リアルブルーの1日

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~4人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2017/09/29 12:00
完成日
2017/10/09 15:53

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ――時間は、コーリアスとアレクサンドル、2人の歪虚が鎌倉に攻め込んでくる前まで遡る。

 リアルブルーの日本。鎌倉海浜公園のメタシャングリラ内。
 森山恭子(kz0216)を始めとするクルー達は、鎌倉クラスタ殲滅の事後処理に追われていた。
「イェルズさん!」
「やあ、レギ! どうしたの? 宙軍の人に呼ばれてるんじゃなかった?」
「はい! もう話は済ませてきました!」
 すごい速さで走って来たレギ(kz0229)にひらひらと手を振り返すイェルズ・オイマト(kz0143)。
 元々の素養なのか、強化人間だからなのか分からないが、レギは豪脚の持ち主らしい。
 息も切らさぬまま赤毛の青年を見上げる。
「僕、ドリスキルさんと一緒に引き続きメタ・シャングリラに同行するよう上部から指示が下りました。もう暫くこちらでお世話になります」
「そっか! 君が一緒なら心強いよ。よろしくね、レギ」
「こちらこそ! また紅の世界についてお話聞かせてください! あと背が高くなる方法も!」
「勿論いいけど……背は、気づいたらこうなってたからなあ……」
 目をキラキラと輝かせるレギに言葉に詰まるイェルズ。
 その姿を見て、恭子ははふぅ……とため息をつく。
「イェルズちゃんもレギちゃんも可愛いザマスねえ……。目の保養ザマス」
「ったく。お子様とばあさんは気楽でいいな」
「婆さんじゃないザマス。まだ還暦前ザマスよ!」
 ジェイミー・ドリスキル(kz0231)中尉のボヤきに抗議する恭子。
 八重樫 敦(kz0056)は書類から目を離さぬまま口を開く。
「お前もさっさとヨルズの整備に入れ。どうせすぐ次の任務に送り込まれるんだろうからな」
「へいへい。分かってるよ」
「森山艦長、失礼します。宙軍よりオードブルが届きました。鎌倉クラスタ戦の慰労とのことです」
「あら。珍しく気が利くザマス。じゃあ早速戴くザマスよ。皆も休憩すると良いザマス」
 通信兵の報告ににこやかに答えた恭子。クルー達から歓声が上がって、イェルズが立ち上がる。
「じゃあ俺お茶淹れて来ますね」
「僕も手伝います!」
「あ、酒飲んでもいいかね」
「ドリスキル。お前昼間から飲む気なのか……」
 イェルズに続くレギ。早速ポケットからスキットルを取り出したドリスキルに、八重樫が苦笑して――恭子がぽん、と手を打つ。
「……そうザマスね。お休みが必要ザマス」
「は? 婆さん、何だって?」
「鎌倉の作戦が始まってから皆ずっと休みなしで働いてるザマス。いい仕事をするためにはお休みも必要ザマスよ。……という訳で、今日は1日休暇にするザマス。皆、遊びに行って来ていいザマスよ」
「急な話だが、異論はないな」
 突然の恭子の言葉に、スキットルを持ったまま固まるドリスキル。
 それに、八重樫は頷き、クルー達から二度目の歓声が上がる。
 ――恭子という人間は、若干常識では測れない部分はあるが、上官としては有能な部類であるように思う。
 クルーや協力者であるハンターを気遣い、尊重する……当たり前のことといえばそうだが、これが出来ない人間がいるのも事実。
「お待たせしました! お茶入りましたよー!」
「……って、皆さんどうしたんですか?」
 そこにお茶を持って戻って来たイェルズとレギ。皆が浮かれているのを見て目を丸くする。
「婆さんのお達しでな、1日休暇くれるらしい。俺、折角だから飲みに行ってくるわ」
「婆さんじゃないザマス!」
「昼間から開いてる酒場なんてあるのか?」
「あるんだよ、それが。八重樫も行くか?」
「遠慮しておく。そんな暇があったら武器の手入れをしたい」
「あーやだやだ。堅物だねー」
 恭子の抗議を華麗にスルーして八重樫の返答に肩を竦めるドリスキル。お茶を配りながら、イェルズが考え込む。
「お休みは有り難いんだけど。どうしようかな……」
「僕、秋葉原に行ってみようかな。同僚が何か面白い場所だって言ってたんですよね」
 同僚の女の子の言葉を思い出して首を傾げるレギ。そこに満面の笑みを称えた恭子が歩み寄った。
「イェルズちゃんとレギちゃんは特別にデートしてあげてもいいザマスよ」
「「お断りします」」
 ――即答だった。

 そして、突然のお休みは、恭子たちを手伝いに鎌倉を訪れていたハンター達にも言い渡された。
 外は秋晴れ。だんだん夏から秋へと変わり、風が涼しくなっていく頃。
 久しぶりの休みだ。何をしようか。
 紅の世界に戻っている時間はないけれど、蒼の世界でなら色々出来そうだ。
 酒を飲みながらダラダラするのもいい。
 それとも、あの子を誘って買い物にでも行こうか。
 観光地に行ってみるのもいいかもしれない……。

 青の世界の、ハンター達の1日が始まる。

リプレイ本文

●貴方へ送る手紙

 父さん、母さんへ

 元気にしているかい? まあ、2人のことだから大丈夫だとは思っているが。
 突然連絡が取れなくなった娘から手紙が届いて驚いていると思うけど……私はサルヴァトーレ・ロッソと共に転移して、今はクリムゾンウェストと呼ばれる世界で暮らしてる。
 以前は帰りたくても帰れなかったんだけど、最近ようやくこちらの世界に来る方法が確立されてね。
 それで今日は、久しぶりにこちらに戻って来たという訳。

 折角だから、そのクリムゾンウェストの友人達と、こちらに戻って来て知り合った人達……オイマト族と呼ばれる一族の人と、統一連合軍の新人君を連れて久しぶりに箱根に行ったんだ。
 連合軍の新人君はともかく、オイマト族の子は鉄道を見たことがなかったようで、そりゃもう大騒ぎでね。
 四角い箱が爆走してる、という感想には笑ったな。
 向こうとこちらでは動力源も違うから、そこから説明しないといけなくてなかなか苦労したけど、友人達の探求心を満たすことは出来たと思う。

 ロープ―ウェイにも乗ったんだけど、オイマト族の子が「こんな細いロープで切れて落ちたりしないのか!?」とビビりまくっていて、笑いを堪えるのが大変だったよ。
 大涌谷に寄ったが……あそこは相変わらずだね。
 空気がひんやりしていて、硫黄の匂いがして……ああ、黒たまごも食べた。あれは相変わらず美味しいね。
 1つ食べると7年寿命が延びると言われているよ、と友人達に教えたら我先にと沢山食べてたな……。
 大涌谷には延命・子育てにご利益がある神がいると言われているからで、個数はあまり関係ない筈なんだけど、あまりに必死だから何も言えなかった……。
 ちょっと悪いことをしてしまっただろうか……。

 その後、強羅の宿に泊まって温泉を満喫してきたよ。
 パステルカラーの5色の湯が同じ場所から湧いている、というのは知っていても不思議なものだね。
 久しぶりにゆっくり身体を伸ばして温泉に浸かって、生き返った気持ちになったよ。
 ……友人達は湯めぐりし過ぎて最後はのぼせていたが。
 心配になってスポーツドリンクを差し入れたら、こちらが申し訳なくなるくらいに感謝されたよ。
 本当に、彼らは見ていて飽きない。

 ……久しぶりに帰って来て思ったけど、やっぱり故郷はいいものだね。
 どこでも生きていけると思っていたし、実際クリムゾンウェストで暮らしていてあまり困ったこともなかったけど。
 やはり自分の根底には『故郷』というものがあって、それが自分を作る要素の一部なのだなと再確認した。
 ……VOIDがあちこちに現れて、被害を出しているけど、私は故郷を守りたい。
 そして友人達の暮らす、第二の故郷であるクリムゾンウェストも守りたい。
 改めてそう思ったから――もう少し、自分の力の及ぶ限りは頑張ってみるよ。

 私もこの通り元気だし、姉さんも相変わらず元気でやっている。
 姉さんはボラ族という一族の一員になって色々頑張っているみたいだよ。
 また休暇が取れるようなことがあれば、今度はそちらに寄れるといいな。
 今度は父さんと母さん、姉さんと一緒に温泉に行くのもいいかもしれない。
 ――必ず戻るから、それまで元気で。身体を大切にね。
 それじゃ、また。


 追伸:強羅で撮った写真を入れておくよ。ちょっとは美人に成長しただろう?

 シャーリーン・クリオール(ka0184)より


●揺れる乙女心
「……で、ここは一体どういう場所なの?」
「ビュッフェレストランって言うところです。森山艦長が色々なものが食べられる場所があるって教えてくれたんで」
「確かに色々なものがあるね。これ、好きなもの選んでいいのかい?」
「ええ。食べたいものを自由に取るスタイルですよ。……なかなかお洒落でデート向きですね」
「……で、でーと……!? い、いや今日は偵察だし……!」
 イェルズ・オイマト(kz0143)から何気なく出て来た言葉に動揺するラミア・マクトゥーム(ka1720)。
 ――彼女の姉は紅の世界で、船を改造した海上レストランを運営していて、彼女自身もそこでウェイトレスとして働いている。
 最近は青の世界の客も増えて来た為、この地の生の情報を知りたいと思ったのだが、店どころかこちらの地理は全く分からない。
 そこで、最近リアルブルーで活動しているイェルズに頼み込んで、この状況がある。
 ――とは言いつつも、今日の格好は割と気合いが入っている自覚はある。
 このドレスはレースが多いが動きやすい。まだちょっと着慣れてないのだが……。
「どーかな? 今日の服」
「よく似合ってますよ。ラミアさん、そういうドレスも似合うんですね」
「……!? あ、ありがと。イェルズはこういう服好きなの……?」
「うーん。デザインが好きっていうよりはその人に似合ってる服が好きですね。そういう意味であればその服は好きです」
 飲みかけていた炭酸水を噴き出しそうになるラミア。
 ――何だろう。このイェルズの女ったらしな発言は。
 そして、それにいちいちドキドキする自分が理解できなくて腹が立つ。
 ラミアは誤魔化すように咳払いすると、リアルブルーの食事に舌鼓を打つ。
「……で、姉さんの店を手伝い始めたってワケ。こう見えても帳簿も担当してるんだよ」
「ラミアさんしっかりしてるから帳簿担当なのも頷けますね」
「褒めても何も出ないよ? そういうイェルズはどうなのさ。族長の手伝いも大変なんじゃないの?」
「そうですね。族長の予定の調整とか、そういうのが多いんですけど……」
 食事をしながら、何気ない話に盛り上がる2人。
 料理の調査をしたいと思ったのは嘘ではないけれど……こうして、イェルズと過ごしていることが嬉しい。
 何でだろう。彼と話したいし、もっと知りたいと思っている。
 この気持ちは何なのだろう――。
 揺れる思いに整理がつかないまま、食事は終わりを迎えていた。
「ご馳走様でした。なかなか美味しかったですね!」
「うん。出来ればレシピも知りたかったんだけど……まずは舌で覚えるしかないね」
「忘れないうちにメモ取ります? 文房具買いに行きましょうか」
 レストランを出て、ふと立ち寄った宝飾店。焔のような赤い石のペンダントに目を奪われているラミアに気付いたのか、イェルズが店員に声をかける。
「すみません。これください」
「えっ。ちょっ。イェルズ……!?」
「はい、どうぞ。……やっぱりラミアさんにはこの色が似合いますね」
「あ、あの。……ありがとう。あたしの用事に付き合わせたのに、プレゼントまで貰って悪かったね」
「いえ。俺も楽しかったですし」
「何かあたしに出来ることある? こんな施しを受けて礼をしないなんて女が廃るってもんだよ」
「あはは。じゃあ、今度俺の買い物に付き合ってくださいよ。族長にお土産買いたいんですよね」
「お安い御用だけど……そんなことでいいの?」
「勿論です。じゃあ約束ですよ」
 笑うイェルズに、頷くラミア。
 もっと彼と過ごしたいという気持ちを見抜かれたような気がしてちょっと腹が立ったが……素直に、次の約束が嬉しくて――。
 まさか、あんなことになるなんて思ってもみなかった。


●かるちゃあしょっく!
「ほんげぇー……。こんれが『りんあるぼるー』だべさかー。……オラこっただとこ来たことないべさ」
「うむ。ここがアキハバラ、と言われる場所じゃな。魔導装置が沢山集まる場所だそうじゃぞ?」
「ほえー! そうなんだべか!? にいさは物知りだべ! 流石だべ!!」
 帳 金哉(ka5666)の解説にキラキラと目を輝かせる凰牙(ka5701)。
 何だか発音がおかしいし、金哉がぶち上げた解説を聞けば分かると思うが……2人のリアルブルー知識はお察しである。
 それを聞いている凰牙は全てまるっと信じているようだが。
「ここは都会だべなー。すごかー……って、う、うお!? にいさ! ひ、人が多すぎて歩けないべさ!!」
「川を泳ぐ要領でいけば何ということはない。ヒトの流れを読むのじゃ」
「ふおお……! 人を川に見立てるなんてさすがだべにいさ!!」
 そんな会話をしつつ、何とか人をかき分けて進む2人。軽快な音楽に釣られて入った先はCDショップ。
 店先に並ぶ商品を見て、金哉は目を細める。
「見ろ、凰。色々あって綺麗じゃのう」
「お? にいさ、これは何をするものだべさ??」
「これは首から下げるあくせさりぃじゃな、流石ハイカラじゃのぅ」
「そういえば七色に輝いてるべさ……! にいさ、オラこれ欲しいべさ!」
「うむ。革ひもを通す穴もあることじゃし、買うてみるといい」
 金哉の勧めに頷きニコニコしながらCDを購入する凰牙。本来の使用目的と大分違うが……まあ、本人が幸せならそれでいいだろう。
 買い物を終えて外に出ると、『メイド喫茶』なるものから来た可愛らしい服を着た女性に声をかけられた2人。
 言われるがままについて行くと……パステルカラーでまとめられた可愛らしい内装の店内に、これまた可愛らしいひらひらの……王国や帝国で見たことがある給仕の恰好をした女の子達が笑顔で迎えてくれた。
 突如視界に飛び込んできた異世界に、凰牙は目を白黒させる。
「ご主人様、いらっしゃいませ☆ こちらのお席にどうぞ☆」
「ご……ご主人!? オラ、おめのご主人さまじゃながっぺよ!? めんこい女子がそっただこつ言ったら駄目だべさ!」
「あら、ご主人様、メイド喫茶は初めてですか? ここはご主人様のおうちで、私達はご主人様にお仕えするメイドなんです。どうぞ寛いでくださいね☆」
「め、めんど!? めんどって何だべにいさ!?」
「成程。そういう決まりなんじゃな。相分かった。凰よ、郷に入れば郷に従えじゃ。もてなしを受けるとしようぞ」
 慣れている(ように見えるだけの)金哉に頷く凰牙。
 暫く待つと、ケチャップで可愛らしいクマが描かれたオムライスが運ばれてきた。
「お待たせしましたご主人様! 愛情たっぷりオムライスです! それでは、美味しくなる呪文を唱えますね! そーれ! 美味しくなーれ! もえもえきゅん☆」
「「もえもえきゅん☆」」
 一斉に可愛らしい動きで呪文を唱えたメイド達に、凰牙は驚き、金哉は納得したようにしきりに頷く。
「……!!? もえもえ……きゅ?? 美味しくなる呪文だべか??」
「これがりんあるぶるーの魔術……つまりここは魔術協会のようなものじゃ、凰よ」
「ほげー。そうなんだべか……! にいさ! もえもえきゅんきゅんだべさ!!」
「それ、もえもえきゅーん! かかか、りんあるぶるーの魔術も大したことないのう!」
 店内に響く凰牙の気合の入った声と金哉のやたら渋い野太い声。大真面目にやる彼らの様子に、店内からぶおっと飲み物を噴く音がそこかしこから聞こえて――。

 まだまだ続く秋葉原観光。2人の『りんあるぼるー』知識は、色々と間違ったものになりそうだった。


●近くて遠い距離
「ええと……。いい天気だな」
「そうですね! 爽やかな陽気です!」
 ぼそりと口を開いた雪都(ka6604)に笑顔を返すノワ(ka3572)。
 気の利いた台詞の1つも出てくれば良かったが、なかなかうまく行かない。
 ノワは全く気にしていないようだが……。
 そんなことを考えていた雪都は、マスクにサングラス、頭をすっぽりと覆う帽子という、一歩間違えれば不審者寸前のフル装備で秋葉原の地に立っていた。
 この場所に来る時は、こうしていないと無用な騒ぎを呼ぶからだ。
 ――その原因は。街のあちこちに貼られているポスター。そして店に並ぶCD……。
 CDショップの店先のモニターには輝かんばかりの笑顔を浮かべている雪都――否、彼にそっくりな男性が映っていた。
 雪都と、このリアルブルーで有名な人気アーティストである男性は縁も所縁もない他人だが、外見が似ていたばかりに色々な被害にあった。
 勘違いされてサインを求められるのは朝飯前。
 性格が某アーティストと全く違うと理不尽に怒られたり、ストーカーが束になって襲って来たり。
 兎角、彼がデビューしてからというもの人と関わり合うどころか外に出るのも嫌になっていた程で……。
 そんな折、突如転移してやって来た紅の世界。
 そこは決して平和な世界とは言えなかったけれど……少なくとも、雪都を外見で判断するものはおらず、彼にとってはまさに安寧の地。
 もう二度と蒼の世界には戻るまいと思っていたが、それも幻獣王を名乗る巨大でメタボなハムスターとの出会いで変化が起きた。
 可愛らしい見た目に反して、賢く思慮深く、そして何にも縛られることなく……。
 その生き様に感銘を受けた雪都は、彼を師と仰いだ。
 あんなに嫌だったこの世界にもう一度行ってみようと思ったのも、『先生』のお陰だ。
 ――そして。蒼の世界でのもう1つの出会いが、雪都に『先生』とはまた違った変化を齎していて……。
「……ねえ、ノア」
「何です?」
「これが前に話してた、俺とそっくりの有名人なんだけど……どうかな。似てるかな」
 雪都が指差したポスターをまじまじと見つめるノア。ふむふむ、と納得したように何度も頷く。
「あー。確かに雪都さんに似ていますね」
「やっぱりか……」
「ええ。目や口、鼻の位置がそっくりです。あと髪が生えているのもそっくりです!」
「……!? それって、人間なら皆そうなんじゃないの?」
「ん? 人間って全員似てますよね」
 ノワの返答にあんぐりと口を開ける雪都。
 彼女にとって重要な判断ポイントは、鉱石かそれ以外しかないんじゃなかろうか……。
 それでも。こんな調子の彼女に救われているのは事実で――。
「あのね、ノワ」
「何です?」
「……俺、前は目指すものも無くて、ただ他人ばかり気にして自分を変えようとも思わなかった。今こうやって前を向いてこの世界を歩けるのも、先生の教えのおかげだよ」
「そうですか。雪都さんはいい出会いがあったんですね」
「ノワとの出会いもそうだよ。君は俺にとってはお守りみたいな感じなんだ。なんかさ……居ると安心できるっていうか、常に持っておきたいっていうか……」
 雪都の呟きに目を丸くしたノワ。上着の裏に大量にある隠しポケットから透明な石を1つ取り出す。
「えっ。雪都さんすごい! 私が常に鉱石持ち歩いてるの気づいてたんですね! 確かにほら! この水晶はお守りにも使えますよ!!」
「えっ。いや、あの……」
「つまりこれって私自身が鉱石の癒しの力を身につけつつあるという事という事ですか?! むしろ私が鉱石に近づいて……?!」
 凄い! と呟きながらメモを取り始めるノワ。こうなると彼女はなかなか戻って来ない。
 ――渾身の口説き文句のつもりだったんだけどなあ。
 流石に先生に恋愛相談するのは如何なものか……。
 ため息をつく雪都。彼の恋は前途多難そうである。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 31
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 幸せの青き羽音
    シャーリーン・クリオール(ka0184
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • ずっとあなたの隣で
    ラミア・マクトゥーム(ka1720
    人間(紅)|15才|女性|霊闘士
  • 全身全霊の熱血漢
    凰牙(ka5701
    鬼|16才|男性|格闘士
  • チューダの弟子
    雪都(ka6604
    人間(蒼)|19才|男性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/09/27 14:09:38
アイコン 【相談卓】
凰牙(ka5701
鬼|16才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/09/25 23:19:35