近くでじっくり見れば、農夫らしき日に焼けた顔とごつごつとした手のひらをしている。
「ここ、ハンターズソサエティなんだけど」
「そうじゃ、わしも依頼に来たんじゃ」
身体を強張らせて怒り出したじっちゃんを、まあまあと宥めるように言った。
「もぐら退治じゃ、じっちゃんの近所の若者の方が慣れてんじゃねーの?」
彼は静かに目を伏せて訥々と語り始めた。
「……若者なんかおらんわ。過疎が進んで、今じゃ何キロも離れたところに数軒ある程度の村じゃ。家には、ばあさんとわしだけじゃ。そこへ、このもぐらじゃ。放牧をしとった羊を何匹か殺されて、狼の仕業かと見廻りをしとったら死んだ羊に群がるもぐら達を見たんじゃ。最初は大きさからウサギかと思ったんじゃが、手の指が土堀りに特化した硬いシャベルのようじゃったからな、あれはもぐらの化け物じゃ」
「もぐらの化け物?」
「そうじゃ、普通の大きさのもぐらはみみずを喰って生きとるんじゃ。羊に襲い掛かるなんて有り得ん。こいつの所為だったんかと持ってた鍬を振り上げたんじゃが、そいつ等が一斉にわしを見返した途端背筋が凍っての。わしは、赤い目をしたもぐらなんて初めて見たよ。ありゃ、あの赤い目は、わしが知ってとるもぐらとは別の生き物じゃった」
話を聞いて俺はぞっとした。
近頃多くなった雑魔だと思ったからだ。ハンターじゃない一般の人間にとってはもぐらといえど雑魔は脅威に違いなかった。
「じっちゃん、悪かった。それハンターズ・ソサエティの案件だと思う。受付まで一緒にいってやるよ。立てる?」
ああ、と立ち上がろうとしたじっちゃんの背中に手を添えて、ゆっくりと階段を上った。
●もぐらは殺さないでくれ?
結局、俺は自分の用件を済ませじっちゃんにお茶を持っていって巻き込まれた。
目の前には、少し困った顔の受付の女性。くるくると巻いた髪も疑問符を描いている。
(しょうがない、しゃしゃりでるか)
「じっちゃん、もぐらを殺すなっていうのは雑魔じゃないもぐらは殺すなってことかな?」
さっきから、もぐら退治だけどもぐらを殺すなって言ってるじっちゃんに彼女が困っていたから横から口を出した。
「おお、そうじゃ」
農業とか無縁だった俺には、老人がもぐらを愛おしんでいるのが少し不思議で、
「もぐらって害獣じゃないの?」と訊いていた。
「ばかもん! もぐらは過疎になったわしらの第三の働き手じゃ。魔導耕作機なんて手が出んからの、やつらに耕してもらっとると言ってもいいんじゃ。畑の地下を掘られると野菜が枯れてしまうから害獣じゃと言われとるが、休耕地や牧草地に移動してもらって共存しとるんじゃよ」
「つまり、雑魔たちももぐらと同じように地下に居て生き物の気配で出てくるんだな? その時、本物のもぐらだったら殺さないでくれと」
「なるほど。わかりました!」
やっと分ったという顔で、彼女はにっこりと微笑んで依頼内容を確認する。
「近隣の情報を調べましたが、そのウサギの大きさもあるもぐらは雑魔に間違いありません。おじいさまの村から北へ行った村でも目撃証言が出ていました。どうやら、近隣のもぐら雑魔が集まっているようですね。すぐハンターに依頼を出しましょう」
「集まってる?」
「はい、30匹くらいだったという話です」
俺は、あんぐりしてしまった。小さな雑魔とはいえ、一般人には危険なヴォイドだ。
数が半端ねぇし、彼女が教えてくれたように3匹もまとわりつかれたらハンターも危険らしい。かといって遠距離攻撃で一掃しようにも、本物のもぐらが混じっていないか確認しなければならない。地道に倒すしかないのか? それよりも……。
「ばあちゃん家に残してんじゃ」
心配そうにじっちゃんを見ると、そうじゃ急いで帰るわいと腰を上げた。
俺も軽く受付の女性に頭を下げ、じっちゃんを追いかけた。
「じっちゃん!」
「おお、今日はありがとな。大丈夫じゃ、後はハンター達がいい仕事をしてくれるじゃろう」
じっちゃんはそういって麦藁帽子を頭に乗せて足早に帰っていった。
威風堂々とした建物の正面に配置された石造りの太い柱、エンタシスに造られたその柱は空までまっすぐ伸びているような錯覚を覚える。
(相変わらず高ぇ)
ここはハンターズ・ソサエティ本部。
練成工房の見習い技師の俺がパシられて強化依頼を受けていた銃を届けに来たところだった。ちょうど建物の階段に足を掛けた時、建物にちょっと不釣合いなじっちゃんが目の前でこけた。
(あちゃ)
足元の小石に足をとられたようだった。
(さっきから、目の端でふらふらしてたから気になってたんだよ)
腕を引っ張り上げて、彼の膝についた泥をパンパンと叩き落としながら聞いた。
「じっちゃん、大丈夫? 観光?」
「いや、わしはもぐら退治を……」
「は? もぐら退治?」
すっとんきょうな声が青空の下響き渡った。
幾人かの視線が飛んでくる。ここは観光客も多く、亜人、人間を問わず多くのクリムゾンウエストの住人の多様性を見ることができる場所でもあった。
行き交う人の視線を集めてしまって、苦虫を噛み潰した顔をしているじっちゃんの腕を引いて、隅っこの階段に腰掛けた。近くでじっくり見れば、農夫らしき日に焼けた顔とごつごつとした手のひらをしている。
「ここ、ハンターズソサエティなんだけど」
「そうじゃ、わしも依頼に来たんじゃ」
身体を強張らせて怒り出したじっちゃんを、まあまあと宥めるように言った。
「もぐら退治じゃ、じっちゃんの近所の若者の方が慣れてんじゃねーの?」
彼は静かに目を伏せて訥々と語り始めた。
「……若者なんかおらんわ。過疎が進んで、今じゃ何キロも離れたところに数軒ある程度の村じゃ。家には、ばあさんとわしだけじゃ。そこへ、このもぐらじゃ。放牧をしとった羊を何匹か殺されて、狼の仕業かと見廻りをしとったら死んだ羊に群がるもぐら達を見たんじゃ。最初は大きさからウサギかと思ったんじゃが、手の指が土堀りに特化した硬いシャベルのようじゃったからな、あれはもぐらの化け物じゃ」
「もぐらの化け物?」
「そうじゃ、普通の大きさのもぐらはみみずを喰って生きとるんじゃ。羊に襲い掛かるなんて有り得ん。こいつの所為だったんかと持ってた鍬を振り上げたんじゃが、そいつ等が一斉にわしを見返した途端背筋が凍っての。わしは、赤い目をしたもぐらなんて初めて見たよ。ありゃ、あの赤い目は、わしが知ってとるもぐらとは別の生き物じゃった」
話を聞いて俺はぞっとした。
近頃多くなった雑魔だと思ったからだ。ハンターじゃない一般の人間にとってはもぐらといえど雑魔は脅威に違いなかった。
「じっちゃん、悪かった。それハンターズ・ソサエティの案件だと思う。受付まで一緒にいってやるよ。立てる?」
ああ、と立ち上がろうとしたじっちゃんの背中に手を添えて、ゆっくりと階段を上った。
●もぐらは殺さないでくれ?
結局、俺は自分の用件を済ませじっちゃんにお茶を持っていって巻き込まれた。
目の前には、少し困った顔の受付の女性。くるくると巻いた髪も疑問符を描いている。
(しょうがない、しゃしゃりでるか)
「じっちゃん、もぐらを殺すなっていうのは雑魔じゃないもぐらは殺すなってことかな?」
さっきから、もぐら退治だけどもぐらを殺すなって言ってるじっちゃんに彼女が困っていたから横から口を出した。
「おお、そうじゃ」
農業とか無縁だった俺には、老人がもぐらを愛おしんでいるのが少し不思議で、
「もぐらって害獣じゃないの?」と訊いていた。
「ばかもん! もぐらは過疎になったわしらの第三の働き手じゃ。魔導耕作機なんて手が出んからの、やつらに耕してもらっとると言ってもいいんじゃ。畑の地下を掘られると野菜が枯れてしまうから害獣じゃと言われとるが、休耕地や牧草地に移動してもらって共存しとるんじゃよ」
「つまり、雑魔たちももぐらと同じように地下に居て生き物の気配で出てくるんだな? その時、本物のもぐらだったら殺さないでくれと」
「なるほど。わかりました!」
やっと分ったという顔で、彼女はにっこりと微笑んで依頼内容を確認する。
「近隣の情報を調べましたが、そのウサギの大きさもあるもぐらは雑魔に間違いありません。おじいさまの村から北へ行った村でも目撃証言が出ていました。どうやら、近隣のもぐら雑魔が集まっているようですね。すぐハンターに依頼を出しましょう」
「集まってる?」
「はい、30匹くらいだったという話です」
俺は、あんぐりしてしまった。小さな雑魔とはいえ、一般人には危険なヴォイドだ。
数が半端ねぇし、彼女が教えてくれたように3匹もまとわりつかれたらハンターも危険らしい。かといって遠距離攻撃で一掃しようにも、本物のもぐらが混じっていないか確認しなければならない。地道に倒すしかないのか? それよりも……。
「ばあちゃん家に残してんじゃ」
心配そうにじっちゃんを見ると、そうじゃ急いで帰るわいと腰を上げた。
俺も軽く受付の女性に頭を下げ、じっちゃんを追いかけた。
「じっちゃん!」
「おお、今日はありがとな。大丈夫じゃ、後はハンター達がいい仕事をしてくれるじゃろう」
じっちゃんはそういって麦藁帽子を頭に乗せて足早に帰っていった。
リプレイ本文
●お爺さんの知恵、場所の特定
依頼者の村を通る馬車が出ようとしていた。
今日の天気はあいにく曇り、だが雨が落ちてくる程ではない。
「俺たちは先に出てお爺さんから話を聞いてきます」
ラシュディア・シュタインバーグ(ka1779)は、そう言うとマントを翻して馬車に乗った。
「後で」
国貴(ka1936)と話していたライオ・イルミナル(ka1446)も、ラシュディアと同じ馬車に乗り込む。
「オレたちは、後の馬車で行くから」
なんとなくパーティを取りまとめるようになったレイオス・アクアウォーカー(ka1990)が、二時間後の待ち合わせポイントを再確認して走り去る馬車を見送った。
(さてと、オレたちは他のメンバーを待つか)
馬車の轍さえ草に埋もれそうな道に二人は降り立ち、広がる草原一帯を見回した。
「平和な光景ですよね」
ライオの言葉に、ラシュディアも頷いて、
「本当の平和な光景にするために頑張りましょう」と先に見えるくたびれた農家を目指した。
「さっそく来てくれたんじゃな」
ドアをノックすると同時に現れた嬉しそうなお爺さんへの挨拶もそこそこに、羊が被害にあった場所を聞いた。
この家から東の方角を見ると小高い丘になっていて目印に大きな岩が突き出ている。待ち合わせの馬車道からは北東へ2キロといったところだ。その岩を超えた先が林になっていて、羊はその林の入り口で襲われていた。
お婆さんが横で簡単な地図を書いてくれている。それを皆で覗き込んでいると、
「そういえば、あそこはもぐらが捨てた巣穴が多かったわい。朽葉の下のみみず目当てのもぐらが多かったからの」
「今も、もぐらは同じところですか?」
顔を曇らせてライオが訊いた。
「いや、林の方は昨年から街の住宅建造に足らないとかで林から伐採しての、もぐらは少なくなっとったんじゃ。それに、家の北側で来年は芋を作るつもりじゃから一月前から朽葉をそちらに撒いておるから移動してるはずじゃ」
ラシュディアとライオは顔を見合わせて頷いた。
●馬車乗り場での出来事
待ち合わせ場所で最後に息を切らせて駆けてきたディーナ(ka1748)が息継ぎの合間に声を絞り出した。
「ち、遅刻じゃない、ぞ…よ?」
ディーナ、疑問形だし。
「うん、大丈夫ですよ。皆が早く来すぎたんです」
かわいいソプラノでクロ・トゥインクル(ka1468)の笑顔が弾ける。
「クロさんだって早かったですわ」
魔術師のローブと帽子を纏ったミスティ・メイフィールド(ka0782)。
「それを知ってるミスティさんもね」
さりげなくクロから指摘されていた。
どこか遠足気分のような、だけど昂揚して頬を赤くしてリンリン・ベル(ka2025)と国貴が喋っている。
「国貴=サンの薙刀見たいアルね」
これなんですと、取り出したのは身長より長い薙刀。
少し離れて、両手でくるくると廻した後、リンリンに見せた。
「やっぱり重たいアルね。国貴はこれを振り回すアルか?」
力持ちで凄いとか、薙刀も珍しいとか、わいわいがやがや楽しそうだ。
「国貴=サン、リンリンのはこれアルね」
手に握り締めたアンティーク調の魔導短伝話を広げて見せている。
魔導短伝話を武器に練成したもので、この日のためにいろいろ調整してきていた。
「えっ、武器?」
「据え置きの魔導伝話しか見たことなかったぞよ」
ディーナも話に加わってきた。
「リンリンの機導砲はこれを媒体にしてるアルね」
「え、えぇぇぇ!」
四人のハモった声が広場に響いた。
それを見ながら、チームワークは最高みたいだ、とレイオスは軽く笑った。
手配した馬車が目の前に滑り込んできた。
「じゃあ、皆そろったから出発するか」
五人が馬車に乗りみ、レイオスは御者の横に座って村を目指した。
●戦闘開始
辛うじて崩れない天気は正午とはいえ薄暗い。
待ち合わせポイントに居たラシュディアとライオを交えて最終打ち合わせをした。
馬車道から10メートルほど入った草地で、地図と地形を確認しながら小声で話す。
ここは、いつ雑魔が現れてもおかしくない地帯に入っている。
岩が突き出た丘から100メートルほど下って林があった。
そこは見晴らしが良く、草の丈は足首ほどだが、古いもぐらの巣穴は至る所ででこぼこと穴が開いている。足場に注意するように皆で確認している。
ライオが、お婆さんが書いた地図を指して説明する。
「今は北、ここら辺にもぐらは移動しているらしいんだ。雑魔が北へ動くともぐらと混戦になりそうだからこちらへ動かないように」
ラシュディアも、お爺さんと共に動くもぐらの生態を告げる。
「朝の6時から10時まで食事してるらしいから、今は寝ている時間だね」と伝える。
「つまり、今は雑魔モグラだけだってことでしょうか?」
首を傾げてクロが訊けば、レイオスがそうなるなとつぶやく。
地図を睨んだまま国貴が、「僕は後衛でいいのかな」と確認する。
「前衛は、オレとディーナとライオ、後は後衛、国貴はその後衛を守ってくれ。クロ、カバー範囲が広いが皆のヒールを頼む」
レイオスの指示に、全員静かに頷いた。
「では、始めるか」
ディーナとライオに声をかけたレイオス達が、一斉に林に向かって疾走した。
後衛は、岩を盾に位置取りを行い、前衛に合わせて動く。
そして、林と岩の中間地点で、レイオスが徐にバックラーにロングソードを叩きつけた。
グワァァァン……
振動音がまだ空気を震わせている中、地中から雑魔が現れた。
「うわっわっ! もしかして一気に30匹か?」
「レイオスさん――」
一瞬にしてこの状況を把握したライオが名前をつぶやいたあと絶句した。
「うひょひょ、でましたぞよ~」
ハイテンションに騒いでいるディーナ、嬉しそうだな。
そんな三人の脇を、ラシュディアの放ったマジックアローが一閃した。
その矢は、レイオスの正面にいた贋もぐらを正確に射抜き、時間差でミスティの放ったマジックアローも、ライオの足元のニセもぐらを射抜いた。と、同時にミスティの声がする。
「ちゃっちゃとやっつけますわよ」
その声に、ぞろりと出現した贋もぐらに気を取られた三人から気負いが抜け、ディーナが雑魔を散らすように駆け出して……。
――転んだ。
いや、転ぶ前に蹴散らしサッカーボールのように跳ねたのを国貴が薙刀で仕留める。
「偽者めー! 許せないんだからー!」
薙刀の鋭い切っ先と口調が見事に合っていない。
そして、転んだディーナは只では起きない。
足元の雑魔をつかんで、前方へ回転後、片膝立ちで突きを入れた。
『闘心昂揚』を乗せて自慢のメリケンサックで叩き込んだ突きは一発で雑魔を光の粒へと変えてゆく。
「ディーナさん、怪我はありませんか?」
クロの必死な声が聞こえる。
「大丈夫・ぞ・よ!」
蹴り上げた雑魔を、上体を捻って力を乗せた正拳突き。それを確認してクロは別のメンバーを見ていく。
レイオスのロングソードが確実に雑魔を捌いていく。
力任せのロングソード、当たりが悪かったものは、ディーナが脇で確実に潰していく。
その合間に、バックラーとロングソードを仕舞い、アメフトのボールのように雑魔を投げている。
リンリン、と声を掛けて彼女の方へ投げた。
リンリンの魔導短伝話は、ゆっくりと紋章を描きマテリアル放出。
弧を描いた雑魔を機導砲が捕らえた。
「命中しました」
最初の一発を外して、国貴の薙刀に獲物を譲ったあとだったから気分が浮上した。
レイオスのアクティブスキルの残りが少なくなっていた所為か、ミスティ、リンリンとレイオスが叫びながら雑魔を投げていた。
コツを掴んだリンリンの機導砲が無双している。
後衛の的中率が凄い、外しても国貴がいた。
(このパーティは最高だ!)
そんなレイオスのざくざくした戦いと対照的なのがライオだった。
小さな身体を補う『踏込』と舞うようなステップで、『強打』を上手くソードに乗せている。
確実に仕留めていくのは性格なんだろう。
随分、鍛錬を重ねているに違いない。
クロは、そんな前衛と後衛の中間にいて、今レイオスとディーナに声を掛けて回復を施した。
(レイオスさんとライオさんのロングソードコンビは危なげないです。にしても、こんなに大きいもぐらは見たことないよ)
クロは、ロッドを利き手に持ち替え『メイスファイティング』を込めて、足元の雑魔を強打した。
正確な打撃でニセもぐらは、細かな光の粒となって消えていく。
後衛の三人はまだ大丈夫のようですね、国貴さんに暫くしたら回復を――。
順調そうに見えた。だが――
雑魔が数匹北側の方へ動いていた。
気づいたのはラシュディアだった。
扇形の陣形を組んでいた後衛の中で、北よりにいたのが彼だったからだ。
マジックアローを放つ。
大きな石の陰に雑魔が入った形になり外れた。
(仕留めてみせます!)
ワンドに集中する。
発動したマジックアローは、吸い寄せられるように雑魔を光の粒子に変えた。
だが、寝ているはずのもぐらを起こす騒動だったのかもしれない。
どこをどうやってきたのか、一匹がラシュディアの足元を駆け抜けた。
「クロ! もぐらがそっちへ行きました!」
ラシュディアの声で、クロがもぐらを探すと巣穴に入ろうとしていた。
「それは、拙い考えですよ」
クロは、雑魔が隠れていたと思われる巣穴に入るもぐらを捕獲し、北側まで移動して開放した。
その場で、戦場を振り返ると戦いはほぼ終わっていた。
「残り三匹!」
レイオスの声と同時に、ディーナの拳が一匹を倒し、リンリンの機導砲がもう一匹を倒した。
「これで最後です」
国貴が、八相の構えから直突して最後の雑魔を倒した。
「終わりか……?」
深く息をついてレイオスが周りを見回すと、雑魔はいなくなっていた。
そこには疲労の色を濃くしたパーティのメンバーが、どこか誇らしげに立っていた。
じわじわと達成感が起こってくる。
「全滅ですね」ラシュディアが返した。
「あっという間でしたわ」ミスティが皆の輪まで歩いてくる。
「足りない気もするぞよ」一番元気が余っているディーナ。
「次は発動を早くするアル」短伝話の練成に意識がいってるリンリン。
「僕も前衛がしたいかも」自信をつけた国貴。
「おじいさん、これで一安心ですね」ヒールだけでなく、戦闘も経験したクロ。
「終了ですね」簡潔にまとめたライオの冷静さが最後に光っていた。
●報告とその後
「それじゃあ」
お爺さんに皆で報告すると老夫婦はとても喜んでくれた。
ずっと羊も牧舎の中で、草刈の作業で疲労がピークを超えていたらしかった。
それでも、お婆さんは「お腹が空いたでしょう」と平べったいナンのようなパンに肉と野菜を挟んだものを出してくれた。一緒にリラックスするからと、たんぽぽ茶も供してくれる。
たんぽぽ茶を一口飲んでほっとしながら、頑張って良かったと思ったのはレイオスだけじゃないだろう。
そして、待っていてもらった馬車に乗り込んだ。
今度も途中の警備のためレイオスが御者の隣に座っている。
往きと違って、帰りはラシュディアとミスティが残った。
「ハンターズ・ソサエティへの報告はオレがやっておくよ」レイオスがそう言うと、
「残党確認をしてから帰ります」ラシュディアが答えた。
「私も現状復帰ができているか確認しますわ」ミスティもそう言ってにっこり笑った。
レイオス達の馬車を見送った後、お婆さんに魔導伝話で馬車の手配を先にしてもらった。
「さあ、ちゃっちゃと片付けましょう」
ミスティの台詞を奪ってラシュディアが椅子から立ち上がった。
先ほどまでの戦闘地に引き返し、あたりを見回す。
もともと休耕地であったから、畑に被害は出ていない。
ただ倒れた草花で戦闘範囲が広かったことが分る。
エルフの勘みたいなもので、戦闘地の先にある林の奥に引き寄せられたミスティが、ある一点を気にしていた。
「ミスティ?」
ラシュディアが訝しげに近づいた。
「この下に嫌な感じがします。何かあるようですわ」
腐植土を木の枝で掻き寄せれば、奇妙な魔導機械が出てきた。
放置されたのか、誰かが意図的に此処に埋めたのか分らない。
運が悪いことに、古いもぐらの巣穴を押しつぶすように埋もれ、更に落ち葉が覆い隠したらしい。
「ニセもぐらの原因はこれみたいですわね」
「間違いないでしょう……」
二人でスコップと荷車を借りにお爺さんのところまで引き返し、それから重たい魔導機械を回収した。
それをお爺さんに見せ、残留マテリアルが雑魔を引き寄せたらしいと説明すると、お爺さんは「誰がそんなものを」と憤慨している。
「これは不法投棄ですから連盟にも報告して持ち主を特定できるか相談します。それに、原因がこれであるならもう雑魔は現れることはないでしょうから安心して下さい」
誠実な言葉にお爺さんの怒りも消えていく。
「そうじゃの、本当に世話になったの」
「ええ、最後までありがとうございました」
お婆さんの心からのお礼に二人はとんでもないと手を振った。
丁度、馬車がやってきた。
魔導機械を載せてリゼリオまでもう暫く。
家に帰り着くまでが戦闘、まだ二人の戦闘は穏やかに続いていた。
依頼者の村を通る馬車が出ようとしていた。
今日の天気はあいにく曇り、だが雨が落ちてくる程ではない。
「俺たちは先に出てお爺さんから話を聞いてきます」
ラシュディア・シュタインバーグ(ka1779)は、そう言うとマントを翻して馬車に乗った。
「後で」
国貴(ka1936)と話していたライオ・イルミナル(ka1446)も、ラシュディアと同じ馬車に乗り込む。
「オレたちは、後の馬車で行くから」
なんとなくパーティを取りまとめるようになったレイオス・アクアウォーカー(ka1990)が、二時間後の待ち合わせポイントを再確認して走り去る馬車を見送った。
(さてと、オレたちは他のメンバーを待つか)
馬車の轍さえ草に埋もれそうな道に二人は降り立ち、広がる草原一帯を見回した。
「平和な光景ですよね」
ライオの言葉に、ラシュディアも頷いて、
「本当の平和な光景にするために頑張りましょう」と先に見えるくたびれた農家を目指した。
「さっそく来てくれたんじゃな」
ドアをノックすると同時に現れた嬉しそうなお爺さんへの挨拶もそこそこに、羊が被害にあった場所を聞いた。
この家から東の方角を見ると小高い丘になっていて目印に大きな岩が突き出ている。待ち合わせの馬車道からは北東へ2キロといったところだ。その岩を超えた先が林になっていて、羊はその林の入り口で襲われていた。
お婆さんが横で簡単な地図を書いてくれている。それを皆で覗き込んでいると、
「そういえば、あそこはもぐらが捨てた巣穴が多かったわい。朽葉の下のみみず目当てのもぐらが多かったからの」
「今も、もぐらは同じところですか?」
顔を曇らせてライオが訊いた。
「いや、林の方は昨年から街の住宅建造に足らないとかで林から伐採しての、もぐらは少なくなっとったんじゃ。それに、家の北側で来年は芋を作るつもりじゃから一月前から朽葉をそちらに撒いておるから移動してるはずじゃ」
ラシュディアとライオは顔を見合わせて頷いた。
●馬車乗り場での出来事
待ち合わせ場所で最後に息を切らせて駆けてきたディーナ(ka1748)が息継ぎの合間に声を絞り出した。
「ち、遅刻じゃない、ぞ…よ?」
ディーナ、疑問形だし。
「うん、大丈夫ですよ。皆が早く来すぎたんです」
かわいいソプラノでクロ・トゥインクル(ka1468)の笑顔が弾ける。
「クロさんだって早かったですわ」
魔術師のローブと帽子を纏ったミスティ・メイフィールド(ka0782)。
「それを知ってるミスティさんもね」
さりげなくクロから指摘されていた。
どこか遠足気分のような、だけど昂揚して頬を赤くしてリンリン・ベル(ka2025)と国貴が喋っている。
「国貴=サンの薙刀見たいアルね」
これなんですと、取り出したのは身長より長い薙刀。
少し離れて、両手でくるくると廻した後、リンリンに見せた。
「やっぱり重たいアルね。国貴はこれを振り回すアルか?」
力持ちで凄いとか、薙刀も珍しいとか、わいわいがやがや楽しそうだ。
「国貴=サン、リンリンのはこれアルね」
手に握り締めたアンティーク調の魔導短伝話を広げて見せている。
魔導短伝話を武器に練成したもので、この日のためにいろいろ調整してきていた。
「えっ、武器?」
「据え置きの魔導伝話しか見たことなかったぞよ」
ディーナも話に加わってきた。
「リンリンの機導砲はこれを媒体にしてるアルね」
「え、えぇぇぇ!」
四人のハモった声が広場に響いた。
それを見ながら、チームワークは最高みたいだ、とレイオスは軽く笑った。
手配した馬車が目の前に滑り込んできた。
「じゃあ、皆そろったから出発するか」
五人が馬車に乗りみ、レイオスは御者の横に座って村を目指した。
●戦闘開始
辛うじて崩れない天気は正午とはいえ薄暗い。
待ち合わせポイントに居たラシュディアとライオを交えて最終打ち合わせをした。
馬車道から10メートルほど入った草地で、地図と地形を確認しながら小声で話す。
ここは、いつ雑魔が現れてもおかしくない地帯に入っている。
岩が突き出た丘から100メートルほど下って林があった。
そこは見晴らしが良く、草の丈は足首ほどだが、古いもぐらの巣穴は至る所ででこぼこと穴が開いている。足場に注意するように皆で確認している。
ライオが、お婆さんが書いた地図を指して説明する。
「今は北、ここら辺にもぐらは移動しているらしいんだ。雑魔が北へ動くともぐらと混戦になりそうだからこちらへ動かないように」
ラシュディアも、お爺さんと共に動くもぐらの生態を告げる。
「朝の6時から10時まで食事してるらしいから、今は寝ている時間だね」と伝える。
「つまり、今は雑魔モグラだけだってことでしょうか?」
首を傾げてクロが訊けば、レイオスがそうなるなとつぶやく。
地図を睨んだまま国貴が、「僕は後衛でいいのかな」と確認する。
「前衛は、オレとディーナとライオ、後は後衛、国貴はその後衛を守ってくれ。クロ、カバー範囲が広いが皆のヒールを頼む」
レイオスの指示に、全員静かに頷いた。
「では、始めるか」
ディーナとライオに声をかけたレイオス達が、一斉に林に向かって疾走した。
後衛は、岩を盾に位置取りを行い、前衛に合わせて動く。
そして、林と岩の中間地点で、レイオスが徐にバックラーにロングソードを叩きつけた。
グワァァァン……
振動音がまだ空気を震わせている中、地中から雑魔が現れた。
「うわっわっ! もしかして一気に30匹か?」
「レイオスさん――」
一瞬にしてこの状況を把握したライオが名前をつぶやいたあと絶句した。
「うひょひょ、でましたぞよ~」
ハイテンションに騒いでいるディーナ、嬉しそうだな。
そんな三人の脇を、ラシュディアの放ったマジックアローが一閃した。
その矢は、レイオスの正面にいた贋もぐらを正確に射抜き、時間差でミスティの放ったマジックアローも、ライオの足元のニセもぐらを射抜いた。と、同時にミスティの声がする。
「ちゃっちゃとやっつけますわよ」
その声に、ぞろりと出現した贋もぐらに気を取られた三人から気負いが抜け、ディーナが雑魔を散らすように駆け出して……。
――転んだ。
いや、転ぶ前に蹴散らしサッカーボールのように跳ねたのを国貴が薙刀で仕留める。
「偽者めー! 許せないんだからー!」
薙刀の鋭い切っ先と口調が見事に合っていない。
そして、転んだディーナは只では起きない。
足元の雑魔をつかんで、前方へ回転後、片膝立ちで突きを入れた。
『闘心昂揚』を乗せて自慢のメリケンサックで叩き込んだ突きは一発で雑魔を光の粒へと変えてゆく。
「ディーナさん、怪我はありませんか?」
クロの必死な声が聞こえる。
「大丈夫・ぞ・よ!」
蹴り上げた雑魔を、上体を捻って力を乗せた正拳突き。それを確認してクロは別のメンバーを見ていく。
レイオスのロングソードが確実に雑魔を捌いていく。
力任せのロングソード、当たりが悪かったものは、ディーナが脇で確実に潰していく。
その合間に、バックラーとロングソードを仕舞い、アメフトのボールのように雑魔を投げている。
リンリン、と声を掛けて彼女の方へ投げた。
リンリンの魔導短伝話は、ゆっくりと紋章を描きマテリアル放出。
弧を描いた雑魔を機導砲が捕らえた。
「命中しました」
最初の一発を外して、国貴の薙刀に獲物を譲ったあとだったから気分が浮上した。
レイオスのアクティブスキルの残りが少なくなっていた所為か、ミスティ、リンリンとレイオスが叫びながら雑魔を投げていた。
コツを掴んだリンリンの機導砲が無双している。
後衛の的中率が凄い、外しても国貴がいた。
(このパーティは最高だ!)
そんなレイオスのざくざくした戦いと対照的なのがライオだった。
小さな身体を補う『踏込』と舞うようなステップで、『強打』を上手くソードに乗せている。
確実に仕留めていくのは性格なんだろう。
随分、鍛錬を重ねているに違いない。
クロは、そんな前衛と後衛の中間にいて、今レイオスとディーナに声を掛けて回復を施した。
(レイオスさんとライオさんのロングソードコンビは危なげないです。にしても、こんなに大きいもぐらは見たことないよ)
クロは、ロッドを利き手に持ち替え『メイスファイティング』を込めて、足元の雑魔を強打した。
正確な打撃でニセもぐらは、細かな光の粒となって消えていく。
後衛の三人はまだ大丈夫のようですね、国貴さんに暫くしたら回復を――。
順調そうに見えた。だが――
雑魔が数匹北側の方へ動いていた。
気づいたのはラシュディアだった。
扇形の陣形を組んでいた後衛の中で、北よりにいたのが彼だったからだ。
マジックアローを放つ。
大きな石の陰に雑魔が入った形になり外れた。
(仕留めてみせます!)
ワンドに集中する。
発動したマジックアローは、吸い寄せられるように雑魔を光の粒子に変えた。
だが、寝ているはずのもぐらを起こす騒動だったのかもしれない。
どこをどうやってきたのか、一匹がラシュディアの足元を駆け抜けた。
「クロ! もぐらがそっちへ行きました!」
ラシュディアの声で、クロがもぐらを探すと巣穴に入ろうとしていた。
「それは、拙い考えですよ」
クロは、雑魔が隠れていたと思われる巣穴に入るもぐらを捕獲し、北側まで移動して開放した。
その場で、戦場を振り返ると戦いはほぼ終わっていた。
「残り三匹!」
レイオスの声と同時に、ディーナの拳が一匹を倒し、リンリンの機導砲がもう一匹を倒した。
「これで最後です」
国貴が、八相の構えから直突して最後の雑魔を倒した。
「終わりか……?」
深く息をついてレイオスが周りを見回すと、雑魔はいなくなっていた。
そこには疲労の色を濃くしたパーティのメンバーが、どこか誇らしげに立っていた。
じわじわと達成感が起こってくる。
「全滅ですね」ラシュディアが返した。
「あっという間でしたわ」ミスティが皆の輪まで歩いてくる。
「足りない気もするぞよ」一番元気が余っているディーナ。
「次は発動を早くするアル」短伝話の練成に意識がいってるリンリン。
「僕も前衛がしたいかも」自信をつけた国貴。
「おじいさん、これで一安心ですね」ヒールだけでなく、戦闘も経験したクロ。
「終了ですね」簡潔にまとめたライオの冷静さが最後に光っていた。
●報告とその後
「それじゃあ」
お爺さんに皆で報告すると老夫婦はとても喜んでくれた。
ずっと羊も牧舎の中で、草刈の作業で疲労がピークを超えていたらしかった。
それでも、お婆さんは「お腹が空いたでしょう」と平べったいナンのようなパンに肉と野菜を挟んだものを出してくれた。一緒にリラックスするからと、たんぽぽ茶も供してくれる。
たんぽぽ茶を一口飲んでほっとしながら、頑張って良かったと思ったのはレイオスだけじゃないだろう。
そして、待っていてもらった馬車に乗り込んだ。
今度も途中の警備のためレイオスが御者の隣に座っている。
往きと違って、帰りはラシュディアとミスティが残った。
「ハンターズ・ソサエティへの報告はオレがやっておくよ」レイオスがそう言うと、
「残党確認をしてから帰ります」ラシュディアが答えた。
「私も現状復帰ができているか確認しますわ」ミスティもそう言ってにっこり笑った。
レイオス達の馬車を見送った後、お婆さんに魔導伝話で馬車の手配を先にしてもらった。
「さあ、ちゃっちゃと片付けましょう」
ミスティの台詞を奪ってラシュディアが椅子から立ち上がった。
先ほどまでの戦闘地に引き返し、あたりを見回す。
もともと休耕地であったから、畑に被害は出ていない。
ただ倒れた草花で戦闘範囲が広かったことが分る。
エルフの勘みたいなもので、戦闘地の先にある林の奥に引き寄せられたミスティが、ある一点を気にしていた。
「ミスティ?」
ラシュディアが訝しげに近づいた。
「この下に嫌な感じがします。何かあるようですわ」
腐植土を木の枝で掻き寄せれば、奇妙な魔導機械が出てきた。
放置されたのか、誰かが意図的に此処に埋めたのか分らない。
運が悪いことに、古いもぐらの巣穴を押しつぶすように埋もれ、更に落ち葉が覆い隠したらしい。
「ニセもぐらの原因はこれみたいですわね」
「間違いないでしょう……」
二人でスコップと荷車を借りにお爺さんのところまで引き返し、それから重たい魔導機械を回収した。
それをお爺さんに見せ、残留マテリアルが雑魔を引き寄せたらしいと説明すると、お爺さんは「誰がそんなものを」と憤慨している。
「これは不法投棄ですから連盟にも報告して持ち主を特定できるか相談します。それに、原因がこれであるならもう雑魔は現れることはないでしょうから安心して下さい」
誠実な言葉にお爺さんの怒りも消えていく。
「そうじゃの、本当に世話になったの」
「ええ、最後までありがとうございました」
お婆さんの心からのお礼に二人はとんでもないと手を振った。
丁度、馬車がやってきた。
魔導機械を載せてリゼリオまでもう暫く。
家に帰り着くまでが戦闘、まだ二人の戦闘は穏やかに続いていた。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 レイオス・アクアウォーカー(ka1990) 人間(リアルブルー)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/06/19 23:04:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/15 12:09:13 |