ゲスト
(ka0000)
もぐら退治?
マスター:山稜上ル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在9人 / 7~9人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/06/19 19:00
- リプレイ完成予定
- 2014/06/28 19:00
オープニング
●もぐら退治?
威風堂々とした建物の正面に配置された石造りの太い柱、エンタシスに造られたその柱は空までまっすぐ伸びているような錯覚を覚える。
(相変わらず高ぇ)
ここはハンターズ・ソサエティ本部。
練成工房の見習い技師の俺がパシられて強化依頼を受けていた銃を届けに来たところだった。ちょうど建物の階段に足を掛けた時、建物にちょっと不釣合いなじっちゃんが目の前でこけた。
(あちゃ)
足元の小石に足をとられたようだった。
(さっきから、目の端でふらふらしてたから気になってたんだよ)
腕を引っ張り上げて、彼の膝についた泥をパンパンと叩き落としながら聞いた。
「じっちゃん、大丈夫? 観光?」
「いや、わしはもぐら退治を……」
「は? もぐら退治?」
すっとんきょうな声が青空の下響き渡った。
幾人かの視線が飛んでくる。ここは観光客も多く、亜人、人間を問わず多くのクリムゾンウエストの住人の多様性を見ることができる場所でもあった。
行き交う人の視線を集めてしまって、苦虫を噛み潰した顔をしているじっちゃんの腕を引いて、隅っこの階段に腰掛けた。近くでじっくり見れば、農夫らしき日に焼けた顔とごつごつとした手のひらをしている。
「ここ、ハンターズソサエティなんだけど」
「そうじゃ、わしも依頼に来たんじゃ」
身体を強張らせて怒り出したじっちゃんを、まあまあと宥めるように言った。
「もぐら退治じゃ、じっちゃんの近所の若者の方が慣れてんじゃねーの?」
彼は静かに目を伏せて訥々と語り始めた。
「……若者なんかおらんわ。過疎が進んで、今じゃ何キロも離れたところに数軒ある程度の村じゃ。家には、ばあさんとわしだけじゃ。そこへ、このもぐらじゃ。放牧をしとった羊を何匹か殺されて、狼の仕業かと見廻りをしとったら死んだ羊に群がるもぐら達を見たんじゃ。最初は大きさからウサギかと思ったんじゃが、手の指が土堀りに特化した硬いシャベルのようじゃったからな、あれはもぐらの化け物じゃ」
「もぐらの化け物?」
「そうじゃ、普通の大きさのもぐらはみみずを喰って生きとるんじゃ。羊に襲い掛かるなんて有り得ん。こいつの所為だったんかと持ってた鍬を振り上げたんじゃが、そいつ等が一斉にわしを見返した途端背筋が凍っての。わしは、赤い目をしたもぐらなんて初めて見たよ。ありゃ、あの赤い目は、わしが知ってとるもぐらとは別の生き物じゃった」
話を聞いて俺はぞっとした。
近頃多くなった雑魔だと思ったからだ。ハンターじゃない一般の人間にとってはもぐらといえど雑魔は脅威に違いなかった。
「じっちゃん、悪かった。それハンターズ・ソサエティの案件だと思う。受付まで一緒にいってやるよ。立てる?」
ああ、と立ち上がろうとしたじっちゃんの背中に手を添えて、ゆっくりと階段を上った。
●もぐらは殺さないでくれ?
結局、俺は自分の用件を済ませじっちゃんにお茶を持っていって巻き込まれた。
目の前には、少し困った顔の受付の女性。くるくると巻いた髪も疑問符を描いている。
(しょうがない、しゃしゃりでるか)
「じっちゃん、もぐらを殺すなっていうのは雑魔じゃないもぐらは殺すなってことかな?」
さっきから、もぐら退治だけどもぐらを殺すなって言ってるじっちゃんに彼女が困っていたから横から口を出した。
「おお、そうじゃ」
農業とか無縁だった俺には、老人がもぐらを愛おしんでいるのが少し不思議で、
「もぐらって害獣じゃないの?」と訊いていた。
「ばかもん! もぐらは過疎になったわしらの第三の働き手じゃ。魔導耕作機なんて手が出んからの、やつらに耕してもらっとると言ってもいいんじゃ。畑の地下を掘られると野菜が枯れてしまうから害獣じゃと言われとるが、休耕地や牧草地に移動してもらって共存しとるんじゃよ」
「つまり、雑魔たちももぐらと同じように地下に居て生き物の気配で出てくるんだな? その時、本物のもぐらだったら殺さないでくれと」
「なるほど。わかりました!」
やっと分ったという顔で、彼女はにっこりと微笑んで依頼内容を確認する。
「近隣の情報を調べましたが、そのウサギの大きさもあるもぐらは雑魔に間違いありません。おじいさまの村から北へ行った村でも目撃証言が出ていました。どうやら、近隣のもぐら雑魔が集まっているようですね。すぐハンターに依頼を出しましょう」
「集まってる?」
「はい、30匹くらいだったという話です」
俺は、あんぐりしてしまった。小さな雑魔とはいえ、一般人には危険なヴォイドだ。
数が半端ねぇし、彼女が教えてくれたように3匹もまとわりつかれたらハンターも危険らしい。かといって遠距離攻撃で一掃しようにも、本物のもぐらが混じっていないか確認しなければならない。地道に倒すしかないのか? それよりも……。
「ばあちゃん家に残してんじゃ」
心配そうにじっちゃんを見ると、そうじゃ急いで帰るわいと腰を上げた。
俺も軽く受付の女性に頭を下げ、じっちゃんを追いかけた。
「じっちゃん!」
「おお、今日はありがとな。大丈夫じゃ、後はハンター達がいい仕事をしてくれるじゃろう」
じっちゃんはそういって麦藁帽子を頭に乗せて足早に帰っていった。
威風堂々とした建物の正面に配置された石造りの太い柱、エンタシスに造られたその柱は空までまっすぐ伸びているような錯覚を覚える。
(相変わらず高ぇ)
ここはハンターズ・ソサエティ本部。
練成工房の見習い技師の俺がパシられて強化依頼を受けていた銃を届けに来たところだった。ちょうど建物の階段に足を掛けた時、建物にちょっと不釣合いなじっちゃんが目の前でこけた。
(あちゃ)
足元の小石に足をとられたようだった。
(さっきから、目の端でふらふらしてたから気になってたんだよ)
腕を引っ張り上げて、彼の膝についた泥をパンパンと叩き落としながら聞いた。
「じっちゃん、大丈夫? 観光?」
「いや、わしはもぐら退治を……」
「は? もぐら退治?」
すっとんきょうな声が青空の下響き渡った。
幾人かの視線が飛んでくる。ここは観光客も多く、亜人、人間を問わず多くのクリムゾンウエストの住人の多様性を見ることができる場所でもあった。
行き交う人の視線を集めてしまって、苦虫を噛み潰した顔をしているじっちゃんの腕を引いて、隅っこの階段に腰掛けた。近くでじっくり見れば、農夫らしき日に焼けた顔とごつごつとした手のひらをしている。
「ここ、ハンターズソサエティなんだけど」
「そうじゃ、わしも依頼に来たんじゃ」
身体を強張らせて怒り出したじっちゃんを、まあまあと宥めるように言った。
「もぐら退治じゃ、じっちゃんの近所の若者の方が慣れてんじゃねーの?」
彼は静かに目を伏せて訥々と語り始めた。
「……若者なんかおらんわ。過疎が進んで、今じゃ何キロも離れたところに数軒ある程度の村じゃ。家には、ばあさんとわしだけじゃ。そこへ、このもぐらじゃ。放牧をしとった羊を何匹か殺されて、狼の仕業かと見廻りをしとったら死んだ羊に群がるもぐら達を見たんじゃ。最初は大きさからウサギかと思ったんじゃが、手の指が土堀りに特化した硬いシャベルのようじゃったからな、あれはもぐらの化け物じゃ」
「もぐらの化け物?」
「そうじゃ、普通の大きさのもぐらはみみずを喰って生きとるんじゃ。羊に襲い掛かるなんて有り得ん。こいつの所為だったんかと持ってた鍬を振り上げたんじゃが、そいつ等が一斉にわしを見返した途端背筋が凍っての。わしは、赤い目をしたもぐらなんて初めて見たよ。ありゃ、あの赤い目は、わしが知ってとるもぐらとは別の生き物じゃった」
話を聞いて俺はぞっとした。
近頃多くなった雑魔だと思ったからだ。ハンターじゃない一般の人間にとってはもぐらといえど雑魔は脅威に違いなかった。
「じっちゃん、悪かった。それハンターズ・ソサエティの案件だと思う。受付まで一緒にいってやるよ。立てる?」
ああ、と立ち上がろうとしたじっちゃんの背中に手を添えて、ゆっくりと階段を上った。
●もぐらは殺さないでくれ?
結局、俺は自分の用件を済ませじっちゃんにお茶を持っていって巻き込まれた。
目の前には、少し困った顔の受付の女性。くるくると巻いた髪も疑問符を描いている。
(しょうがない、しゃしゃりでるか)
「じっちゃん、もぐらを殺すなっていうのは雑魔じゃないもぐらは殺すなってことかな?」
さっきから、もぐら退治だけどもぐらを殺すなって言ってるじっちゃんに彼女が困っていたから横から口を出した。
「おお、そうじゃ」
農業とか無縁だった俺には、老人がもぐらを愛おしんでいるのが少し不思議で、
「もぐらって害獣じゃないの?」と訊いていた。
「ばかもん! もぐらは過疎になったわしらの第三の働き手じゃ。魔導耕作機なんて手が出んからの、やつらに耕してもらっとると言ってもいいんじゃ。畑の地下を掘られると野菜が枯れてしまうから害獣じゃと言われとるが、休耕地や牧草地に移動してもらって共存しとるんじゃよ」
「つまり、雑魔たちももぐらと同じように地下に居て生き物の気配で出てくるんだな? その時、本物のもぐらだったら殺さないでくれと」
「なるほど。わかりました!」
やっと分ったという顔で、彼女はにっこりと微笑んで依頼内容を確認する。
「近隣の情報を調べましたが、そのウサギの大きさもあるもぐらは雑魔に間違いありません。おじいさまの村から北へ行った村でも目撃証言が出ていました。どうやら、近隣のもぐら雑魔が集まっているようですね。すぐハンターに依頼を出しましょう」
「集まってる?」
「はい、30匹くらいだったという話です」
俺は、あんぐりしてしまった。小さな雑魔とはいえ、一般人には危険なヴォイドだ。
数が半端ねぇし、彼女が教えてくれたように3匹もまとわりつかれたらハンターも危険らしい。かといって遠距離攻撃で一掃しようにも、本物のもぐらが混じっていないか確認しなければならない。地道に倒すしかないのか? それよりも……。
「ばあちゃん家に残してんじゃ」
心配そうにじっちゃんを見ると、そうじゃ急いで帰るわいと腰を上げた。
俺も軽く受付の女性に頭を下げ、じっちゃんを追いかけた。
「じっちゃん!」
「おお、今日はありがとな。大丈夫じゃ、後はハンター達がいい仕事をしてくれるじゃろう」
じっちゃんはそういって麦藁帽子を頭に乗せて足早に帰っていった。
解説
もぐら雑魔ともぐらの違いは、大きさと目の色。雑魔は赤く光る目を持っているが、本物は視力が退化して小さな白い目があるだけである。
おじいさんの牧場および休耕地、畑は2キロメートル四方に及ぶが、雑魔が集まっているのはその中の100メートル四方。雑魔は、もぐらと同じように地下通路に潜んでいるらしいが、それは本物のもぐらが捨てた地下通路。まずは、これに当たりをつけることが大事だろう。
もぐら雑魔は大きいと言っても20センチ程度だ。ショートソードでもかなり低い姿勢での対戦となる難しさがあるかもしれない。
また本物のもぐらは、4時間寝て4時間食事をするというサイクルで生活している。彼らの食事はミミズだが、食事の時間であれば、食い意地のはった彼らは其処を動かないだろう。
おじいさんの牧場および休耕地、畑は2キロメートル四方に及ぶが、雑魔が集まっているのはその中の100メートル四方。雑魔は、もぐらと同じように地下通路に潜んでいるらしいが、それは本物のもぐらが捨てた地下通路。まずは、これに当たりをつけることが大事だろう。
もぐら雑魔は大きいと言っても20センチ程度だ。ショートソードでもかなり低い姿勢での対戦となる難しさがあるかもしれない。
また本物のもぐらは、4時間寝て4時間食事をするというサイクルで生活している。彼らの食事はミミズだが、食事の時間であれば、食い意地のはった彼らは其処を動かないだろう。
マスターより
もぐらってカワイイ? これにはいろいろ意見はあるだろうが、おじいさんにとっては大事な相棒みたいだから慎重な雑魔討伐をお願いしたい。
それと、ちみっこい雑魔だからって見くびって足元を掬われないようにみんな気をつけて欲しい。元気で戻ってきてくれ!
それと、ちみっこい雑魔だからって見くびって足元を掬われないようにみんな気をつけて欲しい。元気で戻ってきてくれ!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/06/26 17:36
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 レイオス・アクアウォーカー(ka1990) 人間(リアルブルー)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/06/19 23:04:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/15 12:09:13 |