ゲスト
(ka0000)
憂いの花嫁
マスター:小林 左右也

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/09/28 07:30
- 完成日
- 2017/10/07 07:09
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●花嫁の不安
「リーザ、早く休みなさい」
「はい、母さん」
もうすぐ隣村へ嫁ぐリーザは「おやすみなさい」と両親に告げる。
今生の別れではないが、他家へ嫁いでしまえば滅多なことでは家族には会えない。それなのに普段と変わりない日々。不安はまったく無いかといえば嘘になる。
嫁ぎ先のレイオット家とは幼い頃から交流があり、夫となる次男坊のザームの人となりはある程度知っていた。
リーザの母は父とは初対面で結婚したというのに、仲睦まじく暮らしているのだ。だから、きっと大丈夫だろうと、周囲が心配するよりも気楽に構えている。むしろ気楽に構えないとこの先やっていけないと思っている。
「それよりも……」
不安なのは無事に村にたどり着けるかどうかだ。
隣村は山をひとつ隔てたところにある。村へ続く街道にはコボルドが必ずというほど出現する。コボルドの狙いは荷馬車が運ぶ荷物……主に食料や馬が狙いだ。
特に嫁入りの馬車は、婚礼の宴に振る舞う酒や食料、嫁入りに必要な家財一式を持っていく必要がある。狙ってくださいと言わんばかりの荷物を持っていかねばならないのは、古くからの伝統ゆえである。
「あーもう、バカバカしい」
盗まれるとわかっているのなら、最初から持って行かなければいいのに。
何度目かのため息を吐いた時、扉の隙間から純白の猫が入り込んできた。
「メルクル、おいで」
幼い頃から可愛がっている愛猫に手を伸ばす。柔らかな小さな体を抱きしめると、本当にバカバカしい話だと、さらに深いため息を吐いた。
●ハンターオフィスにて
「花嫁と荷馬車の護送ですか」
「はい。花嫁であるリーザ・クラウストさんと、花嫁道具を無事に隣村まで送り届けて欲しい、という依頼です」
ハンターオフィス職員であるコウ・リィの説明によると、聞けば隣村へ続く街道は、必ずと言っていいほどコボルドが出現するという。
標高はさほどではないが、急な岩山だ。
街道は切り立った岩の間を通っている。道幅は馬車が行き違うことができるくらいの広さがある。地盤はしっかりしているが、凹凸が多いのであまり馬車の速度は上げられない。
しかも、街道は岩場に挟まれているため、コボルドが襲ってきても前後にしか逃げられない。
コボルドの数は6体とそう多くはないが、少数のほうが動きやすいためであろう。
「彼らの狙いはあくまで積み荷と馬、主に食料です。3台目の荷馬車は食料を積んでいます。これは囮として使っても構わないそうです」
移動は陽が高いうちが有利だ。昼前に出発すれば、夕暮れ前には余裕の距離である。
「聞けば家同士が決めたご結婚だそうです。きっと新しい生活への期待よりも不安の方が勝るでしょう。少しでも花嫁の憂いを取り除けるよう、彼女を守ってあげてください」
「リーザ、早く休みなさい」
「はい、母さん」
もうすぐ隣村へ嫁ぐリーザは「おやすみなさい」と両親に告げる。
今生の別れではないが、他家へ嫁いでしまえば滅多なことでは家族には会えない。それなのに普段と変わりない日々。不安はまったく無いかといえば嘘になる。
嫁ぎ先のレイオット家とは幼い頃から交流があり、夫となる次男坊のザームの人となりはある程度知っていた。
リーザの母は父とは初対面で結婚したというのに、仲睦まじく暮らしているのだ。だから、きっと大丈夫だろうと、周囲が心配するよりも気楽に構えている。むしろ気楽に構えないとこの先やっていけないと思っている。
「それよりも……」
不安なのは無事に村にたどり着けるかどうかだ。
隣村は山をひとつ隔てたところにある。村へ続く街道にはコボルドが必ずというほど出現する。コボルドの狙いは荷馬車が運ぶ荷物……主に食料や馬が狙いだ。
特に嫁入りの馬車は、婚礼の宴に振る舞う酒や食料、嫁入りに必要な家財一式を持っていく必要がある。狙ってくださいと言わんばかりの荷物を持っていかねばならないのは、古くからの伝統ゆえである。
「あーもう、バカバカしい」
盗まれるとわかっているのなら、最初から持って行かなければいいのに。
何度目かのため息を吐いた時、扉の隙間から純白の猫が入り込んできた。
「メルクル、おいで」
幼い頃から可愛がっている愛猫に手を伸ばす。柔らかな小さな体を抱きしめると、本当にバカバカしい話だと、さらに深いため息を吐いた。
●ハンターオフィスにて
「花嫁と荷馬車の護送ですか」
「はい。花嫁であるリーザ・クラウストさんと、花嫁道具を無事に隣村まで送り届けて欲しい、という依頼です」
ハンターオフィス職員であるコウ・リィの説明によると、聞けば隣村へ続く街道は、必ずと言っていいほどコボルドが出現するという。
標高はさほどではないが、急な岩山だ。
街道は切り立った岩の間を通っている。道幅は馬車が行き違うことができるくらいの広さがある。地盤はしっかりしているが、凹凸が多いのであまり馬車の速度は上げられない。
しかも、街道は岩場に挟まれているため、コボルドが襲ってきても前後にしか逃げられない。
コボルドの数は6体とそう多くはないが、少数のほうが動きやすいためであろう。
「彼らの狙いはあくまで積み荷と馬、主に食料です。3台目の荷馬車は食料を積んでいます。これは囮として使っても構わないそうです」
移動は陽が高いうちが有利だ。昼前に出発すれば、夕暮れ前には余裕の距離である。
「聞けば家同士が決めたご結婚だそうです。きっと新しい生活への期待よりも不安の方が勝るでしょう。少しでも花嫁の憂いを取り除けるよう、彼女を守ってあげてください」
リプレイ本文
●出発
「今日はよろしくお願いします」
本日の護衛相手であるリーザ・クラウストは、白猫を腕に抱いたままお辞儀をする。ベールこそ付けていないが、花嫁衣装を思わせる白いドレスを纏っていた。
「この格好も伝統なんだそうです。コボルドが襲ってくるとわかっているのに……」
自嘲気味にリーザは口角を上げる。
そんなリーザに、時音 ざくろ(ka1250)はリラックスできるよう、にこっとほほ笑みかける。
「安心して、コボルドが現れても、ざくろ達が指一本触れさせないから……それよりも、お相手さんの事とか思ってる事あれば聞かせてよ」
「……ありがとうございます」
リーザは強張っていた表情を、少しだけ和らげる。
「3台目の御者をするトリプルJだ、よろしくな」
「あの! 荷物は囮なので、遠慮なく使ってください!」
トリプルJ(ka6653)が3台目の御者と聞いて、リーザは力強く念を押す。しかし彼はそうは思っていないようだ。
「男がいろいろ言っても響かねぇだろうから、短く済ますぜ。3台目はリーザの命よりゃ軽いが、リーザが婚家で可愛がられるよう親御さんが選んだ宴用の心づくしだ。気心知れてりゃ婚家の親御さんに実の娘のように可愛がって貰える。家の中に味方が多いってのは幸せだぜ?」
「で、でも!」
反論しようとするが、しおしおと口を噤む。囮として用意した積荷とはいっているが、すべてリーザのために揃えてくれた一級品ばかりだ。両親の心尽くしの品だということくらい、リーザもわかってはいるのだろう。
「親の決めた結婚かぁ、親も相手もいない身空じゃ想像もつかないなー」
とはいえ色々と大変そうだ、とカーミン・S・フィールズ(ka1559)は呟く。
「結婚か。私自身はする予定も何もないが……確か秘訣はため込まないで何かあったら都度話し合うことだって言ってたかなー?」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)の両親は娘から見てもやれやれと思うぐらい仲が良いから、その秘訣には信憑性があるはずだ。
まずは無事に結婚相手の元へ辿り着くこと。何はともあれ、リーザが無事結婚生活を始めるためには任務を遂行する必要があった。
「花嫁道具はこっち……コボルドちゃん達の好きそうな食料はアッチっと……」
レオナルド・テイナー(ka4157)は御者席から背後の荷物を確認する。2台目の馬車には嫁入り道具と花嫁衣装。婚礼用の食料と酒が積まれている。
「襲われるの前提でやっていれば、いつまで経っても解消されないわよね」
アルラウネ(ka4841)はレオナルドの隣りに座ると、溜息まじりに呟いた。
1台目の馬車の御者はヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549)が名乗り出た。出発前にすでに馬を軽く慣らし済みで、準備は万端だ。
同乗するのは、ざくろとカイン・シュミート(ka6967)。彼らは大切な花嫁の護衛兼、愚痴聞き要員として名乗り出た。
「Hey、ジェイ。久しぶりー。よろしくね♪」
カーミンは3台目の横に付いて護衛を受け持つ。
自前の馬であるエクウスに騎乗し、殿を名乗り出たのはアルトだった。後方の守りはこれで厳重となった。
カーミンとカインがさらに詳しく作成した地図によると、コボルドが主に襲撃してくる街道を挟む切り立った岩場の上部は、長年の雨水の浸食により空洞になった部分が多い。つまりコボルドがこの空洞部分に入ってしまえば姿が見えないという。上空から偵察する際にも注意が必要だ。
敵が出現した場合はすぐに情報共有できるよう、トランシーバーをそれぞれ設定する。
トリプルJがイヌワシを空に放つのを合図に、一同は村を出発した。
●花嫁の憂鬱
カインから渡されたキャンディを、リーザはバリバリと噛み砕く。話の糸口はないかとカインは視線を彷徨わせていたが、ふと白猫に目が留まった。
「猫可愛いな。触っても平気か?」
「はい、ぜひ」
リーザの声が綻ぶ。愛猫を可愛いと言われて嬉しさを隠せないようだ。彼女の膝で丸くなっている白猫にそっと手を伸ばす。ふわふわとして暖かい。
ざくろも一緒になって撫でると、白猫は気持ちよさそうに喉を鳴らす。
「この子を最初に拾ったのはザーム……婚約者だったんです。でも私にばかり懐いちゃったので、結局私の家で飼うことになったんです」
幼い頃、未来の旦那様は少々意地悪だったらしい。片手で足りるほどしか会っていないが、意地悪をされたことばかり覚えているようだ。
しかし聞いてみると、意地悪というよりは、好きな子についちょっかいを出してしまったのだろうと思うものばかり。
カインは神妙な面もちで、ざくろと御者席のヴィルマは微笑ましい気持ちで相槌を打つ。
「結婚が先にあって恋愛が後とは不安じゃろうが、一応知っておる者なのじゃろ?」
まったく知らない者と結婚するよりは良いのでは? とヴィルマに言われて言葉を濁す。
「これからどんな恋が出来るか、新しい生活に思いを馳せるのも楽しいかも知れぬよ」
「そうだといいんですけどね」
ザームと恋なんて想像もつかない。リーザは溜息を吐くしかなかった。
●戦闘
「はーいこちらカーミン、あなたのお耳の恋人よ♪ そろそろコボルド襲撃の名所ねー」
「こちら2台目異常なしでアリマース」
トランシーバーからの音声はクリアだ。電波状況は上々である。
カーミンの馬と並走するシェパードもまだ警戒している様子はない。イヌワシの目を通しても、コボルドたちの姿は見えない。いや、いないのではなく単純に目視できないだけの可能性もある。
監視の目は多い方がいいだろうと、ざくろ、カインもモフロウたちを空に飛ばす。そして問題の街道へ、いよいよ足を踏み入れた。
街道の道幅は報告通り広くはあるが、切り取られたような岩壁に挟まれたせいか多少の息苦しさを感じる。眩しいほどの青空には、モフロウ達とイヌワシが旋回している。
突如、トランシーバーにトリプルJから「コボルド発見」と連絡が入る。
「4時の方角に6匹だ、すぐ接敵しそうだぜ」
発見した時には、すでに並走していたという。一同に緊張が走る。
しかし奴らはどうやって襲撃するつもりなのだろう。岩壁が低くなるところなどしばらくはないはずだ。
まさか飛び降りてきたりして……とハンターたちの脳裏を掠めたか否か。だがコボルドが突如、宙に身を躍らせた事実に誰もが息を呑む。
「来た、上!」
殿を務めるアルトが叫ぶ。岩肌を蹴りながらコボルドたちが突進してくる。その速度は落下するよりも速い。岩壁を半分以上降りてきたところで、手足を拡げて落下する。これでは狙ってくださいと言っているようなものだ。
カーミンは落下するコボルドに立て続けに弓矢を打ち込む。1発目はコボルドの脇腹を掠め、2発目はど真ん中に突き刺さる。それでも最後の力を振り絞って、コボルドは荷台の屋根に着地する。途端、馬車を大きな衝撃が襲った。
「……っく!」
馬車を引く馬が驚いて馬脚を乱し、トリプルJが懸命に手綱を操る。着地したコボルドは這いずるように御者席へと向かう。馬車を乗っ取るつもりなのだろうが、そうはさせない。アルトが止めに投擲した手裏剣は紅い糸を引きながらコボルドの心臓を貫いた。
コボルドの体が地面へと落ちるのと同時に、新たなコボルドが荷台に飛びついてきた。さっきのコボルドよりもひと回り大きく、剣を所持している。恐らくボスであろう。
「こちらアルト、3台目にボス出現!」
電波状況は上々。ハンターたちの耳に彼女の声は届いていたが、それぞれが目の前の状況に対応しなければならない状態に陥っていた。
荷台にコボルドが落下したのは1台目も同様だった。衝撃で馬車は大きく揺れ、リーザが悲鳴を上げる。衝撃は2回。
「さて、花嫁の旅路はしかと魔法で守ってやらなければのぅ。大丈夫ちょちょいのちょいじゃて」
リーザの不安を取り除こうと、ヴィルマは明るく声を掛ける。
「リーザ、身を低くしてろ。メルクルの護りは任せた」
鋭く叫ぶカインの言葉に、リーザは涙目のまま大きく頷く。防護障壁をリーザに施すと、コボルドの重みでたわむ天井を見上げる。ざくろもまた、いつでも攻撃できるよう身構える。幌はコボルドの鋭い爪で引き裂かれ、あっという間に青空が露わになる。
出現したコボルドは2匹。1匹は荷台へ、1匹は御者台へ向かう。
「メルクルだめ!」
リーザの腕に抱かれた白猫がコボルドに毛を逆立てて威嚇する。挑発されて飛び掛かるが、咄嗟にざくろが放つ光の障壁に阻まれる。雷撃をまともに喰らったコボルドは荷台の外へと弾き飛んで行った。
御者台のヴィルマは衝撃のショックで走り出した馬を制しながらも、コボルドが自分を狙っていることに気づいていた。
「怖がることはない、落ち着くのじゃ!」
頭上から気配を感じ、手綱を持ったまま身を翻す。コボルドの爪を紙一重のところで避けるが、水色の髪の一部がはらりと宙を舞う。どうやら御者台に爪が食い込んでしまったらしく、咄嗟に動けないコボルドを哀れに思うが容赦はしない。
至近距離から放たれた氷の矢はコボルドの胸を貫き、小柄な体はそのまま御者台に崩れ落ちた、しかし馬車の車輪が僅かな段差に足を取られた。通常なら回避できるはずだが、思ったよりも馬車の速度が上がっていた。
手綱を引くが馬車は岩壁へと向かっていた。ぐらりと馬車は傾き、ヴィルマの小柄な体は宙に投げ出された。
最初の通信が入った時、レオナルドはすぐに馬車を停止する態勢に入っていた。街道の端へ寄せて手綱を引いた直後、コボルドの襲撃が始まる。2台目には2匹のコボルドが向かってきた。
襲撃を予期して荷台の幌の上で待ち構えていたアルラウネは、岩肌を駆けるように落下してきたコボルドを次元断で迎え撃つ。コボルドの体は真っ二つに切り裂かれる。後に続くコボルドは危険を察知し、岩肌を蹴って大きく跳躍して斬撃を免れていた。地面に着地したコボルドはすかさず飛び上がり、荷台を覆う幌に爪を立てた。
「おっとこっちは綺麗なお衣装しか無くってよ!」
ウインク一発でアイスボルトを放つと、コボルドは動きを止めた。幌を爪先で裂きながら地面に落下する。
案外呆気なく倒れたコボルドに、多少の物足りなさを感じたものの、アルトからの連絡を思い出す。
「直ぐに動かせるように御者席からは動きたくないんだケド……」
1台目とずいぶん離れてしまったが、3台目は目視できる距離にあった。レオナルドは思案しつつ、現状を報告するためにトランシーバーを手に取った。
●ボス登場
目の前のハンターに目もくれず、剣で幌を裂いて荷台へ突入したボスは、さっそく干し肉の塊にかぶりついていた。これがボスなのかと思うと、手下のコボルドが気の毒になってきた。
「これはリーザの婚家への贈り物だ。てめぇらにタダでくれてやるほど安いモンじゃねぇんだよ!」
荷台へ突入したトリプルJに唸り声を上げると、威嚇するように剣を振り回した。剣先が麻袋を引き裂き、中に入った豆が零れる。ボスは何を思ったか、肉にかぶりついたまま立て続けに豆を投げつける。これがなかなか地味に痛い。
このままでは埒が明かない。トリプルJが魔法で作り出した幻影の腕が出現する。さすがに危機を感じたボスは、幻影の腕に剣で斬りかかる。しかし相手は幻影。いくら斬りかかったところで手ごたえがあるはずがない。
しかし幻影の腕はボスの体を捉える。身を捩って逃れようとするが、そうはさせるかと荷台から引きずり下ろす。ワイルドスラッシュで連打を加えるが、まだ余力があるらしい。剣を滅茶苦茶に振り回しながら猛突進してくると、下馬して待機していたアルトが大地を蹴った。
互いに全速力で駆けるボスとアルトがすれ違った瞬間、霧となった血が宙を舞う。アルトの長剣の餌食となったボスの体は、自らが作った血溜まりに倒れた。
●1台目救出
レオナルドがトランシーバーで現状を伝えると、カーミンから応答があった。たった今ボスを倒したというものだった。その直後、ざくろから通信が入る。馬車が横転しかけ、ヴィルマが怪我を負ったとの連絡だった。
「リーザ、大丈夫か?」
「はい……」
馬車が倒れた時、防護障壁のお陰でリーザと白猫は無傷だった。カインとざくろもかすり傷程度だが、馬車の中は荷崩れして滅茶苦茶だ。荷物を除けつつリーザを助けながら馬車から這い出る。
馬車は危うく横転するところだったが、岩壁のお陰で斜めの状態に傾くに留まった。幸い馬も岩肌にぶつかった時に傷を負っているが軽傷のようだ。しかし馬車の側でうずくまるヴィルマは打撲がひどく身動きが取れない。
カインはヴィルマの側に膝を付くと、傷を癒すべく精霊に祈りを捧げる。柔らかな光が彼女を包み込むと、青ざめた顔色に血の気が戻ってきた。
ざくろの連絡によって応援に駆け付けたハンターたちの手で、1台目の修復が始まる。
傾いた馬車を起こすのは、体格のいいレオナルドとトリプルJの役割となった。多少破損しているがゆっくり走れば問題はなさそうだ。まだ本調子ではないヴィルマはリーザとカインと共に荷台で身を休めることになった。1台目の御者はざくろが代わることになり、せっかくだからとアルラウネが一緒に乗ることにする。
再び3台の馬車が出発する。
アルトは2台目の馬車の隣りに並ぶ。コボルドの巣を見つけて叩いておきたいという意見がレオナルドと一致したからだ。
「まだ今程度で済んでいるうちに大本を見つけて叩いておきたいところだな」
「三下り半でも孫の顔でも悲しく歪むのは雑魔の顔だけで十分だものねぇ……」
一方カーミンは1台目と並走する。自分とは真逆のリーザの立場は厄介だと思いつつ、ある意味羨ましくもあり、多少の興味もあった。
「ね、どんな人なの?」
「真面目な人、くらいしか答えようがありません」
リーザが結婚に期待の欠片も抱いていない様子に、ざくろは新婚の一人として力に成れればと口を開く。
「ざくろも最近結婚して……結婚っていいものだよ、ねぇアルラ」
色々思うところもあるが花嫁の助けになればと思い、アルラウネは笑顔で頷く。
「まぁ一緒に暮らしてみないと判らない事もあるしね。それでも耐えられなかたら行動すればいいと思うわ」
「え! お二人はご結婚されていたんですか?!」
リーザの驚いた声が岩壁に反射して、大きく響き渡った。
●到着
隣村へは日没前に余裕で到着した。多少荷崩れはしたものの、荷物はほぼ無事だった。
「無事到着……おめでとさん」
わずかではあるが、食料をボスに食われてしまったことを詫びるトリプルJに、リーザは首を横に振る。
「いいえ……本当にありがとうございました」
やっと花嫁が笑顔になった瞬間だった。
「今日はよろしくお願いします」
本日の護衛相手であるリーザ・クラウストは、白猫を腕に抱いたままお辞儀をする。ベールこそ付けていないが、花嫁衣装を思わせる白いドレスを纏っていた。
「この格好も伝統なんだそうです。コボルドが襲ってくるとわかっているのに……」
自嘲気味にリーザは口角を上げる。
そんなリーザに、時音 ざくろ(ka1250)はリラックスできるよう、にこっとほほ笑みかける。
「安心して、コボルドが現れても、ざくろ達が指一本触れさせないから……それよりも、お相手さんの事とか思ってる事あれば聞かせてよ」
「……ありがとうございます」
リーザは強張っていた表情を、少しだけ和らげる。
「3台目の御者をするトリプルJだ、よろしくな」
「あの! 荷物は囮なので、遠慮なく使ってください!」
トリプルJ(ka6653)が3台目の御者と聞いて、リーザは力強く念を押す。しかし彼はそうは思っていないようだ。
「男がいろいろ言っても響かねぇだろうから、短く済ますぜ。3台目はリーザの命よりゃ軽いが、リーザが婚家で可愛がられるよう親御さんが選んだ宴用の心づくしだ。気心知れてりゃ婚家の親御さんに実の娘のように可愛がって貰える。家の中に味方が多いってのは幸せだぜ?」
「で、でも!」
反論しようとするが、しおしおと口を噤む。囮として用意した積荷とはいっているが、すべてリーザのために揃えてくれた一級品ばかりだ。両親の心尽くしの品だということくらい、リーザもわかってはいるのだろう。
「親の決めた結婚かぁ、親も相手もいない身空じゃ想像もつかないなー」
とはいえ色々と大変そうだ、とカーミン・S・フィールズ(ka1559)は呟く。
「結婚か。私自身はする予定も何もないが……確か秘訣はため込まないで何かあったら都度話し合うことだって言ってたかなー?」
アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)の両親は娘から見てもやれやれと思うぐらい仲が良いから、その秘訣には信憑性があるはずだ。
まずは無事に結婚相手の元へ辿り着くこと。何はともあれ、リーザが無事結婚生活を始めるためには任務を遂行する必要があった。
「花嫁道具はこっち……コボルドちゃん達の好きそうな食料はアッチっと……」
レオナルド・テイナー(ka4157)は御者席から背後の荷物を確認する。2台目の馬車には嫁入り道具と花嫁衣装。婚礼用の食料と酒が積まれている。
「襲われるの前提でやっていれば、いつまで経っても解消されないわよね」
アルラウネ(ka4841)はレオナルドの隣りに座ると、溜息まじりに呟いた。
1台目の馬車の御者はヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549)が名乗り出た。出発前にすでに馬を軽く慣らし済みで、準備は万端だ。
同乗するのは、ざくろとカイン・シュミート(ka6967)。彼らは大切な花嫁の護衛兼、愚痴聞き要員として名乗り出た。
「Hey、ジェイ。久しぶりー。よろしくね♪」
カーミンは3台目の横に付いて護衛を受け持つ。
自前の馬であるエクウスに騎乗し、殿を名乗り出たのはアルトだった。後方の守りはこれで厳重となった。
カーミンとカインがさらに詳しく作成した地図によると、コボルドが主に襲撃してくる街道を挟む切り立った岩場の上部は、長年の雨水の浸食により空洞になった部分が多い。つまりコボルドがこの空洞部分に入ってしまえば姿が見えないという。上空から偵察する際にも注意が必要だ。
敵が出現した場合はすぐに情報共有できるよう、トランシーバーをそれぞれ設定する。
トリプルJがイヌワシを空に放つのを合図に、一同は村を出発した。
●花嫁の憂鬱
カインから渡されたキャンディを、リーザはバリバリと噛み砕く。話の糸口はないかとカインは視線を彷徨わせていたが、ふと白猫に目が留まった。
「猫可愛いな。触っても平気か?」
「はい、ぜひ」
リーザの声が綻ぶ。愛猫を可愛いと言われて嬉しさを隠せないようだ。彼女の膝で丸くなっている白猫にそっと手を伸ばす。ふわふわとして暖かい。
ざくろも一緒になって撫でると、白猫は気持ちよさそうに喉を鳴らす。
「この子を最初に拾ったのはザーム……婚約者だったんです。でも私にばかり懐いちゃったので、結局私の家で飼うことになったんです」
幼い頃、未来の旦那様は少々意地悪だったらしい。片手で足りるほどしか会っていないが、意地悪をされたことばかり覚えているようだ。
しかし聞いてみると、意地悪というよりは、好きな子についちょっかいを出してしまったのだろうと思うものばかり。
カインは神妙な面もちで、ざくろと御者席のヴィルマは微笑ましい気持ちで相槌を打つ。
「結婚が先にあって恋愛が後とは不安じゃろうが、一応知っておる者なのじゃろ?」
まったく知らない者と結婚するよりは良いのでは? とヴィルマに言われて言葉を濁す。
「これからどんな恋が出来るか、新しい生活に思いを馳せるのも楽しいかも知れぬよ」
「そうだといいんですけどね」
ザームと恋なんて想像もつかない。リーザは溜息を吐くしかなかった。
●戦闘
「はーいこちらカーミン、あなたのお耳の恋人よ♪ そろそろコボルド襲撃の名所ねー」
「こちら2台目異常なしでアリマース」
トランシーバーからの音声はクリアだ。電波状況は上々である。
カーミンの馬と並走するシェパードもまだ警戒している様子はない。イヌワシの目を通しても、コボルドたちの姿は見えない。いや、いないのではなく単純に目視できないだけの可能性もある。
監視の目は多い方がいいだろうと、ざくろ、カインもモフロウたちを空に飛ばす。そして問題の街道へ、いよいよ足を踏み入れた。
街道の道幅は報告通り広くはあるが、切り取られたような岩壁に挟まれたせいか多少の息苦しさを感じる。眩しいほどの青空には、モフロウ達とイヌワシが旋回している。
突如、トランシーバーにトリプルJから「コボルド発見」と連絡が入る。
「4時の方角に6匹だ、すぐ接敵しそうだぜ」
発見した時には、すでに並走していたという。一同に緊張が走る。
しかし奴らはどうやって襲撃するつもりなのだろう。岩壁が低くなるところなどしばらくはないはずだ。
まさか飛び降りてきたりして……とハンターたちの脳裏を掠めたか否か。だがコボルドが突如、宙に身を躍らせた事実に誰もが息を呑む。
「来た、上!」
殿を務めるアルトが叫ぶ。岩肌を蹴りながらコボルドたちが突進してくる。その速度は落下するよりも速い。岩壁を半分以上降りてきたところで、手足を拡げて落下する。これでは狙ってくださいと言っているようなものだ。
カーミンは落下するコボルドに立て続けに弓矢を打ち込む。1発目はコボルドの脇腹を掠め、2発目はど真ん中に突き刺さる。それでも最後の力を振り絞って、コボルドは荷台の屋根に着地する。途端、馬車を大きな衝撃が襲った。
「……っく!」
馬車を引く馬が驚いて馬脚を乱し、トリプルJが懸命に手綱を操る。着地したコボルドは這いずるように御者席へと向かう。馬車を乗っ取るつもりなのだろうが、そうはさせない。アルトが止めに投擲した手裏剣は紅い糸を引きながらコボルドの心臓を貫いた。
コボルドの体が地面へと落ちるのと同時に、新たなコボルドが荷台に飛びついてきた。さっきのコボルドよりもひと回り大きく、剣を所持している。恐らくボスであろう。
「こちらアルト、3台目にボス出現!」
電波状況は上々。ハンターたちの耳に彼女の声は届いていたが、それぞれが目の前の状況に対応しなければならない状態に陥っていた。
荷台にコボルドが落下したのは1台目も同様だった。衝撃で馬車は大きく揺れ、リーザが悲鳴を上げる。衝撃は2回。
「さて、花嫁の旅路はしかと魔法で守ってやらなければのぅ。大丈夫ちょちょいのちょいじゃて」
リーザの不安を取り除こうと、ヴィルマは明るく声を掛ける。
「リーザ、身を低くしてろ。メルクルの護りは任せた」
鋭く叫ぶカインの言葉に、リーザは涙目のまま大きく頷く。防護障壁をリーザに施すと、コボルドの重みでたわむ天井を見上げる。ざくろもまた、いつでも攻撃できるよう身構える。幌はコボルドの鋭い爪で引き裂かれ、あっという間に青空が露わになる。
出現したコボルドは2匹。1匹は荷台へ、1匹は御者台へ向かう。
「メルクルだめ!」
リーザの腕に抱かれた白猫がコボルドに毛を逆立てて威嚇する。挑発されて飛び掛かるが、咄嗟にざくろが放つ光の障壁に阻まれる。雷撃をまともに喰らったコボルドは荷台の外へと弾き飛んで行った。
御者台のヴィルマは衝撃のショックで走り出した馬を制しながらも、コボルドが自分を狙っていることに気づいていた。
「怖がることはない、落ち着くのじゃ!」
頭上から気配を感じ、手綱を持ったまま身を翻す。コボルドの爪を紙一重のところで避けるが、水色の髪の一部がはらりと宙を舞う。どうやら御者台に爪が食い込んでしまったらしく、咄嗟に動けないコボルドを哀れに思うが容赦はしない。
至近距離から放たれた氷の矢はコボルドの胸を貫き、小柄な体はそのまま御者台に崩れ落ちた、しかし馬車の車輪が僅かな段差に足を取られた。通常なら回避できるはずだが、思ったよりも馬車の速度が上がっていた。
手綱を引くが馬車は岩壁へと向かっていた。ぐらりと馬車は傾き、ヴィルマの小柄な体は宙に投げ出された。
最初の通信が入った時、レオナルドはすぐに馬車を停止する態勢に入っていた。街道の端へ寄せて手綱を引いた直後、コボルドの襲撃が始まる。2台目には2匹のコボルドが向かってきた。
襲撃を予期して荷台の幌の上で待ち構えていたアルラウネは、岩肌を駆けるように落下してきたコボルドを次元断で迎え撃つ。コボルドの体は真っ二つに切り裂かれる。後に続くコボルドは危険を察知し、岩肌を蹴って大きく跳躍して斬撃を免れていた。地面に着地したコボルドはすかさず飛び上がり、荷台を覆う幌に爪を立てた。
「おっとこっちは綺麗なお衣装しか無くってよ!」
ウインク一発でアイスボルトを放つと、コボルドは動きを止めた。幌を爪先で裂きながら地面に落下する。
案外呆気なく倒れたコボルドに、多少の物足りなさを感じたものの、アルトからの連絡を思い出す。
「直ぐに動かせるように御者席からは動きたくないんだケド……」
1台目とずいぶん離れてしまったが、3台目は目視できる距離にあった。レオナルドは思案しつつ、現状を報告するためにトランシーバーを手に取った。
●ボス登場
目の前のハンターに目もくれず、剣で幌を裂いて荷台へ突入したボスは、さっそく干し肉の塊にかぶりついていた。これがボスなのかと思うと、手下のコボルドが気の毒になってきた。
「これはリーザの婚家への贈り物だ。てめぇらにタダでくれてやるほど安いモンじゃねぇんだよ!」
荷台へ突入したトリプルJに唸り声を上げると、威嚇するように剣を振り回した。剣先が麻袋を引き裂き、中に入った豆が零れる。ボスは何を思ったか、肉にかぶりついたまま立て続けに豆を投げつける。これがなかなか地味に痛い。
このままでは埒が明かない。トリプルJが魔法で作り出した幻影の腕が出現する。さすがに危機を感じたボスは、幻影の腕に剣で斬りかかる。しかし相手は幻影。いくら斬りかかったところで手ごたえがあるはずがない。
しかし幻影の腕はボスの体を捉える。身を捩って逃れようとするが、そうはさせるかと荷台から引きずり下ろす。ワイルドスラッシュで連打を加えるが、まだ余力があるらしい。剣を滅茶苦茶に振り回しながら猛突進してくると、下馬して待機していたアルトが大地を蹴った。
互いに全速力で駆けるボスとアルトがすれ違った瞬間、霧となった血が宙を舞う。アルトの長剣の餌食となったボスの体は、自らが作った血溜まりに倒れた。
●1台目救出
レオナルドがトランシーバーで現状を伝えると、カーミンから応答があった。たった今ボスを倒したというものだった。その直後、ざくろから通信が入る。馬車が横転しかけ、ヴィルマが怪我を負ったとの連絡だった。
「リーザ、大丈夫か?」
「はい……」
馬車が倒れた時、防護障壁のお陰でリーザと白猫は無傷だった。カインとざくろもかすり傷程度だが、馬車の中は荷崩れして滅茶苦茶だ。荷物を除けつつリーザを助けながら馬車から這い出る。
馬車は危うく横転するところだったが、岩壁のお陰で斜めの状態に傾くに留まった。幸い馬も岩肌にぶつかった時に傷を負っているが軽傷のようだ。しかし馬車の側でうずくまるヴィルマは打撲がひどく身動きが取れない。
カインはヴィルマの側に膝を付くと、傷を癒すべく精霊に祈りを捧げる。柔らかな光が彼女を包み込むと、青ざめた顔色に血の気が戻ってきた。
ざくろの連絡によって応援に駆け付けたハンターたちの手で、1台目の修復が始まる。
傾いた馬車を起こすのは、体格のいいレオナルドとトリプルJの役割となった。多少破損しているがゆっくり走れば問題はなさそうだ。まだ本調子ではないヴィルマはリーザとカインと共に荷台で身を休めることになった。1台目の御者はざくろが代わることになり、せっかくだからとアルラウネが一緒に乗ることにする。
再び3台の馬車が出発する。
アルトは2台目の馬車の隣りに並ぶ。コボルドの巣を見つけて叩いておきたいという意見がレオナルドと一致したからだ。
「まだ今程度で済んでいるうちに大本を見つけて叩いておきたいところだな」
「三下り半でも孫の顔でも悲しく歪むのは雑魔の顔だけで十分だものねぇ……」
一方カーミンは1台目と並走する。自分とは真逆のリーザの立場は厄介だと思いつつ、ある意味羨ましくもあり、多少の興味もあった。
「ね、どんな人なの?」
「真面目な人、くらいしか答えようがありません」
リーザが結婚に期待の欠片も抱いていない様子に、ざくろは新婚の一人として力に成れればと口を開く。
「ざくろも最近結婚して……結婚っていいものだよ、ねぇアルラ」
色々思うところもあるが花嫁の助けになればと思い、アルラウネは笑顔で頷く。
「まぁ一緒に暮らしてみないと判らない事もあるしね。それでも耐えられなかたら行動すればいいと思うわ」
「え! お二人はご結婚されていたんですか?!」
リーザの驚いた声が岩壁に反射して、大きく響き渡った。
●到着
隣村へは日没前に余裕で到着した。多少荷崩れはしたものの、荷物はほぼ無事だった。
「無事到着……おめでとさん」
わずかではあるが、食料をボスに食われてしまったことを詫びるトリプルJに、リーザは首を横に振る。
「いいえ……本当にありがとうございました」
やっと花嫁が笑顔になった瞬間だった。
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花嫁護衛相談 ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/09/28 04:56:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/09/26 07:43:02 |