ゲスト
(ka0000)
リンカの森
マスター:あきのそら

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/09/17 15:00
- 完成日
- 2017/09/21 00:49
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
冒険都市リゼリオ近くの村、リンカ。
林業で成り立つ小さな村には、三人の子供たちが居た。
「オ~レ様ムテキのっ、クリムゾン~!」
謳いながら、真っ赤なハンカチを巻いた良い感じの木の枝を振り回すひとりの男の子。
名前はイワン。
「ばったばったたおすぜクリムゾン~!」
その横で、イワンのものと同じ真っ赤なハンカチを巻いた手作りのパチンコを構えてみせるのは、マルク。
「う、うぅぅ……ねぇ、やっぱりかえろうよぉ……」
そして、その後ろに着いてまわっている、真っ赤なハンカチを腕に結んでいる男の子は、ミロンという。
「なんだよミロン、ヴォイドがでたくらいでこわがってるのか!」
「おれたちクリムゾンブレイバーズはヴォイドなんかこわくないって誓っただろ!」
イワンとレオンは、ジャキーンと口で効果音を言いながら。
大剣さながら、銃器さながらに構えて、ヴォイドと戦うフリをしてみせる。
「うっ、うぅ……でも、お父さんがホントに危ないからヴォイドが居なくなるまで森には行くなって言ってたんだもん……」
「ふんっ! ヴォイドくらい、もう何回も見ただろ! どうってことないって!」
「そうだぞ! ミロンが追っかけられた時だって、すぐにハンターがなんとかしてくれたじゃないか!」
イワンとマルクの言葉に、ミロンは俯いてしまう。
「そう、だけど……だって、お父さんがハンターさんたちに依頼を出すのはまだ先になりそうだって言ってたから……今おそわれたら、誰も助けてくれないんだよ!」
「へんっ! そんときはオレ様のクリムゾンブレイドと!」
「おれのバコバコシュートで倒してやるぜ!」
「「な~!」」
「もおっ! またそうやってっ! ぼくたちはハンターさんたちの近くに住んでるだけで、ハンターさんじゃないんだよ!?」
「じゃあミロンだけ帰ればいいだろ! うるさいやつだな! オレ様は今日、ウサギを獲ってきて兄貴に自慢してやるんだよ!」
「えぇっ!?」
「おれもおれも! ヘビをカゴいっぱいに捕まえてきて父ちゃんに見せるんだ!」
「あ、ぅぅ」
それだけ言うと、イワンとマルクは森へ向かって歩き出す。
「さっさと秘密基地に行こうぜ!」
「そのあとは川だ! 川!」
ひとり残されたミロンは、一歩……二歩と踏み出そうとして。
「…………っ」
これっぽっちも自分の方を振りかえろうとしない二人に、怒りが湧いてきて。
「もう知らないっっ! ふたりとも、ヴォイドにたべられちゃえばいいんだーーーーっ!!!」
そう叫ぶと、村の中へとがむしゃらに走り始めたのだった。
●ミロンのおうち
そして、その夜。
いつもならとっくに灯りが消えているはずの時間。
「……お父さん? お母さん? どうしたの?」
なんだか騒がしい両親の声で目を覚ましたミロンは、目をこすりながら両親に問いかけた。
「ミロン……」
どこか諦めたような声を出す父。
その向こう――とっくに陽の落ちた暗い夜を背にして、玄関に立って居たのはイワンとマルクの両親だった。
「お父さん……? お母さん……?」
「ミロン、夕飯の時も聞いたがもう一度昼間のことを教えてくれるか?」
「な、なんで? イワンとマルクは? どうしておじさんとおばさんが居るの?」
「ミロン……イワンとマルクは、帰って来ていないそうだ」
「――――――」
血の気が引いた。
「ミロン、お前がふたりと喧嘩したことも、ふたりが森へ入っていくのを見たのも分かってる、大丈夫。誰もお前を責めたりしない。だからお父さんたちにもう一度、詳しく、ふたりがどこへ、何をしに行ったか、分かる限り教えてくれないか?」
出来るだけ優しい口調で、しゃがみこみながら話す父の声。
聞こえているはずの声が、強烈な耳鳴りで聞き取れない。
思い出される昼間の光景……ふたりの顔、ふたりの背中。
そして、自分の言葉が思い出させた瞬間。
「……っ!!!」
「おいミロンっ、どこへ行くんだ! 待てミロンっ!」
父の手を振り解いて、ミロンは自分の部屋へ走り出した。
机の上、父の作ってくれた木彫りの貯金箱を持って、窓から外へ飛び出す。
「ミロンっ! どこへ行くんだ! 戻ってきなさいっ!」
父の言葉を無視して、ミロンは走った。
向かうのは冒険都市リゼリオ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……! はやくっ、はやくよんでこなきゃ……!」
裸足のまま、ミロンは一晩中駆けた。
あなたたちの待つ、ハンターオフィスへと。
●ハンターオフィス
「き、近隣の村から、依頼ですっ!」
ハンターオフィスの一室。
斡旋担当の女性が、村の男性――ミロンの父親を伴って、あなたたちの前に立つ。
「先日、こちらの男性から依頼を受け、リンカの村へ調査に出向いたハンターからの報告によると森の中には何体もの雑魔が確認されたということですっ!」
女性に続いて、ミロンの父親が口を開く。
「村の者――いなくなった二人の両親が言うには、ある日突然木にぶら下がって獲物を待つボールのような奴らが現れたと思ったら、たった数日で大量に増えていたらしいのです。もう何体になっていることか……奴ら、場所を移動しながら森中の動物たちを捕らえているらしいのです。他にも特徴があったのかもしれませんが詳しく話をしている暇がなくて……」
「そんな森に、村の子供二人が入っていったそうなんですっ! 早急にヴォイドを殲滅しながら子供たちを探し出して、救出してください!」
「わたしの息子が、居なくなった二人と直前まで一緒に居ました。今は寝かせて貰っているところですが……必要であれば話を聞けると思いますので、どうかよろしくお願いしますっ!」
冒険都市リゼリオ近くの村、リンカ。
林業で成り立つ小さな村には、三人の子供たちが居た。
「オ~レ様ムテキのっ、クリムゾン~!」
謳いながら、真っ赤なハンカチを巻いた良い感じの木の枝を振り回すひとりの男の子。
名前はイワン。
「ばったばったたおすぜクリムゾン~!」
その横で、イワンのものと同じ真っ赤なハンカチを巻いた手作りのパチンコを構えてみせるのは、マルク。
「う、うぅぅ……ねぇ、やっぱりかえろうよぉ……」
そして、その後ろに着いてまわっている、真っ赤なハンカチを腕に結んでいる男の子は、ミロンという。
「なんだよミロン、ヴォイドがでたくらいでこわがってるのか!」
「おれたちクリムゾンブレイバーズはヴォイドなんかこわくないって誓っただろ!」
イワンとレオンは、ジャキーンと口で効果音を言いながら。
大剣さながら、銃器さながらに構えて、ヴォイドと戦うフリをしてみせる。
「うっ、うぅ……でも、お父さんがホントに危ないからヴォイドが居なくなるまで森には行くなって言ってたんだもん……」
「ふんっ! ヴォイドくらい、もう何回も見ただろ! どうってことないって!」
「そうだぞ! ミロンが追っかけられた時だって、すぐにハンターがなんとかしてくれたじゃないか!」
イワンとマルクの言葉に、ミロンは俯いてしまう。
「そう、だけど……だって、お父さんがハンターさんたちに依頼を出すのはまだ先になりそうだって言ってたから……今おそわれたら、誰も助けてくれないんだよ!」
「へんっ! そんときはオレ様のクリムゾンブレイドと!」
「おれのバコバコシュートで倒してやるぜ!」
「「な~!」」
「もおっ! またそうやってっ! ぼくたちはハンターさんたちの近くに住んでるだけで、ハンターさんじゃないんだよ!?」
「じゃあミロンだけ帰ればいいだろ! うるさいやつだな! オレ様は今日、ウサギを獲ってきて兄貴に自慢してやるんだよ!」
「えぇっ!?」
「おれもおれも! ヘビをカゴいっぱいに捕まえてきて父ちゃんに見せるんだ!」
「あ、ぅぅ」
それだけ言うと、イワンとマルクは森へ向かって歩き出す。
「さっさと秘密基地に行こうぜ!」
「そのあとは川だ! 川!」
ひとり残されたミロンは、一歩……二歩と踏み出そうとして。
「…………っ」
これっぽっちも自分の方を振りかえろうとしない二人に、怒りが湧いてきて。
「もう知らないっっ! ふたりとも、ヴォイドにたべられちゃえばいいんだーーーーっ!!!」
そう叫ぶと、村の中へとがむしゃらに走り始めたのだった。
●ミロンのおうち
そして、その夜。
いつもならとっくに灯りが消えているはずの時間。
「……お父さん? お母さん? どうしたの?」
なんだか騒がしい両親の声で目を覚ましたミロンは、目をこすりながら両親に問いかけた。
「ミロン……」
どこか諦めたような声を出す父。
その向こう――とっくに陽の落ちた暗い夜を背にして、玄関に立って居たのはイワンとマルクの両親だった。
「お父さん……? お母さん……?」
「ミロン、夕飯の時も聞いたがもう一度昼間のことを教えてくれるか?」
「な、なんで? イワンとマルクは? どうしておじさんとおばさんが居るの?」
「ミロン……イワンとマルクは、帰って来ていないそうだ」
「――――――」
血の気が引いた。
「ミロン、お前がふたりと喧嘩したことも、ふたりが森へ入っていくのを見たのも分かってる、大丈夫。誰もお前を責めたりしない。だからお父さんたちにもう一度、詳しく、ふたりがどこへ、何をしに行ったか、分かる限り教えてくれないか?」
出来るだけ優しい口調で、しゃがみこみながら話す父の声。
聞こえているはずの声が、強烈な耳鳴りで聞き取れない。
思い出される昼間の光景……ふたりの顔、ふたりの背中。
そして、自分の言葉が思い出させた瞬間。
「……っ!!!」
「おいミロンっ、どこへ行くんだ! 待てミロンっ!」
父の手を振り解いて、ミロンは自分の部屋へ走り出した。
机の上、父の作ってくれた木彫りの貯金箱を持って、窓から外へ飛び出す。
「ミロンっ! どこへ行くんだ! 戻ってきなさいっ!」
父の言葉を無視して、ミロンは走った。
向かうのは冒険都市リゼリオ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……! はやくっ、はやくよんでこなきゃ……!」
裸足のまま、ミロンは一晩中駆けた。
あなたたちの待つ、ハンターオフィスへと。
●ハンターオフィス
「き、近隣の村から、依頼ですっ!」
ハンターオフィスの一室。
斡旋担当の女性が、村の男性――ミロンの父親を伴って、あなたたちの前に立つ。
「先日、こちらの男性から依頼を受け、リンカの村へ調査に出向いたハンターからの報告によると森の中には何体もの雑魔が確認されたということですっ!」
女性に続いて、ミロンの父親が口を開く。
「村の者――いなくなった二人の両親が言うには、ある日突然木にぶら下がって獲物を待つボールのような奴らが現れたと思ったら、たった数日で大量に増えていたらしいのです。もう何体になっていることか……奴ら、場所を移動しながら森中の動物たちを捕らえているらしいのです。他にも特徴があったのかもしれませんが詳しく話をしている暇がなくて……」
「そんな森に、村の子供二人が入っていったそうなんですっ! 早急にヴォイドを殲滅しながら子供たちを探し出して、救出してください!」
「わたしの息子が、居なくなった二人と直前まで一緒に居ました。今は寝かせて貰っているところですが……必要であれば話を聞けると思いますので、どうかよろしくお願いしますっ!」
リプレイ本文
●オフィス 客室
ジャック・エルギン(ka1522)とディーナ・フェルミ(ka5843)は、他のハンターがオフィスを発ったあと。
ホットミルクを持つミロンと話していた。
「ミロン君」
ディーナは、涙ぐむミロンの頭を撫でながら微笑む。
「怒った時に出る言葉はね、その時一瞬の本心かもしれないけど……本心じゃないの。大丈夫、ミロン君は間違ってなかったよ。だってここまで走ってくるくらい、二人のことが大好きなんだもの、ね?」
傷だらけの両足を見て、ミロンの目にはまた涙が浮かんできてしまう。
「しょげた顔してんなよな。二人のことは俺らがさっさと連れ帰ってきてやるから、『これに懲りたら俺の言うことも聞けよな』って言ってやれ」
砕けた口調で笑ってみせるジャックにつられてミロンが笑うのをみて、二人はオフィスを発った。
●森
森の中。
鞍馬 真(ka5819)とボルディア・コンフラムス(ka0796)は、ミロンの父に描いてもらった地図を片手に道なき道を捜索していた。
「くんくん……くんくんくんっ」
ボルディアは超嗅覚で強化した鼻をくんくん言わせながら、僅かに人の通った痕跡の残る道を歩く。
「間違いねぇ、クソガキの臭いがしやがる」
「わざと木の枝を折ったような痕もあるし、ミロンくんに聞いた通り遊びながら森の奥へ向かったようだね」
「しっかし、こいつぁ先が長くなっちまうぞ」
ボルディアの視線の先、二人の足元から伸びるイワンたちの足跡はぐねぐねに折れ曲がり、森中を練り歩いたんじゃないかという勢いで無駄に長い道を作っている。
「まぁまぁ、こうして遊んでいた形跡しか見つかっていないということは少なくともここまでは無事だったということだし。早く見つけてあげよう」
「ったく、しょうがねえな……くんくん、くんくんすっ……あぁもう、戻ってやがる……!」
そうして、ボルディアたちは道なき道を掻き分けて進むのだった。
●森
ソレル・ユークレース(ka1693)とリュンルース・アウイン(ka1694)は、森の中の道に沿って雑魔を倒しながら進んでいた。
「落とすよ、ソル」
ドッ、とリュンルースが木を強く揺すると頭上から雑魔が落っこちてくる。
「もうちょっと揺すり方考えろっつーの」
――ザクッ。
ソレルの青ざめた大剣に貫かれた雑魔は、その冷気に当てられて霧散する。
「あぶねえだろうが」
「ふふっ、ソルのほうこそ」
「あぁ?」
リュンルースが杖を振り、頭上に広がる木々に向かってブリザードを放つとソレルの背後にぼとぼとぼとっと何体もの雑魔が凍り付いて降ってくる。
「もう少し立ち位置を選ばないと、危ないよ?」
「へーへー、そりゃどうも。有難いご忠告だ……なッ!」
と、今度はリュンルースの背後に切り裂かれた雑魔が落ちる。
「おっと、こっちにも居たんだね」
「……チッ、集まってきてやがるなこりゃあ」
かれこれ10体は倒してきたというのに、二人の頭上は静まるどころかガサガサと動きを増し始めていた。
「秘密基地まではあとどのくらいかな?」
「さぁな。けどまぁ、こっちに集まってくるっていうなら好都合だ」
二人の向かう先。
秘密基地に繋がるという道は、どう見ても雑魔だらけ。
「どうせ殲滅するつもりなんだ、全部ぶっ倒していくぞ」
「りょーかい」
二人は各々武器を構え、降り注ぐ雑魔たちへと振りかぶった。
●森
ソレルとリュンルースが派手に戦っている最中。
閃(ka6912)とT-Sein(ka6936)は、狛犬を先頭にしながら草木に隠れつつ進行していた。
「敵はソレル殿たちの方へ引き付けられているようだな」
「もしも道らしい道を通って逃げてきたならソレル様たちの方へ、もしも道を外れて逃げてきたならSeinたちの方へ来る可能性はある……のですが」
「ですが?」
先頭をいく狛犬が、キュゥンとしっぽを垂れる。
「近くに子供たちの匂いがしないそうです」
「それは、私たちが見当違いな場所を選んでしまったということか……?」
わふわふ、わふっと何やら話す狛犬。
「いいえ、かすかに感じるものはあるけれどこの道を通ったわけではないだろうし、Seinたちの香りとお菓子が気になって仕方がないと」
「わ、私はくさいのか……?」
「いいえ、お菓子が食べたいだけだと思います」
「……」
わふっ。
「お菓子、ひとつぐらいあげたらどうだ」
「いいえ、チョコレート入りなのでダメです」
きゅうん……。
「し、仕方があるまい。落ち込むな。そ、それよりもかすかに感じるものがあるということは近くに居るかもしれないのだな?」
「はい。おそらく」
「よし、そうと決まれば移動だ。早く帰って、その、あれだ……犬用のマカロンでも用意してもらおう」
わふんっ!
気を取り直した狛犬を先頭に、二人と一匹が動き出そうとした、その時だった。
二人の前方、その頭上が激しく揺れたのを見て二人は武器を構える。
ガサ、ガサガサ、ガサガサガサ!
「そこ――ッ!」
近づいてくる何かが射程に入った瞬間、閃の刀が抜き放たれると。
「おわぁーっ!?」
「なっ!」
落ちてきたのは、なんと木の上を移動していたイワンだった。
●森 端っこ
「くぉらあぁぁー! クソガキ共どこにいやがる。助けに来たから声出しやがれェー!」
しびれを切らしたボルディアは、拡声器を使って森中に呼びかけていた。
すると、ガサゴソと木々の葉が波のように揺れ、人の声を聞きつけた雑魔たちがゾロゾロと集まってくる。
「クッソ……ッ、どっちにっ、行ってもっ、雑魔ばっかじゃねえか!」
斧を振り薙ぎ払い続けるボルディアの後ろで、鞍馬は通信機を耳に当てる。
「あぁ、イワンくんを見つけたんだ、了解。こっちは雑魔を引き付けておくから気をつけて」
「あんだぁ!? 見つけたってか!?」
「閃さんたちがひとり見つけたって。少し休憩して、これから脱出するみたいだ。ソレルさんたちが近くで戦ってるから上手く隠れて脱出できそうだってさ」
「チィッ! こっちもさっさと見つけて……出ていかねえとなッ!」
「あぁ、もう一人のほうはジャックさんたちが探してて、そろそろ見つかりそうだって。村で詳しい話を聞いてきたみたいだな」
「んだよ! ってことは俺たちゃ雑魔処理……か、よッ!」
「そうなる……なッ」
鞍馬の身体が燃え上がったように発光すると、前方の木々のざわめきがより一層激しくなる。
「ディーナさんが聞いた話じゃ、雑魔はもうとっくに倍以上に増えてるらしい」
「そんじゃあ、出し惜しみ無しでパッパと片づけてやるかァ!」
「うん。でもあいつら、口からトリモチみたいの吐き出して動きを封じてくるらしいから気をつけながら、ね」
「ハンッ、上等だってぇのッ!」
ボルディアの斧が、炎を纏う。
二つの炎は、蠢く雑魔の影へ迸った。
●森 秘密基地
ジャックとディーナは、二匹の犬を先頭に森の奥までやってきていた。
「秘密基地はそろそろのはずだけど……っておわぁっ!?」
突如、二人の頭上へ真っ白い冷気が飛んでくる。
「な、なんだぁ?」
木々に隠れた先。
少し開けた、大きな木の広場を見るとソレルとリュンルースが大量の雑魔を相手に戦っていた。
「おいあんたら! 今助太刀に――」
弓を構えたジャックが飛び出そうとすると。
「要らねえよ。それよりっ、こっちにゃ……居ねえみてえだ」
ブリザードを巧みに避けながら、打ち漏らした雑魔を切り刻みつつソレルが答える。
「川の方に行ったかもしれないんだ、場所は聞いてきた……のかなっ」
「はいっ、聞いてきましたっ」
「なら行って。こっちは私とソルで大丈夫だから……さっ」
ライトニングで直線に雑魔を薙ぎ払い、道を作るリュンルース。
「ったく、気をつけろよー!」
戦闘を続けるソレルたちを背に、ジャックたちは作られた道を駆け抜けたのだった。
●森 川
ソレルたちの戦う音が遠く離れてきた頃。
ディーナとジャックは、川へ出た。
そこは、ミロンに教えてもらった川……三人がよく遊ぶのだという東を流れる川とは反対の、西の川だった。
「完全に逆側へ来ちまったが……」
「こっちに居るのよね?」
ばふっ!
ディーナの問いに答えるように、二匹は辺りを嗅ぎまわる。
すると、すぐさま同じ方向へ向かって走り出した。
「お、おい! 待てって!」
川沿いに、下流に向かって走る二匹を追うとやがて大きな段差が見えてきた。
森の中にあって、小さな滝のようになっている箇所。
その段差の向こう、下流の対岸にマルクは居た。
「ジャックさんっ! あそこっ!」
ディーナの指さす先には、一体の雑魔が木から落ち、怯えるマルクに向かってにじりよっている。
「任せろ……ッ!」
段差の際に立つジャックは、展開された折り畳み式の弓に素早く三本の矢をつがえる。
弓によって強化されたダブルシューティングは、三本の矢を勢いよく放ち、雑魔の触手と開いた口を地面へ縫い付けるように雑魔を捉えた。
「マルクくんっ!」
先行する犬と一緒に、岩を飛び越え段差を下り川を渡ったディーナがマルクの元へたどり着く。
「大丈夫? 怪我してない?」
腰を抜かしたマルクではあったものの、幸い掠り傷程度の怪我だけで済んでいたようで。
雑魔に襲われたような形跡は見当たらなかった。
「よかったぁ」
マルクの無事を確認したディーナは、両手で大きく丸を作って見せる。
「……ふぅ、やれやれ。ヒヤッとさせてくれるぜ、全く」
脱力しながら、ジャックはトランシーバーを取り出して。
「こちらジャック、もう一人を確保したぜ」
マルクの確保を報告した。
●森 出口
ジャックの連絡が、全員に届いた頃。
「……!」
Seinと閃は、雑魔に行く手を塞がれていた。
「あと少しというところで……!」
刀を構える閃の横で、Seinは先導する狛犬をひと撫でして。
「後ろをお願いします」
イワンに寄り添うように、後ろを警戒するよう指示をする。
そして、金属製のナックルを構えながら、前へ出る。
「時間は、ありません」
Seinの髪が、一瞬白銀に輝く。
「留まれば、もっと集まってくるかもしれないからな」
閃の両目が、赤く、緋色の軌跡を描き始める。
「だから、一撃で……」
再び赤髪へとその色を変えたSeinの身体からは紫色の闘気が溢れだし、閃の身体に流れ込んで攻性強化を施していく。
同時に、Seinの身体に赤いラインが走っていき、全身から蒸気を噴出させ、徐々に徐々にその勢いを増していく。
やがて、地面にのたうつ雑魔が二人を捉え、一斉に飛びかかってきた瞬間。
「――いきます」
Seinの両手から迸る巨大な鉤爪が振り放たれると、雑魔たちは一瞬のうちに消し飛んだ。
呆然とするイワン。
その背中目がけて、後方に隠れていた一体の雑魔が飛びかかると。
ばふっ!
「甘い――ッ!」
瞬時に半身反転させた閃の疾風剣が雑魔を貫いた。
「ね、ねーちゃんたち、かっけぇ」
閃は刀を仕舞い、腰を抜かしたイワンの元へしゃがみこむと。
「先を急ごう。森を抜けたら、次はキミの番だ」
そう言ってかすかに微笑んだ。
●村
イワンが無事森を脱出した頃。
雑魔の殲滅を終えたボルディアの班と、ソレルの班は、マルクを連れたジャックたちの班と合流して森を脱出した。
そうして、無事二人の救出を終えたハンターたちは依頼者――ミロンとその父の元へ、二人を送り届けていた。
「ほら、お前らの恩人だぞ。礼を言っとけ」
ジャックに促されながら、イワンとマルクはうつむきがちにミロンの前に立つ。
「イワン」
閃の声に振り向きながらもう一度ミロンへ向き直ったところで、二人はミロンの足にいくつも手当のあとが残っていることに気付く。
「ミロンくんが、二人が居なくなったことを知ってすぐさまオフィスに知らせてくれたんだよ。二人の行きそうな場所も、二人のことも、真夜中の街道を走ってきてまでね」
リュンルースの優しい声に泣き出す二人は、差し出されたミロンの手を取って更に泣いた。
ありがとう、ごめんな。
絞り出された言葉と、三人の仲直り。
そして両親たちが安堵の笑顔を浮かべるのを見て、ハンターたちは依頼の終わりを実感するのだった。
「ったく、いいかテメェ等。今回は無茶が過ぎたが、冒険ってのは人間を強くする。俺が証拠だ。だから、お前等もきっと強くなれる。そしたら俺の事も守ってくれよ、な?」
「いやいや、あれだけ斧ぶん回してた人以上に強くって無茶だよね」
「んだとォ!?」
ボルディアと鞍馬のやり取りで笑いが生まれる中、ディーナがミロンの側にしゃがみこむ。
「よかったね、ミロン君っ」
「……はい!」
おしまい
ジャック・エルギン(ka1522)とディーナ・フェルミ(ka5843)は、他のハンターがオフィスを発ったあと。
ホットミルクを持つミロンと話していた。
「ミロン君」
ディーナは、涙ぐむミロンの頭を撫でながら微笑む。
「怒った時に出る言葉はね、その時一瞬の本心かもしれないけど……本心じゃないの。大丈夫、ミロン君は間違ってなかったよ。だってここまで走ってくるくらい、二人のことが大好きなんだもの、ね?」
傷だらけの両足を見て、ミロンの目にはまた涙が浮かんできてしまう。
「しょげた顔してんなよな。二人のことは俺らがさっさと連れ帰ってきてやるから、『これに懲りたら俺の言うことも聞けよな』って言ってやれ」
砕けた口調で笑ってみせるジャックにつられてミロンが笑うのをみて、二人はオフィスを発った。
●森
森の中。
鞍馬 真(ka5819)とボルディア・コンフラムス(ka0796)は、ミロンの父に描いてもらった地図を片手に道なき道を捜索していた。
「くんくん……くんくんくんっ」
ボルディアは超嗅覚で強化した鼻をくんくん言わせながら、僅かに人の通った痕跡の残る道を歩く。
「間違いねぇ、クソガキの臭いがしやがる」
「わざと木の枝を折ったような痕もあるし、ミロンくんに聞いた通り遊びながら森の奥へ向かったようだね」
「しっかし、こいつぁ先が長くなっちまうぞ」
ボルディアの視線の先、二人の足元から伸びるイワンたちの足跡はぐねぐねに折れ曲がり、森中を練り歩いたんじゃないかという勢いで無駄に長い道を作っている。
「まぁまぁ、こうして遊んでいた形跡しか見つかっていないということは少なくともここまでは無事だったということだし。早く見つけてあげよう」
「ったく、しょうがねえな……くんくん、くんくんすっ……あぁもう、戻ってやがる……!」
そうして、ボルディアたちは道なき道を掻き分けて進むのだった。
●森
ソレル・ユークレース(ka1693)とリュンルース・アウイン(ka1694)は、森の中の道に沿って雑魔を倒しながら進んでいた。
「落とすよ、ソル」
ドッ、とリュンルースが木を強く揺すると頭上から雑魔が落っこちてくる。
「もうちょっと揺すり方考えろっつーの」
――ザクッ。
ソレルの青ざめた大剣に貫かれた雑魔は、その冷気に当てられて霧散する。
「あぶねえだろうが」
「ふふっ、ソルのほうこそ」
「あぁ?」
リュンルースが杖を振り、頭上に広がる木々に向かってブリザードを放つとソレルの背後にぼとぼとぼとっと何体もの雑魔が凍り付いて降ってくる。
「もう少し立ち位置を選ばないと、危ないよ?」
「へーへー、そりゃどうも。有難いご忠告だ……なッ!」
と、今度はリュンルースの背後に切り裂かれた雑魔が落ちる。
「おっと、こっちにも居たんだね」
「……チッ、集まってきてやがるなこりゃあ」
かれこれ10体は倒してきたというのに、二人の頭上は静まるどころかガサガサと動きを増し始めていた。
「秘密基地まではあとどのくらいかな?」
「さぁな。けどまぁ、こっちに集まってくるっていうなら好都合だ」
二人の向かう先。
秘密基地に繋がるという道は、どう見ても雑魔だらけ。
「どうせ殲滅するつもりなんだ、全部ぶっ倒していくぞ」
「りょーかい」
二人は各々武器を構え、降り注ぐ雑魔たちへと振りかぶった。
●森
ソレルとリュンルースが派手に戦っている最中。
閃(ka6912)とT-Sein(ka6936)は、狛犬を先頭にしながら草木に隠れつつ進行していた。
「敵はソレル殿たちの方へ引き付けられているようだな」
「もしも道らしい道を通って逃げてきたならソレル様たちの方へ、もしも道を外れて逃げてきたならSeinたちの方へ来る可能性はある……のですが」
「ですが?」
先頭をいく狛犬が、キュゥンとしっぽを垂れる。
「近くに子供たちの匂いがしないそうです」
「それは、私たちが見当違いな場所を選んでしまったということか……?」
わふわふ、わふっと何やら話す狛犬。
「いいえ、かすかに感じるものはあるけれどこの道を通ったわけではないだろうし、Seinたちの香りとお菓子が気になって仕方がないと」
「わ、私はくさいのか……?」
「いいえ、お菓子が食べたいだけだと思います」
「……」
わふっ。
「お菓子、ひとつぐらいあげたらどうだ」
「いいえ、チョコレート入りなのでダメです」
きゅうん……。
「し、仕方があるまい。落ち込むな。そ、それよりもかすかに感じるものがあるということは近くに居るかもしれないのだな?」
「はい。おそらく」
「よし、そうと決まれば移動だ。早く帰って、その、あれだ……犬用のマカロンでも用意してもらおう」
わふんっ!
気を取り直した狛犬を先頭に、二人と一匹が動き出そうとした、その時だった。
二人の前方、その頭上が激しく揺れたのを見て二人は武器を構える。
ガサ、ガサガサ、ガサガサガサ!
「そこ――ッ!」
近づいてくる何かが射程に入った瞬間、閃の刀が抜き放たれると。
「おわぁーっ!?」
「なっ!」
落ちてきたのは、なんと木の上を移動していたイワンだった。
●森 端っこ
「くぉらあぁぁー! クソガキ共どこにいやがる。助けに来たから声出しやがれェー!」
しびれを切らしたボルディアは、拡声器を使って森中に呼びかけていた。
すると、ガサゴソと木々の葉が波のように揺れ、人の声を聞きつけた雑魔たちがゾロゾロと集まってくる。
「クッソ……ッ、どっちにっ、行ってもっ、雑魔ばっかじゃねえか!」
斧を振り薙ぎ払い続けるボルディアの後ろで、鞍馬は通信機を耳に当てる。
「あぁ、イワンくんを見つけたんだ、了解。こっちは雑魔を引き付けておくから気をつけて」
「あんだぁ!? 見つけたってか!?」
「閃さんたちがひとり見つけたって。少し休憩して、これから脱出するみたいだ。ソレルさんたちが近くで戦ってるから上手く隠れて脱出できそうだってさ」
「チィッ! こっちもさっさと見つけて……出ていかねえとなッ!」
「あぁ、もう一人のほうはジャックさんたちが探してて、そろそろ見つかりそうだって。村で詳しい話を聞いてきたみたいだな」
「んだよ! ってことは俺たちゃ雑魔処理……か、よッ!」
「そうなる……なッ」
鞍馬の身体が燃え上がったように発光すると、前方の木々のざわめきがより一層激しくなる。
「ディーナさんが聞いた話じゃ、雑魔はもうとっくに倍以上に増えてるらしい」
「そんじゃあ、出し惜しみ無しでパッパと片づけてやるかァ!」
「うん。でもあいつら、口からトリモチみたいの吐き出して動きを封じてくるらしいから気をつけながら、ね」
「ハンッ、上等だってぇのッ!」
ボルディアの斧が、炎を纏う。
二つの炎は、蠢く雑魔の影へ迸った。
●森 秘密基地
ジャックとディーナは、二匹の犬を先頭に森の奥までやってきていた。
「秘密基地はそろそろのはずだけど……っておわぁっ!?」
突如、二人の頭上へ真っ白い冷気が飛んでくる。
「な、なんだぁ?」
木々に隠れた先。
少し開けた、大きな木の広場を見るとソレルとリュンルースが大量の雑魔を相手に戦っていた。
「おいあんたら! 今助太刀に――」
弓を構えたジャックが飛び出そうとすると。
「要らねえよ。それよりっ、こっちにゃ……居ねえみてえだ」
ブリザードを巧みに避けながら、打ち漏らした雑魔を切り刻みつつソレルが答える。
「川の方に行ったかもしれないんだ、場所は聞いてきた……のかなっ」
「はいっ、聞いてきましたっ」
「なら行って。こっちは私とソルで大丈夫だから……さっ」
ライトニングで直線に雑魔を薙ぎ払い、道を作るリュンルース。
「ったく、気をつけろよー!」
戦闘を続けるソレルたちを背に、ジャックたちは作られた道を駆け抜けたのだった。
●森 川
ソレルたちの戦う音が遠く離れてきた頃。
ディーナとジャックは、川へ出た。
そこは、ミロンに教えてもらった川……三人がよく遊ぶのだという東を流れる川とは反対の、西の川だった。
「完全に逆側へ来ちまったが……」
「こっちに居るのよね?」
ばふっ!
ディーナの問いに答えるように、二匹は辺りを嗅ぎまわる。
すると、すぐさま同じ方向へ向かって走り出した。
「お、おい! 待てって!」
川沿いに、下流に向かって走る二匹を追うとやがて大きな段差が見えてきた。
森の中にあって、小さな滝のようになっている箇所。
その段差の向こう、下流の対岸にマルクは居た。
「ジャックさんっ! あそこっ!」
ディーナの指さす先には、一体の雑魔が木から落ち、怯えるマルクに向かってにじりよっている。
「任せろ……ッ!」
段差の際に立つジャックは、展開された折り畳み式の弓に素早く三本の矢をつがえる。
弓によって強化されたダブルシューティングは、三本の矢を勢いよく放ち、雑魔の触手と開いた口を地面へ縫い付けるように雑魔を捉えた。
「マルクくんっ!」
先行する犬と一緒に、岩を飛び越え段差を下り川を渡ったディーナがマルクの元へたどり着く。
「大丈夫? 怪我してない?」
腰を抜かしたマルクではあったものの、幸い掠り傷程度の怪我だけで済んでいたようで。
雑魔に襲われたような形跡は見当たらなかった。
「よかったぁ」
マルクの無事を確認したディーナは、両手で大きく丸を作って見せる。
「……ふぅ、やれやれ。ヒヤッとさせてくれるぜ、全く」
脱力しながら、ジャックはトランシーバーを取り出して。
「こちらジャック、もう一人を確保したぜ」
マルクの確保を報告した。
●森 出口
ジャックの連絡が、全員に届いた頃。
「……!」
Seinと閃は、雑魔に行く手を塞がれていた。
「あと少しというところで……!」
刀を構える閃の横で、Seinは先導する狛犬をひと撫でして。
「後ろをお願いします」
イワンに寄り添うように、後ろを警戒するよう指示をする。
そして、金属製のナックルを構えながら、前へ出る。
「時間は、ありません」
Seinの髪が、一瞬白銀に輝く。
「留まれば、もっと集まってくるかもしれないからな」
閃の両目が、赤く、緋色の軌跡を描き始める。
「だから、一撃で……」
再び赤髪へとその色を変えたSeinの身体からは紫色の闘気が溢れだし、閃の身体に流れ込んで攻性強化を施していく。
同時に、Seinの身体に赤いラインが走っていき、全身から蒸気を噴出させ、徐々に徐々にその勢いを増していく。
やがて、地面にのたうつ雑魔が二人を捉え、一斉に飛びかかってきた瞬間。
「――いきます」
Seinの両手から迸る巨大な鉤爪が振り放たれると、雑魔たちは一瞬のうちに消し飛んだ。
呆然とするイワン。
その背中目がけて、後方に隠れていた一体の雑魔が飛びかかると。
ばふっ!
「甘い――ッ!」
瞬時に半身反転させた閃の疾風剣が雑魔を貫いた。
「ね、ねーちゃんたち、かっけぇ」
閃は刀を仕舞い、腰を抜かしたイワンの元へしゃがみこむと。
「先を急ごう。森を抜けたら、次はキミの番だ」
そう言ってかすかに微笑んだ。
●村
イワンが無事森を脱出した頃。
雑魔の殲滅を終えたボルディアの班と、ソレルの班は、マルクを連れたジャックたちの班と合流して森を脱出した。
そうして、無事二人の救出を終えたハンターたちは依頼者――ミロンとその父の元へ、二人を送り届けていた。
「ほら、お前らの恩人だぞ。礼を言っとけ」
ジャックに促されながら、イワンとマルクはうつむきがちにミロンの前に立つ。
「イワン」
閃の声に振り向きながらもう一度ミロンへ向き直ったところで、二人はミロンの足にいくつも手当のあとが残っていることに気付く。
「ミロンくんが、二人が居なくなったことを知ってすぐさまオフィスに知らせてくれたんだよ。二人の行きそうな場所も、二人のことも、真夜中の街道を走ってきてまでね」
リュンルースの優しい声に泣き出す二人は、差し出されたミロンの手を取って更に泣いた。
ありがとう、ごめんな。
絞り出された言葉と、三人の仲直り。
そして両親たちが安堵の笑顔を浮かべるのを見て、ハンターたちは依頼の終わりを実感するのだった。
「ったく、いいかテメェ等。今回は無茶が過ぎたが、冒険ってのは人間を強くする。俺が証拠だ。だから、お前等もきっと強くなれる。そしたら俺の事も守ってくれよ、な?」
「いやいや、あれだけ斧ぶん回してた人以上に強くって無茶だよね」
「んだとォ!?」
ボルディアと鞍馬のやり取りで笑いが生まれる中、ディーナがミロンの側にしゃがみこむ。
「よかったね、ミロン君っ」
「……はい!」
おしまい
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/09/16 23:48:20 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/09/14 00:06:24 |